2014年に聴きまくったアルバムBEST30(+31)

2014年に聴きまくったアルバム61枚を順位付けして紹介します。
とうとうmp3ダウンロードに手を出すはめになりました。
今後もCDで出ないものがどんどん増えていくと思うと寂しいです。
枚数が少ないのは、仕事がきつく音楽を聴く時間がとれなかったせいもありますが、 長期間ヘビロテせざるをえない作品に多く出合ったせいもあります。
1位と2位とのテクニック差は2億キロぐらいありますが、 結局クサメロが勝ってしまうという...
年取ったらクサメロが苦手になると思ってたんですが、 この調子じゃ一生治らないかもですね。


No.1
・INTO THE ROMAUNT/NOCTURNE MOONRISE(12)
台湾のドラマティック・シンフォ・メタル・バンドのデビュー盤。
台湾の旺福を聴いていて、ふと、SERAPHIMを思い出し、 最近の台湾のメタル・シーンってどうなってるんだろ... と何気なく聴いてみたらなんですかこれ! 年末の最後の最後でとんでもないブツを掴まされたぁ!(泣)
今年は特に仕事が忙しくレビュー数が少なかったので、 年末にスパートする予定だったんですが、 このクソ作品(笑)のおかげで計画が全てパーです。
臭豆腐譲りのメロディがクサいクサいとにかくクサい! 演奏もプロダクションもかなりキツく、 脳では他のアルバムを聴こうと思っていても、 指(脊髄?)が勝手にこのアルバムを選んで再生してしまうので、 他のものが聴けません。
DERDIANやINSANIAのメンバーが彼らに全員土下座して 写真撮られてネットで拡散されるレベルですぞ!(意味不明)
2ndが出たようで今から聴くのが楽しみです。

No.2
・MAPS OF NON-EXISTENT PLACES/THANK YOU SCIENTIST(12)
さすがアメリカは広い... 究極中の究極ともいえるド変態ミクスチャー・プログレ・バンド渾身の力作。
まず楽器の数が凄い!... ギター、ベース、ドラム、ヴォーカル、ヴァイオリン、トランペット、サックス... といった7人編成ですが、他に、チェロ、フレットレスギター、ヴィオラ、 マンドリン、フリューゲルホルン、トロンボーン、三味線... 書き出したらきりがないです。
そして取り入れた音楽の幅の広さ、情報の多さがこれまた桁外れ... サイケ、プログレ、ハード・ロック、エモ、 メタルコア、フュージョン、ジャズ、ファンク、ポップス、ラテン、クラシック... と、こちらも書き出したらきりがないです。 (バンドでたとえるなら、クリムゾン、ザッパ、 GG、マーズ・ヴォルタ、ザ・フォール・オブ・トロイ、マハビシュヌ・オーケストラ...が 集まって宴会やってる感じ?)
ギターをはじめ全員が 超人技を連発するえげつない演奏の割に、歌メロやコーラスが美しく感情移入しやすいので、 ギャップにやられてしまいます。
多くの変態バンドを聴いているマニアの方々でも 腰を抜かさない人はいないでしょう!
まだ遭遇していない面白い音がこの世の中にはたくさんあるんだろうなあ... これからも凄いやつらがどんどんでてくるんだろうなあ... そう思わせてくれる名盤です。

No.3
・THE VOYAGE OF JONAS/HEART OF CYGNUS(12)
ドラム以外を担当するマルチ・ミュージシャン、ジェフ・レーンと ドラマーによるアメリカの プログレ・メタル〜ハード・ロック・プロジェクトによる4th。
あまり期待していなかったんですがこれは大当たり!... クイーン、カンサス、ドリーム・シアター、サヴァタージ、 アイアン・メイデン、ラッシュ... といった様々な大物バンドの魅力をつまみ食いし コンパクトに仕立て上げたようなユニークな作風が魅力です。
2人組という利点を活かし、やりたい音が定まっていて、 難解にならず、技巧に走らず、大仰にならず、 明快で筋肉質なサウンドが次々と展開されていきます。 特にアルバム後半の畳み掛けはパーフェクト... 幾度も心が揺さぶられます。
プロダクション云々を語る前に、 まずツボをしっかり押さえておくことがいかに重要かを 思い知らされました(あと三連の使い方が絶品!)
本作を聴いたあとすぐに彼らの旧作をすべて注文したことから、 私の入れ込み具合が伝わるかと思います!

No.4
・FOURTEEN OCTAVES/SAME(75)
イスラエル・プログレの名盤を語る上で忘れてはならない、 FOURTEEN OCTAVES唯一の作品。
メンバーの一人であるYONI RECHTERの名盤INTENTIONSと同じく、 (カンタベリー系)ジャズ・ロック、(ひねくれ)ポップ、 叙情シンフォが交じり合ったいかにもイスラエルな 不可思議サウンドがたっぷりと味わえます。
どの曲もパッと聴くと耳障りが良いですが、 じっくり聴くと相当個性的です。 中でも8曲目の予想不可能な展開には卒倒しました。 (こんな曲が作れるなんて いったい頭の中はどうなっているんだろう...)
彼らの魅力を言葉に表すのはとても難しいですが、 このクールで美しい一品を プログレ名盤紹介に 載せないわけにはいかないです。

No.5
・XGODX/SERPENT(08)
神戸のメロデス・バンドによる2nd。
国産のプログレ系、メタル系バンドは、 日本人らしさを感じて恥ずかしくなることが多いので、 あまり耳にしていないのですが、 泣きが凄いと評判の本作を試しに聴いてみることにしました。
うーん、やっぱり日本っぽさがどうにもこそばゆいなぁ... と思っていたのは最初だけで、 気が付くと、初期イン・フレイムスの泣きを 徹底的に突き詰めたようなメロディの美しさに酔いしれていました。
それにしてもクサい、クサ過ぎる... この世にまだこんなにクサい音楽があったとは... ipodとヘッドフォンが壊れるのでは?と心配になるレベルです。 喩えるならスウェーデンのシュールストレミングにくさやを詰め込んで 殺人兵器的な缶詰が出来ちゃいました...みたいな感じでしょう。(なんだそりゃ)
1stが廃盤で入手困難なのと、バンドが解散しているのがとても残念です。
10曲目の1分過ぎのギターソロってジャニスのサマータイムですよね。 (なにげにパクリ元が渋い!(笑))

No.6
・WINTER PLAYGROUND MYSTERY/PETER ELIZALDE(82)
トッド・ラングレンを崇拝する、 ペルー出身のポップ・アーティストによるソロ作品。
まずは1〜2曲目を聴いて卒倒(ラングレン)... 想像をはるかに超えるトッドっぷりに腰が抜けました!
自宅にトッドのアルバムしか無かったのでは? と思えるぐらい、異常なまでにトッドそのまんまです。
神と崇めるアーティストに同化しているという意味では、 同郷のWE ALL TOGETHERを超えているかもしれません。(ペルー恐るべし!)
RUNTの頃の、楽曲、コード進行、歌詞の単語、発音、 ギター、キーボードの音色、独特の歌い方、ホームメード感覚... もう「ペルーのトッド・ラングレン」という喩えを はるかに超えるレベルといえます。 トッドが訴えたら確実に勝てるでしょう。 (...ってトッド自身も完コピ得意ですけどね(笑))
タイトルどおりぜひとも冬に聞いてやってください。 なにげに季節感があって耳にしっくりきます。
そうそう、トッド・モードを解除して作られた数曲の やっつけ具合がかなり...なことになっていて それはそれで笑えます!

