先輩尾久橋庵人氏から送られてきたルネッサンス公演簡易議事録(超番外編)

・RENAISSANCE(2001.3.16 東京厚生年金会館)

「○ィて○○よォー」(Dチョウ倶楽部)

さて、イロイロとご新郎を帆掛けしましたが、イってまいりました、公演貝。
ウワサどおり2時間たっぷりの高密度でした。一階一列、という生涯最高の 好位置での観覧(ただしXAという前代未聞のオキテ破りだった 増上寺のマキを除く)、迫力がありました。
オープニングは誰もが予想していた通り、 名作「燃ゆる灰」からCarpet of the Sun、たおやかな演奏と ともに、アニーさんの歌声が。何度も聞いたあの歌が すぐ目の前で……と最初の一瞬は実感がわかず、 VTRか、まさしく夢を見ているかのようだった。
小節の進行とともに演奏とVoがステージの空気を確かめていくかのように シまっていき、会場の空気をどんどん変えていく。
「うわっオイオイ、サビがくるぞ〜」。このときのココロは迫り来る昂揚感へ助走 と、 現実の残酷さに対する不安へのブレーキで落ち着かない、 そこに「See the Carpet of the Sun〜♪」「!!!っ」
コチコチに身構えていた当方なんか何処ふく風、 彼女は事も無げに"あの"アニー’sトーンで届けてくれた。
あの一コーラスが終わったときカラダもココロもハダカになれた。
一曲目で、バンド演奏とVoが実に安定していることを 見せ付けられた。嬉しい事がこんなに続けばひねくれてみたくもなるもの。
以下はさっきまでうろついていた小悪魔の負け惜しみの弁……
「しっかしさー、アニーはのっけからあのオーラを発して いたが、マイケル・ダンフォード(アコギ&作曲上の中心メンバー)なんか、 ただの人のよいオヤジだよー。(大苦笑)
くたびれたジャンパー(ホントは上質の英国製?)羽織って、オベーション かき鳴らす姿は、飲み屋でカウンターで一人で 酎ハイのんで、ほっぺからだんだんサクラ色に変ってってるただのオヤジ。
あまりにもオーラがなさすぎ。あまりにもフツーのおっさん。んーっ! いいのかヨ、アンタっ!おいらのマブタにはそんな姿、これっぽっちも浮かばな なかったぜぃ。とてもあのドラマチックな曲の数々を生み出してきた人物とは 到底思えんぞ。ステージ終わって新宿コマ周辺をふらついてたら、だーれも アイツだとは思うまいなー。くーっ(>_<)」

新作(復活作)からの曲が5曲ぐらいもあって、そんなステージに なるかもしれないな、と想像はしていたが、新作からの曲はかつての いわゆる黄金期ルネッサンスの曲と並んでも、まったく違和感が なかった。それどころか、演奏、歌とものり具合がすこぶる良く、 アルバムで聴くより格段に迫力があった。
また余談ではあるが、その晩のアニーは新作「トスカーナ」の 裏ジャケでみられる、暗いしおれた感じのイメージからほど遠く (なぜあんなカットを載せたのか疑問なくらい)、顔は少々ふくよかな感じさえして、 健康的でハツラツとし、充実感がみなぎっていた。これも予想外のヨロコビ。
「Dear Landseer」は自分が好きな曲でもあるが、 ささやくギター、空を駆けるスキャット、そしてマーチングドラムに 導かれるクライマックスを実際に体験すると、その曲中の展開のすべてがCDの 音よりずっと重奏的に聞こえドラマチック、ただ感動。
思っていたよりもはるかにライブ栄えしていて、これからの彼らのレギュラー レパートリーに加わっていくことだろうし、次回も是非リクエストしたい。
MCで、アニーは「この曲は、大好きな昔の画家がテーマで云々」と、 紹介してくれたが、途中、女王へのブラックジョークも飛び出し御愛敬モード、 ステージ上でリラックスしている様子がよく伝わった。
こうして一曲目でココロのモヤモヤが吹き飛んで、新作曲の出色の 出来を体験し、次々と繰り出される美しい曲・演奏を聞きながら思ったこと。
「これはセレモニー的な復活ではなく紛れもない『現役バンドそのもの』だ。 そして『新黄金期ルネッサンスの風格』が感じられる。」

