2017年に聴きまくったアルバムBEST30(+20)

なぜかアジアもの(特にインドネシア)ばかり聴いていた1年でした。
いつかまたインドネシアに漁盤しにいきたいなぁ...
(その昔現地の人に、お前はインドネシア音楽に詳しすぎるから日本に帰るなと言われたっけ...)


No.1
・CERMIN/GOD BLESS(80)
今まで再発されなかったのが不思議でならない、 インドネシアが誇る超絶爆裂シンフォ作。
GOD BLESSの1stにおける欧米バンドのリスペクトぶりはインパクト十分ですが、 この2ndは比較対象にならないほどえぐいです。
オープニングでクラトゥが出たと思いきや、 EL&P、ジェネシス、GG... おまけにプログレの枠を飛び越え、クイーン、レインボウ、ジェフ・ベック... さらにインドネシアの民族色までねじ込む始末...まさにやりたい放題!
各人の演奏能力も一気に向上し、プレイも気合が入りまくり泣きまくりです。
キーボードはYOCKIEではなくGURUH GIPSYのABADI SOESMANなんですが、 これがまたえらく的を射たシンフォでプログレなキーボードを のびのびと弾きまくっていて最高です。 (恐らくアドバイス受けたんでしょうね...「ヨッキーにはからえ」って(笑))
辺境シンフォ・ファンなら一家に3枚ぐらい持っておきましょう! (再生用、保存用、オークション用)

No.2
・DI BATAS ANGAN-ANGAN/KEENAN NASUTION(78)
人懐っこいメロディが凝縮された インドネシアのシンフォ〜シティ・ポップの傑作。
この時代のインドネシアものだけあって、 基本は歌ものなんですが、 過剰なシンフォなアレンジが頻繁に飛び出すので気を抜けません。
全辺境シンフォ・ファン号泣のキーボード・シンフォ曲 NEGERIKU CINTAKUも収録されているので、 プログレ名盤紹介に掲載しないわけにはいきません!
名曲NUANSA BENINGはやっぱりこのピアノ・バージョンがしっくりくるなあ〜。 (しみじみ)

No.3
・THE BEST OF IRAKERE/IRAKERE(94)
もやもやした気分を一気吹き飛ばすような 面白い音楽は無いかなぁ...とこれまであまり聴いてこなかったジャンルを 探し回って見つけたキューバの ラテン・ジャズ〜フュージョン・バンドのベスト盤。
安価だし、急場しのぎ(笑)にはなるかな...と軽い気持ちで 聴いてみたら大やけどしました!
とにかくライブ音源のテンションに圧倒されます。 ライブが激熱すぎるおかげで、スタジオものはぬるくて聴いていられません。 (内容は全然悪く無いんですが...)
マグマとかクリムゾンとかザッパみたいに、 過去のライブ盤出しまくって儲けるべきですよこれは。
これまでに味わったことのない種類の爆発力のおかげで、 高揚したっ気持ちをどうやって落ち着けたらいいのか対処に困ります。 音源が少ないので一気に聴くのを躊躇(バルデス)してしまいます。
これと似たようなバンドや音源があったら教えてください。  > ラテンものに詳しい方

No.4
・QUIET WORLD/NATIVE CONSTRUCT(15)
新時代の到来を感じさせる 究極のミクスチャー系プログレ・メタル新鋭によるデビュー盤。
ポップでシンフォなプログレ・メタルであるA.C.Tと、 変態テクニカル・メタルELECTROCUTION 250を 融合させ、シンフォ・ブラック〜デス系のエッセンスをまぶしたような なんともいびつで刺激的な組み合わせで迫ります。
聴き手を無視したような自己満足的超絶演奏と、 親しみのわく美メロが交錯したかと思えば、 ブラストビートで暴虐の限りを尽くす... 言葉で書くと何をやりたいのかさっぱりわかりませんが、 うまく調和が取れたスタイルを貫き通しています。
数秒単位で変化し続けるので追いかけるのが大変ですが、 きちんと楽曲としては成立させています。
このあたりがバークレー音大出身のなせる業なんでしょうね!

No.5
・APPLE SYMPHONY/竹達彩奈(13)
声優モノをレビューするのは何年ぶりだろう?(前回は田中理恵?)
竹達彩奈はミリア、バニラ、エクレとかやってたかわいい声優さんという印象しかなかったのですが (それだけ知ってたら十分?)、大好きな沖井礼二と末光篤の参加が どうしても気になって入手しました。
年寄りには眩しすぎる曲もありますが、 リピートしているうちに自分でもビックリするほどのめりこんでしまいました。
前述の天才2人が絡んだ楽曲の出来があまりにもキュートで素晴らしく、 さらにその上で精一杯自分を表現している彼女がとても魅力的です。
前向きな歌詞も多くなにげに元気づけられます。
後で知ったんですが、時空ツアーズ(これもジェフ・リンが参加してるとしか思えない名曲!) には杉真理や松尾清憲まで参加しているじゃないですかっ!... なんでこんなことになってるんだ?...
こんな私向けの怪物アルバムが声優界にごろごろあるなら、 今後も探索しないとですね...

