2015年に聴きまくったアルバムBEST30(+22)

2015年に聴きまくったアルバム52枚を順位付けして紹介します。
仕事がますます忙しくなり、音楽を楽しめる時間が減り、 レビュー枚数も減っていますが、新たな音楽に出会うワクワク感はサイトを始めた頃... というかキャンディーズやビートルズやYMOにときめいていた子供の頃と何も変わっていません。
おかげで購入ペースも変わっていません。
今年の1位はぶっちぎりです!(エンプレス杯のホクトベガレベル!)


No.1
・EL CIRCO DE LA TIERRA/DRY RIVER(11)
スペインからとんでもない逸材が出てきました!
クイーンとドリーム・シアターを誰もがわかりやすい形で 合体させ、長編映画のような壮大なドラマを演じています。
シンフォニック、ヘヴィ、ドラマティック、テクニカル、 メロディアス、キャッチー...おまけにユーモア(毒)を盛り込んだ 極彩色なサウンドは、スウェーデンのA.C.Tを思い出さずにはいられません。
その昔、イタリアのニュー・トロルスがクイーンを情熱的にしたような コーラスを売りにしていましたが、彼らのコーラスはスペインだけあって さらに血がたぎるような熱い熱いパッションを感じさせます。 もう私のために結成されたようなバンドだとしか思えません(爆)。
追伸:彼らのプロモはあまりにも醜悪です。 (肉屋のオヤジみたいなメンバーがいるだけでも眩暈がするのに...) 心臓の弱い方、食事中は絶対に視聴しないようお願いします!

No.2
・ROMEO/SAME(99)
インドネシアのクサメロ殿下!BEBI ROMEO率いるバンド、 ROMEOのデビュー盤。
ずっと音源を探していたんですが、 iTunes Storeで発見...ついに聴くことが出来て感激です!!!
1曲目MELODI CINTA(愛のメロディ(笑))からかましてくれてます。 まるで、モー娘。(LOVEマシーンっぽいと思ったら発表年同じ!)+ ストロベリー・アラーム・クロック(オルガン)+ 初期オリジナル・ラヴを鍋にぶち込んでクタクタに煮込んで 長時間発酵させたような感じです。(なんだそりゃ)
2曲目のビートルズ入りパワー・ポップで一息ついたかと思ったら、 3曲目のCINTA(また愛かよ!)は待ちに待った十八番の甘美なピアノ・バラード... 耳も脳もとろけそうです。
7曲目(名曲)は確かTHE SINGER-SONGWRITERにも入ってましたね、 聴き比べると面白いかもです。
デビュー盤にして全曲BEBI ROMEO節全開...甘ったるさに身も心もベタベタになります。
フェロモン出しまくりで自己陶酔しまくりのヴォーカルもまた痺れます。
こんなこと出来るのは世界でBEBI ROMEO一人だけでしょう... アジアの至宝ですね。早く新作出してくれ〜。
なんか一人で勝手に盛り上がってますが(恥)、 それだけ興奮しているってことでお許しください。 (きっと私の先祖を辿るとインドネシアに行き着くんだろうなぁ...)
BIMAの音源も出てくれないかな...

No.3
・POOGY TALES/KAVERET(73)
イスラエルの本家本元スーパー・グループによる記念すべきデビュー盤。
イスラエルの元祖プログレといえば、NO NAMESを 思い浮かべる人が多いかと思いますが、 なんとこのアルバムはそのNO NAMESをさらに2年遡ります。 73年にこれだけユニークなスタイルを確立していたなんて 本当に驚かされます。(世界的に見ても明らかに先を行ってます。)
コロコロと転がりまくるYONI RECHTERのエレピをはじめ、 ギターもベースもドラムも自然に上手くてコーラスも気持ち良いです。
ヒネリのきいた複雑な楽曲が多いのですが、 それを一切感じさせない素朴かつポップな演奏でまとめているのが良いです。 (後半のヘブライ版スネークマンショウ!みたいな曲は除く)
それにしても、イスラエルものってなんでそこはかとなく、 GG+カンタベリーのにおいがするんでしょうね〜。

No.4
・COSMOS/FITNESS FOREVER(13)
フレッシュかつミラクルな名盤1stにより、 イタリアに渋谷系の遺伝子が生き残っていることを マニアに知らしめたFITNESS FOREVERによる待望の2nd。
レーベル仲間であるスペインのLA CASA AZULに比べ、 個性という点でやや弱さを感じていましたが、 この2ndではとてつもない成長を遂げていてびっくり! まるで思春期真っ只中の少年が大人の階段を2段跳びで一気に駆け上ったような感じで、 一言でいうなら「プログレッ渋谷系」でしょう(笑)。
具体的には、1stは若げの至り的なソフト・ロック、ギター・ポップ、ネオアコ風な 渋谷系だったのが、 この2ndではレアグルーブ、ファンク、AOR、クロスオーヴァー、 ワールドミュージックあたりまで手を広げた渋谷系総決算的な名盤となっています! (結局「渋谷系」って言葉で表現できてしまうところに、「渋谷系」の奥深さを感じます!)
雑食系の音楽マニアであればあるほど楽しめる 大人向けのスーパー・ポップ・アルバムといえるでしょう。
まだまだ底を見せていない気がするので、今から3rdが楽しみです!

No.5
・REMASTERS OF THE UNIVERSE/NATION(14)
北欧メタルの雄、NATIONが残した名盤2枚 CHASED BY TIME(94)+WITHOUT REMORSE(95)をカップリングし、 2013年の再結成音源をボーナスに収録したお買い得CD。
みなさんは「北欧メタル」というキーワードから どのバンドのどの曲を思い浮かべますか?
ヨーロッパ、ストラトヴァリウス、ロイヤル・ハント、ソナタ・アークティカ、TNT... どのバンドにもそれぞれいろんな思い入れがありますが、 私は真っ先にNATIONの名曲DESTINYを思い浮かべます。
「きれいなイングウェイ」と喩えたくなるような ジョニー・ウリーンのギターは ソロもリフもすこぶるテクニカルで美しく流麗でありながら弾き過ぎないところが良いです。 透明感あふれる冷ややかなキーボード、青くささの残るヴォーカルも手伝って 何度聴いても感動で涙腺が緩んでしまいます。
もちろん他にもいい曲をたくさん残していることが分かります。
せっかく再結成したのだから、 また素晴らしいアルバムを発表してくれないかなー。

