2016年に聴きまくったアルバムBEST30(+18)

とにかくスウェーデン勢が強いですが、アジア勢も奮闘しています。
こうしてみると自分がいかにクイーンに弱いかが良くわかります! (A.C.T、JONO、BRYAN SCARY、SPARKWOOD、MAGLEV...2015年の1位はDRY RIVERだったし...)


No.1
・CIRCUS PANDEMONIUM/A.C.T(14)
メロディアス・ハード×プログレ・メタル×シンフォ・ポップの世界を縦横無尽に飛び回る 北欧プログレ界の救世主、A.C.Tによる8年ぶりの新作。
あまりにも待たされたので勿体なくてCDを触ることもできませんでしたが、 ライブ盤がリリースされたのを知りようやく封印を解きました!
これまで、お気に入りバンドやアーティストの長期ブランク後の作品は、 黄金期からの劣化を痛感し失望することが多く、今回もそれを恐れていたのですが、 本作はそんな不安を全て払しょくする完全無欠の完成度を誇っています。
ブランクがあったなんて微塵も感じられません。 彼らの黄金期=彼らの全活動期間という式が成り立っています。
やはり全曲名曲ですが、 個人的には「永井ルイが書いた曲をドリーム・シアターが演奏している」ような 11曲目にしこたまやられました。
これまでA.C.T欠乏症を、 HAKENやDRY RIVERあたりでなんとか補ってきましたが、 やっぱり本家本元は違いますね〜。 私の心の健康のためにもうブランクをあけないで頂戴!あと来日公演もよろしくです!

No.2
・SILENCE/JONO(15)
思わぬところで名盤発見! WITHIN TEMPTATIONのメンバーも参加する スウェーデンのメロディアス・ハード・バンドの2nd。
フレディ・マーキュリィに1000%影響を受け、 時折ラルフ・シーパーズっぽさも滲ませる ヴォーカリストの個性と表現力がとにかく素晴らしいのなんの。
またこのスーパー・ヴォーカリストの魅力をあらゆる手段を使って 引き出している楽曲・演奏も秀逸です。
ドント・ストップ・ミー・ナウな2曲目をはじめ、 クイーンをベースにした曲が多いですが、 ELOやチープ・トリック風の曲もあったりして胸が躍ります。
その一方でバラードでは思いっ切り泣かせてくれます。(ギターソロも完璧!)
スウェーデンとオランダの奇跡の配合というべきか、 メロディのキャッチーさは半端ないです。
美メロ好きならジャンル関係なく押さえておいて間違いないでしょう。
ヴァレンタインともヴァレンシアとも(ハンガリーの)ミステリー(笑)とも違う、 ホットでロックなクイーンが好きならマストな名盤です!

No.3
・VERY BEST OF MIKAEL ERLANDSSON/MIKAEL ERLANDSSON(02)
スウェーデンのメロディアス・ハード神、 ミカエル・アーランドソンの初期作品のベスト盤。
これまで聴いてきた 数々のメロディアス・ハードの傑作が 薄まってしまうような次元の違いをみせつける名曲ばかりです。
ヴォーカリスト生命を削って絞り出しているようなギリギリな歌声と、 天界から舞い降りてくるような厳かで温かいメロディに 幾度も感情がコントロール不能になります。
キンキンに冷えた冷房車の中で聴いていると、 雪が降り続く極寒の森で温かいスープを飲んでいるかのような 幸せな気分に浸れます!
また選曲も曲順もベスト盤のお手本のようで、ミカエルの魅力を実によくわかっています。 (涙が枯れ果てる最後の最後にONEを持ってくるなんて、ホントよくわかっていらっしゃる!)
LADも良いバンドですが、ミカエルはソロ活動のほうが断然輝いているように思います。 (本当にうまいそばはそばだけで食べたい!)
メロディ愛好家でミカエルのソロを聴いたことがない方は絶対に聴いてください。 聴かないとかなり人生(アーランド)損しますよ!

No.4
・DAFFY'S ELIXIR/BRYAN SCARY(12)
ひねくれポップの歴史を塗り替え続ける 21世紀のポップ鬼神による3rd。
CDを探して購入するまでに手間がかかりましたがその甲斐がありました。
もともとデビュー盤からしてぶっ飛んだ世界を作り上げていましたが、 その路線をさらに追及し、アイデアもメロディも倍増しています。
対象範囲もこれまでのビートルズ、クイーン、ELO、XTC、ジェリーフィッシュだけでなく、 今回はイエス、EL&P、クリムゾンなどプログレ風味まで盛り込むなど、 ハチャメチャにも程があります。でもこれまで以上にキャッチーで聴きやすくもなっています。 普通に考えたら矛盾しているんですが、彼の類まれなる才能をもってすれば、 それも可能なんですよね〜。
この1枚を聴けば、名盤100枚分を聴いたのと同じ効果が得られますよー。 (←なんだかショップ〇ャパンみたいだなぁ...)

