2001年に聴きまくったアルバムBEST30(+26)

2001年に聴きまくったアルバム56枚を順位付けして紹介します。
2001年には計343ものCD/CTを入手しましたが、 相変わらず未聴タワーに積んでいるものが多いです!
レビューを見ていただくと分かりますが、とにかくポップにはまった1年でした。 そしてインドネシア、韓国、イスラエルなどアジアに目を向けた1年でもありました。
1位は去年と同じA.C.Tになってしまいました!


No.1
・IMAGINARY FRIENDS/A.C.T(01)
21世紀の音楽シーンを担うスウェーデンのミクスチャー系 メロディアス・ロック・バンドA.C.T待望の2ndアルバム。
個人的にA.C.Tは2000年にもっともはまったアーティストだったので、 すごい作品であるからもったいない!という気持ちと、 期待を裏切られるのでは?という不安から、 なかなか聴くことが出来ず、購入から4ヶ月間、 封を開けることが出来ませんでした。 意を決して聴いてみたところ、驚くことに 素晴らしかったあのデビュー盤からさらに成長を遂げていました。
本作もDREAM THEATERの変拍子を織りまぜたテクニカルな演奏力と構築美、 JELLYFISHの非凡なメロディセンスと遊び心、 VALENSIAの柔軟で時に意表を突くポップ感覚とドラマティックなアレンジ が見事に同居しています。こんなバンドは他にありません! この八木沢三姉妹も真っ青の三位一体攻撃の前には、 今回もひれ伏すしか術はありません。
素材自体は古いのに組み合わせと工夫次第でここまで新しくなるという 温故知新を具現化した作品ともいえます。 彼らの引き出しが多いからなし得ることができるのでしょう... というより音楽オタクが集まって作ったバンドというのがみえみえです! (思えばDREAM THEATERもJELLYFISHも音楽オタク集団ですが...)
これだけ様々な音楽やジャンルが確立された現在に、 また新たなスタイルを確立するため、既存の様々な音楽を組み合わせて 新たなる融合をはかるミクスチャー的手法(そもそもプログレ的発想)は 今も非常に有効な手段だと思います。 そういう意味ではこのA.C.TとPAIN OF SALVATIONは、必ずや 将来のプログレシーンを引っ張っていってくれることでしょう。
メタル/シンフォ/ポップスと分け隔て無く なんでも聴ける私のようなタイプの音楽好きに 絶対に聴いてもらいたい超お薦め盤です!
ある意味、ロック/ポップスが発展し到達した究極の最終進化形の1つであると思います。 (ちょっとほめ過ぎかなぁ...(^^;))
ところでアルバムの出だしがコンチェルト・グロッソ・1にそっくりなのは 確信犯なんでしょうか?

No.2
・LET YOURSELF BE HAPPY/LINUS OF HOLLYWOOD(00)
タワレコ新宿店の試聴コーナーで遭遇し、 1曲目のあまりの美しさに泣きそうになり、聴き続けることが出来ないぐらい 感動してしまったソフト・ロック/ポップの名盤(早くも断言!)。
実は他の作品を聴こうとしてDISK番号を間違って押したおかげで 偶然出会うことができました。 (ちなみにその時聴きたかった作品は買ってません。ナイスミステイク! > 自分)
ジェリーフィッシュとベン・フォールズ・ファイブを足して2で割り、 毒抜きした上でソフト・ロック化させたようなサウンドで、 全編信じられないくらい美しいメロディとアレンジで埋め尽くされています。 まさにタイトルに偽り無し!...このアルバムの中にとっても平和で幸せな夢の世界が存在します。
この人は何故こんなに泣きのツボを心得ているんでしょう... まぎれもないポップの天才といえます。
みなさんも本作を聴いて幸せをともに分かち合いましょう! デビュー盤(本作は2nd)も聴かなくては...

No.3
・DISCOVERY/DAFT PUNK(01)
フランスから飛び出したテクノ・ユニットによる大ヒット街道ばく進中のアルバム。
いろんなところで曲を耳にし、斬新でファンキーでかっこいいなあ〜と思っていたらこれでした。 知らない間に体が動いてしまいます!
この手のジャンルはともすると単調になりがちで、 アルバムを聴き通すのが辛かったりするものなんですが、 おもちゃ箱ひっくりかえし系ともいえるさまざまなアイデアが ぎゅうぎゅうに詰まっているため、アルバムまるごと聴いても全く苦になりません。 根底にどこか懐かしい感じのするロック/ポップ魂 (例:2曲目の途中から出てくるフレーズはVAN HALEN風ライト・ハンド・ソロを低速化したみたいだし、 6曲目はI'M NOT IN LOVE/10CCの歌を抜き凝縮したみたいだし...)が 確実に存在しているのも取っつきやすい理由の一つでしょう。 「化学兄弟!」なんかよりも数倍カラフルに感じます。
ジャンル関係無しに、大ヒットするものはやはりそれなりの理由があるということを 痛感しました。 時代の流れにのるというか、自ら流行を創り出しているという「現在進行形」の 手のつけられない勢い、輝きがあり、有無を言わさぬ格好良さがここにはあります。
個人的にはジャミロクワイを初めて聴いたときのような衝撃を受けました。
松本零士まる出しジャケの国内盤と安価な輸入盤とどちらを買うか散々迷いましたが、 結局お金が無かったので輸入盤にしました!
どうでもいいですけどこの2人、 ヴィジュアルやコンセプトなどがMOOG COOKBOOKとかぶるような気がします。

No.4
・ZOOM/ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA(01)
祖母が亡くなったとの知らせを受け、重い気持ちで搭乗した飛行機の中、 ふと目の前にある機内放送のヘッドフォンを差込んだ瞬間、 耳に注がれた心に安らぎを与える美しい旋律!... その曲がMOMENT IN PARADISEでした。 きっと今後もこの曲を聴くたびに このシチュエーションを思い出すでしょう。
東京に戻った後、急いでアルバムを入手したところ 全ての曲が信じられないほどポップで美しく、 時折感動のあまり泣きそうになりました。 アルバムを通じてどんなに細かい音にも意味があり、無駄が一切無いのです。
年齢を重ねる毎に、才能が枯れていくアーティストが多い中、 ジェフ・リンはそのたぐいまれなる才能に さらに磨きがかかっていると言って良いでしょう。
リンゴのドラムも、亡きジョージのスライドギターも表現力十分。 まさに熟練した職人達が多くの時間と労力をかけ、 丁寧に磨き上げて作り上げた伝統工芸品のようなアルバムです。
ELOってほんとにこんなすごかったっけ?
過去の作品は数枚しか持っていないんですが全部聴かなきゃ駄目ですね... ゆっくりじっくり集めていきたいと思います。

No.5
・THE KING'S NEW GARMENT/RUMBLIN' ORCHESTRA(00)
20世紀末に突如現れたクラシカル・シンフォの救世主的存在である ハンガリーのトップバンド、ランブリン・オーケストラの2nd
デビュー盤で繰り広げられたど派手なクラシカル・シンフォ・ワールドは今回も健在です。
スケールの大きさは今回も半端じゃないです。 匹敵するのはメタル界のRHAPSODYぐらいしか思いつきません。(^^;)
管弦楽とキーボードとリズム隊という変則編成から作り上げられる音は、 一聴してすぐに彼らだとわかります。 クラシカルといっても格調高さと同時に、 ポップであり親しみやすさも持ち合わせているのはさすがです。 キーボードはもちろん、ゲスト参加しているギターもやたらうまいです!
楽曲、アレンジ、テクニック... ここまで完成されていると文句のつけようがありません。
21世紀もこの勢いでどんどん突っ走っていって欲しいです!

