1999年に聴きまくったアルバムBEST20(+10)

1999年に聴きまくったアルバム30枚を紹介します。
1999年は、プログレ掲示板/オフ会の参加などで欲しい作品が増加し、 購入枚数が例年の2倍に増えた(約200枚)のでBEST20にしました。
国境を越え(ハンガリー、チェコ、ソ連、ブラジル、アルゼンチン、ギリシャ...)、 様々なジャンル(プログレ、メタル、ポップ、メロコア...)を聴いた1年でもありました。
本当はこの他にも紹介したいアルバムがたくさんあります! (実際、最も印象に残っている「曲」は、ブラジルの O TERCOの「1974」(+10するとVAN HALEN?) だったりします。(^^;))


No.1
・FROM THE ALBUM OF THE SAME NAME/PILOT(74)
ビートルズ直系のブリティッシュ・ポップ・バンドの中でも、 バッド・フィンガーと並び、最もビートルズに近いセンスを感じるパイロットの1st。 メロディだけでなく一つ一つの音にビートルズらしさを感じるのは、 録音がアビー・ロード・スタジオのせいもあるかもしれない。
ベイ・シティ・ローラーズのヒット曲のようなMAGIC (メンバー2人は実際にBCR初期メンバーだったらしいから当たり前?!...) 中間のトランペットがペニー・レインなGIRL NEXT DOOR、 マザー・ネイチャーズ・サンしているOVER THE MOONなど... どの曲も一度聴いたら耳にずっと残る(そして頭の中でずっと鳴ってる!) 不変的な美しいメロディばかり。 素朴でさわやかで嫌みがなく聴いていてすがすがしい ポップスのお手本のようなアルバムといえる。
残念ながらキーボードのビル・ライオールは1989年に、 エイズで他界してしまったらしい (まさかクイーンとのロンドン公演が原因...なわけないか?)
再結成のあり得ない今、1人でも多くのポップスファンに 聴いてもらいたいアルバムです!

No.2
・SPARTACUS/RUMBLIN' ORCHESTRA(98)
98年末、目白ワールドディスク店内でかかってるのを聴き 倒れそうなくらい感動し即買いした作品で、プログレ系で最も聴きまくりました。
ハンガリーの新人バンドらしいが、 これだけ質の高いシンフォニック作をいきなり作り上げるなんて凄い才能である。
分厚いオーケストラアレンジと弾きまくりキーボード中心のバンドサウンドの融合が絶妙で、 音的にはエイリオン+ELP+マンダラバンドといった感じだろうか?
クラシックと競演したイングウェイの作品やロイヤル・ハント当たりが好きな メタルファンにも是非聴いてもらいたい。
ボーナスではナイスで有名なAMERICAまでやっているが、これがまた格好良い!
ハンガリーといえばAFTER CRYINGも有名だし、 これからのシンフォ・プログレ界をリードする国はハンガリーかもしれない...
99年プログレ界の大型新人としてはメキシコのCODICEもかなり話題になりましたが、 私はこちらの方が断然すごいと思います。

No.3
・SPILT MILK/JELLYFISH(93)
数年前から、プログレやメタルで食傷気味になったら聴こうと思い ずっと温存していたアルバムだったが、 XTCの新譜に刺激されついに買ってしまった。
もう最高!こんな完璧なポップスアルバムが 存在していたなんてまだ信じられない。
ビートルズ+ビーチ・ボーイズ+トッド・ラングレン+クイーンに 90年代のエッセンスを加えた極上の仕上がりである。
胸をしめつけられるような甘くせつないメロディ、 それでいて遊び心満載、次から次へと飛び出すアイデア!... 1〜3曲目を聴きあまりの素晴らしさに、夜中に1人で思わずガッツポーズしたあと 一気に聴くのがもったいないので再生を止めてしまったほどである。
そういえば相当前にこれと似たような感覚が... (あれはトッドの最高傑作「SOMETHING/ANYTHING」だ)
ポップスファンはもちろん、全音楽ジャンルのファンに自信をもってお薦めできる作品です。
90年代以降のポップスでは間違いなく最高傑作!
本作で解散するなんて残念すぎるが、こんなすごいものを作ってしまったことを考えると 解散も分かるような気がする。 天才が2人存在していたのも短命に終わった原因だろうけど...

