2008年に聴きまくったアルバムBEST30(+40)

2008年に聴きまくったアルバム70枚を順位付けして紹介します。
結構メジャーどころが多いです。これまでで一番ノーマルかも!


No.1
・TWELVE STOPS AND HOME/THE FEELING(06)
華麗なるブリティッシュ・ポップの魂を 見事に受け継いだ超大型新人バンドのデビュー盤。
楽曲、演奏、コーラス、アイデア、アレンジ...全てにおいて完璧な仕上がりです。 熟練したベテランポップ職人が集まった覆面バンドの作品としか思えません。 (本当に新人バンドなんでしょうか?)
内容よりももっと驚いたのがメジャーでちゃんと売れているところです。 天才的なMIKAと違い、やっていることはあまりにも正攻法でど真ん中 (こういう音楽はここ数年インディーズじゃないと出来なかったはず) なのに実績を残しているのが何とも素晴らしいです。
他のバンドとの大きな違いは、過去のスーパースター達 (ビートルズ、クイーン、ELO、ジェリーフィッシュ...)から 受け継いだエッセンスの細かさにあるように思います。 名曲のかけらをわかりやすい形でごろごろ散りばめているバンドが多い中、 彼らは過去の遺産をきちんと吸収し自分達の音をしっかりと作り上げています。 (まるで最高の素材をかき集めて、もとの具がわからなくなるまで 手間ひまかけて何日もかけて煮込んだ極上スープのようです。)
このレベルをキープしている限り、一生ついていきたいと思います!

No.2
・KATONAH/APOLLO SUNSHINE(03)
アメリカのとびきりキュートなポップ・バンドによるデビュー盤。
ジェリーフィッシュから借りてきた「おもちゃ箱」に、 自分達で集めた世界中のありとあらゆるおもちゃをさらに無理矢理押し込めたような、 超絶ポップなアルバムとなっています。(もちろんおもちゃ箱はかなり壊れてます!)
数え切れないほどのいろんな音をぶった切ってぐちゃぐちゃに配置し、 適当にピコピコクネクネいじくりまくっているように思えますが、 実は非常に良く練られており、無駄は一切ありません。 全てが楽曲を構成するのに必要な音(作業)となっています。
この手のバンドはとかく、遊び過ぎて自己満足に終わったり、 メロディがアイデアに負けてしまったりすることが多いのですが、 彼らはしっかり周囲が見えていますし、根本にあるメロディももの凄く強力です。
これまで数多くのジェリーフィッシュ・フォロワーを聴いてきましたが、 ここまで進化したバンドは、ちょっと思い浮かびません。
これほどの才能を持ったバンドがいたなんてびっくりです... 「玉虫色に輝く突然変異くらげ」を発見したような気分です。
出会いのきっかけとなったBRYAN SCARY(買ったけど未聴... 傾向が似ているバンドとしてこのAPOLLO SUNSHINEが紹介されていました)に大感謝です。

No.3
・LIFE IN CARTOON MOTION/MIKA(07)
2007年に彗星のごとくシーンに登場し、 話題をさらったイギリスの天才アーティストのデビュー盤。
いわゆる「おもちゃ箱ひっくり返し系」のポップ作ですが、 そのおもちゃ箱のスケールがとにかくでかい!... まるで四次元ポケットのように自由で型にはまることのない無数のアイデアが飛び出してきます。
また躍動感あふれる演奏が気持ちよいのなんの!... いろんな色のキラキラした音符が弾け飛んでいるようです。
そしてフレディ・マーキュリィが憑依したような超絶ヴォーカルが、 だめ押し満塁ホームランのような役割をして、 このアルバムを後世に語り継がれるであろう大名盤に押し上げています。
とかくポップ系の作品が軽視されがちな昨今、 本作が大ヒットしセールスに結びついたのは喜ばしい限りです。
まだまだ世の中捨てたもんじゃないですね!

No.4
・STORIES/BRIGHTEYE BRISON(06)
スウェーデンの実力派メロディアス・シンフォ・バンドによる作品。
ここ数年、スウェーデンから、マンネリ化したプログレ・シーンに風穴をあけるような ユニークなバンドが次々と出てきており、中でも、A.C.T、BROTHER APEは、 ずば抜けたセンスを持っていましたが、 このBRIGHTEYE BRISONも同列に語るべき存在といえるでしょう。
この新世代スウェーデン・シンフォの3バンド(BBA!)は、 シンフォ、ジャズ・ロック、ポップス、AOR、産業ロック... といった幅広いジャンルの音楽要素を網羅し、 高度な演奏能力を持ち、曲展開が複雑でありながら、 メロディが人懐っこくて聴きやすいという共通点を持っているのが何とも面白いです。
実はこのバンド、日本のシンフォ・マニアを狙い撃ちした、 あのFLAGSHIPのキーマンが在籍しているので、 聴き手が赤面してしまうようなクサーーーいメロディが突然飛び出します! (ただFLAGSHIPに比べるとかなり大人向けです。 FLAGSHIPはKANSASっぽかったですが、こちらはKAYAKっぽいです。)
何度リピートしてもその都度新たな発見があるので全く飽きません。 これほどリピートに耐えうる作品なんて そう簡単には見つからないでしょう... メロディ至上主義のシンフォ・ファンであればなにがなんでも聴いておくべき名盤です。
もちろんこれからもがんがん応援していきたいと思います!

No.5
・DEFYING THE RULES/HIBRIA(04)
ブラジルの正統派新人メタル・バンド、ヒブリアの超絶デビュー作。
リリース直後に至るところで大絶賛されていたので即買いしたものの、 勿体無くてずっと寝かせておきましたが、 最近ふとこの手の王道パワー・メタルが聴きたくなりついに再生することにしました。
うわわわわ、こりゃ最悪だ!...予想をはるかに上回る格好良さ... 疾走感あふれるリズム隊、ザクザク切り込むアグレッシブなギターリフ、 スリリングな曲展開、流れるようなギターソロ、 天を突き破るようなハイトーンシャウト...何もかもが完璧で、 ジャケットのイラスト以外に欠点が見当たりません。 最も素晴らしいものを知ってしまった後、 この手の王道メタルを聴きたくなったら一体何を聴けばいいんだよう! (LOST HORIZONの2ndも既に聴いてしまってるし...彼らは新作出してないし...)
もしかしてこんな奇跡的な名盤を超えるような作品を作り出せないから、 次作が出ないとか...?
どうでもいいことですが、バンド名がカタカナ表記されていると、 いつもコヒード&カンブリアを連想してしまいます。(略称みたい!)

No.6
・YEARS/SAME(04)
何度聴いてもイギリスのバンドとしか思えない、 アメリカの無名バンドの作品。
まるでOKコンピュータの頃のレディオヘッドがビートルズに傾倒したような、 摩訶不思議なサウンドは強烈な中毒性を持っています。 (私のようにはまる人はとことんはまって抜け出せなくなるはず... もの凄い財宝を探し当てた気分です!)
レディオヘッドとビートルズ...普通に考えたら絶対にありえない組み合わせなのですが、 全く違和感無く融合させることに成功し、 内省的で深遠で美しくメロウでキャッチーな独自の世界を作り出しています。
こんな神業をやってのけるなんてとてつもない才能だと思います。
こういうあまりにも素晴らしすぎる音源が人知れず 世界のどこかでひっそりと生みだされているんですよね...
このアルバムに巡り合えて本当に良かった... インターネット様には足を向けて眠れません!

No.7
・SONGS ONE THROUGH TWELVE/CHECKPOINT CHARLEY(05)
アメリカのインディーズものから またしてもジェリーフィッシュ・フォロワーによる傑作を発見しました。
この世にジェリーフィッシュのフォロワーはどれだけ存在するんでしょうか... 質の高いバンド/アーティストがやたら多いのが特徴といえますが、 もちろんこのバンドのポップ度もめちゃくちゃ高いです。
このバンドの特徴は、なんといってもクリソツ度の高さに尽きます。 「こぼれたミルクで溺死して」という邦題を付けたくなるような内容で、 アルバムを聴いていると「こぼれたミルク〜」の様々な名曲が思い浮かんできます。 (ジェリーフィッシュ・フォロワーというより、ジェリーフィッシュ・クローンと言うべきでしょうね。 大体BELLYFISHって曲まであるし!(笑)...)
オリジナリティという点ではかなり弱いですが、 その分ずば抜けた楽曲の良さで十分カバーしています。
なんだかこの手のジェリーフィッシュ系作品は、国内盤が出たり、輸入盤で話題になったものより、 あまり知られていないインディーズもののほうが傑作が多いような気がします。

No.8
・SEVDAH METAL/EMIR HOT(08)
ボスニア・ヘルツェゴビナ出身のネオ・クラシカル系ギタリストによるソロ作。
ボスニアならではのエキゾチックな民族色と いまの時代にしては珍しい直球ど真ん中なネオ・クラシカル・メタル (シンフォニーX、アット・ヴァンス、ストラトヴァリウスあたりの全盛時を思い出しました!) が見事に融合した独創的な名盤に仕上がっています。
恐らくこの凄腕ギタリストの熱演に触発され昔の血が騒いだのでしょう... ジョン・ウエストもマイク・テラーナも最高のパフォーマンスを披露しています。 (まだこれだけ出来たんですね...)
それにしてもトラッド・メタル+ネオ・クラシカル・メタルの組み合わせが これほど斬新で刺激的だとは思いませんでした。 (これまでトラッド・メタルの多くはヴァイキング〜デス系でしたし、 ネオ・クラシカル・メタル自体も ヴィタリ・クープリ、リチャード・アンダーソンらが頑張っているもののマンネリ気味 でしたからね...同じようなバンドが出てこないかな〜?)

