2007年に聴きまくったアルバムBEST30(+59)

2007年に聴きまくったアルバム89枚を順位付けして紹介します。
なんだか超絶ものが結構多いですね。ストレスたまってる証拠?!


No.1
・SOPHISTICATED/SIEGES EVEN(95)
どれだけこの日を待ち望んだことか... ドイツの最終兵器ともいうべき超絶プログレ・メタル・バンドSIEGES EVENが 絶頂期に作り上げた究極の名盤2枚(4th、5th)がようやく再発されました!
彼らはこれまで数多くのアルバムを残していますが、 メジャー・レーベルから発表され簡単に入手可能なものは、 どれも実験色が強かったり、難解だったために、一部のマニアにしか支持されてきませんでした。 そして本作4thと次作5thこそが、多くのファンにアピールできる キャッチーなテクニカル・メタルの名盤であるにもかかわらず、 自主制作ですぐに廃盤となったためこれまで正当に評価されることはありませんでした。
今回の再発をきっかけに多くのファンが認識を改め、 彼らが再評価されることを大いに期待したいと思います。
驚愕のテクニック、複雑でひねくれた曲展開、キャッチーなメロディ...が渾然一体となり 一気に畳み掛けるスタイルは、 まるでドリーム・シアターとウォッチタワーの良いところだけを掛け合わせたようです。 (アメリカ勢(ドリーム・シアターとウォッチタワー)に対するヨーロッパからの最終回答?!) プログレ・メタルの最高到達点の一つといえるでしょう。
近年、長年のブランクを経て復活したものの、 この頃の音楽性に比べると魅力に乏しいのがなんとも残念です。 (この手のサウンドが好きなら本作のギタリストが在籍する7FOR4を聴きましょう!)
とにかく彼らの4thと5thを聴かずにプログレ・メタルを語っちゃ絶対にダメです(笑)!

No.2
・THE SINGER-SONGWRITER/BEBI ROMEO(05)
またまたインドネシアから才能豊かなメロディメーカーを発見しました!
男性アーティストBEBI ROMEOのソロ作ということで、 彼が作りあげた楽曲を、彼自身と豪華なゲスト・ヴォーカリスト達が歌いあげる内容なのですが、 参加メンバーがもの凄いことになってます!... REZA、KRISDAYANTI、ARI LASSO、CHRISYE、AHMAD DHANI... インドネシアのポップス・シーンの頂点に君臨するヴォーカル陣が、 揃いも揃って最高のパフォーマンスを披露しています。 (この顔ぶれを集めることができる時点で、この典型的なインドネシア顔の男が 只者ではないことが良くわかるでしょう。) あまりにも強力過ぎる歌唱ばかりが続きますが、 彼が生み出した楽曲が全く負けていないことに大いに驚かされます。
とことんドラマティックでシンフォニックなアレンジ、 とてつもなく甘く美しく切ないロマンティックなメロディ... インドネシアン・ポップスの素晴らしさを凝縮したような名盤といえます。
アルバムの最初から最後まで数え切れないほどの感動の波が押し寄せます。
メロウ度に限れば作曲能力は大天才AHMAD DHANIを超えているかもしれないなぁ...
注:あまいものやくさいものが苦手な人は絶対に手を出さないで下さい...とても危険です!

No.3
・DOPPELGANGER/THE FALL OF TROY(05)
アメリカのなんでもあり系変態ハードコア・バンドの2nd。
す、凄い!凄すぎる!...久々にとんでもない化け物バンドに出くわしました。
各自が難易度の高い超絶技を連発しながら、 変拍子だらけで全く先の読めない複雑な楽曲を 超高速で演奏していくので、 大音量で聴いていると体のどこかの骨が折れてしまいそうです!
やりたい放題やっていながらもキャッチーさを保っていて 聴きやすいのがまた素晴らしいです。
あのマーズ・ヴォルタと似たタイプではありますが、 クリムゾンやツェッペリンといった幻影が見当たらない分オリジナリティでは上ですし、 トリップ系のまったりした展開が無い分退屈に感じる時間は無いですし、 絶叫とノーマルヴォイスを使い分けている分ヴォーカルの表現力も上ですし... 多くの面でマーズ・ヴォルタを超えているように思います。
またまた驚きなのはこのバンドが3人組だということです! (これまでの常識ではちょっと考えられない...)
近年のロックシーンをマンネリ気味に感じていましたが まだこれだけ斬新でプログレッシブな音楽が生まれているんですね。
もともとプログレとパンクは水と油の関係だったのになぁ〜!... 彼らのおかげで今後のロックシーンがとても楽しみになりました。

No.4
・VALENSIA/VALENTINE/V(99)
オランダが世界に誇る天才クイーン・フォロワー2人によるプロジェクトのデビュー作。
個々のソロ作に比べクイーン色は薄いのですが、 その分これまでとは異なる色とりどりのアイデアが飛び交う いつも以上にポップで斬新な曲ばかりが揃っており、 改めて彼らの豊かな才能に驚かされます。
西洋人特有の日本に対するどこか間違ったイメージを そのまんまポップスにしたような1曲目に苦笑いしたり、 ELOとクイーンが豪華競演(←ありえね〜!)したような2曲目に感動したり... その後も時折我慢しきれず?に飛び出すクイーン全力投球モード曲ににやけたり... 捨て曲の無い名盤に仕上がっています。
2ndも完璧な名盤でしたが何故彼らは正当に評価されないのでしょう... ブサイクだったら評価が変わっていたのかな?(笑)
この2人の才能が融合すると爆発的な効果が得られますね。 (V+V=2億Vといった感じ!)
早くVでの新作が聴きたいものです。 (というか今後ずっとVとして活動して欲しい!)

No.5
・MILLIONTOWN/THE FROST(06)
2006年度No.1シンフォと呼び声の高い大型新人バンドのデビュー盤。 (新人といってもメンバー(KINO、ARENA、IQ...の精鋭達)は若くはありませんが...) 確かにその評価も頷けるとんでもない名盤となっています!
このバンド最大の売りは「絶妙なさじ加減」でしょう... シンフォのありとあらゆる要素を備えておきながら、 テクニック至上主義でも、懐古主義でもなく、 ベタベタ過ぎる展開も無ければ、泣き過ぎることも無く、ひねくれ過ぎてもいません。
この手のバンドは、とかく何らかの要素を 「過剰」にアピールすることで勝負してきましたが、 彼らは「適度」であり、現代的でシンプルでスッキリとした仕上がりとなっています。 おかげで聴いていてすがすがしいです...シンフォ系でこんな気分になるのは珍しいです。
まるで、こってりで背脂ギトギトで味の濃いラーメンばかりがもてはやされる中、 薄味であっさりした体に良い大人のラーメンに出会ったような感じです!
キーボードがソロで弾きまくる箇所などはシンセの音色が似ているせいか新生カイパを彷彿とさせますが、 やっぱり少なからず影響を受けてるのかな?
大変残念なことに結成1年持たずに解散してしまったそうです... 今後のプログレ〜シンフォ界にとって大きな痛手といえるでしょう。

No.6
・MAIDEN VOYAGE/FLAGSHIP(05)
スウェーデンから突如出現した二人の才能あふれるミュージシャンを中心とする、 カンサスの遺伝子を受け継ぐメロディアス・シンフォ・バンドのデビュー盤。
実は発売直後に耳にした際、あまりにも感動的な内容だったので、 勿体無くてずっと聴いていませんでした。 今回じっくり聴いてみましたが、やはりこの作品のドラマティック度は既定値をはるかに超えています!
カンサスをはじめとする先輩バンドが残してきた様々な感動フレーズを 手本としているものの、その数が尋常ではなく、 矢継ぎ早に飛び出してきて休むひまを与えてくれません。(ずっと感動しっぱなし!)
これまでの経験から予測できる感動の後に、まだまだ多くの感動の仕掛けが用意されているわけです。 (感動の向こう側のさらに向こう側に連れて行ってくれるような感じ!)
日本先行リリースが激しく頷けるほど、日本人プログレ・ファンの琴線に触れまくりの名盤といえます。
次作を心待ちにしているファンは私だけではないはずです。
そうそう、何度も「感動」と書いちゃいましたが同じ分だけ「クサい」です...その点はご注意ください!

No.7
・9.11/BUMBLEFOOT(01)
超絶変態ギタリスト、ロン・サールによるBUMBLEFOOT名義での2nd。
前作は、基本的に楽曲を重視し、テクニックをさほど前面に出さない、 変態にしてはお行儀の良い内容でしたが、今回は思いっきりやってくれてます!
とうとう正体を隠し切れなくなったのか、 スティーヴ・ヴァイを経由して受け継がれたザッパの遺伝子が大暴れし、 いたるところで毒液をぶちまけています!... いやはやなんとも破廉恥な作品に仕上がったものです。
これだけ好き放題やり過ぎてくれると、大体聴いている途中で疲れたり、 テクニックを押し付けがましく思えたりするものなんですが、 彼の作品では全くそんな気がおきません。 アイデアや超絶技の数がやたら豊富で、いろんな音楽に対応できる 柔軟さを持っているからそう感じるのだと思います。
なんと本作では宇宙一レベルの変態ギタリスト、マティアス・エクルンド、ドゥイージル・ザッパも ゲスト参加していて空前絶後の変態まつりが開催されています。
根っからの変態好き&ギタリストは必聴ですよー!

No.8
・ハムスター倶楽部 ソング・コレクション・アルバム〜OLA! OLA! OLA!/(TVサントラ)(01)
日本最強のポップ職人として他の追随を許さない永井ルイが 全面参加したTVアニメのサントラ作品。(アニメは見たことがありません!)
子供向けと見せかけて実は大人のロック・ファン向けの内容となっており、 ハッチ・ポッチ・ステーションに通じるものがありますが、 その徹底ぶりやマニアック度は比較になりません! クイーンを超越するほどのクイーンぶりを発揮している「MAKE MY DAY!」はその際たるもんでしょう。 (やたらテンション高いヴォーカリストが良い味出してます。ヴァレンタインやヴァレンシアに聴かせてみたいなあ...)
クイーンの他にも、ビートルズ、スパークス、パイロット、トッド・ラングレン、ELO、チープ・トリック、ジェリーフィッシュ ...アニメのサントラの範疇でこんなに好き放題やっていいものなのか心配になってきます!
顔が緩みっぱなしになってしまうほど、過剰なまでにポップな名曲ばかりが並んでいます。 中でも女性アイドル風のキュートな歌ものは絶品です。 (「シャングリラ・シンデレラ」なんかタンポポの低予算プロトタイプみたいで最高!)
様々なタイプのヴォーカリストが参加していることでとてもカラフルな内容となっており、 「子供向け」の要素が曲をよりキャッチーにしていてポップ度を 数倍アップさせていることを考えると、 永井ルイ個人のソロ作よりも断然お薦めできる作品となっています。 (もしかしたら永井ルイの最高傑作かも。)
ポップス・ファンならなにがなんでも聴いておきましょう。(マニアックな人ほど楽しめるはずです。)
よく考えたらつんく♂と永井ルイはハムスターでつながってたんですね!!(笑)

No.9
・SPECIAL EDITION GOLD/HARANGA(06)
モンゴルの国民的英雄バンド、ハランガの 偉大な足跡を知ることのできる2枚組ベスト盤。 バンドが結成された1989年から近年(2003年)までの貴重な音源がたっぷり収録されています。
彼らの存在を知り音源を探し求めて苦節8年!... 今回ようやく入手することができました。(ASIAN ROCK RISING様には大感謝です!)
入手はしたものの、所詮は辺境ものだし、さほど期待できないだろうなぁ... と思って再生したらとんでもない!! モンゴルの広大な草原を髣髴とさせる壮大でシンフォニックな楽曲に、 狂ったように泣きまくるギターが延々と絡み付く感動的な展開に 何度も感情の高ぶりを押さえられなくなりました。
演歌みたいな曲もあったり、どこかで聴いたようなメロディ (カリフォルニアに泊まったり、パリをぶらぶら散歩したり、 ハイウェイを突っ走ったり...いろいろやってくれてます。 あと何故かウォーホースみたいな曲もあります(笑)...)が出てきたり、 気になる点もありますが、この徹底した泣きの前では、 そんなことはどうでも良くなっちゃいます。
韓国、インドネシアに負けず劣らずモンゴルの泣きも凄いことになってます。 「泣き」を突きつめたら最後はアジアに到達するんでしょうか? (少なくとも私は今のところそうなってます!) さすがはモンゴルの英雄です。(朝青龍と英雄度はどちらが上なんでしょう?)
全然関係無いですが、彼らのバンド名から、 子供の頃に話題になった両腕を車で引っ張られるB級映画 (とそのシーンに挑戦したグレート・カブキ!)を思い出すのは私だけでしょうか?