No.4
・HATEBREEDER/CHILDREN OF BODOM(99)
メタル系で最も聴いた作品。これは本当に凄いアルバムである! 過剰と思えるほどネオクラシカルフレーズが満載のフィンランド発メロデス作品であり、 今までありそうで無かったスタイルを完全に確立している。 (ちなみに日本盤オビには様式美テクニカルブラックメタルと書かれている)
ギター2本、キーボードのコンビネーションによる スピィーディーなネオクラシカルフレーズのユニゾン、ハモリが 縦横無尽にポンポンと飛び出してくる。 リード楽器がツイン・ギターあるいはギター&キーボードというバンドは メタル界に数あれど、COBはリード楽器が3つもあるのだから 非常に贅沢かつ強力であり無限の可能性を秘めているといえる。
キーボードのスタイルはイェンス・ヨハンソンに酷似しており、 ギターはイングウェイ系ネオクラシカルスタイルであることから、 EPISODE〜VISIONSの頃のストラトヴァリウスがデスメタルアルバムを作ったような感じの 仕上がりである。(そういえばどちらもフィンランド出身!)
メロデスファンはもちろんレインボウ、イングウェイ、ロイヤルハント、 ストラトヴァリウス、シンフォニーXあたりが好きな様式美メタル・ファンにも 自信を持ってお薦めできるアルバムである。 きっと7曲目の中間部のキメフレーズには思わずニヤリとする人も多いでしょう! (アルカトラスの名曲JET TO JETのイングウェイの有名な超絶ソロにそっくり)
イン・フレイムスのオープンングアクトとして来日しましたが、 素晴らしい演奏能力で、予想通り確実に主役を食ってました!

No.5
・無罪モラトリアム/椎名林檎(99)
タイトルとジャケットのインパクトが強烈で ずっと気になっていた椎名林檎のデビュー作。 日本ものを聴いて久々に鳥肌が立ちました! 圧倒的な表現力&説得力...バックの演奏も素晴らしいのだが、 もはや全ての演奏が彼女の表現の道具に過ぎない。
近年、日本の女性ボーカリストの躍進はすさまじく 歌が上手い人がたくさん出てきているが、彼女の場合は、歌の上手さだけでなく 人を惹きつけて虜にする「なにか」を持ってるように思う。 詞をとても大事にしているのも好感が持てる。
一体どうしてこんな才能が生まれたんだろうか? どんな曲を聴いて、どういう環境で育ちどんな風に生きてきたんだろう?
1999年はXTC(APPLE VENUS...)といい彼女といいリンゴの当たり年でした。

No.6
・ARC-EN-CIEL/ICEBERG(78)
スペインのジャズ・ロック・グループであるイセベルグのラストであり最高傑作。
疾走感あふれる手数のやたら多いドラムの上を、生き生きとしたベースラインが歌いまくり、 超絶的な速弾きギターとキーボードがこれでもかと暴れまくり、 随所でキメを連発してくれるので、 文句無しに爽快な気分を味わうことができる。
マハビシュヌ・オーケストラ、リターン・トゥ・フォーエバー、 さらにはエトナ、アルティ・エ・メスティエリなどなど ジャズ・ロックの名バンドと比較しても全く負けていない... というより、エキゾチックで独特なラテンノリのリズムとメロディーが加わっているので 派手さでは彼らよりも1歩抜きんでているかも!
ラテンのリズムはやはり夏にピッタリです。(1999年夏に一体何度聴いたことか...) プログレ名盤紹介にも載せました。

No.7
・NEW VIEWS/TRIBUTE(84)
北欧のマイク・オールドフィールドと言われるトリビュートの1st。
ピュアでさわやかな曲ばかりで心が洗われるような気分にさせてくれる。 きっとヒーリング効果も絶大でしょう。 (デスメタルを聴いて疲れ気味の耳には非常に優しいです(^^;))
サウンドはとにかくマイク・オールドフィールドの影響大で、 メロディ、女性コーラス、アコースティック/エレキのギター音...等々 様々な部分で共通点を見つけることが出来るが、 極めつけは、チューブラ・ベルズの使用でしょう。
ここまで行くと、 トリビュートってマイク・オールドフィールド・トリビュートなんじゃないの? とでも言いたくもなるが、 普通だったらマイク程の高尚なミュージシャンを真似ようとしても、 敷居が高すぎて失敗するのがオチでしょう。 トリビュートは曲の出来が良いので聴き応え十分。 テクニックも高度で安心して聴くことができる。
よく考えたら、マイクの純粋で透き通るようなサウンド自体北欧のイメージにも通じるし...
ということでマイク・オールドフィールドファンは必聴! (怒る人もいるかも知れないけど、STARCASTLE程ひどく無いです...(^^;))
ライブ盤を含む4枚が出てますが、この1stが一番みずみずしいです。