No.7
・SOM NOSSO/SOM NOSSO DE CADA DIA(77)
70年代初期から活躍するブラジルの名プログレ・バンドの2nd。
もっさりとした印象しか感じなかった1stより、この2ndのほうが 評価が低いので全く期待していなかったんですが聴いてびっくり! 全リスナーの予想を裏切る斜め上を行く進化を遂げているじゃないですかー。
1stのB級感は完全に消え、 旧A面はメロウなレア・グルーヴを、 そして旧B面は攻撃的なシンフォニック・ジャズ・ロックをやっています。
前半の流れでアルバム1枚作ったらレア・グルーヴの名盤、 後半の流れでアルバム1枚作ったら南米シンフォの名盤として、 語り継がれていたと思います。
プログレファンに受けが悪い理由も旧A面にあったんですね〜。 (一般的なプログレ・マニアって黒い音、苦手ですよね... で、ファンク・マニアはプログレが苦手だし...(笑))
それにしてもバンドってたった3年でここまで変われるものなんでしょうか?! プログレ名盤紹介には当然こちらを紹介します。

No.8
・MORE HELP FOR YOUR NERVES/ROGER KLUG(09)
ロックなギターが目立ちまくる元気ハツラツなパワー・ポップ作品。
スーパープレイをがんがん決めまくるギターが痛快ですが、 メロディやアレンジに独特のヒネリが加えられたすこぶるポップな 楽曲もまた見事です。
ギター・アルバムとして聴いても傑作... パワー・ポップとしても聴いても傑作... まさに「1粒で2度おいしい!」(←古ぅ〜)名盤だと思います。
ギターマガジン購読者かつストレンジデイズ購読者なら必携です。
豊富な仕掛けとアレンジに満ち溢れているので何十回聴いても飽きません。 きっとアイデアを長い間ため込んでいたんじゃないかなあ... 次回、短期間でこれ以上のものを出したら天才認定ですね。

No.9
・LIVE '83/ALCATRAZZ(10)
イングウェイ・マルムスティーン、グラハム・ボネット、 ニュー・イングランドのキーボード&ベース... 役者が揃い、各人の強い個性が見事に融合した 奇跡のメタル・バンド、第一期アルカトラスのライブ音源。
今になって、これほど状態の良いライブ音源が出てくるとは... メタル・ファンは全員大泣きでしょう!
バンド全体のアグレッシブな演奏を楽しむのもありですが、 イングウェイ、グラハムのそれぞれに感情移入して聴く楽しみもありです。
明らかに脳に悪い(脳内血管ブチ切れ)グラハム・ボネットのシャウトは痛快です。 しかし、主役はイングウェイでしょう。 音が程よく潰れワイルドに暴れまわるさまがメチャクチャ格好良いです。
まるでギターの神が憑依しているかのようであり、 彼のありとあらゆる動作全てに惚れ惚れしてしまいます。 (たとえそれが演奏ミスだとしても)
フォロワーとは違いますね...本家(というか本尊)ならではの風格と威厳を感じます。 そんな暴れ馬のような若いイングウェイを 周りのベテラン・ミュージシャンがうまくなだめ、 押さえるべきところは押さえ、うまく均衡を取っているのが秀逸です。 (だから長続きしなかったんだろうなぁ...)
個人的にはメロトロンとイングウェイのギターの絡みが燃えました。
難点は、アイランド・イン・ザ・サンや広島モナムールを聴くと、 洋楽を聴き始めのころ毎週見ていたテレジオ7の 星子さんの顔が思い浮かぶことだけです!(なんだそりゃ)

No.10
・SCOPE III (FUSION XTREME)/RENS NEWLAND(10)
オランダの激烈バカテク・ジャズ・ロック発掘音源集。
あまりにも内容がすさまじいので、 これまで禁じていたmp3ダウンロードに 手を出しちゃいました!
RENS NEWLAND名義となっていますが、 彼が在籍したオランダのジャズ・ロック・バンドSCOPEが 発表できなかった3rdに相当する1976年の音源が収録されています。
内容はもう...すさまじいというかなんというか... ジェリー・グッドマン参加前のマハビシュヌ・オーケストラの 未発表音源?...といいたくなるような鼻出血2リットル×6本モノの アグレッシブ極まりない演奏が繰り広げられています。
魂入れて聴いていると日常生活が送れなくなります。
基本はマハビシュヌですが曲によっては、 エトナっぽかったり、イセベルグっぽかったり、ファンク〜レア・グルーヴ色があったり... なんでこんなにもえげつない音源がCD化されていないんでしょうか?
過去の2作品についても一刻も早くCD化してください... 関係者の皆様、本当にお願いします!

No.11
・SINGLES/WE ALL TOGETHER(07)
ペルーのビートルズと呼ばれる、 この世で最もピュアなビートルズ・フォロワーによる 1973〜74年リリースのシングル音源集。
1st、2ndだけでなく、このような貴重な音源が残されていることに ひたすら感謝したくなる名曲ばかりが揃っています。
ビートルズに注がれる真っ直ぐな情熱、あふれんばかりの愛情が注がれた、 ひたすら純朴で人懐っこい演奏と歌声には 理屈抜きで感動するしかないです。
1曲目のギターソロは初期のチューリップみたいだし、 4曲目のシンセはマレーシアのトラックみたいだし... 欧米と違ってビートルズとそれなりに距離があると、 自然と音が似てきてしまうのかもしれませんね。

No.12
・ALAM RAYA/ABBHAMA(78)
ぬおおおおお!... 70年代インドネシア・シンフォの秘宝中の秘宝である 本作がついにCD化されてしまいました。
いやはや長生きしてみるものですね〜。 かれこれ十年以上前に、 アジア(特にインドネシア)の貴重音源を聴くオフ会があり、 上野の某マンションでこの音源を耳にした時の衝撃は 今でも忘れられません。
あまりに思い入れがありすぎて、 一時はこのCDを箱買いしようかとも考えました。(握手券無いけど!)
もちろんプログレ名盤紹介にも掲載します。
追伸:ちょうど私がこのCDを入手して喜んでいた頃、 中心メンバーのIWAN MADJIDは天に召されたようです。 ご冥福をお祈りします。

No.13
・WHIRLD TOUR 2010/TRANSATLANTIC(10)
2014年にめでたく新作が発表となった、プログレ・オール・スター選抜バンド、 トランスアトランティックのライブ盤。
CD3枚組で全6曲!(え、冗談でしょ?)... それなりに体力気力が充実していないと飛び込めないと思い、 ずっと再生する勇気が起きませんでしたが、 一旦再生してしまえば無問題!でした。
さすがに「WHIRLD WIND」はちょっと長すぎ (私のような長距離通勤者でも下手したら聴き終わらない!...) な気がしますが、 長くライブで演奏されている1stの楽曲なんかはすこぶる気持ち良いです。
まあ、メンバー全員の演奏活動歴を積み重ねたらとんでもない経験値だし、 ダニエル・ギルデンロウがサポート(豪華過ぎ!)に 回っていることも考えると全て納得できちゃうんですけどね。
会場の盛り上がりも生々しくて良いです。 日本じゃ絶対こんなに盛り上がらないんだよなあ... (十数年前に見たフラキンのライブ開始時の静けさを思い出してしまいました。)

