ライブ・レビュー (2003)

2003年に見に行ったライブの感想です。




2003年に見に行ったライブ


2003.5.8 IVAN LINS & JOAO BOSCO ブルーノート東京
2003.5.12 TUCK & PATTI WITH A SPECIAL GUEST FRANK MARTIN ブルーノート東京
2003.6.30 OZMA 渋谷クラブクアトロ
2003.7.13 SEBASTIAN HARDIE & MARIO MILLO 赤坂BLITZ
2003.8.13 DEWA ゆうぽうと簡易保険ホール
2003.10.31 四人囃子、PROCOL HARUM 東京厚生年金会館



・IVAN LINS & JOAO BOSCO(2003.5.8 ブルーノート東京)

ちょうどLO BORGESやSOM IMAGINARIOの再発CDを聴きまくり、 ミナス派をはじめとするブラジル音楽に興味が集中していた時期だったので、 ブラジル音楽界の大物2人(...といいながら勉強不足で 彼らのことは良く知りませんでしたが(^^;))の公演はタイミングバッチリでした。
ますはジョアン・ボスコから登場、 バンド編成での演奏も良かったですが、 ソロでのギターによる弾き語りがとても情熱的で印象に残りました。 味わいのある歌声の響きはイタリアン・ロックの歌ものにも似ているように感じました。
その後に登場したイヴァン・リンス(どことなく元阪神のエモヤン似!)は、 ジョアン・ボスコが男らしく武骨な印象だったのに対し、 とても流麗で柔らかい感じです。さわやかで洗練された演奏が続けられていきました。
タイプは違えど2人に共通するのはラテン独特のうねるようなリズムです。 おかげでこちらもじっとしてみていられず常に体のどこかを動かしていました。
それにしてもブラジル音楽といっても、様々なスタイルがあるものなんですね。 これまではプログレやメタル系しか聴いてこなかったので その引き出しの多さに感服しました。 彼らの音楽には、ボサノヴァ、サンバ、ジャズ、ポップス、フュージョン、AOR... 様々な要素が交錯しており、 曲を知らなくてもブラジル音楽の奥深さを理解することができました。
パフォーマンスは熱かったものの、湿り気が少なく からっとした感じだったのでとても爽やかなステージングでした。 また全体的にハッピーな雰囲気に包まれていたのも良かったです。
特製トロピカルカクテルも音にマッチして美味しかった〜。(さすがブルーノート!)


・TUCK & PATTI WITH A SPECIAL GUEST FRANK MARTIN(2003.5.12 ブルーノート東京)

もう10年以上も前、 大学のバンドサークル内でかなり話題になったタック&パティ... 当時のアルバムTEARS OF JOYを聴いたときは 「一体どうやってギターを弾いているんだろう?」と心底驚いたものです。
この日は運良く最前列に位置することが出来たので、 タックの超絶技巧ぶりを目の前で存分に味わうことが出来ました。 「超絶技巧」というと観客にテクニックをひけらかすようなパターンがほとんどですが、 タックのそれは、デュオでの音楽を追求するにあたって 自然と生み出されたものであることを実感しました。 よって最初のうちは左手と右手の魔法のような動きや 繊細なボリュームコントロールなどに見とれていましたが、 曲が進むにつれ、次第にそんなことはどうでもよくなり、 いつの間にか彼らの音楽自体そのものにごく自然な形で耳を傾けていました。
パティには、想像以上にパワフルかつ繊細なボーカルと巨体を揺らしてのステージングに 圧倒されっぱなしでした。
しかし、個々の実力も素晴らしいのはもちろんのこと、 彼らの最大の魅力はデュオとしての一体感でしょう。 長年ステージを積んできた経験によるものだと思いますが、 まさにあうんの呼吸!...月並みな表現ですが「1+1=10」 を成り立たせるデュオのお手本のようです。 お互い理解しあっているために2人の間に張りつめるような緊張感は存在しません。 おかげで観客側も終始リラックスしてステージ楽しむことが出来ます。
ちょっとズルいのは、有名曲のカバー曲の多さ! シンディ・ローパーとフーターズで有名なTIME AFTER TIME、 故フレディ・マーキュリーの名ソロ曲I WAS BORN TO LOVE YOU、 そしてもはや説明の必要が無いLOVIN' YOU、CLOSE TO YOU... タックのOVER THE RAINBOWも含めサービスし過ぎです! これなら、ジャズをはじめ音楽をあまり聴かない人や ブルーノートに初めて来たような人でも、 どこかで聴いたことのあるメロディのおかげで楽しめたと思います。 (私ももちろん楽しめました。)
後半はスペシャル・ゲストとしてフランク・マーティンが登場。 シンセソロで素晴らしい感性を持ったアーティストであることを知らしめました。 が、タック&パティとの競演では 2人が作り出すの温もりのあるサウンドに対して、 フランクのシンセが機械的で冷たく感じられ、あまりマッチしていないように 感じました。(タック&パティの2人だけで完全なる完成形と言えるので、 2人の間に割って入るのはかなり難しいことだったようにも思います...)
しかし生ピアノでは、タック&パティの人間臭いサウンドを しっかりとバックアップできていたのが良かったです。 やっぱり生楽器は温もりがあって良いですね。 それまでの2人だけで作られた世界に新しい風を吹き込むなんて、 さすが「スペシャルゲスト」です!
とはいいながら、トータルで考えるとどうしても単なる「脇役」でした! タックとパティの間の絆が強固なので、これはもうどうしようも無いんですが、 ちょっとフランクが気の毒に感じられました。