No.5
・BISCAYA/SAME(84)
北欧メタル裏名盤として名高いスウェーデンのビスカヤによる唯一作。
まず打倒SILVER MOUNTAINといわんばかりの1曲目だけで元が取れてしまいます。
アルゼンチンのRATA BLANCAやインドネシアのGOD BLESS(中期)と 肩を並べる...つまりやり過ぎなまでにレインボウです!
で、その後も同じ路線で続くのかと思いきや、 シンセの壁によるシンフォもの、クラシカルなアコギもの、 ヴァン・ヘイレン風痛快疾走ハード・ロック... まるでアルバムを1枚しかリリースできないことがあらかじめ決められていて、 やりたいことを全部詰め込んだかのよう... なんのポリシーも感じられません。
でも、まず自分たちが楽しんで精一杯パフォーマンスしているともいえるので、 聴けば聴くほど愛着がわいてきます。
B級名盤の経典のようなアルバムともいえるでしょう。

No.6
・SIT DOWN THINK/TALC(06)
イギリスのセンス豊かなアーティスト2人によるスーパー・ユニット、タルクのデビュー盤。
「新世代のスティーリー・ダン」という極めて無茶なコンセプトを掲げながら、 それを軽々とクリアしたかのような完成度を誇っています。
そもそもスティーリー・ダン自体が一筋縄ではいかない多面性をもっていますが、 そこにレア・グルーブ〜アシッド・ジャズ的な要素をふんだんに盛り込むことで、 アーバンでおしゃれで優雅な雰囲気が増量されています。
イギリスらしい斜に構えたところがスパイスとなっているのもポイント... まさにクール・クーラー・クーレストな名盤です!
EL&Pにも影響受けている(どこが?)ってのは微笑ましいんですが、 ユニット名がTALKING AND LAUGHING COMPANYの略ってことは、 知らないほうが良かったです(DAIG○を思い出してしまいました!)

No.7
・BEGINNER'S LUCK/PEPPERTONES(12)
類まれなるポップ・センスを武器に、 常に新たなスタイルを探求し続ける韓国の渋谷系ポップ・ユニットによる4th。
今回は、女性ヴォーカリストを起用していないこともあり、 おしゃれでかわいいアレンジが後退し、 ロック色、バンド色の強い作風に舵を切っています。
1stを最高傑作と崇めている私にとって、 残念な方向転換だなぁ...と思っていましたが、 それは最初だけ...結局、気が付いたら 彼らの新たな魅力の虜となり、愛聴盤となっていました。
男性が持つ、エネルギッシュでパワフルな面と、 内省的で打たれ弱い面とが見事に音に表れています。 ペッパートーンズってこういう感じの男性2人組だったのね... と共感できて親近感が湧いてきます。
結局彼らがどんな音を出しても、虹色の音符を降らせて、 聴き手を前向きで幸せな気分にさせてくれるんですよね〜。
今後日本と韓国との関係が悪化することがあっても、 彼らのような素晴らしいアーティストには敬意を払って 追い続けたいと思います。

No.8
・PINBALL AND OTHER STORIES/BRIAN PROTHEROE(06)
俳優とミュージシャンという二足のわらじを履く マルチな才能を持つイギリスのアーティストによるベスト盤。
キャラ的に「イギリスの寺尾聡?!」と思って耳を傾けると、 本当に曇り硝子の向こうっぽいダンディでシブシブな音が出てきてビックリ!
しかし、本当にびっくりするのはその後でした。 俳優の才能、経験をフルに発揮したかのような、 シアトリカルかつドラマティックな楽曲が次々と現れます。
ある時はクイーンだったり、キンクスだったり、ルパート・ホームズだったり... とても同一人物のアルバムとは思えません。
ミュージシャンどっぷりではない分、 どこか冷めているようなひねくれた感覚がマニア心をくすぐります。
とっつきにくさはありますが聴けば聴くほど面白さがわかってきます。 ポップマニアなら押さえられるうちに押さえておきましょう!

No.9
・LA ROSE DE VERSAILLES/NEMESIS(05)
韓国の激烈激臭バンドのデビュー盤。
ぐぬぬ...こんなくっさいものよく韓国国外に持ちだせたなぁ... クサいものに耐性が出来ているマニアであっても 嘔吐を禁じ得ないことでしょう。
そもそも大宮のB級キャバクラ店VIPカードみたいな ジャケットからしてヤバいと思ってましたが想像以上でした!
まずはアルバムタイトル同名曲「ベルサイユのばら」(笑)の 優美な室内楽風アレンジ、コード進行で悶絶いや気絶してしまいます。 またヴィシュアル系を腐らせてヤバい糸をひいてるようなヴォーカルが 気持ち悪いぐらい演奏にフィットしています。 PVは「無数のバラの花びらが舞い散る中、イケメン二人が 全裸でフェンシングしている絵」に違いありません!
彼らの面白いところは、この手のクラシカルなメタル曲とは方向性が真逆の、 アイドル風ポップ、渋谷系ポップにも手をだしているのですが、 何をやらせてもクサいところでしょう。(こっちは甘酸っぱい青春系のクサさ)
一体どこを目指しているのかわかりませんが、 こんな珍品が世に出回るなんて韓国とインドネシアぐらいでしょうね〜。
てなわけで現在入手できる彼らの全音源は即入手しておきました。

No.10
・DEAD KINGS OF THE UNHOLY VALLEY/SIX MAGICS(01)
その手のマニアには有名なチリのモーレツ爆走激クサメロスピバンドのデビュー盤。
チリといえばもっと紹介すべきバンドがあるだろ... と言われそうですが、どうしてもエグそうなものから 先に聴きたくなってしまうのが人情というもの!
で、この一品...想像以上にえげつないです。
なんかノクターナルライツのメンバーが高校時代に1週間で作った デモテープみたい...恥も外聞も気にせずクサい音しか詰め込んでいません。 予想通り、プロダクションはダメ、ヴォーカルはもっとダメ、 演奏もチグハグ、ただ核爆弾級のクサさだけがこのアルバムを成立させています。 欧米に無いクサさを求めて、このところアジア(韓国、台湾、インドネシア)を放浪!していましたが、 南米は時々こういう偉業をやってのけるんですよね!

