2003年に聴きまくったアルバム

2003年に聴きまくったアルバム94枚を順位付けして紹介します。
2003年の購入枚数は256枚でした。2002年が257枚だったので、 たった1枚しか減らせなかったことになります。うーむむ...
それにしても上位にプログレものがやたら少ない気が...ちょっとマスいかなぁ(^^;;;)...


No.1
・SIX/MANSUN(98)
恥ずかしながらイギリスの中堅ロックバンドの代表作という認識しか 持っていなかったのですが、 とてつもない傑作だったのでとてもビビりました。
数回聴いた段階では、 随所に出てくる初期ピンク・フロイドの精神を現代に蘇らせたかのようなアレンジから 90年代ロックシーンに大きな波紋を投げかけたRADIOHEADの 歴史的名盤OK COMPUTERに酷似しているように思いましたが、 何度も聴き込むうちに迷宮のような音世界にのめり込んでいき、 そんなことは全く気にならなくなりました。
比較するのもおかしいですが OK COMPUTERに比べメロディの良さでは明らかにこちらに分があります。 (実際に個人的にはこのSIXの方が好みです。)
多大なアイデアとメロディを詰め込み、繊細な感性で磨き上げ、 大胆な手法でロックの新しい可能性を追及した姿勢には 惜しみない拍手を送りたいと思います!
プログレファン、中でもフロイド好きなら偏見を捨て是非聴いてみてください。 きっと新たな世界が見つかるはずです。

No.2
・THE GREATEST LIVING ENGLISHMAN/MARTIN NEWELL(93)
アンディ・パートリッジが関連していることもあってか、 「1人XTC」と呼ばれるポップ・アーティストの最高傑作。
実は私はXTCがメチャクチャ大好きと言うわけではなく、 時として彼らの独特な屈折ぶりが肌に合わないことがあるので、 かなり前から購入してあったものの、 すぐに聴こうという気がおきませんでした。
ようやく聴いてみると確かにXTCっぽさを若干感じさせるものの、 もっと分かりやすく、親しみやすく、あたたかいものであり、 XTCとは全くの別物のように感じました。
アレンジがシンプルであり、そのおかげでメロディの良さが浮き彫りとなっていますが、 このシンプルかつ的確なアレンジはアンディ・パートリッジの サポートによる部分も大きいと思われます。
このCDを初めて聴いた夜は、 あまりのメロディの美しさに何度もこのCDをリピートしてしまい、 4時過ぎまで眠れませんでした!
しかしこの天才的なポップセンスは、 スコッチを飲みながらブルースをしゃがれ声で歌いそうな風貌からは 全く想像がつかないです!
...ということで個人的にはXTCの何億倍も気に入っちゃいました。
追伸:「1人XTC」と表現したヤツは誰だ... 危うく名盤を見過ごすとこだったじゃないか!

No.3
・LAST EPIC/A.C.T(03)
スウェーデンの若き音職人達によるスーパーバンド、A.C.Tの2003年新作。
彼らに出会う2000年以前まで「最も好きなバンドは?」と聞かれると、 その時の気分で常に違うバンドを答えて来ましたが、 彼らに出会ってからは常に「A.C.T!」と答えるようになりました。 どうやら今後もその気持ちは揺らぎそうにありません。
今回も迷宮のように複雑な世界を形成しながら、 相変わらずかわいいメロディをぎっしり詰め込んでいます。
楽曲が複雑化し、アレンジもバラエティ豊かになり、深みが増した反面、 メロディの親しみやすさが若干薄れてしまっていますが、 圧倒的な内容の名盤であることには変わりはありません。
音の細かい各パーツを取り出すと、例えばクイーンであったり、ELOであったり、 ドリーム・シアターであったりするのですが、 それら多種多様なパーツを組み合わせることにより、 どのバンドにもまねることの出来ない唯一無二のA.C.Tミュージックを 作り上げてしまう技術は本当に大したものです。
彼らのアルバムを聴きはじめるとあまりの素晴らしさから、 しばらく他の音楽が聴けなくなってしまうのは困りものですが...
余談ですが3曲目を聞いたときどこかで聴いたようなフレーズがあるなあ... と思い数日間考えたところ名曲「異邦人」(シングル持ってます)であることに 気が付きました!

No.4
・PERMISSION TO LAND/THE DARKNESS(03)
イギリスでブレイクしチャートの1位に登りつめた 新人ハード・ロック・バンドのデビュー盤。
デス系を連想させるようなバンド名ですがとんでもないことになっています。 「○ァック」を連呼するし、ビデオ(必見です!)では脱いで暴れてるし、 そのバカっぷりは初期レッチリやアンドリューW.K.に負けていません。
70年代ハード・ロック&グラム・ロック、 80年代LAメタル、AC/DC、クイーン、ガンズ&ローゼス...そういったものを ゴチャマゼにしたような音楽性は相当ユニークですが、 最大の武器はスパークスのラッセル・メイルをヒステリックにしたような 爆裂ファルセット・ボーカルでしょう。
あまりの格好よさについついボリュームをあげてしまい、 おかげで耳が痛いです!
ロックが持つ数多くの魅力の中に「いかがわしさ」、「毒々しさ」 があったことを久々に教えられたような気がします。

No.5
・VIEW FROM THE TOP/GRAND ILLUSION(02)
恐らくSTYXの名作からバンド名を拝借したと思われる スウェーデンのメロディアス・ハード系バンドの2nd。
ルックスからはオヤジ臭が漂い、ジャケットもCGソフトのサンプル画像みたいでショボいのですが 内容はとにかく最高です!
産業ロック風アレンジ、さわやかで明るいメロディ、 ガチガチに固められた分厚いコーラス、透明感あふれるハイトーン・ボーカル... 様々な要素からは確かにSTYXっぽさも感じますが、 手本となっているのは明らかに日本で爆発的な人気を誇った 北欧のスーパーバンドTNTでしょう。
しかし彼らは単なるTNTのクローンに終わっていません、 メロディやアレンジのセンスがずば抜けており、 既にTELL NO TALESの域までは軽く達しているといえます。
今後彼らがINTUITIONという神の領域まで達することが出来るかとても楽しみです。

No.6
・CONSERVATION OF MASS/HAMADRYAD(00)
カナダの新人プログレバンドのデビュー盤なのですが、 これがデビューだとは全く思えないほどクオリティが高いことに驚かされます。
複雑な音楽性のため多少とっつきにくい部分もありますが、 聴きこむたびにじわじわと独自の魅力に引きこまれていきます。
イエス(ハイトーンがジョンにそっくり)、 ジェネシス、GGら偉大な先輩バンドのエッセンスを吸収し、 さらに幅広い視野で進化させたようなテクニカルシンフォと、 ドリーム・シアターとは異なる方法論で構築されたプログレメタルが 融合したような斬新な個性は相当強力です。 (前者では初期スポビ、後者では初期POSを連想しました。)
無限の可能性を秘めているバンドであり将来大化けするのではないでしょうか? ちなみにバンド名のHAMADRYADとはギリシャ神話で「木の精」を意味するそうです。

No.7
・AWAL YANG INDAH/TERE(01)
インドネシアの新進女性シンガーTERE (ヴァレンシアに同名曲がありましたね(インドネシアつながり?))のデビュー盤。
アコースティック感覚を前面に押し出したタンバリンスタジオ系のおしゃれなポップスと、 DEWAに通じるような泣きに徹したメロディとアレンジ (特にアルバムタイトル曲はDEWAの名曲ROMAN PICISANに酷似した名バラード... ストリングスアレンジ入りで泣きまくり!) を合体させたような、 つまりはDEWAとPOTRETのイイとこどりをしたような作品です!
後でプロデュースにDEWAの中心人物AHMAD DHANIが関わっていることを発見。 どおりでとてつもなくメロウに仕上がっているわけです。 カラフルに彩られた楽曲も素晴らしいですが、 場面場面によって様々に声を使い分ける彼女の才能もお見事!
泣きメロ至上主義を貫いている以上、 インドネシアの音楽シーン(特にAHMAD DHANI周辺)は当面 チェックし続けておかないと駄目なようです。

No.8
・...TOT LICHT!/DISCUS(03)
長い間待ち続けていた インドネシアのスーパー・プログレ・バンドの2ndが遂に発売になりました!
1stは分裂気味の音楽性が魅力でしたが、この2ndではさらにその傾向が強まっています。 シンフォ、ジャズ・ロック、メタル、レコメン、ポップ、民族音楽... 8人のメンバーが入れ替わり立ちかわり、目まぐるしい勢いで様々な要素を ねじ込んで行きます。
1stも素晴らしい作品でしたが、その1stから、 作曲力、演奏力、音楽性、アレンジ、アイデア...全ての面で 格段の進歩を遂げているのには大変驚きました。 バンドの成長とはまさにこういうことを指すのですね...
多くの要素が凝縮されコロコロと展開が変わるため、 聴くたびに新たな発見があり飽きることがありません。 様々な先輩達の要素を十分に吸収しながら 彼らならではのインドネシア民族色をふんだんに盛り込んだ ミクスチャー感覚は絶品です!
今後も貧弱な21世紀のプログレシーンを多いに盛り上げていって欲しいと思います。
唯一の弱点は男性ボーカルかなあ...(笑)
この作品を世に出すために多くの労力と時間を費やした 関係者の方々には本当に頭が下がります。

No.9
・MERLIN - BARD OF THE UNSEEN/KAYAK(03)
KAYAKの2003年新作が大変なことになっています!!
そもそもメロディの美しさに関しては天下一品の彼らが、 外れの無い過去の作品群から名作MERLINを取り上げ、 AYREONのような壮大なコンセプトの元に曲を練り直し、 さらにオーケストラを全面に導入したシンフォニック・アレンジという最終兵器まで 身につけてしまったのですから名盤にならないはずがありません!
ついに最強のシンフォ作がここに出来上がってしまいました。 最初から最後まで感動が持続し全く身動きが出来なくなってしまいます!
インドネシアのCHRISYEの名盤BADAI PASTI BERLALUのリメイクと 似ているなぁ...と思っていたら意外な共通点を発見... どちらも22年後のリメイクだったんですね。

No.10
・MAKING TIME/WITHOUT WARNING(93)
〜WARNINGという名の付くバンドは、FATES WARNING、FAIR WARNINGなど 実力派が多いのですが、このWITHOUT WARNINGは無名ながら同等どころか それ以上のポテンシャルを秘めています。 当初ドリーム・シアターの亜流バンドだと思っていましたが大きな誤算でした。
確かに中心メンバーが音楽学校出身というだけあって 高度な演奏技術を持ってはいるものの、 その技術で押し切るような場面はあまりありません。 ハスキーな声質で表現力豊かに歌い上げる素晴らしいボーカリストを 前面に出したキャッチーでわかりやすい歌メロで勝負しています。
その結果まるでボンジョビのような売れ線のアメリカン・ハード・ロックと ドリーム・シアターのようなテクニカル系プログレ・メタルが 合体したかのような風変わりなスタイルとなっており、 それがこのバンドの強烈な個性となっています。 とかくドリーム・シアター影響下のバンドは、 ヨーロッパ、様式美...といった方向に進みがちなので、 この音楽性は非常にユニークに感じます。
とにかく純粋に曲の出来が良く、ギターやボーカルに感情移入しやすいのが たまりません。中でもエクストリームのMORE THAN WORDSみたいなラスト曲は感動ものです。
今は亡きゼロ・コーポレーションの遺産にこんな財宝が隠されていたんですね... もちろん他のアルバムも入手したいと思います。(かなり難しそうですが...)
個人的にはアメリカ版A.C.Tだと感じました。こういうバンド大大大好き!