No.6
・JURANG PEMISAH/YOCKIE(77)
辺境の中の辺境!インドネシアの70年代のプログレ作品。
演奏技術よりメロディと歌心を重視した作風の素晴らしい内容で、 個人的には旧ソ連や東欧の大物バンドに初めて出会ったときよりも、 数倍インパクトがありました。
特に前半は「インドネシア」という言葉から連想されるイメージを見事なまでに覆す、 どこをどう聴いてもイタリアン・シンフォ(それも名盤)としか思えない内容です。 あまりにもイタリアし過ぎているので、 「インドネシアといいながら実はヨーロッパの血が入ってるんじゃないの?」 (逆タイフォン状態!)と疑いたくなります。
歌ものシンフォ、イタリア、鍵盤好きであれば、 絶対に一度は聴いておくべき内容と断言します。
アルティの2ndみたいなジャケも良い感じです。 (あ、ここにもイタリアの影が!(^^;))
詳しくはプログレ名盤紹介に載せることにします。

No.7
・SUPERMARKET/ROCKFOUR(00)
なんとイスラエルのBEATLES系サイケデリック・ポップ・ロック・バンド。 久々にとてつもない衝撃を受けました!
近年のBEATLES系バンドといえば、BEATLESだけに限らず 70年代ポップ(QUEEN,ELO,10CC...)の要素を取り入れたり、 現代感覚を併せ持つなどしているものですが、このバンドは全く違います。 信じられないことに何もかもが70年代直前でストップしているのです!
BEATLES以外にちらつくのは、BEACH BOYS、BYRDS、ZOMBIES、PINK FLOYD(全て60年代の!) あたりでしょう。 とにかく60年代後半へのこだわりには凄まじいものがあります。
儚げなコーラス、鳴りっぱなしのメロトロン、そして執拗に乱れ飛ぶサイケデリックなエフェクト... 例えるならKULA SHAKERの2ndからインド色を完全に抜いてさらに音に病的にこだわったような感じです。
またこのバンドのすごいところはアレンジだけでなくメロディの美しさにあります。 中でも4曲目の胸をしめつけるような泣き泣きのサビメロは突出しています!
ここ数年のポップス界を振り返ってもなかなかこんな素晴らしいバンドにはお目にかかれません。 全世界的に見てもトップクラスであることは間違いないです。
ポップス・ファンはもちろん、サイケ、プログレ・ファンも必聴ですが、 特にメロトロン好きやKULA SHAKERのファンはなにがなんでも買うべきです! 比較的簡単に入手できるこの作品からどうぞ。
#他の作品も入手しなくては!(汗)

No.8
・DAWN OF VICTORY/RHAPSODY(00)
RPGメタルの祖!、ラプソディの3rd。 もちろん今回も地図付き&メンバーは剣を持っています!(^^;)
2ndを聴いた時、あまりの完成度の高さに もはやこれ以上の成長は望めないだろうと思っていたのに、 またもや予想を大きく覆す成長ぶりを見せつけています。
まさにレベル、経験値!が格段にアップしたといったところでしょう! (自慢のエメラルド・ソードで強いボスキャラでも倒したのでしょうか?!)
こんな作品を作ったら、他の類似バンド(例:チェコのSALAMANDRAとか(笑))はもちろん、 自分たちの過去の作品まで陳腐化してしまうと思うのですが、 その辺については何も考えてないんでしょうか?(イタリア人気質?)
大袈裟にも程があります。明らかにやり過ぎです! そこらのシンフォバンドを全部まとめてもかなうわけがありません。
メタルファンもシンフォファンも(RPGファンも?)卒倒間違い無しの とてつもない超傑作といえるでしょう。感動に飢えている人は必聴!

No.9
・BADAI PASTI BERLALU/CHRISYE(99)
インドネシア音楽シーンの最重要アーティストの1人である、 重鎮ボーカリストCHRISYEの77年の同名アルバム新録盤。
オリジナルも素晴らしいのですが(←カセットしか無いのでCD化熱望!)新録盤も最高。 リメイクものはとかく失敗に終わることが多いですが、 この作品は今までの例を見事に覆えしています。
アレンジを担当しているERWIN GUTAWAと言う人物は只者ではないでしょう。 インドネシアのルイス・エンリケス・バカロフ!とでも言いたくなるような 泣き泣きのオーケストレーション、民族色の導入、都会的で洗練されたアレンジ... カラフルな色付けによりアルバムに風格がともなっています。 曲順とアレンジの違いだけで、オリジナル盤とは全く異なる世界が作り上げられていることには ほんとうに驚かされます。
しかし、CHRISYEの全てを包み込むようなやさしい歌声と 感動的なメロディは22年の時を経ても全く変わっていません。
プログレ、シンフォ、叙情的、イタリアっぽい...そんな形容は小さい小さい!... とにかく信じられないほど美しく、本物中の本物にしか放つことが出来ない 素晴らしい輝きを持った楽曲がこのアルバムの中に存在しています。 まさにインドネシア音楽界の集大成。感動のあまり何度涙が出たことか...
インドネシア国内でも大ヒットし多くの賞を受賞したおかげで、 日本でも比較的簡単に入手できます。是非聴いてみてください。

No.10
・★★★★★(BINTANG LIMA)/DEWA(00)
インドネシアのシンフォ・ポップ・ロック・バンドの5th。
インドネシアという土壌で、ビートルズやクイーン、プログレ、AORなどを消化し、 最新のポップ・ロックを形成したといった感じなのですが、 これがすごい完成度...インドネシアはDISCUSだけではありませんでした。
壮大なストリングスのみのインストで幕を開けると、 あとはもう美しいメロディの洪水であまりのすごさに溺死しそうです!
今までイタリア、オランダ、北欧...と様々な泣きメロを経験してきましたが、 このインドネシアの泣きも相当強烈で、 楽曲を一聴しただけでメロディが脳裏にこびりついて離れません! (特にスローバラード) これにストリングスアレンジ、フルート、コーラス、 ブライアン・メイ風ギター・オーケストレーションが絡むのだからたまりません。
タイトル通り、文句無しに5つ星をあげたくなる内容です。 (というか星を5万個ぐらいあげたいぞ!)
過去の作品もなんとかして集めることにします。

No.11
・猟奇溌剌/朴完奎(PARK WAN KYU)(00)
韓国のハードロック系ボーカリスト、パク・ワンギュの2nd。
アジアン・ロック・ナイトで紹介されてその完成度に驚き、 前から気になっていたキム・ギョンホとセットで購入してきました。
メタル、ハードロック、バラード、AOR、ポップス、歌謡曲... いろんな曲のタイプに合わせたさまざまなボーカルスタイルを見事にこなし、 どの曲もパワフルかつ表情豊かに歌い上げていきますが、 中でもバラードは絶品...混声コーラスをバックにした荘厳なアレンジの中、 悲しさに満ちあふれた切ないボーカルが歌い上げるスタイルは、 クサいもの好きのシンフォ・ファンならなんらかの衝撃を受けることでしょう。
パワーメタル系のアルバムで疾走曲以外を飛ばし聴きするのは良くある話ですが、 本作品の場合、逆に疾走曲を全部飛ばしてしまう人もいるのではないでしょうか? それぐらいバラードの出来が際立っています!
母国語(ハングル)の響きにさほど違和感はありません。 (私がいろんな国の音楽を聴いているせいかもしれませんが!) 母国語と英語と2バージョン収録されている曲もありますが、 母国語のほうが歌がしっくりはまっているように思えました。
今まで韓国ものはN.EX.Tしか聴いたことがなかったんですが、 本作で今まで以上に、韓国の「泣き」へのこだわりを知ることが出来ました。
ひさびさに本格派のロック・ボーカリストに出会えた気がします。
プロダクションもしっかりしているのでB級臭さは無くとても聴きやすいです。 韓国ロックの入門編に最適ではないでしょうか?

No.12
・AVIARY/SAME(79)
2001年も終わろうとしている最後の最後で、もろに私の好み直撃の作品に出会いました!
私がこよなく愛するA.C.Tの70年代版とでもいいたくなるような、 ポップでハードでシンフォな音の洪水にもうメロメロです。
QUEEN系ハードロックという言葉では決して語ることの出来ない高度な音楽性、 次から次へと飛び出す楽しい仕掛け...聴いていてワクワクしっぱなしです。 プログレでは無いという意見もあるかも知れませんが、 一筋縄ではいかないこの多面性、雑多性は十分プログレ的だと思われるので、 プログレ名盤紹介に掲載することにします。

No.13
・EMITT RHODES/SAME(70)
アメリカン・ポップ・アーティストのデビュー盤。
さほど名前が知られていないので大して期待していませんでしたが、 予想に反する素晴らしい内容でした。
サウンドを一言で形容するならば「ひとりビートルズ!」 (なんと全てを一人でこなしています。) WHITE ALBUMあたりに入ってそうな佳曲が目白押しです。 (3曲目の出だしは思いっきり「マーサ・マイディア」! ...そういやこの曲、FOOL'S GARDENがコピーしてたなぁ。)
また、手作りならではの良い意味でざらっとした粗さを感じさせる点では、 トッド・ラングレンの1st(RUNT)に、 地味ながら聴いていてとても心が落ち着くという点では、 キャロル・キングの「つづれおり」に似通った印象を受けました。
なんだか勢いに任せて必要以上に褒めちぎってしまいました (さすがに超メジャー盤ほどの輝きは無いです(^^;)!)が、 聴き込めばきっと共通点そして良さが理解戴けると思います。 日曜の午後に紅茶飲みながら...ってシチュエーションが合います。大おすすめ!

