2018年に聴きまくったアルバムBEST30(+14)

年齢&病状&激務のせいで聴いた枚数がかなり減ってしまいましたが、 上位の作品はかなりリピートしました。
ダウンロード限定の音源も増えてますね... CD購入数も以前に比べじわじわ減ってきています。


No.1
・EVERYTHING BEAUTIFUL IN TIME/I AM THE MANIC WHALE(16)
イギリスの新人シンフォ・バンドによるデビュー盤。
随所で評価されているのでそこそこ期待していましたが、 まさかここまで素晴らしい力作だったとは...
イット・バイツとトランスアトランティックとムーン・サファリが 一度にやってきたような純度の極めて高い鮮烈なシンフォ作となっています。
日本人の琴線を直撃するメロディのみずみずしさは筆舌に尽くし難く、 2ndで失速しないか心配です。
メロディ派なら絶対に押さえましょう。久々に心底感動しました。

No.2
・ENIGMA/SEVEN SIDE DIAMOND(11)
カラフルなキーボードが主導権を握る ブラジルのユニークなプログレ・メタル・バンドの3作目。
いやはや参りました...ブラジルにこれだけ素晴らしいバンドがいたなんて... (まさにダイヤモンドの原石!)
メタルとシンフォとポップを行ったり来たりする振れ幅の大きい音楽性、 キャッチーさを常に忘れないメロディは、初期A.C.Tを彷彿とさせ、 個人的なツボを押されまくりです!
A.C.Tファンなら絶対に聴いてみてください。 予想以上の出来にびっくりすると思います。
本作以降に新作を出していないのがちょっと心配です。 (まあ、A.C.Tも長いブランクがありましたが...)

No.3
・THE POST HUMAN CONDITION/NO MORE PAIN(15)
アメリカの温故知新系プログレ・メタル・バンドによる2nd。
ドリーム・シアターがジェネシス、カンサス、フロイド、 レディオヘッド、キングスX、GG、ラッシュ...あたりを 取り込んだような絶妙な音楽性で、 次から次へと目まぐるしく場面が展開していきます。
年齢のせいもあり、長尺ものが聴けなくなってきているのに、 それでも最後まで聴きとおすことができる中身の濃さ、メロディの良さ、 アイデアの豊富さには脱帽...個人的には名盤だと思います。
もっと話題になっても良いのになあ。

No.4
・LIVE 1977/DICE(13)
うわー懐かしいッ! 北欧シンフォに目を向けるキッカケを与えてくれた 個人的思い入れ特大のシンフォ・バンド、ダイスが デビュー前に収録していたラジオ音源集。
こんな貴重過ぎるお宝が出てくるなんて... 本当に生きててよかったです。
デビュー前とはいえ、 ギターのカリカリした音色、鮮やかなキーボードをはじめ 全てがあのダイスそのもので感動します。 みずみずしくフレッシュで透き通るような透明度を誇っています。
パフォーマンスも音質も最高で、 彼らが描いていく美しい世界にずっと閉じこもっていたくなります。
その昔発表されたライブ音源と比較したくなりましたが、 家のどこにあるのやら...

No.5
・GRAN JUKLE'S FIELD/THE NINES(07)
KLAATUの遺伝子をしっかりと受け継いだ カナダの極上ポップ・バンドによる2007年の作品。
クイーン〜ジェリーフィッシュな1曲目だけで 本作が傑作であることが確信できます。
もちろんその後ものびやかで温かいポール的なポップナンバーが続いていきます。
彼らはアルバムをたくさん出しているので追っかけ甲斐がありますね!

No.6
・SPLASH/7FOR4(14)
元SIEGES EVENの天才ギタリストWOLFGANG ZENKを擁する ドイツの痛快プログレ〜バカテク・インスト・バンドの4作目。
相も変わらず超絶ハイレベルなテクニック合戦をせわしなく繰り広げていますが、 難解さも堅苦しさも無いので、無条件に元気が出てきます。
決して無機質にならず、人間の限界にチャレンジしようとする アスリート的な熱い魂が聴き手の心を揺さぶるのだと思います。
やっぱり来日公演は見ておくべきだったなぁ...
そうそう、なにげにエリック・ジョンソンっぽい曲が収録されていますが、 これはこれでえらく格好良かったりします!