No.14
・THE ANATOMY OF AN APRICOT/8X8(11)
アメリカのLANE STEINBERGとウクライナのALEX KHODCHENKOによる ドリーミーなポップ・ユニットのデビュー盤。
こ、これはあざとい!... ビートルズのようだけどビートルズでは無い、 ビーチ・ボーイズのようだけどビーチ・ボーイズでは無い... この音はまさしくゾンビーズのオデッセイ&オラクルそのものです。
2人で「21世紀のオデッセイ&オラクルを作ろう!」という コンセプトのもとで制作されたとしか思えない内容です。
ただ、いくら狙ったとはいえ、ゾンビーズ本人達でも 二度と作れないような歴史的な名盤を想起させる一大傑作を 作り上げた2人の才能には脱帽です。
こんなにも美しい白昼夢を見たのは何年振りだろう...メロトロンの嵐にメロメロ... ドリーミーにもほどがあります。
本編とは関係ないけど、アメリカとウクライナの融合と聞いて、 アポロとソユーズのドッキングを思い出したのは私だけでしょうか?!

No.15
・1000 THOUGHTS OF VIOLENCE/KEKAL(03)
インドネシアのプログレ〜ブラック〜デス・メタル・バンドの4th。
この手のジャンルにまでモンスターがいたんですね... 秘境インドネシアの奥深さには驚きっ放しです。
これまでバンドの存在は知っていたものの、 私の苦手とする「アヴァン系」という表現のおかげで、 聴く機会が無かったのですが、 単にこれまでの常識をぶちこわすミクスチャーぶり(先述の要素に加えて、テクノ、アンビエント... おまけにブラックがダブルミーニング!(ブラック・メタル&ブラック・ミュージック)が ぶっ飛んでいるだけで、メロディはくっきりはっきりしていて、 聴きやすいです。(さすがインドネシア) こんなことならもっと早く聴いておくんだったなぁ。
メンバーは教会燃やしたり、逮捕されたりしていないようで(笑) この後も順調にアルバムを残しています。

No.16
・ACT II: THE MEANING OF, & ALL THINGS REGARDING MS. LEADING + ACT I: THE LAKE SOUTH, THE RIVER NORTH/THE DEAR HUNTER(09)
海外で評価の高いプログレッシブなロック・バンドによる、 1stEP(06年発表)+2ndフル(07年発表)のお買い得盤。
複数のアルバムで構成される壮大なコンセプト作品の 序章に位置付けられる内容となっており、 壮大でドラマティックな世界観にひたすら感動します。
スケールがでかすぎて全体像がつかめず、表現が的確かどうかはわかりませんが、 まるで、レディオヘッド、マンサン、マーズ・ヴォルタ、マイ・ケミカル・ロマンス、 コヒード&カンブリアあたりがぐちゃぐちゃに混ざり合ったような 音楽をやっています。 (おっさんには、クリムゾン、フロイド、クイーン、ツェッペリンを混ぜで 現代風にしたと言えばいいかな。(←雑だろ!))
プログレ好きなら、こういう音も追っかけないとダメでしょう!
五大バンドの紙ジャケリマスターを出るたびに買い続けてそれで終わりなんて、 あまりにもったいないじゃないですか!
とはいえ、昔からこの手の音って日本じゃ全然受けないんですよね。 (このカップリング盤を国内盤として出した人は勇気あるよなあ!)
彼らはこの後も多くのアルバムを出しているので、 ゆっくりチェックしていくことにします。

No.17
・INTRODUCING RUBY FREE/RUBY FREE(12)
のどかな夫婦ポップ・デュオによるデビュー盤。
インディーズ×夫婦ポップという組み合わせから、 勝手にフローラポップ(←最近どうしてるんだろ?) みたいな音楽性を期待して入手しましたが、 中身は、最近のリヴィエラに近かったです。
もっというと、リヴィエラの、 キラキラ度、オシャレ度を薄めたのち、 土臭くした感じですね。 70年代風アレンジから、 ポールのウイングスに喩えられるのもうなづける感じです。
ヴォーカルやコーラス・ハーモニーに さほど華が無いのがちょいと残念ですが、 楽曲の良さではフローラポップやリヴィエラの名盤に 決してひけをとりません。 中でも「グッド・カンパニー」は名曲だと思います。 (←クイーンとは別曲)
「てぃんくる」で「サンシャイン」で「ハッピネス」(ルビーだけに...)な、 平和でのんびりとした日常的な雰囲気は実に心地よいです。
次回作にも大いに期待が持てそうですね。

No.18
・REVIVAL/WINTERHAWK(82)
ハード・ロック・マニアの間では神盤として知られている、 アメリカのスーパー・トリオによる名盤。
これまで数多くのアルバムを聴いてきたせい(というか歳のせい?)で、 前評判のわりに驚くことがめっきり減っていますが、 この「リバイバル」は本当にヤバイ(バル)!
まず変幻自在に、歌い、吠え、泣きまくるギターが異常過ぎ!... 一切手を抜くことなく、 常に全力&本気モードでガッツあふれるロック・スピリッツを 見せつけてくれます。鳥肌たちっぱなしでおかしくなりそうです。
そして、このギターを後方で支援しつつ、時には激しいバトルを繰り広げる リズム隊の技量も尋常では無いです。
「神盤」という評判に偽りはありません。 ハード・ロック・ファンなら絶対に聴いてください。

No.19
・WONFU LOVES YOU/旺福(09)
台湾の男女混合ポップ・バンド、ワンフーの2009年作品。
本作もとにかく楽しくて微笑ましい!...このバンドならではの 「一昔前のアマチュア学生バンド的なノリ」は見事にキープされていて良いです。
おバカな曲から切ないバラードまで、歌メロも耳に残るものばかり。 「ウーロン茶のCMでかかってそうな曲ベスト3を 全て収録」と言っても過言では無いでしょう!
今後どれだけキャリアを積んでも、いくらメジャーになっても、 この(良い意味での)シロウト感、チープさを失うことなく、 傑作を出し続けてほしいと思います。

No.20
・SENTIMETAL/GARY SCHUTT(94)
「タカラのベーシストによるデビュー・ソロ」という なんとも地味な存在でありながら、 実は知る人ぞ知るメロディアス・ハードの隠れた傑作。 (←立ち位置がコールド・カット(ニコラス・グリーンウッド)っぽい!(笑))
ドラム以外の全楽器を操り、 プログレ・メタル〜ハード・ロック〜産業ロック (昔ゼロ・コーポレーションから国内盤が出ていたのが頷ける!)を吸収した楽曲の上を、 盟友ジェフ・スコット・ソートが朗々と歌い上げています。
豊かな才能ぶりをみせつけるゲイリーはもちろん、 ドラムが打ち込みであることを感じさせない、 立体感あふれるジェフのパフォーマンスもまた見事です。
今回このアルバムを入手したのは、 超名曲である5曲目を聴きたかったためです。 80年代産業ロックのエッセンスを昇華したスーパー・バラードであり、 当時なら全米チャートで5週連続1位でもおかしくないのでは? ...と思えるぐらい感動します! (でも、おかげで他の曲が耳に残らなかったりして...)