No.11
・DEPARTURE FOR DAYDREAM ORBIT/MINSTREL(吟遊家)(13)
2014年の一時期、台湾の激臭軍団NOCTURNE MOONRISE を狂ったようにリピートし続けたのを思い出し、 台湾に他にもモンスターがいるのでは... ということで探しあてたえげつない一品!
演奏、プロダクションともに粗悪だった NOCTURNE MOONRISEをさらに上回るあまりにもひどい内容ながら、 欧米メタルの常識を軽々と飛び越える激臭メロディを連発し、 しつこく畳み掛け、ひたすら突撃を続けていく姿に胸を打たれてしまいます。
こんなゲスなものにはまるなんてあり得ない...と頭ではわかっているのですが、 理屈抜きに体がこの音を求めてしまうんですよね。(特定マニアに対する中毒性の高さは異常!)
近年の台湾メタルといったらCHTHONICを聴くのが定石だと思うんですが ...本当にダメダメですみません...

No.12
・DEODATO 2/DEODATO(73)
ブラジルが世界に誇る天才アーティスト、 デオダートのクロスオーバー草創期を飾る極め付けの1枚。
これはやばすぎです... 大体なんでマーキー27号の中南米特集に載せてくれなかったんだよう (←当たり前だろ!)
こんな強烈な神盤だったなんてずっと知りませんでした(恥)。
確かにプログレ・ファンにとっては、 メジャーでイージーなイメージに映るのかもしれませんが、 ラプソディ・イン・ブルーやサテンの夜の斬新なアレンジ、 スーパー・ストラットやスカイスクレイパーズにおける 超絶最強リズム隊(ビリー・コブハム&スタンリー・クラーク)の上を やりたい放題暴れまわるデオダート&ジョン・トロペアのえげつない演奏には、 そこいらのプログレとは異なる特別なプログレッシブさを感じます。
これからデオダートの作品もチェックしていきたいと思いますが、 やたら作品出してますね...集めるの大変そう〜。

No.13
・THE COMPLETE AERIAL COLLECTION/AERIAL(94)
クラトゥとアヴィアリーを合体させたような1曲目が個人的にツボ過ぎて (一気に聴くのが勿体なくて)10年以上塩漬けしていた カナダの実力派バンドによるコンプリート音源集(1st(78)+2nd(82))。
ようやく全曲聴きましたが、どの曲も手が込んでいて相当面白いです。 中でもドラマティックかつシンフォニックな味付けが施された1stはプログレの枠で語っても 十分名盤に値する内容です。(詳細はプログレ名盤紹介に書くことにします。)
2ndは、1stの立体的な音づくりが失われ、 面白味が薄れてしまっているのが残念です。 (といっても、メロディアス・ハード〜産業ロックとしては十分及第点モノですが)

No.14
・CROWDED IN THE EAR/KAVERET(75)
イスラエルのロック・シーンの源泉である 偉大すぎる名グループの3rd。
1st、2ndの流れを組みつつ、 なんでもあり度がさらにアップし ニッチ・ポップとかプログレとかミクスチャーとかを一気に飛び越えた モンスター・アルバムとなっています。
どの曲も底抜けに楽しめますが、個人的には、 5曲目(シュガーベイブにこんな感じのピアノ曲あったよね?)と、 7曲目(ヘブライ語のサンバってもうなにがなんだか...)にやられました。
正月はこればっかりリピートしまくりで、 門松代わりにこのジャケットを玄関に飾ろうかと思ったほどです。
いつかイスラエルに行ってみたいなあ...

No.15
・KALEIDOSCOPISM/SPARKWOOD(07)
キラキラなセンスに定評のあるアメリカのサンシャイン・ポップ・バンドによる3rd。
ワンダーミンツが丁度似たようなタイトル(KALEIDOSCOPIN')で ピュア・ポップの傑作を発表していますが、 本作も負けるどころか、それ以上に カラフルでピュアなポップ・ワールドを展開しています。
素晴らしかった2ndから一段と成長、成熟し、 最高級のミルクを大量にこぼしています!
特に前半の流れは出木杉君...後半が物足りなく感じてしまうほどです。 (本当は捨て曲なんか無いんですが...)
ジェリーフィッシュ・チルドレン系のバンドは、 ポップ度を突き詰め最高傑作を残した後、 本家同様に燃え尽きる傾向がある気がしているので 最近どうしているのか気になっています。

No.16
・SOUNDS OF PASSION/CODA(86)
オランダが生んだ特大スケールのシンフォ大名盤。
初めて耳にした日は感動に打ち震えて眠れなくなったのを覚えています。 (パイプオルガンの後は記憶が飛んだような...)
本編はプログレ名盤紹介でふれることにして、 ボーナスCDの貴重なデモ音源がまた凄いことになっています。
デモ音源の時点で既に名盤レベルを軽く超えるという、 あり得ない出来栄えになっています。
といいながらも、このデモとオリジナル音源との間に とてつもない差があるのもまた事実。 (どれだけブラッシュアップに時間をかけたことやら)
70年代でプログレが死んだと思ってる人に 強制的に聴かせたい名盤です。

No.17
・MR.NOONE SPECIAL/CYMBALS(00)
遅れてきた渋谷系のシンボル的名盤1stに続くシンバルズの2nd。
1stで打ち出した様々な路線の細分化をさらに推し進めているのですが、 なんともうらやましいというか、憎たらしいというか...
アイデアがどんどん浮かび、そのすべてがヒットしているような感じを受けます。 彼らが音を出し歌を歌っているだけで、 自然とメンバーの個性がうまく融合し化学反応が起こり、 何をやってもミラクル&マジカル&フェリーチェ!な音が生み出されています。
タックスマンが出てきたり、マルチプライズ(YMO)が出てきたり、 ネタのチョイスも文句なしです。2ndも間違いなく名盤です!