No.11
・IT'S A LOVE CULT/MOTORPSYCHO(02)
久々にとんでもない傑作に出会いました!
ノルウェイのロックシーンで10年以上活動を続け、 数多くのアルバムを残しているバンドの2002年最新作なのですが、 いわゆる「おもちゃ箱引っくり返し系」で、 曲ごとにカラーが全く異なり次の展開が予測不可能なため聴いていてとてもワクワクします。
また、数多くの音楽要素をふんだんに盛り込んでいるにも関わらず、 全く厚ぼったくならず非常にあっさりしていて、 それでいて恐ろしいほどポップに仕上がっているのですから たまったものではありません! (ヤミ鍋でわけのわからない数多くの材料をぶっ込んでじっくり煮込んだら、 メチャクチャさっぱりして万人受けする味に仕上がってしまったような感じ?) おかげで音楽をあまり聴かない人から辛口なマニアまでを 魅了してしまうようななんとも不可思議な内容となっています!
まだまだこんなバンドが世に存在しているんですね... これから過去の作品を振り返るのがとても楽しみです。 北欧のバンドはジャンルの壁を破壊するのが本当に得意ですね。
ジャケットアートではヴァン・ヘイレンの発禁ジャケを連想しました。

No.12
・ONE FANTASTIC DAY/ROCKFOUR(01)
愛しのポップ・ロック・バンドROCKFOURが新作FOR FANS ONLY!を発表したのですが、 コンサート会場や彼らのオフィシャルサイトでしか入手できないことを知り、 英語のやりとりやトラブルが嫌で長い間避けていた 海外通販を利用することにしました。 本作はその際に同時購入したものです。 イスラエルのみでリリースされたため入手をあきらめかけていましたが、 ようやく手に入れることが出来ました。
大半の曲は、ほぼ同じジャケのメジャーリリース盤 ANOTHER BEGINNINGに収録されており、 そこから漏れた3曲はさほど出来が良くないだろうと たかをくくっていましたがその判断は間違っていました。
アルバム中の全ての曲に世界最高峰のメロディとアレンジが凝縮されています。 もちろんメロトロンも大活躍!さすがはROCKFOUR...捨て曲は一切ありません。
しかしこれだけ素晴らしいとFOR FANS ONLY!をすぐに聴くのが 勿体無いな〜

No.13
・平等精靈/六翼天使(SERAPHIM)(02)
数多くの正統派女性ボーカリストを輩出してきた台湾から出るべくして出た、 女性ソプラノボーカルによるドラマティック・スピード・メタル・バンドの2nd。
その特異なスタイルから「アジアのNIGHTWISH!」と呼びたくなりますが、 それだけでは無く、 初期NOCTURNAL RITESのような親しみやすいベタベタフレーズを連発したり、 美しい歌声に混じって時折唐突に邪悪なデス声が絡んだり (デス声は男です。女性ソプラノ声でデス声も出したら怖い!) とまるでメタルのうまみ(クサみ?)を凝縮したような凄い内容になってます。
ヘヴィな演奏に負けないよう、線の細い女性ソプラノボーカルは ハモリコーラスを重ねてうまくカバーしているので 安心して聴くことが出来ます。
楽曲もテクニックもプロダクションもかなりのレベルに達しているので、 強烈なヨーロッパ勢に対抗するために必要なのものは もうオリジナリティだけでしょう。 純粋な北欧ドラマティック路線を進んでいるので、 今後台湾の民族色なんかを取り入れると、バンドの色が出て面白くなるような気がします。
台湾盤と英語盤がありましたが、もちろん買ったのは現地の台湾盤です。 (プログレファンとしては当然!)
中国語の響きって美しいですね。美しいといえばボーカリストのルックスも中々です! ...NIGHTWISHには勝ってるでしょう!(←をいをい)

No.14
・EL CAMINO DEL FUEGO/RATA BLANCA(02)
「アルゼンチンのレインボウ」の異名を持つベテラン・メタル・バンドの8枚目。
確かに基本はレインボウですが、それだけに留まらず 60年代パープル〜90年代イングウェイといった 広義のリッチー・ブラックモア!(ブラックモアズ・ナイトを含まないところがミソ!) に深く傾倒しており、 それっぽいフレーズや音色がたくさん飛び出してきます。
もちろんアルゼンチンお得意の泣きのエッセンスもきちんと盛り込まれています。
ベテランだけあってサウンドクオリティも高くB級臭さは皆無です。 クセの強いボーカルが苦手な人もいるかもしれませんが、 魂が宿りまくったギターがメチャクチャ素晴らしいので、 様式美ファン中でもリッチー崇拝者なら必聴の作品となっています。
フェラーリの紋章をあしらったようなジャケも格好良いです。

No.15
・BLACKWATER PARK/OPETH(01)
以前からずっと気になっていた孤高のデスメタルバンドOPETH。 数多い作品の中からまずは雰囲気たっぷりのジャケットと タイトルが気になった5thを聴くことにしました。 (タイトルに馴染みがあると思ったら 70年代ドイツのB級ハードロックバンド(←ドイツらしい暴れっぷりが痛快!) と同じ名前だったんですね。買った後に気付きました。)
無理矢理たとえるなら初期IN FLAMES+PAIN OF SALVATIONといった感じの、 プログレ、メロデス、ゴシックを凝縮させたような濃厚な音楽性は 他に類を見ないものであり、 曲展開に応じてデス声とノーマル声を必然的に使い分けながら、 凶暴かつ繊細かつ叙情的なドラマを次々と繰り広げていきます。
また今回入手した限定盤のボーナス曲は、 デスでもメタルでもない叙情フォーク曲!なので、 デス声を一部で用いているという理由だけで、 彼らがデスメタルという小さい枠に括られてしまっている現状に大いに疑問を感じます。
特にメロデス界は近年、IN FLAMES、ARCH ENEMY、CHILDREN OF BODOMらの方向性に 手詰まり感を覚えることがあるのですが、 彼らのように豊富な引き出しを持ち、 常にプログレッシブな精神性を保っていれば、 今後どのようにも発展させることが出来るでしょう。
彼らのおかげでもう単純なメロデスだけでは 満足できなくなってしまったかもしれません。本当に末恐ろしいバンドです... さすがミクスチャー大国スウェーデン出身だけのことはありますね。

No.16
・PURE JUICE/SUMMERCAMP(97)
その昔偶然テレビで見たフジロックの爽やかな演奏を覚えていたおかげで、 新品500円で落ちていたこのアルバムを捕獲してきました。
サウンドはPURE JUICEというタイトルそのまんま! 添加物(小細工)を一切使わず純粋にギターで押しまくる正統派パワーポップは、 聴いていてとても心地良いです。
みずみずしくて甘酸っぱくてちょっぴりほろ苦いメロディから考えるに、 きっとこのジュースはグレープフルーツ100%でしょう!
彼らの音はとても好みなのに、 似たようなタイプのSILVER SUNとかWEEZERとかGREEN DAYは あまりピンと来なかったりする(^^;)のが音楽の面白くて奥深いところです。 説明できない程の微妙な違いなんでしょうけど。

No.17
・BUBBLEGUN/THE MERRYMAKERS(97)
北欧のジェリーフィッシュと呼ばれるバンドの2nd。
デビュー盤も傑作でしたが、そのデビュー盤から飛躍的に成長し、 メロディの純度も数段アップした大傑作に仕上がっています。
それもそのはずジェリーフィッシュの主要メンバーである、 アンディ・スターマーが全面参加しています。(ある意味反則!)
ジェリーフィッシュとビートルズを足して2で割ったようなポップサウンドは、 90年代ポップの最高傑作「こぼれたミルク〜」に肉薄するほどクオリティが高く、 ボーナス曲も含めて捨て曲は一切ありません。 もしかするとアレンジがシンプルかつストレートな分、凝りまくったジェリーフィッシュより 好みな人もいるかもしれませんね。
それにしてもこんなにも素晴らしい作品を残しておきながら、 長い間作品を発表していないなんて許せません! アンディにも同じことが言えますが、 他人のお手伝い(特に日本人のプロデュース)なんか放っておいて 一日でも早く新作を発表して欲しいものです。

No.18
・DEVOID/DARK LUNACY(01)
FINNTROLL、CRUACHAN、IN EXTREMO...今までに民族系メタルと呼ばれる 数々のバンドを聴いてきましたが、 このイタリアのデスバンドDARK LUNACYはその究極形といえそうです。
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、アコーディオンなど デスメタルとは無縁とも思える楽器をふんだんに使用 (EBONY TEARSの1stでのヴァイオリン導入など軽く吹き飛びます)し、 クラシックのみならずポルカの要素を取り入るなどとにかくやりたい放題です!
特に弦楽器の使用法はとても効果的で、 ラプソディのように豪華さ壮大さを演出するのではなく、 あくまで楽器そのものの音を際立たせ繊細で悲しい物語を描いていきます。
その結果まるでニュー・トロルス(コンチェルト・グロッソ1)や アナクルーサ(4th、5th)のような弦楽器入り叙情派シンフォ名作と暴虐デスが見事に融合したかのような 不思議な作品となっています。
最近閉塞気味であったデスメタルの概念を一気にぶち壊さんばかりの アイデアは筆舌に尽くしがたく、まさにデスメタル界の救世主と言ってよいでしょう。 プロダクションも演奏力も一級品なのがまた頼もしいです。
シンフォとデスの双方を聴ける方は絶対に買いましょう!

No.19
・SAUSALITO SUMMERNIGHT/DIESEL(00)
KAYAKファンとして押さえておかなければならないバンドDIESELのコンピもの。
川越線を連想させるバンド名!、やっつけ仕事なジャケット、 GOIN' BACK TO CHINAにおける鹿取洋子のイメージなどから、 ずっと触手が伸びなかったのですが、新品500円で落ちていたのでついに拾ってきました。
1980年発表のデビュー盤に、代表曲SAUSALITO SUMMERNIGHTのシングルバージョンと 1988年収録の4曲が追加されているのですが、 想像をはるかに上回る出来映えの曲ばかりで驚きました。
この時代ならではの産業ロック的要素を含んだセンスの良いアレンジと、 親しみやすいメロディにあふれた良質のポップロックとなっており、 トッドのUTOPIA(70年代後半)に近い音楽性を感じました。
KAYAKの中心人物TONの天才的な才能に、 PIMの作曲力、アレンジ能力は決して負けていないことを改めて思い知りましたが、 PIM以外のメンバーが書いた楽曲も素晴らしく、 ツボを押さえた演奏も完璧なので、メンバー全員がかなりの才能を持ち主といえます。
個人的には、特にボーナス曲的存在の12曲目(BEACH BOYS風の分厚いコーラスに悶絶!)、 13曲目(最後の方の転調後のギターソロはKESTRELのDAVE BLACKが弾いてるとしか思えない!) にやられました。
こんなにイイものを500円で拾えるなんてバチが当たりそう!
KAYAKファンよりもUTOPIAファンに是非聴いてもらいたいアルバムです。

No.20
・RITUAL/SHAMAN(02)
アングラ脱退組による新バンドのデビュー盤。
新生アングラの復活作REBIRTHの内容が予想以上に良かったために 聴くのが怖くてしばらく放置していました。
REBIRTHは、アングラの1stにして名盤ANGELS CRYの方法論をなぞった 原点回帰的な作風であったのに対し、 このアルバムは、2ndであるHOLY LANDの民族色をさらに押し進めメロディを強化し、 キーボードの比重を増やし、 シンフォニックアレンジを加えたプログレッシブな味わいまで 感じさせるものとなっています。 どちらも素晴らしい内容ですが、チャレンジ精神に関しては、 本作の方が数歩リードしているといえるでしょう。
しかし分裂しておきながら、新生アングラの新ボーカリスト、 エドゥは脱退したアンドレっぽい歌いまわしをしていたり、 脱退組による本作でのヒューゴのギターソロは、 残留したキコっぽかったりするのがなんとも面白いです。
それにしても分かれたどちらもが素晴らしい作品を残すなんて、 分裂は大正解だったんですね。 このような発展的な分裂なら大歓迎です!

No.21
・FUTURE WORLD/PRETTY MAIDS(87)
その昔、仲の良かった女の子が入れ込んでいたデンマークの様式美メタルバンドの3枚目。
その頃はプログレ一辺倒だったため彼らの作品をほとんどチェックすることなく、 結局今日まできてしまいましたが、 廃盤セールで本作品を見かけたので買ってみたところ大当たりでした!
様式美メタルといっても様々な形がありますが、 いわゆるネオクラシカル系とは異なる独自のスタイルを貫いており、 ハードなギターときらびやかなキーボードが絡み合う スピーディーでスリリングでキャッチーな楽曲ばかりが揃っています。
しかし今頃になって彼らの良さを知るとは思ってもみませんでした。 もし当時彼らの良さが分かっていたら 人生が変わっていたかもしれないなあ(なんちゃって!)