No.8
・THE CLEVER USE OF SHADOWS/NATHAN MAHL(98)
カナダのテクニカルプログレバンドのなんと16年振りとなる2nd。 (ボストンもまだまだ甘い!)
いかにもPHOTOSHOP使って作ったようなアマチュア臭い安易なジャケットで軽視していたが、 中身は外見から想像できないような素晴らしい内容が満載で驚いた。 ジェントル・ジャイアント、UK、ブラフォードら過去の名バンドの 派手な部分を寄せ集め凝縮したような印象である。 (各1曲に数曲分のパワーが注ぎ込まれているように感じる。)
GG風の90年代プログレというとECHOLYN,FINNEUS GAUGEを想起するが 彼らに比べ曲構成やメロディが非常にわかりやすくひねくれ度は少ない。 シンフォな部分とジャズロックな部分が程良く共存しており、 全体的に疾走感があるのも魅力である。
系統は異なるがフラワー・キングス、スポックス・ビアードらと共に 近年プログレシーンの頂点に立つバンドだと思う。 70年代プログレしか聴いていない人にも是非聴いて驚いてもらいたい。
次回作は絶対早く出してね。頼んだよ!
ライブはどんな感じなんでしょう?、来日してくれないかなぁ...

No.9
・ARE A DRAG/ME FIRST AND THE GIMME GIMMES(99)
ひさびさにメロコアが聴きたくなったが、 聴くんだったら普通のバンドじゃつまらないってことで選んだ ブロードウェイ・ミュージカルの有名な曲をカバーしているアルバム。
アイデアは安易にも思えるがこれがなかなかはまっている。 音だけでなく、ジャケットに写っているメンバーの女装写真や、 裏ジャケのメンバーがふざけてじゃれあってる写真から見ても分かるが、 若さ爆発、青くさくてほんとにバカなバンドである(もちろん誉め言葉)。
サウンドは当然メロコア直球勝負... サビは当然ハモるし、高速リズムで走りっぱなしだし、 ギターのピックスクラッチも数え切れないくらい出てきます。
OVER THE RAINBOW、SUMMERTIME、アニーで有名なTOMORROWなどなど全12曲収録されているが、 収録時間が30分に満たないのはメロコアだからしょうがないか... 聴くと元気になるので、通勤・通学にぴったり!
若いっていいなぁ。

No.10
・NAILED TO THE SHADE/MIND ODYSSEY(99)
単なるドイツの中堅メタルバンドだと思ったら大間違い! ドイツ出身と言っても、 ハロウィンに通じるようないわゆるジャーマンメタル風な湿っぽさとは無縁の、 硬派なプログレメタルの名盤です。
印象としては2大名盤「IMAGES AND WORDS」+「OPERATION:MINDCRIME」をベースに サウンドやセンスをさらに近代化させ、立体感を持たせたような感じで、 プログレメタルファンには非常においしすぎる 理想的な大お薦めアルバムとなっています!
この手のジャンルではPAIN OF SALVATIONを初めて聴いたときと同じような衝撃 (DREAM THEATERやQUEENSRYCHEの近作では得られることが無かった!)を受け、 久々に感動しました。
プログレメタルバンドはここ数年非常に多い(特にマグナカルタ系)が、 本家を超える、あるいは、本家と肩を並べるぐらいの完成度を誇るグループは 片手で数えられるぐらいしか存在しないと思うので、このバンドは今後も非常に楽しみです。
もっと売れるべきだし評価されるべき作品ですが、 このバンドもジャケットで損してる気がする(^^;)
ボーカルのシャウトが驚くほどラブリエに似ているのはご愛敬...
ドイツのこの系統ではVANDEN PLUSが有名だが、 個人的にはこちらの方が断然気に入りました。