No.21
・KAHDEN KUUN SIRPIT/VIIMA(09)
フィンランドのシンフォ・バンドによる2nd。
カイパ、ダイス、アトラス...70年代北欧シンフォ名盤群に 共通する北欧独特の空気が見事なまでに凝縮されています。
ヒンヤリとした肌触りながら中は温かく、 テクニカルで洗練されているのに、 時折土臭さも感じさせるサウンドに 心が動かない北欧シンフォ・ファンは一人もいないと思います。
実は10年に1枚レベルの名盤では無いでしょうか...
バンド結成は1998年であるにも関わらず、 2nd発表までに11年費やしているのも納得できる仕上がりです。
3rd発表までにまた時間がかかるとは思いますが、 のんびりと待ちたいと思います。

No.22
・CLASSROOM POP VOLUME I: A DAY IN THE LIFE OF FIFTY CAPITALS/LAMAR HOLLEY(08)
まだまだ知名度が低いものの、 底無しの才能を持ったピュア・ポップ・アーティストのデビュー盤。
まるでアメリカの王道ポップの歴史を総復習したかのように、 ビーチ・ボーイズ〜トッド・ラングレン〜ジェリーフィッシュ〜ライナス・オブ・ハリウッド直系の 親しみやすく甘酸っぱい最高のメロディだけが ぎゅぎゅぎゅっと詰まっています。
2nd以降の作品(すべて全ポップス・ファン必聴の名盤)と比べると、 デビュー盤だけあってアレンジが至ってシンプルですが その分メロディの美しさが伝わりやすいといえます。
耳に残るメロディのボリューム、ヒット率は、 そこいらのパワーポップ勢が束になってもかなわないでしょう。
デビュー盤で全才能を出し尽くして消えるバンド、アーティストが多い中、 この人はその後も全く勢いが止まっていないので、 きっと何もしなくても、美メロが次々と頭に中に浮かんでくる タイプなんだと思います。うらやまし〜。
あ、歌詞はロックンロール県庁所在地のノリですよね!

No.23
・LONERISM/TAME IMPALA(12)
オーストラリアのサイケなロック・バンドによる2nd。
これまでサイケ・サウンドを追及し、いろいろな形で再現した 数多くのバンドをむさぼり聴いてきましたが、 このバンドの拘りは病的...一枚も二枚も上を行っています。
ビートルズのリボルバー(というかトゥモロー・ネバー・ノウズ!)の世界に飛び込んだっきり、 一切出てきません... それどころか、シンセを狂ったようにいじっていた頃のトッドまで呼び込んでいます。
少しお酒飲んでこのアルバムを聴けば、 あっという間にふわふわと飛べます。お手軽に疑似トリップできて気持ちよくなれます。
こんな傑作がもっとメジャーになれば、 危険ドラッグなんかこの世から排除できるんじゃないかな。

No.24
・RAKSASA/GOD BLESS(89)
1973年結成ながら、数年前にもアルバムを発表している インドネシアの生ける伝説、GOD BLESSの4th。
もちろん1st〜2ndのシンフォ色はありません。 前年に発表された傑作3rdのSEMUT HITAMの延長線上にある、 熱気ムンムンな産業ロック〜メロディアス・ハードの力作となっています。
クイーン色は薄くなりましたが、 相変わらずレインボウは出てくるし、 ヴァン・ヘイレンまで飛び出すし (そういやヴァン・ヘイレン兄弟ってインドネシアの血が入ってましたよね... で、昔ジェネシスってバンドやってたとか(←この情報はいらないだろ)) 彼らにしか出来ないサウンドに幾度も魅了されます。
楽曲もいいんですが、演奏がさらに良いんですよね〜 自己流で長年叩き上げできた男たちの力強さと気迫には 圧倒されまくりです。

No.25
・LELAKI UNTUKMU/ROMEO(06)
インドネシアものの真骨頂といえるドラマティックさ、メロディアスさを 売りにしたロック・バンドROMEOの2006年作品。
2002年発表のWANITAと比べると 過剰なまでのドラマティック・アレンジは薄れ、 バンド色が強くなりましたが、 DEWAが最もメロディアスだった頃(★5つ時代)を 想起させるような甘く切ないしみったれバラードは絶品... 一回聴いただけで頭の中でメロディが数日間鳴りっぱなしになるので、 それなりの覚悟が必要です!
一昔前は、ADA BANDとかPADIとかPETERPANとかインドネシアでこういう音が 流行りまくってたのに、 最近は見かけない気がしてちょっと残念に思います。
BEBI ROMEOのソロでも良いので、そろそろ新作を出してくれないかなあ。

No.26
・DRUCKFARBEN/SAME(11)
カナダのド派手なテクニカル・シンフォ・バンドによる 痛快極まりないデビュー盤。
YES、EL&P、RUSH、GG、UK... といった豪華な天然素材をこま切れにせず、 そのまま鍋にぶち込む形で男らしく料理しているので、 元ネタがまるわかりで楽しいです! いろんなスーパープレーヤーになりきってしまう 演奏メンバーの技術には目を見張るものがあります。 中でも、「肉をたくさん食っているジョン・アンダーソン」のような パワフルなハイトーンを得意とするヴォーカルの存在感も光っています。 (この手のバンドは演奏第一で、ヴォーカルだけおいてけぼりになることがやたら多いので!)
ハイライトの畳み掛け方は攻撃的だった頃のNATHAN MAHLを思い出しました。 (そういえばNATHAN MAHLもカナダでしたね〜。)
まだまだ化ける余地をたっぷり残しているので、 次回作が楽しみです。

No.27
・THE YOUNG PICNICKERS/THE PEARLFISHERS(99)
スコットランドはグラスゴーの良心、パールフィッシャーズの1999年作。
とにもかくにも純粋で、素朴で、美しい... 彼らの作品にはずれがないのはわかりきったことですが、 初期の作品だけあって、持ち味のピュアさが一層際立っているように感じます。
誠実に音楽に向き合っているからこそ、 このノスタルジックな雰囲気が自然に作り出せるんだろうなあ。 (このアルバムを聴いているうちに子供時代を思い出し、 何故かクリームソーダをひさびさに飲みたくなりました!)