No.14
・BRIDGE ACROSS FOREVER/TRANSATLANTIC(01)
プログレ界のスーパー・メンバーによる夢のプロジェクト、待望の第2弾。
デビュー盤の質の高さから今回も相当期待していましたが、 その期待を上回るほどの内容に仕上がっています。 今回も全4曲で76分超!と大作揃いながら、非常に良く練られているので、 曲の長さは気になりません。 現在進行形シンフォの明るい未来を示すような極上の世界が展開されています。
豪華メンバーが揃っていますが、○グナ○ルタにありがちな 「凄腕メンバー集結&短期間缶詰セッションレコーディング作戦」のような 安易な企画ものとはクオリティが全然違います。 全メンバーがお互いのバンド、個性を理解し、 尊重しあっているからこそ、ここまで素晴らしい作品を作り上げることが出来るのでしょう。 その素晴らしい団結力は1st時よりも数倍アップしています。
ロイネ・ストルトのファンとしては、 最近のフラキンではほとんど聴くことが出来なくなってしまった、 入魂のギター・ソロをたっぷり堪能できるのも嬉しいところ。 特に1曲目ラストのスペイシーなソロは、 このままずっとエンドレスで弾き続けて欲しいと思いたくなるほど素晴らしいものです。
今後もジャケットの飛行船のようなさらなる飛躍を期待できるでしょう。
追伸:私の大好きなPAIN OF SALVATIONの天才ダニエルが ツアー・メンバーとして参加するらしいです! これにはびっくり!なんとか日本にも来てくれないかなあ... ダニエルなら他の4人に全く引けを取らない才能の持ち主なので、 いっそのことバンドの新メンバーとして加入して欲しいです。

No.15
・FOREST OF FEELINGS/DAVID SANCIOUS(75)
ついに入手した黒人キーボーディスト、デビッド・サンシャスのデビュー・ソロ。 キーボード・シンフォ幻の名盤。
ELP全盛時のリズム隊を強化し、アレンジを派手にし、 さらにジャズ・ロック風味を加えテクニカルにしたような 鬼に金棒ならぬ有刺鉄線5寸釘バット!的な内容で、 キーボード・シンフォ・ファンが理想として夢見るようなサウンドが 確かなひとつの形となって実現化されています。
特に1曲目は完璧!...名曲中の名曲といえます。 サンシャスは、時には美しく繊細に、時には艶やかで力強くキーボードを引き倒しています。
彼のこの後の作品が最近ようやく再発されすぐに購入しましたが、 もったいなくてまだ聴いていません。(だってすごいに決まってるんだもの!)
プログレファンなら有無を言わずに聴くべき作品です。 詳細はプログレ名盤紹介をどうぞ。

No.16
・BLIND MAN'S SUN/SAME(96)
近年一部で秘かにブームとなっているジャム・バンド群の中でも ひときわユニークな存在のアメリカの変態バンドのデビュー盤
勉強不足なので(大体PHISHもほとんど聴いたことがない!)、 ジャム・バンドについて全く偉そうなことはいえませんが、 目からウロコというか目ん玉まで落ちそうな恐ろしい作品です。 個人的には持っている超絶系CDの1/3ぐらいを 処分したくなるほどの衝撃を受けました。
基本はアメリカン・ロックなのですがアイデアがとことん自由で楽しく、 反則技を次々と連発していくさまは痛快そのもの。
そもそもプログレというジャンルは、クラシックやジャズなど 様々な音楽性を取り込んで進歩するという側面があります(ました?)が、 このバンドは、そのプログレ自体を軽々と飲み込んでしまってます... というよりありとあらゆるジャンルを軽々と飲み込んで消化している 白色彗星@ヤマト級のバケモノです!
表現が安易ですが、PHISHを未聴のかたは、オールマン、ザ・バンド、レッチリ、スティング、ザッパ、サムラ、GG、ゴング のうち好きなバンドに○を付けてみて下さい。 この中で○が5つ以上あればきっと気に入って戴けるはずです!(ちなみに私はほとんど○!)
最近刺激が無いとお悩みの方には、 さらに病気が進行した(シンフォ、テクノまで消化!)2ndの方をお薦めします。 特に2ndのDISK2は聴き手に対するどこまでついてこれるかの挑戦状的な作品とも思えます。 (ちなみに1stも2ndも2枚組!)
もう音楽やジャンルに対して好き嫌いなんかいってる時代じゃないです。 「音楽は自由に音を楽しむもの」という基本を改めて教わった気がします!
追伸:ジャケットに書かれているURLへアクセスしたところ、 なんとエロエロページ(しかもクリックしたら国際電話につながりそう!)が 表示されました!何故? もしかしてメンバーの趣味とか副業?!

No.17
・RENEGADES/RAGE AGAINST THE MACHINE(00)
いまやなんの説明も必要無い、超メジャー級オルタナ系バンドの現時点での最新作。
昔、旧作を試聴したときの第一印象が「くそまじめでおもしろみのないレッチリ!」だったため、 これまであまり彼らの作品をまともに聴いて来なかったのですが、 認識が間違っていたことに今更ながら気が付きました。
これって「ボーカルがラップやってるツェッペリン」じゃないですか! ロックが本来持っていたピリピリした緊張感と 骨太でゴツゴツしたサウンドに失神KO寸前です。
是非これからもこの勢いで頑張って欲しいー...と思ったら ボーカルが本作で脱退しちゃってるんですね。とても残念...
カバー集とのことですが、元を知らない曲がほとんどでした(汗) ただ元ネタがわかったMC5のカバーは最高! 鬱でモヤモヤした気分を怒りのパワーで吹き飛ばしてもらおうと思ってます。
旧作もじっくり集めていこうっと。

No.18
・FOLLOW THE REAPER/CHILDREN OF BODOM(00)
様式美メロデスの申し「子」ことチルボドの待ちに待った3作目(ライブ入れると4作目)。
楽曲に幅が出てきました。 テクニカルな演奏の超絶度も極限状態にまで達しています。 メリハリもついて風格も出てきました。表現力も増しているでしょう。
しかし最も大事な「メロディ」が弱いのです。 あのチルボド節ともいえる印象的な(クサクサな?)メロディがかなり減っています。
#クラシックからの引用も見られないし...
それでも強引にねじ伏せてしまう絶対的なパワーがあり、 一気に聴かせてしまうところはさすがです。 すごいアルバムであることに代わりはありません。 (でも個人的にちょっと期待しすぎたかも)
次回は原点(ボドム湖?)に戻ってメロディを強化して欲しいところです。
ジャケットは1枚目から律儀にRGBと来てますが、 次は何色でしょうね?(^^;)

No.19
・SILENCE/SONATA ARCTICA(01)
AT VANCE、MAJESTICらと並ぶ新世代ネオクラシカル系メタルバンドの2nd。
荒削りながらも可能性を十分に秘めていた1stもなかなかのものでしたが、 本作では、作曲能力、アレンジ、テクニック、表現力...あらゆる面で格段に成長を遂げています。
スタイル的にはフィンランドのSTRATOVARIUS(←ってストラトもフィンランドじゃないか!) と言った感じで典型的な北欧メタルといってしまえばそれまでですが、 透き通るようなキーボードとコーラスがみずみずしく、 ここまでピュアな感性を持った作品にはそうお目にかかれるものではありません。
メンバーの年齢がまだ若いので今後もさらなる飛躍が期待できるでしょう。
まさかここまで大化けしてくれるとは... こんなことなら来日公演に行っておくんだった(後の祭り)

No.20
・THE HALL OF THE OLDEN DREAMS/DARK MOOR(01)
RHAPSODYの3rdを聴いた際、あまりの完璧過ぎる内容に、 亜流バンド/アルバムの多さとその稚拙さを痛切に感じ、 もう本家以外を好んで聴くことは無いだろうと思っていたのですが、 情熱の国スペインから出現したこのバンドが作り上げた2作目は、 なんと本家RHAPSODYの最高作3rdに肉薄するほどの凄まじい輝きを放っています。
ジャケットに地図は無く、メンバーが剣を持っているわけでもないので、 RPGメタル!とまではいきませんが、 過剰なまでにシンフォニックな音世界はまさにRHAPSODYそのものです。
その他、題名やジャケからファンタジーメタルの雄、BLIND GARDIAN、 オーケストラ・ヒットやキラキラした音色のキーボードから ネオ・クラシカル系メロデスの最高峰CHILDREN OF BODOMあたりも連想させます。
またこのバンドは6人編成だけあって音がやたら分厚く、豪華です。 調子の悪いときに聴くと胸やけを起こしてしまうでしょう(笑)。
ボーカルは女性なのですが、NIGHTWISHのような強烈な個性は無く、 基本は男っぽい歌唱でぐいぐい押していきます。 しかしさすがにバラードでは女性特有の美しさが出ています。
RHAPSODYのメンバーも本作を聴いたらうかうかしていられないでしょう。 とにかくこの手のシンフォ系クサクサメタルバンドのファンは絶対に即買いすべきです!
あ、そういえばこのCDってビックカメラの無料キャンペーンでGETしたんだった。 (まさに大当たり!)