No.9
・AMBITION/AVIARY(03)
感動的な名盤をたった1枚残しただけで解散してしまった、 隠れた名バンドAVAIRYの未発表音源集。
このアルバムが世に出た頃、国内では扱われていなかったので、 入手するためPAYPAL利用に踏み切った個人的に思い出深いアルバムです。
凄すぎます...これまで数多くの未発表ものを聴いてきましたがレベルが桁違いです!
あの名盤1stと比べてもひけを取っていません。 こんなにも凄いものが未発表のまま終わっていたかもしれないことを考えるとぞっとします!
アメリカらしいプログレ・ハード、メロディアス・ハードと イギリスらしい翳りのあるシンフォ、王道ポップス(ビートルズ、クイーン...)が 絶妙なバランスでブレンドされたサウンドは スティクス、ユートピア、ニュー・イングランドのうまみを合体させたようでなんとも感動的です。
追伸:このレビュー書くためにいろいろと調べていたら、 BRAD LOVEの1stもひっそりとCD再発されていることが発覚。早速注文しまーす!

No.10
・READYSEXGO!/MARVELOUS 3(00)
既に解散してしまった実力派パワー・ポップ・バンドの代表作。
あまりにもキョーレツすぎるジャケットのおかげでちょっと引いてましたが、 ようやく聴いてみることにしました。
こりゃ参った!... これまで「パワー・ポップ」と呼ばれるバンド、アルバムを むさぼり聴いてきたつもりですが、 こんなにも「パワー・ポップ」という言葉が似合うアルバムがあったんですね〜。
良い曲がずらりと揃っていますが、アルバム最大の魅力は2曲のバラードに尽きるでしょう。 どちらもクイーンやモット・ザ・フープルを連想させる失神&失禁必至の超絶名曲なのですが、 普段は陽気にがんがん暴れまわっているからこそ、そのギャップにやられてしまいます。 (誰もが恐れる学校一の不良が雨の中で捨てネコを抱きかかえている姿を見て、 胸がキュンとなるような気分です!(←なんだよそれ))
このバラードをバンドでコピーしてみたいなあ... 真夏の野外とかで豪雨の中で演奏したらすんごい気持ちよさそう...

No.11
・ANGLING FEELINGS/KAIPA(07)
現在の北欧シンフォを象徴する重鎮バンド、カイパの復活後4作目。
ロイネ・ストルト脱退という大事件の後に発表された作品なので、 復活後の快進撃(全アルバムが傑作!)が止まってしまうのでは?... と大いに心配していましたが、全くそんなことはありませんでした。
むしろ誰もが「ロイネ脱退は正解」と認めざるを得ないような、 さらにステップアップした名盤に仕上がっています。
バンドの方向性がハンス・ルンディン色に統一されたせいか、 演奏がより一層ひきしまった感じがしますし、 これまで以上に、各メンバーの卓越した演奏力、表現力を 味わうことのできる楽曲が揃っていますし、 パトリックがリチュアルから連れてきたゲストの笛奏者の起用が 見事にはまっていますし、 新たなギタリストは派手さは無いものの ずっと前からバンドに在籍しているような感じで安定感があり、 時折ロイネには出せないような凄いプレイをみせてくれますし... 何から何までいいことずくめです!
ロイネがこれを聴いて奮起し、フラワーキングスでSTARDUST WE AREを超える 名盤を出すことを期待したいと思います。
追伸:2曲目はカイパ史上最高の名曲だと思います。(もちろん70年代含む)

No.12
・A LITTLE MORE HAVEN HAMILTON, PLEASE/JUNE & THE EXIT WOUNDS(00)
アメリカのインディーズ・ポップ史上に残る隠れた名盤。
日本国内でのリリース元である「フィルター・レコード」のカラーを象徴するような、 あまりにも美しくメロウなソフト・ロック〜ピュア・ポップが展開されています。 (同レーベルのポップ神、ライナス・オブ・ハリウッド、リヴィエラと比べても 全く遜色ありません!)
実際はトッド・フレッチャーというアーティストによるユニットなのですが、 トッドと名乗るだけあってか、トッド・ラングレンの影響を 強烈に感じさせる内容となっています。 (1曲目を聴いてI SAW THE LIGHTを思い浮かべ無い人はいないでしょう!)
アメリカのレーベル仲間(パラソル)のダグ・パウエルより も「トッド・ラングレンの後継者」という称号がふさわしいといえます。
トッドの他にはビーチ・ボーイズ、キャロル・キングあたりを感じました。 ビートルズをはじめとするブリティッシュ・ポップの フレーヴァーが一切無いのがとてもユニークです。
これだけの名盤を作っておきながら、 次作がずっと出てないのが残念でなりません。
近年ポップ畑で才能のあるバンド、アーティストって 単発で終わることがやたら多いですよね...こんな世の中変えなきゃ!

No.13
・ALL KIDDING ASIDE/BIG KID(06)
個人的に大プッシュしているジェリーフィッシュ・チルドレン系ポップ・バンドの2作目。
今回もものすごくポップ! またもやいたるところにミルクをこぼしまくっていますが、 こぼしたミルクの質も量も前回より大幅にアップしているのが嬉しいです。
確実にバンドが成長しており、デビュー作で感じられたプロダクションの甘さも大幅に改善されています。
SUGARBOMBやMERRYMAKERSやFUZZBUBBLEがここ数年目立った活動をしていないことを考えると、 今最もジェリーフィッシュに近い存在(←ほめすぎ?)だと思うのですが、 全く話題にならないのが不思議でなりません。
もしジェリーフィッシュ系のサウンドがお好きなら、 どうか一度試聴してみてください。(CDBABYで聴けます。)
そうそう、BIGの付いてるバンドは名前負けすることが多い (BIG STAR、BIG MONEY、MR.BIG(古いほう)...)のでちょっと心配です。

No.14
・GRAMOPHONE LOGIC/JACKDAW4(04)
元ワイルドハーツのメンバーを中心に結成された イギリスのインディーズ系ポップ・バンドのデビュー盤。
意表をつくコード進行が耳に残る1曲目、 美しいコーラス(ビーチ・ボーイズというよりゾンビーズっぽい)が 胸を打つ2曲目...初っ端から超名曲レベルの楽曲が2曲続く時点で 意識が遠のくほど感動してしまいました。 (この2曲で元をとるどころかおつりがたくさんきちゃいます)
一聴するとジェリーフィッシュ・フォロワーのようでもありますが、 緻密なアレンジ、湿り気のあるメロディ、知性的なアイデア、どこかヒネリのある曲展開... といった伝統的なブリティッシュ・ポップの魂を継承しているところが、 彼らの最大の魅力といえるでしょう。 (ブリティッシュ・ポップ・マニアにはたまらないはずです!)
あのワイルドハーツ(実はあまりまともに聴いて無い...)に こんなに才能のある人がいたなんて驚きです。
2ndはさらにクオリティがアップしているそうですが、 本作が良すぎるのでちょっと想像つかないです。 一体どんなことになってるんだか...