No.28
・SITTING AROUND KEEPING SCORE/SPYMOB(04)
アメリカはミネアポリスのハイセンスなロック・バンドによる2nd。
これまで発表されてきた、メジャーなロック、ポップス、AORの名盤を集め 要素を分解し、再構築してアップデートしたようなゴージャスな内容です。
アイデア、アレンジ、演奏力、歌唱力、作曲能力、プロダクション... アルバムを構成する全要素において、 他のバンドを頭3つ分くらい抜きんでている感じがします。
このマジカルな音を具体的に表現するのは困難ですが、 あえて喩えるとしたら、THE FEELINGが STEELY DANをやったような感じかなあ。
耳の肥えた評論家であればあるほど絶賛しそうな内容なのに あまり知られていないのは何故なんだろう... 出来杉君すぎて隙が無いから?天才すぎて同業者に妬まれたから? ...今も昔も、内容と知名度に乖離のある作品って ちょくちょく出てくるんですよね。

No.29
・FEEL THE POWER/BLESSED BY A BROKEN HEART(12)
意表を突いた音楽性でシーンにでかい爪痕を残した PEDAL TO THE METALから待つこと4年、 カナダのやんちゃなメタル軍団BBABH(←ババア・ブロークンハートでは無い!)が 大きく成長して帰ってきました。
なんと本作では、あのド派手に鳴り響いていた 「ディスコ〜ユーロ・ビート風シンセ・アレンジ」を 大幅に封印し、メジャーなメタル路線で真っ向勝負しています。 前作のピコピコ路線で突き進めば楽なのに... ある意味彼らがいばらの道を選択したと言って良いでしょう。
しかし、彼らの本気度(決意)は半端なく、 単純にクオリティの高さで十分勝負できる傑作に仕上がっています。 (やっぱり凄い奴らです。)
疾走曲の勢いの良さが際立っていますが、 そんな中にあるパワー・バラードの7曲目は、 彼らがクリスチャン・メタルであることを 立証する極めつけの名曲だと思います。
この1枚で3か月分ぐらいの超絶高速ギターソロを 一気に摂取できるのもうれしいです。

No.30
・STAND UP AND FIGHT/TURISAS(11)
フィンランドのバトル・メタル・バンドの3作目。
大仰シンフォ系メタルものは続けて聴くとしんどいので、 意識して間を空けるようにしているため、 前作を聴いてからかなりの時間が経ってしまいました。
おかげで前作までの印象が薄れかけているのですが、 明らかに本格化&メジャー化し、メタル色は後退しているように思います。 (俺たちのチュリサスからみんなのチュリサスになった感じ!)
「戦い」といえどもMOONSORROWのような悲壮感とは間逆... 連戦連勝で毎回勝利の美酒に酔いしれているイメージで、 聴いていると自分が大物になったような錯覚に陥ります。
快進撃はまだまだ持続しそうですね〜 チュリサス・オブ・ファイアってバンド名に改名したら 別かもしれませんが...(笑)


その他

・SECRETS OF LIFE/PLATITUDE(03)
スウェーデンの新人シンフォ・メタル・バンドによるデビュー盤。
(といってもリリースは相当前です... マイナー臭漂うジャケットのせいで、 チェックがずいぶん遅れてしまいました。)
メンバーがかなり若い(当時17〜22才...裏山)こともあるのでしょう、 荒削りですが音に勢いがあってかなり楽しめます。
メンバーの多さ(7人編成)が良い方向に作用し、 様式美〜ネオクラシカル、メロスピ〜シンフォ・メタル、プログレ・メタル... といった多彩なジャンルをフォローしています。
各ジャンルのおいしい部分を拾い上げ、 うまくまとめあげる技術はいかにもスウェーデンらしいです。
どこかで聴いたようなフレーズがちらほら飛び出すものの、 疾走曲だけでなくスロー・バラードもちゃんと聴かせる作曲能力は 大したものです。
個人的には、キーボードの音色やフレーズから 初期のARTENSIONを思い出しました。 あと時折ギターがマーティ・フリードマン化するのも 良いアクセントになっています。
他の作品も聴きたくなりました。

・THE SUM OF NO EVIL/THE FLOWER KINGS(07)
プログレ氷河期に先陣を切って風穴を開け、 現在もシーンを牽引し続ける 北欧シンフォ界の重鎮、フラワー・キングスの2007年作。
いつしか彼らが追及する音と自分の聴きたい音との間に距離を感じ、 しばらく心が離れていましたが、本作はやってくれています!
こんなシンフォなフラキンはいつぶりだろう... STARDUST WE ARE〜FLOWER POWERの頃の輝きを「もう一度」... とのファンの声に呼応したかのような ONE MORE TIMEによる幕開けが見事。 特にトマスのキーボード・センスが冴えわたっています。
現役バリバリで活動を重ね、 さまざまなキャリアを経たうえでの自然な原点回帰という点が とても評価できると思います。
ムーン・サファリに触発されたのか、 エージェント・オブ・マーシーの活動がきっかけになったのか... 理由はともあれ、今回の変化を喜んでいるのシンフォ・ファンは 私だけではないと思います。
この路線をぜひ継続してほしいですね〜。

・METAMORPHOSIS/MAGENTA(08)
いまやイギリスを代表する存在にまで成長した 正統派シンフォ・バンドの4th。
プログレ度が大幅に強化され、楽曲構成も複雑となり、 これまでで最も手が込んでいる気合の入った作品です。 最高傑作との呼び声が高いのもうなづけます。
ただ個人的には、2nd(SEVEN)路線が好きだったので、 ちょっぴり残念な思いが残りました。
プログレ親父へのサービスなのかもしれませんが、 ハウなギターとかスクワイヤなベースがちょっと鼻につくというか... もっとクリスティーナ嬢の美声をシンプルに 前面に押し出し、アイデアの量よりもメロディの質に注力したほうが、、 印象に残ると思うんだけどなあ...
さらにいうとジャケットも改善すべきですね。 同名のデス・メタル・バンド?! とシンフォ・ファンがカートに入れるのを躊躇するようなイメージは、 誰も得をしないように思います。
とはいえ、シンフォ・ファンなら誰でも満足いくレベルの 傑作であることは間違ありません。

・TIME TALES/VAIL(83)
アメリカの弾き倒し系キーボード・シンフォ作品。
初期MASTERMINDもびっくりの「過剰なEL&P」スタイルで 徹頭徹尾押しまくります。
攻撃しか知らないシンセがえんえんと唸り続け、 ドラムもどこどこ叩きまくって応戦していくさまに、 「うおぉぉ!」...と何度か胸が高ぶります。
ただ楽曲の出来が演奏に全く追いついていないのがなんとも口惜しい... 見た目も素材も最高なのに、ダシの弱いラーメンを口にしたときのような 残念な気分に陥ります。 もし私が邦題をつけるなら「恐怖の頭脳改革手術の失敗」... といったところですね!(←辛口過ぎ?)
ということで、なかなか楽しめる作品ではあるんですが、 プログレ名盤紹介への掲載は控えておきます。
でもEL&P大好きっ子はチェックしておいても良いかもです。