No.6
・WILL YOU BE STAYING AFTER SUNDAY/PEPPERMINT RAINBOW(69)
中山忍にも影響を与えた?!古き良きソフト・ロックの知られざる大名盤。
実はこのところヨーカドーやアリオに行く機会が増え、 店内BGM(ソフト・ロック名曲選?)にすっかり洗脳され、 気が付いたら本作を入手していました!
実力派の男女混成グループというと真っ先に5TH DIMENSIONが思い浮かびますが、 5TH DIMENSIONのような熱さや力強さは無く、かわりに、アート・ロック風味、オーケストラ・アレンジ、 バブルガム・ポップ的な要素まで加わっていてくらくらします! (うたものシンフォ好きにもアピールしそう)
アルバム収録曲全てが出木杉君ですが、 ボーナス曲はさらにその上をいくのですからもうたまらんという感じ... (IN FLAMESの1st国内盤を思い出しました! (←ソフト・ロック・ファンにこのたとえじゃわからんだろ!))
特にYOU'RE THE SOUND OF LOVEの転調が神レベルです。 絶対にボーナスてんこ盛りのREV-OLA盤を入手しましょう。
それにしても、アビー・ロード、宮殿、ツェッペリン...の影で こんな名盤が存在していたなんて...1969年は明らかに異常だわ。

No.7
・CALIFORNIA SON/TRIPSITTER(06)
ビーチ・ボーイズ、ベン・フォールズ・ファイブ、 ビートルズ、トッド・ラングレン、ジェリーフィッシュといった 王道ポップ・バンドのエッセンスを贅沢に詰め込んだ アメリカのポップ・バンドの傑作。
即効性のあるキャッチーな楽曲と、 ヒネリや仕掛けが多く長く楽しめる楽曲とが うまく散りばめられているのがポイントで、 極めて完成度が高く何度もリピートしたくなる名盤レベルの出来栄えです。
最大の武器であるコーラスが最高に美しく、 ビーチ・ボーイズになったりクイーンになったりと彩り豊か... 重厚なハーモニーには胸を打たれます。
前述したメジャーなバンドより、もっと似たタイプのバンドがいたような... と三日三晩考え、ようやくチューウィ・マーブルを思い出しました。
本編とはさほど関係ないですが、アルバムタイトル曲のフレーズに聴き覚えがあったので、 こちらも三日三晩調べたところ、GOTA & THE LOW DOGの HEY BULLDOGだとわかってスッキリしました。 (とはいえ、この曲はずっとGOTA〜の曲だと思い込んでいたので、 今頃オリジナルがビートルズだと知り恥ずかしくなりました!)

No.8
・VISIONS/HAKEN(11)
新人離れも甚だしい驚異的な内容でデビューし、 多くのプログレ・メタル・ファンに評価された イギリスの最終兵器、HAKENによる2nd。
デビュー盤に比べると、カラフルでポップな面が減り、 シリアスでヘヴィな面が強調された仕上がりとなっており、 まるでドリーム・シアターの2ndから3rdへの変化を彷彿とさせます。
独創性は弱まったように思えますが(ちょっと残念)、 演奏はよりタイトになり緊迫感、説得力は増大しています。
やはり全曲素晴らしいのですが、ラストの超大作に尽きるでしょう! 彼らの真骨頂ともいえる 大胆な発想、緻密な構築力、卓越した演奏技術が 無駄なくコンパクトに表現されています。
1stもそうでしたが、この2ndも、 何百回聴いても新たなハッケン!がある圧倒的な名盤であると 断言したいと思います。
演奏を生で見てみたいなあ...これをどこまで再現できるんだろう。

No.9
・ORANJULY/SAME(10)
フレッシュでキャッチーなアメリカのポップ・バンドによるデビュー盤。
ビートルズ、ビーチ・ボーイズ、トッド・ラングレンあたりをルーツとし、 近年の名ポップ・バンド〜アーティスト(ワンダーミンツ、ジェリーフィッシュ、 ベン・フォールズ・ファイブ、 ライナス・オブ・ハリウッド、チューウィ・マーブル、マーク・バシーノ...) を集約したような王道ポップど真ん中な内容となっています。
一昔前ならフィルター・レコードあたりから国内盤が出ていたんじゃないかな...
バンドの中心人物BRIAN E. KING(BEN E. KINGみたい...)はその後、 新たなバンドPARKSを率いているようで、 こちらも要注目といえるでしょう。

No.10
・ANTHOLOGY/THE BABYS(00)
名ヴォーカリスト、ジョン・ウェイトが在籍した 70年代ブリティッシュ・ハード〜メロディアス・ロック・バンドのベスト盤。
ジャケットはVINYL KINGSかと思いました。 (←この絵柄って欧米人にしかわからない特別な意味が隠されてるんですかね?)
ジョン・ウェイトはMISSING YOUのイメージが強かったんですが、 若いころにこれほど素晴らしい活動をしていたなんて知りませんでした。
デビューほやほやの若手とは思えないいぶし銀な初期、 ドラマティックで華々しい輝きを放つ中期、 アメリカン・メロディアス・ハードに舵を切ったノリノリな後期、 好き嫌いは分かれるとは思いますが、 どの時期の楽曲もジョンの歌のうまさを 実によく引き出しています。
きっと周囲のメンバーがみなジョンの声に惚れ込んでいたから こんなことが出来たんでしょうね。 あまりにも出来が良いのでアルバムで集めたくなりました。
メジャーでもなくレアでもないこの手の中堅ものって いつの世も過小評価されていて、廃盤になりやすいんですよね。 気になる方は早めに押さえておきましょう。