No.15
・REVOLUTIONS/MAGENTA(01)
美声の女性ヴォーカリストを擁する イギリスのメロディアス・シンフォ・バンドのデビュー盤。
デビューからいきなり2枚組、しかも全て大作... 近年、歳のせいか耐久力が無くなり長い曲を聴けなくなっているので、 いつもならこの手のアルバムを敬遠するところですが、彼らの作品は例外です。
どこから聴いても、メロディはポップだし、メインはあくまで歌だし、 プログレ特有の押し付けがましい展開は無いし、 シンフォ・アレンジは自然で上品だし... 冗長さは微塵も感じられません。 デビュー盤ながら大名盤2ndにつながる感動的な傑作となっています。
イエス、ジェネシスなど偉大な先輩達を手本として独自性を打ち出し 高品質の作品を発表しつづけている点では、スポビやフラキンと共通していますが、 このバンドはさらに、ルネッサンスやマイク・オールドフィールドあたりにも 影響を受けているところがポイントといえるでしょう。
唯一の欠点はジャケットですね〜。(他の作品も...ですね。)
DISK 2の1曲目は激しくポップでびっくり...リヴィエラかと思いました! できればこの路線でもアルバムを作って欲しいなあ。

No.16
・CONCERTO GROSSO - THE SEVEN SEASONS/NEW TROLLS(07)
イタリアの大ベテラン・バンドが残した70年代に残した 2枚の名盤「コンチェルト・グロッソ」シリーズの続編となる作品。
涙が止まらなかった日本公演の感動が蘇ってきます。
CG1の繊細な叙情性、CG2のきらびやかな力強さ...その両面を兼ね備えた ドラマティックな楽曲の連続に感動しっ放しです。 聴いている途中で何度も涙が出そうになるので、人前で聴けなかったりします!
CG3(←アルバム表記は違いますがこう書いて良いでしょう)は CG1とCG2の続編でありながら、CG1+CG2=CG3でもあったわけですね... バカロフ抜きでも全然問題無しです。
それにしてもデビューから40年近く経ってるのに、 いまだにこんな名盤を作れちゃうなんて... PFMもイ・プーも良いですが、 イタリア最強バンドは、ニュー・トロルス以外にあり得ないでしょう。
続編って期待して良いのかなぁ?(←気が早過ぎ)

No.17
・RISE OF THE TYRANT/ARCH ENEMY(07)
北欧メロデスを象徴するモンスター・バンドの7作目。
ここのところアルバムを出すたびにパワーダウンしており、 バンド本体のみならずメロデス界にも閉塞感が漂っていましたが、 なんと本作では完全復活... あの1st〜3rdの頃の何者も寄せ付けないような勢いが蘇っています。 (ドモホルンリンクルもびっくりです!)
前評判で「完全復活」と言われても、 大体は3%ぐらいしか上向いていないものなんですが、このアルバムは違いました。
メンバーがどれだけ強固な結束力でまとまったとしても、 血のつながった兄弟がきっちりと同じ方向を向いたら かなわないってことなんでしょうね。 アモット兄弟がどこぞのどすこい電波兄弟!みたいじゃなくて 本当に良かったです。
本作が第二次黄金期のはじまりとなることを大いに期待したいです。

No.18
・MELLY/SAME(99)
インドネシアを代表する天才女性メロディメーカーによるデビュー・ソロ。
元祖インドネシアのカーディガンズ!POTRETでの活動はもちろん、 多くのインドネシアのアーティストへの楽曲提供で、 何度も彼女の才能の凄さに驚いてきましたが、 この傑作ソロで改めて彼女の天才ぶりを再認識することが出来ました。
本作がインドネシアのポップスシーンに与えた影響ははかり知れないでしょう。 彼女の存在を日本で喩えるなら「松任谷由実」でしょうか? (旦那がサポートしてますし、ルックス...(略))
1曲目のクイーン風ギターは、DEWAのANDRAが弾いてるとしか思えません。 実際はどうなんでしょう?(単にインドネシア人がクイーン好きなだけ?)
良い曲ばかりが揃っていますが、特にアリ・ラッソとのデュエット曲は鳥肌ものです。

No.19
・DAVID DUNDAS/SAME(77)
ポップ・マニアの間で大名盤として崇められている、 知る人ぞ知る男性アーティストのデビュー・ソロ作。
70年代に活躍した多くのポップ・バンド〜アーティストとは、さほどつながりのない、 単発的な存在にもかかわらず、何故か出てくる音は、70年代ピュアポップのてんこもり! パイロット、バッドフィンガー、クリス・レインボウ、スーパートランプ、 クイーン、ルパート・ホームズ...といったあたりのエッセンスを 1枚に押し込めたようなとても贅沢な作品となっています。
ただ、ここまで完璧に作りこまれていると、あまりに耳どおりが良すぎて、 デヴィッド・ダンダス自身の個性が見えにくいのがちょっと残念ではあります。
とはいうものの、ここまでクオリティの高いポップ作品はそう簡単に見つかるものではありません。 前述したような70年代ポップスのファンなら、絶対に聴いておくべき名盤だと断言します。

No.20
・RADIOSTAR/SAME(06)
インドネシアの新人ポップ・ロック・バンドの作品。
世界一のメロディ産出国!インドネシアのメロウなポップスを ロック・バンドで表現してみました的な内容になっています。
プロダクションの詰めが甘く、歌も演奏も特にうまいわけではないのですが、 耳にこびりつくメロディの良さにはやはり惹きつけられるものがあります。
どことなく一昔前の日本のインディーズ・バンドっぽいアレンジも インドネシアのメロディと絡むとみずみずしくて新鮮に聴こえます。
今後も応援していきたいので、メンバー間で女性ボーカリストを奪い合って 自滅しないことを祈りたいです!(笑)

No.21
・PHIL SEYMOUR/SAME(80)
スタンピードで有名!なオクラホマのパワー・ポップ・アーティストによるデビュー・ソロ作。
ギターメインのシンプルでわかりやすい楽曲を、 さわやかに歯切れ良く歌い上げており、聴いていてとてもすがすがしい気分に浸れます。
またしっかりとロックン・ロール魂が根本にあるのがいかにもアメリカらしいです。 チープ・トリックやビッグ・スターあたりが好きなら間違いなく愛聴盤になると思います。
残念ながら1993年に他界していますが、この傑作アルバムはこれからも多くのポップス・ファンに 聴かれ続けていくことでしょう。
ただジャケットだけはなんとも...(^^;)... この時代はこういう絵がクールだったんですよね〜。

No.22
・IS IT?/TELIOF(08)
イスラエルの新人プログレ・バンドによる場外ホームラン級のデビュー作。
古くはSHESHET、ZINGALEから最近ではROCKFOUR、TRESPASSまで... これまで突発的にとんでもないプログレ名盤を輩出してきたイスラエルが 2008年にまたまたやってくれました!
70年代プログレ黄金期を創造した偉大なバンド、 アーティストへの深い愛情が感じられる作風であり、 せわしない曲展開と強引な畳み掛けで 聴き手をぐいぐいと自分達の世界に引っ張り込んでいきます。
マニアックでありながらも視野が広いサウンドからは、 音こそ違いますが初期のスポビに通じるものを感じました。
個人的には、マイク・オールドフィールドがクドいシンフォをやってる (←現実には絶対にありえない!)ようなギターがツボにはまりました。
楽曲も演奏もとにかく良く練られてます... シンフォ好きなら必ず押さえておきましょう。

No.23
・THE SHREDDING TEARS/BRYAN SCARY(06)
気が狂ったLINUS OF HOLLYWOOD?、1人APOLLO SUNSHINE?、プログレ化したMIKA?... 現在のポップス・シーンに、とんでもない才能を持ったアーティストが 殴りこんできました。
純粋でキラキラとした美しいメロディがめちゃくちゃに散りばめられ、 奇妙で摩訶不思議な音世界が無限に広がっていきます。 (無数の万華鏡をぶっ壊したような感じ?)
特に壊れっぷりは見事で、全く展開を先読みできません... 天才というよりは鬼才という言葉が似合う人だと思います。
気に入る気に入らないはさておき、 耳の肥えたポップス・ファンでも絶対に驚くでしょう。
頭の中にいっぱい音符が詰まってるんだろうなあ...

No.24
・INITIATION/TODD RUNDGREN(75)
トッド・ラングレンが絶頂期に作り出した名盤群のうちの1枚。
久々にタイトル曲が聴きたいと思っていたところに、 新品1000円で落ちているのを見かけて拾ってきました。
メロウな1曲目、弾けまくってる3曲目、旧B面の神秘的なシンセ・ワールド... どの曲も素晴らしいのですが、なんと言ってもこのアルバムの最大の魅力は 超絶で爆裂な名曲であるタイトル曲INITIATIONに尽きます。
その昔、LPやカセットで死ぬほどリピートしたにも関わらず、 今聴いても全然新鮮です...やっぱり名曲中の名曲は違う!
私の中では、マハビシュヌ・オーケストラやマグマの名曲とは タイプが違うものの同レベル=最高クラスの高揚感を味わうことが出来る 数少ない楽曲のうちの一つです。
ただ、この曲を聴くたびに、体中の血がぐんぐん流れて、脳がギュンギュンし、 頭の中が真っ白になるので、年取って心臓悪くしたら聴くの止めなきゃかもですね(笑)

No.25
・REAL RADIO/THE BREAKFAST(05)
超絶メンバーが集結した強力なジャム・バンドの作品。
数年前ジャム・バンドが盛り上がり 面白い連中がどんどん出てきた時期がありましたが、 そのブームはエモ〜スクリーモ〜ポスト・ハードコア系に移行し、 終焉をむかえたものと思っていました。 (UMPHREY'S MCGEEも大人しくなってしまったし...)
しかし、まだまだ凄いバンドがいたんですね! 驚異的なテクニックを持ったメンバー達が嫌というほど弾きまくり、 せわしなく楽曲が展開していきます... アルバムの最初から最後まで常に緊張感があり、捨て曲も中だるみもありません。
まるでプログレファンために結成されたようなバンドです。 (そもそも「PSYCHEDELIC BREAKFAST」と名乗っていたことを考えると、 プログレ好きなメンバーが揃ってるんでしょうね。 (フロイド色は無いですけど...))
ギターもベースもドラムもオルガンもとにかくキレ味が鋭いので、 聴いていてとても心地良いです。
超絶ものが好きなプログレファン、 中でもディキシー・ドレッグスとジェントル・ジャイアントの両方を 聴ける人あたりに強くオススメしたいと思います。

No.26
・MANIPULATOR/THE FALL OF TROY(07)
1st、2ndがあまりにも衝撃的だった、アメリカのモンスター・トリオの3rd。
一聴した感じでは、70年代王道ロック、流行りのギター・ポップ... とこれまでに無かったメジャーなスタイルを取り入れるなど 随分聴きやすくなった感じを受けました。
しかしキャッチーになっていながらも、 危なさ、鋭さ、キレ具合は以前と全く変わっていないのが凄い! (普通なら聴きやすい→丸くなっちゃいますよね...) やっぱりこのバンドは他のプログレコア系と一味も二味も違います。
相変わらずメチャクチャに壊れていながらも きちんと整合性がとれているのがなんとも不思議です。
彼らの作品は、マーズ・ヴォルタと同様、頭の中のやばいスイッチを ピコピコ押してくれるので、聴き終わった後に後遺症が残る (=しばらく他のアルバムが聴けなくなる) んですよね〜...なのであまりリピートしないように心掛けています!