・VITTJAR/KAIPA(12)
北欧シンフォの代名詞ともいえるスーパー・バンド、 カイパによる2012年作品。
やはり本作も、全シンフォ・ファンが傑作であることを認めざるを得ない 内容に仕上がっています。
特にサプライズはありませんが、 それは新生カイパがデビュー盤から一貫して、 独自のスタイルによる傑作を作り続けていることの現れでもあります。
いまのカイパなら今後何も考えずにアルバムを買い続けてもなんら問題ないでしょうね。 (安定感ではニール・モーズを超えているかも...)
以前と比べてあえて変化を探すとすれば、 「ロイネが脱退したのは正解!」 と思える度合いが強くなってきていることぐらいでしょう。
スウェーデン最強のリズム隊をはじめ、 超絶メンバーが集結していながら、 それをあまり感じさせないやわらかい演奏が なんとも素敵です。

・THIRD EYE/REDD KROSS(90)
パワー・ポップを語る上で絶対に外せない重要バンド、 レッド・クロスの最高傑作。
時代的にジェリーフィッシュとかぶりますが、 インドア系のジェリーフィッシュに対し、 こちらはアウトドア系...演奏が元気よく弾けていて気持ちが良いです。
キャッチ―かつメロウでありながら切なさを感じさせる胸キュンなメロディも最高だし、 シンプルにみせかけて実はいろんなアイデアが詰め込まれているし、 ...さすがはマクドナルド兄弟、味なことをやってくれてます。 (←このネタわかる人いるの?)
近年の作品も押さえなくては。

・CLINIC FOR DOLLS/UNSUN(10)
ポーランドのゴシック・メタル・バンドによる2nd。
エヴァネッセンスに ポーランドのお家芸ともいえる都会的+陰鬱なアレンジを 注入したようなサウンドが格好良くきまっています。
アグレッシブかつヘヴィに徹する強靭な演奏と、 ポップな歌メロを自然体で歌い上げるアヤ嬢の歌唱との コントラストが実にユニークで耳に残ります。
この手のバンドの女性ヴォーカルというと大抵、 オペラ風かメタル風のどちらかですが、 彼女はあくまで普通の女の子っぽいところが良いですね。
彼女をめぐりバンド内で争いが起きないかちょっぴり心配です。(笑)

・DEATH BY FIRE/ENFORCER(13)
疾風の如くシーンに現れ、一躍人気者となったデビュー盤が記憶に新しい スウェーデンのNWOTHMバンドの3rd。
2ndも最高だったので、失速することは無いと 思っていましたが、期待通り最高の内容です。
デビュー時と同じで、古いとか新しいとかは関係なく、 自分たちが信じるスタイルを貫き、 常に高みを目指して シーンの先頭をひたむきに突っ走っていく ハングリーさに痺れます。
なにげに曲と曲との隙間を詰めているのが良いですね。 おかげでアルバムを通して疾走感が失われず、 一旦再生してしまうと 二度と停止ボタンを押すことができなくなります!
このまま10年経っても変わらないでいて欲しいなあ。

・TARIKA BLUE/SAME(77)
アメリカのジャズ・ロック〜クロスオーヴァー〜レア・グルーブ系名バンド、 タリカ・ブルーの2nd(77年作)に1st(76年作)から数曲を追加収録した お得な一品。
2013年にヘヴィロテしまくったJAMES MASONの関連作を調べて、 この作品にたどり着くことができました。
さすがにドラムがナラダじゃないこともあってか、 RHYTHM OF LIFEと比べると疾走感では劣りますが、 メロウでグル―ヴィな雰囲気は共通しています。
楽曲、演奏ともに充実しまくりで、 ベース、ギター、サックスの活躍が目立ちますが、 一番際立っているのはエレピだと思います。
2ndのほうが洗練されていて完成度が高いですが、 個人的には、角が取れ過ぎてる感じがするので、 荒削りながら攻撃的な1stの楽曲の方が好みです。
内容には関係ないけど、KAYAKのMERLINのジャケットって、 このアルバムをパクったのかなぁ?

・...AND DEATH SAID LIVE/MORS PRINCIPIUM EST(12)
超絶高速ギターが唸りをあげる、 フィンランドのメロデス・バンドによる4th。
北欧メロデスの黄金期を想起せずにはいられない内容で、 かなり殺傷力が高いです。
こういう音に出会うことはもう無いと思っていましたが、 まだこの路線を追及しているバンドがいたんですね〜。
もともと演奏力には定評がありましたが、 唯一の課題であったプロダクションが本格化し、 一皮むけた感じがします。
超絶高速ギターソロだけでなく、ギターリフや歌メロも きちんと強化されています。
で、素晴らしい内容のあまり、幾度もリピートして ふと気付いたのは、 キラーチューンといえるような楽曲が無い... あまり起伏が無い... あれ、唯一の課題がクリアされたのにまた課題?...
つくづく人間って贅沢だよなあ。(だから進化するんですけどね。)

・CHINESE SONGS PART ONE/LITTLE TRAGEDIES(07)
ロシアが誇る最強のキーボード・シンフォ・バンドによる 2007年作品であり、2枚に及ぶコンセプト作の1枚目。
壮大なコンセプトのせいもあるのでしょう。 これまでの彼らの作品に比べると、かなり行儀が良すぎるように感じ、 やや物足りなさを覚えます。
でもそれは彼らの作品であることを認識して聴いているからであって、 これが新人バンドだったら大騒ぎしていたと思います。
静のパートの比率が高い分、動のパートの躍動感、爆発力は いつも以上にインパクトがあります。

・CHINESE SONGS PART TWO/LITTLE TRAGEDIES(07)
ロシアのコテコテ・キーボード・シンフォ・モンスターによる 「チャイニーズ・ソングス」作品の2枚目。
1枚目でも感じたのですが、チャイニーズっぽさはあまり感じられません。 もしかしたら静寂パートのシンセ・ミュージックぶりが 喜太郎っぽく感じられるので、日本的なイメージを持って 「チャイニーズ」と言っているのかも?!...
1枚目と比べると、攻撃的なパートが増えているので、 個人的にはこちらのほうが好みです。
それにしても毎回クオリティを落とすことなく傑作を生み出し続ける バンドのポテンシャルは計り知れないですね〜。

・WHEN EDEN BURNS/PERSUADER(06)
スウェーデンのメロスピ〜パワー・メタル系バンドの3作目。
とにかくヴォーカルが最高... SAVAGE CIRCUSにも在籍するブラガ声のヴォーカルが説得力十分で、 聴き手としてはひれ伏すしかありません。
これだけ強力な声を耳にしてしまうと、 知らず知らずのうちに演奏陣もブラガ寄りに引っ張られちゃうんでしょうね!
SAVAGE CIRCUSに比べ、突進力が増強され、 その分楽曲、歌メロが少し弱いように思いますが、 特に初期のブラガが好きだった人ならかなり楽しめる内容となっています。
で、この手の音を漁っておきながら、近年のブラガ本体は押さえていないという...(汗) (←イングウェイと同じ!)

・SKY ISLANDS/CALDERA(77)
南米を代表する名フュージョン・バンドによる 名盤2ndがめでたくCD再発されました!
南米選りすぐりの凄腕メンバーが総力を結集することで、 リターン・トゥ・フォーエヴァーよりもぐぐっと南米色の濃い、 究極のラテン・フュージョン作に仕上がっています。
エキゾチック、アグレッシブ、スペイシー、スタイリッシュ... 様々な要素がクロスしたこの時代ならではの 大人向けのフュージョン・サウンドは、 このバンドでしか味わうことができないものです。
フュージョン・ファンだけでなく、プログレ・ファン、 ジャズ・ロック・ファンなら押さえておくべきでしょう。
内容が良い割に、何故かCD再発が遅れているのが気になります。 他のアルバムも早くCD化して頂戴〜!