No.11
・BLACK HOLE/BLANK CANVAS/MOTORPSYCHO(06)
ノルウェー最強のロック・モンスター、モーターサイコによる傑作。
実はアルバム発表当時に試聴し、彼らに期待していた音 (PHANEROTHYME〜IT'S A LOVE CULTのポップ路線)と 違っていたために購入を見送っていたのですが、 近年の作品が良かったので購入してみたら 大当たりでした。(私の耳が成長ぢたってこと!?)
やっているのはハード・ロックの源流に回帰するような 至ってシンプルなギター・ロックなのですが、 その分シンプルに格好良さが伝わってきて全身がビリビリと痺れます。
他のバンドが同じような音を出そうとしても、 絶対この独特のスリル、緊張感、グルーヴ感は出せないだろうなあ...
それにしても、彼らの制作ペースの速さ(2枚組がやたら多いのでボリュームも凄い)もさることながら、 変わり身の速さ、引き出しの多さには、毎回驚かされます。
出している音は違いますが、ある意味ザッパに近いものを感じます。 (ファンは毎回振り回されっぱなしでしょう。Mの人が多いと見た!(笑))

No.12
・FATA MORGANA/HELLOISE(01)
オランダの中堅メロディアス・ハード・バンド、エロイーズの2001年作品。
その昔、1stか2ndを聴いたものの全く印象に残らなかったので、 全く聴くつもりはなかったんですが、 ロビー・ヴァレンタインが参加していることから 興味本位で入手してみました。
ゴシックで重苦しい1曲目、ドリーム・シアターな2曲目... エロイーズってこんなバンドだったっけ? (そもそも印象に残ってないけど!...) ロビーも変なタイミングで オーケストラ・ヒットを乱打して嫌な爪痕を残してるし... と、この段階ではビミョーでしたが、その後すぐに 本作の良さに驚愕することになりました。
奇をてらわずにドラマティックな泣きで勝負した メロディアス・ハード曲の出来栄えは見事で、 なんてことはないように見せかけて確実に耳に残ります。 (さすがオランダもの!)
エイリオンが好きな人なら気に入ってもらえると思います。

No.13
・HARD BEAT/AKA(11)
インドネシアのロック史上に輝く 偉大なバンド、AKAの71〜77年の音源を収録したベスト盤。
ギョエーーーー。さすがは秘境インドネシア... こんな音源を隠し持っていたなんて卑怯です!
70年代初頭のサイケ〜ハード・ロック〜プログレを ごちゃまぜにしたような感じで、 ジミヘン、ツェッペリン、パープル、サバス、ヒープあたりを 下敷きにはしながら、ファンクの要素をぶちまけているのがナイス! 頭が反応するのではなく、 体が(下半身が)無条件に反応してしまいます。
71年からインドネシアでこんな音出していたなんて、 GURUH GIPSY(77)よりもGOD BLESS(75)よりも衝撃度は高いです。
おかげでこれまで聴いてきた辺境サイケ〜ハードものが完全にかすれてしまいました。 (該当するバンドは彼らの爪のAKAでも煎じて飲めっ!)
個人的にはシャウトのブチキレ具合にやられました。

No.14
・WAR ETERNAL/ARCH ENEMY(14)
メロデスを象徴するスウェーデンの重鎮バンドによる2014年新作。
アクセプト、メガデス、ガンマ・レイ...メタル・シーンで ここ数年ベテラン・バンドが全盛時かそれ以上の力作を 発表しているのに対し、デス系は今一つ盛り上がりに欠けると思っていたんですが、 アーク・エネミーはやってくれました!!
大規模なメンバーチェンジにはちゃんと意味があったのですね。 ややマンネリ気味だった楽曲、演奏は見事に活性化し、 すさまじくアグレッシブかつメロディアス... 一切妥協の無い名盤となっています。
ここにきて、BURNING BRIDGESレベルのアルバムが作れるなんて 誰も予想できなかったんじゃないでしょうか。 中でも荘厳で深淵なTIME IS BLACKは100曲に1曲レベルの 名曲といえるでしょう。
もしかしたらカーカスの新作に刺激を受けたのかも...

No.15
・THE THEORY OF EVERYTHING/AYREON(13)
オランダのシンフォニック・ロック・オペラ職人による一大作品。
今回は、エマーソン、ウェットン、ウェイクマン、ハケット... といったフロイド以外の5大バンドのプログレ神が参加しているのが 最大の特徴といえます。
音色やフレーズですぐに誰だかがわかるようになっているのが良いですね。 壮大な組曲の中に強烈な個性をうまくはめ込んでいます。 恐らくアルイエン・ルカッセンが、素材を活かす名人なので、 いつも豪華なゲストが集まってくるんでしょう。 (凄腕の料理人に最高の食材が集まってくるのと同じ!)
冗長に感じる場面もありますが、 エイリオンならではのスペイシーな世界観、 めくるめく展開、ハイライトまでの盛り上げ方は、 誰にも真似が出来ない芸当だと思います。
後、先述した豪華ゲストの陰に隠れていますが、 毎度素晴らしいヴォーカリストを集めてきますよね。 今回も情感豊かな歌唱による説得力に感服させられます。
何気にアルイエンのギターもうまいんですよねー。
過去に買い残した作品も聴かなきゃ...

No.16
・PLAY WITH FIRE/THE REIGN OF KINDO(13)
ロック、ジャズ、ラテン、AOR、フュージョン...と 変幻自在の音楽性を持ったピアノメインのエモ・バンドによる3作目...
といいつつ、このユニークかつカラフルなスタイルを、 バンドのルーツがエモってだけで、 エモに括り付けるのはとても気が引けます。
これまでに多くのチャレンジを続けて叩き上げてきた、 豊潤かつプロフェッショナルな演奏は、 さまざまなジャンルの音楽ファンを驚かせるとともに 虜にすることでしょう。
個人的には、スティングの「ブルー・タートルの夢」に、 スティーリー・ダンを練りこみ、 21世紀のナウなニューヨーク・アレンジでアップデートした印象を受けました。 (かなり乱暴な例えですが、パンクからスタートしジャズにたどり着いた 当時のスティングの道のりを思いうかべるのはある意味自然かも。)
今後はもっとラテン色を強化して個性を際立たせてほしいなあ〜。

No.17
・LIFE WAR/ADIASTASIA(06)
ブラジルが放つ極めつけのB級メロスピ・バンドによる2006年作品。
疾走とクサメロにこだわるあまり、 それ以外のものは全て置き去りにされていて最悪最低... ってなわけで最高に楽しめる内容です。(一部のマニアには、ね)
ブラジルのエース、アングラ(ヴォーカルはアンドレ・マトスが二日酔いになった感じ!) をベースに、初期ノクターナル・ライツ、ハロウィン、ヘヴンリーあたりを混ぜ合わせ、 熟成させようとして失敗した感じです! ごく一部のクサメロ好きなら卒倒必死でしょう。
聴けば聴くほど愛おしくなってしまうこの感じ... 台湾のノクターン・ムーンライズが好きな人なら、 きっとわかってもらえると思います。