No.6
・RESOLUTIO/AUSPEX(07)
様々なタイプの声を器用に使い分ける美人女性ヴォーカリストを擁する フランスのシンフォ・メタル・バンドの作品。
QANTICEがあまりにも良かったので他のフランスものをチェックして本作に出会いました。
エインシェント・バーズとダーク・ムーアを融合させ まろやかにしたような音楽性で個性という点では弱いですが、 残りのパワーを疾走感とクサメロに全投入しています。
というわけで、B級メロスピマニアにはQANTICEよりも むしろこっちがおすすめだと思います!(笑)

No.7
・MAZE OF FEARS/DARRYL WEZY(13)
ヴァイオリンが上手そうな名前を持った インドネシアのネオアコ〜ポップ系SSWのデビュー盤。
のっけからヴァイオリン(ストリングス・アレンジ)ががんがん出てきて驚きますが、 そんなことより、ひたすら甘くきれいなメロディばかりが次々と飛び出すことに、 腰を抜かしてしまいます。
素朴ながら人懐っこく、一度耳に入ったら完全にこびりついてしまう 魔法のようなメロディの洪水...やはりどんなジャンルにおいても メロディの鮮烈さでインドネシアに太刀打ちできる国は無いんじゃないかなぁ。
まあPOTRETとかMOCCAとかこのジャンルってもともとインドネシアは得意なんですけどね。
お願いだから2ndも作ってね。

No.8
・LOVESICK/NEMESIS(09)
韓国が誇る究極の激臭バンドNEMESISの2nd。
中耳炎になりそうなほどクサい...というか腐っていたデビュー盤も 凄かったですが、この2ndもやっぱり腐っています! ここまでくると鼻も耳もぶっ壊れそうです。 (B級ホストクラブみたいなジャケットなので目も!)
演奏や楽曲はデビュー盤と同じぐらい酷いんですが、 ヴォーカルが進化?!しています。
ネオクラシカル系、ビジュアル系、渋谷系... うざいクサさからちゃらいクサさまで どんな曲でもどんな歌い方をしても鼻につきます。
韓国ものは廃盤になりやすいので、 ごくごく一部のマニアの方は早めに押さえておきましょう。 (まあ、世のためには早く市場から消えたほうが良いのかも!(笑))
ちなみに韓国でLOVE SICKというとFTISLANDのほうが有名です。 (こっちも相当クサいです)

No.9
・RASPBERRIES/SAME(72)
エリック・カルメンが在籍していた ラズベリーズの記念すべきデビュー盤。
これまでベスト盤で済ませていましたが、 じっくりアルバムを聴きたくなりました。
ビートルズの強い影響を感じるという意味で、 バッド・フィンガーと近いものを感じますが ラズベリーズのほうがカラフルでホットですね。(さすがアメリカ) 元祖パワー・ポップと呼ぶにはこちらのほうがふさわしいかも。
実はベスト盤じゃないの?と言いたくなるほど、 印象的な名曲ばかりが収録されていてびっくり。
世間的にはヒットしたオープニング曲が有名ですが、 個人的にはストーリー性のあるドラマティック極まりないラスト曲が 好きで好きでたまりません! 甘酸っぱい感情で心がいっぱいになります。

No.10
・THE SONIC EXECUTIVE SESSIONS/SAME(10)
イギリスから現れたポップ・ロック・バンドのデビュー盤。
1曲目からかなりの名曲なんですが、2曲目が超絶すぎ,,, ジェリーフィッシュ、ライナス・オブ・ハリウッド、ベン・フォールズが集結し ビーチ・ボーイズとクイーンに捧げたような2曲目はありえないレベルです。 今後彼らにこれを超える名曲は絶対作れないと思います。(おいおい!)
さすがにその後はおとなしくなってしまいますが、AORやカントリーあたりも取り入るなど かなり器用で聴き手を退屈させません。
新作はまだでしょうか...

No.11
・INTO/THE RASMUS(07)
フィンランドのロック・バンド、ラスマスの4th。
大ブレイクした次作DEAD LETTERSにつながる内容なのですが、 サクサクしたポップ・ロックから陰鬱にゴシック化していく グラデーションが楽しめるお得な内容となっています。
日本人の琴線を直撃するメロディセンスは本作でも十二分に発揮されていて、 ポップ路線はミカエル・アーランドソンを想起しました。 (ヴォーカルの声質も似ているし...)
ラストのLAST WALTZが必殺曲として知られていますが、 個人的にはSMALL TOWNにやられました。いい曲だなぁ〜!