No.21
・HERETIK VOLUME II - THE TRIAL/NATHAN MAHL(01)
カナダのテクニカル・シンフォ・ジャズ・ロック最高峰 ネイサン・マール(妹はナッキー?...わかる人だけ笑って下さい!) のHERETIK3部作の2枚目。
前作VOLUME Iは彼ら初の大作コンセプトものということで、 シンフォな音にこだわりすぎたのか随分大人しくなっており、 彼らのアグレッシブな持ち味が薄れてしまったように感じました。 今までの作品があまりにも素晴らしく期待が高かっただけに、 やはり彼らは10年以上もの長いブランクをあけないと良い作品を作ることができないのか? とまで思ってしまいました。
今回はその続編であり、1曲目の出だしもAYREONみたいだったので、かなり不安でしたが、 しばらくするとあのネイサン・マール節が見事に復活!... 変拍子の多用、執拗にきざみまくるリズム、ど派手なソロの連続、 キメだけで作ったような強引な楽曲、(そしてパッとしない歌!(^^;))... やっぱり彼らにはこれぐらい大暴れしてもらわないと! ブランクが無くても素晴らしい作品を作れることが今回証明されたと思います。
次回このままの勢いで3部作のラストが発表されるのであれば、 間違いなく彼らの最高作となるでしょう。

No.22
・AROUND GRAPEFRUIT/GRAPEFRUIT(69)
おいしそうなグレープフルーツにタバコを置かないで!といいたくなるジャケットの イギリスのポップバンドのデビュー盤。
バンドの名付け親はなんとあのジョン・レノン(オノ・ヨーコの作品から取った)で、 当初アップルと契約するはずだったにも関わらず、 何故だか別のレーベルと契約しこのデビュー盤を発表しています。 (りんごとグレープフルーツは相性が良くないってこと?(←ここ笑うところです!))
ビートルズ、ゾンビーズあたりの王道ポップスと レフト・バンクあたりのソフトロックとのちょうど中間に位置するような音楽性で、 メロウな楽曲と魅力的なハイトーン・コーラスにより、 バンド名通りフレッシュで甘酸っぱい雰囲気に満ち溢れています。
楽曲のみならず、ジョンに声が似ている曲もあるのでビートルズファンは必聴だと思いますが、 メロトロンが使用されていたり、管弦のアレンジが美しいので、 プログレファンにもアピールすると思います。
5曲目はドアーズのタッチ・ミーを思いっきり低予算!で やったようなアレンジが加えられていてなんだかおかしいです。 (これはこれで大好き!)
ハイライトはアルバムではラスト曲となる「SOMEDAY」でしょう。 この曲は佐野元春もびっくりの涙無しには聴けない感動の名曲! 荘厳なオルガンがかなり「青い影」しています! この曲だけでプログレ名盤として紹介したくなっちゃいました。

No.23
・CLEAR AIR TURBULENCE/IAN GILLAN BAND(77)
IGBの最高傑作。こんなにすごい作品だとは思っていなかったのでぶっ飛びました。 イアン・ギランが引きずっているPURPLEの影のせいで絶対に損をしていると思います。 (現に私も大したこと無いだろうと思ってずーっと聴かずに無視し続けてきました...)
シンフォニック・ファンキー・ハード・ジャズ・ロックとでも表現すれば良いでしょうか? オリジナリティあふれるIGB独自のスタイルを完成させており、 個性的な凄腕メンバーに囲まれた中、パープルという様式美の呪縛から 解放されたギランがのびのびと大暴れしています。
インスト・パートは手に汗握る展開が目白押しですが、 特に若きマーク・ナウシーフの躍動感あふれる超人的なドラミングが際立っています。
異論はあるかもしれませんが、多くのプログレ・ファン(特にジャズ・ロック・ファン)に 聴いてもらいたいのでプログレ名盤紹介に 載せることにします。
ジャケットの飛行船は、LED ZEPPELINへの対抗心の表れかも知れませんね。 (ZEPPELINも単なるハード・ロックではなく、 ジャズ・ロックだったりファンクだったりシンフォだったりするし...)
ただ黄色と黒のストライプ柄はクリスチャン・メタルのSTRYPERを彷彿とさせます...(^^;) (もしかしてキリストつながり?!)

No.24
・BULLY/SUGARBOMB(01)
アメリカはテキサスからとんでもない新人バンドが出てきました。その名もSUGARBOMB!
この甘さと毒を兼ね備えたようなバンド名と、 「こぼれたミルク〜」を彷彿とさせる女の子ジャケから 真っ先にJELLYFISHを連想してしまいましたが内容もまさにそれ!
BEATLESをはじめとするポップの先駆者達のエッセンスを全て吸収した 90年代ポップの最高峰JELLYFISHをもまるこど飲み込んだ まさに21世紀のポップ・モンスターと化しています。
メロディが覚えやすく様々な仕掛けのある曲ばかりが揃っていますが、 中でもラップを取り込んだ5曲目の出来は斬新で、 ポップ新時代の到来を感じさせます。
ジャケのいろんなところに日本語が記述されており(意味不明のものもあります) 日本人に媚びすぎでは?と思わないでもないですが、 おそらく、自分達のようなポップバンドを正当に評価してくれるのは 日本だけだと判断したからでしょう。 彼らが今後、素晴らしいアルバムを作り続けてくれれば21世紀のポップシーンも安泰です。
ジョンの魂が憑依したCOTTON MATHERもテキサスだったし、 近年世界で最もポップが盛り上がっている地はテキサスなのかもしれません。
今テキサスブロンコが熱い!

No.25
・DEWA 19/SAME(92)
5thアルバム(★★★★★)が素晴らしかったインドネシアのDEWA(DEWA 19)のデビュー盤。
5thと同路線のQUEEN+シンフォ・ポップ・サウンドか?、 はたまた、ロジャー・ディーンが適当に書いたようなジャケから連想されるYES的シンフォか?、 と思いきや、方向性は全然違うものでした。
何故だかわかりませんが、1985年前後に隆盛を極め、ヒットチャートを賑わしていながらも、 産業ロックと揶揄されることもあったアメリカン・ロックそのものといった楽曲ばかり! 思い浮かぶのは、 STYX、JOURNEY、STARSHIP、TOTO、CHICAGO(17の頃)、REO SPEEDWAGON(涙のフィーリングの頃)... らのビデオクリップと小林克也の顔!... 私のようなベストヒットUSA世代には必ずやアピールするはずです。
5th程では無いですが甘美なメロディを既に垣間見ることが出来る佳作といえるでしょう。 これでDEWAの全作品を集めざるを得なくなってきました!(入手はなかなか大変なのですが...)
話は変わりますが、ライナーから「DEWA」の由来はメンバーの頭文字だったことが判明。 でもこれってメンバーチェンジする時、選択肢が狭まって大変じゃないのかなあ... (ELPコージー・パウエル状態!)

No.26
・LA TORRE DELL'ALCHIMISTA/SAME(01)
ゴールデンウイーク中、新宿ガーデンシェッド、目白ワールドディスクで かかりまくっていたイタリアの新人シンフォ・バンドのデビュー盤。
一聴した印象がかなり良かったので後日買おうと決めたのに、 何度かリピートされるうち気になって仕方が無くなり、 うざったくなって結局購入しちゃいました!(我ながら良いお客さんだ...)
キーボードトリオにフルートとボーカル(兼アコギ)が加わった5人組で、 出だしはタルカスしているのですが、 フルート、アコギが加わり、そして歌が入ってくると そこはもう完全に70年代イタリア!...あの夢の世界が広がります。
特に70年代からキーボード類(メロトロン含む!)を抱えて タイプスリップしてきたようなキーボーディストのセンス(こだわり)が光っており、 個人的にはCALLIOPEの2nd(これも素晴らしい作品)を連想しました。
やってることがここまで70年代していると、 抜けのいい音質(特にドラム)に違和感を感じて、 もっとモコモコした音にして欲しいぞ!などと妙なことを考えてしまいます。
熱気あふれる、特別な魔法のかかっていたあの時代の再現... 後ろ向き過ぎる気もしますが、良いものは良いので、 このままの路線で頑張って欲しいものです。