・ETERNITY/FREEDOM CALL(02)
ジャーマン・メタルの重要バンドによる 2002年発表の3作目。
どうしても「中堅バンド」のイメージがあり、 ついつい聴くのが後回しになってしまいました (彼らの音をちゃんと聴くのは12年振りだったりして...)
クオリティは今聴いてもなんら問題無いですね...ぐんのばつです!
ハロウィンの守護神伝やガンマレイの1stばかりリピートしていた頃や、 その後ラプソディの1stを耳にして卒倒していた頃を思いだし、 胸が躍りワクワクします。
それにしても、彼らだけでなく、アクセプト、ハロウィン、ガンマ・レイが いまだに現役バリバリしかも最前線で活動しているジャーマン・メタルって ちょっと異様ですよね。 若いバンドからしたら鬱陶しいかもしれないなあ!(笑)

・LIVE AS IS/THE BREAKFAST(09)
アメリカはコネチカットの 超絶プログレッシブ・ジャム・バンドによる 2009年2月のライブ音源を収録したライブアルバム。
先日、音源のダウンロードを解禁したので、 ダウンロード・オンリーのこのアルバムも 落としてみました。
ライブ盤を聴くと、スタジオ盤からの落差にガッカリするパターンと、 凄すぎてスタジオ盤が聴けなくなるパターンに二分されるわけですが、 彼らはジャム・バンドだけあってもちろん後者に該当します。
これだけ楽器が弾けて、他のパートも超絶メンバーが揃っていたら、 ライブ演奏は気持ち良くて仕方がないだろうなあ〜。
これまでのスタジオ盤の楽曲も がんがんライブ盤にして出して欲しいです。

・THE DAWN OF TIME/GEORGE BELLAS(10)
アメリカのネオ・クラシカル系速弾きギタリスト、 ジョージ・べラスの2010年作品。
古き良きSHRAPNEL系の延長線上にある、 強力なギター・インスト・アルバムとなっています。
この手の作品はどうしても単調になってしまうので、 収録曲数、収録時間ともに控え目にするのが通例ですが、 本作はなんと掟破りの全19曲79分超え!... それでも、長年の経験やマルコ・ミンネマンの参加も手伝って、 最後まで聴きとおすことが出来るのが凄い。 このことから内容の充実ぶりが理解いただけると思います。

・EL REINO OLVIDADO/RATA BLANCA(08)
南米No.1の様式美メタル・バンド、 ラタ・ブランカの2008年作。
初期と比べるとさすがに大人しくなった印象を受けます。 枯れた味わいを感じさせる場面も増えていますが、 やっぱり彼らには疾走曲を期待してしまいます!
本作もちゃんと疾走曲が収録されていて、 一旦スイッチが入った時のスリリングなギタープレイには やはり特筆すべきものがあります。
今回面白かったのは、いつものリッチ―+イングウェイスタイルに加えて、 ハロウィンを取り入れているところでしょう。 (8曲目...なにげに曲名に「ガーディアン」って単語が入ってるし!) これまで予想していなかっただけにインパクトありすぎです。
今後もジャーマン〜北欧メタルのエッセンスとか入れてくれないかな。 相当なベテランですが、こういうテコ入れ!で マンネリを打破してくれるのは大歓迎です。 (といっても結局パクリなんですけどね!(笑))

・SHOW ME HOW TO LIVE/ROYAL HUNT(11)
アンドレ・アンダーセンの 緻密な構成力を武器に、これまで長きにわたり 傑作を発表してきたデンマークの様式美メタル・バンドの2011年作。
黄金期のメンバーであるD.C.クーパーが戻ってきたと聞き、 ひさびさに彼らの作品を聞いてみることにしました。
単なる同窓会ムードでお茶を濁すようなことは一切無く、 最強の布陣であることをファンに伝えようとしたのか 相当に気合が入っています。 最高到達点であるPARADOXを想起させる渾身の仕上がりといえるでしょう。
どれだけ期間が空いても相性ってのはあるんですね。 演奏がヴォーカルをひきたて、ヴォーカルが演奏をひきたてることで、 説得力が何倍にもアップしています。
それにしてもD.C.クーパーの復帰にどのような手が使われたんでしょうか... お金だったらやだなぁ!

・NEOGOTHIC PROGRESSIVE TOCCATAS/THREE MONKS(10)
重苦しいパイプオルガンを前面に押し出した、 イタリアのクラシカル・シンフォ・トリオのデビュー盤。
直球過ぎるタイトルが微笑ましいです。
イタリア×パイプオルガン×シンフォという組み合わせといえば、 誰もがヤクラを想像すると思います。 ただヤクラに比べるとやはり物足りない...
演奏テクニックも十分でかなり聴きごたえはあるものの、 ヤクラのような特別な個性(音に封じ込めたまれた狂気というか魂というか...)を 思い出し、無意識のうちに比べてしまうおかげで、 薄っぺらく感じられます。
所詮人間がどんなに進化しても、神(というか悪魔)には太刀打ちできないと いうことなんでしょうね。 でも少しでも距離を縮めるよう今後も頑張ってもらいたいものです。

・ALTERED STATE/SAME(91)
桁外れのポテンシャルを持ちながら、 正当に評価されることの無かった悲運の名バンド、ALTERED STATEのデビュー盤。
ひねくれたEXTREMEのような1曲目をはじめ、 怪物の片鱗をみせつける曲は数曲あるものの、 次作であり90年代プログレ・メタルの裏名盤でもある「DOS」と比べると、 魅力、威力ともに貧弱なのは否めません。
「DOS」と同様にいろいろな要素をぶち込んでいるものの 未整理でメリハリが無いのが残念です。
このアルバム単体で聴くよりも、次作とセットで考え、 次作へのつながりを探しながら聴いたほうが楽しめると思います。
こういうバンドこそ再結成して大暴れしてもらいたいものです。

・JOINTHOUSE BLUES/AFTER TEA(70)
オランダのロック草創期を代表する名バンドの3rd。
英米のロック・シーンを相当敏感に意識していたようで、 初期のサイケ・ポップ路線(オルガン主体)から、 ハード・ロック路線(ギター主体)に大きく舵を切っています。
ただ路線変更前も変更後も自分たちの出したい音が定まっていて、 内容が充実していることには変わりありません。
ツェッペリン、ヴァニラ・ファッジ、バッジ―... マイナーどころだとアメリカのフューズ(チープ・トリックのメンバーが在籍していたヤツ) あたりを思い出しました。 この時代の空気感って心底痺れるんだよなあ〜。