No.10
・NOT JUST A FLOWER IN YOUR HAIR/AFTER TEA(02)
オランダのサイケ・ポップ・バンドの1967〜69年の楽曲を収録したコンピもの。
知名度の低さとジャケットの安易さのせいで、特に期待していませんでしたが、 凄く内容が良かったので腰を抜かしました!
デビュー当時のプロコル・ハルム、ヴァニラ・ファッジ、ディープ・パープル... それにグレープフルーツ、クラウズなんかを混ぜ込んだあげく 思いっきりキャッチーにしたような極上のメロディに彩られた楽曲ばかりが揃っています。 躍動するオルガンをはじめとするバンド単体の演奏だけでも十分良いのに、 子供コーラス隊や管弦楽の導入など卑怯な手段を繰り出してくるのでめちゃくちゃ楽しめます。 こんなにもクオリティが高いのに何故知名度が低いんでしょうか...うーん...何かが間違ってる... 日本人の琴線に触れるバンドの多いオランダにあっても、 彼らの素晴らしさは際立っていると思います。 (同時代のアース&ファイアやショッキング・ブルーよりも断然良いと思うけどなぁ...)
ちなみにスペンサー・ディヴィス・グループの関連バンドだそうです。 (スペンサー・ディヴィス・グループよりも断然良...(略))

No.11
・HANDS/BUMBLEFOOT(98)
現ガンズ&ローゼズに加入し、一気に知名度が上がった バカテク変態ギタリスト、ロン・サールによるBUMBLEFOOT名義でのデビュー盤。
なるほどこりゃ確かに凄い!... ギターソロでのテクニック、アイデア、フレージング...何もかもが人間離れしてます。
マティアス・エクルンド、バケットヘッドと同じ宇宙人クラスに属する 人間国宝ギタリストといえるでしょう。
特筆すべきは彼の作曲能力です... ギタリストのソロ作というと「ギターソロだけ聴いて後は早回し!...」 といった内容のものも多いですが、 彼は今の時代にマッチした、本格的な曲をたくさん書いています。 (特にレッチリ風の曲を作れるのが面白いですね。)
複雑で頭でっかちにならずわかりやすくて聴きやすいのでとっても助かります!
多くの人に絶大なインパクトを与えることのできる傑作なので、 もっと音源が入手しやすくなって欲しいものです。

No.12
・WANITA/ROMEO(02)
インドネシアが誇る究極の哀愁野郎!BEBI ROMEOが率いるバンドROMEOの作品。
彼のソロ作(THE SINGER - SONGWRITER)の徹底したクサメロ攻撃に、 不覚にも感動してしまったのでバンドものも買ってみることにしました。
ギョエ〜!...1曲目...というか1音目からすごいことになってます。 いきなり70年代ベタ泣きの(ONEのサーカスみたいな)オーケストラ・アレンジ+ 女性コーラスが強烈な叙情歌ものが飛び出します。
かと思えば、2曲目はエゴ・ラッピンみたいな昭和ジャズ歌謡風だし、 3曲目はコンチェルト・グロッソ1のアダージョ入ってるし... その後もシナトラ風スタンダード・ポップス、 昼ドラ風ベタベタ・アレンジ曲、80年頃のAOR系シティ・ポップス... ソロ作は現代風のアレンジで統一されていましたが、 このアルバムは統一感ゼロ、完全に破綻してます。
一体なにがやりたいんでしょこの人!(笑)
あまりにもひどすぎて最高なのでこれからも全力で追いかけようと思います!!

No.13
・VARANDRA/FREEWHEEL(00)
90年代中頃に日本を席巻したスウェディッシュ・ポップ・ブームの 重要人物、ウルフ・トレッソンが率いるポップ・バンドの2nd。
味わい深い名作に仕上がった前作STARFRIENDと比べると、 アレンジがかなり現代的になっています。(個人的には1stのほうが好み)
ただ、過剰な仕掛けも凝った展開も無いシンプルな作品でありながら、 しっかりとメロディが耳に残るという点では、前作と何も変わっていません。 今回も手作りの温もりが伝わってくるやさしい音作りをしていて心が癒されます。
ビートルズ、クイーン、ジェリーフィッシュ...といったスーパー・バンドから 多くのヒントを拝借しているポップものが氾濫している中で、 これだけ自分のスタイルをしっかりと確立できているアーティスト(バンド)は ほとんど見当たらないでしょう。
音にマッチしたジャケットも◎です。(前作のジャケは酷かった...)
それにしてもウルフは今どうしてるんでしょう... 天才的な才能を持ちながら封印してしまうのは犯罪でしょう! 彼にしか作り出せないメロディ、楽曲があるのだから、 社会に貢献してもらわないとね。
自主制作でもCDRでも構わないのでそろそろ何か出して下さい。 > ウルフ

No.14
・THE PIANO IT'S ME/SUEMITSU & THE SUEMITH(07)
深夜残業後に立ち寄ったラーメン屋で出会うことのできた斬新なピアノロック作品。
立ち寄った池袋「天下一品」はいつもは、 レインボウ、グランド・ファンク・レイルロード、チープ・トリック...といった 好みの曲ばかりが流れるので気に入っているのですが、 この日はつまらないJポップばかり...ガッカリして「こってり」を食べていると、 突然、躍動するピアノ、絶妙なコード進行、とろけそうなメロディ、夢見るようなワルツ... あまりに魅力的過ぎる楽曲が耳に飛び込んで聴覚と脳を激しく刺激!... おかげで味覚は麻痺、というか箸が止まってしまいました。(おかげでラーメンはのびました!) こんな高揚感を覚えるのは年に一度あるかないかです。
アーティスト名を調べるため、あわてて歌詞の一部「後ろからついてくる足音も響かない...」を聞き取り、 自宅でネット検索することでようやくこの作品に出会うことが出来ました。
どこかで聴いたことあるような...と思ったら「のだめ」(アニメ版)の曲をやってた人だったんですね。 のだめのオープニングじゃないですが、アルバム全体を通じて、ピアノの音符一つ一つが 自由に躍動し飛び回っている感じがします。とってもポップでキュートでたまりません。
世界中探し回ってもこんなにアグレッシブでメロウなピアノロックをやってるのは彼だけでしょう。 日本のピアノマンもKAN(@テレジオ7!)からついに世代交代ですね!

No.15
・THE RETURN OF N.EX.T PART 2 WORLD/N.EX.T(95)
韓国の偉大なプログレ・メタル・バンド、ネクストによる3rd。
傑作2ndに比べ、音楽性が急激に肥大し、 プログレ・メタルの枠を大きくはみだしていてとても面白いです。
ファンク、ポップス、韓国民謡... 後にNOVASONICで発揮される絶妙なミクスチャー感覚は この頃から既に存在していたんですね。 純粋なプログレ・メタル・ファンは散漫に感じるかもしれませんが、 私はこちらのほうが断然好みです!
いろんなタイプの曲が並んでいますが、どの曲もしっかり主張していてクオリティが高いです。
さて、実はこのアルバムには、一番最後にボーナストラックと称して、 とんでもないトラップが用意されています。 なんと「ある愛の詩」をカヴァーしているのですが、ギターの泣きっぷりが尋常ではありません。 ジェフ・ベックもゲイリー・ムーアもサンタナも成し得なかった (というか恥ずかしくて出来なかった)禁断の領域に達しています(笑)!
その昔韓国メタルをまとめて聴いていた頃、この曲に出会ったおかげで、 それまで聴いてきた曲の印象が全て飛んでしまい、 韓国メタル=ある愛の詩としか思い浮かばない時期が何年も続いたほど凄いです。
こんな超絶反則技をやっても許されるのは韓国かインドネシアだけでしょうね!

No.16
・ROMANTIC RHAPSODY/ADA BAND(06)
インドネシアのロック・シーンの中心で活躍を続けている実力派バンドの2006年新作。
ちょっとハズかしいタイトルから想像できるとおり、 今回も甘さたっぷりのメタボな内容となっています。
ただ、相変わらずいい曲は多いもののどれも似通った感じであり、佳作どまりなのが残念です。 (TIARAの突然暴走シンフォみたいな強引な展開はもう無理なのかな... 韓国ドラマで使われそうなドラマティックな楽曲とか、 「神田川」みたいなオープニングとか、「青春の影」みたいなバラードとか、 部分的には印象に残るんですけど...)
以前にも書いたかと思いますがやっぱり「保守的なDEWA」というイメージを抜け出ていないように思います。
そんな中、ラスト曲は、イスラム風ポップスにバカロフ風ストリングスを 無理矢理かぶせたような感じで面白いです。
次回はぜひこの新路線でアルバムを作って欲しいなあ。

No.17
・エーゲ海の真珠〜ポール・モーリア・ベスト・セレクション VOL.2/ポール・モーリア(02)
2006年に惜しくもこの世を去った、 イージーリスニング界の巨匠のベスト盤2枚目。
ベスト盤1枚目ほどでは無いですが、この2枚目も 「涙のトッカータ」、「エーゲ海の真珠」...といったお馴染みの名曲をたっぷり収録しています。
中でも「エーゲ海の真珠」は、スネークマンショウを思い出すこともありなんともあやしい気分になります。 (ためしに「エーゲ海の真珠」を聴きながら、夜、 昭和のにおいが残るあやしげな通り(大塚、巣鴨、鶯谷あたりがベスト)をぶらついてみたところ、 それっぽい雰囲気が出て凄くよかったです。(是非お試しあれ!))
ポール・モーリアはとにかく多くのベスト盤が出ていてどれを買おうか迷いましたが、 隠れた名曲「ポール・モーリアのR&B(ポール・モーリアのテーマ)」を収録している作品が 他に見当たらなかったためこのCDを選びました。 「ポール・モーリアのR&B(ポール・モーリアのテーマ)」と「渚のプレリュード」は 部分的にやたらドラマティック&シンフォニックなので、 シンフォ好きなら一聴の価値があると思うのですが...やっぱりダメですかね? (トリビュート、アナクルーサを好きな人は騙されたと思って...(笑))
ちなみにボーナスの「恋はみずいろ(ディスコ・バージョン!)」はかなりイケテマス!