No.11
・FLOWERPOWER/THE FLOWER KINGS(99)
フラワーキングス待望の新作。
前作STARDUST WE AREが2枚組であったことや、 前年ロイネ・ストルトがソロを発表しているにも関わらず今回も2枚組、 しかも目一杯曲が詰め込んである(なんと75:00と75:35、大体1曲目から59:57ってのもすごい)。 これだけでなく来日公演プレゼント用に完全未発表曲が3曲あるというのだから 彼らの創造意欲たるや恐ろしいものである(もうそんなに若くないのに!)。
前作の完成度の高さから、今回はそろそろ危険なのでは? 方向性煮詰まってるのでは?という不安があったのだが それらの不安を一気に消し去るような、またもや素晴らしい作品である。 まだまだこのバンドは進化しているとは...
素晴らしい曲の連続ですが、 いまのところ2枚目の1曲目DEAF,NUMB & BLIND(従来路線)と2曲目の STUPID GIRL(タイトルには笑ってしまうが、新しい試み満載。 でも結局はフラワーキングスの音!)が気に入りました。
このアルバムのおかげでしばらく幸せでいられる。ありがたや〜
来日公演も素晴らしかったです(ライブのページを見てね!)。
全然関係ないが、中国で売り出すとしたら「花力/花王」て 表示されるのかな?なんか変(^^;)

No.12
・ONE HOUR BY THE CONCRETE LAKE/PAIN OF SALVATION(98)
スウェーデンのプログレッシブ・メタル・バンド、 ペイン・オヴ・サルヴェイションの2nd
実は一気に聴くのがもったいなくて、98年夏に買って以来 あまり聴いていなかった。
今回はコンセプト・アルバムということで、1stと比較し、 HR/HM的アプローチが強くなっており、整合性が出ている。 個人的には、なんでもあり的ミクスチャー感覚が絶妙で、 何が飛び出すか分からないスリリング(悪く言えば少々散漫)な1st の方が好きだが、この作品の完成度も相当なものである。
相変わらず曲も構成も演奏も完璧で、全く非の打ち所はないが、 最大の魅力はダニエルの声の表現力につきる。
彼らは、単なるプログレメタル、テクニカルメタルではなく、 もっとレベルが高い位置で勝負できるバンドであり、 HR/HMフィールドだけで語られるのはもったいないと思う。
少なくともこの手の先輩バンドは越えているでしょう。 (ドリーム・シアターやクイーンズライチと比較するなど問題外!)
国内盤の最後を飾るボーナストラックはとても美しい曲で 最も気に入っているのだが、 この曲はなんとダニエルが16歳より前に作ったというではないか... 天才のやることは全くもってすごい!
とにかく来日公演を望んでます。是非お願いしますー。

No.13
・BURNING BRIDGES/ARCH ENEMY(99)
まさかここまでメロデスが進化するとは... IN FLAMESやDARK TRANQUILLITYなど他のメロデス系バンドに大きな差を付けたといって良いでしょう。
本作はメロデス史上だけでなくメタル史上に必ず残る大名盤と断言できる。
98年の来日公演で披露した新曲の出来から、 今度の新作は以前にも増してドラマティックで素晴らしい内容になると予想していたが その予想をはるかに上回るほどの大きな進化を遂げていた。 以前は、曲が単調になりがちだったり、各曲の区別が付きにくかったりするなど、 少々退屈な部分もあったが、今回は曲の質が大幅に向上、1曲1曲の表情が豊かで 退屈な部分は微塵も感じられない。 泣きまくるアモット兄弟のギターソロもさらにパワーアップしている。
音質も格段に向上しており、 劣悪だった1stが同バンドの作品であるのが嘘のように感じられる。
ジャケット・アートも美しくて雰囲気があって最高、 これも今年見たジャケットの中では一番良い!
様々な箇所で進化した形跡が見受けられるが、 今回の目玉はなんといっても、 メロデスでは掟破りともいえるメジャーコードを全面に取り入れた 4曲目でしょう、これにはほんとに驚かされた。 メジャー・コードを使いながらも哀愁を漂よわせるところなどはさすがである。 ちょっとGLORIA(カラオケで良く歌います!)に似て歌謡曲チックなんだけど...(^^;) (ここまでキャッチーになるともうデスメタルとは呼べないのでは?)
2曲目はどことなくメガデスのHANGER 18 (スラッシュが最も進化した作品、メガデスの最高傑作RUST IN PEACEのこれも2曲目だったっけ...) に似ていてこれがまた格好良い。もちろん他の曲も全て格好良くて名曲揃いである。
これだけバラエティ豊かで、スピード感があって、内容が濃いと アルバムがすごい短く感じるなぁ。まぁそれだけ無駄な部分が無い完璧な作品ってことでしょう。
どうでもいいけどトイズ・ファクトリーのバンドは、過去名曲の焼き直しが多いぞ! (IN FLAMESも99年リメイクバージョン出してたし...)
99年の来日公演も圧倒されました。