No.7
・LULLABIES FOR THE 21ST CENTURY/DUNCAN MAITLAND(10)
アイルランドのSSWによるソロデビュー作。
ビートルズ中後期の影響が感じられる、 しっとりと落ち着いたポップ作となっています。
さりげなく人肌の温もりを感じさせるメロディが秀逸で、 イギリスらしく品が良く、曇り空を連想させる落ち着いたアレンジと相まって、 聴くたびに心に染みてきます。
秋から冬にかけてピッタリくる傑作と言えるでしょう。
ジャケはDUNGENのTA DET LUGNTに似てると思うんですが、 偶然なのかな?

No.8
・SLAVE TO THE SWORD/EXMORTUS(14)
超絶高速ツイン・リードを武器に暴れまわる ネオクラシカル〜スラッシュ〜パワー・メタル・バンドの3作目。
インパクト絶大の神盤だったデビュー盤の後、 2ndで失速して多くのファンを失望させた彼らですが、 この3rdで見事にV字回復しています!
驚異的な突進力で爆走、2台のギターが互いにせめぎあうように 弾き倒していきます。まるでどちらが多く音をぶっ込めるか賭けをしているかのようです。
「月光」もベッタベタで最高です。この破竹の勢いは誰にも止められません。
このテンションを今後も持続できるかどうかが課題でしょうね。

No.9
・SYMPHONY OF THE NIGHT/NIGHTSCAPE(05)
スウェーデンの新世代バンドの作品。(といっても10年以上前だけど...)
初期のソナタ・アークティカを さらにさらに青臭くしたような透明度キラキラな作風となっています。
疾走曲の比率が高いもののちゃんと1曲1曲が耳に残るし、 スローな曲がまた良くできているし、 数多いフォロワーに比べると頭2つは抜き出ています。
楽曲の良さは特筆もので、 オリジナリティさえ気にしなければ 名盤と言い切って良い出来栄えです。
2ndを出して欲しいけど、これだけ時間が経っているので、 フレッシュさは失われているんだろうなぁ...

No.10
・SIEGFRIED/ALHAMBRA(12)
たまには普段聴かないようなものを... ということで、日本のシンフォ・メタルものを聴いてみました。
演奏技術は相当高くスリリングで、楽曲も嫌になるくらいクサく、 大好物の部類に入るんですが、 言葉が先に頭に入ってくる日本語ヴォーカルがどうにもこうにも...
しかし聴いているうちに、これはこれでありだと思えてきました。 (単に慣れただけ?)
国内ものもこれから少しずつ聴いてみようかな。

No.11
・ETERNALS/SEVENTH AVENUE(04)
ジャーマン・メタルの中堅バンドによる5th。
「うわ、なにこのガンマ・レイのデモ・テープ?!」 みたいな第一印象だったのですが、 これがなかなか侮れない佳作で聴きごたえがありました。
キーボードを入れず、シンフォに寄らず、 ギター2本の見事なコンビネーションで起伏のある楽曲を組み立てています。
ジャーマン・メタルの歴史と伝統を忠実に守っている姿勢は 好感が持てます。
まるでB級グルメの隠れた名店のようなバンドですね... 他のアルバムも聴いてみようかな。

No.12
・AMUSEMENT PARK/IKKUBARU(14)
少し前にマニアの間で話題になったインドネシアのシティ・ポップ・バンドの作品。
ようやく聴きましたが、さすがインドネシア!... こういう音は大得意ですよね〜。完成度はすこぶる高いです。
今の人たちにとっては逆にこういう音は新鮮に聴こえるところはあるでしょうね。
あの時代のアレンジが冴えわたっていますが、 なにより根本にあるメロディがとても良質なので、 中身の詰まった傑作に仕上がっています。
うまく時代の流れにも乗り、 作品に勢いがついて、説得力が増しているともいえるでしょう。

No.13
・WE LET GO/SUNDAY SUN(14)
立て続けに発表されたシングルがマニアの話題を集めた オランダのパワー・ポップ・バンドによる1stアルバム。
いわゆるプログレでいうところの(カヤックみたいな)オランダらしさとは 色合いが異なりますが、なかなか人懐っこいメロディが盛り込まれています。
さらにさわやかではじけ飛ぶようなポップな空気感が心地よいです。 演奏しているメンバーの楽しそうな姿が目に浮かぶようです。
個人的には青空さん風な2曲目にしてやられました。

No.14
・QUIEN TENGA ALGO QUE DECIR... QUE CALLE PARA SIEMPRE/DRY RIVER(15)
1stが超絶素晴らしかったスペインの 毒入りドラマティック・プログレ・メタル・バンドの2nd。
クイーン色がだいぶ弱まってしまったのは 個人的に非常に残念ですが、 その分可能性は広がっていて、カラフルになっています。
パープルや80〜90年代メタル(エクストリームとかミスター・ビッグとかが流行ってた頃) の要素をうまく取り込んでいてこれはこれで面白いです。
見せ場も多く、情熱的な歌唱には感情移入し、 思わず拳を握りしめてしまいます。
やっぱりグレイトすぎるバンドですねー。
生で見てみたいけど、まだ来日公演は無理だろうなあ...

