2005年に聴きまくったアルバムBEST30(+70)

2005年に聴きまくったアルバム100枚を順位付けして紹介します。 (ついに長年の目標だった「年間100枚レビュー」を達成!!)
相変わらずメロディさえよければ何でもOK状態となってます!
#そういえばここ数年クリムゾンとかフロイドとか全然聴いてないなぁ...(ボソ)


No.1
・THE GIFT/MIKAEL ERLANDSSON(03)
スウェーデンのメロディック・ロック・アーティストの作品。
これほど才能豊かなアーティストだったとは... ものすごく前から個人的な必聴アーティスト・リストに入れておきながら、 ゼロ・コーポレーション消滅などもあり、今日たどり着くまでに時間がかかったことを後悔しています。
とにかくソングライティング能力の凄さは尋常では無いです。 メロディ至上主義のリスナー(特に日本人)のツボを完全に 把握しているとしか思えない高純度の美メロが引っ切り無しに飛び出してきます。 さらにこの最高のメロディを、ハートフルな演奏と情感豊かな歌(ハスキーな声質が最高!)で 丁寧に包み込んでいくのですからたまったものではありません。
どの曲をどこから聴いても何度聴いても感動の連続で休む暇がありません。 特に11曲目は聴いているだけで涙が出そうになるのでこらえるのが大変です。 (転調&泣きのギターがかぶさる部分では意識が遠のき、 頭上から天使が舞い降りてきます(ルーベンスの絵状態!))
メロディ至上主義者だったら必ず聴きましょう...絶対に手放せない名盤になるはずです。
ラスマスがブレイクしたのなら彼ももっと評価されてもいいはずなのになぁ...

No.2
・SCRATCH'N SNIFF/FATE(91)
長らく廃盤となっていましたがようやくボーナス入りで正規再発された名作中の名作! (過去にどうしても聴きたくてリプロ盤を購入したこともありました...)
デンマーク出身かつマーシフル・フェイト関連バンドでありながら ボンジョビあたりを想起させる明快でアメリカン・テイストあふれる 正統派メロディアス・ハード・ロック(この時点で既に傑作レベル)に、 マティアス・エクルンドがこれまで耳にしたことの無いような スティーヴ・ヴァイ・クラス(=世界一レベル)のキテレツ変態フレーズを 隙という隙を見つけて惜しげ無く流し込んでいきます。 結果としてピュア+変態というミスマッチな要素がものの見事に融合し、 相乗効果によってモンスター級の名盤に仕上がっています。
このメンツで何枚も作品を作って欲しかったなぁ...
それにしてもマティアスは一体いくつのキメ技を持ってるんだろ... ズーエフ並み?(←マイナ〜!)

No.3
・SOFT ROCKS/JIGSAW(98)
スカイ・ハイの大ヒットがあまりにも有名なイギリスのポップ・バンドのコンピ盤。
実は私、初めて買った記念すべきレコードがスカイ・ハイなのです! (小学生の頃、マスカラスのファンだった...) 当時、この名曲を毎日何度も狂ったようにリピートしていたこともあり、 「ジグゾー=スカイ・ハイの一発屋」的イメージが強すぎて、 なかなか他の曲を聴く気が起きませんでした。
しかし今回このCDを聴くことにより、ずば抜けた超名曲スカイ・ハイには劣るものの、 サタデー・イン・ザ・パークなTELL ME WHY、脳がとろけそうになるほど甘いSWAY...などなど キャッチーなメロディと美しいコーラスに彩られた素晴らしい曲が 数多く存在していることを知り大いに驚きました。
本CDではソフト・ロックとして紹介されていますが、 パイロットやバッドフィンガーと比べても遜色ない極上のポップ・バンドといえます。
スカイ・ハイしか耳にしたことの無いポップ・ファンは今すぐ入手しましょう。

No.4
・STARFRIEND/FREEWHEEL(98)
一昔前のスウェディッシュ・ポップ・ブームの立役者である ウルフ・トレッソンが在籍するバンドの作品。
当然トーレ・ヨハンソンとタンバリン・スタジオも セットなのでもちろんポップ名盤に仕上がっています。
アメリカのパワー・ポップ勢とは異なる、 繊細でアコースティックな音作りが心にしみます。 個人的には70年代のブリティッシュっぽい翳りと渋さを感じました。 (実際、シンセがグリーンスレイド風だったり、 アコギとオルガンの絡みがクレシダ風だったりするし(私の耳が変?!)... あとジャケットはGREATEST SHOW ON EARTHみたいですね!)
ブームは去っても、本作のような良質なポップ作品は語り継がれるべきでしょう。 これからもどんどん活動して欲しいものです。 (これほどの名作を残す才能を持っていながら 制作活動を行わないなんてちょっとズルいぞー!)