No.14
・ASSAULT ON MERRYLAND/SURPRISE(77)
バンド名通り非常に驚かされました。
アメリカの無名バンドながら、ジャケット、サウンド、コンセプトなど 全てがブリティッシュ感覚に溢れたシンフォの大傑作です。
シンフォといっても特にドラマティックで大袈裟な仕掛けがあるわけではなく、 ポップでカラフルで非常に親しみやすい作品となっており、 何度聴いても飽きません。
詳しくは、プログレ名盤紹介をご覧下さい。

No.15
・THE LADDER/YES(99)
「イエスの新作は凄く良い」という噂はチラホラ聞いていたが、 自分の中ではイエスは完全に死んだものと思っていたので半信半疑であった。
その後、国内盤は初回限定でボーナスシングル(過去曲ライブ音源)がついているのを知り、 きっとボーナスシングルを数回聴くだけで終わるだろう...とあまり期待せずに買ったら とんでもなかった!。予想を完全に覆す素晴らしい出来映えである。 (まるで脳死状態の人間が奇跡的に息を吹き返し、前より元気になってるような感覚!)
近作のモヤモヤを吹っ切り、天に突き抜けるような開放的で美しい曲が揃っており シンフォ系の新しい道を提示しながらも、 シーンの開拓者としての重みもみせつける充実した内容となっている。
新しい要素を大胆に取り入れた新鮮な部分の出来があまりにも良いので、 たまに出てくる過去曲のフレーズや、過去曲のライブ音源のボーナスシングルが、 昔のファンに媚びているように思えちょっと鼻につく... と、まぁこんなことを思いつくくらい新しい部分の完成度が高いです。
次回もこの路線で頼みます。イエスもまた追い続けなきゃ...
何故今頃このような作品が出来たのかいまだに不思議であるが、 ジョン・アンダーソンのハイトーンボーカルが全く衰えないのはもっと不思議だ!

No.16
・THE LIGHT/SPOCK'S BEARD(95)
90年代現在進行形シンフォの理想的な形を歩み続けているスポビの1st。
YES,GENESISらの影響が感じられるが、あくまでも彼らのフォロワーではなく、 90年代バンドらしい自由な発想に満ちあふれている。
作曲能力、テクニック、アレンジ、バンドのアイデンティティなど どれをとっても現代的で垢抜けた抜群のセンスを持ち合わせており、 そんじょそこらの弱小新人プログレバンドが泣いて逃げ出す内容です。
ポンプ系でもメタル系でもないし、クセも無いので、 ロックとして普通のリスナーでも聴けるかも。
アメリカのバンドだけあって、暗さや泣きが少ないのと、 何もかもが軽く及第点を越している優等生すぎるところが 過小評価につながっている原因でしょうか?、内容の割に評価が低すぎます。 プログレファンには大作指向なこの1stがお薦めでしょう。
曲展開がコロコロ変わるが、展開に全く無駄が無く、 継ぎ目を感じさせずに流れるような曲の進行は見事。 メロディーも覚えやすく、すごいことをやっていながらも難解さを感じさせない点も素晴らしく、 何度繰り返し聞いても飽きが来ない90年代プログレの名盤です。

No.17
・EXTREME MEASURES/VITALIJ KUPRIJ(98)
アーテンションのキーボーディストというだけでなく ネオクラシカル系キーボーディストの頂点に君臨する ウクライナ出身のヴィタリ・クープリの2nd
アンドレ・アンダーセンのソロが、どう聴いてもロイヤル・ハント であるのと同様に、このソロもどう聴いても、歌無しアーテンション そのものである...
超絶キーボード・プレイや楽曲のネオクラシカル度では アーテンションよりも明らかに質はこちらの方が上である。 アーテンションはどうしても退屈で冗長な部分があるが このアルバムには全くスキが見られない。 こういうネオクラシカル速弾き系アーティストの場合は やはりバンドよりも、ソロ作の方が光ると思う。
1stも素晴らしかったが、今回はギタリスト、 ジョージ・ベラス(この人もほんとスゴイ)とのバトルがすさまじく、 キーボードとの掛け合いはまさに火花が出るようである。
クラシックの名曲を取り上げ、 ピアノのみで正統的にプレイしているところなどは ネオクラシカル系インストモノの名作を作り上げてきた 名ギタリスト、トニー・マカパインの全盛時を彷彿とさせる。
絶対影響受けてるんでしょう!それともマイク・ヴァーニーの助言か?