No.22
・BY APPOINTMENT OF/THE PRESIDENT(83)
KAYAK主要メンバーの1人であるピム・クープマンが参加した ユニットによる名盤。
DIESELでも強く感じたことですが、作品の完璧な仕上がりに驚かされ、 改めてピムの偉大な才能を思い知らされました。
DIESELをさらに洗練させたような内容でAORの名盤と呼ばれていますが、 これだけ素晴らしい作品をAORファンだけのものにしておくのは あまりに勿体無いです。 ニッチポップファン、80年代ロックファン、KAYAKファン...幅広い層の誰もが 名盤と認めざるを得ない内容となっています。
UTOPIA、TOTO、ホール&オーツ...曲により様々なバンドを連想させ、 ちょっと聴いた感じではアメリカっぽい音に感じますが、 何度も聴くうちにメロディの人懐っこさと音の温かさから、 オランダらしさを強く感じるようになりました。

No.23
・HAIL TO THE THIEF/RADIOHEAD(03)
世界最高のロックバンドであるRADIOHEADの2003年新作。
実はOK COMPUTERで彼らを知り聴き狂った後、 KID Aに戸惑って以来ずっと彼らの作品を聴くことは無く、 本作も当初購入するつもりはありませんでした。
しかし、レコード店内で流れ出した楽曲は、 OK COMPUTER路線のロック色を取り戻していたので、 その場で1秒でも音を耳にしないよう慌てて購入してきました。 彼らの崇高な音楽をレコード店のような日常の場で 安易に聴くわけにいかなかったからです。
基本的にはOK COMPUTER路線ですが、それ以降の上積みもあるので、 名盤中の名盤に仕上がっています。 トム・ヨークの圧倒的な表現力と感性はケイト・ブッシュに近いものを感じます。
また本作は個人的に新世代のプログレだと思っています。 こういう音楽が全世界的に評価されている現状 (かなり凄いことだと思います)を考えると、 プログレファンがうしろ指さされ組な時代も終焉を迎えるかもしれません。
保守的なプログレファンに無理矢理でも聴かせて 目を覚ましてもらいたい気がします!

No.24
・ENNISMORE/COLIN BLUNSTONE(72)
元ゾンビーズのボーカリスト、コリン・ブランストーンのソロでの代表作。
まず1曲目を聴いてビックリ!... ラス・バラッドの超名曲I DON'T BELIEVE IN MIRACLES (その昔「世界の車窓から」にて原曲が数十秒流れただけで泣きそうになった!) をカバーしていたんですね。 コリン独特のナイーブなボーカルが極上のメロディを歌い上げるのですからもう大変です。 あまりの美しさに「I BELIEVE IN MIRACLES!」と叫びたくなります。
他には、ストリングスを導入した ODESSEY AND ORACLEの続編といえるようなバロック・ロック曲、 「2人のシーズン」そっくりの曲、 かと思えばゾンビーズ時代とは全く異なるイメージの牧歌的な曲... と、ヴァラエティに富んだアルバムとなっています。 しかしどんなタイプの曲でもコリンが命を吹き込むことでまばゆいばかりに輝いています。
コリンの繊細な歌声はブリティッシュポップス界の宝ですね。

No.25
・THE GATES OF OBLIVION/DARK MOOR(02)
2ndで急成長を遂げ大いに話題となった、 スペインのシンフォ・メタル・バンドの3rd。
本作ではまたもや メロディ、スピード、シンフォ度、ドラマティック度... あらゆる面でさらなる成長を遂げ、超絶一大傑作に仕上がっています!
現時点で最高峰と思われるラプソディが 空前絶後のスケールを誇るエメラルド・ソード伝説 (なんかテンプターズみたいだな(笑))に区切りをつけ、 一休みしている今、この手のジャンルの最高峰レベルに達したといって良いでしょう。
残念ながら本作発表後に女性ボーカリストが脱退してしまったようですが、 メンバーチェンジにめげず、今後もこの勢いをそのままに 成長を続けていって欲しいものです。

No.26
・FANTASIE/MUNCHENER FREIHEIT(88)
80年代から現在まで活動を続けているドイツの5人組バンドの最高傑作。
DURAN DURAN、KAJA GOO GOO、A-HAのようないかにも80年代ヨーロッパの 売れ線デジタルポップサウンド(美男子揃いのルックスも似てる!)に、 QUEENの完璧なコーラス(歌は全てドイツ語)を 混ぜ合わせたような取り合わせが絶妙でなんとも面白いです。
80年代アレンジのおかげであっさりし過ぎていて、 押しが弱く感じられるのですが基本となるメロディが良質なのでなかなか楽しめます。
是非私と同世代(MTV全盛世代)のポップスファンに 聴いてもらいたい一品です。

No.27
・NEO WAY/AMAROK(02)
マイク・オールドフィールドの遺伝子を完全に受け継いだ、ポーランドのアマロックの2nd。
前作があまりにも良かったので少し不安でしたが、 そんな不安を一気に払拭する出来栄えです。 マイク・オールドフィールド色がさらに濃くなり、スケールがぐんと広がっています。 相変わらずB級臭さが皆無なのは頼もしい限りです。
出発点はマイクながら、神経質なまでに一つ一つの音にこだわり続け、 これだけ感動的な作品を作り上げてしまう才能には、 相当なマイク信者でも文句が出ないのでは無いでしょうか? 特に後半の組曲の美しさは筆舌に尽くしがたく、 メロトロンとアコギの絡みでは、まるで空から天使が降りてきて 天界へ連れて行ってくれそうな気分になってしまいます。
唯一引っかかるオリジナリティという部分を差し引いたとしても、完成度が相当高いので、 デビュー盤と同様、21世紀のシンフォ名盤として認知されるべき作品だと思います。

No.28
・TO HELL WITH THE DEVIL/STRYPER(86)
クリスチャン・メタル界の神(笑)、ストライパーの3rd。
4thと同様に、本作もそんじょそこいらのポップスなど軽く吹き飛ばす 美しいメロディとハーモニーがわんさか出てきます。 特にCALLING ON YOUにはやられました...これだけ輝きを放つメロディラインは なかなか書けるものではありません。
また楽曲はもちろん、演奏もしっかりしているのが頼もしいです。 ボーカルもギターも表現力豊かで、バンドとしてとても良くまとまっています。 きっとメンバー全員が共通して信じるものがあるからこれだけ一致団結できるのでしょう。
リアルタイムでは駄目でしたが、 年月を経てようやくこのバンドの良さがわかるようになりました。 まるで若い頃バカにして見なかったクサクサな名作青春ドラマを、 今頃見て素直に感動しているようなものですね!

No.29
・KANTATA REVOLVERE/SAME(99)
謎に包まれた変態インドネシアもの!
なんとなく牛乳石鹸みたいなジャケットですが、 この牛は重度の狂牛病におかされていました!
オーソドックスなブルース・ハード・ロックかと思いきや あやしげなナレーション(朗読?)が出てきて メタリックなギターが暴れまくったり、 民族色を取り入れたのどかな曲かと思いきや 市民集会デモのように大勢で絶叫しまくったり、 イタリアン・シンフォ好きが号泣しそうなクサクサ超絶シンフォ (オーケストラ&混声合唱&女性ボーカル)だったり、 ほんとにわけがわかりません。しかも全ての面でやり過ぎています! レビュー泣かせのとんでもないシロモノです。
インドネシアのロックの奥深さはこの1枚だけでたっぷり味わえると思いますが、 個人的にはインドネシアという国がますますわからなくなってしまいました。
変態度はトルクメニスタンの怪物GUNESHに通じるところがあります。 (でも本人達は大真面目なんでしょう)

No.30
・DISCO ALLIANCE/MUSIC IN THE UNIVERSE/ZODIAC(00)
旧ソ連のYMOと呼ばれるラトヴィアのシンセ・バンドZODIACの 1st(80)、2nd(83)を2in1収録した再発盤。
全編インストのため、ポップコーンで知られるホットバターらしさも感じますが、 やはり初期YMOを連想せずにはいられません。 テクノといいながらも、さほど機械に頼らず人力による演奏が多いので、 パブリック・プレッシャー(公的抑圧)あたりにイメージが近いです。
またテクノの他に、 シンフォやフュージョンの要素を持ち合わせているのがとてもユニークです。
演奏力はかなりの水準にあり、プロダクションも本格的なので、 下手な辺境シンフォに比べると完成度は格段に上回っています。
個人的には、クラフトワークに代表されるようなドイツのシンセものよりも 断然気に入っちゃいました!


その他

・BRAINWASHED/GEORGE HARRISON(02)
2001年11月29日に惜しくもこの世を去ってしまった ジョージ・ハリスンの遺作。
あまりにも特別な作品なので2003年になって最初に聴くため、 ずっととっておきました。
息子ダニー・ハリスンと盟友ジェフ・リンの多大なサポートを受けて、 ひときわ輝くジョージの歌やスライド・ギターがとことん心に染みます。
アルバムを通じ、ジョージの魂を投影したかのような、 穏やかで一点の曇りもみられない晴れやかな世界が広がっていきます。 ここまで来るとメロディがどうとか、アレンジがこうとかいってる場合じゃないですね。 ラストはジョージの魂が天に召されていくようです。 きっと今頃ジョンと楽しくセッションでもしていることでしょう...
最後に素晴らしい贈り物をありがとう > ジョージ

・A PICTURE OF NECTAR/PHISH(92)
ご存知ジャム・バンドの祖、PHISH初期の名作。
2001年にBLIND MAN'S SUNに惚れ込んだ後、 いくつかのジャム・バンドを聴いてはみたものの どれもイマイチだったためそれ以後ジャム・バンドから遠ざかっていたのですが、 まだ基本中の基本であるPHISHを押さえていなかったので念のために聴いてみたところ、 とても格好良くて素敵な作品でした!
ロック、ポップス、ジャズ、ファンク、ブルース、カントリー、ラテン... 多種多様な音楽をごちゃ混ぜにした高度で 無限の可能性を秘めた音楽性ながら、 理屈や理論など難しいことを一切抜きにして、 バンド演奏と音楽の楽しさを教えてくれる内容となっています。
やはりシーンの頂点に君臨するバンドは一味も二味も違います。 日本では人気がほとんど無いですが、シーンを確立し、 後続バンドに多大な影響を与えているという意味では、 例えばメタリカやジャミロクワイと同列で語られるべきあり、 もっとリスペクトされるべき存在だと思います。 (一部のファンからは何を今さら...と言われそうですが!(笑))
今まで無視してスミマセンでした...これから1枚ずつゆっくり聴いていきます〜。

・POETS AND MADMEN/SAVATAGE(01)
アメリカのバンドながら、ヨーロッパ的な感覚を持ち、 独特のリフとオペラティックな曲構成でHR/HM界で異彩を放っていたサヴァタージですが、 1993年に天才リフメーカーのクリス・オリヴァを事故で失い、 その後個性派ボーカリストのジョン・オリヴァも辞めてしまってからは、 音楽性が変化してしまい失速した印象がありました。
しかしこの作品ではジョンが復帰したせいもあってか、 GUTTER BALLETを髣髴とさせる全盛時の輝きをかなり取り戻すことに成功しています。
またこれまでもがき苦しみながらアルバムを発表してきたバンドの 重みを感じさせる味わい深い作品となっています。 クリスを失った穴はバンドにとってとてつもなく大きなものだったといえますが、 ようやくここまで盛り返してきたので、 是非もう一度彼らには頂点を極めてもらいたいものです。
追伸:10曲目の出だしは何度聴いてもメガデスに聴こえます!(アル・ピトレリつながり?)