No.18
・ALL OF タンポポ/タンポポ(02)
一昔前一世を風靡した「モーニング娘。」のユニットによるベスト盤。
シングル発売当時感動した乙女パスタに感動(←紛らわしい!)の他にも、 天才ポップ魔術師、永井ルイが携わっている曲があると知り、 今更ながら入手することにしました。 (2007年に本作を新品で買うなんて自分ぐらいしかいないんだろうなあ...)
さすがは永井ルイ!...関連曲では、 「超メジャーなアイドル作品でここまでやっちゃって大丈夫なの?」...って 心配になるぐらい、マニアックなブリティッシュ・ポップ街道を突き進んでいます。 パートによってはバック・バンドがパイロットだとしか思えません(笑)。
新たな発見としては、永井ルイ関連曲以外にも、 一昔前の懐かしいアレンジ&メロディが印象的な、 どこか泣けるポップ曲が多かったことです。 この頃のつんくの作曲能力、センス、アイデアはキレまくってますね〜。 (連戦連勝、向かうところ敵無し状態!)
アイドルものでこれだけはまったのは、 武部聡史との相性が抜群だった斉藤由貴以来かなぁ(←古過ぎ)
電車の中や人ごみでは音が漏れると恥ずかしいのでボリュームを下げてます! (今このアルバム聴いてるなんて熱狂的なモーヲタみたいなので...!)
ところでこのユニットって今も存続してるんでしょうか?

No.19
・JEAN-JACQUES GOLDMAN/SAME(81)
日本人向け叙情シンフォ・バンド!、タイ・フォン解散後、 フランスを代表するスーパー・アーティストの座に上りつめた ジャン・ジャック・ゴールドマンのソロ・デビュー作。
あのタイ・フォンの売りの一つである「号泣ハイトーン・ヴォーカル」が耳に突き刺さります。 (実は恥ずかしながら本作を聴くまでタイ・フォンの歌声が独特なのは、 悲劇の国ベトナムの血が混じっているから(=西洋と東洋の融合により生み出された奇跡!)だと 勝手に思い込んでいました!...(大汗))
基本はタイ・フォンの3rdの延長線上であり、タイ・フォンからシンフォ〜プログレ色を抜き、 この時代の流行を取り入れたような歌物ポップなのですが、内容の良さはかなりのものです。
中でもタイ・フォンを思い出さずに入られない感動的なバラードの出来は際立っています。 (母国語で歌われておりアレンジが素朴な分、 歌の説得力ではタイ・フォンを上回っているように思います。)
リマスターや紙ジャケ再発のたびに タイ・フォンのCDを何度も購入するお金があるならば、 彼のソロも集めてみては如何でしょうか? > 歌物好きなプログレ・ファンのみなさん。
私は少しずつ集めることにします。

No.20
・THE VERY BEST OF THE WOMBLES/THE WOMBLES(05)
イギリスの子供向け番組から生まれたポップ・バンド、ウォンブルズのベスト盤。
子供向け番組から生まれたポップものとしては、ソフト・ロック・ファンに 支持を得ているアメリカのバガルースが有名ですが、 ポップ度ではこのウォンブルズのほうがはるかに上です。
ビーチボーイズ、パイロット、ベイ・シティ・ローラーズ(なぜだかビートルズ色は薄いです!) ...といった王道ポップ・バンドを髣髴とさせるキャッチーな楽曲を基本としながらも、 ロカビリー、ワルツ、アカペラ、クラシック、カントリー... いかにもイギリスらしいユーモアにあふれたユニークな楽曲がぽんぽん飛び出します。 (サヴァタージも真っ青のTHE HALL OF THE MOUNTAIN WOMBLEには笑いました!)
子供向け番組だけに、とても分かりやすく、覚えやすく、楽しくて、かわいくて、夢のある曲が ぎっしりと詰まっています。 ポップスを愛するリスナー全員に聴いてもらいたい名作です。 (特に前述した、ビーチボーイズ、パイロット、ベイ・シティ・ローラーズが好きなら 絶対に聴くべきです!)
マイク・バット(仕掛け人)って凄い才能の持ち主だったんですね... (その昔、彼のOSTを買ったのですがあまりにもつまらない内容だったのでずっと軽視してました!)

No.21
・COLD REALITY/WINTERBORN(06)
フィンランドの将来有望なメタル・バンドのデビュー盤。
ヨーロッパからソナタ・アークティカまで... 北欧メタルの輝かしい歴史と伝統の重みを感じさせつつ、 ドリーム・シアターやシンフォニーXといったプログレ・メタルの要素も ふんだんに取り入れた色とりどりの作風となっています。
様々なスタイルをこなせる分、全体的に散漫になりそうなところを、 個性的で男らしいヴォーカルが力技で一気にまとめあげているのがなんとも見事です。 アルバムを通して安定感があり、どっしりとした風格さえ感じられます。(ほんとにデビュー作?)
いろいろな可能性を秘めているバンドといえますが、 個人的には3曲目(感動的な名曲!)のようなプログレッシブでドラマティックな路線を突き進んで欲しいです。
それにしてもWINTER〜ってバンドやたら多くないですか?

No.22
・GREATEST HITS LIVE/707(05)
グレイテスト・ヒッツ・ライヴ・シリーズによりめでたくCD化された、 アメリカの中堅メロディアス・ハード・バンド707の全盛時のライブ音源。
よくぞCD化してくれました! スタジオ盤でも、爽快でノリの良い、ドライブ感あふれる格好良い演奏を堪能できましたが、 ライブ盤では、そんな彼らの魅力がさらにアップしています。
メンバーと観客とが一体となった臨場感あふれる演奏の連続に幾度も気分が高まります。
ホットな演奏ですが決して暑苦しくなく、カラッとした質感がいかにもアメリカらしいです。 聴いているだけでさわやかな気分に浸れます。
欲を言えば収録曲がもう少し多ければなぁ...(ライブで聴いてみたい名曲がたくさんあるので...)

No.23
・THE FALL OF TROY/SAME(03)
2ndの常軌を逸した強力すぎるサウンドがいまだに脳裏に焼きついて離れない シカゴの爆裂3ピース・バンドのデビュー作。
最初の数秒を聴いただけでもうヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!...なにこの格好良さ!... 音を聴くまでは「2ndと1stの落差にガッカリするパターンかなぁ?...」 なーんて思っていましたが私が完全に間違ってました。ゴメンナサイ...
このバンドは生まれながらにしてとんでもない化け物だったんですね。
クオリティは2ndとほぼ同レベル...下手したら新作3rdだと言われても信じてしまいそうです。
2ndと数曲だぶっていますが、ヴァージョンが大幅に違うので無問題です。
それにしてもどうやったらこんなとんでもないものを10代で作れるようになるんだろ... 凡人には理解できません。

No.24
・PUSPA INDAH/CHRISYE(80)
YOCKIE、CHRISYE、GURUH GIPSY、GODBLESS...といった 70年代インドネシア・プログレの衝撃的な名作群に出会い、 頭の中がインドネシア一辺倒だった2001年に、 CHRISYE、GURUH SOEKARNO PUTRA、YOCKIEといった デヴィ夫人もびっくりのメンツが集結した本作の存在を知り、 高田馬場のはっぴぃかむかむに注文して取り寄せた作品。
入手した当時はシンフォな展開を期待しすぎていたこともあり、 良さがわからずとてもガッカリしたことだけを覚えていますが、 今回、少し前に聴いたCHRISYEの2ndが名盤だったのをきっかけに 6年ぶりに耳にして、ようやく傑作であることに気付きました。 (ここ6年間で耳が進化したってことかな?)
確かにプログレ〜シンフォ色はかなり薄まっていますが、 ちゃんとまだ残っていますし、それに、ビートルズ、トッド・ラングレン、 ファンク、シティポップ、民族色・・・といった要素を一気にぶち込んだ ひとくせあるごった煮歌ものポップサウンドはクセになります。
これぞインドネシアを代表するニッチ・ポップの名盤!... ストレンジ・デイズで取り上げられていも おかしくないと思うのは私だけでしょうか?
追伸:2007/3/30にCHRISYEが天に召されました...残念でなりません...ご冥福をお祈りします。

No.25
・RED, HOT AND HEAVY/PRETTY MAIDS(84)
秋葉原の喫茶店にありそうなバンド名を持つ デンマークのベテラン・メタル・バンドの 記念すべき1stフルレンス・アルバムであり、 後続バンドに多大な影響を与えた大名盤。
今聴くと、音が古臭く、ヒネリもありませんが、 シンプルな分内容の良さがじかに伝わってきます。
中でも疾走曲は秀逸...あまりに格好良すぎて聴いているうちに我を忘れてしまいます。 (ただ演奏スピードを速くすれば疾走感が増すと思っている人々に大音量で聴かせたいです!) やはり基礎がしっかりしていると強いですね。
多くの名盤が揃っている70年代ロックに比べて、 80年代...しかもメタルとなるととかく馬鹿にされがちですが、 そんな逆風の中にあって確実に名盤と呼ぶことのできる 貴重な作品だといえるでしょう。

No.26
・RETURN/LITTLE TRAGEDIES(05)
イスラエルのトレスパスとともに、21世紀のキーボード・シンフォ・シーンを牽引する ロシアの超絶バンドの3rd。
これまで「打ち込み使用」という大きなマイナス材料を背負いながらも、 多くのシンフォ・ファンの支持を獲得することに成功した彼らですが、 本作ではついにバンド編成となり、マイナス材料が消えてしまったからさあ大変です! さらに新加入したリズム隊もギターも強力なテクニックと表現力を持っているおかげで、 1st〜2ndの流れから想像できるレベルをはるかに超える一大傑作となっています。
さすがはロシア...アルテミエフを生んだ国だけあります... 普段はおとなしいのに一度本気になったら手がつけられません!
唯一の欠点は歌の弱さでしょう...演奏が際立っているだけにちょっと気になります。
ライバルともいえるPLPやランブリン・オーケストラって最近どうしてるのかな?