・OZMA(2003.6.30 渋谷クラブクアトロ)

オープニングアクトにノーザンブライト (名前が馬名っぽい!...ノースフライト、メジロブライト、ノーザンテーストとか(笑)) が登場し、トッドの斬新なカバーを交えるなどなかなかのパフォーマンスを見せた後、 オズマが登場。どうも年代のせいか「巨人の星」を連想しちゃうんですが、 バンド名は「オズの魔法使い」から拝借しているとのことです。
ロックスピリッツあふれるパフォーマンスで、 泣きメロを前面に押し出してハードに突っ走っていきますが 時折ちょっとひねくれるところが楽しいです。 音楽性だけでなく 全体的にどこか垢抜けてない雰囲気からバイクライドあたりを連想しました。
いろんなタイプのメンバーを寄せつめた感じで、 動きやキャラクターがバラバラでしたが、音はしっかりとまとまっていました。 特にキーボーディストの女の子は愛らしく、 声援に照れたりするなどステージ上の動きがぎこちなくて、 まるで学祭の時の新人女の子バンドを見ているようでした。 しかし彼女の不思議なキャラは、彼らが 他のパワーポップバンドと一線を画すのに一役買っています。 演奏面でもキーボードだけで無くフルートを吹くなど貢献度は相当高いです。 (中々フルート入りのパワーポップバンドはいないでしょう)
どうやら日本びいきのようで日本語曲も披露してくれました。 かなり聞き取りやすい日本語で、 ベン・フォールズ・ファイブの「金返せ」よりも流暢だった気がします。 (結構練習したんでしょうね。)
またちょうどt.A.T.u.ドタキャン騒動のさなかだったこともあり、 オアソビでt.A.T.u.のフレーズを披露した後、一言「ムカツク!」と吐き捨てる場面もありました! 同業者である彼らにとっても許せない行動だったのかもしれません。
面白かったのは、彼らの一筋縄でいかない音楽性のおかげで、 会場全体がなかなか盛り上がらなかったことです。 後方から見ていたのですが、前方の観客がダイブしそうに盛り上がってきた途端 スカすような曲展開だったりして(笑)... しかしラストは「これじゃいかん!」と言わんばかりに、 バンド、観客が一体となって場内は十二分に盛り上がりました。 ダイブも連発して一安心です。 さすが多くのライブをこなしているだけのことはあります。
まだ発展途上にあり今後も様々な音楽要素を吸収しぐんぐん成長していくのでしょう。 いろんな可能性を秘めているので、 小さくまとまらずに成長を続けていって欲しいと思います。


・SEBASTIAN HARDIE & MARIO MILLO(2003.7.13 赤坂BLITZ)