No.27
・ROOM V/SHADOW GALLERY(05)
マイペースに活動を続けて、忘れた頃に新作を発表する、 アメリカのベテラン・プログレ・メタル・バンドの5th。
今回もジャケが地味ですし、全く話題にならなかったので、 期待していませんでした(ずっと未聴タワーに積んでました)が、 予想を覆す渾身の力作に仕上がっていました。
最も顕著なのが叙情的な歌パートのクオリティの高さです。 メロディの良さが際立っており、パフォーマンスも表情豊かで感動的です。 昔は超絶インストパートに比べ歌パートは貧弱で印象に残りませんでした (実際MDで超絶インストパートのみをループ再生したりしてました(^^;))が、 本作では歌パートとインストパートががっぷり四つに組んだ感じです。
よくぞここまで成長してくれました。 彼らの最高傑作といって良いでしょう。
ドリーム・シアターの二番煎じ的な表現をする人はもういないと思いますが、 もしいたらこのアルバムを黙って3回聴け!と言いたいです。
新作を聴くのが楽しみになりました。 (といいながら次の作品が出るまで聴くの忘れてそう!(笑))

No.28
・SHANGRI-LA/BROTHER APE(06)
無限の可能性を感じさせたデビュー盤が記憶に新しい、 スウェーデンの新世代シンフォ・バンドの2nd。
前作よりジャズ・ロック色が強化され、 ソリッドかつシャープな演奏に一層磨きがかかっています。 彼らの持ち味の一つであるクールな独特のコード進行も健在です。
彼らにしか出せないバンド・サウンドを確立し、 着実にレベルアップした傑作といえるでしょう。
ただこのレベルアップの裏で、メロディの分かりやすさがやや欠落してしまったのが、 個人的には残念です。 (バンドがレベルアップすれば万人が楽しめる... というふうに単純にいかないのが音楽の奥深いところですね。)
とはいうもののこの類まれなる感性には相変わらずゾクゾクさせられるので、 今後もチェックし続けていくべき要注目バンドであることに変わりありません。

No.29
・DIAMOND MISTRESS/MADISON(84)
北欧を代表するスーパー・ヴォーカリスト、ヨラン・エドマンが在籍していた 伝説の北欧メタル・バンドのデビュー盤。
1st、2ndともに廃盤で入手困難だと思っていたところ 古い国内盤(約3000円)が新品で落ちているのを発見(デッドストック?)したので、 高いと思いつつも慌てて購入... そしたらすぐに廉価版(1500円)が出てるじゃないですか... なんだか騙された感じがします。(「マジ損」したッス!...orz)
そんなことはさておき、内容は文句無しに素晴らしいです。 80年代のキラキラでクサクサな北欧メタルの理想像ともいえる内容です。
ヨラン・エドマンの透き通った北欧声はもちろんのこと、 泣いてハモって、ハモって泣いて...といった感じのツイン・ギターがたまりません。 ウィッシュボーン・アッシュ、シン・リジィ、ハロウィン、アイアン・メイデン、カコフォニー... といった名バンドに負けない絶妙のコンビネーションを見せてくれます。 それぞれ1人だけだとあまり目立たないんですけど、2人あわせると凄いのなんの... ツイン・ギター・バンドの教科書的な作品とも言えますね。 結果的に3000円でも大満足です!

No.30
・13集:四春期+LIVE/LEE SUN HEE(05)
韓国の大ベテラン女性歌手によるスタジオ盤+ライブ盤のカップリング。
スタジオ盤の1〜3曲目まで再生後、あまりの素晴らしさに停止ボタンを押し、 しばらく放心状態となってしまいました。 (特に韓国のお家芸とも言える昼ドラ系シンフォの3曲目は強烈!)
とても最初の3曲を同一人物が歌っているとは思えません。 どんなタイプの曲であっても、その楽曲にあわせた完璧な歌唱を披露し、 圧倒的な表現力で孤高の世界を作り出しています。これぞプロ中のプロ!... この稀有な才能は韓国国宝クラスといって良いでしょう。 (スージー・カンとかリナ・パクとか聞いてる場合じゃない??)
ライブはプチ演歌っぽい曲も多いですが、やはり歌がうまいのですんなり聴けちゃいます。 そして一曲一曲をとても大切に歌っているのがわかり好感が持てます。
彼女がどんな人物なのか調べてみたらソウル市議にもなってるんですね... 最初写真を見たときに「なんか○○党にいそうな感じのルックスだなぁ...」と 思ったのではまり過ぎて笑っちゃいました!


その他

・TEMPLE OF SHADOWS/ANGRA(04)
バンド存亡の危機を見事に乗り越えた前作が素晴らしかった、 ブラジルのメタル・バンド、アングラの復帰2作目。
新生アングラの真価を問われる作品といえますが、 ブラジルの巨匠ミルトン・ナシメントが参加していることもあってか、 気合が入りまくった力作に仕上がっています! (参加させたアングラも参加したミルトン・ナシメントもどちらも偉過ぎ!)
これまで彼らが築き上げてきた多様なスタイルを スケールアップさせているだけでも驚きですが、 さらに新たな音楽性を貪欲に模索し、 全てのチャレンジに成功しているのですからたまりません。 守りの姿勢を貫き続けて衰退したり、突然無謀な攻めに出て失敗したりする メタル・バンドがやたら多い中、これは本当に凄いことだと思います!
新たな一歩を踏み出した前作も見事でしたが、 本作で彼らは一歩どころか、何十歩も先に進んでいます。 (「プログレ・メタル」とはそもそもこういう音楽にこそふさわしい言葉だと思います。)
これでようやく彼らが偉大なデビュー盤およびアンドレ・マトスの呪縛から逃れ、 真の意味でリバース(REBIRTH)できたといえるでしょう。
多くのアングラ・フォロワーと一気に差が開いちゃいましたね〜。

・OUT OF MYSELF/RIVERSIDE(04)
とても新人とは思えない深遠な音楽性で、 多くのプログレ・ファン、メタル・ファンをうならせた、 ポーランドの超大型新人バンドの記念すべきデビュー作。
PINK FLOYD、MIKE OLDFIELDといったスケールの大きいシンフォの要素と OPETH、PAIN OF SALVATIONといったダークなプログレ・メタルの要素を ミックスして作り出されたサウンドは絶品!... これまでありそうで無かった「奇跡の組み合わせ」といえます。
(同国ポーランドのAMAROKが、PINK FLOYD+MIKE OLDFIELDな音楽性で傑作を作り上げたことを考えると、 この独特なサウンドはポーランドだから作り出せたものなのかも...)
旧共産圏ならではの陰鬱とした重苦しいシンセの壁もサウンドに見事にマッチしていて、 聴けば聴くほどずぶずぶとはまって抜け出せなくなってしまいます。
ただし朝、通勤時に聴くと会社に行きたくなくなるので、 絶対に聴かないように注意しています!(←これって私だけでしょうか?)