No.27
・RA/UTOPIA(77)
バンド名を耳にするたびに条件反射でゴムをくわえたくなってしまう、 元祖ポップの魔術師トッド・ラングレン率いるユートピアの初期の代表作。 カシム・サルトンやロジャー・パウエルといった黄金期のメンバーが揃った初めての作品でもあります。
これまではトッド・ラングレンの実験の場的な意味合いが強かったユートピアですが、 この作品ではメンバー全員の才能が融合したバンドならではの充実した内容となっています。
トッド関連作の中ではかなりプログレ寄りの作風であるため、 一般的なトッド・ラングレン・ファンから軽視されていたり、 「トッド」の名前が有名すぎるおかげで、 マニアックなものを好むプログレ・ファンが未チェックだったり... と多くの人に見落とされがちな気がしてならいのは私だけでしょうか?
聴けば聴くほど、アメリカン・プログレの名盤としてはもちろん、 ロック史上に残る名盤であることを再認識する奥の深い作品です。

No.28
・LWE/LUCAS, WHITE & EDSEY(06)
スタジオ・ミュージシャンとして活動するアメリカ人キーボーディスト、 フランク・ルーカス率いるシンフォ〜ジャズ・ロック・トリオによるデビュー作。
新品500円で叩き売られていたので全く期待していませんでしたが、 かなりの傑作でした。(久々の逆転サヨナラ満塁ホームラン!)
いかにもELPを意識したようなアルバム名、バンド名でありながらELPらしさは薄いです。 ジャズやフュージョンを基本としながらメロディアスなシンフォ作品に仕立て上げる手法は デヴィッド・サンシャスに近いものを感じます。 (特にアルバムのハイライトともいえる3曲目は、 演奏、アレンジ、アイデア、メロディ... あらゆる要素が絶頂期のデヴィッド・サンシャスを彷彿とさせる超名曲!)
とかく哀愁や泣きにこだわる作品が氾濫する中、 本作の明るく力強く前向きなメロディ (ピアノの音の拾い方がどことなくパッヘルベルのカノン風だったりして...)は 新鮮で感動的だったりします。
内容には関係無いですが、ルーカスが日本人顔(しかもストレスため過ぎた大泉洋っぽい!)なのが かなり違和感あります。

No.29
・10000 ANOS DEPOIS ENTRE VENUS E MARTE/JOSE CID(78)
韓国M2Uがまたまた大仕事をやってくれました!
ポルトガル屈指の叙情派シンフォ大名盤が、 オリジナル盤を忠実に再現した豪華仕様+貴重なボーナス音源収録という 願ってもない形でリリースされました。
イタリアン・シンフォ勢も真っ青の、情熱的かつ劇的な展開の連続に、 耳の肥えたシンフォ・ファンといえども感動を禁じえないでしょう。 プログレ名盤紹介にも掲載します。
こういう名作を聴くと「音楽はテクニックじゃない!」と強く感じます!

No.30
・IN ACTION/IN SYNTHESIZER SOUND/THE PINK MICE(04)
クラシックの名曲をロック・アレンジで聴かせる ドイツのインスト・バンドの1st(71年作)+2nd(73年作)のカップリング盤。
エクセプションがハード・ロック化したようなオルガン主体の1st、 大胆にシンセを導入し「ペリキン」っぽさも漂う2nd... どちらも甲乙つけ難い傑作となっています。
バンドの知名度は低いですが、実はルシファーズ・フレンドの別名ユニットなので、 演奏、アレンジともにクオリティは保証済みといえます。
1stはプログレ名盤紹介に掲載します。


その他

・LOVE/THE BEATLES(06)
ちまたでなにかと物議をかもしている(一応)ビートルズによる(一応)新作。 2007年の聴き初め!として、この作品を選びました。
ご存知の通り、マーティン親子による非常に手の込んだコラージュ集となっていて、 (1)ほぼ原曲どおりで手を加えたことに気付きにくいパート、 (2)悪趣味で不愉快に感じるパート、 (3)斬新なアイデアにうならされるパート が代わる代わる出てきます。
おかげで、可もなく不可もない人、徹底的に批判している人、素直に感動している人の それぞれの気持ちが非常に良くわかりました。 (私の(1)〜(3)の割合は3:1:2... 結果的に楽しめた部分のほうが多かったので聴いてよかったと思います。 特にミスター・カイト〜、ストロベリー・フィールズ〜のアイデアは最高!)
解散から多くの年月を経た今でも、 いまだに大騒ぎになるなんてビートルズにしか出来ないでしょうね。
ビートルズを知らない若い人々にビートルズと触れ合うキッカケを与えたことを考えると、 本作のリリースはとても意義のあることだと思います。

・ROCK FANTASIA OPUS 9/WURTEMBERG(80)
フランスの古楽トラッド・バンド唯一の作品。
なんとメンバーに楽器職人が在籍し、 自作した「プサルテリオン」という楽器を操っています。
プサルテリオンの独特な音色はもちろん、 さまざまなアコースティック楽器の本来の響きを大切にした、 繊細で透き通るような演奏の連続に心が洗われます。
ただ個人的には少しおとなしすぎるように感じます。 (もう少しロック色が強ければプログレ名盤紹介に掲載したんだけどなぁ...)
また、バッハ&ベートーヴェンの名曲にプサルテリオンが加わっただけの ボーナストラック2曲はちょっと芸がなさ過ぎ...もう一ひねり欲しかったです。 (全然関係無いけど、この2曲が続くとエヴァンゲリオンを思い出しちゃいます!)

・METANOIA/NEXUS(01)
バンド名から、日本のベテラン・プログレ・ファンなら馴染みのレーベルを思い出すであろう、 アルゼンチンの実力派シンフォ・バンドの2nd。
ELPを手本とし、現代的なシンフォ・サウンドを構築している点では、 PLPに通じるものがありますが、 彼らは、土台のELPの他、ジェネシスやクリムゾンを加え、 さらには南米独特の空気(特に情熱的な女性ボーカルが秀逸)が漂う 独自のスタイルを確立しています。
アルゼンチンが、韓国やインドネシアに負けないくらい強力な プログレ国であることを象徴するような、 正統派キーボード・シンフォの傑作といえるでしょう。

・STAR TALES/DOL AMMAD(04)
ギリシャの「エレクトロニカ・アート・メタル?!」プロジェクトのデビュー盤。
なんと「シンフォ・メタル」と「テクノ〜トランス」との融合を図るという、 かなり無茶なことにチャレンジしています。
荘厳な混声合唱、空間を自在に駆け巡るシンセ、疾走するドラム... これまで聴いたことのないサウンドは斬新で刺激的ですが、 アルバムを通すと起伏に乏しくのっぺりしているのが残念... 人数(全16名)が多く、音楽要素も豊富なのですから、もう一工夫して欲しいところです。
彼らの試みが成功といえるのかどうかは、ちょっとビミョーなところですが、 ゲテモノ好きなら一聴の価値はあると思います。 (エイリオンとラプソディの両バンドが好きな人も挑戦してみましょう。)
スペーシーな音世界を表現したフラクタルなカヴァー・アートは絶品です。

・BAD DOG U/SAME(05)
アメリカの新人シンフォ・フュージョン〜ジャズ・ロック・バンドによるデビュー盤。
ブラフォードやディキシー・ドレッグスといった偉大な先輩バンドを手本とし、 さらにうっすらとカンタベリー色を加えたような、 適度にテクニカルで適度にメロウな大人の演奏を繰り広げています。
プロダクションもしっかりしているので、 とても新人バンドのデビュー盤には思えません。 (デビューといいながらメンバーの平均年齢も高いんだろうなぁ〜!)
かなり充実した内容なので今から次作が楽しみです。 NATHAN MAHL、HELMET OF GNATS(両バンドとも最近どうしてるんだろ...?)を 気に入った方は入手しておきましょう。

・MABOOL/ORPHANED LAND(04)
イスラエルだけでなく中近東を代表するメタル・バンドが 長い年月を経て作り上げた驚異的な力作。
中途半端で面白味に欠けていた前作から大きく飛躍しています。
辺境〜民族音楽系バンドの多くはB級の域を出ていませんが、 逆にそのB級らしさが一部のマニアにいとおしく感じられ、 過剰評価されるきらいがあります。
しかし、本作のサウンドはそれらとは全く別の高い次元にあります。 民族色を真正面から取り入れ、 シンフォニックかつドラマティックなメタルと実に見事に融合させており、 彼らにしか出せない新しいサウンドを生み出しています。
民族色を取り入れ本格的な正統派メタルに昇華させる能力は、 アングラ以上だと思います。
中近東フレーズはねっとりと耳にこびりついてなかなかはがれません!

・HERO/DIVINEFIRE(05)
スウェーデンから出現した新進気鋭のシンフォ〜ネオ・クラシカル・メタル・バンドによる2nd。
典型的なネオ・クラシカル・メタルを下地に、北欧ならではのメロ・デス、シンフォ・ブラックの要素を 巧みに取り入れた贅沢なサウンドを楽しむことができます。 古き良き様式美メタルを現代に進化させた理想形の1つといえるでしょう。スキは全く見当たりません。
ただマンネリ化しているこの手のジャンルを打破するにはまだまだ弱さを感じます。
かなりの実力を持っているので今後保守的に活動し続けてもアルバムは売れると思いますが、 大きなポテンシャルを秘めているからこそ、 彼らにはアグレッシブに攻めつづけて欲しいと思います。

・DREAMLAND MANOR/SAVAGE CIRCUS(05)
ジャーマン・メタルの重鎮バンド、ブラインド・ガーディアンを脱退したドラマー、 トーメン・スタッシュが新たに結成したメタル・バンドのデビュー作。
いやはやびっくりです!...トーメンに思わず 「お前は平成のニック・シンパーか!?(1期パープル→ウォーホース)」 と言いたくなるほど未練がまし...じゃなかった 過去に在籍していたバンドのサウンドを完全に受け継いでいます。 ブラガ・フォロワーというかブラガ・クローンというか... 最近のブラガの状態を考えるとブラガ以上にブラガってます!(←なんだそりゃ)
残念ながら歌メロが印象に残りにくいものの、 アルバムをどこからどう聴いても一番輝いていた頃のブラガそのものです。
ハロウィンの弟分として活躍している頃から彼らを追って来た、 私のような古いメタル・ファンにとっては懐かしくてたまらない内容だと思いますが、 最近のブラガしかしらない、または、ブラガ自体を聴いたことの無い 最近のメタル・ファンにとっては、 この男くさいパワフルなサウンド&ボーカル&コーラスは 逆に新鮮に聴こえるのでは無いでしょうか?
新旧どちらのメタル・ファンにもアピールするであろう傑作です。

・THE BEST OF CHRIS RAINBOW 1972-1980/CHRIS RAINBOW(00)
スコットランドの才能豊かなソロ・ポップ・アーティストによるベスト盤。
エミット・ローズやヴァン・デューレンと似たタイプなのかな?と勝手に想像してましたが、 ルーツはビートルズではなくビーチ・ボーイズ(しかもSURF'S UPの頃!)であり、 ポップにとどまらず、クロスオーヴァー、AORといったその時代の流行を うまく取り入れた奥の深いスタイルを追求しているのが面白いです。
また代名詞ともいえる一人多重コーラスの美しさ、一音一音の細部までのこだわり、 なんでもこなしてしまう懐の深さは、やはり山下達郎を思い出さずにはいられません。 (才能も決して負けていないと思います。)
アラン・パーソンズ・プロジェクト、キャメルで活躍していたり、 トン・スケルペンツェル(KAYAK)のソロに参加していたり、 バックにデイヴ・ロウソン(WEB、SAMURAI、GREENSLADE...)が参加していたり... 意外とプログレな人なので、ポップ・ファンだけでなく、 プログレ・ファンも押さえておきましょう。

・TERRAUSTRALIS/AUSTRALIS(05)
チリの現プログレ・シーンの中核を担う、 テクニカル・シンフォ・バンドENTRANCEのギタリストが結成した新バンドのデビュー作。
ENTRANCEのキーボーディストJAIME ROSASの活動に触発されたんでしょうか、 ホールズワース影響下のテクニカルなギターを前面に出した テクニカル・シンフォの力作に仕上がっています。
ENTRANCEやJAIME ROSASの作品と同様に、ぐいぐい弾きまくるど派手な展開を期待すると やや肩透かしを食らうと思いますが、スペイシーな空間をぐんぐん広げていくシンセ(静)と それを埋め尽くすホールズワース系ピロピロギター(動)の コントラストが際立つサウンドは魅力にあふれています。
メンバーそれぞれがソロやサイド・プロジェクトの経験を積んでいるので、 ENTRANCEの次作はきっと名盤に仕上がることでしょう。(その前に解散してたりして...)