No.12
・DISSONANCE/ENUFF Z'NUFF(09)
いつでも聴けるとの思いからこれまで耳にすることの無かった イナフ・ズナフの2009年作品。
実は相当前に柏かどこかで飲んでいる際に 「ENUFF Z'NUFFが大好き!」と話しているお姉さんがいて、 「HAREM SCAREM系だよね?」とテケトーに答えたところ 「違います!」とムッとされた思い出があるのですが ...たしかに全然違いますね。その当時に戻って土下座したい気分です!
想像していた以上にビートルズへの深い愛情が感じられます。 めちゃくちゃ聴きやすいパワー・ポップでありながら、 惚れ惚れするほど格好良いハード・ロックでもあるなんて、 なかなかこんな芸当出来ないですよね。
特にJONI LYNNは超名曲だと思います。ただプリンスのカヴァーだけはどうかなぁ...

No.13
・THE MAGICIAN CHRONICLES - PART I/BRIGHTEYE BRISON(11)
個人的に激プッシュしているけど全然知名度があがらないのが残念な、 スウェーデンのメロディアス・シンフォ・バンドの作品。
今回も、フラキン、スポビ、ムーンサファリらが 最も良い状態の時に発表した名盤群に肩を並べるクオリティを誇っています。
視野が広く全体的に統制のとれた実に大人な曲作り、 BRIGHTEYE BRISON節とでもいいたくなる甘くて優しい美メロ、 どんな展開でも情感豊かに表現できる抜群の演奏力... なにもかもが実に見事です。
情報の整理能力もこれまで同様に際立っています。 きっと本作を作るうえで、多くのメロディ、アイデア、演奏がボツになったことでしょう。 シンフォ・ファンなら必携必聴の大名盤です。
現在、主要メンバーのLINUS KASEはアングラガルドに在籍しているようなので、 このバンド(もっというとFLAGSHIPも)の活動状況がどうなっているのか とても気になります。 (タイトルにPART Iとあるのだから続編も出してよね!)

No.14
・ELLIOT MINOR/SAME(08)
イギリスのとことんメロディアスなエモ系ロック・バンドのデビュー盤。
「ロックとクラシックの融合」...ってEMOというよりELO!?...と言いたくなりますが、 これが大真面目に取り組んでいて相当気合が入っています。
ストリングス、ピアノをぎりぎりまで前面に押し出していて、 ドラマティックかつシンフォニックなアレンジで聴かせますが、 何より土台となる楽曲の出来が極めて高いからこそ、 存分に効果を発揮していると言えるでしょう。
哀愁漂うメロディが凝縮されているので、 メロディ第一主義なら、ポップス・ファンだろうが、メタル・ファンだろうが、 プログレ・ファンだろうが手放せない一品となるはずです。
しっかりと歌えるヴォーカルが2人いるのも強いですね。

No.15
・COFFEE IN NEUKOLLN/BAROCK PROJECT(12)
現在イタリアで最も勢いのあるプログレ界のニュー・スター、 バロック・プロジェクトによる3rd。
キーボード・シンフォという言葉から想像されるサウンドを 簡単にぶち破る幅広い視野を持ち、 洗練に洗練を重ねた演奏を軽々と披露したかと思えば、 徹頭徹尾バロック色で固めた感涙のクラシカル・シンフォを追及してみたりと 広くそして深い音楽性を持っています。
中でも、ジノ・ヴァネリのようなパワフルなAORまで取り込んでいるのには 大いに驚かされました。まだまだ底が見えないので、この後の作品を聴くのが大いに楽しみです。 (まだまだ化けるはず!)

No.16
・EVERSHIP/SAME(16)
アメリカの新人プログレ・バンドによるデビュー盤なのですが、 これが相当な掘り出しモノでした!びっくり!
メロディアス・ハードとアメリカン・プログレが非常に高い次元で融合しています。
自主制作ものにありがちな「聴きやすいけど飽きやすい」といったような ことは一切なく、ずっしりとした重厚感があり、風格さえ漂っています。
体はアメリカながら、心はヨーロッパに向いているサウンドは、 かっての、カンサス、スティクス、アヴィアリー...あたりを 想起させるたまらないものとなっています。
無理のない自然な70年代回帰サウンドに胸が躍ります。 早くも2ndが楽しみです。

No.17
・THE COSMOCINESY/QANTICE(09)
このところ元気の無かったフランスのメタル・シーンに 風穴を開けるべく登場した超新星バンドQANTICEのデビュー盤。
アングラからブラジル色を抜き、ケルト色を補充し、 フランスらしいきらびやかな装飾を身にまとった華麗なスタイルは 新人とは思えないほど堂々としています。
メロディ自体はどうしようもなくクサいのですが、アレンジに気品があり、 プログレッシブな展開を織り交ぜつつ軽快に疾走を続けるので、 B級らしさは皆無で、全メタルファンにおすすめできる一品となっています。
こんなスーパーなデビュー盤出されたら 中堅〜ベテラン組はどうしたらいいんだよ〜 というより本人たちがこれを超えるのも難しい気が...