・LIVE 1990/CURVED AIR(05)
数多くの名プレイヤーが在籍した、 偉大なヴァイオリン入りプログレ・バンドの再結成ライブ音源。 (一体何度目の復活でしょうか?ミスター珍もびっくりです!)
100円ショップに並んでそうな安っぽいジャケットのせいで、 ずっと買う気が起きませんでしたが、新品500円で落ちていたので妥協して拾ってきました(笑)
アースバウンドを直射日光にさらしたBONテープにダビングしたような ダメダメなオープニングには即刻停止ボタンを押したくなりますが、 2曲目から改善されるので我慢しましょう。 ライブになると人格が変わって凶暴化するソーニャ姉さん、 偏屈な音色とフレーズが耳に残るフランシス・モンクマン、 艶やかで美しい音色を奏でるダリル・ウェイ... みんな基本的に何も変わっていません。
長いブランクに加え、各人のゴーイング・マイウェイな性格も災いして、 パフォーマンスにまとまりがなくあまりおすすめできる内容ではありません。 ただ、私のように、かって彼らの音楽に魅了されたファンにとっては、 役者が揃って数々の名曲を演奏しているだけでそこそこ満足できる一品だと思います。 (なんたって名曲が多いですから...)
ついこないだ再結成した音源だと思っていたらもう18年も前ですか... 最近景気が悪いのでそろそろまた再結成するかもしれませんね! そのときはエディ・ジョブソンやスチュワート・コープランドも呼んで欲しいなあ。 実現したらすごい盛り上がるでしょうね。(乱闘で盛り上がったりして!(笑))

・飛行部落/F.I.R.(飛兒樂團)(06)
これまでにリリースした2枚のアルバムがいずれも大ヒットした 台湾のスーパー・ポップ・バンドの3作目。
1作目、2作目のどちらも豊富なアイデアが凝縮され、 バンドの並々ならぬ勢いが詰め込まれた傑作だっただけに、 そろそろ失速するのでは...といった不安が再生前によぎりましたが無問題!
今回もユニークな仕掛けが当たり前のように飛び出してきて、 これまで知ることの無かった彼らの新たな魅力を感じることが出来ます。
台湾一の美声を誇るフェイのヴォーカルはますます磨きがかかっており、 躍動感あふれるサウンドとあいまって、 まさに青空を「飛行」しているかのような爽快な気分に浸ることが出来ます。 (もちろん4曲目のようなバラードでは思いきり泣かせてくれます!)
まだまだ彼らの勢いは止まりそうに無いですね。

・FOLLOWING DREAMS/PHANTOM'S OPERA(98)
アメリカの中堅メロディアス・ハード・バンドの3rd。
今から10年位前、「シンフォニーX命!」だった頃、 マイケル・ロメオが参加している彼らの2ndを聴いて相当がっかりした印象が強く、 それ以来彼らの作品を耳にすることはありませんでしたが、 3rdが彼らの最高傑作であり、ヴァレンタイン好きなら一聴の価値があると知り、 気になって入手してみました。
うおぉぉ...1曲目のタイトルが「あいとゆめのせかい」... もうこの時点で日本大好きヴァレンタインそのものじゃないですか!...
そして繰り広げられるサウンドはまさに「あいとゆめのせかい」そのもの... ヴァレンタインの最高傑作であるロビー名義のデビュー盤を髣髴とさせる、 クイーン影響下のドラマティックでポップなハード・ロック作となっています。
またアメリカのバンドでありながらアメリカらしさが薄く、 日本人の琴線にふれる叙情的なメロディにあふれ、キーボードがシンフォニックで、 ヴァーカルがあおくさいことから、ニュー・イングランドとかスティクスにも近いものを感じました。 (最近のバンドだとA.C.Tあたりにも通じるように思います。)
思わず「日本人が聴かなくて誰が聞くんだ?」...といいたくなるような、 メロディアス・ハード好きなら聴いて損は無い傑作です。

・SCARSICK/PAIN OF SALVATION(07)
孤高の天才ダニエル・ギルデンロウ率いるスウェーデンのプログレ・メタル・バンドPOSの2007年新作。
彼らには大きく分けて「どんなジャンルも取り込んでしまう多彩な音楽性と絶妙なミクスチャー感覚」、 「激しい痛みと苦しみが伝わってくる繊細な精神性と圧倒的な表現力」 といった2つの魅力があると思っています。 デビュー以降後者の割合がどんどん高くなっていたので、ここのところ聴くのがつらくて敬遠気味でしたが、 ひさびさに前者に焦点をあてた内容となっていたので、本作は気軽に楽しめました。
ここ数作でファンになった人はこの急激な変化に戸惑うかもしれませんが、 プログレメタル界にどでかい風穴をあけたデビュー盤こそ彼らの最高傑作だと 思っている私のようなファンにとっては嬉しい「原点回帰」だと思います。
ラップにカントリーにディスコにエモ...いろいろとやってくれてますが 全て「POS」の烙印がしっかり押されてるのですこぶる格好良いです。
できればこのまま原点回帰路線を突き進んで欲しいなあ。

・PROVIDING THE ATMOSPHERE/CLOUDBERRY JAM(96)
カーディガンズの対抗馬として一時期大いに人気を博した スウェーデンのポップ・バンドの最高傑作。
1stはリアルタイムでめちゃくちゃリピートしましたが、 それ以降聴いてなかったので今更ですが入手しました。
カーディガンズとの大きな違いは女性ヴォーカリストの個性でしょう。 カーディガンズは歌声がキュートなのに対し、 クラウドベリー・ジャムはクールで格好良い (ルックスがとてもキュートなので、低音を響かせる大人っぽい歌唱はちょっと意外!)のが特徴といえます。 (そんなこともあってカーディガンズとクラウドベリー・ジャムの関係って、 ビートルズとストーンズの関係に似てるなぁ〜って思ってます。)
サウンドはこの頃の「渋谷系」の「アトモスフィア」を真空パックしたかのようです。 ジャズ、ヒップホップ、ボサノヴァ...を取り入れたオシャレな内容で、 当時のピチカート・ファイブやオリジナル・ラヴあたりを思い出しました。 (日本人アーティストよりも日本人的な渋谷系サウンドになってるのがなにげに凄い!)
ブームは去っても、名作は特別な輝きを放っています。

・STAR CITY BABY/THE LACKLOVES(02)
バンド名や音楽性からTHE LOVELESSといつも混同してしまう アメリカのギター・ポップ・バンドの作品。
初期ビートルズに代表されるような60年代のブリティッシュ・ポップが 好きで好きでたまらない!...といった感じが アルバム全体に漂っています。
ただ、聴きやすいことは確かなのですが、やや単調で印象に残りづらいのが勿体無いです。 マイナー系の曲やバラードを入れてくれたらもっと面白くなったはずです。
とはいえ「ビートルズは赤盤に限る!」なんて人なら 絶対に気に入る作品だと思います。

・GOOD APOLLO I'M BURNING STAR IV, VOLUME ONE/COHEED AND CAMBRIA(05)
アメリカのプログレ・メタル〜コア・バンドの作品。
ラッシュに似ているという評判をやたらに耳にしていたのですが、 私にはさほどピンときませんでした。
確かに、世界観、音の組み立て、ヴォーカルの声質などラッシュと似ている点は多いのですが、 強く印象に残った3曲目(←もろにカシミール)やラスト曲のおかげで、 ラッシュというよりもツェッペリンのイメージが焼き付いちゃいました。 (アルバムにローマ数字「IV」使ってるのもそれっぽいですよね。)
まあラッシュももともとツェッペリンのフォロワーみたいなもんですけど...(笑)
出だしやラストに比べて中盤がややダレ気味なのが気になりましたが、 今後大いに発展する可能性が感じられるので、 必ず改善されていくことでしょう。
ここのことろユニークなボーダレス系バンドがどんどん出てきているので、 なかなか追いきれないです。

・CLARA ROCKMORE'S LOST THEREMIN ALBUM/CLARA ROCKMORE(06)
テルミンの女王と呼ばれる名テルミニストが1975年に録音した貴重な音源集。
「大人の科学」でテルミンが話題になっていることを知り、 急にテルミンものを聴いてみたくなり、いろいろと探して回っているうちに、 このアルバムに行き着きました。 この「何かの儀式」のような怪しさ満載のジャケを見てしまったら買わないわけにはいきません!
電子楽器といいながらも低音はチェロやヴァイオリン、 高音は女性ソプラノを古い蓄音機で聴いているよう...なんとも温かみのある人間くさい音を奏でています。 ツェッペリンやビーチ・ボーイズの印象しかありませんでしたが、 こういう音が出るんですね〜。
またポール・コゾフも真っ青の強烈なヴィブラートがたまりません。 聴いているだけで普段出ないような脳波が出ている気がします!
彼女は、ギターならジミ・ヘン、オルガンならジミー・スミスのような その楽器を操らせたら誰も到達できない神のような存在といえるでしょうね。
テルミンのよさを引き出す選曲、ピアノ伴奏も見事です。
気になる方はまずYOUTUBEにアップされている映像をチェックしてみてください。

・DE-LOUSED IN THE COMATORIUM/THE MARS VOLTA(03)
21世紀の精神異常バンド!、マーズ・ヴォルタのデビュー盤。
新作ゴリアテ〜がとにかく凄いとの評判を聞き、 ゴリアテ〜の後ではデビュー盤を聴けなくなる可能性があるので、 未聴CDタワーから引っ張り出して再生してみました。
いやはやこりゃ凄い...やっぱり怪物は生まれながらにして怪物ですね... 脳髄にビリビリきます。
彼らはデビュー時からクリムゾンとツェッペリンの影響下にあったんですね。 私が10代の多感な時期にこの2大バンドを聴きまくっていたせいもあるんでしょうけど、 彼らのサウンドを聴くとどうしてもこの2大バンドを思い浮かべてしまいます。
もし10代でいきなりマース・ヴォルタに出会っていたら、 きっと感じ方も違ったんでしょうね。 数時間だけ脳内の一部の記憶をリセットできる仕組みがあれば面白いのになあ〜。

・MEMORIES OF THE NEVER HAPPENED/ROCKFOUR(07)
名盤SUPERMARKETを耳にしてからずっと応援しつづけているお気に入りバンド、 イスラエルのROCKFOURの2007年新作。
SUPERMARKETからアルバムを出すたびに失速し、 ずっと右肩下がりだったクオリティがようやく反転しています。
泣きや叙情性といった部分は全盛時に比べるとまだまだ弱いですが、 60年代後半のロックだけが持っていた、 あのヒリヒリするようなヤバヤバ感が見事に復活していて めちゃくちゃ格好良いです。 (このあたりの独特な空気はそう簡単に出せるものじゃないですよね... 演奏テクニックのように練習すればなんとかなるもんじゃないし... やっぱりこのバンドは只者じゃないです。)
このまま一気にV字回復して欲しいものです。(日経平均も同様!)