・OK GO/SAME(02)
シカゴ出身の4人組パワー・ポップ・バンドによるデビュー盤。
ヘンテコなルックスのイロモノ系?メンバーがいるおかげで、 これまでずっと無視してきたんですが、 評判の良さと値段の安さから聴いてみたら当たりでした。
まるでジャケットどおりに一つ一つの音がきらびやかに弾けているので、 聴いているうちに心も弾けてきて気持ちが良いです。 またバンド名どおり誰にでもわかりやすく覚えやすい曲が揃っているのが嬉しいです。
FOWのようなチープでかわいいシンセもはまっていますし、 甘酸っぱいコーラスも決まっています。
特に4曲目は名曲...聴いていると切なさで胸が張り裂けそうになります。
欠点が見当たらない(除く:メンバー1人のルッ・・)ので、 パワー・ポップ・ファンなら押さえておきましょう。

・HYBRIS/ANGLAGARD(92)
スウェーデンの暗黒系シンフォ・バンドによるデビュー盤にして 90年代プログレシーンを代表する名盤。
ジェネシスやクリムゾンの影をあちこちに感じるものの、 星の数ほど存在するジェネシス、クリムゾン影響下のバンドとは明らかにレベルが違います。
北欧のよどんだ曇り空を連想させる陰鬱な世界観のもと 繊細で荘厳かと思えば突如荒れ狂うオルガン、ギター、リズム隊、 重くのしかかるようなメロトロン、枯れ木のように静寂なフルートらが 渾然一体となった重厚なサウンドは、 彼らにしか作り出せない独自のものといえます。
これだけの作品を残しながらたった数枚で消えてしまうなんて... 彼らがいまだに特別な存在として語り継がれているのも十分頷けます。
これほどレベルの高いプログレ・バンドは今後もなかなか出てこないでしょうね。

・THE UNBORN/MORS PRINCIPIUM EST(05)
新人離れした強力なデビュー盤が多くのメタル・ファンに支持された、 フィンランドのメロデス新世代バンドの2nd。
イン・フレイムス、アーク・エネミー、チルボドといった看板バンドが、 最も輝いていた(最もメタル度が高かった)頃のおいしい部分だけを組み合わせ、 現代にアップデイトしたような理想的なサウンドを堪能できます。
メロデス界の有名どころの多くが方向性を変えてしまった今、 彼らはかなり貴重な存在といえるでしょう。
ただ前作のレビューでも書いた気がしますが、 せっかくの超絶ツイン・リード・ギターによる 高速ギターソロを前面に押し出していないのがとっても残念です。 (次回はミキシングに参加させてくれ〜!)

・#1 RECORD/RADIO CITY/BIG STAR(92)
知る人ぞ知るメンフィス出身の元祖パワー・ポップ・バンドによる 1st(72年作)と2nd(74年作)のお買い得カップリング盤。
「ビッグ・スター」という恥ずかしいバンド名に完全に名前負けして商業的には失敗していますが、 内容は充実していて良い曲ばかり...ラズベリーズ、チープ・トリックとはまた違うタイプの アメリカのパワー・ポップの源流を思う存分楽しむことができます。
よく考えれば、あのヴァン・デューレンもメンフィス出身... 意外と「メンフィスはポップ・シティ♪」(not スターシップ!)だったんですね〜。

・オリーブの首飾り〜ポール・モーリア・ベスト・セレクション VOL.1/ポール・モーリア(02)
2006年に惜しくもこの世を去った、 イージーリスニング界の巨匠のベスト盤1枚目。
「恋はみずいろ」、「オリーブの首飾り」、「そよ風のメヌエット」... これまでありとあらゆる場所場面で耳にし、 幼少の頃からすりこまれてきた珠玉の名曲ばかりがずらりと並んでいます。
このベストによりはじめてポール・モーリア作品であることを知った曲もあり、 名曲の多さに改めて驚くとともに、彼の功績の偉大さを再認識しました。
ロマンティックで美しいメロディとアレンジにとろけそうです。
1曲ごとに様々なことを思い出してなんとも懐かしく切ない気分になります... が中には、思春期の頃に見たAVのワンシーン(←BGMで使われてました(ありがち)... ってそんなこと書くなよ!)もあったりなんかします...(^^;)

・AIR CUT/CURVED AIR(73)
70年代ブリティッシュ・プログレを語る上で決して 外すことのできない名バンドが残した歴史的名盤。
その昔メジャーなプログレ・バンド(5大バンド、キャメル、 ソフト・マシン、ナイス...)を押さえた後、 さらに奥深い世界に足を踏み入れるキッカケ (当時購入したマーキーに連載されていた「ブリティッシュ・ロックの巨人達」で 特集されてました)となった作品であり、 数曲をバンドでコピーしていたこともあるので、ものすごく思い入れがあります。
その頃はカーヴド・エアの作品の中で、唯一簡単に入手できるアルバム (普通に新品で購入しました。でも他のアルバムは全て廃盤!...)だったのに、 何故かCD時代になったら本作だけ再発されないという摩訶不思議な状態が延々と... いずれにせよこれだけの名盤がCD再発され、 埋もれることなく多くの人に聴かれるようになって良かったです。
天才エディ・ジョブソンの驚異的な才能が大爆発し、 カービーをはじめとする他のメンバーのロック・スピリッツあふれる力強い演奏 と融合して誕生した、親しみやすくて格好良くて分かり易いプログレ・サウンドが最高! ...昔も今も変わらず耳を奪われてしまいます。

・NOCTURNE/THE HUMAN ABSTRACT(06)
アメリカの将来有望なメタルコア・バンドのデビュー盤。
以前AVENGED SEVENFOLDの衝撃的なスタイルに酔いしれた際、 もしこのメタルの要素がジャーマン系では無くネオクラシカル系だったら... プログレメタル風だったらどうなるんだろう? と思いましたが、既に彼らによって実現化されていたんですね!
メタル度はかなり強く、北欧メロデス、ネオクラシカル、プログレメタル... といった多様なジャンルを吸収しています。
アグレッシブでキレのある演奏は相当格好良いのですが、 超絶ギター・ソロの素晴らしさに比べて歌メロが負けているのがなんとも残念です。
作曲能力がアップすればとんでもないバンドに化けると思います。 まだ若いバンドなのでこれからに期待しましょう。

・DOCUMENTOS/ANACRUSA(05)
南米を代表する叙情派シンフォ・トラッド〜フォルクローレ・バンドの 3rd(75年作)と4th(76年作)のカップリング盤。 ずっとCD再発を待ち望んでいたのでとってもうれしいです!
素朴でロック色の薄い1st、2ndと、 後にフランスへ渡り発表する2枚の名盤(EL SACRIFICIO、FUERZA)とを つなぐ作風なのですが、この両者の混じり具合が絶妙... さすがに後の名盤と比べると完成度では劣りますが、 彼らにしか作り出すことのできない儚くて美しくて叙情的な音世界は 十分に味わうことが出来ます。 (場面によっては演奏のつたなさが逆に生々しくて良かったりします!)
後の名盤に収録されている名曲のうち、 数曲は早くもこの時点で完成していたことに大いに驚かされました。 聴き比べるのも面白いですね。

・KINI/ROSSA(02)
バラードが得意なインドネシアのキュートな歌姫による作品。
随分前にバリのクタスクエア(マタハリ)で大量買付したうちの1枚です。 (←現地で金持ち&変人扱いされました!)
完璧な内容だった次作KEMBALIに比べると、 楽曲のインパクトが弱く、洗練度も劣りますが、 それでも数多くのインドネシア女性ヴォーカル作品の中で、 かなり上位に位置する魅力的な内容であることにかわりありません。
彼女の憂いを帯びた独特な歌声は、 インドネシア最大の特徴である泣きメロとの相性が抜群です。
ただSAKURAという曲の中間部における日本人男性の語りだけは ちょっとキモくていただけないです!

・ALL THE PEOPLE SOME OF THE TIME/THE JTG IMPLOSION(02)
アメリカからまたまた出てきた強力なポップ・プロジェクトによるデビュー盤。
知名度は低いですがこの質の高さは文句無しにメジャー級...どの曲も弾けまくってます。
BEATLES、QUEENといった大御所はもちろん JELLYFISH、COTTON MATHER、MARK BACINO...といったタイプは異なるものの メロディの人懐っこさでは共通するバンド/アーティストを連想させる 高純度のポップ・サウンドを思う存分楽しめます。
ユニークなのは、随所でハード・ロック〜メタル色がにじみ出ているところでしょう。 (そもそもギターの音はかなり大きめだし、前に出てるし...) そういう点ではPAUL GILBERTファンも押さえておくべき作品です。
JTGってなんの略かと思ったら主要メンバーJOSEPH THOMAS GIDDINGSの頭文字だったんですね。
そろそろ次回作が出ても良い頃です...早く出ないかなぁ...

・SEVEN DAYS IN THE SUN/ASKIL HOLM(03)
以前ノルウェー孤高のスーパー・バンド、モーターサイコにはまっていた2003年頃、 ノルウェーにはまだまだ他にもいい音楽が存在するはず!... とあれこれ探していた頃に出会った才能豊かなSSWの国内デビュー盤。
どの曲もポップでメロディが覚えやすいのですが、ただポップなだけでなく、 ちゃんとロックしていて真ん中に太い芯が通っているのが頼もしいです。
最初、歌い方や声質にややクセがあるのが気になっていましたが、 何度も聴いているうちに逆に親しみがわいてきちゃいました!
6曲目のような名曲を今後も残して欲しいものです。

・DEAD END/GODIEGO(77)
当時を知る誰もが、いまだに多くの大ヒット曲を口ずさむことのできる、 日本のスーパー・バンド、ゴダイゴが「西遊記」で世間に認知される前に、 アーティスティックな感性、練りに練られたコンセプト、旺盛なチャレンジ精神のもとに 作り上げたロック・バンドとしての最高傑作。
世間に知られる明るくポップなイメージとはかけ離れた、 先鋭的でイマジネイティブなサウンドは、 プログレッシブ・ロックと呼んでもおかしくないものなので プログレ名盤紹介にも掲載します。
バンド名を英語表記(GO-DIE-GO)にすると意味深で格好良い事に今頃気付きました。

・THREE CHEERS FOR SWEET REVENGE/MY CHEMICAL ROMANCE(04)
2006年を代表する超名盤ブラック・パレードが売れに売れまくった スーパー・バンドによるメジャー・デビュー盤。
若さにまかせて突っ走る荒々しさと、細部まで計算され尽くした緻密さとが 見事なバランスで結合したブラック・パレードには圧倒されましたが、 ひたすら感情をむき出しにして突っ走る本作の血気盛んなサウンドも見事というほかありません。
爆発力のみで考えると彼らが今後このデビュー作を超えることは無いでしょう。
それにしてもある程度予想していたとはいえ最初から良い曲ばかり書いていたんですね〜。 聴いているだけで体中が熱くなります。 シーンの頂点に君臨するバンドはやっぱり違うなぁ。

・SPACE KELLY/SAME(00)
日系ドイツ人アーティストによるギター・ポップ・ユニットのデビュー作。
このアルバムが世に出た頃、池袋のタワレコで試聴して気に入ったものの、 他に欲しいCDがあったので次回買おうと思い店を後にしてからずーっと忘れていました... 2006年の渋谷HMVセールで見覚えのあるこの緑色のジャケットと劇的に再会し ようやく入手できました!(同時に2ndも発見したのでもちろん購入)
そうそう、この親しみやすくて、良い意味で素人っぽいポップ加減がたまりません! 昔試聴した時と同じ感覚が戻ってきました。
メロディのふんわりふわふわ感と ドイツ語ヴォーカルのゴツゴツしたひっかかり感とが 不思議とうまく溶け合ってるのが良いんですよね。
ドイツ語ポップものとしては、MUNCHENER FREIHEITやRIVIERAの名盤に 並ぶ傑作だと思います。
ラストの淀川長治ネタは誰が教えたんでしょうね?