No.5
・A LITTLE TRIP/VINYL KINGS(02)
海外の音楽サイトで出会った驚愕のポップ名盤!
アメリカのベテラン・ミュージシャン、プロデューサーが結集した ポップ・バンドのデビュー作なのですが、 ビートルズがデビューしてから解散するまでの ありとあらゆる音楽要素をものの見事に凝縮し尽くした名曲が並んでいます。
まるでリヴァプール・エクスプレスの”JOHN GEORGE RINGO & PAUL”を アルバムに全面展開したような感じで、楽曲も演奏もアレンジも歌もアイデアも... アルバムのどこを聴いてもビートルズが飛び出してきます。
ビートルズへの愛情とリスペクトに満ちあふれた精神が 音を通じて伝わってくるのがたまりません。
まさに21世紀のラトルズ!...ビートルズ・ファンなら 聴いておかないと一生後悔しますよー!

No.6
・SUNSHINE SATURDAY/FLORAPOP(02)
アメリカのフローラ夫婦が作り出したピュア・ポップの大名盤。
ビーチ・ボーイズとカーペンターズを合体させ、 ソフト・ロックのエッセンスを加えて現代的にしたようなサウンド、 男女ボーカルが溶け合って生みだされる夢見るようなハーモニー... 天才ポップ兄妹、リヴィエラ(特にラウンジ色が薄まった近年)との共通点の多さに驚かされます。 クオリティがめちゃくちゃ高いのでリヴィエラの強力なライバルと言って良いでしょう。
夫婦にしろ兄妹にしろ、強力な絆が音に埋め込まれているから、 信じられないほど美しい名盤が作れるんでしょうね。
今後も名盤を作り続けて欲しいので絶対に離婚しないでね!

No.7
・SUNFLOWER/SURF'S UP/THE BEACH BOYS(00)
学生時代にトッド・ラングレンとビーチ・ボーイズの良さを教えてくれた友人が、 「ビーチ・ボーイズの最高傑作はサーフィンUSAでもグッド・ヴァイブレーションでもなく、 絶対にサーフズ・アップ!」と断言し、当時音源入手が困難だったことを嘆いていましたが、 いまや簡単に安価で入手できるようになったのはとても喜ばしいことです。
今回、友人の言葉どおりサーフズ・アップが永遠に語り継がれるべき名曲であることを 再確認できました。
この2in1はアルバムジャケットどおり、 彼らの「明」と「暗」の両面を伝える良い組み合わせといえるでしょう。
70年代の作品だけあって、 サーフィン色は消え新しいスタイルを模索しようとするロック色が強まっていますが、 FRIENDSや20/20の流れを汲むメロウな曲ばかりが揃っています。
個人的にはブルース・ジョンストンの楽曲がやたらツボでした! 途中で脱退してしまったことが惜しまれます。

No.8
・SIGNS OF CHANGE/AFTER THE FIRE(78)
2004年にまさかの正規再発が実現した、70年代ブリティッシュ・プログレ末期の名盤。
うれしいことにボーナストラック4曲を追加収録した今回の再発は カーヴド・エアのエア・カット、ニコラス・グリーンウッドのコールド・カッツとともに 2004年の70年代ブリティッシュ名盤CD再発の特大サプライズと言えるでしょう。
とにかく独特の慌しさとちまちま感がたまりません!...よくぞ再発してくれました。 偉い!偉すぎる!(←関東圏でしか通じないっての!)
プログレ名盤紹介にも掲載します。

No.9
・SEBUAH HARAPAN/TERE(03)
デビュー作AWAL YANG INDAHが素晴らしかった インドネシアの女性ボーカリストによる2nd。
前作と比べ、クレジットからDEWAのAHMAD DHANIの名前が消えたり、自作曲が増えたり... サウンドにもかなり変化が見られますが、 今回もどんなスタイルの歌でも完璧に歌い上げています。
デビュー作とは違った彼女の新しい面をたくさん知ることが出来たのと同時に、 実力の凄さを思い知らされました。
特に、新人男性ボーカリストVALENTをリードするような貫禄の歌唱を見せるデュエット (スローバラード+三拍子+インドネシア節で激泣き!)から、 ハードなギターとともに疾走する8〜9曲目の劇的な流れはすさまじく、 体中の震えが止まらなくなります!
日本に来てくれないかなあ...