No.18
・OVERWRITE THE SIN/MAGLEV(16)
オランダ人アーティストJOOST MAGLEV率いるプロジェクト、MAGLEVによるシンフォ作。
ロビー・ヴァレンタインが参加していると知り、気になって入手がしてみたら こりゃおもろい!かなりの掘り出し物ですよコレ!!
まず、1曲目はいきなりヴァレンタインそのもの... 「ロビー名義時代のキラキラなヴァレンタインを頼む。」 との発注を受け、ロビーがシコシコと作ったとしか思えないレベルです!
2曲目はトランスアトランティック風の正統派シンフォかと思えば、 終盤はイエスの同志になっちゃうし、 3曲目はヴァレンシアまんまだし(覆面でヴァレンシアも参加してるんじゃないの?) で、4曲目は途中からとどめとばかりにエックスジャパン(←某TV通販みたいに書くなよ!)が 飛び出します。
ここまでが凄すぎるので、ラストの大作は最も正攻法なのに、 印象が薄かったりします。
まだまだネタをたくさん隠していると思われるので、 次回作もチェックしたいと思います。

No.19
・SCREAM AIM FIRE/BULLET FOR MY VALENTINE(08)
AVENGED SEVENFOLD、TRIVIUMとともに、 一大ブームを巻き起こした イギリスの新世代メタル・コア・バンドによる傑作2nd。
当時チェックはしていたものの、 AVENGED SEVENFOLDがあまりにもツボだったため、 そのまま聴きもらしてここまで来てしまいましたが、 すっげー格好良いじゃないですかー!...今更ですが押さえておいて本当に良かったです。
初期メタリカのへヴィさ、アグレッシブさ、疾走度を全て増量させた上で、 エモの要素を散りばめてアップグレードさせたサウンドの説得力は圧倒的です。
若々しく危険で手が付けられない暴れっぷりをみせつけながら、 その裏で自分たちの豊富な武器をバランス良く配置し 効率よくアピールするしたたかさも持ち合わせているのがニクいです。
バンドがやりたい音と時代が求めた音とが見事にはまり、 超追い風状態でリリースしたのもでかいですね。
個人的には個性的な3曲目にやられました〜。

No.20
・PABLO EL ENTERRADOR/SAME(83)
アルゼンチン・シンフォNo.1との呼び声も高い名盤。
ライブ音源を聴いてみたかったのと 音質向上を期待してCDを新たに買い直しました。 (前者は正解でしたが、後者は...)
とはいえ、あふれんばかりの叙情メロディに埋め尽くされ、 音質の悪さなどすぐに忘れてしまいます。
これを機にプログレ名盤紹介にも掲載します。

No.21
・SWEDISH HITZ GOES METAL/REIN XEED(11)
北欧メロスピ新世代を代表するバンド、レイン・エクシードによる 母国スウェーデンの有名なヒット曲のメタル・カヴァー集。
想像以上でも以下でもないそのまんまな内容なので、 レイン・エクシードのコアなファンであり、 カヴァーしている曲にもなじみがあれば、 結構楽しめる内容だと思います。(私は楽しめました。)
残念なのは、選んだアーティストが、 ABBA、ROXETTE、ACE OF BASEの3組に限定されているところでしょう。 (やっぱりCARDIGANSは入れないと!)
いつもペラペラで馬鹿にされるプロダクションの軽さが、 逆に作用しているのは狙い通りなんでしょうか? メタル嫌いの人でも違和感なく聞けると思います。
それにしてもトミー君、仕事し過ぎ... 過労で倒れるんじゃないの...って 体に栄養分を貯めこんでるから心配ないか?(←ラクダかよ)

No.22
・STEP IN 2 MY WORLD/SEVEN STEPS TO THE GREEN DOOR(08)
これまでバンド名の長さ(どうせなら、DOORじゃなくてGATEならSSTTGGになったのに...)しか 印象に残っていなかったドイツの新世代プログレ・バンドの2nd。
新作が評判になっているので、 まず入手し易い本作から聴いてみることにしました。
特に凄い武器を持っているわけではないのですが、 何故か何度もリピートしたくなる不思議な魅力を持っています。 リピートの回数を重ねることで、 じわじわと彼らの世界に引きずり込まれてしまいます。
相当広い視野と確かな演奏技術を持っていながら、 それらを前面に出すことなく、 ナチュラルかつコンパクトな形に1曲1曲をまとめあげる姿勢には好感を覚えます。 SPOCK BEARD、IZZ、A.C.T、IT BITESあたりが好きなら、 間違いなく愛聴盤となることでしょう。

No.23
・RADIO AUTUMN ATTIC/MARTIN NEWELL(02)
イギリスの頑固一徹ポップ職人による2002年作品。
予想通り笑ってしまうぐらいにこれまでと何も変わっていません。
誰にでもできそうに見えて、実はマーティン・ニューウェルにしか作れない、 味わい深い楽曲が揃っています。
○○チルドレン、○○フォロワーといった 似たり寄ったりのポップ・バンド、ポップ・アーティストがひしめく中、 この素朴で温かく古めかしいサウンドは不器用でシンプルな分、耳にしっかりと残ります。
この後アルバムを何枚残してくれるかわかりませんが、 きっとラストもこんな内容になるんでしょうね。