No.27
・ORCHESTRA LUNA/SAME(74)
待ちに待った再発がとうとう実現されたモダンポップの裏金字塔的作品。
前評判からある程度のレベルは期待していましたが、 正直これだけすごい作品だとは思っていませんでした。
プログレ界でもさほど話題にならずに、 今まで眠っていたというのが不思議なほどです。
ロック、クラシック、ジャズ、ミュージカル...全く予想のつかない展開の連続! こんなに面白いアルバムにはなかなか出会えません。
これだけの名盤をポップスファンだけのものにしておくにはあまりにも勿体ないのと、 個人的には十二分にプログレッシブな内容だと思うので、 プログレ名盤紹介に掲載することにしました。

No.28
・CLASSICAL MECHANICS[FEATURING TOMMY EYRE]/SAME(00)
ブリティッシュ・ロックの裏街道を歩き続けてきたキーボーディスト、 トミー・アイアーがキーボードを引き倒している作品なんですが、 これがただで終わってません! なんとピコピコなテクノ風ディスコ・シンフォ!?をやってます。
これがまた当時を知ってる人(30代以上!)にはたまらない、 70年代末〜80年代初頭まるだしの「シンセサイザー!」といわんばかりの音色のオンパレード。 (「シンセ」じゃなくて「シンセサイザー」って感じなのです。...伝わるかなぁ!?) ...かと思いきや突然ストリングスが出てきたり...本当にわけわかりません!
中期ニュー・トロルスの作品の邦題に「ディスコ組曲」ってのがありましたが、 この題名がジャストフィットする、まさに時代が残した(残してしまった?) 珍品といえるでしょう。
テクノ・ポップとプログレが一緒に聴けるような人にはたまらない一品です。
1979年の未発表音源を今回アルバム化したものと思われます。 こんな音源を世に出したDISCONFORMEに拍手!

No.29
・PRIGLACIT/TRANSIT EXPRESS(75)
3rd「天然色」再発の話があがって大喜びしてから、一体どれだけの間待ったことか... 最初のうちは何度かワールド・ディスクに問い合わせたこともあったものの、 あまりにも長い時間が経過したためすっかり諦めていたトランシット・エキスプレスの作品が ついに再発されました!\(^o^)/
しかも名盤3rdだけでなく、1st,2ndも... 店頭で見かけたときはあまりのうれしさに一瞬目を疑いました。 (もちろん3枚とも即買い!)
とりあえずデビュー盤を聴いてみましたがすごいのなんの...待たされた甲斐がありました! アルバムの最初から最後までテンションがあがりっぱなしです。 これだけ素晴らしいジャズ・ロックがこの世にまだ存在していたんですね。 収録時間が短いんですが、 この異様なテンションの高さを考えれば程良い長さといえるかもしれません!
本来であればすぐにプログレ名盤紹介に掲載するほど質の高い内容ですが、 他のアルバムも残っているのでまだ掲載は控えようと思います。(全作品聴いてから掲載します。) とはいうものの一度に全作品を聴いてしまうのはあまりにも贅沢でもったいないので、 しばらく2ndと3rdは保留しておこうと思います! (これよりすごい内容なんて想像できないんだけど...(^^;))
追伸:彼らの全アルバムをチェックした結果、このデビュー盤を プログレ名盤紹介に掲載することにしました。

No.30
・KONTIKI/COTTON MATHER(97)
最近ではストレンジ・デイズ系と言った方が通りが良いかもしれない 90年代アメリカのビートルズ系ポップ作。
なんといっても魅力はジョンそっくりの歌声! そっくり度はピカデリーサーカスでお馴染みの伊豆田洋之のポール振りを軽く超えてます... というより実はジョンはまだ生きてるんじゃないの?と言いたくなるほど似ています。
歌があまりにも素晴らしすぎるので、 ビートルズにとことんこだわった高純度のアレンジ、メロディが満載であるにも関わらず、 楽曲にどこか物足りなさを感じてしまいますが、これは贅沢というものでしょう。
ビートルズの後継者といえば、ポール派が圧倒的に多いですが、 このバンドはジョン派の代表格といえるでしょう。(ジョージ派っているのかな(^^;)) オノ・ヨーコに是非聴かせて感想を聞いてみたいです。
とにかくビートルズファンのマスト・アイテムと言えるでしょう。 ポール似のメンバーがいたり、「ハリスン」って名前のメンバーがいたりと 曲以外でもビートルズ色を感じさせるところがなんか笑えます。
で、タイトルの「コンチキ」って何?

その他

・FEATURING OURSELVES/MC HACEK(99)
20世紀最後のテクニカル・ジャズ・ロック超大型新人と評判の、 オーストリア出身の4人組のデビュー作。 評判に違わぬ驚異的な内容です。
リーダーであるギタリストがザッパとホールズワース好きとのことですがそれが丸出し! ヴァイヴとギターの変態高速ユニゾンフレーズはまさにザッパだし、 ギターの音色やトリッキーなフレージング、アイデアはまさにホールズワースです。 (7曲目の終盤は、何故かAJA/STEELY DANになりますが... ここだけはスティーヴ・ガッドに叩いて欲しくなります!)
テクニックも超絶ながら、個性の強烈な2大アーティストの要素を うまく消化した知性あふれる曲作りが光ります。
1曲目から圧倒的な演奏力をみせつけており、 さんざんギターを弾きまくっておきながら、 後半に女性の色っぽい声で「ギタ〜」と入り、 そこからギターソロに突入するのには恐れ入りました。 (あんたそれまでのギターもメチャクチャ弾きまくってすごいっての!)
どーでもいいことですが、個人的に出だしの犬の息づかいが嫌なのでカットして欲しいです! (犬嫌いなもので...(^^;))

・THE CREATION/SINS OF OMISSION(99)
スウェーデン出身の4人組メロデスバンドのデビュー盤。
IN FLAMESの3rdの疾走度をupさせたような作風で、特に目新しいアプローチは無いのですが、 ツイン・ギターの音の重ね方が上手く、 メランコリックなフレーズが際立っています。
フレデリック・ノードストロムのプロデュースによる 空間の広がりを感じさせる音像も手伝って、 新人バンドとしては半歩抜きん出た存在といえるでしょう。
メロデスで最も肝心な「メロ」もかなり良いのでなかなか聴き応えがあります。
ただ難点はシークレット&ボーナストラック!... 意味不明のふざけた演奏(にせプライマスみたい!)を披露したり、 ボーカルがデス声を使わずに歌っているが力量不足で音程が外れて全然歌えてなかったり (にせガンマレイみたい!、 こんなことでは普通に歌えないからデス声でごまかしてるんじゃないの?と言われてしまうぞ!)
本編との落差が激しく、別バンドじゃないかと疑いたくなります。
#なんでもボーナスを入れりゃ良いってもんじゃないぞ!

・3 ORIGINALS/KAYAK(98)
オランダを代表する名シンフォバンドであるKAYAKが 中〜後期に発表した3枚のアルバム(STARLIGHT DANCER(78)、PHANTOM OF THE NIGHT(79)、 PERISCOPE LIFE(80))にEXTRA TRACKを加えた3in2の超お買い得アルバム。
プログレファンにとってKAYAKは、初期3枚と後期のMERLINが圧倒的に人気が高く、 この時期は最も人気が無いので軽視していましたが、 1曲目を聴いてすぐに認識が間違っていたことに気付きました。
確かにプログレ度は薄いかもしれませんがそんなことはどうでもいいです! どこから聴いても覚えやすいKAYAK節ばかり、高純度メロディの金太郎飴状態です。
中でもシンフォ色が最も強く、劇的な曲の多いSTARLIGHT DANCERは、 彼らが円熟期を迎えていることを証明するような出来ばえで、 他の代表作と比べても全く遜色が無いといえます。 (ピーガブに似たこちらのボーカルのほうが好みだし!)
またアルバム曲のみならずEXTRA TRACKも良い曲が揃っています。 収録曲のUSAバージョンなどは聴き比べると面白いですし、 多くの鍵盤楽器を前面に押し出したIVORY DANCEには、 プログレ心をわしづかみされました!(ほんとにこんな良い曲がB面?)
KAYAKはどのアルバムを買ってもハズレ無しということを証明しています。 こりゃ全アルバム買わないとダメですね。
今回改めてKAYAKが好きになりました。同じオランダのFOCUSの10倍好きです!(断言)