10年前では全く考えられないプログレ系アーティストの来日ラッシュが続いていますが、 ついにその動きはオーストラリアにも飛び火しセバスチャン・ハーディが初来日! これはもう見逃すわけにはいきません。
まずはマリオ・ミーロ・バンドからスタート。 最新作であるOCEANS OF THE MINDの収録曲が次々に演奏されていきます。
まるでフラキンがリラックスしたような演奏で、 マリオが数年前に見たロイネ・ストルトにダブって見えました。 (もちろん細かいところを一つ一つ比べれば違いはたくさんありますが...)
マリオはルックスも出てくる音も若々しく躍動感にあふれています。 PFMといいイルバレといい、メジャーバンドのフロントマンは 歳を取らないものなのかなあ...
ヨーロッパ系のバンド、アーティストとは異なる ゆったり&まったりとした緩やかな音の流れはなんとも心地よいです... これが南半球らしさなんでしょう。
サポートメンバーの一人はボーカル、パーカッション、拡声器を使ったりと大活躍... まるでフラキンのハッセのようでますますフラキンらしさを強く感じました。
それにしても新作を予習しておいて本当に良かったです。 素晴らしい演奏にも関わらず周りの盛り上がりが今ひとつだったのは、 場内の観客のほとんどが恐らく新作の予習をしていなかったためだと思われます! (皆さん予習しましょう!!) SPORTSCARなんかかなりいい曲だと思うんだけどなぁ...
ラストにはウインドチェイスの名曲HORSEMEN TO SYMPHINITYを演奏してくれました。 まさかウインドチェイスの曲まで演奏してくれるなんて思っていなかったので嬉しかったです。
休憩(ウインドチェイス音源が流れていました!徹底してます)をはさんで お待ちかねセバスチャン・ハーディの登場です。 先程の若々しいメンバーと比べると、マリオ・ミーロ以外は かなり年配者にみえました。特にベーシストは楽器がちゃんと弾けるのか心配になっちゃいました。 (マリオ・ミーロと同年代とは全く思えません!)
しかしそんな心配を一気に吹き飛ばす攻撃的なHELLO PHIMISTARでスタート。 演奏は全然大丈夫...というかマリオ以外のメンバーもルックスに 似合わず若々しく力強いので驚きました。 中でもドラマーのロック魂あふれるダイナミックなスティックさばきは 目を見張るものがありました。
その後も大作のFOUR MOMENTSをこなすなど起伏の激しい演奏が続きました。
マリオはマリオ・ミーロ・バンドではステージ前面を向いて観客へアピールしてくれたのに、 セバスチャン・ハーディではメンバーと向き合って横や後ろを向いていることが多く、 視覚的にはちょっと物足りなく感じました... が、それだけ楽曲が難解で集中が必要だったということなんでしょう。
マリオ・ミーロ・バンドのリラックスした雰囲気は一変し、 ぴんと糸が張り詰めたような緊張感がステージ上を支配していました。
マリオは随所でボリュームを駆使したヴァイオリン奏法を多用していましたが、 フットペダルではなくギターのボリュームをコントロールしていました。 絵的にはこちらの方が断然良いですね...共感しやすいですし。 またトレモロのエフェクトをかける場面が多かったです。結構お気に入りみたいですね。
その他マリオはギターのボリューム調整やフロント/リアのピックアップの切り替えを 頻繁に行っていました。エフェクターを使わなくても、 ギターにある基本的な機能の組み合わせだけで出てくる音がかなり変わるんですよね。 エフェクターに頼りすぎていない分、音に腰があるし、 細かいニュアンスも伝わりやすいです。さすがは真のスーパーギタリスト! ...とっても勉強になります。
アンコールでは大作WINDCHASEの後とんでもない隠し玉が待っていました。 なんとあのチューブラ・ベルズ(さすがに全部じゃないです!)が演奏されました。 マリオ・ミーロ・バンドのメンバーも含め、演奏者が1人ずつ登場し、 次々に人数が増えて音がどんどん分厚くなっていくというアレです! 2部編成で大所帯だったことを考えると良く考えられた幕の閉じ方だったと思います。


・DEWA(2003.8.13 ゆうぽうと簡易保険ホール)