No.18
・MARIA FUMACA/BANDA BLACK RIO(77)
ブラジルのEWFと称される、 レア・グルーヴ〜ラテン・ジャズ・ファンク・バンド、BBRのデビュー盤。
体が無条件で反応してしまうほどリズムのうねりが心地がよく、えらく格好良いです。
ギターもベースもエレピもブラスもシャープにきめていますが、 なんといってもドラムの切れ味がヤバすぎます。
アースに近いところはありますが、 ブラジルらしいサンバ〜ラテンの取り入れ方が非常にクールです。
音質の良さも特筆すべきでしょう。 個人的にはアースの100倍好きです!
ペルーのFRAGILってこのジャケを参考にしたのかなあ?

No.19
・ON THE MOVE/深町純(78)
日米フュージョンが奇跡的に組み合わさってできた見事な名盤。
今となってはお金をいくら積んでも実現できないような ものすんごいメンツが勢ぞろいしています。
この手のスーパー・セッションものって大抵は牽制し合って おとなしくまとまってしまうことが多いんですが、 本作ではメンバーがみな限界まで自らを主張しまくり、 世界最高レベルのスリリングな演奏を楽しめるので、 聴いていてドキドキします。
深町氏はどうやってメンバーを本気にさせたのかなぁ...
中でもDEPARTURE IN THE DARKは痛烈...これ聴いて何も感じない プログレ・ファンはいないのではないでしょうか?

No.20
・BLEED AND SCREAM/ECLIPSE(12)
スウェーデンのメロディアス・ハード〜産業ロック・バンドの4th。
今回も全く危なげのない抜群の安定感...貫禄の仕上がりとなっています。 こういう完璧なものをハイペースで出されると、 似たようなことをやってるバンド、アーティストはちょっとキツイでしょうね。
3rdの(1ミクロンの狂いも無い)延長線上にある名盤で、 サプライズは無いけれど、楽曲も演奏もパーフェクト。 さらにギター弾きとして激しく嫉妬してしまうほど、 リフもソロも華があり文句のつけようがありません。
今後もひたすら名盤をリリースし続けることでしょう。 (エリックの失速なんて考えられないです。)

No.21
・ART/CAST(11)
現シンフォ界で最も鉄板な南米メキシコの大巨人CASTの2011年作。
ひさびさに新しめの作品を選んでみましたが、やっぱり濃いわ新小岩! 誰も到達できないレベルに登りつめながら、 毎回少しずつではあるけど確実に前作よりも上積みし、 最高(傑作)記録を更新し続ける姿はまるで全盛期のブブカのようです。(例えが古い?)
この手のシンフォにしては、かなりメタル色の強いギターが弾きまくっていて、 他の演奏陣に刺激を与えていて前よりも音が若々しくなっているのが良いです。 この感じだと、あと20枚ぐらい出さないと音が枯れないかもしれないですね!(笑)
ドラマティック・シンフォ・メタル好きが聴いたらどんな反応するんだろう。 ちょっと興味あります。

No.22
・OPALO NEGRO/PAPA TOPO(16)
スペインはELEFANT RECORDSの隠し玉的存在である 渋谷系ポップ・バンドPAPA TOPOのデビュー盤がようやくリリースされました。
盟友LA CASA AZULの弟分的な、軟弱ディスコ、青春ギター・ポップが楽しめるほか、 おバカなパーティー・パンク、古き良き映画音楽風歌もの...と、 こちらのほうが自由度が高い作風となっています。
LA CASA AZUL、FITNESS FOREVERあたりが好きなファンなら 絶対に押さえておくべき力作です。
アルバムタイトル曲等、随所に80年代アイドル歌謡っぽさを感じてしまうのは 私だけでしょうか?!