・GLACIAL INFERNO/REVENGE/VITALIJ KUPRIJ(07)
ウクライナの超絶様式美系鍵盤奏者による5thソロ作+バンド作のお得なカップリング盤。
どちらの作品もこれまでと基本的にやってることは変わりません。 演奏の凄さもクオリティの高さも安定しています。
ソロ作とバンド作の違いはヴォーカル入りかどうか... ぐらいなのですが、聴き比べた結果やはりこの人はソロ向きだと確信しました。
バンド作品では、豪華なヴォーカリスト陣を迎えていますが、 出来上がったものに安直に歌をかぶせたような感じがして今ひとつ感情移入できない曲があったりします。 また、ヴォーカル、ギター、キーボードで主役を奪い合っているように感じられる場面があり、 ちょっと焦点がぼやけ気味だったりします。
それに比べるとソロのほうが主役がはっきりしているので、 彼の持ち味がフルに発揮されるように思えます。
今後もおそらく路線を変えることは無いでしょうが、 この手の音楽は周期的に聴きたくなるので、 今後も押さえつづけることになると思います。

・OS SAMBEATLES/SAME(66)
BEATALLICA、LAIBACH、BOZO ALLEGRO、STEVE HULSE... これまでいろんなビートルズのカヴァーものを聴いてきましたが 本作はブラジルの天才ジャズ・ピアニストによるカヴァー・アルバムです。
ジャズ・ピアノ演奏というとSTEVE HULSEを連想しますが、 静寂なSTEVE HULSEと違ってこちらは南米らしい躍動感あふれる演奏が痛快! ...おまけにサンバ〜ボサノヴァのフレーヴァーがなんともおしゃれです。
日曜の午後になじみの喫茶店で上等のコーヒーを飲みながらLPで聴いてみたい、 あるいは、ブルーノートで年代もののウイスキー飲みながら生演奏を見てみたいです〜。 (←コーヒーもウイスキーも飲めないくせに!)
日本語だと呼び名が「おっさんビートルズ」... となってしまうのがちょっと萎えます。

・WONDERLAND/FORGIVE DURDEN(06)
個性的なバンドを多く輩出しているシアトルから登場した新人ロック・バンドによるデビュー作。
いかにも最近のアメリカらしいメロディアスなエモ系バンドかと思いきや何かが変です!
妙な間の取り方、通常の楽器編成を飛び越えた演奏、不意をつく曲展開... 無茶なたとえですが、まるで「マイケミがGGに影響を受けた」ような マニアックで通好みのサウンドとなっていてかなり面白いです。
後で知ったのですが、なにやら彼らは 「凄いライブをやるバンド」として有名なのだそうです... こりゃ私の表現もあながち間違ってないってことですね!

・IN FOCUS/ALIAS EYE(07)
イギリス+ドイツ混合のメロディアスなプログレ・バンドによる2007年新作。
なかなかの傑作だった前作と比べると、 音がモダン化かつヘヴィ化していてちょっと面食らいました。
賛否両論あると思いますが、これは失敗じゃないかなぁ... このバンドが持っているユニークな個性が埋もれてしまう気がします。
ただ従来路線の楽曲については存分に楽しめます。 アコーディオン、エレピ、オルガン...楽器に相当なこだわりを持つ キーボーディストをはじめクセの強いメンバーによるマニアックな演奏に、 あの美しすぎるベガーズ・オペラ声が混じると、 どのバンドとも異なる彼ら独特の音世界がくっきり浮かび上がります。
それにしても歌声を聴いただけでバンドがすぐにわかってしまう のは強力な武器ですよね。 (最近こういう個性的なヴォーカリストって減りましたよね...)
いつの日かベガーズ・オペラの カバー(特に超名盤WATERS OF CHANGE希望)をやってくれないかな。

・LOVE THEIR COUNTRY/ME FIRST AND THE GIMME GIMMES(06)
おなじみメロコア界のスーパースター達によるカヴァー・バンドの作品。
今回のお題は「カントリー&ウエスタン」ということで、 もしかしたらはまれないかな?... なんて思いましたが、題材がどうあれ彼らには一切関係無いですね。 本作も、短い演奏時間にメロコアの素晴らしさが目一杯押し込められています。
今回意外だったのはアイリッシュな7曲目(FLOGGING MOLLYを思い出しました) ...こんなことも出来るんですね〜。
ビジュアル的にメタボな人もいたりしてちょっとやばそうなんですが、 音は若い頃と全く変わってないのが凄いです。
彼らがこの青春爆発サウンドをいつまで持続できるかわかりませんが、 このアルバムを聴けば聴くほど、 メンバーが死ぬまで続くような気がしてなりません!

・FORTRESS/PROTEST THE HERO(08)
テクニカルかつマニアックなバンドを多く生み出してきたカナダから出現した、 究極進化形とでも言うべきモンスター・バンドの作品。
エモ、スクリーモ、メタル、プログレ...いろんなジャンルを あちらこちらと凄い勢いで行ったり来たりしているので 途中で何を聴いているのか良くわからなくなって最高です!
ここ数年、エモ、スクリーモを発展させたこの手のバンドが、 ちらほら出てきていますが、メタルの中に「スラッシュ」が含まれているのが、 このバンドの最大の特徴だと思います。 (おかげでウォッチタワーをリアルタイムで聴いた時のことを思い出しちゃいました。)
超絶&変態マニアなら即買しておきましょう。
意味不明なジャケですがマストドンとかぶってる(音楽性も?)と 思うのは私だけでしょうか?

・PRIMAVERA/CATERINA CASELLI(74)
イタリアン・シンフォの歌もの系代表作として、 イ・プーの一連の作品と並び称される女性ボーカリスト、カテリーナ・カセッリの名盤。
聴いていると壮大な愛にふんわりと包み込まれるような感覚に陥ります。
これまで数多くのイタリアものを聴いてきましたが、 イタリアものの最大の魅力は「愛にあふれた歌心」に尽きるということを再認識しました。 絶対にイタリアからしか出てこない音が詰まっています。
プログレ名盤紹介にも掲載します。

・MIRROR/BLIND EGO(07)
ドイツのシンフォ・バンドRPWLのギタリストが中心となり、 KINOやFROSTと同様に現シンフォ界のキーマンが集結して作り上げた 新プロジェクトの作品。
現代風のメロディアスなロックを基本に、 70年代シンフォのエッセンスを加えたサウンドはなかなか魅力的です。
ギルモアとハケットの影響下にありながら現代的なセンスも持ち合わせた ギタリストの表現力の豊かさには目を見張るものがあり、 4曲目の極めて音数の少ないギター・ソロには大いに感動させられました。 (音数が少なくても、心に残るものは残るんですよね。 ちょうど同じ時期にDRAGONFORCEを聴いていたので、なおさらそう感じました!)
シンフォ色はとにかく薄くあっさりとしていて聴きやすく、 一般の音楽ファンにも受ける要素が十分にあると思うのですが、 その分プログレおやじには見向きもされず、 若いファンには聴いてもらえるチャンスが無いのがとても勿体無いです。 (結局プログレ専門店でしか流通せず、そこを訪れるプログレおやじの目にはとまらず、 売れ残りセールで叩き売り(500円)... 安価なのは買い手としてはうれしいですが、やっぱりさみしいですね。)

・GOING PUBLIC/BRUCE JOHNSTON(77)
アメリカ、元ビーチ・ボーイズのソロ・アーティストによる作品。
まるで海辺でくつろぎながら、はしゃいでいる若者達を見て、 過去の自分をだぶらせて懐かしんでいるような感じがする のんびりゆったりした良質のアルバムです。
大人向けアレンジによるビーチ・ボーイズ時代の名曲の再演が とにかく素晴らしく、聴いているとついつい遠い目になってしまいます!
しかし、このアルバム最大の目玉は、ポップス史上に残るあまりにも偉大な名曲、 I WRITE THE SONGS(歌の贈りもの)の原曲が収録されていることでしょう。 おなじみバリー・マニロウのバージョンと比べ、アレンジがあまりにも素朴で、 歌声も貧弱でヒョロヒョロ(メロディが強力なのでなおさらそう感じるのかも...)なのですが そこが逆に味があって良かったりします。きっととても優しい人なんだろうなぁ...
若い頃に出会っていたらこの作品の良さはわからなかったことでしょう。