No.18
・BEYOND THE SPACE, BEYOND THE TIME/PATHFINDER(10)
ポーランドの超特盛ドラマティック・シンフォ・メタル・バンドのデビュー盤。
壮大、大仰、クサい、爆速、ピロピロギター、 クラシック名曲導入、ソプラノ女性ヴォーカル... なんでも詰め込み過ぎて大変なことになっています。
ポーランド国王の娘がシンフォ・メタルの魅力に取りつかれたことをきっかけに、 莫大な資金を投じた一大国家プロジェクトとして作られたのでは? と意味不明な想像をしてしまうくらい衝撃的な内容となっています。
ラプソディとドラゴンフォースを掛け合わせただけでなく、 独自に発展させた音楽性に感動しないファンはいないでしょう。 (ジェネシスとイエスを掛け合わせて発展させ名盤を作ったイングランドを 思い浮かべてしまいました。)
このアルバムを聴いて育った少年たちが、 また新たな伝説を生んでいくんでしょうねー。

No.19
・TAKE TO THE SKIES/ENTER SHIKARI(07)
「お、お父さんが階段から転げ落ちてきて動かないっ... きゃぁ、あんた、しっかりっ...エンター・シカリ!」 (←コサキンでこういう曲紹介やってましたよね) ということでイギリスのエレクトロ・スクリーモ系バンド、 エンター・シカリのデビュー盤を聴いてみました。
アメリカのATTACK ATTACK!と聴き比べると、 至るところにイギリスらしさがにじみ出ていて面白いです。
一昔前のRADIOHEAD、MUSE、MANSUNあたりが思い浮かぶ、 うす暗い浮遊感が時折顔を覗かせるのが良いです。
またシリアスに見せかけて突然ポップになるなど、 予想不能でハチャメチャな展開が楽しめます。 (何をやりたいのかわけがわからず、収拾がつかなくなっているレベル!)
ある意味、新時代プログレの一つの完成形といえるのではないでしょうか。

No.20
・FUN RAZOR/TIM CULLEN(04)
傑作を1枚残して解散してしまったパワー・ポップ・バンド、 サマーキャンプの中心人物によるソロ作。
サマーキャンプの流れを汲み、 とことんフレッシュで甘酸っぱい傑作に仕上がっています。
一言でいうなら「高2の夏休みにサイクリングに行ってサイダーを一気飲みした」感じ!... 懐かしくもあり恥ずかしくもある 二度と帰ってこない日々のことを思いだして センチな気分に浸ってしまいます。
このなんともいえない感覚、前にも味わったなぁ... あ、思い出したザ・ロケット・サマーだ。(←なにげにサマーつながり!)

No.21
・SOMEDAY CAME SUDDENLY/ATTACK ATTACK!(08)
アメリカのエレクトロコア・バンドのデビュー盤。
解散したBBABHみたいなピコピコ系メタルをふと聴きたくなり、 ネット上のいろんな音源に行き着きましたが、 その中で本作がもっとも気に入りました。
ヘヴィなのにライト、硬派なのに軟派... 水と油を融合させるという離れ業を いとも簡単にやってのけ、しかもナチュラルに格好良いので感心します。
メタルコア、エレクトロのどっちに倒しても 生き延びることのできる実力を持ったうえで、 並外れたミクスチャー感覚を持っているのですから最強ですよね。
想像以上に気に入ってしまったので、このジャンルをもうちょっと 深堀してみたくなりました。

No.22
・EROS/DUN(81)
フランスの暗黒系チェンバー〜ジャズ・ロック・バンドによる一大傑作。
CD再発されたときにはかなり話題になり、 発売後すぐに入手したのですが、 苦手なレコメン系の香りが好きになれず、 「もっと大人になってから聴こう!」と、長期間封印して今に至りました。
いまだにレコメン系は得意ではないですが、 このアルバムが放つ邪悪なパワーをようやく受けとめることができ、 とんでもないお化け作品であることを認識できました。 (魚のわたのおいしさがやっとわかるようになった感じ?)
再発CDには、アルバム本編の他に、サックス入りの初期のバージョンも入っていて これがまた格好良いのなんの...全演奏が最狂です。
プログレ名盤紹介にも掲載します。

No.23
・CACTUS CHOIR/DAVE GREENSLADE(76)
ついに再発されたキーボード・シンフォの名盤中の名盤、 デイヴ・グリーンスレイドの1stソロ。
トニー・リーヴスとジャケットのグリーンスレイド君(もちろんロジャー・ディーン版)が 戻っていて、まさにグリーンスレイドの5thに位置付けられる素晴らしい内容です。
ロウソンのアクの強さ、マニアックさが無いことから、 さわやかで清々しい面が強調されているといえるでしょう。 サイモン・フィリップスのかっちりしたドラムも良いです。 アンディ・マッカロクもそうですが、グリ―ンスレイドの演奏には、 シャープで手数の多いドラミングが実に合います。
というわけで内容については一切文句は無いのですが、今回の再発は なぜかLPからの盤おこし...しかももとになった盤の状態も さほど良くないようでプツプツとノイズが耳障りです。 (私が所持しているLPを使ったほうがマシだったかも)
多少値が張ってもいいのでオリジナル・マスターからの再発を強く希望します。
追伸:よろしくない再発CDですがボーナス曲だけは評価できます。 (クリス・ファーロウ世界一!...脳内血管ブチ切れ〜!)

No.24
・KALEIDOSCOPIN': EXPLORING PRISMS OF THE PAST/WONDERMINTS(09)
アメリカのミラクル・ポップ・バンド、 ワンダーミンツのレアな初期デモ、未発表音源を たっぷり収録したなんとも嬉しいアルバム。
そんじょそこらのビーチ・ボーイズかぶれとは一線を画す こよなく美しいメロディで埋め尽くされています。
こんな素敵なお宝が誰にも聴かれずに終わっていた 可能性があったなんて...公に発表されて本当に良かった。
本来はこういう音を作れる人達にしか「ポップ職人」って 言葉を使っちゃいけないんだろうなあ...