急遽飛び込んできたインドネシア最愛のロックバンド、デワの東京公演話に 慌てて申し込んだところ送られてきたチケットはなんと1列目! 日本人客というかその前に観客は何人いるのか?... スタジオ盤は素晴らしいがそれなりに演奏できるのか?... などと考えながらハロウィン以来となる久々の五反田ゆうぽうとに入場。
1列目だと思って席を探していたらその前に特別席が存在していたんですね。ヤラレタ! まあそれでも十分近いんですけど。 さてこの後問題が発生...私の席と思われる場所と その周辺に何故かインドネシア少女の集団が陣取っていました。 何度も確認しましたがどう考えてもそこが自分の席なので、 ジェスチャーでアピールしたところ無事自分の席に着席することができました。 ちょうど正面という絶好のポジションでしたが、 少女の並びを私が分断してしまったためちょっときまり悪かったです。
前座にはセクシーな女性シンガーが登場、カラオケ状態で 宇多田ヒカルのオートマティックなどを含む数曲を歌い上げました。 インドネシア人男性客はセクシーなステージングに早くもヒートアップ! やはり日本人とはノリが違います。
前座が終った後、少女のうちの1人から 「友達同士で来ているので席を譲ってくれないか?」と英語で 頼まれたので譲ってあげたら少女たちはとっても喜んでいました。
さていよいよデワの登場です。 彼らがステージに登場するなりお祭りのような騒ぎがはじまりました! 場内は観客が少なく席が埋まりきっていませんでしたが、 インドネシア人の熱狂的な盛り上がりによって、 観客不足を十分にカバーしていました。
一緒に合唱するのはまだしも、座席なんか関係なく後ろの観客がどんどん前に出てきて ビデオカメラ、デジカメ、携帯のカメラ、使い捨てカメラ... 様々な機材で堂々と撮影しはじめたのにはとてもびっくりしました。 中には他の観客に頼んで、デワをバックに子供との2ショット写真を撮ってもらったりしてる人 もいてもうメチャクチャ...なんでもありの無法地帯です! 異様なムードにちょっとひいてしまいましたが、 この自由な雰囲気がインドネシアらしさなんでしょうね。
ギターやコーラスのサポートメンバーが加わっていたこともありますが 演奏はとても安定していました。 中でもONCEがこれだけ歌えるとは思いませんでした。 もっと線の細いイメージがあったんですが頼もしかったです。 メンバーの中ではやはりONCEがアイドル的存在なのでしょう。隣りの少女たちも ONCEがこちらを見るたびに盛り上がって大喜びしてました。
ANDRAのギターは華がありました。 またDHANIはキーボードだけでなくギターや歌を歌うことも多くかなり前面に出てきました。 ステージングをみるにDHANIはきっと目立ちたがり屋なんじゃないかな? 太くて独特なDHANIのオヤジ声はONCEの声とは対照的で味わいがあり、 MISTIKUS CINTAなどでのツインボーカルのコンビネーションは見事でした。
ステージと観客とのやりとりはほとんどインドネシア語で行われており、 ちょっと居心地の悪さも感じました。 インドネシア語が少しでも出来たらもっと楽しめたんだろうなあ。
ライブは2部構成でした。インドネシアじゃ当たり前なんでしょうか?
後半になると隣りにいた少女集団はいつの間にかいなくなっていました。 せっかく席を譲ってあげたのにどこいったんだー? 指定席制度に慣れていないのか?単に飽きっぽいのか?どっちなんでしょうね(^^;)
あと周りのインドネシア人を良く観察すると、自分が好きな曲ではメチャクチャノリまくっていながら、 そうでもない曲は座ってつまらなそうにしたり席を立ったりと、 自分勝手に気ままに楽しんでいるように見えました。(本当にデワのファンなの?) これも日本ではあまり見られない光景です。
打ち込みも多用していたとは思いますがそのことを感じさせない 温かいステージだったのが良かったです。
それにしてもメロディの美しさに耳を傾けて欲しいのに、 撮影にやっきになり、撮影が終わった途端満足した表情で後ろに引き上げていく人達が 多かったのはちょっと悲しくなりました(デワ撮影会じゃないんだから!)... まあどう楽しもうと自由なんですけど...
ARI LASSO時代の曲はおそらく1曲もやってくれませんでしたが、 その結果大好きな5th〜6thの曲をたっぷりと演奏してくれたので大満足のライブとなりました。
Tシャツとか売っていたら買おうと思っていたんですが、 グッズが全く売られていなかったのは残念でした。 CDも売っていないなんて... 彼らのCDは日本でなかなか入手しづらいので こういう時こそ売り込むチャンスだと思うんですけどね...次回は改善して欲しいです。
今回のデワ来日公演の話を知った時に、 細かい情報を事前にネットで調べようとしても全く検索に引っかからず、 不安に思ったことからも分かるとおり、 今回は宣伝や情報が十分に行き渡らなかったような気がします。 メンバーが素晴らしい演奏を繰り広げてくれたので、 日本人とかインドネシア人とか関係なく、多くの人々に見てもらいたかっただけに ちょっと残念でした。
個人的には3500円という値段でこんなに楽しんじゃっていいの? といいたいぐらいめちゃくちゃ楽しめました! また絶対に再来日して欲しいと思います。 そのときには日本人の観客が倍増しているといいなぁ...