No.18
・ETNA/SAME(75)
YAHOOのプログレ掲示板で話題になっていたおかげで、 GETすることができた、イタリアのテクニカル・ジャズ・ロック最高峰
完成度はアルティ・エ・メスティエリに匹敵するレベルでしょう。
サウンドの詳細はプログレ名盤紹介(その1)に掲載してます。

No.19
・TRILLION/SAME(78)
ジャケットやグループ名から、ネオクラシカルメタルバンドを連想させるが、 中身はアメリカン・プログレ・ハード路線まっしぐらの名盤!
タッチやニュー・イングランドと似ているが、 後期TOTOで活躍する名ボーカリスト、 デニス・フレデリクセンがいる分、こちらの方が完成度が上でしょう。 やっぱり歌がうまいとバンドが引き締まるなぁ...
都会的なアレンジとプログレ要素がうまくミックスされたバラードA4は最高! プログレ名盤紹介にも載せてます。

No.20
・SCORCHED BY TIME VOL.2/ALEXEI KOZLOV & ARSENAL(82?)
とうとうソ連にまで手を出しちゃいました!(もう後戻りできない...(^^;))
最初はCDの記述がロシア語(ロシア文字!)だったため、 曲名もアーティスト名も何も分からずに聴いてましたが、 CD記載のホームページの英語記述から、 やっとバンド名、曲名が分かりました。(詳細は謎のままですが...)
旧ソ連を代表するサックス奏者を中心としたジャズロックバンド「アルセーナル」の 77〜91年までの音源の4枚組ボックスセットのばら売りの2枚目です。 (1、2枚目を入手しましたが、特に2枚目の出来が最高!)
曲によって印象が違うのですが、 東欧独特の音色で深淵に響きわたるシンセ、もの悲しいアコースティックギター、 クラシックそのものといったピアノ、表現力豊かなサックス、 切れ味鋭く疾走するドラム...これを一体なんと表現すればよいのでしょう。 ソラリスとマハビシュヌオーケストラの合体?クラシカルシンフォニックジャズロック?... 全く新しいスタイルといえるでしょう。 曲名を見るとマハビシュヌに捧げる曲や、ラフマニノフのピアノコンチェルトもやってます。
(ちなみに1枚目は大編成ブラスロック、ソフトマシン、 70年代初期のブリティッシュ・ジャズロックを連想させるサウンドでした。 3、4枚目はかなりポップ化しているようです。)
ソ連でこんなことをやっていたバンドがあったなんてびっくりです。 ジャズロックのファンもシンフォ系のファンも偏見を捨て 是非この作品を聴いてみて下さい!。

その他

・ガイアの歌/KYOKO SOUND LABORATORY(98)
シンガーソングライター木谷響羽子のプロジェクトであるKSLの最新作
流通が特殊で、星光堂系列店でないとなかなか入手できないらしいです。 (様々なレコード店で探したが見つからず、 昨年末、星光堂系列のミュージックライブラリー新宿店で発見し即買い)
本作もSOUND LABORATORYという名前通り多重録音、 様々なエフェクトを駆使しているが、機械的な冷たさは皆無の、 ぬくもりのある大きく包み込むような優しさを持った独自の世界を展開しており、 聴いていて実に気持ちが良いです(ヒーリング効果絶大)。
天使の歌声系女性ボーカリスト好きの人、例えばケイト・ブッシュやルネサンス、 また日本で言えばザバダック(...と書いていたら、その後本当にメンバーに!?)や 遊佐未森のファンならきっとはまると思います。
昔KSLに初めてであった頃(NACK5でパーソナリティをしていた)の作品 (「グリーンな風の中で」は名曲!)はどうやら廃盤になっているらしく、 探しているが全然手に入りません...あの頃買っておけば良かった...
早期再発が望まれます。

・SYMPHONY OF ENCHANTED LANDS/RHAPSODY(98)
誰が言ったかロール・プレイング・メタルの雄!、 メタル界に新たなジャンルを確立した イタリアン・ドラマティック・メタル・バンド、ラプソディの2nd
前作LEGENDARY TALESで超新人として大絶賛されたが、 正直言ってあそこまでの完成度を誇る作品を作った後なので、 2ndではコケそうな気もしていた...が、彼らはホンモノでした、 やってくれました。 前作の延長線上にある、さらに進化した作品といえるでしょう。
オーケストラを導入したクラシックとメタルを融合した作品としては アングラやイングウェイなどを越えた究極の出来ではないだろうか?
イタリア出身だし、ルイス・エンリケス・バカロフでも バックに絡んでるんだろうか?
弦楽器、チェンバロ、ギターが絡むバロック風な展開は コンチェルト・グロッソの現代型ともいえるのでは?
メタル的な要素が若干薄れ、繊細でクラシカルな内容になったので、 人によっては前作と比べて若干物足りなく感じるかもしれないが それは贅沢というものでしょう。
このバンドは一体どのように進化していくのだろう?
ライブもどんな感じになるんだろうか?