・THE BEST OF SMAK/SMAK(96)
BIJELO DUGMEと並ぶ旧ユーゴの代表格バンドによるベスト盤。
1975年に発表したデビュー盤の楽曲を中心とした内容で、 長い活動歴を誇る彼らのサウンドの原点を知ることができる貴重なアルバムとなっています。
19分の大作を収録していることもあり、 マニアックなプログレ・ファンにはそこそこ知られていますが、 プログレ・ファンよりも、断然70年代ブリティッシュ・ハード・ロック・ファンに アピールする内容となっています。
ハード・ロックといっても、 ツェッペリン(6曲目は明らかに「貴方を愛しつづけて」に影響受けてます!)のような王道路線、 一時期のジェフ・ベックのようなファンク、クロスオーバー路線、 テンペストのようなジャズ・ロック路線...と様々なタイプの楽曲に挑戦していますが、 楽曲と演奏の素晴らしさは共通しています。
中でも演奏能力は際立っており、テクニカルな曲におけるリズム隊の切れ味、 バラードにおけるギター、キーボード、ヴォーカルの泣き合戦には痺れまくりです。
世界に十分通用する作品なのに入手が難しく知名度が低いのがなんとも残念です。

・HIMMELSKIP/IVER KLEIVE OG KNUT REIERSRUD(96)
ノルウェーの名オルガン奏者IVER KLEIVEと、 卓越した表現力を持ったギタリストKNUT REIERSRUDによる クラシカルなシンフォ・ミュージック作品。
深遠なパイプ・オルガンと繊細なギター(←ロング・トーンはどこかロイネ・ストルト風!)が、 お互い語り合うようにしながら荘厳で重厚な世界を作り上げています。
透き通るような美しさに耳を委ね、素直に感動しながらも、 「同じドラムレスの宗教系〜パイプ・オルガンものでもヤクラとは全然違うなぁ〜!」 とついつい余計なことを考えちゃいました!(笑)

・IMAGINE/STRIDE(05)
アメリカの一風変わったプログレ・メタル・バンドの2作目。
プログレ・メタルとメロディアス・ハードを融合...ってことになっていますが、 評判どおり「ドリーム・シアター+ジャーニー」と表現したほうが話が早いです! (比率はドリーム・シアター7割、ジャーニー3割といった感じでしょうか?... それにしてもこれほど評判がズバリ当てはまるバンドも珍しいです。)
組み合わせとしてはかなり面白いのですが、 ドリーム・シアター部分もジャーニー部分も古臭いのがちょっと残念です。 (1980年代からバンドが存在していた=オッサンバンドだから?)
また相当なテクニック集団(特にヴォーカル、ギター、キーボードの3人は強力!)であるにも 関わらず、ドリーム・シアター+ジャーニーの印象が強すぎて、 プラスアルファの部分があまり見当たらないのが勿体無いです。
年齢的にきついのかもしれませんが、今後は枠にとらわれずがんがん暴れまわってくれれば、 凄いバンドに成長すると思います。

・BLOOD MOUNTAIN/MASTODON(06)
様々な怪物が次々に飛び出すメタルコア〜ハードコア周辺のシーンの活況ぶりを 象徴するような超絶爆裂バンドのメジャーデビュー盤。
変拍子を多用した複雑な楽曲を凶暴なメンバーがぐいぐい演奏していきます。 中でもドラムの暴虐度は常軌を逸しており、 まるで巨大な斧で無数の大木をものすごい勢いでズバズバ切り倒している感じです。
ロールを多用して一気に叩きまくるところは、 ロード・ウォリアーズなみに筋肉を強化したフリオ・キリコのようです!
ただメロディが薄いこともあるのでずっと聴いていると疲れます。
マーズ・ヴォルタとタイプは違いますが、 このバンドもクリムゾンやツェッペリンの影がちらついているように思います。

・ACTORS IN A PLAY/MINDGAMES(06)
ベルギーの正統派シンフォ・バンドによる2nd。
新世代シンフォ・バンドの多くが、 古くからあるスタイルに新しい要素を取り入れたり、 様々なジャンルの音楽性を組み合わせたりする中、 このバンドはジェネシスの遺伝子を明確に受け継いだポンプ王道路線... 悪く言えばちょっと安直でベタなスタイルを貫いています。
その代わり楽曲の出来映えはすこぶる素晴らしく、 特に最初の2曲は、最近のシンフォものの中で頭2つ分ぐらい抜けている感じを受けました。
細かいパートすべてに見せ場があるので、連続しても全くだれません。 長い曲でも最初から最後まで常に曲にひきつけられっ放しになります。
スタイルに注力しない分、楽曲を磨き上げることに全力を注いでいるんでしょう。
自主制作でこれだけ内容の濃いものを作れるんですから今後も彼らには注目したいと思います。

・COSTELLO MUSIC/THE FRATELLIS(06)
グラスゴーから出てきた、 ジョン、ミンス、バリーのフラテリ3人組バンド、 フラテリス(←ラモーンズにあこがれてるのかな?)によるデビュー盤。
アルバム収録曲が、CM音楽界の超名門i-podのCMに採用されたことからも明らかですが、 誰にでも楽しめる内容となっていて、 トリオならではの音の少なさ、隙間、薄さ...といったものをうまくいかした 軽快な演奏がとても気持ちよいです。
特に目新しいことはやっておらず、アルバムの随所で新旧のいろいろなメジャーバンドを 連想しますが、全体的にはつかみ所がなく似たバンドが思い浮かびません。
なにはともあれどの曲も底抜けに楽しいことだけは事実です。 難しいことは考えずに思い切り楽しんじゃいましょう。

・ALASKA/BETWEEN THE BURIED AND ME(05)
なんでもありの無法地帯と化してやたら盛り上がっている近年の コア・シーンを象徴するような変態ミクスチャー系コア・バンドの作品。
大体コアとか言っておきながら、カヴァー・アルバム(次作)で フロイドやクリムゾンを取り上げる時点でおかしいでしょ!(笑) (おかげでアルバムタイトル曲はUKのカバーなのでは?... って変に期待しちゃいました!)
基本的には、THE HUMAN ABSTRACTとAVANGED SEVENFOLDを足しで2で割ったような 攻撃的なリフ、くさいメロディ、高速ギターソロ...が売りのメタル・コアなのですが、 それに予測不可能な様々な要素が次々とかぶさって来るのだからたまりません!
プログレの発展系としてまだこんなスタイルが残されていたんですね〜。目から鱗デス!

・EVOLVER/LUNCHBOX(02)
前作THE MAGIC OF SOUNDにおけるチープでかわいいサウンドが深く印象に残った アメリカのマニアックなギター・ポップ・バンドの作品。
前作と同様、相変わらず激安なサウンドですが、 隠し味となっていた屈折度、サイケ度がかなりアップしています。 (コットン・メイザー風の楽曲も収録...もはや隠し味では無くなっています!)
まるで日曜の午後についついうたたねしてふわふわ夢心地〜... といいながらも前日の酒が残っててちょっと気持ち悪くてフラフラ〜...といった感じです!(なんだよそれ)
能天気なパパパ・コーラス(歌の半分はパパパですね...歌まで低予算!(笑))は 相変わらず軽快で心地よいです。

・FRANK STALLONE/SAME(84)
映画「ステイン・アライヴ」の主題曲であり超名曲として知られるFAR FROM OVERで 一躍スターダムにのぼりつめた(そして一気に落ちていった!) シルベスター・スタローンの弟によるデビュー作。 まさかのロッキー復活を祝して未聴CDタワーから引っ張り出してきました!
一般的にはまぐれの一発屋扱いされていますが、 このアルバムを聴けば誰もが考えを改めることでしょう。
全体的にはFAR FROM OVERのイメージとは異なっており、 スティーリー・ダン、ホール&オーツ、エアプレイ、クリストファー・クロス、シカゴ(17の頃)... といった最上級のAOR〜産業ロックのエッセンスが散りばめられた傑作となっています。
フランク・スタローンのパフォーマンスはなかなかのもので、 決して「兄の七光り」だけでは無いことが良く分かります。
しかし、この作品の最大の功労者は映画音楽で有名なヴィンス・ディコーラでしょう。 (あまり関連が無さそうですがアングラのエドゥ・ファラスキは彼にかなり影響を受けたそうです。)
ヴィンス・ディコーラが参加したおかげでこのアルバムのレベルが数億倍アップしています。
FAR FORM OVERはもちろん、アルバム内で時々飛び出す過剰なまでに ドラマティックなシンセ・アレンジが最高です。
一人でも多くのAOR〜産業ロックファンに聴いてもらいたい隠れた名盤です。

・AWAKENING THE WORLD/LOST HORIZON(01)
スウェーデンから登場した超ド級の本格派メタル・バンドによるデビュー作。
メイデン、ジューダス、マノウォー...といった重鎮バンドを全て踏み台にして、 これまで誰も到達することが出来なかった高い地点に登りつめています。
演奏、楽曲...全てにおいて非のうちどころがありません。 中でもヴォーカルのダニエルはこれまでの常識を一気に覆す すさまじいパフォーマンスをみせています。 メタルをやってる人間であれば誰もが一緒に組んでみたいと思うでしょう。 (バンド加入権をオークションにかけたら凄い金額になりそう!)
本格派王道メタル路線でこれほどの完成度を誇る作品は そう簡単に見つからないし出てこないでしょう... 今思いつくのは彼らの2nd(←本作以上のクオリティ)ぐらいです。
このままだと3rdはどうなるんだろ?...とリリース予定を調べたら、 いつのまにかダニエルが脱退...なんでだよぉぉ...
どうか、しょぼいバンドでしょぼい作品を作るような、 才能もてあますような真似だけは避けてくださいね。よろしくおねがいします。 > ダニエル