No.23
・AWAKENING OF THE ELEMENTS/LOST WORLD(06)
誰もが怪物と認めるLITTLE TRAGEDIESをも凌駕すると言われる ロシアのプログレ・モンスター、LOST WORLDによる2006年発表の2nd。
クリムゾン、GG、イエスらを最新状態に更新したのち、 過激な部分を極限まで突き詰めて融合を図ったような作風は、 数多くの作品を知るマニアにとっても新鮮に映ることでしょう。
中でもヴァイオリンのささくれ度合いはすさまじいです。 演奏中に摩擦で弓がこげてるんじゃないでしょうか?!
この手の作品は大抵途中でテンションが落ちるものなんですが、 それがないのがオーチン・ハラショー!
この感じだと他作もえげつないんでしょうね〜。

No.24
・HIGH LAND, HARD RAIN/AZTEC CAMERA(83)
ネオアコの経典的存在といえるアズテック・カメラのデビュー盤。
個人的に老後の楽しみにとっておいた名盤たちの中でも極めつけの1枚になります。
何をいまさらな感じですが、何度聴いても新たな発見に気づかされる刺激的な内容で、 溌剌とした音空間が自由な発想のもと次々と構築されていきます。
楽曲の良さはもちろん、演奏力、アレンジ力も突出したものを持っていたんですね。
これを超えるネオアコ作は後にも先にもあり得ないでしょう。 永遠に語り継がれるであろう大名盤はやっぱり凄かった!。

No.25
・FROM THESE SMALL SEEDS/MOETAR(12)
名門マグナ・カルタ・レーベル(まだあったのね!)が放つ最終兵器、 アメリカの変態テクニカル・シンフォ〜レコメン系〜ポップ・ロック・バンドによる衝撃的なデビュー盤。
ザッパ、GG、初期イエスを絶妙な配合で混ぜあわせ、 一方ではレコメン系のヒネリを加えながら、もう一方ではとびきりキャッチーなメロディをねじ込むなど やっていることがハチャメチャです。 (一言でいうとカナダのET_CETERAの最終進化型?!)
これまでありそうで無かった組み合わせは極めていびつでユニークであり中毒性があります。
ぐちゃぐちゃにねじれて飛びまくるメロディラインを 根性でくらいつく肉食系?女性ヴォーカルのど根性には頭が下がります!

No.26
・TAKEN/SAME(16)
腕っぷしが強そうなバンド名を持つ、 スペインの新鋭メロスピバンドのデビュー盤。
ジャケットからして期待が膨らみますが、 期待以上に頑張ってくれてうれしくなります!
ハロウィン、ストラトヴァリウス、ソナタ・アークティカから ヘヴンリー、インサニア、レインエクシードまで、 まるで、メロスピの歴史を総まとめしたような激臭サウンドは マニアにはたまらないでしょう。
キーボードの音色のチーペストさもそうですが、 メンバーの人の好さが感じられる微笑ましい音づくりもグッドで、 応援したくなります。
もう一度エネルギーをためこんでクサメロをまき散らしてくれ〜。

No.27
・LIGHTNING TO THE NATIONS/DIAMOND HEAD(80)
NWOBHMのシンボルとも言えるスーパー・バンドのデビュー盤。 学生時代にカセットで聴きまくったのを思い出し、 ふと懐かしくなって入手しました。
いやーやっぱり底抜けにかっこいーっすねー!
メタリカは1stが最高だと思っている私にとっては、 神のような存在に思えます。
シンプル過ぎたり冗長だったり演奏が危うかったり...と 今聴くと気になる箇所もあったりもしますが、 逆にそこがいい味だったりして。
そうそうバンド名ってフィル・マンザネラから 取られていたのを今になって知りちょっとびっくりしました。 (ベンチャーズだったら嫌だ!)
あ、欲を言えばオリジナル・ジャケットで出してほしかったなぁ。

No.28
・WE ARE NOT TOGETHER/WE ALL TOGETHER AND FRIENDS(07)
ご存じペルーのビートルズことWE ALL TOGETHERのメンバーが 在籍していた様々なバンドの音源集。
よくそここまで集めてリリースしてくれました! 期待した1曲目では、こんなんじゃハートに火はつかないよぉ... といいたくなりましたが、WE ALL TOGETHERに通ずる良心的な佳作が ちらほら収録されています。
そんな中、際立っているのはMONIKの音源...とりわけTHANK YOUは名曲!...
欧米では醸し出せないのどかな音と、 控えめながらも芯の強い女性ヴォーカルとのマッチングには 胸が熱くなります。日々の汚れを洗い流してくれるようで、 こっちがTHANK YOUと言いたくなります。
メンバーは今どうしてるんでしょう... 再結成したら良い感じのアルバムを作れそうな気がするんですが...