さて、いろいろ。
未発表曲が2曲(だと思う)のうち、ピアノの伴奏だけで歌った 「Precious One」は浮遊感漂うナンバーで、心酔。
ただ、もう一曲の「アナンダ」(アジアンテイストな曲)は非常にまとまりが なく浮いていた。それまでの好演と違い、「???」で 「ちょっとけしからんなー」、と思った。 (MCによるとこれはルネッサンスではなくアニーの最新ソロアルバムに 納められた曲、らしい……。なぜココで?)
バンドは他にオリジナルメンバーのドラムスとツアーメンバーの 三人(ピアノ中心のKey + シンセ中心のKey の2名とベースwithコーラス) で、ステージ左のピアノKeyは夢劇場の「冗談・ルー(大柴)です」に似たなりを していて、ジャジーなインプロビ部や大ラス曲の展開部で ピアノの超絶!ソロもあり。(でも客席の反応鈍かったなぁ。かわいそー)
反対側に構えたKeyは(新作に顔写真が載っていたので新メンバーか) 白い衣装でヘッドセットマイクをつけテクノ貴公子風、と対象的。
大作がらみもKey2台にてなんの不足もなくオーケストレーションを 演出、おっさんの酎ハイ・アルペジオもリリシズムを醸しだし、ベースは スティングレイの5弦のピック弾主体で、ときにはオリジナルのバキバキな ベースサウンドをツボよく意識して演奏。
Northern Lightのイントロで演奏と歌がうまく合わなかった部分があったが、 それも事故的なこと、単なるハプニングであったことは、 Trip to the FairやMother Russiaといった難曲において、まったく破綻なしの 安定した演奏・バランスだったことが証明してくれた。
そのMother Russiaでのハーモニー・パートの凄さには 鳥肌&うるうる涙腺。「お伽話」からは「マイダス・マン」もやった。
個人的には「At the Habour」に涙してみたかったが、これはおあずけとなった。

アンコールは2貝も。一回目はオリジナル3名が ステージ最前部で椅子にすわってコンガと アコギとアニー。オープニングから裸足の歌姫はI Think of Youを しっとりと歌い上げてくれた。
そして、最後はやはり「燃ゆる灰」。イントロに鳥肌。やっぱいいねー。
歌いだしも、あの寂寞感×無常感漂うピアノの調べも。サビ部はマイケルと ベースのお兄ちゃんがフロントに立ってのコーラス、そしてギターの コードに導かれてスキャット、全盛期のステージを想像させる。
何とも奥行きのある、静かで饒舌な作品だ。
中盤のインスト部はベースソロ、ベースのお兄ちゃんは指弾きで パッセージを刻み、続くドラムパートではオリジナルメンバーの テレンス・サリバンが大奮闘!
スタイルがモダンになってたり、テクニックに走ることもなく、 「あの当時のノリ」が確実な演奏によって蘇ってくるのが何より嬉しかった。 そして瞬間、猛烈な形相、重なって出る音は凄まじい迫力、そんな ところも見せてくれた。
正直いってこんなに盛り上がるとは……ドラマーとは、ドラムソロとは テクの披露にあらず、と深く感動した!年齢的にVoについで きついパートとは思うが、なんと見事なドラムワーク!すばらしい! ベースとのインプロビもあり、互いにキメで目を合わせるときの瞬間の表情が 音の10倍の情報量をもって我々に届く。
一箇所、スティックの先端がパチッと合わさってしまった瞬間、 ありゃりゃっ、という表情で見せておいて、続くプレイになんら引きずること なしに快調に畳み込むところなんか余裕を感じさせて、すばらしい。
そしてVoがはいってスキャットを……これがまた神がかり的だった。
ハイトーンの連発!だけど、「もうすこし、あとすこし、そう、この音! ここでもっと! さぁもう一回! そう!」っと自身の限界に挑み、そして 越えていこうかという、何度も、何度も高音をひねり出す、 まさにシャウトしないシャウト!
こんな力唱姿のアニーはかつて見たこと(録音を聴いたこと)ないぞ! 渾身のチカラ、を振り絞っての叫び、決して向こう見ずにトライして ボロボロに散る美学ではなく、もっと上へ!という前向きにあえぐ 人間の姿がここに! どんなに叫んでもアニーの声はあの艶を 失っていなかった〜!まさに魂の声!
エンディングのAshes are Burning……the Way〜〜〜〜…… うぉ〜、ああ、このまま天界に引っ張りあげられてしまいそう……