・REROUTE TO REMAIN/IN FLAMES(02)
これまで極めて質の高い作品を次々と作り出しメロデス界で 最も安定した存在であった彼らですが、本作では大きな賭けに出ています。
なんとあのカリスマ・プロデューサー、フレデリック・ノルドストロームに 別れを告げ、彼らのスタイルの真骨頂ともいえる泣きメロ色が後退し、 変わりに今流行りのヘヴィ・ミュージック色が大胆に取り込まれています。
ライナーではアメリカでの成功を狙ったのでは...との記述がありますが、 ずっと同じことを続けていくのがつまらなくなったのかもしれませんし、 成長著しいソイルワークに刺激を受けたのかもしれません。
今までの彼らのサウンドを期待していたので、 最初聴いたときはもう二度と聴くことは無いだろう...とさえ思いましたが、 何度か聴いているうちに、ブルータルなアレンジに隠されている メロディの質の高さに気付くことができました。 どうやら天才イェスパーがバンドに在籍している限り、 クオリティが低下することは無さそうです。
これを聴いて離れるファンもいるとは思いますが、 私はまだまだついて行こうと思います。

・SUMOGRIP/LUCIFER'S FRIEND II(94)
高度で幅広い音楽性と果敢な実験精神を持ちながら、 逆にそれがアダとなって正当に評価されることの無かった 悲運のバンド、LUCIFER'S FRIEND唯一の再結成アルバム。
大人向けのハード・ロック+80年代産業ロックといった感じで、 FAIR WARNINGな2曲目、後期CHICAGOな5曲目、STARSHIPな10曲目、 TOTOな11曲目、RAINBOWな14曲目...など様々なタイプの曲が揃っていますが、 全ての曲に共通してメロディの美しさが際立っています。
また伸び伸びと情感を込めて歌い上げるジョン・ロートンの歌が最高です。 残念ながらジョンも過小評価されていますが、 このアルバムで、ロニー・ジェイムス・ディオやクラウス・マイネと同等 もしくはそれ以上の実力を持っていることが証明されていると思います。
しかし相撲をコンセプトにしたタイトルと ジャケットだけは意味が全くわかりません!... そもそも彼らはジャケットセンスが最悪(ハゲオヤジの後姿とか...)なバンドでしたが、 そのクセは治っていないようです。
この醜悪ジャケなので買いづらいとは思います(実際私も購入時に躊躇しました... 1曲聴いたことがあったので買えたようなものです!)が、 メロディ至上主義のHRファンの方には一聴をおすすめします。

・GINHOUSE/SAME(71)
昔学生だった頃、プログレ師匠とともに、 ヴァーティゴ、カリスマ、ネオン...などのレーベルに残された 隠れた70年代ブリティッシュもののLPを漁盤し、 強烈な個性と必ずどこか1箇所は輝いているというB級バンドの世界に 浸っていた時期がありました。
そのうち隠れた名盤と言われるアルバムはほぼ聴き尽くし、 ますますマイナー路線に走っていった際に師匠がこのアルバムのLPを 高いお金を出して購入したのですが、 この作品により「名前の知られていないマイナーものは基本的に手を出すな!」 ということを強く感じた思い出があります。
当時B級ものの聴き過ぎで感覚が麻痺し、 少々クオリティが低くてもそれを感じないような耳が出来上がっていたものの、 このバンドのダメさ加減ははっきりと分かりました! アイデアは豊富ながらも消化不良でバンドの方向性が見えず、 部分的には聴かせどころも多いものの、 脈絡無く唐突に展開し続ける曲構成に破綻気味のアレンジ...と B級クラスを通り越したC級作品であり 一部のマニアにさえお薦め出来ません!
...と散々ヒドいことを書いてきましたが、 昔を思い出しながら聴いていると、 何か新しいサウンドを打ち出そうとする意欲と その空回りぶりがどうにも憎めず、 いつのまにか何度もリピートしていました! AND I LOVE HERのカバーのダメダメぶりなどを聴くにつけ、 スリー・マン・アーミー、パトゥ、メイ・ブリッツ、T2...のように なることが出来なかった彼らがいとおしくさえ思えてきます(マイナー病?!(笑))
しかしこんなどマイナーな作品まで CD化してしまうなんてさすがはREPERTOIREです。

・BLA VARDAG/ATLAS(79)
スウェーデンの70年代シンフォ名盤。
同国のKAIPAやDICEに類似した、まさに「北欧シンフォど真ん中」 とでもいうべきどこか冷ややかなサウンドで、 曲によっては彼らの覆面バンドでは?と疑いたくなるほど 展開、構成、サウンド...あらゆる面が似ています。
しかし、そのような印象を受けるということは、 KAIPAやDICEの名作と比べてもひけをとらないだけの 高いクオリティを持ったアルバムであることを 裏付けているといえます。
もちろんプログレ名盤紹介に掲載します。

・RAGE FOR ORDER/QUEENSRYCHE(86)
現在プログレメタルの代名詞的存在といえば 誰もがDREAM THEATERをあげると思いますが、 1980年代後半にそのDREAM THEATERとともに 現在のプログレメタルシーンの礎を作り上げた功労者がこのQUEENSRYCHEでした。 (他にもWATCHTOWER、MEKONG DELTAあたりが頑張っていました。)
どちらかというと技術面からプログレへアプローチしていったバンドが多くを占めていた中、 彼らは精神面からアプローチし、メタル史上に残る一大傑作 OPERATION:MINDCRIMEを作り上げました。
次作EMPIREはそこそこ好評でしたが、 当時OPERATION〜と同等の完成度を期待した私の耳には合わず、 その後の彼らの衰退ぶりにもさらにガッカリしたため、 初期の作品を聴かないままずっと来てしまいました...
今更ながら2ndを聴いてみたところ、 OPERATION:MINDCRIME前夜とでもいうべきキラメキを随所に発見することができる 名盤であることに遅ればせながら気付きEMPIREよりも断然楽しめました。 ジューダスがいきなり知的かつ神経質になったような音楽性は、 この時代を考えれば相当先を行っています。
それにしてもこのバンドはアメリカらしさが全く感じられないですね!

・BACK TOGETHER AGAIN/LARRY CORYELL/ALPHONSE MOUZON(77)
ラリー・コリエルが率いたイレブンス・ハウスの流れを汲むアルバム。
同時期のジェフ・ベックを意識したと思われるジャズ・ロック作品に仕上がっており、 そのためかフリーな部分も少なくとても聴きやすいです。
どちらかというとエレクトリックよりもアコースティック・ギターによる プレイが目立つのはいかにもラリー・コリエルらしいです。
この時代のこの手の作品はジャズファンからは軽視されがちですが、 本作のようにプログレファンにとっては宝となる場合も多いので、 もっと発掘&再発されるべきでしょう。
プログレファンによっては苦手な曲(ファンク色の強い曲とか)も あるかと思いますが、ジャズ・ロック曲の出来があまりにも素晴らしいので プログレ名盤紹介に 掲載することにします。

・STARGAZER/GORDON MICHAELS(79)
ストレンジデイズの後押しもあってか、 2002年にめでたくCD再発された隠れたポップ名作。
前評判から「AOR版ポール・マッカートニー」というイメージを持っていたのですが それほどポール色は強く無く、 ストレンジャー〜ニューヨーク52番街時代のビリー・ジョエル風とでもいうべき この時代特有の都会的な演奏とアレンジの中、 ところどころにチラリとポールっぽさが見え隠れするといった程度に感じました。 (逆にそこがマニアにはたまらないんでしょうけど...)
ビートルズ、ポールっぽさを見つけて楽しむのも良いですが、 それらを差し引いたとしてもポップスとして純粋に質の高い作品なので ポップスファンなら十分楽しむことが出来るはずです。
歌い出しが「なごり雪」っぽい!ラスト曲は、 歌詞がこのアルバムだけでシーンから消えてしまった彼と オーバーラップしてなんだか泣けてきます。

・SEVEN YEARS IN THE PAST/ATTACK(92)
B級ジャーマン・メタルを代表するバンド(プロジェクト)の代表作。
初期ハロウィンっぽいメロディラインと メタリカのデビュー盤に通じるようなNWOBHM的疾走感を持ち合わせたかのような超名盤... と言いたいところですが、いかんせんプロダクションが最低なのです。 あまりにもショボショボで薄っぺらい音にはかなりガッカリさせられます。
しかし劣悪なプロダクションであっても アルバムを何度もリピートしたくなってしまうのは、 それだけ曲自体に魅力がある証拠だといえるでしょう。 時折出てくるフルートがまた良いアクセントになっています。
まるでB級メタルのお手本のような作品ですね!(笑)

・SUCH FINE PARTICLES OF THE UNIVERSE/BUBBLEMATH(02)
アメリカから突然登場した変態テクニカルシンフォ新人バンドのデビュー盤。
このバンドの売りはとにかく曲の複雑さ! 数秒単位で展開が切り替わり、複雑な変拍子で ねじれながらぐんぐん突き進んでいきます。
「変拍子しばり!」とでも表現したくなるような複雑な楽曲を構築できる 特異な作曲能力と、それをしっかりと実現化できる演奏能力を持ち合わせているのですから 相当な実力者集団であるといえます。
GG〜64 SPOONS〜ECHOLYNと続く流れを さらに進化させた究極のスタイルといえるでしょう。 ここまで変拍子が凄いと、 逆にノーマルな拍子の方がおかしな拍子のように聴こえてくるから不思議です。
また特筆すべきなのが元素記号を用いた変形ジャケットのセンス... ネタバレになるので詳しく書きませんが、 最優秀アイデア賞を与えたくなります。
「変」拍子マニアだけでなく「変」形ジャケットマニアにとっても 必携のアルバムです!

・LIFT/SAME(77)
近年、旧東ドイツのシンフォものが大量に再発・入荷され話題になりましたが、 間違いなくその中でトップクラスに位置する作品です。
のんびりとしたポップな歌ものも良いですが、 なんといってもメロトロンをビッシビシ使いまくった シンフォ曲に心を奪われてしまいます。
また再発CDに収録された1972年のボーナス曲は、 ボーカリストおよび方向性が異なるものの哀愁漂う熱唱が胸を打つ名曲です! 東欧再発CDに収録されているボーナス曲は、 FERMATAといい、MODRY EFEKTといい、何故か心に響く曲が多いように感じます。
メロトロンという楽器の持つ人を惹きつける魅力... というより魔力の大きさを誇示しているような 本作の詳細についてはプログレ名盤紹介をご覧下さい。

・ANOTHER BEGINNING/ROCKFOUR(02)
個人的超一押しのイスラエル発1960年代後半回帰系ポップロックバンドROCKFOURが ようやくメジャー契約し、彼ら初のワールドワイドリリースとなった記念すべき作品。
名盤と呼ぶにふさわしいSUPERMARKETに続くアルバムONE FANTASTIC DAY (2001年リリース、イスラエル盤のためずっと入手できず困っていた)とジャケットが そっくりながら曲名を見ると半分ぐらいがSUPERMARKETの曲 (どうやらメジャー1作目ということもあってか、 ONE FANTASTIC DAYの抜粋&ボートラ入りコンピとなっているようです) だったのにはかなりがっかりしました... が、一旦CDを再生すると一瞬にして夢のようなポップワールドに連れて行ってくれるので、 そんなことは全く気にならなくなります。
入手が簡単でベスト盤的な内容なのでROCKFOUR入門に最適です。 1960年代後半の独特の空気が好きだったら聴かなきゃダメでしょう! 8曲目はジョンとジョージが天国から力を貸してくれたとしか思えないです。

・LIVE IN GERMANY/EKSEPTION(03)
大好きなEKSEPTIONの1993年ドイツにおけるライブ音源が 何故か今頃発表されたと知り急いで買ってきました。
クラシックの名曲を単純明快なロックアレンジで聴かせるというコンセプトは、 難しがり屋のプログレファンからバカにされがちですが、 幅広い層にクラシックの良さを伝えようとする その姿勢はもっと高く評価されるべきだと思います。
今回のライブ盤もバッハ、ベートーヴェン、ガーシュイン... などなど相変わらず多くの名曲を分かりやすくカバーしており 肩の力を抜いて楽しむことができます。
EKSEPTION、TRACEファンはもちろん、 FOR EXAMPLEをカバーしているのでNICEファンも、 ドラマーがMAX WERNERなのでKAYAKファンも、 昨今同コンセプトのライブ盤を出しているULI JON ROTHファンもチェックしましょう。
そのうち来日してくれないかなあ (もちろんリック・ヴァン・ダー・リンデンの指が動くうちに!)