No.10
・DEAD LETTERS/THE RASMUS(04)
2004年のロック・シーンに強烈な印象を残した、 フィンランドのバンドによる一大傑作。
悲しさと美しさと切なさ(←なんか篠原涼子みたい!)が見事に同居した サウンドが聴き手の心を激しく揺さぶります。 ありとあらゆる悲しみを全て知ってしまったかのような叫びが 耳に突き刺さって痛いです。
ゴシック・メタル的要素を取り入れながら、 メイン・ストリームで成功をおさめるという点で エヴァネッセンスとかなり似通ったスタイルといえます。 プロダクションはエヴァネッセンスのほうが上ですが、 バンドらしさや柔軟性では彼らに軍配があがると思います。
全ロックファンが納得する21世紀のロック名盤として、 後々まで語り継がれるべき作品でしょう。

No.11
・GRAVITY/4FRONT(98)
HAPPY THE MANの現ドラマーを中心としたアメリカのインスト・バンドのデビュー盤。
シンフォニック・ハード〜テクニカル・ジャズ・ロック〜メロディアス・フュージョン... といった土俵で、イエス、ラッシュ、ドリーム・シアター影響下の攻撃的な超絶演奏をがんがん繰り広げていきます。 中でもシベリアン・カートゥル+YYZ+サウンド・チェイサーの超絶バージョン風な 7曲目の格好良さは半端じゃないです!
ジャンル的にカナダのNATHAN MAHLと似た部分もありますが、 こちらの方が突き抜けるような明るさがありドライブ感も上回っています。
この手のテクニシャン系バンドにありがちなマニアックさは無く、小細工も無く、 持てる技術を温存しない姿勢が何とも痛快で気持ち良いです。(いかにもアメリカ!)
こんなに徹底的に打ちのめされたのは久しぶりだなぁ... 何故これほどの傑作が発表後すぐに騒がれなかったのか不思議でなりません。

No.12
・EPPUR SI MUOVE/HAGGARD(04)
久々にとんでもないバンドに出会ってしまいました。
一応ドイツのシンフォニック・ゴシック・デスということになってるんですが、 そのシンフォに対するこだわりが半端じゃありません。
通常のロック・バンド編成の他、女性ソプラノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、 オーボエ、フルート、クラリネット、ティンパニ... 正式メンバーだけで総勢約20人と大変なことになっています (さらにゲスト参加メンバーを加えたら30人近いです!)。
おかげでこれまでのクラシック+ロックものに比べ融合度は数段上を行っています。 とにかく本格的なクラシカル・パートの存在感はすさまじく、 時折電子楽器が物足りなく感じてしまうほどです。
部分的にはクエラ・ベッキア・ロカンダあたりを連想してしまう思うほど荘厳で美しいので、 デス声が無ければプログレ界でクラシカル・シンフォの傑作と認知され 騒がれていてもおかしくないと思います。
デス声も聴きやすくメタル度も低いので、 シンフォ好きなプログレファンは騙されたと思って挑戦してみましょう!

No.13
・THIS IS NOT A DRILL/METAL MAJESTY(04)
オランダ王子様コンビの片割れであるヴァレンシアが、 ドラマーである弟と立ち上げたプロジェクトのデビュー作。
メロディ、コーラス、ヴォーカルはクイ・・・じゃなかった ヴァレンシアのソロ作とさほど違いは無いですが、 演奏やアレンジがメタル〜ハード・ロックに傾倒しているところがなんともユニークです。
特にこれまで封じていたスーパー・ギター・テクニックを解禁し、 高速ギター・ソロを延々と弾きまくっているのがポイントです! これまでのソロ作100枚分ぐらいは弾いているかもしれません... まさに狂乱の貴公子(←フレアーかよ(笑))状態です。
クイーン、ヴァレンタイン、ヴァレンシアのファン... 中でもヴァレンタインはロビー時代が最高だと思ってる人や、 クイーンIIのブラックサイドが大好物な人には絶対に聴いてもらいたいなぁ... これだけ充実した傑作なのに売れてないのがちょっぴり悲しいです。 (某店にて新品525円で多数落ちてました。)
個人的には最近のヴァレンシアよりもこのプロジェクトの作風のほうが、 分かりやすくてドラマティックでアグレッシヴなので断然好きです。 続編にも大いに期待したいと思います ...というかソロ作よりこっちの方に力を入れてくれないかなあ。
なお本作のハイライトともいえるボヘミアン・ラプソディな名曲は、 先行発売された国内盤には収録されていないので注意しましょう。 (国内盤持ってる人は絶対に買いなおすべき!)