・MOMENT OF GLORY/SCORPIONS/BERLINER PHILHARMONIKER(00)
衛星放送でのEXPO2000ライブ映像を見て感動し大あわてで買ってきた1枚。
ベルリン・フィルとスコーピオンズがお互い極限まで歩み寄ることにより、 クラシックとハード・ロックが見事に調和し共存しています。 きっと多くの時間と労力を費やしたことでしょう。
ロック・バンドとオーケストラとの競演作は今までに数知れずありますが、 このレベルまで到達した作品は少ないのではないでしょうか?
ゲスト勢がまた素晴らしく、天使のような歌声のウイーン少年合唱団との競演、 まるで感動巨編映画のハイライト・シーンで使われそうな、 リン・リヒティとのデュエットは美しすぎて涙が出ます。
ウリ・ジョン・ロートも同時期に、クラシックへのアプローチを試みていましたが、 このスケールの大きさにはかなわないでしょう。 本人はきっとちょっとは悔しかったと思います!
輸入盤の2枚組限定盤(1枚はマルチメディアCD-ROM)がおすすめです。

・SEE YOU AGAIN/KYOKO SOUND LABORATORY(95)
3年間探し続けてようやく入手した作品。 (なんと地元のブックオフで発見!、 私は中古を買わない主義ですが廃盤につきやむなく中古盤)
思い入れがありすぎて購入時は指が震え、 その後もしばらく開封することができませんでした... というのも、本作は7年ぐらい前にTV、ラジオで偶然出会った「グリーンな風の中で」を 数年後突如聴きたくなりアルバムを入手しようとしたら廃盤になっており、 以後必死に探し続けていたからです。
デビュー盤(1993年発表)に「SEE YOU AGAIN」のシングルバージョンを追加した、 再リリース盤であり、KYOKO SOUND LABORATORYの原点を知ることの出来る 作品となっています。
トータル的に見ると後の作品の方が出来が良いかも知れませんが、 私にとって初めて出会った「グリーンな風の中で」を聴けるだけでも涙もの!
穏やかな気持にさせてくれる「癒やし系」の楽曲と声は、 ザバダック、遊佐未森、谷山浩子あたりに通じるラインですが、 私にとってもっとも肌が合う、しっくりくる音(と声)です。
本当はもっとメジャーになっておかしく無い才能の持ち主だと思うんですが、 今の時代だと難しいかなあ...

・BODKIN/SAME(72)
70年代ブリティッシュの激レア・オルガン・ヘヴィー・ロック、 まさかの変形ジャケ再発盤。
B級をはるか通り越した明らかにC級!なバンドであり、 万人にお勧めできない、一部のマニア向けの内容となっています。 (その分その手のマニアにはたまらないでしょう...)
ヴィンセント・クレインも真っ青のヘヴィーきわまりないオルガンを中心に、 重く粘りのあるギター、重戦車のようなリズム隊が、 DR.Zなみの邪悪な雰囲気を漂わせながら、 愚直なまでに荒々しく前進のみを繰り返していきます。
開くと十字架になる(サイコロにもなる!)超変形6面ジャケットなので、 変形ジャケマニアはこれだけでも買っておく価値ありですが、 ヤギ?(←コサキンじゃあるまいし!)か何かの動物が燃えている 表ジャケのコンセプトは良くわからないです。
ボーカルがロバート・ワイアットに似て聴こえるのがなんかおかしいです!
とりあえず初心者は手を出さないほうが良いでしょう。

・TRILOGIE THEUSZ HAMTAAHK/MAGMA(01)
フランスの怪物の30周年記念ライブ3枚組。 3枚組3曲!というスケールの大きさが非常にマグマらしいです。
圧力やキレは70年代に比べ若干減っているような気はしますが、 他のバンドには絶対にマネのできない血沸き肉踊る圧倒的な演奏は健在で、 基本的に30年前と全く変わっていません。 ヤニック・トップもディディエ・ロックウッドもいなくても、 マグマは永遠にマグマであり続けるってことでしょう。
普通の人間ならこんなにすごいことを延々やり続けていたら、 精神的・肉体的にも持たず数年でボロボロになると思うのですが... コバイヤ星から来た人達は地球人とは違うってことでしょうね!
装丁が豪華でなんと79ページもある歌詞カードが付いていますが、 当然意味も発音も全くわかりません... ただ繰り返しフレーズがやたら多いことだけはわかります!
特に「LIVE」で慣れ親しんできた3枚目のMDKは「マジ・デ・カッコイイ」です!
来日公演も凄かった〜。

・DRAGONCHASER/AT VANCE(01)
ドイツのネオ・クラシカル系様式美メタル・バンドの新作。 早くも3枚目ということでかなりハイペースでリリースを続けています。
1曲目はすみからすみまで完璧にイングウェイ(コーラスもJET TO JET/ALCATRAZZ!) していて少々面食らいますが、聴かせどころ満載の気合いの入った演奏に そんなことを忘れてついついのめり込んでしまいます。
2曲目は爆走ツーバス+くさくさサビメロというジャーマン節が全開。
それ以降の楽曲も、この2曲に代表されるような 日本人好みのドラマティックな展開が目白押しです。
「イングウェイ+ジャーマン・メタル」というスタイルで思い出されるのが、 勢いのあった頃のストラトヴァリウスで、確かに酷似した点も多いです。
彼らと違うのは、ストラトヴァリウス手法! (速い曲と遅い曲を交互に配置することにより、楽曲ごとにメリハリをつける) を用いていないことでしょう。 前半は速い曲、中盤は遅い曲、後半は速い曲、ラストだけ遅い曲...といった感じで、 アルバムを通じて緩やかなうねりを作り出しています。
他にはカバー曲にチャレンジしていることがあげられます。 恒例となっているABBAのカバー(とてもメロディが美しい曲があるなぁ...と思っていたら、 やはりABBAのカバーでした!)は、 伸び伸びと表情豊かに歌い上げるボーカルとセンス抜群のイングウェイ風ギターソロが絶品... 妙な取り合わせにも思えるのですが良く考えたらどちらもスウェーデン! どおりでマッチしてしまうわけです。
また大胆なことにベートーベンの「運命」にも挑戦しているのですが、 これは「とりあえず演奏してみました。」みたいな感じで、 最後まで工夫が見られずちょっと肩透かしを食らいました。(アングラの「嵐が丘」級!) こんなんじゃ同じドイツのギター仙人ウリ先生に説教されちゃうぞ!
楽曲のクオリティも演奏テクニックも文句無しの好作品であることは間違いないですが、 他のバンドとの差異が「カバー曲」というのは若干淋しい気がするので、 今後はアイデアやアレンジ力を強化し、先人達を超えていって欲しいです。 ポテンシャルは十分なのだから...
ただ多くのバンドが新たな「色」を出そうとし、引換に「勢い、疾走感、メロディ」を失い、 ファンに「昔は良かった...」と去られてしまう例をたくさん見てきているので、 これからが大変だと思います。
毎回B級くささ漂うジャケットは次回こそなんとかして欲しいところです! (ジャケットならすぐに改善可能でしょ?)

・UTOPIA PARKWAY/FOUNTAINS OF WAYNE(99)
極上ギター・ポップ・バンドFOWの2nd。
ジャケットの鮮やかな青空を連想させるような、 キャッチーでさわやかな曲がたくさん詰まっています。
まさに新緑の季節にぴったりで、五月晴れの空の下、公園でラジカセ置いて... なんてシチュエーションがお似合いです。
実は、JELLYFISHのようなサウンドを期待していたところイメージが違ったために、 第一印象はあまりパッとせず、国内盤帯を見て「心が石で出来てるのかなあ...」 などと思ったりもしましたが、何度か繰返し聴いてすぐにはまりました。
JELLYFISHと比べると、仕掛けも少なく、アレンジも至ってシンプルで、 作りこみの少ない自然な曲が並んでいます。 それでもメロディが心に残るのは、曲自身がしっかりしている証拠でしょう。
アルバムを通じて、BEATLES初期、CHEAP TRICK、RASPBERRIES、XTCなどを連想しましたが、 他には5曲目ではKULA SHAKERと 懐かしの一発屋、ROMANTICSを思い出しました!(知っている人が何人いるかなあ...)。 7曲目はCREAMのWHITE ROOMですね。
...こんな感じでいちいち書き出すときりが無いのでほどほどにしておきますが、 13曲目の途中のギターメロを聴くと、いつもPUFFYの 「わるいわね〜、ありがとね〜!」(これが私の生きる道)というフレーズを思い出してしまいます! まあ、結局これもBEATLESなんですけどね!(^^;)。
欲を言えば、元気な曲の割合が多く単調に感じる部分もあるので、 12曲目のようなスローな泣き曲をもっといれて欲しかったです。