・THE NIGHTMARE OF J.B.STANISLAS/NICK GARRIE(69)
イギリスはグラスゴー出身のSSWがフランスでリリースした、 サイケ・ポップの傑作。
幻想的な空気の中、 繊細なメロディが丁寧に紡がれていきます。
このアルバムの魅力は、様々な条件(時代、出身、制作場所...)が奇跡的に 重なり合っていることに尽きるでしょう。
1969年ということで、サイケ・ポップ、 ブリティッシュ・フォーク、ソフト・ロック、 さらにはフランス録音(シルヴィ・ヴァルタンの兄が プロデュース!)なので、フレンチ・ポップも混じっているし、 おまけにグラスコーの要素も... まさに役満状態です!
いくら頑張ってもこんな音は二度と作れないでしょうねー。

・PARADISE LOST/SYMPHONY X(07)
ネオクラシカル系プログレ・メタルを牽引し続ける アメリカの超絶バンドの7th。
個人的に彼らの最高傑作は3rdであり、その後も傑作を出してはいるものの、 ZEROコーポレーション消滅とともにキラメキも失われていった感があります。
本作ではそれを意識したのか、 リフ、歌メロ、ソロ、アルバム構成等に3rdを想起させる場面があり、 とても耳に馴染みやすいです。 難解さも少ないのでシンプルに彼らのパフォーマンスの凄さが伝わってきます。
マイケル・ロメオが衰えないのは凄いことだと思いますが、 なによりラッセル・アレンが衰えてないのはもっと凄いことだと思います。

・IT NEVER RAINS IN SOUTHERN CALIFORNIA/ALBERT HAMMOND(96)
数々のヒット曲で知られるSSW、アルバート・ハモンドのベスト盤。
季節柄「落ち葉のコンチェルト」を 無性に聴きたくなり入手しました。 「カリフォルニアの蒼井そら...じゃなかった青い空」 に代表されるさわやかなアメリカンテイストあふれる 佳曲が揃っていますが、 時折イギリス出身(後にアメリカに移住して活躍)らしい 湿り気のある場面が顔を覗かせるのがなんとも良いです。
それにしても「落ち葉のコンチェルト」は名曲中の名曲ですね... 何度リピートしても感動で胸が苦しくなります。 (個人的には、BADFINGERのWITHOUT YOUを思い出します。)
そうそう、有名だと思いますが、 ドリカムのファンの方でこの曲を未聴の方は、 是非、耳にしてみてください。 (だから個人的にドリカムはあまり好きじゃ...)

・THE BRAND NEW HEAVIES/SAME(91)
90年代のアシッド・ジャズ・ムーブメントを象徴する名盤。
名曲「DREAM COME TRUE」(←こっちのドリカムは大好物!)を ひさびさに聴きたくなり、 当時CDを購入していたような気がするんですが、 改めてCDを買っちゃいました。
このアルバムが出た頃は、 殆どプログレとメタルしか頭になかったんですが、 渋谷レコファンの店内で流れていたこのアルバムの音を耳にした時、 「世の中にこんなにおしゃれで格好良い音楽があるなんて...」 としばらくその場を動けなくなったのを覚えています。
この時代特有のオシャレな空気感を リアルタイムで体感できたのは、 本当に運が良かったと思います。 今聴いてもビリビリ来るなあ。

・SNEGS/SOM NOSSO DE CADA DIA(74)
数少ないブラジルの70年代プログレの中で 傑作として広く知られている、 ソム・ノッソ・デ・カダ・ディアの傑作1st。
その昔、ありがちな辺境B級もの以下の印象しかなく、 数回リピートして放置していましたが、 今回聴いた2ndがあまりに素晴らしかったので、 慌てて引っ張り出してきました。
改めて耳にすることで、 同年代の他国のプログレ・バンドがそうであったように、 ブリティッシュ・プログレを強く意識した音作りに、 試行錯誤しながら挑んでいる姿に好感を持ちました。
ハードなオルガン、表情豊かなヴォーカル、 効果的なヴァイオリン、フルート、サックスの導入など、 なかなか聴きごたえのある内容じゃないですか...確かに傑作だと思います。
ただ2ndと比較すると、「プログレ」という枠に 拘りすぎて、本来彼らが持っている能力の5割ぐらいしか このアルバムで表現できていない気がしてしまいます。
あ、ボーナス収録されている93年の音源ですが、 中間部が何故かランブリン・オーケストラしていてビビります。 (やっぱりこのバンドは何考えているのかわからない!(笑))

・THE LONG DIVISION/3RDEGREE(12)
アメリカの中堅プログレ・バンドによる2012年作品。
SPOCK'S BEARD、IZZにECHOLYNを混ぜたのち、 少し地味にしたような内容です。
演奏テクニックは安定していて、楽曲の適度なヒネリ具合も効果的。 ちょっととぼけた感じはGGに通じるところがあります。
突出した特徴は無いんですが、 なかなかバランスがうまくとれている良質な作品なので、 前述のバンドの音が好きな方はチェックをおすすめします。
内容には関係ないですが、アルバムジャケットの絵で、 昔はまっていた「レミングス」というPCゲームを思い出しました。 (←知ってる人は少ないだろうなあ...)

・WE ARE DIGGING THE BEATLES/PETER ROAR/LUCKY GURI(72)
時代、国、ジャンルを問わず、ビートルズ名曲カバー集はごろごろ転がっていますが、 本作は70年代スペインのスペシャルな一品です。
なにげにMUSICA URBANA、MAQUINA!、ICEBERGといった スペインを代表するスーパー・バンドのメンバーが参加しているので、 プログレ・ファンならかなり食指が動くかと思います。
工夫のかけらもない1曲目にはガッカリしますが、 2曲目のストロベリーフィールズ〜(名演!)で一気に挽回。もうこれで元が取れます! 若き日のMAX SUNYERのロック・スピリッツあふれるギターがなんとも良いですが、 個人的には60年代にまじめにジャズやってました的な、 かっちりした手数の多いドラムがツボでした。
最近こういうドラム叩く人っていなくなりましたよね。

・ACROSS THE RUBICON/SILHOUETTE(12)
オランダのメロディアス・シンフォ新鋭による3作目。
ズバリ一言でいうと「西新宿ガーデンシェッド系」です。 MARTIGAN、EYE 2 EYEあたりを思い出しました。
わかりやすいバンドでたとえると、 キャメル、ジェネシス、タイフォンにマイク・オールドフィールド を加え、オランダのお家芸ともいえる人懐っこさをプラスした感じです。
テクニックやオリジナリティをさほど重視しないシンフォ・ファンなら 愛聴盤になることでしょう。
前作に比べ、内容はもちろん、 ジャケットがまともになったのもプラス材料といえます。
そうそう、バンド名は恥ずかしながらしばらくちゃんと読めませんでした。 (で、読めたら大橋純子のショートカット顔が脳裏に...(笑))

・OUTSIDE/JEFF LITMAN(12)
アメリカはニューヨークのパワー・ポップ・アーティストによる2nd。
目新しさはないものの豊かなポップセンスを感じさせる佳作となっています。
しっかりと計算して作られているものの、 それを感じさせないライトでシンプルなアレンジのおかげで 魅力的な歌声(コステロっぽいのでMARK BACINO(←彼もニューヨークだったはず)を思い出しました)を うまく前面に押し出しています。
まだまだ成長途中でしょう。 今後も注目したほうがよさそうです。


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