No.24
・THE COLOR OF DAY/LAMAR HOLLEY(13)
ライナス・オブ・ハリウッドに匹敵する 天才メロディ・メーカーによる2013年作。
これまで、あり得ないぐらいキャッチーな楽曲ばかりを、 膨大に生み出している割には、 印象に残りにくいイメージがありましたが、 本作を聴き、それは似たタイプの曲が多く、 振れ幅が少なかったせいだとわかりました。
人生経験を積み重ねたせいもあろのでしょう、 1曲目のような(彼が得意とする)子供向けの楽曲から、 内省的で枯れた味わいを見せる楽曲まで、 振れ幅が大きく印象に残りやすい作品に仕上げてきています。
早咲きの天才も多いですが、 彼は一生追い続ける価値のあるタイプだと確信できました。

No.25
・THE RULE OF 72'S/LOVE BANG(09)
エリック・ドーヴァーがジェリーフィッシュ解散後に率いていた パワー・ポップ・バンド唯一の作品。
こぼれたミルクを上手にすくいあげ復元したかのような仕上がりです。 (ただアレンジは極めてシンプルなので、四畳半ジェリーフィッシュ的なイメージ?!)
ジェリーフィッシュでアルバムを残せなかったエリックの未練というか執念が 全て詰め込まれたかのように次から次へと美メロ泣きメロが飛び出してきます。
星の数ほど出現したジェリーフィッシュ・クローンと違い、 血のつながりの大きさを感じます。 ジェリーフィッシュのファンならマストですよ!

No.26
・SOULLESS CHILD/ANCIENT BARDS(11)
豪華絢爛なデビュー盤で、 その筋の愛好家を狂喜乱舞させた イタリアのドラマティック・シンフォ・メタル・バンドの2nd。
1stと同じ路線で勝負していますが、 今回も激しい場面展開、くっさい泣きメロが膨大に用意されていて、 マンネリ感を感じさせない仕上がりとなっています。
どこから聴いてもすぐに自分たちの世界に引きずり込む 説得力に満ちた内容で、近年のシンフォ・メタルの中でも頭一つ抜けています。
体が肥大し過ぎてキレが無くなった感のあるラプソディよりも断然楽しめます。
これだけ演奏が分厚いとヴォーカルの弱さが目立つものですが、 このバンドはバリバリ肉食系な女性ヴォーカリストが、 演奏陣を見事にねじ伏せ、従えているところが格好良いです。
次回作あたりでネタ切れにならないと良いのですが...

No.27
・LET'S CHANGE THE WORLD WITH MUSIC/PREFAB SPROUT(09)
孤高の天才ソングライター、パディ・マクアルーンによる プリファブ・スプラウト名義の2009年作品。
パディが生活する環境には、この世の醜い惨状が一切入ってこないのでは? と思えるほど、世間離れした純粋すぎる音が散りばめられています。
かれこれ20年以上前、知人が大絶賛して勧めてくれた「ヨルダン〜」を聴き、 凄さはわかったもののはまれなかった(眩しすぎて何度もリピートできなかった...)ため、 ずっと彼らの音から離れていましたが、 今になってようやくこの貴重な音を真正面から受け止められるようになりました。 (文字通り目の前の世界が一変した感じがします!)
過去の名盤もこれからのんびり辿っていこうっと。

No.28
・THE TUBES/SAME(75)
かつてYMOがライブの前座を務めたイメージが強すぎて これまでじっくり聴くことがなかった個性派バンド、 チューブスのデビュー盤。
意味不明なオープニングからラストまで、 先読み不可能な展開が怒涛のように押し寄せます。 こんなにもぶっ飛んだストレンジきわまりないバンドをずっと聴かずにいたなんて、 なんか得した気分です!
そういえば相当前、とあるプログレ系のオフ会で、 「一番好きなバンドはチューブスです。」 と発言されていた方がいたのを今になって思い出しました。 なるほど、こういうことだったのか... プログレ5大バンドの類似物、発展形、合成物をプログレと呼ぶことが多いですが、 本来は、これまで無かった唯一無二のスタイルを貫く 得体のしれない怪物こそがプログレですよね。
個人的には、ザッパ、スプリット・エンズ、スパークスあたりに 近いものを感じました。

No.29
・THE WAY THINGS END/AKIN(11)
フランスの良質なゴシック・メタル・バンドによる2nd。
名盤VERSEをリリース後10年間音沙汰がなく、 存在をすっかり忘れた頃にリリースされたため、 本当に同じバンドかどうかを確認してから購入しました。
1stに比べるとアグレッシブさが後退し、叙情性を前面に押し出しています。 メタル度が薄まり、シンフォ度が色濃くなったとも言えます。 シーンの移り変わりもありますが、 それ以上にメンバーが年を取り、 やんちゃできなくなったせいもあるのでしょう。
触れた途端に壊れてしまいそうな繊細さ、琴線に触れるメロディ、湿り気たっぷりのギター、 誠実な女性ヴォーカルが見事に調和していて、 何度聴いても「飽きん!」です。
メタルが聴けないプログレ・ファン、プログレが聴けないメタル・ファン にもアピールできる名盤です。
次回作までにまた間か空いてしまうのかなあ...