No.29
・LIVE IN CONCERT/JAMES GANG(71)
その昔ビート・クラブのビデオ(WALK AWAY)を見て惚れ込んだ、 アメリカン・ハード・ロック・トリオ、ジェイムス・ギャングのライブ盤。
彼らの本当の凄さはライブ盤じゃないと伝わらないだろうと思ってましたが、 まさにその通りでした。 まるでBBAとGFRのいいとこどりをしたようです。
テクニックは抜群、パワーもあるし、グルーブ感も半端ないし... ジョー・ウオルシュの天才っぷり(ギターはもちろん、オルガンも弾きまくり!)はもちろん、 ダイナミックかつ手数の多いジム・フォックスのドラミングが冴えわたっています。
もっとライブ音源をたくさん聴きたいよ〜。

No.30
・GAMBLING WITH THE DEVIL/HELLOWEEN(07)
ジャーマン・メタルの重鎮中の重鎮!ハロウィンの2007年作品。
それなりにクオリティに波のある彼らですが、 本作はかなり上位の部類でしょう。
フューチャー・ワールドやイーグル・フライ・フリーってぽい 懐かしさも散りばめながら音はモダンでパワフルだったり、 ジューダス、メタリカ、イングウェイが脳裏に浮かぶような場面が 出てきたり、メタル心を存分に楽しませてくれます。
過去にピンと来ない作品に出会うたび、「もう聴かなくても良いかな」 と思ったりしたんですが、これほどの傑作を作ることがあると知ると、 まだまだチェックせざるを得ないです。
古いファンと新しいファンの両方を満足させることのできる術を 知っているバンドはやっぱり強いですね。


その他

・WILD CHERRY/SAME(76)
音楽史の流れを変えたホワイトファンク屈指の名曲 PLAY THAT FUNKY MUSICを収録した ワイルド・チェリーのデビュー盤。
「実は一発屋は一発屋ではない(ことが多い)」を立証する 最良サンプルといえるような内容で、 PLAY THAT FUNKY MUSICのどぜうが2、3匹存在するものの、 他にもゾクゾクするような曲が点在します。 (ドゥービー・ブラザーズだったり、スリー・マン・アーミーだったり...)
そういえばアルバム内容には関係ないですが、 PLAY THAT FUNKY MUSICを知ったのは 東大音楽サークルのライブ演奏でした。
当時プログレ漬けだった私は、 「頭のいい人は凄いオリジナル曲を作るなあ...」と しばらく勘違いしてたっけ...今思うとハズカシー

・WHY DIDN'T YOU TELL ME?!/SHLOMO GRONICH(72)
イスラエル最強の個性派アーティストによる72年のデビュー盤。
全身全霊で音楽に向き合い、心身を削って産み落とされたことが ひしひしと感じ取れる高尚かつ強靭な内容で、 生半可な気持ちで向き合うと怪我をします。
プログレ名盤紹介にも掲載します。

・SULLA BOLLA DI SAPONE/FEM(14)
いまだに優秀な新人バンドがコンスタントに出現する イタリアン・プログレ界においても、 突出した存在と断言できるFEMによる2014年作品。
4FRONTあたりに通じるテクニカル・シンフォ・フュージョンに始まり、 コンパクトながら見せ場の多い楽曲が揃っています。
演奏能力も高くシャープであり曲展開も激しいので、 長期間のリピートに耐えうる傑作となっています。
個人的にはトニー・バンクスが好きでたまらないキーボーディストの 引き出しの多さが気に入っています。
今後も応援したいバンドがまた一つ増えました。

・BANDWAGONESQUE/TEENAGE FANCLUB(91)
スコットランドはグラスゴーが生んだ 偉大なオルタナ〜パワー・ポップ・バンドの代表作2nd。
リアルタイムではあまり良さが分からなかったんですが、 名盤扱いされていることが今になってようやくわかりました。
ビートルズがまいた種はこういう花も咲かせていたのですね。
荒々しく生々しく青くさく切ない楽曲が目白押しです。

・RECYCLABLE/DBCLIFFORD(07)
ジャミロクワイ、ビートルズ、スティーヴィー・ワンダー、スティーリー・ダン といった超メジャーどころを、臆することなく素材に選んだ ポップ・アーティストのデビュー盤。
いろいろと寄せすぎているため鼻につく人もいると思いますが、 純粋にスタンダードな歌ものとして質は高いので、 あまりいろいろ考えずに楽しむのが得策といえるでしょう。
初めからコンセプト決めてスタイルを作り上げたのか、 前述のアーティストが好きすぎて気付いたらこんなスタイルになってたのか、 一体どっちなんでしょうね。