・WAGES OF SIN/ARCH ENEMY(01)
北欧メロデス界の重鎮、待望のスタジオ盤4作目。
前作と比較し暴虐度が数段アップしていますが、 その分明らかにドラマティック度が目減りしています。 キャッチーでかつ新たな方向性を示した名盤3rdの後、 何故また2ndの頃の暴虐路線に戻ってしまったのか非常に残念です。
新加入のアンジェラ嬢が、 その美しい容姿からは全く想像できないような咆哮&絶叫による、 性別を超えたパフォーマンスで奮闘していますが、 彼女の奮闘をもってしても今回のアルバムで進化を遂げたとは思えません。
とはいうもののアモット兄弟の鉄壁のギター・コンビネーションは 今回も健在ですし、これまでの貯金があるので、 メタルファンにとって、 絶対に外すことのできない作品であることに変わりはありません。
アンジェラ嬢に色ボケしてしまったのでは無いと思いますが、 メンバー内で奪い合い→バンド解散という最悪の事態!を避けて、 今後素晴らしい作品を産み出してもらいたいです。

・A PREDATOR'S PORTRAIT/SOILWORK(01)
来日時のライブ・パフォーマンスでもその実力を十分発揮してくれた、 スウェーデンの体育会系アグレッシヴ・メロデス・バンド、SOILWORKの3作目。
アーク・エネミーのボツ曲を集めたような印象だったデビュー盤を考えると、 驚くほどの進化を遂げています。 アーク・エネミー系であることに変わりは無いですが、 スリルやスピード、勢いなどでは本家を上回っています。
まさかここまで化けるとは思ってもいませんでした。 あとはどれだけバンドの代表曲となるような名曲を 作曲できるかでしょう。
このままどんどん進化していけば、メロデスのみならずメタル界の頂点に 君臨できるかもしれません。 道のりは険しいですが、この勢いを維持できればその可能性は十分あるでしょう。

・夏服/AIKO(01)
花火、桜の時、そして歴史に残る名曲カブトムシなどを 何度も聴きながら、ずっと待ち続けたAIKOの3rdアルバム。
他のアーティストがわざとらしく聴こえてしまうぐらい、 曲、詞、歌すべてが自然体で、 まさに添加物一切無しの無農薬・有機栽培アルバム!といった感じです。
日常にある光と影を素直に表現した詞を、 AIKO独特の歌い回しでのびのび歌い上げています。
リラックスした演奏も気持ち良いです。 (ボーイフレンドのギターは鈴木茂かと思いました!)
またラストには気を緩めていただけにやられました。 (ミスチルの名曲「手紙」を思い出しました。)
とりあえずしばらく毎日テトラポットに登ることにします!

・BABEL FISH/SAME(98)
数年前、知人の車内で流れた美しいメロディが忘れられず、 バンド名を頼りに入手したノルウェイの新人ポップバンドのデビュー盤。
隣国スウェーデンに比べ、メタル、プログレ、ポップス...と様々なジャンルで 大きく遅れをとっている感のあるノルウェイですが、 この国にもちゃんとビートルズの遺伝子を受け継ぐバンドが存在しているんですね。
泣きの要素をたっぷり含んだコード進行を シンプルなギターが奏で、その上にやさしい声がのってきます。
これだけでも魅力十分ですが、時折バックに流れるメロトロン音が、 絶大な効果を発揮しており、ついついやられてしまいます!
新人バンドらしいみずみずしい雰囲気も好感度大で、 これからも応援していきたいと思います。(もう解散してたりして!)
ちなみに私が車内で聴いて感動したのは、 アルバム冒頭を飾るMANIAという曲でした。 何度も繰り返し聴きましたがやはり心に残る名曲です。

・BLOW IN THE WIND/ME FIRST AND THE GIMME GIMMES(01)
カバー専門メロコアバンドのフルアルバム第3弾。
ブロードウェイ・ミュージカルをカバーした2ndも最高でしたが、 今回もまたまたかましてくれました。 元ネタはBOB DYLAN、BEACH BOYS、BEATLES、CAROL KINGらの名曲や、 BAY CITY ROLLERS(というよりはなまるマーケット!)でおなじみのあの曲や、 デル・シャノンのRUNAWAY、MR.MIGもカバーしたWILD WORLDなどなどやりたい放題です。
アルバムを聴きながら真夏の炎天下の中を全速力で走って汗をいっぱいかいた後、 ポカリスエットを一気飲みしたくなるような 暑い夏を乗り切るのにピッタシのゴキゲン(←死語!)な内容です。
メロコア聴くならやっぱり彼らが一番! 無条件で楽しめる作品もたまには気持ちイイもんです。
今回もミニアルバムのような収録時間で、 あっという間にアルバムを1周してしまうのだけが欠点かも。
あ、もちろん今回のジャケットもアホアホです。

・INNER DIALOGUE/SAME(69)
レコード店の「ソフトロック幻の名盤ついに再発」というアオリ文句と、 インパクトの強〜いジャケット(美しい2人の女性が向き合って微笑んでいるのを 遠くから連続強盗殺人犯のような風貌の男が覗き込んでいる!!... いかにもテレ東の昼に放送してそうな安い60年代アメリカ映画の1シーンみたい!) が気になって騙されたと思って買ってみた作品。
見事に当たりでした。 徹頭徹尾、幻想的でドリーミーなソフトロックワールドにどっぷりと浸ることが出来ます。
メロウ・キャンドルもびっくりの2人の女性ボーカルはその容姿に負けず劣らず美しいもので、 掛け合い、ユニゾン、ハモリ、輪唱!など様々なバリエーションを用いて 聴き手を楽しませてくれます。
ソフトロックにしては、リズムチェンジが激しく、コード進行もひねくれていたり、 変拍子も多用するなどかなり凝った曲作りをしているのですが、 全体的なアレンジがソフトであるため特に違和感はありません。 ちょうど楽曲をおしゃれに色付けする程度に感じられるため、 ソフトロックにありがちな「曲が似ているのでアルバムを通して聴くと眠くなる!」 というようなことはありません。
よくぞ再発してくれました。リズムが3拍子系の曲はグッときます!

・CHANCE FOR A LIVE TIME/KAYAK(01)
2000年に奇跡的な復活をとげたオランダのKAYAKの2枚組ライブ。
復活バンドのライブは大抵、新曲が全然盛りあがらなかったりしますが、 そこはKAYAK!、新境地ともいえる マイク・オールドフィールド風なCLOSE TO THE FIRE、CRUSADER、FULL CIRCLE、 どう聴いても70年代KAYAKとしか思えないTWO WRONGS、FOREVER... 復活作の全曲が過去の多くの名曲群に全く引けを取っていません。
結果的に美麗な新旧のメロディが織り交ざった、 ベテランらしい貫禄のあるパフォーマンスを堪能することが出来ます。 KAYAKの歴史を考えるとまだまだ聴きたい名曲がたくさんあるので、 個人的には5枚組ぐらいにして欲しいかったです!
演奏は重厚で落ち着いているかと思いきや、 かなりアグレッシブだったりもします。とにかく若い! 作り込みの出来るスタジオ盤ならともかく、 ライブでここまですごい演奏が出来るとは思いませんでした。 まさに完全復活...というかそれ以上の内容でしょう。(ある意味異常!)
ここまで素晴らしいとどうにかして生で見たくなります。 誰か飛行機嫌いなトンを騙してでもいいから 日本に連れてきてくれないかなあ?
本編には関係ないですが、 SEE SEE THE SUNのアコースティック・バージョンを聴いていたら フーターズを思い出して聴きたくなっちゃいました。

・VENI, VIDI, VICI/PAR LINDH PROJECT(01)
現在のキーボード・シンフォ界を代表する存在といえるPLP久々のスタジオ盤。
MUNDUS INCOMPERTUSで完成したスタイルをさらに 発展させた非常に純度の高いシンフォ作品となっており、 完璧な鍵盤類(特にパイプオルガン!)、女性ボーカル、混声合唱、 オーケストラアレンジ...と過剰とも思えるほどのシンフォ要素を盛り込みながら、 メタル系ツーバスリズムで他のキーボード・シンフォと差別化を計るという PLP独自の作風をたっぷりと味わうことが出来ます。
過去の偉人達の良いとこ取りをしたような安直な作品といえなくもないですが、 その分キャッチーで分かり易い内容ともいえます。
THE FLOWER KINGSやRUMBLIN' ORCHESTRAと同様、 今後も安定した活動を期待することが出来るバンドといえるでしょう。
スタイルが出来上がっているバンドは強いですね。

・PORCELAIN PAVILION/LITTLE TRAGEDIES(00)
旧ソ連に眠る名作を発掘し続けているBOHEMEレーベルから飛び出した ロシア発、新人クラシカル系シンフォ・ユニットのデビュー盤。
2人組であることを感じさせないなかなかの秀作に仕上がっており、 キーボーディスト兼作曲家の能力の高さをうかがい知ることが出来ます。
バンド作品ではないためか、今までにありそうでなかった不思議な音楽性で、 特徴がつかみづらかったりもしますが、 時折聴かれる母国語の独特な響きと 深く沈み込むようなシンセ音にロシアを垣間見ることができます。
似ているバンドがなかなか見あたりませんが(バンドでないので当たり前!?)、 強いて挙げれば近年のソラリスあたりに近いように感じました。 (でも6曲目はインドネシアのYOCKIEっぽかったりして...)
今後どのような成長を見せていくのかが非常に楽しみです。

・A FUNK ODYSSEY/JAMIROQUAI(01)
ジャミロクワイの待望の5枚目。
あの光り輝いていた衝撃的な1st、2ndの頃には及びませんが、 アシッド・ジャズのフィールドから抜き出て生き残ってきた、 JKの天才ぶりが全面に発揮されている佳作だと思います。
以前に比べ、楽曲によりデジタル化やアコースティック化が進展しており、 音楽性の幅が随分広がってきていますが、持ち味のファンキーさや切れ味は相変わらずです。
シングルカットされた2曲目の出だしは、何度聴いても カジャグーグーの「君はTOO SHY」(←あえて邦題)を連想しちゃいます。
↑激しく同意する方いませんか〜?!