・四人囃子、PROCOL HARUM(2003.10.31 東京厚生年金会館)

まずは四人囃子が登場。 前回見た時(スモーキー・メディスソとの合同公演)と同じ会場だし、 そもそもステージ上の動きが少ないバンドだし、演奏曲も限られてるし、 前回とさほど変わりないんだろうなぁ〜とあらかじめ思っていたせいもあるのですが、 新曲を交えるなどの工夫がみられなかなか良かったです。 前回よりも確実に躍動感が増しバンドらしさが出ていました。
代表的な名曲をしっかりと演奏してくれたこともあり、 やはり四人囃子は偉大なバンドだなあ〜と大満足...が!... それも休憩の間だけ(笑)...プロコル・ハルムが登場し演奏を始めた途端 四人囃子に対する思いはすぐに吹き飛びました。 あっという間に場内の空気は一変し、重厚で格調高いプロコル・ハルムの世界にすっぽりと包まれていきました。
ゲイリー・ブルッカーの声は全く衰えをみせていません。 当時のアルバムのまんまだったのでびっくりしました。 まあ、もとからオヤジ声なのでそう感じるのかもしれませんが(笑)... 曲によっては、歳を重ねただけあってますます渋みが増したようにも感じました。
もう一人の重要人物、マシュー・フィッシャーのオルガンも最高!...心に響きます。 やや音が小さめだったことだけが残念でした。 途中ユニークな動きを織り交ぜて場内を笑わせるなど、 面白いキャラだったのはちょっと意外でした。
この2人さえいれば...と言いたい所ですが絶対に忘れてならないのが巨顔ギタリスト!です。 この2人をしのぐ素晴らしいパフォーマンスをみせてくれました。
テクニカルかつエモーショナルに弾きまくるのですが、決して原曲の雰囲気を壊すことはありません。 それどころかドラマティック度を数倍アップさせてくれました。 文句無しにこの日のMVPだと思います。
聴きたかった曲をほぼ演奏してくれたのはとてもうれしかったです。 新旧さまざまな時代の曲があり、名曲の多さと歴史の重みを感じましたが、 どの時代の曲もブリティッシュらしい重厚なプロコル・ハルムの音であることに変わりはありません。 ゲイリー・ブルッカーの声でも同じようなことを思いましたが、 彼らはデビュー当時から渋いので、曲による時代の違いをあまり感じさせません。 プロコル・ハルムというバンドは古いとか新しいとかは一切関係なく、 時代を超越した存在だといえるでしょう。 様々な時代の曲が織り交ぜられているのですが、全く違和感無くスムーズに進行していきます。 (過去の名曲だけ盛り上がり、新曲になると突然しらける... といった安易な再結成バンドがどれだけ多いことか...)
終盤、新作のラストに収録されていた青い影もどきの名曲、 WEISSELKLENZENACHTのイントロで、 観客の一部が「青い影」と勘違いして瞬間的に盛り上がったのには笑ってしまいました。 (←新作を予習してないお客さんですね!)
感動の連続で興奮冷めやらぬうちにアンコールで「青い影」が飛び出すと 感動は許容値を超え、もうなにがなんだかわけがわからなくなりました! この曲が生で聴けるなんて本当に幸せです。 演奏中会場に天使が降りてきたように感じました!
とっても楽しくて、思う存分泣けて...スタジオ盤の何百倍も素晴らしい演奏内容でした。 彼らがこれほど強力な「ライブ・バンド」だったなんてうれしい誤算です。
度重なる感動によりフラつきながら会場を出たときには 「四人囃子??今日なんか演奏してたっけ??」と言いたくなるぐらい数億段の格の違いを感じました。 今回の企画は無理がありましたね...「対決」だなんてプロコル・ハルムに失礼でしょう。 事実全く「対決」になっていなかったし... (←決して四人囃子をけなしている訳ではありません。プロコル・ハルムが偉大過ぎただけです。)
この日のプロコル・ハルムは2003年に見たライブの中でダントツに輝いていました。



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