No.25
・ENERGY/SAME(74)
強烈なB級臭を放つバンド名&ジャケットながら、 実は洗練された本格的な演奏を味わえる スウェーデンのジャズ・ロック名盤。
マハビシュヌ・オーケストラの影響をふんだんに感じさせる シャープでタイトな演奏がひたすら格好良いです。
よくよく考えると、ジャケットが燃えあがっているのも マハビシュヌの影響なんでしょう(FLAMEとかFIREのイメージ!)。
プログレ名盤紹介にも掲載します。

No.26
・THE AGE OF AQUARIUS/THE 5TH DIMENSION(69)
アメリカの男女コーラス・グループによる、 ソフト・ロックの代名詞的な名盤。
ビーチ・ボーイズ、クイーン、スイングル・シンガーズから、 GG、クリス・レインボウ、ケイパビリティ・ブラウンまで... これまで多種多様なコーラス・ハーモニーものをむさぼり聴いてきましたが、 このグループを外すわけにはいきません。
バンド名どおり、立体的なコーラスのさらに数段上をいく、 変幻自在のカラフルなハーモニーを楽しめます。
さらに、各人のヴォーカリストとしての表現力も素晴らしく、 そんな彼らの力量に釣り合うよう、 最強のスタッフ陣によるベストな楽曲、演奏が用意されているのですから、 名盤にならないわけがありません。
時代やジャンルの頂点を極めた作品は、 何年経っても色褪せないことを物語っています。
ところで、ももクロのおかげでこのアルバムの売上って どれぐらいアップしたんだろ。

No.27
・RETROSPECTIVE ROLLER 1977-1979/ROSETTA STONE(04)
ベイ・シティ・ローラーズをを脱退したイアン・ミッチェルによる アイドル系ポップ・バンドによるベスト盤。
数あるBCRのフォロワー(本人たちはそう思っていないかもしれないが...)の中でも キラメキ度が全然違います。 元メンバーがいるだけでこうも違ってくるものなんですね。
とにもかくにも1曲目が秀逸!...パイロットの2ndに収録されてそうなウルトラ・キャッチーな 名曲に胸が躍ります。(まあ、彼らにとってパイロットは従妹のようなものですけど...)
その後は、そこそこ良い曲と退屈な曲が散らばっている感じなんですが、 中にはFREE AS A BIRDのような感動的な名曲(ビートルズより名曲!)も 出てくるので気が抜けません。
ただ、クリームやキンクスのピコピコなカヴァーは微妙なとこネ@松居直美... (特にSUNSHINE OF YOUR LOVEは同時期に5TH DIMENSIONのを聴いていたので、 なおさらしんどかったぁ〜)

No.28
・DE' LA TEMPESTA..... L'OSCURO PIACERE/AUFKLARUNG(95)
90年代イタリアン・シンフォの傑作として名高い一品。
最初から数分間でいきなり躓きました (ありきたりのジェネシス・クローンというか、 あか抜けないポンプものというか...)が、 気を取り直して聴き続けることで 本作の素晴らしさを理解できました。
ロックバンド的な躍動パートは野暮ったいんですが、 メロトロンやアコースティック・ギターが前に出ると 世界が一変...繊細な一音一音を誠実に紡いでいく 叙情パートに感動を禁じ得ません。
エレキではカッチリしたバンドが アコースティックになると途端にアラが目立ってダメダメになるパターンは多いんですが、 このバンドは珍しくその逆を行っているように思います。
これだけの作品を作れる能力があるのだから そろそろ次回作を作ってほしいなあ。

No.29
・POOGY IN PITA/KAVERET(74)
70年代イスラエル・ロックのパイオニアともいえる最重要バンドの2nd。
名盤1stの延長線上にあるサウンドで、 ワイワイ楽しくハチャメチャやりながらも 整然とまとまっているのがユニークです。 1stと比べると、ややプログレ度が下がり、 ニッチ・ポップ度が上がったような印象を受けました。
優れた才能が集い、湯水のごとくアイデアを出しあい、 なんとなく演奏しているうちに、 あっという間に傑作アルバムができあがってる感じがします。
この後の最終作3rd(もちろん入手済)はどんな方向に発展していくのかな... 聴くのが楽しみなような、勿体ないような...

No.30
・THIRTEEN EIGHT/FREDDEGREDDE(11)
スウェーデンのマルチ・ミュージシャン、 フレデリック・ラーションによるシンフォ・プロジェクトのデビュー盤。
ひとりビートルズ、ひとりクイーン、ひとりジェリーフィッシュ... これまでいろんな「ひとり」ものを聴いてきましたが、 「ひとりムーンサファリ」が出てくるとは思わなんだ... 評判どおり北欧の透明感と甘酸っぱさが混在する 清々しいシンフォ作品となっています。
テクノロジーは進歩していますが、 ドラム以外を全部一人でやってるなんてとても思えない 作りこみが見事です。
唯一の弱点はヴォーカルでしょうか... でも、ジョン・レノン風の名曲STARDUSTでは、 線の細さが逆に良い味を醸し出しています。
そういえばアルバムタイトルってどういう意味なんだろう。 (スウェーデンのコンビニの名前?!)


その他

・UTOPIA/HEART OF CYGNUS(07)
アメリカのプログレ・メタル〜ハード・ロック・プロジェクトによるデビュー盤。
2012年作品の4th(THE VOYAGE OF JONAS)があまりにも素晴らしい内容だったので、 1stから順番に押さえることにしました。
デビュー盤にしてこの完成度!... 彼らは最初っから進むべき道がはっきりと見えていたんですね。
さすがに4thを聴いたあとなので、 全体的に荒削りな印象は否めず、 緩急の付け方、畳み掛け方等に甘さを感じてしまいますが、 クイーンやラッシュを独自に解釈したスタイルはやっぱり格好良い!
合格点は余裕でクリアしています。 さあて次は2ndを聴こうっと!