・ARRIVAL/JOE BERGAMINI(96)
HAPPY THE MAN〜4FRONTで活躍するアメリカの凄腕ドラマーによるソロ作。
ソロ名義ですが、実際には1st発表前の4FRONTのメンバーが参加しているので、 実質4FORNTのデビュー前音源として位置付けられる内容となっています。
4FRONTを聴くなら、まずは全員が超絶技で弾きまくる1st (テクニカル・フュージョン〜ハード・シンフォの名盤)が断然お薦めですが、 その次は、大人しくなり小さくまとまってしまった2ndよりも、 荒削りとはいえエネルギッシュな本作のほうが良いと思います。
以前にも感じたのですが、彼らの演奏って時々、 カシオペアがラッシュに影響を受けたように聴こえるんですよね〜。 キメで向谷氏の笑顔が脳裏に浮かび思わず苦笑してしまうことがあったりします!

・IN THIS LIFE/STAN BUSH(07)
アメリカの産業ロック〜メロディアス・ハード系ベテラン・アーティストによる2007年新作。
スタン・ブッシュという名前は以前から耳にしていたものの どこか中堅っぽいイメージがあって(ファンの方すみません) これまで聴いてきませんでしたが、 評判が良いので試しに聴いてみたら凄いことになっているじゃないですか!
80年代アメリカの産業ロックど真ん中... それも当時のベスト・ヒット・USAで全曲チャート・インしてそうな勢いです!
スタン・ブッシュ本人の才能は素晴らしいですが、 よき理解者に恵まれ、魅力を最大限に引き出す有能なサポート陣がいたからこそ これだけの傑作が出来上がったのでしょう。
そんじょそこらの若手や新人には絶対に出せない、 年季の入った味のある歌声はなんとも心地良く、聴いていると心が温まります。

・INHUMAN RAMPAGE/DRAGONFORCE(05)
スピードを極限まで追求し続けている 爆裂爆走クサクサ・メタル・バンドの3作目。
展開が複雑化している分、ややキャッチーさが減った気がしますが、 そんなことを軽く吹き飛ばす圧倒的なスピード感... バル・サゴスから引き抜いたドラマーの働きもあってか今回も速い速い!... ふと中学時代に愛用していたアイワのラジカセの倍速ダビング機能を 思い出しちゃいました。 (当時こんな速いバンドが出てくるなんて想像できなかったよなぁ...)
ただ、ここまで速さを極めてしまうと 「速さ」が足かせとなり、逆に自分の首を絞めてしまうのでは... と、彼らの今後がちょっぴり心配です。
#クラシカル・シンフォ路線を極め尽くしたあとのラプソディみたいに ならなければよいのですが...

・BREAKOUT/DEAD END KIDS(77)
BCRの前座を務めたこともある、本家公認?のBCRフォロワー系 アイドル・ポップ・バンドが残した唯一の作品。
BCR度の極めて高いキャッチーな曲が揃っているので、思わず顔がにやけてしまいます。 ただBCRと比較すると、アイドル・ポップで最も重要な、 キラキラした輝きがさほど感じられません。 残念ではありますが、このB級臭さが逆に愛らしかったりもします!
BCR〜アイドル・ポップ・ファンの必聴作といえますが、 時折パイロットっぽい展開(特にギター)があったりするので、 パイロットファンもしっかりと押さえておきましょう。

・NEW HORIZONS/HOBSON'S CHOICE(96)
アメリカのインディーズ系プログレ・バンドの作品。
メンバーはみなプログレが好きでたまらないのでしょう... プログレへのマニアックなこだわりが、 アルバムの随所ににじみ出ています。
キーボードがキース・エマーソン、ヴォーカルがグレッグ・レイクしているにも関わらず、 決してEL&Pにならないのがミソ!... 70年代B級ブリティッシュ風の暗ったいモコモコ感が漂っていたり 緻密に計算された楽曲構成と演奏がスタン...じゃなかった ハッピー・ザ・マンみたいになっていたりと、 プログレマニアの心をかなりくすぐってくれます。
今後曲づくりに幅が出てくればもっと面白い存在になるでしょう。 (まだバンドが存続してると良いのですが...)

・I AM/TOMAS BODIN(05)
現シンフォ界をリードし続ける名バンド、 フラワー・キングスのキーボーディストによるソロ。
とにかく1曲目の出来が抜きん出ています。 STARDUST WE AREの頃のフラキンを好きだった人にとっては、 最近のフラキンを聴くよりも断然しっくりくるでしょう。 ゾクゾクするような躍動感を味わうことができます。
最近の情報過多なフラキンに比べ、 ソロのおかげで情報量がほどよく整理されているせいか、 トマスの才能がとてもわかりやすい形で音に表れています。
ロイネ・ストルト絡みでは、カイパのハンス・ルンディン、 タンジェントのアンディ・ティルソンあたりが思い浮かびますが、 トマスもこの2人に決して負けない最高のキーボーディストであることを 再認識させられました。
トマスのきらびやかなキーボードはもちろんのこと、 互角に渡り合うギターがかなり格好よいです。(名前を知りませんでしたがかなりの実力者です。)
昔のフラキンの名作を引っ張り出してもう一度聴きなおしたくなりました。

・EPILOGUS/PANTA RHEI(97)
ハンガリーのシンフォ・バンドによる77年〜88年の作品集。
1曲目からいきなりクラシカル・シンフォ・ファンが泣いて喜びそうな 組曲ペールギュントが出てきます。
ナイス〜EL&P、エクセプション〜トレースのように、 クラシックをアレンジする試みは当時、世界中のあちこちで行われていましたが、 やはりハンガリーでも行われていたわけですね。
生の合唱(メロトロンに頼っていないのが二重マル!)を取り入れたドラマティックかつ スリリングな演奏は迫力満点です。 20分を超える楽曲にもかかわらず、長さを全く感じさせません。 クラシカル・シンフォ好きなら、この1曲のために購入しても絶対に損は無いです。
しかし面白いことに、2曲目以降、同じようなクラシカル・シンフォ色はほとんど出てきません! ソ連のYMO(笑)ことラトヴィアのZODIACみたいな 共産ピコピコシンセのテクノ・ポップをやってみたり、 チェコのFERMATAのようなRTF〜ジェフ・ベック風のクロス・オーヴァー〜フュージョン系 アプローチを見せたり... この一筋縄では行かないところがまさに東欧!... いろんなジャンルに挑戦しても結局東欧らしさを抜け出せないんですよね〜。
スウェーデンにも同名のバンドが存在するので調べてみたら 「PANTA RHEI」って「万物は流転する。」って意味だったんですね。勉強ニナリマシタ。
ジャケットの隕石?は梅干かと思いました。(笑)

・SOON/LOLLIPOP FACTORY(97)
アメリカの妙ちくりんなクイーン入りインディーズ・バンドの作品。
これまで海外送金の壁に阻まれ、入手をあきらめていましたが、 いつのまにかPAYPALが利用可能になっていたので、タイトルどおり即購入しました。 (メンバーであるDAVID TWEED本人と直接メールでやりとりできたのには感激しました。 元メンバーのSCOTT GORSUCHのアルバムも入手しやすくなるといいなあ...)
サウンドは、初期クイーンのブラックサイドに、 ザッパ風の毒を盛り込んだあげく、無理やりパワーポップに仕立て上げた感じです! (文章にするとかなり凄そうですがインパクトはちと弱めだったりします...)
ヴァレンタイン、ヴァレンシア、モーツァルト、ファントムズ・オペラ...の影に隠れて、 こんな変なことやってた人達がいたんですね...インディーズだからこそできるんでしょうけど。 (というかこんなことやってたら売れないですよね。)
一般的なクイーンファンにはおすすめできませんが、 マニアックなクイーンファンなら結構はまると思います。
「もうたまらんという感じ〜@杉本清」なジャケットもナイスです。

・AQUILE E SCOIATTOLI/LATTE E MIELE(76)
70年代イタリアを代表するキーボード・シンフォ・バンドの3rd。
本作発表にあたり、大胆なメンバーチェンジ(ドラマー以外を総入替え+キーボード1名増員)が 行われています。
本人達の実力の他に何か得体の知れない力が働いている超名盤「受難劇」 に比べると、こじんまりとしていて地味な印象を受けますが、 繰り返し聴いてみると、素朴な歌ものからシンフォニックな大曲まで 幅広いスタイルをこなしており、かなりの佳作であることがわかります。
タイフォンと同様、1st、2ndで止まってる人って多いんでしょうね。 (実際自分も「受難劇」と出会ってからこのアルバムを聴くまでに十数年かかりました!)
プロデュースはニュー・トロルスのヴィットリオが担当しています。 このときはヴィットリオもアルフィオも、 アルフィオがニュートロルスに加入して来日公演する日が来るなんて 夢にも思わなかったことでしょう。