No.14
・A'S, B'S & RARITIES/PILOT(04)
70年代を代表する最高のブリティッシュ・ポップ・バンド、パイロットのベスト盤。
タイトルどおり彼らの全シングル両面はもちろん、 デヴィッドのソロ曲など、貴重な音源も収録されています。
当然と言えば当然ですが「パイロット」のベストなのですから 捨て曲は皆無...というより全曲が名曲... あまりに素晴らしい曲ばかりが次々と飛び出すので失神しそうになります!
ビートルズの赤盤・青盤、クイーンのグレイテスト・ヒッツあたりと比べても 全く負けることのないスーパーベスト盤といえます。
手が痛くなるまでハンドクラップしながら楽しみましょう!

No.15
・KEMBALI/ROSSA(04)
ジャケットのキュートなルックスが目を引く インドネシアの歌姫が久々に発表した2004年新作。
インドネシア+女性ボーカル...というキーワードから連想される 「シンフォニック+泣きまくるスローバラード!」という イメージ通り...というかイメージ以上の世界が展開されています。 インドネシア女性ボーカルものとしては王道中の王道的作品といえるでしょう。
彼女のバラードへのこだわりはすさまじく、 ただでさえバラードを重視するインドネシアの他の女性ボーカリストと比べても 数歩抜きん出ている感じを受けます。 そのため聴き続けているうちに耳が「泣き」慣れしてしまい、 せっかくの感動が薄れがちなのがちょっと勿体無く思えます。 (その分アップテンポ曲が逆に新鮮に聴こえます!)
曲もアレンジも最高ですが、彼女の表情豊かな歌唱力があるから ここまで感動できるんでしょうね。 もっといっぱい泣きたいのでなんとかして旧作を手に入れたいなぁ...

No.16
・18/AUDY(02)
インドネシアの弱冠18歳の美しい歌姫によるデビュー盤。
表情豊かに歌い上げる本人の才能もさることながら、 プロダクションに相当力が入っているのが良いです。 世界に通用する内容といってもおかしくないでしょう。
いろんなタイプの曲が収録されていますが、 やっぱりインドネシアらしくスローバラードの出来が際立っています。
時折、声が弱々しく感じる箇所がありますが、 そこがあどけなさを感じさせ逆に魅力になっていると思います。
それにしても「18」というアルバムタイトル... 「DEWA 19」同様、インドネシアは年齢を重要視するお国柄なんでしょうか?

No.17
・THE OUT SOUND FROM WAY IN!/PERREY & KINGSLEY(01)
これぞ元祖中の元祖シンセ・ポップ!。 1966〜70年にリリースされた、ペリー&キングスレイ関連の4枚のアルバム音源を収録し、 さらにファット・ボーイ・スリムらのリミックス音源がボーナスで付いた超お買い得品です。
ディズニーランドのエレクトリカル・パレードの原曲として知られる バロック・ホウダウンを始め、誰もがどこかで耳にしたことのあるキュートな曲が たくさん詰まっています。
聴いていてどこか泣けてくるのは、彼らのサウンドに自然と慣れ親しんでいた 幼少時代を思い出すからですね、きっと。
1966年からこんなサウンドを作り出すには想像を絶する労力と時間を必要としたはずです... だからサウンドに温もりを感じるのでしょう。
彼らがいなければ、YMOもクラフトワークもダフト・パンクも、 EL&Pだっていなかったかもしれないと思うと、 もの凄く偉大な存在だと思います。