・WATERSHED/OPETH(08)
唯一無二のサウンドを構築し続けるスウェーデンのプログレ・デス・バンドによる2008年作。
毎回進化(というか深化)を続けている彼らですが、 今回もさらにずっしりと掘り下げられた重厚、深淵な世界が 広がっています。
70年代のマイナー・ブリティッシュ・ロックの香りが さらに強まり、ミステリアスさに磨きがかかり、 暴虐性と叙情性を両立させる手腕は人間国宝の域に達しています。
個人的には、彼らに求めている音と若干ズレが生じてきてはいるのですが、 それでも聴かざるを得ない魔力を秘めた傑作といえます。

・GREENSLADE/SAME(73)
祝!CACTUS CHOIR再発!...ということで、 私がマイナー・プログレの世界に足を突っ込むキッカケとなった 愛すべき名バンド、グリ―ンスレイドをおさらいすることにしました。
グリーンスレイドが70年代に残した4枚はそれぞれ「起・承・転・結」に 位置付けられると思っています。
「起」にあたるこの1stの時点で、 コロシアム、ウェブ、サムライ、キング・クリムゾン... 華々しい経歴を持った4名の才能は絶妙にブレンドされ、 ギター・レス&ツイン・キーボードというユニークな キーボード・シンフォ・サウンドが完成しています。
彼らにしか作り出せないサウンドを新たに作り出そうとする バンドの勢いが最も感じられるフレッシュな名盤といえます。

・BEDSIDE MANNERS ARE EXTRA/GREENSLADE(74)
イギリスの名キーボード・シンフォ・バンドによる2nd。
「承」にあたる作品であり、 ロジャー・ディーンによる美しいジャケット、 ダイナミックなリズム隊の躍動感、 タイプの異なる2人のキーボードの絡み等、 多くの要素が1stの延長線上にあり、さらに磨きがかかっています。
その昔、タイトル曲があまり好きになれなかった (クセのあるロウソンズボイスで「ベッドサイドのマナーは特別!」 って言われても...(笑))んですが今となっては良い思い出です。
アンディ・マッカロクのスリリングなドラムをはじめ、 テクニカルかつアグレッシブな面が目立つ名盤となっています。

・SPYGLASS GUEST/GREENSLADE(74)
イギリスの名キーボード・シンフォ・バンドによる3rd。
前作から間髪をいれずにリリースされていますが、 「転」にあたる作品となっており、多くの変化が生じています。
ジャケットがロジャー・ディーンからキーフに変わり、 「グリーンスレイド君(笑)」がいなくなっているし、 「ギター・レス&ツイン・キーボード」で やれることは全部やり尽くしたのか、 ギター(クレム・クレムソン)、ヴァイオリン(グレアム・スミス) がゲスト参加しているし、 初カヴァーに挑戦(コロシアムでも演奏していた名曲 THEME FOR AN IMAGINARY WESTERN)しているし...
素晴らしいのは全ての挑戦が見事に実を結んでいるところです。 中でもグラハム・スミスの参加したJOIE DE VIVREは、 バンド史上で最も感動的な超名曲に仕上がっています。 (ヴァイオリンとオルガンの調和に涙腺が緩みます。)
個人的には、私が生まれて初めて買ったプレミア付LP(新宿UKエジソンで\4500でした) なので思い入れが強いです。いつ聴いても感動できる名盤です。

・TIME AND TIDE/GREENSLADE(75)
イギリスの名キーボード・シンフォ・バンドの一応最終作 (←2000年に復活作が出ているので...)となる4th。
「結」にふさわしいキャリア総決算的な作品となっており、 「グリーンスレイド君」もちゃっかりと復活しています。 (でも絵師はパトリック・ウッドローフなので別人兵団状態!...)
デイヴ・グリーンスレイドの盟友ともいえるトニー・リーヴスが 脱退していますが、代わりに加入したマーティン・ブライリーが ベース+ギター+ヴォーカル...と八面六臂の活躍を見せています。 (エディ・ジョブソン@カーヴド・エアみたい)
バンド末期ということで各メンバー間がぎくしゃくしていたと言われていますが、 ビートルズの末期と同様、それが明らかに良い方向に作用しています。
Wデイヴ(グリーンスレイド、ロウソン)それぞれが極めたスタイルが 最高の形で具現化されています。
時代が進んだこともあり(といっても1stからたった2年ですが...) キーボードの種類(音色)が増え、 カラフルでコントラストの強い内容となっているのも特徴的...
ポップで色褪せることの無い名盤です。

・BOILING FOWLS/CHEETO'S MAGAZINE(14)
DRY RIVERに続き、 またまたスペインから強力な合体怪獣が出現しました。
頭はニール・モーズ、体はジェントル・ジャイアント、尻尾はダフト・パンク... タイラントもびっくりの組みあわせです。ホント冗談きついなぁ〜。
DRY RIVERと共通するのは、スペインらしい 能天気さとユーモア(毒入り)が盛り込まれているところでしょう。
センスにしろ演奏テクニックにしろ新人とは思えないです。 (この業界で数十年近くやってるような余裕を感じます。)
プログレだろうがテクノだろうが何をやっても土台がポップなので とても耳馴染みが良いのが好感が持てます。
スペインで今何が起きているのかなぁ...

・BLACK CLOUDS & SILVER LININGS/DREAM THEATER(09)
プログレ・メタルの重鎮バンド、ドリーム・シアターによる2009年作。 ドリーム・シアターかつ3枚組という超特々々盛りを消化する自信が無く 結局6年も寝かしてしまいました。
さすがに新鮮さもサプライズも無いですが、当然質は高くじっくりと腰を据えて楽しめます。
最初の方ではメタリカ、最後の方ではラッシュを想起する場面があり、 昔彼らが「メタリカ・ミーツ・ラッシュ」と呼ばれていたのを思い出しました。(ある意味原点回帰)
本作の特徴は、アルバム数枚に1曲レベルの名曲「THE BEST OF TIMES」が 収録されていることでしょう。 (聴く前はスティクスのカバーだと思いこんでいて、 「カヴァーはボーナスディスクだけにしとけよ!」って思ってました。)
バンドを支え続けた亡きマイクの父親に捧げられた名曲であり、、 やはり強い思いを持って作られた楽曲は人の心を動かす力があるなぁ... と改めて感じました。 (途中「しーらないまーちーを、あるいてみーたーいー」が 頭に浮かぶんですが、そこはご愛嬌!)
ただカヴァーを収録したボーナスディスクは、ジェリー・グッドマンがキレているものの、 メンバーの演奏がイマイチかなあ... 彼らのカヴァーものはA CHANGE OF SEASONSのようにライブ音源のほうが良いように思います。
個人的に「太陽と戦慄パート2」は、クリムゾン、ドリーム・シアター、マハビシュヌを聴き狂っていた 20年前にやってほしかった...