・ONLY HUMAN/AT VANCE(02)
デビュー以来、優れたネオクラシカル作品を出し続けているバンドの4枚目。
これまではずっと投げやりだった(としか思えない!)酷いジャケットが 今回は改善されていますが、 このジャケットへの配慮と同様、 サウンドも従来路線の延長線上にありながら、 さらに細かい部分まで気を配り、丹念に仕上げたような印象を受けます。 本作で彼らはさらにステップアップしたといって良いでしょう。
ただ恒例となったアバのカバーが収録されていないのがちょっと残念です。 代わり?にレインボウの名曲I SURRENDERをカバーしているのですが、 ネオクラシカル系のルーツみたいな曲なのでほとんどそのまんまです。 (やっぱりちょっと残念!)
全く関係ないですがボーカルのオリヴァーの写真を見ると いつも引退直前のダイナマイト・キッドを思い出します!


・SOMEDAY MAN/PAUL WILLIAMS(70)
ポール・ウィリアムスという名前は何度も耳にしていたものの、 これまではずっと裏方的存在という認識しかありませんでした。
しかし2002年にはまったメロ・カッズのデビュー盤に参加し、 かなりの影響を与えていることを知り、とりあえずデビュー盤を入手してみました。
1曲目のアルバムタイトル同名曲を筆頭に、 絶品のソフト・ロック・アレンジに彩られた楽曲が揃っています (あのロジャー・ニコルスが作曲してたんですね、そりゃいいはずです!) またその上に被さるポールの歌声は派手さこそありませんが、 ほっと一息つかせてくれるような味わいがありとても気に入りました。
キッカケを与えてくれてありがとう! > メロ・カッズ
もちろん今後ポールの他の作品も購入リストに入れることにします。

・ZENOLOGY/ZENO(95)
以前、立ち読みした雑誌でのアモット兄弟のインタビューで 「シェンカー兄弟、ロート兄弟...あなた達の他にも有名なギタリスト兄弟がいますが...」 のような質問に「どこも凄いのは兄弟のどっちかだけだろ?! 兄弟そろって凄いのは俺らだけだ!」みたいなことを答えていた (←思い違いだったらごめんなさい)ことから、 きっとジーノはウリの縮小版みたいな感じだろう...と勝手に思い込み ずっと彼の作品を聴く機会がありませんでした。
しかしTOGETHERという名曲と出会うことにより、 アモット兄弟のコメントを信じていた判断が完全に間違っていることにようやく気がつきました!
ポジティブで美しいメロディ、エモーショナルなボーカル(マイケル・フレクシグ最高!)、 壮大でシンフォニックなアレンジ、心をわしづかみにするようなギター、 もう何もかもが完璧で感動しっ放し!! これだけの超名曲を作れるなんて天才以外の何者でもないです。
兄弟だけあってギターのフレージングやテクニックはかなり似ていますが、 現世離れしている兄ウリに比べて、弟ジーノのほうは人間臭さが出ているように感じました。
TOGETHERの他にも佳曲の多い作品だったので、 他作ももちろん押さえたいと思います(といってもあと2枚しか出てないけど!)

・千年之愛/朴完奎(PARK WAN KYU)(99)
2ndが素晴らしかった韓国の超絶ボーカリストのデビュー盤。
2ndに比べHR/HM色がやや薄く、ポップな曲が多めで 韓国歌謡(一歩間違えると演歌?!)っぽい曲もあるのですが、 どんなスタイルの曲でも器用に歌い上げていて耳に馴染みやすいです。
佳曲ばかりですがこの人はなんといってもバラードに尽きるでしょう。 マリアナ海溝のように深い悲しみに満ちあふれた叫びからは、 愛する人を失い雨の中で泣き崩れているような情景が目に浮かんできます! (歌詞の意味については全くわからないんですけどね(笑))
3rdももちろん購入しました(未聴)。今後も全く目が離せない存在です。

・A VIA LACTEA/LO BORGES(79)
再発を何年も待ち続けていたSOM IMAGINARIOの名盤3rdを 新宿ディスクユニオンプログレ館で遂に発見! 感激してすぐに購入しようかと思いましたが、 ちょっと気取って近くのディスクユニオンラテンフロアで買うことにしました。
早速ラテンフロアの店内に駆け込み念願のCDを手に取っていたら、 場違いとも思えるシンフォニックな歌ものが流れ出したからさあ大変! オルガンとピアノの上にかぶさる優しいボーカル、 そして極めつけのシンセ...まるでインドネシアのYOCKIEを初めて聴いた時のような 衝撃を受け、あまりの素晴らしさに涙目になってしまいました。
すぐに興奮しながらレジに立て掛けられたジャケと同じものを探索、 SOM IMAGINARIOと一緒に購入したのがこのCDです。 (店員の勧めもありSOM IMAGINARIOのキーボーディストのソロも同時購入... 本当にラテンフロアに来て良かった!)
後ほどこのアーティストが、ミナス派でナシメントと並ぶ重要ミュージシャンであることや、 本作にSOM IMAGINARIOのメンバー、O TERCO, 14 BISのFLAVIO VENTURINI、TONINHO HORTAら 錚々たるメンバーが参加しているの知りました、どおりで名盤に仕上がるわけですね。
ちなみに私が衝撃を受けたのは6曲目EQUATORIALでした。 この曲が最もシンフォ寄りですが、他も繊細で優しい歌ものばかりなので、 イタリアの歌ものが好きなシンフォファンなら自然に受け入れられると思います。
後で気が付いたのですが本作は私が初めて購入したCCCDでした。
しかし素直にSOM IMAGINARIOをプログレ館で買っていたら この名盤には一生出会えなかったかもしれないんですよね... 人との出会いにもいえることですが、音楽との出会いも 自分から動くことがいかに大事かを思い知らされました。

・SPEED METAL SYMPHONY/CACOPHONY(87)
ネオクラシカル系超絶速弾きギタリストが隆盛を極めていた時代に 若いスーパーギタリスト2人がタッグを組んで生み出されたカコフォニー... 久々に超絶ものを聴きたくなったので、 まだ聴いていなかった彼らの2枚の作品を入手しました。
特にこのデビュー盤ではその速弾きブームを象徴するかのような、 若気の至り的(ある意味筋肉番付的!)なスーパープレイを連発しまくっていて 超絶心を十分に満たしてくれます。しかしこの作品の売りはそれだけではありませんでした。
後にメガデスで開花することになるマーティーの稀有な才能を たっぷりと堪能することができるのです。 日本の演歌をこよなく愛し、ウリ・ロートとマイケル・シェンカーとイングウェイを 合体させたようなコテコテ&クサクサフレージングがたまりません!
今は全く別々の道を歩んでおり、再結成不可能な彼らのデビュー盤は メタルの歴史を感じさせる意味でも重要な作品といえるでしょう。

・HATE CREW DEATHROLL/CHILDREN OF BODOM(03)
チルボドの久々となる2003年新作。
作曲力、演奏力ともに相変わらず超強力で、 多くのフォロワー達に格の違いを見せ付けているかのようです。 現在彼らがメロデス界の頂点に君臨していることを知らしめるに十分な内容となっています。
バンドはまさに順風満帆といった感じで文句の付けようが無いのですが、 その分デビュー時に持っていた危険なにおいが感じられなくなり、 初期の頃のイモっぽいクサクサフレーズが大幅減少したのが ちょっと残念だったりします。 (といっても今更後戻り出来ないでしょうけど!)
次作のジャケットは緑に確定ですね!

・BLUE YONDER/PILOT(02)
いまだにCD化されていないTWO'S A CROWD(新たなる離陸)を1977年に発表後、 文字通り離陸したままずっと帰還することの無かった スーパー・ポップ・バンド、パイロットがなんと25年振りに帰還!... これはもうマジックを通り越して奇跡です! (たとえるなら風船おじさんが今頃戻ってきたような感じ?)
CD化できないならレコーディングし直しちゃおう... といわんばかりにTWO'S A CROWDの楽曲の中から8曲を再録し、 さらに新曲、75年当時のライブ、1stの曲の再録を追加収録しています。
パイロットファンならまず1曲目(というか一音目)で倒れるでしょう!... ギターのアルペジオ&音色、ボーカル、 ハンドクラップ!、そして最も大事なパイロット節全開のキャッチーなメロディ... なにもかもがあの1st当時のパイロットそのもの! その他も、イアンのジェイ・グレイドンばりの流麗なギターソロがたっぷり楽しめる5曲目、 スーパートランプ(というかあの曲!)をなんとなく連想させる8曲目など 素晴らしい曲ばかりが揃っています。
年齢的なものもあってか、1st〜3rdに比べてやや大人っぽい仕上がりになっていますが、 メロディの質の高さに関しては全く変わっていません。 これがラストフライト(notタイフォン(笑))にならないよう まだまだ頑張って飛び続けて欲しいと思います!
またオリジナルと聴き比べしたいのでもちろんTWO'S A CROWDの再発も あきらめずに待ちたいと思います。どうかよろしくお願いします! > 関係者の方々

・A NAP GYERMEKE/MYSTERY(02)
ハンガリーのクイーン!という宣伝文句につられて買って来たアルバム。
ビートルズの遺伝子を受け継いだバンドは世界中に星の数ほど存在しますが、 クイーンも同じことが言えるほど偉大で特別なバンドであることをあらためて感じます。
さて肝心の内容ですが、コーラス、ピアノ、ギター、オペラティックな曲展開... どこをどう聴いてもクイーンに影響されまくっています。 (母国語の響きのおかげで多少歌に違和感はありますが...)
全体的サウンドはクイーン8割+シンフォ2割といった感じなのですが、 そのシンフォ部分が同国最強シンフォRUMBLIN' ORCHESTRAの域に 全く達しておらず、あくまで辺境B級シンフォレベルなのが残念です。
クイーンのエッセンスを受け継いで、 ドラマティック・ハード・ロックに仕上げたヴァレンタインや、 独創的なポップ・ワールドを生み出したヴァレンシアに比べると、 明らかに3段ぐらいレベルが落ちます!
こうして書いてみると全く気に入っていないように見えますが、 辺境もB級もOKでなによりクイーンが大好きなので、 結局何度も繰り返し聴いてしまっています。
とても多くの人にお薦めできるような内容ではありませんが、 気になるクイーンファンは聴いてみてください。
ただし苦情は受け付けませんので!(笑)

・II/POTRET(97)
インドネシアの音楽シーンを代表するポップユニットの2nd。
女性ボーカル+男性2人という3人組で、 基本的にアコギを中心とした演奏の中を、 魅力あふれる女性ボーカリスト、メリーが表情豊かに歌い上げていきます。
アレンジが爽やかで耳にとても心地よいので、 音を聴いただけではインドネシアのポップスだなんて誰も思わないでしょう。 このおしゃれなサウンドを一言で表現するなら「インドネシアのカーディガンズ!」 といった感じです。ただラス曲だけはちょっとパクリ過ぎですが! (カーディガンズの代表曲カーニバルそのまんま... GODBLESSの1st時代からインドネシアはパクリがお家芸なのかも!)
とはいうもののこのユニットは、ロックシーンにおけるDEWAと同様、 近年のインドネシア音楽シーンの充実ぶりを存分に示す最良のサンプルだと思います。
今回入手した1st〜3rdに関してはほぼ同じぐらいの高いクオリティが保たれているので、 恐らくどの作品から聴いても良いでしょう。
初期カーディガンズやクラウドベリー・ジャムが好きだった方には特にお薦めです。

・THE BIG PICTURE/COTTON MATHER(01)
神からジョン・レノンの声を授かったロバート・ハリスンを擁する コットン・メイザーのKONTIKIに続く2001年新作。
本作も最大の武器であるジョン声を前面に押し出し、 ビートルズ風アレンジをばっちり決めた佳作となっています。
ただ今回は前作に比べメロディがやや弱く、アレンジや演奏の徹底振りで負けているのが ちょっと残念です。
アルバムの色としては、前作KONTIKIが青盤(ビートルズ後期)だったのに対して、 今作では赤盤(ビートルズ前期)を連想させます。 個人的に後期が好きなせいもあるかもしれませんが、 前作KONTIKIのほうが出来が良かった気がします。でもやはりこの歌声には弱いです!
ビートルズはもちろんミラクル・ブラーあたりが好きな方に聴いて欲しい一品です。

・HOLY WAR/DRAGONLAND(02)
スウェーデン期待の新進ドラマティック・スピード・メタル (早い話がソナタ・アークティカ系)・バンドの2nd。
本作はあのフレデリック・ノルドストロームのプロデュースもあってか、 デビュー盤当時の勢いをそのままに、様々な面で格段の進歩を遂げています。 とりあえずB級バンドの枠は抜け出したといって良いでしょう。 バンドメンバー自身の成長も大きいとは思いますが、 やはり名プロデューサーの力量の大きさを感じずにいられません。
バンド名、アルバムタイトル(川田利明かっての!)そのまんまの コテコテでクサクサで疾走しまくりなサウンドは その筋のファンの期待を全く裏切らないものとなっています。
日本では羽賀研二の日本語カバーでも有名 (「よ〜せよ」で始まる歌い出しは本当によしてほしかった!)な、 ネバーエンディングストーリーのテーマのカバーが ボーナストラックとして収録されている国内盤がお薦めです。

・UP THE BRACKET/THE LIBERTINES(02)
イギリスから突如現れ、 たちまち話題になったパンク〜ロックンロール系バンドのデビュー盤。
基本的にパンクはあまり聴かないのですが、 この作品にはジャンル云々を超越する勢いを感じます。 演奏がどうとか、詞がどうとか、ピストルズの再来だとか... そんなことは一切関係なく、ただ理屈抜きに格好良いのです。 (それ以上の説明は必要ないです!)
誰にも止めることの出来ない荒々しさは、 きっと今後徐々に失われていくことでしょう。 この手のバンドの宿命かもしれませんが、 このデビュー盤が恐らく彼らの最高傑作になると思います。 (ファンやメンバーは反論するかもしれませんが!)