No.18
・KESEIMBANGAN/ARI LASSO(03)
インドネシアを代表するバンドであるDEWA(DEWA 19)の初代ボーカリストによる2ndソロ。
バンド在籍時の最後の作品となったDEWAの4thの流れを受け継ぎ、 さらに歌謡曲寄りにしたようなメロディアスなポップ作品に仕上がっています。
中でもDEWA時代の盟友である大天才AHMAD DHANIが関わった楽曲は、 あまりにも素晴らしく、力作揃いのアルバムの中でもずば抜けた輝きを放っています。
インドネシアは、女性ボーカリストの充実振りに比べ 男性ボーカリストは貧弱なイメージがあるので、 彼には是非とも頑張ってもらいたいと思います。

No.19
・SIGN OF THE WINNER/HEAVENLY(01)
フランスのメロディック・スピード・メタル・バンドの2nd。
カイ・ハンセンやマイケル・キスクがのり移ったようなジャーマン節満載の楽曲&演奏で、 ハロウィン(守護神伝)〜ガンマ・レイ(デビュー盤)といった ジャーマン・メタル黄金期の雰囲気を、パワーアップさせた形で再現しています。 (本当にフランス出身?)
当時リアルタイムでジャーマン・メタルにハマリまくっていた人(私もその1人)なら 懐かしさも手伝って狂喜乱舞してしまうこと間違い無しです。 母国語を捨て英語で勝負しているのも好感が持てます。
ハロウィン、ガンマ・レイ、アングラあたりから様々なフレーズやアイデアをパクリまくってますが、 最終的に作品自体の出来が素晴らしく大いに楽しめる内容なので そんなことは全く気になりません。
ジャーマン&クサメロ好きは何が何でも聴きましょう。

No.20
・KLAATU/HOPE/KLAATU(99)
カナダの偉大なポップ・バンドの1st+2ndのカップリング盤。
2nd(HOPE)があまりにも感動的な内容だった(2000年にレビュー済)ので、 勿体無くてずっと封印していましたが、復職した自分へのご褒美として ようやく聴くことにしました。
1stと2ndとで方向性が結構異なっていたのには驚きました。 1stは、2ndのようなシンフォ度は薄く、ロック色が強くて結構ハードだったんですね。
ただ方向性は異なるにせよ、1st、2ndともにめちゃくちゃポップなメロディと 執拗に凝りまくったアレンジが冴え渡る ポップ史上に燦然と輝く名盤であることに変わりは無いです。
特に1stでは、ビートルズはもちろん、バッドフィンガー、クイーン、ELO、パイロット... といった同世代のビートルズ系バンドを連想させる場面が多いのが面白いです。
今回クラトゥがいかに特別なバンドであったかを再確認するとともに、 ビートルズの偉大さを改めて感じることができました。

No.21
・EAR CANDY/THE OOHS(00)
アメリカの無名ポップ・バンドのデビュー作。
チュウィ・マーブルのデビュー作(国内盤)を思わせる カラフルなジャケット(マギー審司の小道具みたいな耳がグロいですが!...)を目にしながら 再生ボタンを押すと、「こぼれたミルク」なオープニング... まさにチュウィ・マーブル+ジェリーフィッシュ(←ほめ過ぎ!)といった感じの 甘いポップサウンドが並んでいて顔が緩みっぱなしになりました。 (その他は曲によってラズベリーズっぽさも感じました。)
メンバー全員が歌えるので、 ジェリーフィッシュ顔負けのコーラスが最高に心地良いです。
ただし残念なことにプロダクションの甘さがかなり気になります。(甘いのはメロディだけにしてね。)
もっとよい環境でアルバム制作させてあげたいな。

No.22
・STARCLOCK/SAME(02)
アメリカのいびつで奇妙な変態パワー・ポップ作品!
ジェリーフィッシュ、レッチリ、ザッパという異種異質なものを 無理矢理ぐちゃぐちゃに混ぜ合わせたような猥雑さ、 自分たちがやりたいことを全部やってしまったかのような爽快さがたまりません。
変態ミュージシャンが変態リスナーのために作った最高の変態ポップスといえるでしょう!
早く新作が聴きたいぃ〜。