・AL-BANDALUZ/CAST(03)
南米シンフォ界の大御所CASTによる2003年作品。
アルバム数が多すぎて何枚目だかわかりません(笑)。
いつの時代でも、誰がメンバーだろうと、 ぶれることなくジェネシスを土台とした 独自のドラマティック・シンフォ作品をコンスタントに作り上げている彼らですが、 本作ももちろん高品質。 似たような曲が多いものの、メロディも演奏も曲構成もA5ランクです。
現代シンフォを追いかけている方でこのバンドを押さえていない方は いないと思いますが、万が一聴いたことが無いという方は 絶対に押さえておいてください。 (2000年以降の作品ならまず問題なく楽しめるはず。)
鉄板度は、フラキン、スポビ、トランスアトランティックよりも 上だと思います。

・THE UNIVERSALITY/GALDERIA(13)
フランスのB級メロスピ作。 2010年の7曲入りEPがついた国内盤がお買い得です。
まず自分で書いておいてなんですが これをB級に位置づけしちゃダメだろー! 相当なB級ものでも許容可能な私のくさった耳でも、 このヴォーカルを許すわけにはいきません!
楽曲、演奏については、「おおおっ!」と身を乗り出してしまう場面が結構あり、 愛すべきクサメロB級ものと言い切ってよいのですが、 ヴォーカル君がランクを下げてくれています。
もっと良いヴォーカリストなんてそこらに転がっているはずなんですけど... 「実はヴォーカル君はレコード会社社長の御曹司なので、 クビにできないのでは?」とわけのわからない妄想が働いてしまいます。
とはいえ、昔新宿のディスクヘブン(二郎の近くに移転する前)の店内で、 この手のアルバムがガンガンかかってたよなぁー... と当時を思い出し、懐かしい気分に浸れたりします。
というわけで完全にごく一部のマニア向けです。 私はなんだかんだいってそこそこ気に入っていますが!(笑)

・JUSTIFY/NATHAN MAHL(14)
プログレ氷河期の81年に結成された カナダの古参テクニカル・シンフォ・バンドによる2014年作品。
このところ初期に比べ随分落ち着いた印象を受けていましたが、 本作では、無茶な疾走、畳み込み、弾き倒し...と初期を髣髴させる エネルギッシュな場面が多いのがグーです。
近年のメロウで落ち着いた歌もの路線も残っているので、 結果的にキャリア総決算的な力作に仕上がっています。
残念ながら、ギ・ルブランの遺作となってしまったのですが、 もしかしたら彼は最後の作品になるとわかっていたので、 こういう作風になったのかもしれませんね。
今後は、DRUCKFARBENあたりに彼の意志を継いでもらいたいものです。

・AGONY/FLESHGOD APOCALYPSE(11)
イタリアのシンフォニック・ブルータル・デス・バンドの2nd。
厳かで整然としたクラシカル・アレンジを ぶち壊さんとばかりにバンドが暴れまわるタイプかと思いきや、 暴虐なバンドがオーケストラを従え一層狂暴化している感じがします。 (対決というよりは調和)
この手の作品は、劣悪なプロダクションで ショボイ演奏を隠すような雰囲気勝負のものが多いんですが、 この作品は完璧です。
プロダクションが強力で、各楽器がきちんと分離していて、 一切演奏に手抜きがありません。 超絶な演奏技術に自信を持っているから、 こんな芸当ができるんでしょうね。
それにしても、イタリアものは、クラシックの要素をドラマティックに取り込むのが 本当にうまいですね。 NEW TROLLS、RDM、QUELLA VECCHIA LOCANDA、 RHAPSODY、DARK LUNACY...数えだしたらキリがないです!

・INIFINITE/STRATOVARIUS(00)
北欧メタルを象徴するフィンランドの巨人による8作目。
HAKENのVISIONSを聴いて彼らのことを思い出し、 近年の作品がなかなか良かったことから、 聴きもらしていた本作を入手してみました。
並行してGALDERIAを聴いていたせいかもしれませんが、 優れた人材が集い、きちんと計画をたて、 手抜きなくちゃんと作られていることが明確に感じられます。
各メンバーの個性もはっきりしていて華があるうえに、 曲も良くできていますし、特に古臭さも感じられません。
サプライズは無いものの、ファンの期待を裏切らない 良心的な作品と言えるでしょう。
イェンスのキーボードは大好きなんですが、 ヨルグのドラムがもっと好きだということに気付かされました。

・DANGER DANGER/SAME(89)
この時代ならでは空気感を感じさせる アメリカのメロディアス・ハード・バンドのデビュー盤。
合格点を軽々とクリアするキャッチーな楽曲が多く詰まっています。 当時のアメリカン・ハードの優等生的な内容で 全然デンジャーさは感じられません! (渕正信のテーマがデンジャー・ゾーンなのと同じくらい違和感あり!)
「涙のフィーリング」みたいなバラードONE STEP FROM PARADISEなんて 3週連続全米1位になっても良いんじゃない?ってくらい感動できます。
ジャケットで引いている方もいるかと思いますが、 メロディ派なら是非チェックしてみてください。

・WHAT EVERY ROSE-GROWER SHOULD KNOW/SECRET POWERS(11)
アメリカのインディー・ポップを代表するバンドの4作目。
彼らの作品にしては珍しく(初めての)美しいジャケットですが、 逆に中身が薄くなっている気がします。
近年のパワー・ポップ作としては当然、及第点は与えられる なかなかの出来栄えなのですが、 いつもよりワクワクする曲が少ないというか... 1stを聴きまくったファンとしては、 当時と比べ、若干、閉塞感というかマンネリ感を感じてしまいます。 (このバンドをはじめて聴くのなら、本作ではなく、 まずは1stを聴いてみてください。)
次回作はジャケットが酷いといいなぁ!(笑)

・RIDE THE SKY/AT VANCE(09)
ドイツのネオ・クラシカル・メタルのベテランによる8th。 ものすごく久しぶりに耳にしましたが、 前回聴いたときとまったく変わっていません!
意地でも変えたくないのか、変えたくても変えられないのかは わかりませんが、この不変性はある意味凄いです。 (世間的にこのバンドはサプライズが無いと言われますが、 この変わらなさは逆サプライズでした!)
きっと、全アルバムの楽曲をバラバラにして、 順番に並べろと言われたら本人も並べられないんじゃないかな? (メタル界の勝俣?!)
まったく進歩が無いと見限るのもありですが、 安心して聴ける鉄板バンドとして、素直に楽しむのもありでしょう。 (後者のほうが人生得しますネ!)