No.15
・LA PROMESA DE THAMAR/SIG RAGGA(16)
アルゼンチンの歌ものシンフォ・バンドの3rd。
どれだけ注意して触れても壊れてしまいそうなほど、 ピュアで繊細な音が丁寧に紡がれています。
叙情の極みですね...紛れもないアルゼンチンの音です。
ふんわりとした母国語で歌われるヴォーカルと クリアなコーラスが美しいのなんの。
ただ収録時間はもうちょっと欲しかったなぁ...

No.16
・COYOTE/SAME(72)
アメリカの無名なロック・バンドによる72年発表の唯一作なのですが、 これが相当な掘り出し物でした!
ジェイムス・ギャングやジャニスのバック・バンドあたりを 彷彿とさせるホットでグルーヴィーなバンド・サウンドが たまらなく格好良いです。
基本はアメリカらしさ全開の土臭いロック・サウンドですが、 ジャズ・ロック的な側面も持ち合わせた内容から プログレ名盤紹介にも掲載したいと思います。

No.17
・STARCROST/SAME(76)
辺境の激レアシンフォみたいなジャケットが眩しい アメリカのレア・グルーヴもの。
こりゃ凄い!...メロウでグルーヴィーでファンキー... 天才が集まって狙ったとしても、こんなにピンポイントで マニアを狂喜させるような名盤にはならないでしょうね。
さらっとやってのけているところがクールです。

No.18
・LOMBA CIPTA LAGU REMAJA DASA TEMBANG TERCANTIK 1979/V.A.(13)
1977年から始まったインドネシアの作曲コンテスト「LCLR」の第三回目の音源集。
過去2回と比べるとさすがにポップ化し、小粒な印象を受けますが、 DEBBY NASUTIONが関わっていることもあってか、 あちこちにシンフォ要素が織り込まれているので、 全然楽しめます(メロトロンも使われてます!)
なにげに演奏もうまくて格好良いです。
基本ファンキーでポップなのに中盤で一瞬グリーンスレイド化する2曲目とか好きだなぁ〜。

No.19
・TIME MACHINE/SECRET FRIEND(13)
なんとライナス・オブ・ハリウッドやロジャー・マニングが参加している、 アメリカのポップ・アーティストのデビュー作。
ライナスやロジャーが参加したのは、 きっと彼の才能に惚れ込んだからに違いありません。
いろんなタイプの曲が収録されていますが、 どの曲もポップでわかりやすく、しっかりと耳に残ります。
女性ヴォーカルの参加がアクセントとなっていて、 楽曲の幅を広げているのもナイスです。

No.20
・FROM BEYOND/ENFORCER(15)
NWOTHMのシンボル的な存在である スウェーデンの王道メタル・バンドの4th。
今回もファンを唸らせる完璧な作品に仕上げています。
1stのころに比べると、構成に工夫がみられ仕掛けも増えていますが、 突進力、疾走感、ギラギラ感を維持しているのがうれしいです。
これからもこのジャンルで不動の地位を築いていくことでしょう。
今回は、ヨーロッパ、レインボウ、スコーピオンズ、ジューダス、メイデン、メガデス... 偉大な先輩たちの名フレーズが頭を過ってより楽しく聴けました!

No.21
・GIRLS ALIENS FOOD/THE SIMPLE CARNIVAL(12)
サブちゃんもびっくりの一人祭りぶりを披露する アメリカの卓録系ポップ・アーティストのデビュー・ソロ。
筋金入りのポップヲタクぶりを発揮した コンパクトでキュートなポップ・ワールドが楽しめます。
例えるなら、お茶の間のブライアン・ウィルソン、四畳半トッド・ラングレン... といった感じでしょうか。
ライナス・オブ・ハリウッドあたりが好きならはまること間違いなしです。
MISERYは名曲だと思います。

No.22
・GRETCHEN GOES TO NEBRASKA/KINGS'X(89)
現在も活動を続ける、孤高のハード・ロック・トリオによる初期の名盤。
1本でも折れない強靭な矢を3本束ねたような強靭極まりないパフォーマンスを 味わえます。
無駄なものを一切排除しながら、 躍動感とイマジネーションに満ちた演奏は、 ロック・トリオのお手本のようです。
今も昔も似たようなバンドを思いつかないところが素晴らしいです。
なんでも弾きこなすタイ・テイバーのギターには惚れ惚れします。 (特にリフの格好良さは異常!)