・LOVE STORY/PARK WAN KYU(12)
韓国のスーパー・ヴォーカリストによる久々の一品。
圧倒的な表現力に加え、枯れた味わいも出てきてさらに深みが増しています。
ただ、同じ曲をバージョン違いで何曲も入れて曲数をかせぐ 水増し商法はやめてほしかったぁ... あと「韓国の恋愛ドラマで使われてそうな曲ベスト10」みたいな内容なので、 ちょっと大人しすぎなんだよなぁ...
ただ最後のほうのライブ音源はメタリックなギターが活躍していて 昔を彷彿とさせてくれるのでテンションが上がりました。
いっそのことライブ盤を出してくれー。

・THE ETERNAL STRUGGLE FOR JUSTICE/JACKDAW4(10)
ジェリーフィッシュに匹敵する才能を持つピュア・ポップ・バンドの3作目。
前作までと比べて、かなり変化球を織り交ぜた意欲作となっています。
スタイル・カウンシル風の2曲目なんかもはまっていますが、 コーラスの美しさが神憑り的なラスト曲に全て持って行かれます。
質の高さは相変わらずですが、個人的には1st、2ndのほうが作風的には好きかなあ...
そうそう、どっかの学習帳みたいなジャケットコンセプトは そろぞろやめたらどうかな? 内容にそぐわない気がしてジャケで損してる気がします。

・PERGELARAN KARYA CIPTA 1/GURUH SUKARNO PUTRA(80)
インドネシア・プログレの頂点、GURUH GIPSYのメンバーでもある、 スカルノ大統領の息子、グル―・スカルノ・プトラの貴重な音源集。
エキゾチック極まりないディスコ、 ハロー・ジャカルタという三波春○のアンサーソング?みたいな大衆ポップ、 クリシェが歌うビートルズ風ポップス、 シュープリームス風女性グループもの... 相当とっちらかった印象で、そのときの気分でやりたい音楽を やってみました的な感じですが、 お金と権力のなせる業なのか、演奏、プロダクションともに この時代のインドネシアとは思えないほどレベルが高く、 スケールもでかいです。(肝心の楽曲がそれに追いついていない(笑)!)
まあ、でも、プログレに拘らない音楽ファンには こういういかがわしいというかうさんくさいアルバムのほうが 「インドネシアもの」としてアッピールするように思います。

・EL ULTIMO CABALLERO/OPERA MAGNA(06)
典型的なB級辺境メロスピ・バンドとしてマニアに崇められる スペインのオペラ・マグナのデビュー盤。
多くの支持を受けていることが頷ける抜群の安定感(B級として)で、 スペインのお家芸ともいえる巻き舌母国語ヴォーカルと コッテコテの情熱が注がれたクサメロを武器に、 前のめりに疾走を続けるホッテストな内容です。
とにかく気合いが先行! スペインはアクの強さから、プログレでも好き嫌いがはっきり分かれますが、 メタルも同じなんですよね。
一度はまってしまうとしばらく抜け出せません。

・ATLANTIS PHILHARMONIC/SAME(74)
元祖ルーデス・モーゲンステイン・プロジェクト?!(笑) と称したくなる2人組によるプログレ作。
この時代にアメリカでこういうコテコテな路線を目指そうとしても、 人が集まらなかったのかもしれませんが、 人数の少なさを全く感じさえない堂々とした 王道シンフォに仕上がっているので、 プログレ名盤紹介にも 掲載します。
ところでFLY THE NIGHTって曲がDR.Zに似ていると思うのは私だけでしょうか? 本人たちが影響を受けていたら面白いなあ〜。 (原盤は相当レアだからありえないか...)

・WELCOME/SAME(76)
「イエスのスイス」...じゃなくて「スイスのイエス」と喩らえる プログレ・バンドのデビュー盤。
スターキャッスルほどではないものの、 イエスへの憧れがたっぷり感じられる内容で、 3人全員のハイトーン・ヴォーカル&コーラス、 ベースのクリス・スクワイヤっぷりはかなりのもの!... といいながら、キーボードはEL&Pやジェネシスもやりたがっているので、 一筋縄ではいかない面白味があります。
プログレ名盤紹介にも掲載します。
ポーランドのSBBのWELCOMEとどことなくジャケが似ていると思うのは、 私だけでしょうか?!

・THE UNDERFALL YARD/BIG BIG TRAIN(09)
着実に成長を重ね、いつのまにか重鎮的なポジションに登りつめた ブリティッシュ・プログレ・バンドの2009年作品。
スポビ、フラキンらと同じく、 ジェネシス、クリムゾン、イエス...といった大先輩たちの影響を受けていますが、 深遠さが数段違います。
アメリカ的な爽快感とも、北欧の透明感とも異なる、 イギリスの曇り空を思わせる質感があり、 重厚で気品あふれる傑作となっています。
やっぱりお国柄って音ににじみ出るものなんですね〜。