No.30
・KRYWAN, KRYWAN/STWORZENIA SWIATA CZESC DRUGA/SKALDOWIE(00)
1965年から活動しているポーランドの重鎮バンドが 最もプログレッシブ・ロックに傾倒していた時期に残した 2枚の名盤をカップリングしたお買い得CD。
欧米ロックの影響が丁度3〜4年遅れでポーランドに伝わっているような感じで、 72年のKRYWAN, KRYWANは、前々作、前作の流れを汲んだ、 ビート・ポップ〜サイケ〜アート・ロックな路線を突き詰めています。
ナイスや初期パープル、さらには初期ニュー・トロルスやフォルムラ・トレを想起させる音ですが、 表現力豊かなヴァイオリンが彼らのサウンドを特別なものにしています。
特に長尺なタイトル曲では70年前後にどこの国でも流行っていたクラシックのカバーを織り交ぜた 名演となっています。
プログレとしては、76年のSTWORZENIA SWIATA CZESC DRUGAのほうが フィットするので、 こちらはプログレ名盤紹介でレビューします。


その他

・BLIND RIDE/HIBRIA(11)
ブラジルの王道メタル・バンド、ヒブリアによる3rd。
相変わらずパワフルで切れ味鋭いパフォーマンスを みせつける良質の作品に仕上がっていて確実に楽しめます。
衝撃的なデビュー盤に比べると、 どうしても物足りなさやマンネリ感を感じてしまいますが、 一切手を抜くことのなく、緊張感と勢いにあふれる演奏を堪能できるので、 通して聴くことが出来ます。
年齢に負けることなくこの調子で頑張って、 シーンを賑し続けてほしいと思います。
どうでもいいですが、このジャケット ヒブリアというよりヒアブリですね!(笑)

・QUEENS ENGLISH/MARK BACINO(10)
その昔頭がおかしくなるほどデビュー盤を聴きまった 個人的な思い入れ特大のSSWによる待ちに待った3rd。
長い間情報が得られず、 もう彼の新作を聴くことは無いだろうとあきらめていたので、 本作のリリースを知ったっときは狂喜乱舞しました。
前々作、前作のようなキャッチー極まりない キラキラ青春パワー・ポップを期待して再生したところ、 年相応の内容(樽じゃないけど、青春パワポやるには年取りすぎ?) に落ち着いていたため、やや肩透かしを食らった感はありましたが、 何度かリピートしてすぐに、 非凡なメロディ・センスは健在てあることに気づきました。
一昔前にマニアの間で話題になり、国内盤が出るほど知名度があった割には、 本作の存在が知られていないようで残念です。
少なくとも2000年前後に、彼の作品にときめいていた方は、 本作を入手して聴いてみてください。 彼も年をとっていますが、みなさん(の耳)もちゃんと年を取っているので、 問題無く楽しめるはずです!

・PERSPECTIVES/LORD OF MUSHROOMS(12)
モナコ公国の個性派プログレ・メタル・バンドによる3rd
一昔前、A.C.Tが登場した後、同様にポップ、プログレ、メタルを融合させた ユニークなバンドがうじゃうじゃ出てきましたが、彼らはその中で 頭一つぬきんでていたので、継続して活動できているのだと思います。
さて久々の発表となる本作ですが、 2ndと比べるとポップな部分が後退しています。
A.C.Tっぽい音を期待していたのでかなりガッカリしました... が、それは最初だけで、聴けば聴くほど 彼らの深遠な音世界に引きずり込まれていきました。
初期PAIN OF SALVATIONのようなストイックな緊張感が 張りつめる中、視野の広さを感じさせる 芸術性の高いプログレッシブ・メタルを追及しています。
恐ろしく格好良いです! A.C.T路線から離れて正解だったのではないでしょうか。
現時点での最高傑作と断言できます。
プログレ・メタルのブームはかなり前に収束したとはいえ、 これだけの完成度を誇る傑作が 多くのマニアの耳に届いていないのは悲しいです。

・タルカス〜クラシック MEETS ロック/吉松隆(10)
プログレ・ファンなら全員知っている大名盤タルカスの オーケストラ化に挑んだ作品。
なんで今?と言われそうですが聴いてみました。
こんなタルカスありか〜。すさまじい迫力と音圧に うちのめされました。 (舘ひろしもびっくりでしょう...(←それはカルタス!))
東京フィルハーモニー交響楽団のメンバーに、 演奏前にロックの素晴らしさをたっぷり洗脳しない限り、 こんなにアグレッシブな演奏はできないでしょう。 (大抵のクラシックの演奏者は、 クラシック>>>>>ガラスを引っかく音>>>>ロックぐらいに思ってるはず!)
このメンバーと全盛時のEL&Pが共演して展覧会の絵とかやってくれたら 失禁間違いなかったろうなぁ。
で、タルカス以外の曲なんですが、 正直ピンときませんでした。ごめんなさい〜。 (だってアメリカって言ったらあのアメリカを期待するでしょ〜... それにアトム・ハーツ・クラブ組曲って言われたら...(略))
後日、吉松隆を調べていたら柴田恭兵のRUNNING SHOTの作詞作曲に 関わっていてびっくりしました。(あぶない刑事つながり?)

・LIVE AT THE FILLMORE EAST DECEMBER 1969/THE NICE(09)
「ザ・ナイス」というバンド名を聴くたびに、どうしても同名雑誌 (「ザ・ベスト」のパチもの?)が脳裏に浮かんでしまう クラシカル・キーボード・シンフォ・トリオのライブ盤。
その昔、クリムゾン、フロイド、イエス、EL&Pらの名盤を一通り聴いた後に 銀座ハンターで「アテンション!不滅のキース・エマーソン」というLPを通じてナイスを知り、 EL&Pと同じかそれ以上の衝撃を受けたのを覚えています。 (日本全国ナイス党に一票投じようかと思ったほどです!)
このライブ盤は、EL&Pのような華やかなシンセも、 情感豊かなヴォーカルも、怒涛のドラミングもありませんが、 その分、ひたすらオルガンを弾き倒し(エマーソンの場合本当に倒してる!)、 楽器の限界ギリギリに挑み続ける姿勢に痺れます。
制約が多いと不自由に感じますが、実はその制約の中でなんとか表現の幅を広げようと 創意工夫するので面白いものがうまれやすいんですよね。
ここまで魅力を引き出してもらえたら、オルガン君も本望だと思います。
もし60年代でエマーソンが亡くなっていたら、 ジミヘンかそれ以上の伝説になっていたことでしょう。
...と書いていたら本当に訃報が届いてしまいました...ご冥福をお祈りします。 (こういう偶然って結構ありますよね。丁度ABBHAMA聴いてる時にIWAN MADJIDが亡くなったし...、 友人は桃井○で(略)...)