No.23
・AFRAID OF HEIGHTS/BROWN EYED SUSANS(03)
マニアの間では知名度の高いカナダのジェリーフィッシュ・フォロワーによる傑作。
勿体なくて聴くのがずいぶん遅くなっちゃいましたが、いいものはいいですね!
国内盤が出ていることからもわかるとおり、クオリティは相当高いです。 (ジェリーフィッシュ・フォロワーのほとんどがインディーズどまりでしたよね... CD BABYやNOT LAMEにはよく世話になったなあ...)
ジェリーフィッシュを知り尽くしたジェイソン・フォークナーの プロデュースも作品のレベルアップにかなり寄与していると思います。
メンバーは今どうしているんだろう?

No.24
・ZOOMING INTO FOCUS/TEXEL(18)
デンマークから出現したフォーカス・チルドレンによるデビュー盤。
なにからなにまで全てがあのフォーカスそのものです。
ギター、オルガン、フルート... フレーズ、音色、間の取り方まで 本当によく研究し尽くしていてびっくりします。
リリースを、本家フォーカスの新作リリースに合わせたのも 作戦なんでしょうか? (店内で流れていたら、フォーカスの新作だと信じる人が続出するはず。)
次はヨーデルに挑戦してね!

No.25
・MIR/TELEGRAF(18)
イスラエルから出現したキャメル・チルドレンによるデビュー盤。
なにからなにまで全てがあのキャメルそのものです。
ギター、オルガン、シンセ、フルート... フレーズ、音色、間の取り方まで 本当によく研究し尽くしていてびっくりします。
ボーカルの弱さまで似ているのはご愛敬ということで...

No.26
・THE MOUNTAIN/HAKEN(13)
イギリスのモダン・プログレ・バンドによる3作目。
ストイックに自分たちの音楽を追求していて、 またもや新たな一面を見せてくれています。(プログレ界の鏡!)
今回はGGっぽいクールなアプローチが印象的で、 楽曲重視の傾向がさらに強まり、 複雑で深遠な音世界を卓越した演奏技術でじっくりと構築しています。
バンドの成長度合、充実度合が音から伝わってくる自信作といえるでしょう。

No.27
・TU NON HAI LA PIU PALLIDA IDEA DELL'AMORE/MARCELLA(72)
イタリアの華やかな女性ヴォーカリストによるデビュー盤。
実はベスト盤じゃないの?といいたくなるぐらい、 良い曲ばかりが揃っています。(特に前半)
彼女を裏で支えるアーティスト達のきめ細かい仕事ぶりも 素晴らしいですが、 その上で様々な感情をのびやかかつ艶やかに表現していく マルチェラに天性の才能を感じます。
イタリアのシンフォな歌ものが好きならマストですね。

No.28
・THE ADVENTURES OF BUMBLEFOOT/RON THAL(95)
変態の中の変態ギタリスト!、バンブルフットが ロン・サール名義で発表したデビュー盤。
ずーっとためにため込んでいたアイデアを一気にドバーッと放出した感じで かなりとっ散らかっていて面白いです。
ジャンルの壁をがんがんぶち壊しながら、 あらゆるアプローチで超絶屈折プレイを連発していて痛快です。
タイミングがあえばザッパと共演していたことでしょう。
この後の作品にも言えることですが、 この人の場合、一定のキャッチーさをキープしているところが ポイントですね〜。

No.29
・COMM/THE TANGENT(11)
PARALLEL OR 90 DEGREESのアンディ・ティリソン率いる シンフォ・バンドの6th。
実績のあるバンドはやはり違いますね。 本作もスケールが壮大でわかりやすいシンフォの傑作となっています。
様々なスタイルを包含し、現代的なシンフォとしてまとめ上げる手腕は フラキンやスポビに負けていません。
ただボーナス(ジェネシスのあの名曲のカバー)はもう一ひねりしてほしかった... これじゃリーマン・ショック直後のボーナスだよぅ...