・APPLE VENUS VOLUME 1/XTC(99)
ブリティッシュ・ポップス界の職人、 XTCのなんと7年ぶり (ボストンじゃないんだから、こんなことばかりしてると訴えられるぞ!) となる新作。
バンド色、ロック色は薄れており、オーケストラアレンジを随所に配した 極上のポップスナンバーがちりばめられている。
さすがXTCだけあって、 各曲の重みや美しさは他のバンドどは比べものにならない... もちろん美しいだけでなくどこかひねってあるところもXTCならでは。
個人的には、アンディの書いた曲よりも コリン・モールディングの書いた サージェント・ペパーズ、ペット・サウンズ風 (ゾンビーズの名作、ODESSEY AND ORACLESが頭に思い浮かんだ)の 5、8曲目の美しさが印象に残った。
どの曲も良質で味わい深いので、 これからも長い間聴き続けることになるでしょう。 ほんと感動モノである。VOLUME 2も楽しみ!

・DANCE ACROSS THE PAST/EXHUMATION(99)
ギリシャ出身のメロデスバンドの作品
ギリシャといえども出てくる音は北欧!、IN FLAMESそっくりである。
それもそのはず、重鎮フレデリック・ノードストロームがプロデュースを担当し おまけにゲストでIN FLAMESのイエスパー・ストロムブラッドまで参加している。
しかし、それだけではここまで完成度の高い作品には仕上がらなかったであろう。 曲自体の完成度が高く、叙情的なメロディー、 ギターソロの泣き具合も相当のレベルである。
ARCH ENEMYのようなアグレッシブな方向性を持つバンドより、 IN FLAMES,DARK TRANQULITY,GATES OF ISHTARなど 叙情メロディ派バンドが好きなメロデスファンなら 愛聴盤になること間違いなしでしょう。

・PEASANTS,PIGS & ASTRONAUTS/KULA SHAKER(99)
前作「K」は久々の大ホームランだったが、今回もやってくれました。 ジミ・ヘン、フロイドらの60年代末期のサイケな香りがプンプンしてます。
オアシスやブラーなどブリット・ポップの王道が好きで「K」を聴き、 クーラシェーカーにはまった人、ご愁傷さまでした& サイケファンの方おめでとうございます!
1曲目の出だしが、IN THE EYES OF THE WORLD/THE FLOWER KINGSとそっくりなので 最初CD入れ違えたかと思い、あせったが、 すぐに独特のエッジの効いたカッティングでギターが切れ込んできて一安心、 相変わらず格好良いです。
3曲目のスパイ大作戦みたいな面白い曲は、 前作には無かったような曲調で、まるでコーデュロイがとりあげそうな曲です。
随所で使われるオルガンのうち、チープでサイケなオルガン音 (ストロベリー・アラーム・クロックのような音!)もたまらないです。
またサウンドだけでなくジャケットやインナーまでも徹底徹尾サイケしてます。
インド音楽のエッセンスを取り入れたと良く紹介されているが、 今回はまんまインド音楽@踊るマハラジャ!みたいな曲もあり笑ってしまった。 (普通ここまでやるか?!)
ただシークレット・トラック(輸入盤にも入ってました)は無くても良かったかも。 (日本盤ではオビにシークレットトラック入りと書いてある! これじゃシークレットの意味が...(^^;))
ライブはシンプルで非常にすっきりしてました。

・HUASCARAN/FERMATA(77)
チェコのジャズ・ロック・バンド、フェルマータの名盤
東欧は、EASTやSOLARISなど80年代のシンフォ系バンドが有名だが、 70年代にジャズロックでこんな素晴らしいバンドがあったなんて、まさに驚きである。
マハビシュヌ・オーケストラのキーボードが キース・エマーソンに変わったような演奏ですが、 ベースも何故かファンキー!(^_^;)で格好良いです。
プログレ名盤紹介にも載せました。

・TORTURA INSOMNIAE/EBONY TEARS(98)
バイオリンの効果的な使用が光る、 スウェーデン出身のメロディック・デス・メタル・バンドの1st
スウェーデンのメロデスなのに フレデリック・ノードストロームが関わっていないためか、 若干サウンドの奥行き感に物足りなさを感じるが、 (逆にフレデリック・ノードストロームの音作りが嫌いな人は良いかも) とにかく楽曲が素晴らしい。
各曲とも、豊富なアイデアが盛り込まれ 複数のパターンが緻密につなぎ合わされた長めのもので、 単調にならず、聴く側を決して飽きさせない。
楽曲のバラエティが豊かな点においては、 同時代のイン・フレイムスやアーク・エネミーらスーパー・バンドを越えており、 メロデス史上に残る名盤と断言できるでしょう!