・THE SNOW GOOSE/CAMEL(13)
ロック史上に輝く説明不要の超絶名盤スノーグースのセルフカバー作品。
図書館で「スノーグース」の絵本を見かけたので、 改めて本を読んでから耳を傾けたせいもあって、 感動で何度も涙が出そうになりました。
これだけの作品になると、もう聴き比べる必要は無いですね。 だって、オリジナルのすべての音が脳裏に焼き付いているのですから...
基本的にオリジナルに忠実な内容ですが、 CDの収録時間を意識したのか全体的にゆったりとした つくりになっています。

・HOT CAKES/THE DARKNESS(12)
これぞザ・ダークネス!と言わんばかりのジャケットで シーンに返り咲いたブリティッシュ・ロック・バンドの3rd。
さすがに1stのぶっ飛び具合を期待すると弱いですが、 すぐに味わい深い良作であることがわかりました。
1stとも2ndとも違ったタイプの曲も多く、各曲のバラエティも豊かで 改めて彼らのソングライティング、演奏力、表現力の高さを感じることができます。
個人的にはRADIOHEADの名曲をオールド・メタルにカヴァーした STREET SPIRIT(FADE OUT)にやられました。かっちょいい〜!!

・EVIL NEEDS CANDY TOO/TRICK OR TREAT(06)
直球なバンド名が清々しい、 イタリアのハロウィン・フォロワーによるデビュー盤。
イーグル・フライ・フリー路線では無く、 ライズ・アンド・フォール路線って言えば伝わるかなぁ?
若かりしハロウィンの明るく楽しい部分をクローズアップした 感じで聴いてて楽しいです。 (イタリア人がやると自然とこうなるのかも...)
ただ楽曲がちょっと弱いのが残念... 「ハイスクールはダンステリア」のカヴァーが 一番目立っちゃうようじゃダメでしょー。
この後も頑張って活動を継続しているので、 もう1枚くらい聴いてみようと思います。

・CARONTE/THE TRIP(71)
イタリアとイギリスの奇跡の融合により生み出された 名シンフォ・バンドの2nd。
LPしかもっていなかったので久々に聴きたくなってCDを買いなおしました。
サイケ、アート・ロック、ハード・ロック、シンフォ... プログレ草創期の熱気が感じられる名曲ばかりが揃っています。
ドラムがフリオ・キリコだったら...ギターがリッチーだったら... とか考えたくもなりますが、このアルバムのドラムもギターも ロックしていて大好きなんだよなあ。
カロンテ1・2を聴いてポリスのシンクロニシティ1・2を 聴きたくなるのは私だけでしょうか。

・ACT III: LIFE AND DEATH/DEAR HUNTER(09)
プログレッシブなエモ・バンドによる とてつもなく壮大なコンセプト作の第三章にあたる作品。
深遠なストーリー性を感じさせる、 計算し尽された鉄壁な構成は隙がありません。
凄いことは凄いんですが、タイトルに「DEATH」と入っているせいか、 ちょっと地味になった印象を受けました。もっと振れ幅が大きいと面白いんだけど...
それにしてもこの後本当にACT VIまで出せるのでしょうか。 (聴き手も体力つけておかないとですね。)

・SYNAESTHESIA/SAME(14)
イギリスの新鋭シンフォ・プロジェクトによるデビュー盤。
まずはメロディの良さに心を奪われます。 派手さはなく適度にポップで気品が感じられる作りに なっています。(さすがはイギリス!)
トニー・バンクスをデジタル化&モダン化させたような センス抜群のキーボードが演奏を引っ張っていきますが、 ここぞという時にきちんと泣いてくれるギターも良い仕事をしています。
弱点はヴォーカルの弱さでしょうね...でも誠実さが感じられるので、 サウンドにはマッチしているように思います。

・ON THE ROAD/MINOR GIANT(14)
はい!どこでもドア〜!的なジャケットが目を引く オランダのメロディアス・シンフォ・バンドによるデビュー盤。
ツイン・キーボードによるきらびやで明快なシンフォ・サウンドは 「オランダのトランスアトランティック」と評したくなります。
突出した個性は無いですが、テクニック、プロダクションともに 新人とは思えないほど堂々としています。
オランダ印の甘美なメロディが最大の武器と言えるでしょう。
ジェネシス色も強いのでKNIGHT AREAが好きな人はマストだと思います。 (後で知りましたが、KNIGHT AREAのメンバーがプロデュースしてました...どおりで...)

・TARANTULA/SAME(77)
スペインのハードなシンフォ・バンド、タランチュラによるデビュー盤。
カラフルでセンスの良いキーボードを中心に、 パワフルに畳み掛けるサウンドで ラストまでさらりと聴かせてくれる名盤です。
個性の塊のようなヴォーカルも味があります。
プログレ名盤紹介にも掲載します。


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