・ENDANGERED SPECIES/KLAATU(80)
カナダが誇る偉大なポップ・バンドの4th。
前3作では、ビートルズ後継のポップ王道路線を基本としながら、 アルバムごとに少しずつ音楽性を変化させていましたが、 本作はこれまでと感じが変わり、ビートルズ色がかなり薄まっていて、 最初はちょっととまどいました。
時代の流れを取り入れた結果、いわゆるニッチポップな作品となっています。
ただいろいろと変化はあってもクラトゥの作品ですから 当然質は高いです。聴き込むうちにどんどんはまっていきます。 もしビートルズがこの時期まで継続して活動していたら、 こんな感じになっていたのかもしれませんね。
ビートルズ色は薄くなりましたが、 バッドフィンガー、パイロット、クイーン(地獄へ道づれ) といったライバル達を髣髴とさせる楽曲を収録しているのが いかにも彼ららしくて微笑ましいです。

・SOUNDLIGHT/KEITH CHAGALL(04)
コロンビア生まれの無名なポップ・アーティストによる作品。
ビートルズの影響が色濃いサウンドで、質はかなり高いです。
ポールかジョンかどちらかに偏りがちな、他のビートルズ・チルドレンと違い、 ハリスンをきっちりフォローしているのがポイントでしょう。
知名度が低いのでなかなか手を出しづらいかもしれませんが、 ビートルズ系ポップス・ファンなら納得の行く一枚だと思います。

・POSITIF/JEAN-JACQUES GOLDMAN(84)
プログレファンにはタイ・フォンのメンバーとして知られる フランスを代表する名アーティストのソロ3作目。
デビュー盤が相当良かったので調子に乗って買ってみました。
デビュー盤と比較すると、さすがにポップ度が増し、タイ・フォンの影はさらに薄まっています。 (といいながらストリングスにハイトーンが乗っかる展開に出くわすと、 シスター・ジェーン・モードに突入し、胸が熱くなってしまいます!)
この時代特有の懐かしいアレンジが微笑ましいですが、曲、歌ともに安定し 充実した作品となっています。
質の良い曲を誰にも真似できないあの声で歌い上げてくれると、 もうそれだけで十分心が満たされるんですよね〜。この声、存在感ありすぎです。

・NO SUGAR ADDED/VALENTINE(98)
オランダの貴公子、ヴァレンタインの5作目。
これまでアルバムを発表するたびにスケールが大きくなり、 一体どこまでいってしまうのか心配でしたが、本作はその流れに区切りをつけており、 アルバムタイトルどおりシンプルで地味な内容となっています。 (といっても他のアーティストと比べるとまだまだ派手ですが...!)
スタイルが大きく変わった直接の原因は、父親を亡くしたことだそうですが、 それにしても変わり過ぎです。でもこれだけ愛された彼の父親は幸せでしょうね。 (その昔某プログレ・メタル・バンドのキーボードが脱退前、 失恋の影響を受けて重くて暗くてつまらない曲を書いていたのを思い出しちゃいました!)
たまには素朴なヴァレンタインも良いものですね。

・SERIE DE ORO:GRANDES EXITOS/LOS SHAKERS(04)
ビートルズとともに60年代を駆け抜けた 「ウルグアイのビートルズ!」ことLOS SHAKERSのベスト盤。
1曲目は「悲しき街角」っぽい感じ (あとで調べたらデル・シャノンのカヴァーでした...どおりで...)で あまりビートルズっぽく無いなぁ... なんて思いましたが、その後とてつもなく赤盤ビートルズな名曲ばかりが並んでいて卒倒しました!。 ビートルズ・マニアなら「オー・マイ・ガット=ウルグアイ・ラウンド!!」 と叫ばずにはいられません。(←意味不明!)
じっくり聴くと、単なる物真似ではなく、曲がきちんと作られていることがわかります。 また南米だけあって本家に比べて演奏がやたら情熱的で格好良いです。 (必要以上にノリノリな手拍子なんか最高!)
在籍メンバーであるファットルーソ兄弟がその後、 ジャズ・ロック系スーパー・バンドOPAに移行することを考えると 内容が良いのは当然といえば当然なんですよね。 ビートルズ色が少なめのラテンな歌ものも絶品です。
ただしこのベスト盤はあまりにも収録曲が少な過ぎ...オリジナル盤がCD化されないかなぁ。

・ROONEY/SAME(03)
アメリカのメジャーなポップ・ロック・バンドのデビュー作。
一般的な音楽ファンから口うるさいポップ・マニアまで 幅広い層にアピールできるFOWのような音楽性は魅力たっぷりです。 マニアックなメロディやアレンジを詰め込みながら、 メジャーの土俵できっちり勝負できる安定感を持ち合わせています。
デビュー時期が近いこともあってか、タイプ的にOK GOに近い印象を受けましたが、 こちらのほうがブリティッシュ寄りで懐かしい音を出していると思います。
デビュー盤でこれだけのものを作れるんですから、 今後も傑作を発表し続けることでしょう。

・THE SHADOW CABINET/WUTHERING HEIGHTS(07)
デンマークの大仰シンフォ・トラッド・メタル・バンドが 満を持してリリースした2007年新作。
前作もドラマティックな展開がぎっしり詰まった傑作でしたが、 本作のクオリティもほぼ同レベル... この手のファンが悶え死ぬようなコテコテで劇的な世界が繰り広げられています。
ニルス・パトリック・ヨハンソンの歌唱はますます凄みを増しています。 (というかちょっと調子に乗りすぎてるかも!) この男なら過去の様々なメタル・ヴォーカリスト達の歌唱を 1人で見事に再現できる気がします。(ある意味メタル界のクリカン!?)
そのうちスーパー・ヴォーカリストを失った様々な 大物バンドから引っ張りだこになったりして!(笑)
ボーナス盤のライブ音源は録音も演奏も粗くてちょっとがっかりしました。 (これじゃ逆ボーナス...)

・COLD CUTS/NICHOLAS GREENWOOD(72)
知る人ぞ知る70年代ブリティッシュ・プログレの隠れた名盤。
とてつもなく高いプレミアのおかげで、ブートでしか聴けないだろう... と半ば諦めていましたが、この作品も神レーベルAKARMA様が正規再発してくれました。 (さすがAKARMA...目の付け所がシャープです!)
この時代が持っていたおどろおどろしい空気を凝縮し、 見事にサウンドとして具現化し、1枚のアルバムに封じ込めた名盤です。
もちろんプログレ名盤紹介にも掲載します。

・HURRICANE BAR/MANDO DIAO(04)
2003年に衝撃的なデビューを飾った スウェーデン期待の王道ロック・バンドによる2nd。
名盤1stの流れを汲んだ聴き応えのある傑作に仕上がっています。
ただ、ある程度予想はしていましたが、 1stの時の眩いばかりの輝きというか、スレスレでヤバヤバな感じが 半減していることだけがなんとも残念です。 (それでもまだ全然格好良いところはさすがですけど...)
前作でも感じましたが、曲によって、 ミッシェル・ガン・エレファントとかハイロウズとか イエローモンキーとか...なにげに日本のバンドが思い浮かびます。 そういう意味では日本人受けするバンドなんでしょうね。
エアギター向きの曲もたくさん入ってます〜♪(笑)

・SGT. HETFIELD'S MOTORBREATH PUB BAND/BEATALLICA(07)
文字通りビートルズとメタリカを合体させてしまった企画ものバンド?の作品。
「ビートルズの名曲をメタリカが演奏したらどうなるか?」といった単純明快なスタイルから、 きっと数回聴いて大笑いしてすぐ飽きるだろうと思っていましたが、 やたら芸が細かい!...笑うというより感心して何度も聴き入ってしまいます。
演奏は驚くほどメタリカにそっくり... メタリカがカヴァーを得意としていることは「メタル・ガレージ」で立証済みですから、 もしかしたら本人達がやってるのでは?...なんて考えちゃいます。
それにしてもビートルズとメタリカを混ぜた結果メロコアみたいになってるのがなんともおもしろいです。
ビートルズとメタリカの両バンドを好きであればあるほど楽しめる作品といえますが、 万が一どちらも知らない人でもメロコア好きなら素直に楽しめると思います!

・HAILSTONE HOLIDAY/TOMMY HOEHN & VAN DUREN(99)
メンフィス・ポップの重要人物2人がタッグを組んだパワー・ポップ作品。
VAN DURENのデビュー作であるARE YOU SERIOUS?から20年ほど経過しているにもかかわらず、 出てくる音は笑っちゃうぐらい何も変わっていません! (=きわめて質の高いポップ作品ともいえます。何でも変われば良いってものじゃないですよね!)
マイペースな2人が組み、根底にビートルズを感じさせる良質の楽曲を 自ら楽しんで演奏している姿は、ある意味「メンフィスの井上陽水奥田民生!」といった感じでもあります。
今後も忘れた頃にひょっこりと質の良い作品を出し続けていくことでしょう。

・ALL'S WELL THAT ENDS WELL/CHIODOS(05)
多くの個性派エモ〜ポスト・ハードコア系バンドを擁するEQUAL VISIONの中でも、 トップランクに位置するバンドのデビュー作
この手のジャンルはとにかくギターをがんがんかきならし続け、 結果的に単調になりがちなバンドが多いですが、 このバンドは大胆にキーボードを導入しており、 曲展開にメリハリがついているので聴き応えがあります。
キーボードの中では特にピアノの比重が高く、強く印象に残りますが、 時として 、メタルとパンクとプログレが混じりあい、ヴォーカルが絶叫し、ピアノが壊れまくる場面は シリアスな「仏陀L」のようでもあり、思わずニンマリしてしまいました!

・WHADDUP A'..?!/AGNES MONICA(05)
レベルの高い歌姫ばかりがひしめきあうインドネシア・ポップス界の中にあって、 強力な存在感を放っている女優兼歌手アグネス・モニカによる2005年の作品。
もともと黒っぽくて、ワイルドで、パワフルな歌声の持ち主でしたが、 今回はその武器をさらに前面に押し出したアルバム作りがされていて、 より多くの人に彼女の凄みをみせつける(ジャケットの表情はその決意の表れ?!)傑作に仕上がっています。
個人的には黒人ものは基本的にダメなのですが、 本作は、黒人ものとメロディ過剰なインドネシア・ポップスが バランスよくミックスされているので問題無く楽しめました。
エヴァネッセンスのヴォーカリストが黒人にチェンジしたような1曲目、 インドネシアのお家芸であるオーケストラ・アレンジ+シンフォニック・バラードの3曲目、 ...どのような曲であっても見事に自分のものとして歌い上げています。
TITI DJもKRISDAYANTIも真っ青のこの貫禄...まだ19歳(アルバム発表時)とはとても思えません。 インドネシア・ポップスを聴く上で今後も絶対外せない存在でしょう。

・大烏が地球にやってきた日/ストロベリー・パス(71)
成毛滋と角田ヒロによる日本のロック草創期の傑作。
ジミ・ヘン、ツェッペリン、パープル、サバス、ヒープ、ELP... この時代の主要なロック・アーティスト/バンドのエッセンスを ふんだんに吸収し、自分達なりに様々な形で表現しています。
楽曲もなかなかですが、ジミヘン影響下のヴォーカル、 ボンゾのようにシャープかつ破壊的なドラム、 粘っこいギター、心に響くオルガン...演奏のレベルは相当高く、 後半にあの「メリー・ジェーン」が出てくるまで、 とても日本人が作ったアルバムだとは思えません! (「メリー・ジェーン」自体はいい曲ですが、 アルバムの流れからすると違和感ありまくりで萎えるんですよね...)
故石森章太郎先生による斬新なジャケットも素晴らしいです。
空耳アワーで取り上げられた2曲目は聴いててちょっとハズイですね... 本人達は当時から狙ってたのかな?
追伸:私がこのアルバムを入手した数日後、偶然にも成毛滋さんが亡くなられたことを今頃知りました。 ご冥福をお祈りします。