・THROUGH ANOTHER DOOR/BRAD LOVE(02)
豊富なアイデアとカラフルかつポップな音楽性で、 同時代のアメリカン・プログレハード系バンドとは一線を画していたAVIARY... その中心人物BRAD LOVEが長いブランクの後に発表したソロ作品。
シンプルでおとなしめの内容となっているため、 ゴージャスだったAVIARYの音を期待するとすかされるかもしれませんが、 そのぶんBRAD LOVEというアーティストそのものが浮き彫りとなっています。
恐らく音楽への愛情が深く、真面目で優しい人なんでしょう... アルバムを聴けば聴くほどそのように感じます。
なお彼のホームページによると、 なんとAVIARY自体も新作を出すようなのでとても楽しみです!

・RABBIT DON'T COME EASY/HELLOWEEN(03)
MASTER OF THE RINGS〜THE TIME OF THE OATH〜BETTER THAN RAWと と立て続けに傑作を連発し、一時は順風満帆に見えたハロウィンですが、 THE DARK RIDEで精彩を欠き、メンバー2名が脱退... と、バンドは瀕死状態に陥りました。
しかし彼らは今回も他のバンドから有望な逸材を発掘し、 的確な補強を行うことで、無事にバンドの危機を乗り越えることに成功しています。
野球に例えるなら巨人軍!のようななりふり構わぬ補強ですが、 それだけジャーマンメタルの代名詞ともいえる「ハロウィン」ブランドに 歴史と重みがあるということでしょう。
脱退組が結成したバンドMASTERPLANのデビュー盤に おける気合が空回りしたかのようなサウンドと比べ、完成度に格段の違いが感じられます。 この差はやはり「ハロウィン」というバンド名の持つ魔力そのものなのでしょう。 この名前を絶対に消してはならない!...という各メンバーの意気込みが最良の形で 表れた力作であり華麗なる復活作となっています。
このアルバムにより彼らは第3次黄金期のスタートを切ったと言えるでしょう。
わがハロウィンは永久に不滅ですっ!!

・CHEWY MARBLE/SAME(97)
2ndアルバムにおける親しみやすいメロディの凝縮ぶりに魅了され、 2002年にはまりまくったポップ・バンドのデビュー作。
この1stアルバムでは、まだメンバーに女性ドラマー&ボーカルである タミー・グローヴァーが在籍しているため 名盤2ndと比べて若干印象が異なり、ソフトロックっぽさも感じられますが、 ジェリーフィッシュをやわらかくした様なメロディ&アレンジセンスの 素晴らしさに変わりはありません。
後で知ったのですが、タミーはスパークスのツアーメンバーとして来日してたようです。 力量不足でバンドを脱退したのかと勝手に思ってましたが只者じゃなかったんですねー... 大変失礼しました!
2ndではチューリップっぽさを感じたのですが、 本作ではその他に杉真理っぽさも感じました! まさに日本人向けのバンドだと思います。

・MIND TRANSPLANT/ALPHONSE MOUZON(74)
ウエザー・リポートの初代メンバー、ラリー・コリエルとの活動などで知られ、 多くの作品を残しているスーパードラマー、アルフォンス・ムザーンの作品群のうち、 純然たる超絶ジャズロック作である本作が再発されました。
ムザーンの野獣のようなドラミングを嫌というほど味わうことができますが、 魅力は他にも存在します。ギタリスト陣が超豪華! なんとトミー・ボーリン、リー・リトナー、ジェイ・グレイドンの3人が参加しているのです。
トミー・ボーリンの演奏を聴いていると、彼はパープルに加入しなかったほうが良かったのでは? などと考えてしまいます。
それにしてもコブハムのデビュー盤に参加したトミー・ボーリンを起用するとは... ムザーンはコブハムをかなり意識していたのかもしれません。
恐らくいつの日かプログレ名盤紹介で紹介することになるでしょう。

・SO FIRED UP/LE ROUX(83)
近年ようやく再発されたメロディアス・ハード〜産業ロックの隠れた名盤。
美しいメロディが散りばめられたコンパクトな楽曲を 安定したバック陣がきっちりと固め、 トリリオンに在籍し後にトトの2代目ボーカリストとなる ファーギー・フレデリクセンの伸びやかなボーカルが歌い上げていく スタイルはきっちりと確立されています。 メロディアス・ハード〜産業ロックの教本的作品となっており、 完成度が高いだけに、本作がラストアルバムとなってしまったのはとても残念です。
恥ずかしながら国内盤帯を見るまで バンド名の読み方(=ル・ルー(普通は読めないですよね?!))を 知りませんでした!(^^;)

・INTERNATIONAL/CAFE JACQUES(78)
イギリスのスティーリー・ダンと評されるバンドの2nd。
ジョン・G・ペリー、ジェフリー・リチャードソン、フィル・コリンズらが 参加していることでプログレファンに有名なバンドでもあります。
渋くて知性的な大人のポップスといった感じで、 確かにスティーリー・ダンに酷似した部分も多いのですが、 「イギリス」というところがミソとなっています。
つまりいかにもイギリスらしくヒネクレ過ぎており、 スティーリー・ダンのような大衆性に欠けているのです! あまりにもマニアックでやり過ぎているため、 かなり前に1stを聴いた時も良さがわからず放置していました。
この2ndも当初はあまり良さが伝わってこなかったのですが、 「ラウンドアバウト」をパクったような展開があったり、 「ドリフの早口ことば」風の曲があったり、 メンバーの1人が80年代のタモリにクリソツ!(裏ジャケ参照) だったりと余計なことが気になって何度か聴いていえるうちに じわじわと彼らの魅力がわかってきました。
知性に関しては本家を超えているかもしれません。 1stも再度聴いてみようと思います。

・A SECRET WISH/PROPAGANDA(85)
t.A.T.u.が大ブームとなっていた頃、そんなに騒ぐのだったら... と店頭で実際に試聴してみたところ、 高校時代に聴き狂ったPROPAGANDAのサウンドを思い出し、 このアルバムをやたら聴きたくなり、すぐ家に帰って注文しました。 (結局t.A.T.u.は買ってません)
LPは持っていましたがCDを買って大正解、ZTTサウンドはとてもCD向きです。
彼らのサウンドは当時とても衝撃的でした。 (初遭遇はポッパーズMTVだったかな?)
YMO消滅と共に消え去ったテクノ魂が再び再燃するどころか、 過激でドラマティックでシンフォニックな楽曲、 ドイツ語なまりが独特の女性ボーカル、 そしてなんといっても 中世ヨーロッパで行われていた残虐な拷問を連想させるような、 妖しげで危ないイメージ...何もかもが新鮮で一時期 すっかり彼らに心奪われたのを覚えています。
このアルバムを聴いていた頃は、 プログレもメタルも全く聴いていませんでしたが、 今考えるとこの作品にはそのどちらの要素も含まれているように思います。 結局はまるべくしてはまった作品なんでしょう!
ちなみにこのCDを注文してから届くまでの間に、 t.A.T.u.は来日して例の騒動が勃発...人気は暴落してしまいました。 なんだかなぁ...

・OCEANS OF THE MIND/MARIO MILLO(02)
来日公演直前、予習用に慌てて買ってきたアルバム。
セバスチャン・ハーディやウインドチェイスから緊迫感を取り除いて リラックスさせたような感じの楽曲が揃っており、 想像をはるかに上回る力作となっています。
特にギターの表現力に関しては衰えるどころか、 さらに上積みされているようにも感じます。
このアルバムを聴いてライブが成功することを確信しましたが、 実際のパフォーマンスはアルバム以上に素晴らしいものでした!

・THE PROPHET OF EVIL/NOSTRADAMEUS(01)
スウェーデンのメロディック・スピード・メタル系新人バンドの2作目。
現在の充実した同シーンを考えると、 彼らに目新しさや突出した箇所はほとんど存在しません。
しかし今の時代にあえて「守護神伝」魂を貫き通したような、 イモイモでクサクサな展開の連続は、初期NOCTURNAL RITESのようであり微笑ましく、 下手に背伸びをしているバンドよりも単純に楽しめます。 (今後バンドが成長していくにつれきっとこの個性は失われていくんでしょうけど...)
しかし21世紀になった今でもノストラダムスとは... アルマゲドンにも同じことが言えますが、このままのバンド名で良いのでしょうか?

・THE 3-DIMENSIONAL IN-POPCYCLE DREAM/THE PILLBUGS(03)
抜群のポップセンスを持った脅威の新人バンドによる2作目。
他のポップバンド同様、基本中の基本であるビートルズから影響を受けていますが、 彼らの特徴はビートルズの初期〜後期全てをまんべんなくたっぷりと 取り入れているところでしょう。
また時折ビートルズだけで無く、トッド(6曲目)、クラトゥ(18曲目)っぽい曲も 収録されており、北米(アメリカ)のバンドであることを感じさせてくれます。 (トッドもクラトゥもビートルズの分身だ!と言われればそれまでですが...(笑))
初回限定でアルバムの世界をイメージした3D写真と専用メガネを 付けるというコンセプトは面白いのですが、 肝心の中身は、曲数が多いこともあってか、 アルバム全体を通すとややメリハリに欠けるので、 付録に使った分のお金をプロダクションに回し、 もう少し練って欲しかったように思います。
専用メガネはそれなりに大きいので場所をとって困ってます! (ユリ・ゲラーのCD買ったときもスプーンが邪魔になったっけ...)

・SNOW/SPOCK'S BEARD(02)
現代プログレシーンの大天才ニール・モーズ在籍時の ラスト作となってしまった2枚組。 (初回限定盤は、YESのカバー曲などを含んだボーナスCD付き3枚組!)
ドラマ「if もしも」のコンセプトのようなジャケットが物語っているように、 1人の男の人生を題材にしたコンセプトアルバムとなっています。
相変わらず、従来の「プログレ」の範疇にとらわることのない、 自由奔放な楽曲ばかりが並んでおり、完成度は極めて高く、 貫禄の仕上がりであり、ニール・モーズの音楽活動引退が現代プログレシーンにとって 大いなる損失であることを改めて感じます。
引退の理由は、「神の声を聞いたから」とのことですが(本当かどうか分かりませんが)、 もしそうであるならば、音楽の神様、是非ニールに「音楽活動を再開させなさい!」 との言葉をかけてあげて下さい!お願いします。

・IHRE GROSSTEN HITS/MUNCHENER FREIHEIT(92)
ドイツのポップ・バンドの92年時点でのベスト盤。
名作FANTASIE自体が80年代売れ線シングルを寄せ集めたような内容でしたが、 このアルバムはベスト盤なのでさらにチャッチーな曲ばかりが並んでいます。
アルバムを通じて最も耳に残るのは、やはりクイーン影響下の完璧なコーラスです。 その美しさは本家クイーンやビーチ・ボーイズに全くひけを取っていません。
オランダでヴァレンタインやヴァレンシアが登場する前に、 ドイツにこのようなバンドが存在し 国内チャートでそれなりの実績を残していたんですね...
FANTASIEからも数曲選ばれていますが、 アレンジが大幅に違っているものもあるので十分楽しめます。
ただそのFANTASIEのジャケと比べるとたった4年間しかたってないのに、 ルックスの劣化が進んでいるのがちょっと笑えます!