No.30
・ROCK'N ROLL TESTAMENT/KARTHAGO(74)
70年代ドイツの中堅ロック・バンドによる3rd。
プログレ〜ハード・ロック入りで、 オルガンがうなりをあげていた前作のイメージを期待すると、 肩透かしを食らいます。
たった1年しか経っていないのに、 ファンク入りのアメリカン・ロックに変化しています。
ただシャープな演奏であることに変わりなく、 これはこれで格好良いです。 (パーカッションのことを考えるとこの路線のほうが合っているかも)
特にベストヒットUSAのオープニングみたいな2曲目が気に入りました。
意味不明のジャケットはなんとかならなかったんでしょうか...


その他

・T.I.M.E./NEO PROFET(15)
ベルギーの新鋭シンフォ・バンドによる作品。
壮大な楽曲構成とスペイシーなシンセが特徴的で、 まるでエイリオンを低予算(ゲスト無し)でやってみました的な印象を受けました。
演奏(特にギター)もなかなか上手いですし、アレンジ力も高いです。
個人的には必殺曲が欲しかったなー。

・THE SECRETS OF AN ISLAND/SIX MAGICS(03)
デビュー盤がいろんな意味で凄すぎた&酷過ぎたチリのB級メロスピバンドの2nd。
ヴォーカルの駄目さ加減を自覚したのか、 ヴォーカル・パートの多くが男女コーラス隊となっています。 (それでも歌をねじ込み迷惑をかけまくるヴォーカル君はなんなんだろう?)
残念なのは、1stでアイデアをかなり放出したのか、 畳み掛け力が弱まっていることです。
ただ場面は減ったもののここぞというときの爆発力は相変わらずなので、 B級クサメロ好きなら押さえましょう。
ちなみにジャケットのCGは目を疑いたくなるほど完成度が低いです。 (一体何を表現したかったんだろう...)

・FIRST ALBUM/GIDI GOV(78)
イスラエル初期の名バンドKAVERETのヴォーカリストでもあり 俳優もこなすマルチな才人によるデビューソロ。
基本はジャズ入りの歌ものポップですが、 GIDIのジェントルかつダンディな個性に加え、 イスラエルが誇る天才YONI RECHTERが プロデュースしているだけあって、 一捻りされた楽曲、演奏を味わえます。 (特にピアノ、フルートが最高!)
INTENTIONSとかFOURTEEN OCTAVESあたりが好きなら 聴いて損は無い傑作でしょう。

・ANIMA MUNDI/DIONYSUS(04)
北欧メタルの名バンドNATIONの天才ギタリスト、 ジョニー・ウリーン擁するネオ・クラシカル系バンドの2nd。
ジョニー・ウリーンにしか弾けないソロ、バッキングは健在で、 とりわけソロは一音一音が宝石のように輝いています。
オラフ・ヘイヤーののびやかな歌唱も実に気持ちが良いです。 (こんなに凄いヴォーカリストだったっけ?)
とても良い楽曲が揃っていますが、NATION時代のような 名曲レベルの楽曲が無いことだけが惜しいです。

・TO GO/IGAYON(10)
イスラエルの新鋭シンフォ・バンドのデビュー盤。
ヘブライ語のヴォーカル以外、これといった個性は無く、 特徴や魅力を語りづらい内容なのですが、 なぜか何度もリピートしたくなる不思議な魅力を持っています。 (まさに「??」)
私が思い浮かべたのは中期フロイドです。 サウンド・コラージュを織り交ぜながら ゆっくりとドラマが進められていきます。
イスラエルってTELIOFとかMUSICA FICTAとかTRESPASSとか、 次作を聴きたいバンドがたくさんあるんですが、 みなどうしてるんだろう?国の事情で活動を続けづらいのかなあ...

・TIMELESS/THE WATCH(11)
他のジェネシス・フォロワーが一斉に逃げ出しそうな 究極のジェネシス・クローンによる2011年作品。
NIGHT WATCH時代から気になっていながら、 まともに聴いたのははじめてですが、 シンセ、オルガン、ヴォーカル、ギター、ドラミング... 全要素が想像以上にジェネシスしていてたまげました。 (よくぞここまで研究し尽したものです。)
最初は笑みがこぼれてしまいましたが、 楽曲が良く出来上がっているので、 自然に引き込まれてしまいました。

・DISTANT MONSTERS/MARTIGAN(15)
遠目から見るとウインドウズの壁紙みたいなジャケットが印象的な ドイツのメロディアス・シンフォ・バンドの2015年作。
前作と比べると、良く言えば洗練されていますが、 悪く言えば泣き&クサさが薄まっています。 彼らにどんな音を期待するかにより評価がわかれるでしょう。
個人的にはちょっと拍子抜けしました。 悪いアルバムでは無いんですけどね...前作が良すぎたのかな...