・ESCAPE FROM TWILIGHT/EMERALD SUN(07)
ギリシャの新人メロスピバンドによるデビュー盤。
ギリシャのメタルを聴くのは、かなりのイン・フレイムス・フォロワーだったEXHUMATION以来 久方ぶりなのですが、このバンドはやたらハロウィンしています!(もちろん守護神伝の頃)
まずアルバムジャケットからして「守護神伝〜第三章」といった感じで相当気合が入っています。
聴いていて恥ずかしくなるほどクサい、歌メロ、ギターリフ、曲構成、ギターソロはもちろん、 「いまどきこの音かよ!」と突っ込みたくなるようなユルユル感も含め 継承度はかなりものです...が、残念なのはやはりヴォーカル... これまでの多くのファロワーと同じで、 「マイケル・キスクになろうとしたカイ・ハンセン」状態となっています。 (これはこれでまたB級好きにはポイント高いんですが(笑))
以前ほどではないですがいまだにポツポツとフォロワーが出てくるハロウィン および守護神伝の存在が、 メタル界にとっていかに特別なものであるかを改めて思い知らされました。
なんだか、いつになってもこの手のサウンドには弱いんだよなぁ... まぁ日本人だから仕方ないか...

・1964-68!/MASCOTS(92)
TAGESとともに「北欧のビートルズ」と称される スウェーデンのポップ・バンドのベスト盤。
この時代の空気がビンビン伝わってくる生々しい内容で、 やはり初期ビートルズの影響を感じさせる曲がちらほら出てきます。
「南米のビートルズ」ことLOS SHAKERSと比べると、 演奏に熱気が無く淡々として落ち着いているのがなんとも面白いです。 (やっぱりお国柄が出るんですね〜。めちゃくちゃわかりやすいです!)
心に残るようなレベルの名曲はありませんが、 どこかのどかでほんわりとした気分に浸ることができます。 また1964〜68年の間の音楽シーンの急激な変化に、 バンドが適応しようと頑張っているのがわかりとても興味深いです。
25曲目はどことなく「ハッピー・クリスマス」風なのでちょっとびっくりしました。 当時この曲をジョンが聴いていたとしたら面白いなあ。

・WAITER: "YOU VULTURES!"/PORTUGAL. THE MAN(06)
マニアックでくせのあるポスト・ハードコア・バンドがまたもや出てきました。
多くのバンドが外に対して強力にエネルギーを発散しているのに対し、 彼らのベクトルは内側に向いています。
ジメジメした内省的なサウンドは即効性は無いもののじわじわと効いてきます。
そんな中で例外といえるのが1曲目... 誰もがビートルズのあの名曲を思い出すことでしょう。 さすがにこの曲だけは数秒耳にしただけで瞬時に脳裏に焼きつきます!
こういうジャンルでビートルズを取り上げた彼らも素晴らしいですが、 あらゆるジャンルにいまだに影響を与え続けるビートルズもまた素晴らしいといえます。
また9曲目はどことなくクリムゾンのBOOK OF SATURDAY風だったりして なかなか奥が深いです。

・ROLLING BALL/MICHAEL CARPENTER(04)
オーストラリアの1人ジェリーフィッシュ系ポップ・アーティストの作品。
某店で新品にも関わらず300円で落ちていたので拾ってきましたが、 知名度の低さに反し、極めてクオリティの高いポップ傑作となっています。
LINUS OF HOLLYWOOD、MARK BACINO、OWSLEYあたりが好きな人なら絶対に気に入るはずです。 少しでも気になった方は見つけたら即買いしましょう。
前述したアーティストの作品と比べ、 いかにもオーストラリアらしい独特の土臭さが隠し味となっていて心が温まります。
そういう意味では「1人クラウデッド・ハウス」って表現もありでしょうね!(笑)

・STEP BEYOND/WITHOUT WARNING(98)
ハスキーな声質が魅力的なヴォーカリストの情感豊かな歌唱、 複雑でありながらメロディアスさを失わない楽曲、 そして卓越した演奏能力を武器に90年代を駆け抜けた正統派プログレ・メタル・バンドの3作目。
前2作と比べ、キャッチーさは減り地味にはなっていますが、 その分演奏が引き締まっていて無駄がありません。 格好良さは確実にアップしています。
バンドが成熟期に達したことを物語る充実した内容といえますが、 それだけに本作を最後にシーンから消えてしまったのが惜しまれます。 おなじみのアコースティック系バラードであるラストの REMEMBER MEはそのことを象徴しているようで、聴いていると泣けてきます。
今でこそポップなプログレ・メタル・バンドは数多く出てきていますが、 この時代にこの路線で勝負してそれなりの結果を出していたのは彼らぐらいだと思います。
いつかまた彼らにしか出せない人間味あふれるサウンドを聴いてみたいものです。 復帰を望んでいるファンは私だけではないでしょう。

・SEMUT HITAM/GOD BLESS(89)
衝撃的なデビュー盤(辺境インドネシアもの+コントみたいなアフロ頭ジャケ+ジェネシスの大胆なパクリ!)で マニアックなプログレファンの度肝を抜いたインドネシアの大ベテラン・バンドが 80年代の終わりに残していた力作。
インドネシアらしいメロディアスな歌ものポップ・ロックを基本としながら、 まるで5年遅れでブームが到来したような84年頃のMTV全盛期のメタル(最もヘヴィでなくライトだった頃!)や 産業ロックの影響をもろに受けた独特なサウンドはとてもユニークで 聴いていてくせになります。
明らかにクイーンに影響を受けたと思われるコーラスが随所に出てきますが、 メインボーカルの声質のせいか、ポップ化した頃のニュー・トロルス風なのが面白いです。
アルバムのハイライトは、まるで「インドネシアのレインボウ」な9曲目でしょう。 特に名キーボーディストYOCKIEが中間部で突然ドン・エイリー化するのには参りました! (本家比べて演奏は...ですが、熱気ではこちらの圧勝!!)
こりゃ80年代以降も集めなきゃですね。初期の作品も再発されないかなあ...

・THE NEW KINGDOM/VENTURIA(06)
斬新な感性を持ったフランスの新人プログレ・メタル・バンドのデビュー盤。
アコースティックでアナログなパートとエレクトリックでデジタルなパート、 ソフトでメロウなパートとヘヴィーでアグレッシブなパート、 男女ツインヴォーカル...相反する要素を自在に操りながら繰り広げられる ドラマティックな楽曲と演奏は極めて質が高く、とても新人とは思えません。
数多くのバンドが出現して様々なアイデアやテクニックを披露してきたことから、 近年のプログレ・メタル・シーンをややマンネリ気味に感じていましたが、 本作の斬新な内容によりプログレ・メタルがさらに進化する可能性を感じました。 (PAIN OF SALVATIONやA.C.Tを最初に聴いた際の衝撃を思い出しました...)
もの凄いテクニックを持っているのに、なかなかそれを出さない「ツメ隠し作戦」は ややもどかしくも感じますが、物足りないくらいがちょうど良いんでしょうね。 おかげで超絶パートのインパクトは絶大ですし、フランスらしい上品な空気が アルバム全体に漂っています。
デビュー盤にしてこれだけ独創的でクオリティが高いのですから、 順調なら次回作は名盤となることでしょう。

・RUMORE ROSSO VIVO/VENEGONI & CO.(02)
イタリアの超絶技巧集団アルティ・エ・メスティエリの主要メンバーである ギタリストのジジ・ヴェネゴーニが、 アルティを脱退後に結成した フュージョン寄りジャズ・ロック・バンドの78年〜79年のライブ音源集。
フリオ・キリコの神業ドラミングはありませんが、 メロディアスかつエネルギッシュな演奏はアルティの流れを汲むものであり、 多くのジャズ・ロック・ファンを魅了する内容となっています。
アルティが持っていた独特の緊迫感はありませんが、 その分開放的で自由な演奏(ライブ音源であることも確実にプラスに作用しています!)となっているので、 アルティと比較しても面白いです。(どちらもやたら格好良いことには変わりありませんが)
それにしてもこのライブ音源聴いた後スタジオ盤聴いたらガッカリしそうだなあ...(笑) (ラッシュやマグマと同じような状態に陥りそう...)

・TA DET LUGNT/DUNGEN(05)
スウェーデンの新世代ロック・バンドによる3作目。
「新世代」といいながらも、中身は 「60年代後半〜70年代前半に活動した伝説の北欧サイケデリック〜ハード・ロック・バンドの未発表音源」 としか思えません!
あの時代のサウンドにしか感じ取ることの出来ない、 無限の可能性を感じさせる自由な空気を存分に味わえます。 (まるでスウェーデンの山奥で、完璧な状態で保存されたミイラを発見したような気分です!)
この手のバンドをこれまで数多く聴いてきましたが、 ここまでピュアな感性を持ったバンドはいなかったように思います。
まさか今頃こんな音が出てくるなんて... さすがは音楽先進国スウェーデン...母国語にこだわる姿勢も◎です。

・TV EYES/SAME(06)
元ジェリーフィッシュのジェイソン・フォークナーとロジャー・ジョセフ・マニング・Jr.が 電撃合体したポップ・ユニットのデビュー作品。
この大天才2人が組むわけですから名盤に仕上がるに決まってる!... と思って聴いみたら、あれ、なにこのデュラン2!...他の曲もピコピコしっぱなしだし... 期待しちゃいけないと思いつつどうしてもジェリーフィッシュの幻影を 探してしまうのですが見当たりません。
そういや誰か他にメンバーいたよな...ブライアン・レイツェル?!... なるほど悪いのはコイツか...誰かコイツをつまみ出せ〜!! ...という感じで最初は正直がっかりしましたが、 数回リピートしているうちに、 とても良く出来たエレ・ポップの傑作であることに気付きました。
天才のやる仕事はやっぱり違いますね。
「元ジェリーフィッシュ」という情報を 一旦脳内から消去して聴くことをお薦めします!

・IN THE NEW OLD-FASHIONED WAY/FLUID OUNCES(99)
アメリカの良質なピアノ・ロック・バンドによる佳作。
一時代を築いた名バンド、ベン・フォールズ・ファイブに似ている部分もありますが、 こちらのほうが最大の武器である「ピアノ」をより前面に押し出した曲作りをしています。
楽曲よりもピアノ演奏を重視している(といっても楽曲が軽視されているわけではありません!)だけあって、 華麗な指さばきを存分に楽しめます。 場面によってはニッキー・ホプキンスを思い浮かべました。
曲にあわせてさまざまなスタイルを弾きこなしていますが、 田舎くさくて古臭いタイプのピアノを弾いているときが一番輝いてるように思います。
最近情報が入ってきませんがどうしてるんでしょう... しぶとく活動を続けていると良いのですが...


戻る

inserted by FC2 system