Audienceは再結成モノ故か、オールドが多く、10代はほとんど 見当たらず、アンチ・スタンディング系だったが 最後はスタンディング・オベーション!もちろんMe,Tooというより 一足先に立ち上がってしまった、最前列で!これが座っていられるものかっ!
メンバーが肩を組んでご挨拶、みんな会心の笑みだった(ように見えたし、 本当にそうだったに間違いない)。

感動って、ホント、込み上がってくるものなんですね、未だにどこから来るのか わからないけれど。

今回の公演は録音テープを回しているらしいことがAnnieのページに 書かれているそうだが、そう考えると、演奏は堅実でアニーさんも 今晩のショウは記録に残すぞ、と気合い十二分にキメまくっていた のでしょうね。
そのうち今宵のライヴがCD化されると思うと嬉しいもんです。
「でも、絶対に収録モレ曲があってガッカリするんだよな、きっと」(by小悪魔)

いちばん上に書いたのだが、まったく「きィてないよォー」。 心にわずかながら油断があったことをココでお詫びしたい! どうもすみませんでした。ホンモノの凄さ、だった。
地球にはこんな人たちがいて、当夜、あの場所から全世界にむけて 至福ビームを発信していたのを、確かに目撃した。
以上、長くなったが公演貝簡易議事録でした。

これからHPを回って他人の感想を覗こう。他人様にはどう映ったんでしょ。

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追伸:ルネッサンス東京公演の件、2箇所の掲示板を読みました。
しかしさー、重箱の隅をつつくようなコトを「一言いっておきたい」ヤカラが 結構多いのに、びっくり。
アニーさん、日本でいえば巣鴨ギャル入門って年ですぜ。全盛期の 限界ギリギリパフォーマンスを今回の公演にねだるなぁっ!
そんなヒトがいたら「全盛期に手を抜いてまで長持ちすんなよっ」といっておき たーい。
全盛期比98%の高音が出ていたぞっ(ヒイキ目実感値)。これは一昨年あたりに出た アニーのソロライブでは、ご無沙汰の割に調子良かったとはいえあれは 「守りの歌唱」であったと感じられるほど、今回の「今の限界に果敢に挑戦し、 過去を乗り越えようとする姿をさらけ出した歌唱」は ズバリ150%の出来だと断言できるっ。

一緒に誘った相方は、聞けば「音楽コンサートは初めて」、と豪快な オコトバを放っていたが、長尺の曲や難しい展開に眠たくなるどころか、 「2時間があっという間」「演奏だけの部分では自分なりにイマジネーションが どんどん膨らんできた」「すばらしい歌声、きれいな曲が多い」 「映画のような展開のある曲」「このヒト(マイケル・ダンフォード)、前になんかの 映画音楽も担当してた人と同じヒト?」等の感想。
翌日は歌うアニーの手振りを思い出しながら、朝食時にもCDを流して、 聞いていたそうな。

……純粋感動ってやつ、これね。

では。公演記念レポ、おわり。



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