・HOW STRANGE IT SEEMS/BRENT CASH(11)
美しいメロディに彩られたデビュー盤が印象に深く残ったアメリカの ソフト・ロック〜ピュア・ポップ系アーティストの2nd。
ソフト・ロック路線をさらに進化&深化させた内容で、 才能の奥深さを改めて感じさせるこれまた傑作に仕上がっています。
ソフト・ロックを研究し尽くし、とても細かく作りこまれていますが、 そのことを感じさせない自然な仕上がりとなっているのが良いです。
夏の海辺で寝そべって聴きたいなぁ。良い夢見れそう。

・SINE/CYMBALS(02)
渋谷系の重要バンド、シンバルズの3作目。
前作から路線を大きく変更し、打ち込みを多用し、 クラブ・ミュージック的なアプローチにシフトしています。
個人的には以前のギター・ポップ路線のほうが好きですが、 これはこれでありですね...センスの鋭さはこれまでどおりですし。
無機質な音の壁をぶち壊していく沖井氏のベースがスリリングです。
さすがはシンバルズ、何をやっても一筋縄ではいきません。
ファンの予想を簡単に覆す作品を発表するところが、 いかにも渋谷系らしいですね。

・MYSTIC KINGDOM/FUGATTA(11)
メキシコのB級メロスピ・バンドの作品。
初期アングラへの愛情がたっぷり感じられる内容で、 明快なクサメロをがんがんまき散らし、疾走を繰り返します。
勢いはあるんですが、似たような曲が多く、 単調さが拭えないところがちょっぴり残念です。
詰めの甘さも目立ちますが、このあたりは逆に B級マニアへのアピールポイントになるような気がします。

・SHAMBLEMATHS/SAME(16)
ノルウェーの新鋭プログレ・ユニットによるデビュー盤。
クリムゾンをベースに、マグマやバレット・ディ・ブロンゾを 取り込んだような凶暴で刺激的なサウンドで 聴き手の耳を破壊してくれます。
小刻みに変化し続ける曲展開も見事ですが、 時折みせる抒情性が意外性があって非常に印象に残ります。
ユニットだからできるフットワークの良さを うまく活かした作品ともいえるでしょう。

・ARAMED FORCES OF SIMANTIPAK/KHATSATURJAN(06)
フィンランドのメロディアス・シンフォ・バンドによるデビュー盤。
場面場面では、ジェネシス、GG、クイーン...といったバンドが 思い浮かびますが、トータルでみると一風変わった独自のスタイルが貫かれています。
全員が歌える(上手い下手は別として...)バンドはやはり面白いですね。 まだまだアイデアを整理できていないところ、ブラッシュアップが足りないところが 随所に見られますが、原石として相当な可能性を感じ取れます。
今後も応援するのでメロディのキャッチーさは絶対にキープしてね!

・DAWN OF THE 5TH ERA/MORS PRINCIPIUM EST(14)
フィンランドのメロデスを語る上で外せない 重要バンドの5th。
よくぞここまで登り詰めてくれました! プロダクションも作曲も演奏もパーフェクト、彼らの最高傑作でしょう。
ここまで完成されつくした王道メロデス作品には、 そう簡単に出会えないと思います。
このレベルまでくると、突出した個性が無くても十分でしょう。 ずっと追い続けてきてよかったー!

・EDIT PEPTIDE/BUBBLEMATH(17)
まさかまだ生存していたなんて... アメリカの変態屈折系プログレ・バンドの15年ぶりとなる2nd。 (デビュー盤にはまっていたころはまだ若かったなあ...)
メコン・デルタみたいな出だしから最後の一音まで、 とことんひねくれまくった変態フレーズをどんどん詰め込んでいきます。
こんな濃ゆいものを作ってたら、15年かかってもおかしくないですね。
聴いていてちょっと悪酔いします(昔八丈島に船で行った時の悪夢が頭をよぎりました!)
難攻不落な内容ではありますが、高揚感も得られるので、 何度も挑戦したくなります。しかしえげつないなあ。


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