・POWERBILL/SEMANTICS(96)
99年にオウズリーが新作出したのを知り、 買い忘れていたのを思い出しあわてて買って聴いたらやっぱり良かった。
JELLYFISHほどスケールは大きくないが、メロディの質はかなり高く、 個人的にはメリー・メーカーズよりも気に入りました。
1曲目は、オウズリーの友人であるベン・フォールズ風のフレーズが出てくるし...、 3曲目などは、前半はBEATLESのHAPINESS IS A WARM GUNで、中盤はSPRING(マイナーですみません!)のようなメロトロン多重録音、 最後はいつの間にかMOTT THE HOOPLEのALL THE YOUNG DUDESなのだから参ってしまう。
これだけ良い作品なのに、日本盤しか出ていないらしい (制作は93年のようだがずっとお蔵入り、96年になんとか日本のみで発売された。日本人で良かった!)... メタルもそうだけど、この手の良質なポップスも日本でしか受けないのかな? ちょっと寂しい。オウズリーの新作も同系統の佳作でした。曲が数曲だぶってましたが...(^^;)

・THE SACRED TALISMAN/NOCTURNAL RITES(99)
98年に最もはまったスウェーデンのメロディアスメタルバンドの3rd
曲自体は2ndより少し弱いようにも感じるが、サウンドクオリティが格段に向上しており、 今回も文句無しに素晴らしいです!
最近のジャーマン系は、ストリングス、混声合唱の導入、コンセプトアルバム化など どんどん大袈裟化していて、肝心の歌心を忘れているのでは?ということを 思い知らされた気がする... というのも、ノクターナル・ライツは大袈裟なアレンジは無く あくまでも6人編成(決して前に出ないがキーボードの音が隠し味)による分厚いバンドサウンド だけで勝負しており、今回も全曲ノクターナル・ライツ節とでもいえるような 覚えやすくどこか懐かしいメロディラインが満載だからである。 (相変わらずボーナス曲も外さないところがエライ!)
ハイトーン系が多い昨今、中域を基本にしっかりと歌い上げるボーカルも存在感が出てきました。
唯一の汚点はまたもやジャケット...1stも2ndも何を意図しているのかわからないような センスの悪いものだったが、今回はハンマーフォールを意識しすぎ! 「NR」ってロゴ、ジャケットのコンセプトも含めマネとしか思えずちょっと残念。 (これではハンマーフォールより格下に見えてしまう...)
個人的には、アングラ、ラプソディ、ハンマーフォールよりも アレンジを除いた楽曲単体の良さ、メロディの人なつっこさでは上回っていると思います。
前作の流れを受け継いだ本作で、完全にノクターナル・ライツ独自のスタイルを 確立したといえるし、今後も安定した活動が望めるでしょう。 (エドガイやアングラは方向性に迷いが見られる気がする...)
あとは来日だけ!...

・INTRODUCING THE ELEVENTH HOUSE/THE ELEVENTH HOUSE(74)
ラリー・コリエル率いる70年代超絶ジャズ・ロック・バンドの1st。 メンバー全員が暴走しまくりでやたら格好良いです。
ジャズサイドからロックサイドへアプローチしている点や、 時代背景(クロスオーバー、フュージョン草創期)、 凄腕ギタリストがリーダーなどなど、 第1期マハビシュヌ・オーケストラと類似点が多く、 音楽性も同系統であり非常に高水準の内容となっています。
マハビシュヌとの違いは、リード楽器にトランペットが入っていることでしょう (マハビシュヌはヴァイオリン)。 このトランペットのおかげで、マハビシュヌよりかなりジャズ寄りで、 フリーな印象が強いです。
プログレファンやロックファンには、 マハビシュヌの方がお薦めですが、 ジャズも聴ける人にはかえってこちらの方がよいかもしれません。 いずれにせよマハビシュヌ、RTFファンは必聴ですね!
ラリー・コリエルってアコースティックなイメージが強いけど、 こんな演奏も出来る(た?)んですね。


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