・TAKE A BREAK/ME FIRST AND THE GIMME GIMMES(03)
元祖メロコア・カバー・バンドの新作。
いまや海外だけでなく国内でも、 メロコアバンドが過去の名曲をカバーするという現象が 当たり前のように起こっていますが、 彼らはそのブームの元祖といえます。
ばかばかしく適当に演奏しているように聴こえますが、 選曲、アレンジ、演奏などどれもきちんと計算され尽くしています。 (HELLOは普通取り上げないでしょう...) 寄せ集めバンドとは考えられない抜群のチームワークも相変わらずです。 TRANSATLANTICじゃないけれど、みな本来在籍しているバンドを脱退して このバンドに専念してくれないかなぁ...なんて思っちゃいます!
今回の選曲はライオネル・リッチー、スティービー・ワンダー、ジャクソン5... とブラック系でしたが、今後はどんな曲をカバーしてくれてるんでしょう。 そのうちサイケ、メタル、そしてプログレに挑戦してくれないかなぁ...

・33/M.EFEKT(81)
FERMATA、COLLEGIUM MUSICUMらとともにチェコのプログレ界を形成し、 生き抜いてきたM.EFEKTのラスト作。
長い活動を経てバンド名や音楽性をさまざまに変化させてきた彼らの 最終到達点だけあってその歴史を感じさせる重厚な内容となっています。 3人になってしまったメンバー各自が己の才能を 全て出し尽くした究極のテクニカルシンフォであり、 超絶技の連続による華やかな演奏と哀愁漂うボーカルが混じりあった音楽性は チェコのUK(2nd時)とでも表現したくなります!
時代背景もあってか彼らの作品の中では最も洗練されています。 この作風で活動を続けて欲しかったなぁ...

・THE WELL'S ON FIRE/PROCOL HARUM(03)
ブリティッシュ・ロックの重鎮プロコル・ハルムの2003年復活作。
「青い影」のイメージがあまりにも強い彼らですが 本来の音楽性はイギリスらしい重厚なセンスの他に、 ザ・バンドのようなアメリカっぽさを持ち合わせたユニークなものであり、 この新作も彼ら本来の路線の曲が続いています。
デビュー時からゲイリー・ブルッカーの声質も手伝って渋さを醸し出していたこともあって、 30年以上の年月を経ているにも関わらず違和感がありません。
しかし気を許していると最後にとんでもない落とし穴が待っています。 なんとラストにはそれまでのアルバムの流れを断ち切った 「青い影'03」とでも呼びたくなるような感動的な泣き曲が待ち構えているのです! 「青い影」の大ヒットが足かせとなってしまった彼らの歴史を、 逆手にとって楽しんでいるかのように感じました。
来日公演ではこのアルバムの曲も是非演奏して欲しいです。

・THE CORAL/SAME(02)
60年代サイケの隠れた名盤発掘か?と錯覚するようなジャケットですが、 2002年デビューのイギリスの6人組バンドの1stです。
内容はジャケットの期待を決して裏切らず60年代サイケサウンド一直線!... ボーカリストの声質やオルガンの音色からドアーズを連想させます。 (当然ジム・モリソンのような毒や危なさは無いですが...)
同路線のROCKFOURやTHE JEEVASに比べると若干押しが弱いのですが、 それでも十分個性的であり、仕掛けも多いので楽しめます。
今後どのような成長を見せてくれるんでしょうか? 2ndも出たようなので楽しみです。

・THE ODYSSEY/SYMPHONY X(02)
ネオクラシカル系プログレメタルを追求し続けるシンフォニーXの6作目(ライブ盤除く)
相変わらず凄まじいパフォーマンスの連続ですが、 なんといっても今回の目玉は、壮大なオーケストレーションで始るタイトル同名組曲でしょう。 彼らの新しい一面を存分に味わうことの出来る素晴らしい内容ですが、 ドリーム・シアターのSIX DEGREES〜(DISK 2)の影響を強く感じます。 前スタジオ作「V」がドリーム・シアターのメトロポリス2に触発されたような コンセプトものだったことを考えると、 相変わらずドリーム・シアターから多くのアイデアを拝借し続けているように思います。 そのことを考えるとオリジナリティの部分で弱いようにも思えますが、 彼ら自身の「現状維持にとどまらず、常に新しいことに挑戦し続けよう」という 強い意気込みは十分伝わってきます。
ボーカリストであるラッセル・アレンの表現力がさらに増しており頼もしく感じましたが、 同時に体重も増量しているようでちょっと心配です! (このままだとマイケル・ロメオを抜くかも?!)

・THE SPIDERS FROM MARS/SAME(76)
日本ではなく、火星の「スパイダース」唯一の作品!(笑)
この作品もとうとうCD化されたんですね。 一般的なロックファンにはデビッド・ボウイのバック・バンド、 プログレ・ファンには幻のバンドであるケストレルの名ギタリスト、 デイブ・ブラックが参加したバンドとして知られていると思います。 (いずれにせよマニアックですが)
私は後者であり、ケストレルの魔法のようなサウンドを溺愛していたので、 その昔それなりのお金を出してLPを買ったものの、 ケストレルのような美しさや泣きが感じらないストレートなロックサウンドに がっかりして数回しか聴かなかった思い出があります。
今回改めてCDで聴きなおしたところ、 メンバー全員のテクニックは相当高いし(元々ボウイのバック・バンドなので当然ですね)、 ハスキーな声質でソウルフルに歌い上げるボーカルは爽快だし、 メンバー全員が作曲に携わっていることもあって様々なタイプの曲が楽しめるし、 なんといってもデイブ・ブラックの伸びやかで艶やかなギターがたっぷり味わえるし... これはこれで素晴らしい作品であるということをやっと認識できました。 いわゆるニッチなポップ・ロックとして考えると隠れた名盤といえるでしょう。
10年以上もの年月を経て様々な音楽を聴いてきたおかげで、 彼らの良さにやっと気付くことが出来ました。

・SECRET VISIONS/VIRTUOCITY(01)
フィンランドの名門SPINEFARMから送り出された強力なメタルバンドのデビュー盤。
ギターとキーボードがクサいネオクラシカルフレーズを こぞって弾きまくるありがちなスタイルながら、 さすがは名門出身だけあってそんじょそこらの新人バンドとは異なり ツボをしっかりと押さえています。
荒々しく音をねじ込んでいくギターも良いのですが、 場面に合わせて数々の音色を使い分けるキーボードの奮闘が目立ちます。
オーケストラ・ヒットの連打、クラシックからのフレーズ引用、 そして何よりドラマーが同じだけあって、 初期チルボドを連想させる場面が多いです。
疾走曲以外の楽曲はやや退屈に感じますが、 疾走曲の内容が相当良いので ネオクラシカル〜ドラマティック〜スピードメタル系のファンなら買って損は無いと思います。

・PALEOPHONIC/THE RUBINOOS(99)
地道に活動を続けるアメリカのポップ・バンド、ルビナーズが近年発表した傑作。
悪意を持ってメンバーを描いたような劣悪なアルバムジャケット (一番右なんてベンゲル監督みたいだし!)からは想像つかないような、 ビートルズを明るく爽やかにした感じのポップな曲ばかりが並んでいて心地良いです。
ただしラストだけは雰囲気が異なります。 日本人なら誰もが知ってる「ニューヨークへ行きたいか〜!」でお馴染みの アノ曲をベンチャーズが演奏したような終わり方で意表をつかれました! (個人的にはこの手の風変わりな面をアルバム全体に散りばめてくれると もっと好みなんだけど...)
とにかくアルバム全体にみずみずしい雰囲気が漂い音が弾け飛んでいます。 とても彼らが70年代から活動を続ける大ベテランだとは思えません。
今までビートルズ影響下のバンド/アーティストを数多く聴いてきたつもりでしたが、 まだまだこんな傑作アルバムがあったんですね。 これからも探索を続ける限り、 まだ聴いていないビートルズ系ポップ作品にたくさん出会えることでしょう。 そう思うとうれしくなっちゃいます。

・ANTHEMS OF REBELLION/ARCH ENEMY(03)
IN FLAMES同様、とうとうフレデリック・ノルドストロームのもとを 離れて作り出された2003年新作。
やはりプロデューサーを変えたことにより音の質感に変化が見られます。 肉体改造を行い体脂肪を極限まで減少させたような感じで切れ味が増しています。
しかし本作ではもっと大きな変化が起きています。 それは曲作りであり、彼らの最大の武器ともいえるアモット兄弟の流麗なソロが かなり封印されているのです。
ところが2人のギターが数歩後ろに下がることで、 強固なリズム隊と凶暴なボーカルがクローズアップされ、 バンドとしてのまとまりをずっしりと感じとることができます。
ギター弾きとしてはちょっと淋しいですが、これはこれでありでしょう。 相変わらず格好良いことに変わりは無いのですから...

・FALLEN/EVANESCENCE(03)
アメリカで大成功をおさめて話題となった超大型新人バンドのデビュー盤。
今までにありそうでなかったタイプの新たなサウンドが完璧な形として 作り上げられています。これだけ完成度が高ければ売れて当然でしょう。
プログレファン、メタルファンなどのマニアックなファン層を 十分に唸らせるだけの要素を持ちながら、 普段あまりロックを聴かない人をも魅了するようなポピュラー性をも 持ち合わせているのが彼らの最大の魅力だと思います。
叙情的な楽曲とエイミーの繊細な歌唱 (時折宇多田ヒカルが憑依してます!(笑))は絶品ですが、 何よりエイミーという才能豊かな女性ボーカリストの魅力を最大限に引き出すために、 ありとあらゆる手法を駆使し丁寧なアレンジを施した プロダクションが光ります。

・SINGULARITY/THIRD PERKINS(95)
カナダの一風変わったマイナーバンドのデビュー盤。
90年代イギリスの正統派ギター・ロック・バンドが、 何を思ったかプログレの要素(フロイド3割+クリムゾン7割)を取り入れた ような独創的な作風です。
典型的な「プログレポップ」とは異なる次元で、 プログレとポップが同居したサウンドは不思議な魅力を持っており、 プロダクションの貧弱さを忘れて彼らの深遠な世界に引き込まれてしまいます。
フロイド色を感じさせるRADIOHEADは大ブレイクしたので、 このバンドも少しは話題になっても良さそうなんですが、 結果を残せなかったようです。
カナダは彼らやHAMADRYADのように、 突然変異的スタイルの才能豊かな新人バンドの出現率が高いように思います。 (残念ながら人知れず消えていくパターンが多いんですけど...)