・RELIEF DATA INCOMPLETE/HAUTEVILLE(06)
フランスのジャンルごちゃ混ぜ系バンドの作品。
プログレ、メタル、ポップス、産業ロック... さらには現代的なデジタル風味まで取り入れるなど、 いろんなことに手を出しています。
豊富なアイデアがわかりやすい形で見事に融合した 1曲目の出来がすこぶる良いのですが、 その後の曲はどうもちぐはぐした感じで耳に残りにくいです。
女性ヴォーカルにしてもギターにしても、 テクニックや表現力は申し分なく、かなりの個性派であることは間違いないのですが、 それが聴き手にうまく伝わってこないのが惜しいです。 (何度も繰り返し聴くほどの時間があれば、また印象は変わったかもしれませんが...)
今後うまく情報を整理できるようになれば一気に化けると思います。

・LIZ DAMON'S ORIENT EXPRESS/SAME(69)
その筋のファンには割と知られているハワイのソフト・ロック・グループによる隠れた傑作。
親しみやすい女性ボーカルと美しいコーラスをメインとした、 誰にでも分かりやすい王道ソフト・ロックを楽しむことができます。
ビートルズやカーペンターズをヒネリもせず堂々とカバーしたり、 中間部のギターソロやホーンの入れ方がどことなくイモっぽかったりするところに ハワイらしさを強く感じ取ることができてなんともいじらしいです。 (ハワイらしさ=トロピカルさではありません。 70年代初期の日本の歌謡曲に似た匂いを感じます!)

・EARLIER WORK/DREW DE FOUR(07)
アメリカはデトロイトから登場したフレッシュなピアノ・ロック作品。
時には軽快で時には力強いピアノの指捌きはもちろん、 時には激しく時には優しい表情豊かな歌声がなんとも心地良いです。
最初のうちは、曲によって、 レイ・チャールズ、ビリー・ジョエル、ベン・フォールズあたりを 連想しましたが、そのうちすぐに このピアノマンが持っている熱いハート(個性)を感じ取ることが出来ました。
ライブハウスで生で見れたら最高でしょうね。 (好きな曲をがんがんリクエストしても、 すぐに彼なりのアレンジで格好良く弾いて見せてくれるんだろうなあ〜。)

・SPOOKED/PRETTY MAIDS(97)
デンマークの大御所メタル・バンドによる一大傑作。
初期のキラキラした輝き、若々しさ、みずみずしさはさすがに薄れていますが、 力強く重厚で風格が備わっておりスキが一切見当たりません... すさまじい完成度を誇っており、彼らの最高傑作との呼び声も高いのも頷けます。
個人的には初期の作風が好きですが、こういうプリティ・メイズも格好良いですね。
オヤジ声ヴォーカルは、この手のずっしりしたサウンドのほうがしっくりくるように思えます。

・ISOLATE/CIRCUS MAXIMUS(07)
ノルウェー出身の新進気鋭のプログレ・メタル・バンドによる2nd。
プログレ・メタルの新世代を代表する存在として、随所で大絶賛されていますが、 長年ドリーム・シアターもどきをくさるほど聴いてきた自分の耳にとっては 新鮮さを感じることが出来ず、それほど凄いバンドには思えませんでした。 (2nd〜3rdの頃のドリーム・シアターを基本に、 シンフォニーXとシャドウ・ギャラリーを足し合わせて、 北欧っぽい透明感を加えたらハイ出来上がり!といったサウンドに感じました。)
とはいうものの、このアルバムにおける圧倒的なパフォーマンスを考えると、 彼らが現在のプログレ・メタル・シーンにおいて突出した存在であることは明白です。
現時点ではまだまだ発展途上にあると思いますし、 バンド自体にさらに高いレベルを目指そうとする強い意志が感じられるので、 今後どれだけ成長してくれるのかがとても楽しみです。

・ALONE TOGETHER/QUIDAM(07)
独特の音楽性で多くのファンに支持されているポーランド・シンフォの代表格バンドによる2007年の作品。
その昔、ポーランド・シンフォの金字塔として崇められているデビュー盤の良さが 理解できなかったので、それ以後彼らの音を耳にしていなかったのですが、 当時と音楽性が変わったとの噂を聞き、アルバムを入手してみました。
叙情的な面ばかりが目立ち、退屈気味だったデビュー盤に比べ、 攻撃的な面が一気に増大したおかげで、アルバム全体に起伏が生じ、 ドラマティックな作品に仕上がっています。
さらに持ち味である叙情性は、バンドが年月を重ねただけのこともあり さらに深みが増しています。(いい感じに枯れています!) 間違いなく現時点での彼らの最高傑作でしょう。 よくぞここまで成長してくれました。
これだけの荒涼感はなかなか味わえるものではありません。 秋冬に聴くと本当に心にしみます...

・COLOURS/MOCCA(07)
近年のインドネシアのポップス界がどれだけ凄いことになっているかを 知るのにうってつけのバンドといえるMOCCAの3rd。
今回も、ピュアでかわいいARINA嬢の歌声を最大限に生かした、 とびきりおしゃれなギター・ポップの傑作となっています。
前作FRIENDSと比べると、COLOURSというタイトルの割には、 アレンジが地味であまり冒険していないのが残念ですが、 演奏自体はかなりレベルアップし、バンドの一体感も増しているので、良しとしましょう。 (メチャクチャ手の込んだ変形ジャケットのアイデアも前作より上ですし...)
ポップス・ファン... 中でも、昔、ピチカート・ファイブやカーディガンズにはまっていた人は 騙されたと思って一度は聴いてみてください。
全然関係無いですが、バンド名から、 昔中日にいた助っ人外人を思い出してしまうのは私だけでしょうか...

・WHITE SPIRIT/SAME(80)
NWOBHMを語る上ではずすことの出来ない名バンドによる唯一の作品。
後にアイアン・メイデンに加入する 「イギリスのリッチー・ブラックモア!(笑)」ことヤニック・ガーズの 渾身の演奏がメチャクチャ格好良いです。 (同時にリッチーぶりがなんとも微笑ましいです!)
またジョン・ロードがプログレに走ったような、 シンセとオルガンをがんがん弾き倒すキーボードもポイントが高いです。
NWOBHMとパープルを融合させたような 非常にユニークなスタイルを確立しておきながら、 本作だけで終わってしまったのが残念でなりません。 (それにしても一体何故この時代にパープル!?)
アルバム内の楽曲だけでなく追加収録されたボーナストラックも名曲なので、 購入時にはボートラ入りであることを必ずチェックしましょう。
2曲目の出だしはクレシダかと思いました!(笑)
・RATA BLANCA/SAME(88)
アルゼンチンを代表するベテラン・メタル・バンドの 記念すべきデビュー盤。 EMIR HOTとWHITE SPIRITを並行して聴いているうちに、 ふとこのバンドが脳裏に浮かび、最初から振り返ってみることにしました。
なんとびっくり、ギタリストのリッチー+イングウェイ (5%だけヴァン・ヘイレン入ってます...ヤングギターを創刊号から定期購読してそう!(爆)) なスタイルはこの頃から完成されていたんですね。 一度弾きだしたら止まりません...もの凄い勢いでバリバリと弾き倒していきます。
しかし、スピードチューンは良いのですが、 その他の楽曲における他のメンバーの緊張感の無い演奏が どうにもよろしくなく聴いていて時折イライラします。
さらにひどいのはミキシング!...そこいらの小学生にでもやらせたのでしょうか... あまりにも仕事が酷すぎます。
といいながらもこのアルバムをリピートしてしまうのは、 やっぱり魅力的なギターソロがふんだんに詰まっているからでしょう。
ただこの内容で「レインボウ」の名を語るにはまだちょっと早いですね。

・COLOR OF THE WORLD/HARANGA(05)
モンゴルの最強ロック・バンド、ハランガの近年の作品。
2枚組ベスト(特に初期に名曲多し)に比べると、 随分垢抜けた印象を受けますが、その分、 彼らの持ち味である、常軌を逸した泣き、強烈な土臭さ(草臭さ)、 さらには欧米の名バンドの大胆なパクリ(笑)...といった部分が 薄れてしまっていて大変残念です。
しかし、退屈な曲に混じって時折飛び出す入魂のギターには 大いに胸を締め付けられます(11曲目とか最高!)し、 これまで70年代のバンドから影響を受けていた彼らが、 90年代のバンドのエッセンス (7曲目はレッチリ、12曲目はメタリカですよね!) を取り入れるなど面白い展開も用意されているので、 まだまだ楽しめる内容だと思います。
次作は原点回帰して欲しいなあ... 彼らの作品を聴くなら絶対に初期の作品を聴いてください!!


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