・VISION DIVINE/SAME(99)
イタリアのメロスピ界の重鎮バンドによる輝かしいデビュー盤。
当時今一つ良さが分からずにこれまでにスルーし続けてきたのですが、 ふと気になりチェックしてみました。
2大メンバーが引きずるラビリンス+ラプソディなイメージを 打ち破るようなインパクトはありませんが、 この時代のイタリアものらしい破竹の勢いが、 疾走感を後押ししていて心地良く、 きらびやかでシンフォニックで色気を感じさせるなかなかの傑作となっています。
ただファイナル・カウントダウンのカヴァーだけはいただけない... オリジナルに忠実なおかげで他の疾走曲に比べると 明らかにスピードが遅くもっさりした失速感を覚えます。 自分たちの得意とするメロスピ領域でカヴァーすればよかったのになぁ...

・AND SO ON/CIRCA(11)
ビリー・シャーウッド、トニー・ケイといった元イエスのメンバーに、 イエスのトリビュート・バンド等からイエス好きを集めて結成された、 全イエス・ファンのためのシンフォ・バンドによる3作目。
スクワイア風ベース、ハウ風ギター、ケイ風オルガン(←これは当たり前だろ!)など イエスへに対するありったけの愛が注がれた内容に、 思わず「新世紀のスターキャッスル?!」と呼びたくなります。
型にはまりすぎあまり、楽曲の面白味という点で弱さを抱えてはいますが、 ビリー・シャーウッドの巧みな仕事っぷりにより、 傑作の域には十分達していると思います。
イエス・ファンなら一聴をおすすめします。

・A PROCURA DA ESSENCIA/SOM NOSSO DE CADA DIA(04)
70年代ブラジルを代表する名シンフォ・バンドによる 75〜76年のライブ音源(2枚組)
1stと2ndとの音楽性にかなり乖離がある彼らですが、 このライブ盤でまたもこれまでの印象を覆えしてくれました。
ラッシュとかマグマとかジェントル・ジャイアントと同じように、 ライブ音源を聴いたあと、お行儀のよいスタジオ盤を聴けなくなってしまう 人が多発するんじゃないかな?
アマゾンの密林に出現した怪物が狂ったように暴れまわり、 ノッソノッソ(のっしのっし!)と大木をなぎ倒していくかのような演奏は、 かなりインパクトがあります。
恐らく、バンドの本当の姿をどうしても伝えたくなり、 近年になってメンバー(または大ファン)か当時のライブ音源のリリースを企画したのではないでしょうか?
フロイドとマハビシュヌが交互に出てきたり、 ブランドXが突如サンタナ化したり...かなり壊れかかっていて楽しいです。
他にもライブ盤が出ているので、気になる方は そちらもチェックしておきましょう。(もちろん私は入手済!)

・POETRY FOR THE POISONED/KAMELOT(10)
名ヴォーカリスト、ロイ・カーンを中心とした アメリカの実力派メタル・バンドによる2010年の作品。
ベテランの充実作らしく非常に安定した内容で、 深遠、重厚、芳醇なドラマが丁寧に描かれています。
あまりの完成度の高さに文句のつけようは無いのですが、 逆に予定調和的でもありどこか物足りなさも感じます。
とはいえ、ハイライトにおける ゲスト・ヴォーカルを交えたエイリオンのような畳み掛けは感動的です。
ロイ・カーンは本作を最後にバンドを抜けてしまうんですよね...勿体ないです。 (今何やってるんでしょうね、西新宿で居酒屋やってるとか?(←カーン違い!))

・THE VERY BEST OF KOOL & THE GANG/KOOL & THE GANG(99)
洋楽に目覚めたころ、毎週のようにチャートを賑していた スーパー・グループによる強力なベスト盤。
いまさら説明は不要でしょう... あらためてヒット曲の多さと各曲のクオリティの高さに気付くことができました。
みなさんはどの曲が好きですか? 私はどこかホール&オーツっぽいジョアンナが一番好きです。
セレブレイションのような軽快なディスコ調ポップス曲、 チェリッシュのようなメロウなバラード曲 の素晴らしさはリアルタイムで認識していましたが、 ジャングル・ブギのような初期の真っ黒ファンク曲の カッコ良さはこのベストで初めて知りました。
アースと比べても全然負けていないのに、 特に日本で軽く見られがちなのが残念です。

・EARTH AND HEAVEN/REPERCUSSIONS(95)
その昔、リアルタイムで購入予定リストに入れておきながら、 アシッド・ジャズのブーム終焉とともに買いそびれそのままになっていた一品。
当時を象徴する90年代のあの音で埋め尽くされていますが、 全然古臭さは感じません。 シャープでありながらソフトでもあり、 ホットでもありながらクールでもある... とにもかくにもさじ加減が絶妙です。
非常にインテレクチュアルな仕上がりながらも、 それを感じさせないナチュラルなところがまた憎い!
アシッド・ジャズものの中でも相当な無劣化性を誇る傑作だと思います。