・THE RAINMAKER/THE FLOWER KINGS(01)
コンスタントに高水準のシンフォ作品を創り続けているフラワー・キングスの新作。
今までで一番センスの良いジャケット(これまでが悪すぎたという話も!(^^;))から、 期待を膨らませ、最高傑作STARDUST WE AREの音を期待しながら、 早速1回聴いてみたところ残念ながらイマイチの印象... しかし単なるイマイチでは終わらないのがフラキンの一味違うところ... イマイチながらも何かひっかかってもう1度聴いてみようという気分になります。 そこでもう1度再生すると印象が良くなっている...そしてもう1度再生... という繰り返しで気が付いたら好きになっていました。
クリムゾン、イエス、ジェネシス、GGらのエッセンスを散りばめながら、 独自のフラキン節を奏でるその姿には余裕すら感じられます。
STARDUST WE ARE、FLOWERPOWERの頃の勢いや輝きはないものの、 質の高さに変わりは無いので長い間飽きずに聴き続けることが出来る安定した作品と言えるでしょう。 少なくとも前作SPACE REVOLVERよりはプログレ度がアップしています。
恒例となっている限定盤ですが今回もボーナスCDの充実度がすごいです。 ボーナス曲の出来が今までで最高で、 ワルキューレをカバーした1曲目、NATHAN MAHL風ジャズロックの3曲目をはじめ、 佳曲が揃っています。 さらにライブ映像(YESのカバーやってます!)も収録されているなどお腹いっぱい状態。 必ず限定盤を入手しましょう。

・MONEY MACHINE/BIGELF(00)
アメリカ発、70年代回帰型ヘヴィ・サイケ・バンドの2ndということですが、 第一印象はあまりにもCZAR!(よく見ればジャケットもCZAR3人祭状態?!)
ギターもオルガンもメロトロンもミドルテンポのリズムも 全てが荒々しく重苦しいあの70年代ブリティッシュの独特の雰囲気に包まれています。
全世界に私のようなCZARファンが何人いるかわかりませんが、 CZAR、AARDVARK、BODKIN、GRACIOUS、ARTHUR BROWN、ATOMIC ROOSTER(カバー曲入ってます)あたりのファンは 要チェックです。 しかしこのバンドの面白いところはこれだけではありません、 なんと突然BEATLESになったりCRIMSONになったりします!
ちょっと強引過ぎて消化不良な部分もあるにはありますが、 この妙な個性は魅力的です。(一体どこからこんな発想が?) このまま個性をどんどん伸ばして SPIRITUAL BEGGARSあたりに負けずに頑張って欲しいと思います。

・ROCKIN' THE SUBURBS/BEN FOLDS(01)
ベン・フォールズ・ファイブ解散後のソロ作。
予想した通りバンド時代に比べて随分おとなしくなっています。 いろいろな経験を経て大人になったということでしょう。 あの純粋でやんちゃで最も輝いていたデビュー盤の頃とはまた違った、 落ち着きのあるしっとりとした魅力が出てきています。
声質は違うものの、素朴なピアノの響きは時折ビリー・ジョエルの デビュー作であり隠れた佳作のCOLD SPRING HARBORあたりを連想させます。
スタイルは変化してもメロディの良さは一級品なので やはり外せない作品といえるでしょう。曲作りの才能があると強いですね。
BF5の残り2人の行く末がちょっと心配です。

・CONCERTO GROSSO LIVE/VITTORIO DE SCALZI(01)
一部でかなり話題になっている、 あのユーロ・ロックの歴史的超名盤コンチェルト・グロッソ1+2を完全収録したライブ盤。
個人的にカバー、新録、ライブものでは、
「素晴らしいオリジナルのイメージを壊さずに忠実にコピーして欲しい。」
「今までに凝り固まったイメージを覆すような斬新なアレンジを期待したい。」
という2つの矛盾した考えが生じるのですが、 このライブは、弦楽器、ギター、ドラムの響きに若干の違いはあるものの、 基本的には前者です。
あまりにも忠実にコピーし過ぎていて面白みがないという意見もあるかと思いますが、 コンチェルト・グロッソ自体が完成され過ぎているので致し方ないのかも知れません。
とりあえずそんな難しいことは考えず、 初めてコンチェルト・グロッソ出会ったときの身震いするような感動を思い出しながら、 繊細で甘美な世界に身を委ねるのが得策でしょう。あとはもう安心して泣くだけです!

・PROJECT:DRIVER/M.A.R.S.(86)
トニー・マカパイン、トミー・アルドリッチ、ロブ・ロック、ルディ・サーゾという 凄腕メンバーによる夢のようなテクニカル様式美メタルプロジェクト唯一の作品。
80年代後半、イングウェイの登場により、 ギタリスト界に空前の速弾きブームが到来し、 ヤング・ギター誌が飛ぶように売れていた頃、 ポール・ギルバート、インペリテリらと並び、 新世代のギター・ヒーローとして君臨していたトニー・マカパインが 目立ちまくっています。
すさまじい演奏の割には録音が軽く凄みが無い、 メンバーの割にはテクニカルな曲面が少ない...など不満な点もありますが、 この時代特有の「速弾きできなきゃギタリストにあらず!」、 「速く弾ければ弾けるほどエラい!」 的な空気が全体を支配していて、とても懐かしく感じるとともに、 素直に楽しむことができました。 劣悪なジャケット、裏ジャケのメンバーの衣装や髪のこんもり具合も時代を感じさせます。 思えばこの時代はメタルも相当市民権を得ていたんですよね...
近年のヴィターリ・クープリのソロ作は、 先駆者の彼らがいたからこそ生まれてきたといえるでしょう。
関係ないですがメンバーの頭文字によるバンド名を見て、 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌!を連想したのは私だけでしょうか?

・TRADITION & RENOUVEAU/ASGARD(78)
プログレ大国である韓国の新レーベルから めでたく限定再発されたフランスのシンフォニック・フォーク名盤。
個人的にトラッド、フォーク系の作品は大人しすぎて 眠くなってしまうことが多いのですが、 この作品はシンフォニックなアレンジが施されており退屈することがありません!
前半の「天国への階段」風な楽曲も良いですが、 このアルバムはとにかく後半!そして大感動のラスト! 叙情的な展開はTAI PHONGにひけをとりません。
詳細はプログレ名盤紹介をご覧下さい。

・DUTY FREE AREA/DFA(99)
イタリアの新世代テクニカルバンドの2作目。
同国の大先輩PFMがそうだったように、このバンドも ジェントル・ジャイアントに多大な影響を受けたと思われるサウンドを呈しています。
ただし彼らにはPFMのようなイタリアらしい歌心はありません、 あくまでも硬派なインストで勝負しています。
変拍子、ポリリズムに徹底的にこだわった楽曲の割には、 整合感があり、その分インパクトが弱いのですが、 聴き込むとすごいことをやっているのがわかります。 様々な音とリズムが複雑に絡み合いねじれまくった楽曲を作曲する能力もすごいですが、 そんな楽曲を危なげなく演奏しているテクニックも相当なものです。
変拍子の中にトリップ感覚を組み合わせた不思議な感じのする1曲目や、 フュージョンからJTQ風アシッドジャズ的な展開まで盛り込んだ5曲目など 先人の残した作品の焼き直しではなく、新感覚を持ち合わせている前向きな姿勢が 非常に頼もしいです。
同タイプのNATHAN MAHLほどの疾走感や爆裂感は無いですが、 知性的な曲作りでは勝っているといえるでしょう。
生でどれだけ演奏できるのかじっくり見てみたいです。


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