・ONCE/NIGHTWISH(04)
メタル氷河期にあって、 破格の成功を収めたフィンランドのシンフォ・メタル・バンド、 ナイトウィッシュの5th。
初めて彼らの作品(2nd)を聴いたときの衝撃は今でも覚えています。 ただ、アルバムを聴き続けるうちに、ターヤのソプラノ一辺倒な歌唱が 鼻につき、いつしか彼らから遠ざかっていました。
最近になってターヤの脱退を知り、脱退後の作品なら聴けるかも...と、 DARK PASSION PLAYを入手したのですが、 比較対象にターヤ在籍時の最終作となる本作もついでに入手してみました。
あれ、いつのまにかこんなすごいことになってたの?!... デビュー時から方向性は確立されていましたが、 バンドがとてつもなく成長しています。
楽曲もアレンジも格段にスケールアップしていますが、 最も成長しているのはターヤでしょう。 クラシックあがりで型にはまった歌唱しか できないと思っていたターヤが こんなにも表情豊かになっていたなんて... マルコの男性フェロモンまき散らし系ヴォーカルとの 相性も抜群です。
誰も近寄ることが出来ないような厳かさを放ちながら、 誰もが親しみやすいキャッチーさも持ち合わせているのですから、 成功しないわけがないですね。
こんな絶頂期にバンドの象徴であるターヤが離脱する理由がわかりません。 まさかフツーの女の子に戻りたかったとか?!

・CONTRASTS - URBAN ROAR TO COUNTRY PEACE/FIELDS(15)
名盤を1枚だけ残しあっという間に消滅してしまった 名キーボード・シンフォ・バンド、フィールズによるまさかの70年代お蔵入り音源!
長生きしてみるもんですね〜2ndが本当に作られていたなんて驚きです。
エマーソン、ウェイクマン、ブラフォードじゃなくても、 音色とフレージングからすぐに誰が弾いているかわかってしまう、 グラハム・フィールド、アンディ・マッカロクの個性的なプレイが 聴けるだけでありがたいです。(思わず拝んじゃいました!)
数十年前に1stの名曲A FRIEND OF MINEを初めて耳にしたときの 感動がよみがえって胸が熱くなります。
1stには無かったヴァイオリンの導入がかなりよい味を出してます。 もしかしたら、この時の経験があるから、 グリーンスレイドの3rdにおけるグラハム・スミスの名演が生まれたんじゃないか... といろいろと勝手な想像ができるのも楽しいです。

・THE BEGINNING OF TIMES/AMORPHIS(11)
フィンランド孤高のメタル・バンドによる10作目。
メロデス・シーンが活況だった頃、2ndを聴いたものの、 CARCASS、SENTENCED、IN FLAMESらに比べて今一つ良さが分からず、 その後ずっと彼らの音を耳にすることはありませんでしたが、 評判の良さから再び興味を持ち本作を聴くことが出来て 本当に良かったです。
試行錯誤を続けることで唯一無二のスタイルを築きあげていたんですね。
主役はあくまでもアルバムを構成する楽曲...明確なコンセプトのもと、 全メンバーが迷いなく1つの世界をアルバムで表現することに集中しています。
勢いだけでパッと出てきたようなバンドには絶対に真似のできない、 円熟したミュージシャンシップにあふれた傑作です。
他のアルバムものんびり集めようっと...

・CRAYONS/PAUL ROCHA(12)
アメリカのインディーズ系ポップ・アーティストによるソロ作。
1曲目のような耳に残る楽曲がもう少し多いとうれしいんですが、 メロディ、ハーモニーを大事にした丁寧なつくりには好感が持てます。
ビートルズからジェリーフィッシュまで... 曲によってはギルバート・オサリバンあたりが浮かびました。
ポップの基本に忠実な佳作です。次回作もチェックしたいと思います。

・HUH HAH DSCHINGHIS KHAN/DSCHNGHIS KHAN(93)
ふだん音楽を聴かない老若男女でも知っている 今更説明不要なドイツの英雄!ジンギスカンのベスト盤。
このところ仕事で疲れ気味だったので、 「重箱の隅を突くばかりじゃなく、 たまには頭の中を空っぽにして楽に聴けるものが無いかなぁ... でもビートルズじゃありきたりだし...」 と考えているうちにこのCDに辿りつきました。
なんといっても、ジンギスカン〜めざせモスクワ〜ハッチ大作戦の流れは最強ですね。 日本人の脳裏に焼きつき一生離れないであろう魔性のメロディ... 国がドイツだけに実は脳科学的にやばい周波数が入ってるんじゃないの? と変な想像が働いてしまいます。
おまけに、空耳でもたんまり楽しめるというおまけつき。 (あっちは船橋〜とか大事な一寸法師〜とか)
スコーピオンズ、アクセプト、ハロウィン、クラフトワークから腋毛姉さん(←黒木さんではない)まで、 ドイツには日本人に愛されたバンド、アーティストが山ほどいますが、 知名度最強のジンギスカンがいるってことを 今一度忘れないようにしたいと思います。

・SONGS FROM THE LIAR'S LAIR/AGENESS(09)
フィンランドのシンフォ・バンドによる11年ぶりの4th。
ジェネシスをメインに、イエスやクリムゾンといった先人達をお手本にし、 現代風に仕上げた内容は、同じく90年代に活躍した、 フラワー・キングスやスポックス・ビアードに近いクオリティを誇っています。
キャリアが長い割には、枯れた味わいというより、 躍動感にあふれたエネルギッシュな演奏を楽しめるのが面白いです。


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