・EYE LEVEL/YONI RECHTER & ELI MOHAR(86)
イスラエルを代表する天才アーティストYONI RECHTERが、 ELI MOHARと組んで発表した作品。
KAVERET、FOURTEEN OCTAVESで感じられた、 プログレ〜ジャズ・ロック風味は薄まり、 いかにも80年代らしいシティ・ポップ〜AOR路線にチェンジしていますが、 これはこれで実に良いです。
結局天才は何をやっても成果をだしてしまうんですよねー。
YONIがピアノやエレピにふれるだびに世界が一変し、メロディの良さはもちろん、 80年代独特の空間的なアレンジに響くヘブライ語ヴォーカルが なんともいえない雰囲気を演出しています。
シンフォな1曲目も良いですが、 FMテルアビブのクロスオーバーイレブン(笑)でかかってそうな曲No.1な しっとりしたラストがたまらなく心地よいです。
それにしても、AVNER KENNER(FOURTEEN OCTAVES)、YEHUDITH RAVITZ、 本作...YONI RECHTERってデュオ作が多いのは何故なんでしょう? (あまり自分に自信が無いとか?)
なかなか入手しづらいかもしれませんので、 見かけたらすぐにおさえるヨーニしましょう。

・FIFTH ELEMENT/PATHFINDER(12)
個人的にバンド名からベガーズ・オペラを想起してしまう、 ポーランドのドラマティック・シンフォ・メタル・バンドの2nd。
「豪華絢爛」という四文字熟語を音で表現したかのような1st路線を 引き継いだ圧倒的な内容ですが、 1stで消費した大量のHP、MPが完全回復しないまま 2ndを出した感があり、決め手に欠ける印象を拭えません。
とはいえ、1stとあわせて シンフォ・メタル・マニアの必聴作であることに変わりありません。
鉄壁の演奏陣の上で七色の声を使い分けるヴォーカルは やっぱりどうかしていて面白いです。
2ndがこんな感じだと3rdのリリースは難しいのかなぁ... せめてヴォーカルだけでもどこかで拾ってあげてください!

・KONSER ROCK/ANDROMEDHA(92)
インドネシアの80年代メタルシーンを代表する名バンドによる唯一の作品。
インドネシアの戦隊ヒーローものに使われてそうな1曲目にはじまり、 ヴァン・ヘイレン風スピード・チューンあり、 ジャーニー風スロー・バラードあり、 定番のレインボウ、イングウェイへのリスペクトも忘れちゃいないので、 なかなかヴァラエティ豊かです。
「メタル」というよりも「ヘヴィメタ」な演奏、 インドネシア歌謡を引き摺る泥臭い歌メロ、 何をやらせてもペラペラなプロダクション... 欧米をC級バンドまで突き詰めても絶対に辿りつけない ダサ格好良いサウンドに幾度も胸が熱くなります。 (わかる人にはわかってもらえるはず!)
4曲目の出だしのシンセを聞くと、80年代民放フラッシュ・ニュース的な オープニングを思い浮かべてしまうのは私だけでしょうか。(笑)

・I WAS RAISED ON MATTHEW, MARK, LUKE & LAURA/PAS/CAL(08)
アメリカはデトロイトのヘンテコなインディーズ・ポップ・バンドによる一品。
王道ポップ路線でも相当なレベルにあると思うのですが、 どうもそれだけじゃつまらないようで、 インディーズかくあるべし...と言わんばかりに、 無数のヒネリを大量にねじ込んでいます。
他のポップものと比べると、ややとっつきにくさを感じますが、 マニアにとっては逆に中毒性が高いともいえるでしょう。
ひょうひょうとしたマイペースぶりはなかなか好感が持てます。

・COSMOS AND CHAOS(2014 EDITION)/SYZYGY(14)
プログレ冬の時代に産み落とされた数少ない傑作のひとつである、 SYZYGY(当時はWITSENDと名乗っていた)のCOSMOS AND CHAOSの 20周年記念盤。
アルバムの知名度を考えると、メンバーの自己満足的な企画に思えて ちょっと恥ずかしくなりますが、新旧のスタジオ&ライブ音源を織り交ぜた 構成は彼らの魅力を多面的に捉えていて楽しめます。
ヨーロッパ的な繊細さと、アメリカらしい豪快さを融合させたような ユニークなサウンドは今も昔も変わっていません。 個人的には、スタジオ音源よりも NATHAN MAHLに通じるような激しいライブ音源のほうが 彼らの良さが堪能できるように思います。
これを聴いて20年前のオリジナル音源を聴きたくなったんですが、 今家のどこにあるんだろう...

・LA CLEF DES SONGES/PENTACLE(75)
フランスの叙情派シンフォ・バンドによる唯一作。
ふんわりとした柔らかな味わいのオリジナル音源はもちろん良いのですが、 ボーナス収録のハードでガッツあふれるライブ音源に惚れました。 (この路線でもう一枚作ってほしかった!)
プログレ名盤紹介にも掲載します。

・IMPULS O!/OS CATEDRATICOS(64)
デオダートの「2」がとても良かったので、 そもそもブラジル時代に何をしていたんだろう? と入手した初期デオダート率いるバンド名義での一品。
クロスオーヴァー期のサウンドからは想像もつかない、 オルガンの響きがなんとも心地よい明快な元祖ラウンジ系的な ラテン・ジャズをやっていますが、これはこれで最高です。
1964年にブラジルでこんなにおしゃれで進んだ音を出していたなんて... 恐らく未来永劫、何周もまわってそのたびに評価される音楽だと思います。
オルガンのフレージングはもちろん音色も独特で格好良いです。 名プレーヤーと称されるアーティストは、同じ楽器を使っても、 その人にしか出せない音を作り出すものなんですよね〜。


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