・UNION/PUYA(01)
1stが衝撃的だったプエルトリコ出身のスーパー・ミクスチャー・バンドPUYAの2nd。
デビュー盤と比べるとクオリティは向上していますが その分音がまとまりすぎて少々もの足りなく感じます。 (デビュー盤に出会った時のファーストインパクトが凄すぎたのかもしれませんが...)
ただラテン、スラッシュメタル、ヘヴィーロック...様々な音楽要素が 交錯する彼らのスタイルはやっぱり新鮮で面白いです。 今回も縦ノリと横ノリが交互に繰り返される展開に体がよじれそうです!
ミクスチャーといいながらも、意識して作られたスタイルではなく、 プエルトリコという特殊な環境(ラジオ局が2つしか無く、片方はラテン系、片方はヘヴィー系!) から自然発生したものであるところがポイントでしょう。
ラスト曲では一瞬日本語が出てきてちょっとビックリします。

・KEYHOLDER/KAIPA(03)
21世紀に突如復活したカイパの2作目。 前作がとてつもない傑作だったので、 無事バンドが継続していることが非常に喜ばしいです。
本作も70年代から現代まで受け継がれてきたシンフォニック・ロックの 歴史の深さを感じさせるボリューム満点の感動的な内容となっています。
独特な音色で唸りをあげるハンス・ルンディンのキーボードと、 ロイネ・ストルトのギターがお互い呼応するかのようにして、 時にスリリングに、時にメロウに、時にファンタジックに... と表情をめまぐるしく変化させながら美旋律を奏でていきますが、 アルバム全体は壮大な世界観でやさしく包み込まれていることに気付きます。
少し気になるのは、サウンドがさらにフラワーキングスに接近した点です。 フラキンメンバーが参加しているのである程度致し方ないですが、 次回は差別化を図って欲しいと思います。
ジャケのモンスター風キャラは近年のディズニーCG映画を連想させます。

・GILT-FLAKE/BRAD JONES(95)
アメリカン・パワー・ポップ界を陰で支え続けるブラッド・ジョーンズ唯一のソロ作。
なんともスキャナー泣かせの変形ジャケットです。(デジカメを使いました)
彼がプロデュースしているコットンメイザーをラフにしたような感じの音ですが、 良く聴くと緻密に計算されていることがわかります。
アルバム製作前に離婚したのが良い方向に働いたのか!、 ポップな曲ではいろいろな遊びを取り入れていて楽しく、 バラードはしっかりと泣かせてくれます。
しかしこれほど才能が豊かだとは思いませんでした。 なんとかプロデュース業をしばらくお休みして 早く次のソロを製作して欲しいです。

・ARMAGEDDON/PRISM(79)
サーカス同様、プリズムという名のバンドは 日本をはじめ世界中にいくつか存在しますが、 彼らはカナダ出身のプログレ・ハード系バンドです。
名プロデューサーである故ブルース・フェアバーンが 才能あふれるミュージシャンを集結して作ったバンドなので、 充実期に発表されたこのアルバム(3枚目)のクオリティもめちゃくちゃ高いです。
キャッチーでロック色が強いサウンドは、 スティクスやボストン等を連想させますが、 彼らの数々の名盤と比較しても全く遜色ありません。 もっともっと評価されるべきバンドだと思います。
意外だったのはあの「ブライアン・アダムス」が3曲に関連していたことです! (個人的にはブライアン・アダムス=レックレスで、 プログレと全く関連性の無いイメージなのでかなりビックリしました。) 2曲目はなんとなくカーズの名曲YOU MIGHT THINKっぽいです。

・OPEN YOUR EYES YOU CAN FLY/FLORA PURIM(76)
ジャズ・ロック/フュージョンのパイオニア的存在といえる 初期RTFに在籍していた女性ボーカリストのソロ作。
旦那のアイアートはもちろんのこと、ジョージ・デューク、ロン・カーター、 エルメート・パスコアール、エグベルト・ジスモンチ... といった凄まじい顔ぶれによる軽快な演奏が心地良いですが、 あくまでもその上を自由奔放に歌い上げるフローラのボーカルが主役です。
そのイメージはまるでアルバムジャケットそのもの... 美しい鳥が自由に空を飛び回っているかのようです。
ジャケットも含め超名盤「カモメのチック!」のブラジル版といった感じですが、 その中の名曲SOMETIME AGOも収録されているので聴き比べるのも面白いです。
RTFの時にも感じましたが、 フローラのボーカルはエレピとの相性が抜群ですね。

・REENCUENTRO/ANACRUSA(95)
アルゼンチン究極の叙情派アナクルーサの再結成作品!
過去の名曲が散りばめられているせいもありますが、 繊細なアコースティック楽器を中心に、民族的アプローチを織り交ぜながら 雄大なスケールで怒涛の展開を繰り広げるその姿は 名盤EL SACRIFICIO、FUERZA....の頃と本質的に何も変わっていません。
奥様愛の劇場的(^^;)なクサクサで叙情的な泣きメロも昔のままです。
それにしてもこんなにも美しく感動的な名作だったとは (安易な再結成ものだと思って甘くみてました)... これだけ質の高い楽曲が作れるのであれば、 まだまだ作品を残し続けていって欲しいと思います。

・THE MUSIC THAT DIED ALONE/THE TANGENT(03)
PARALLEL OR 90 DEGREESの主要メンバーANDY TILLISONを中心とした シンフォ・プロジェクトのデビュー盤。 (PARALLEL〜 → TANGENTとはなかなかシャレがきいてます。)
ほぼ同時期に発表された新生KAIPAの2作目同様、 ロイネを始めとするフラキン組がまたもや参加していますが、 70年代前半のデイヴ・スチュアートを想起させるアンディのキーボードと、 VDGGのデヴィッド・ジャクソンが活躍しまくっており、 70年代ブリティッシュ〜カンタベリーと現代的シンフォが 融合したような新鮮なサウンドが生み出されていてかなり面白いです。 (特にカンタベリーファンなら誰もが知っているハットフィールズの 名フレーズが絶妙のタイミングで飛び出す展開は最高!)
またもや楽しみなシンフォ・バンド(ユニット)が1つ増えて嬉しい限りです。
それにしても、TRANSATLANTIC、新生KAIPA、THE TANGENT... ロイネおよびフラキン組のポテンシャルは凄まじいです。 肝心の本家フラキンが近年、作品の方向性がぼやけやや低迷気味なのが 勿体無く思えます。

・SPARTACUS/TRIUMVIRAT(75)
ドイツのELPと呼ばれる名キーボード・バンド、 トリアンヴィラートのリマスター再発(長い間待ち続けました)を 少しずつ聴いているのですが、本作は彼らの3枚目であり、 中期を代表する名盤と呼ばれています。
しかしELPのパクリぶりも最高潮に達し大変なことになっています。 アルバムのサブタイトルをつけるなら「恐怖のトリロジー改革」 といったところでしょう!
スターキャッスルのデビュー盤と並び、プログレファンならいろんな意味で 押さえておくべきだと思います!
ただテクニック、メロディ、アレンジセンス、洗練度...様々な点で ELPタイプのバンドの中では図抜けている(もちろん本家を除いて... 対抗できるのはオランダのトレースぐらいでしょう)ので オリジナリティに目をつぶれば大いに楽しむことが出来る傑作といえます。 実際に私はとても気に入りました。

・DESERT ISLAND/CUSCO(80)
寝ても覚めてもYMOのことばかり考え、 頭の中で常に東風や中国女や千のナイフが鳴り響いていた子供の頃、 TBSの朝の天気予報(マエタケかウエザーりえが担当!)でバックに流れる やたら格好良いテクノ曲は絶対YMOの曲だと信じ込んでいました。 (当時周りの友人も同意見)
しかし貸レコード(友&愛!)に置いてあるYMO関連のLPを全て聴いても見つかりませんでした。 そんなある日、外人が生演奏している放送を見てYMOの曲で無いことを知り 愕然としたものの、アーティスト名も曲名もわからないまま20年近く経過... ようやく今になって「クスコ」の「アルカトラス島」であることを知り 収録されているデビュー盤を購入することができました。(全てネットのおかげ)
くだらない昔話が長くなってしまいましたが、この「アルカトラス島」を聴くと 当時の思い出(学校行きたくないなぁ...とか、雨降ってマラソン中止にならないかなぁ...とか)が 頭をよぎって何ともいえない気分になります。
本作は世界中の島々をコンセプトにしたスケールの大きなシンセ系インスト作なのですが、 「アルカトラス島」以外の曲も聴き応えがあったのはうれしい誤算でした。 シンフォニックな面もあり、どことなく郷愁を誘う「北海道」(←島扱いされてる!(笑))や、 泣きまくる「ヘレンキームゼー島」などは名曲だと思います。
なんとなく「ドイツの喜多朗!」とでもいうべき音楽性ですが、 初期YMOとマイク・オールドフィールドの両方が好きな人なら 結構いけるんじゃないでしょうか(ちょっと無理があるかな?!)

・LET IT BE/LAIBACH(88)
世の中が「LET IT BE...NAKED」で騒いでる中、へそ曲がりな私は 某所で行われた「ビートルズ・カヴァー5番勝負!」で飛び道具として登場した 本作を入手しすっかりはまってしまいました。
ビートルズのあの名作を、タイトル曲を除いてカヴァーしているのですが、 崩し方が半端じゃありません。 例えるなら原曲をハンマーでボコボコに滅多打ちしたあげくローラーで伸ばし さらにストッキングをかぶせたような感じでしょうか?! 言われないとカヴァーだと気付かない曲のほうが多いです。
一応基本はアヴァンギャルドなインダストリアル系で、 個人的にはこの手の音楽はあまり聴かないのですが、 原曲を知っているだけに素直に楽しめました。
原曲崩し系のアルバムとしてはパット・ブーンのあの大馬鹿アルバムをも 軽く超えているでしょう。
グロテスクで悪趣味かと思いきや、時折荘厳な美しさを垣間見せる 絶妙のセンスは、音楽性こそ異なるものの 同国スロヴェニアのデヴィル・ドールに近いニオイを 感じました。(一体スロヴェニアってどんな国なんだ?)
ONE AFTER 909のギターソロはバケットヘッドみたいにぶっ飛んでて格好いいです!
ちなみに...NAKEDも一応買いましたがまだ全然聴いてません!

・JUMP THE GUN/PRETTY MAIDS(90)
デンマークのベテラン・メタル・バンドによる傑作。 前作FUTURE WORLDに比べるとかなりポップになっています (後期レインボウのポップ化と似たものを感じました。)が、 曲が良いことに変わりはありません。演奏も冴えまくっています。
最近の様式美系メタルバンドと比べると明らかに異なるカラーを持っているので、 今となってはとても新鮮に聴こえます。
これでFUTURE WORLD、JUMP THE GUN...と聴いたことになりますが、 こんなにも内容が素晴らしいとは... どうやら最近の作品も含め本格的にチェックしないと駄目そうですね。
活動歴が長いのでチェックしがいがありそうです。

・DAMNATION/OPETH(03)
孤高のプログレッシブ・デス・メタル・バンドによる7作目。
そもそも曲の中で「動」と「静」を見事に対比させ、 様々なドラマを生み出してきた彼らでしたが、 今回は2枚のアルバム単位で対比、すなわち前作6th(未聴)は「動」のみ、 本作7thは「静」のみで勝負するという新たな試みに挑戦しています。 この姿勢こそまさにプログレッシブと呼ぶにふさわしいでしょう。
しかし「静」のアルバムと言いながらここまで徹底されているとは... デスボイスどころか激しさは皆無で寂しく淡々と曲が進んでいきます。 (デスはデスでも「安楽死」といった感じ?)
もはやここまでいくと完全にメタルでは無くむしろフォークに近い音楽性なので、 本作がデスメタル専門店でしか入手できなかったりするのが笑えます!
個人的には激しさが一切無いことにやや物足りなさを感じますが、 「静」の部分だけでこれだけ高純度の傑作を 作ってしまうのですから彼らの才能の豊かさには改めて驚かされます。
この作品でメタルファン以外の新しいファンを獲得することが出来るでしょう。 とりあえずアネクドテンあたりが好きな方は是非聴いてみてください。 メロトロンの使用頻度も高いですよ!

・LAND OF THE MIDNIGHT SUN/AL DI MEOLA(76)
ご存知スーパーギタリストの1stソロ。
彼のソロ作は、学生時代に数枚聴いたものの、 どれもアコースティック主体でおとなしく、 マハビシュヌ・オーケストラのような超絶バトルを期待していた当時の耳には 物足りなく感じたため、それ以来何も聴かずにきてしまいました。
しかし本デビュー盤では、過去の印象を一気に払拭する激しいジャズロック作となっています。 (当時この作品に出会っていれば良かったのに...)
ギタープレイは凄まじく中でもピッキングの正確さには目を(耳を?)見張るものがあります。 今聴いても凄いと感じるのですから、当時としては驚異的だったことでしょう。
チック・コリア、スタンリー・クラーク、レニー・ホワイトなどRTF組の他、 スティーブ・ガッド、アルフォンス・ムザーン...さらにジャコパス!と 参加ミュージシャンはかなり豪華です。
ただジャケ写真だけはペケ!...もうちょっとまともな写真無かったんでしょうか? 指名手配中の爆弾犯じゃないんだから...(笑)


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