No.23
・LIVE IN EUROPE/TRANSATLANTIC(03)
夢のスーパー・シンフォ・プロジェクトが最後に残したライブ・アルバム。
完璧だった2枚のスタジオ盤に比べ、 前ライブ盤であるLIVE IN AMERICAの出来にかなり不満を感じていたので、 正直なところ本ライブ盤にさほど期待していなかったのですが、 内容の素晴らしさに大いに驚かされました。
そもそも圧倒的な完成度を誇るシンフォの名曲が、 イキイキと情感豊かに演奏されていくので、 まるで魅力が倍増したように感じます。 (特にビートルズのアビーロードB面メドレーを 随所にはめ込んだ大作は涙もの!)
サポート参加したダニエル・ギルデンロウの貢献も大きいんでしょうね。
それにしてもこれだけ凄いライブをやっておきながら、 あっけなく解散してしまうなんて勿体無さすぎです。 今後のシンフォ界を盛り上げるために、 絶対に必要な存在だと思うんだけど...
いつの日か再結成&来日して、 本作をしのぐLIVE IN JAPANを作成して欲しいです。

No.24
・FUZZBUBBLE/SAME(00)
アメリカはニューヨーク出身のパワー・ポップ・バンドの作品。
ジェリーフィッシュをハードでパンキッシュにしたようなサウンドが最高!... 激しくドライブするギターとハスキーなボーカルが切なく青春していて聴き手の心を 揺さぶり続けます。
ラスト曲にあたるREAL WORLDもオアシス(DON'T LOOK BACK IN ANGER)入っていて泣かせます。 プロダクションも完璧でありインディーズ作品であることが信じられません。
パワー・ポップの名盤が1枚増えたといっても過言ではないでしょう。
ただジャケットは買う気が失せますが...(どうせメンバーがアニメおたくとかなんだろうな(笑))
同傾向のシュガーボム同様ジャケに日本語が使われているのは、 彼らのやっていることがほぼ日本でしか評価されないという現実を 物語っている気がします。この手の良質な音楽が本国でも評価される時代が来ないかなぁ。
新作聴きたいので絶対に解散しないでね!

No.25
・HERE COMES TROUBLE/CHARLIE(82)
イギリスのB級ポップ・バンドの作品。
CHARLIEは同じくRENAISSANCEレーベルが再発したSAD CAFEやCITY BOYと同様、 ニッチ〜モダン・ポップの隠れた名バンドといえます。
ただSAD CAFEやCITY BOYと比べると、 ひねりがなく、メロディがとても覚えやすいのが特徴です。
本作は、曲によってはスペイシーなキーボードと爽やかなコーラスなどから NEW ENGLANDのデビュー盤を彷彿とさせる内容となっています。 産業ロック、メロディアス・ハード、シンフォ・ポップ...様々な面をもっていますが、 いずれにせよ相当クオリティは高いです。
知名度の低さとジャケの劣悪さ(まるでロキシーみたいなお色気路線!)に 騙されないようにしましょう。 メロディ至上主義のポップ・ロック・ファンなら押さえておいて損は無いです。 (中でもNEW ENGLANDファンには絶対聴いてもらいたいなぁ。)
関係ないですがメンバーのクレジットを見ると一瞬ビックリします。

No.26
・OCTAVARIUM/DREAM THEATER(05)
プログレメタルの重鎮バンドによる2005年新作。
なんと最大の武器である超絶演奏を極力封印し、 あくまで歌をメインに据えています。 彼らの作品中で最もおとなしい印象を受けました。
ただこの試みのおかげで、ラブリエの歌の表現力がクローズアップ (なんだかU2みたいな曲もあってびっくり!)され、 時折出てくる超絶演奏が逆に際立って感じられます。
歌メロ重視のポップ作という点では、IMAGES AND WORDSと共通する部分もありますが、 IMAGES AND WORDSが若々しく明るいのに対して、 本作では大人の余裕と深みを感じとることができます。
感動的なラストの超大作は、フロイドにはじまり、ジェネシス、イエスとつながり、 フィナーレはカンサス!...といった70年代プログレ感謝祭的な内容で、 まるでトランスアトランティックが乗り移ったように感じました。 SIX DEGREES〜のDISK 2路線をさらにシンフォ寄りにしたような感じで、 彼らのキャリアの中で最もシンフォ度が高いです。 (メタル不使用!なのでメタル嫌いなシンフォファンもこれならOKサ!  ← ○ライデント・シュガーレス・ガムのノリ!)
本作でまた新たな一歩を踏み出したといえるでしょう。 今後もメロディ尊重&シンフォ路線を歩んでいって欲しいものです。

No.27
・THE UPSIDE OF DOWN/THE TORIES(01)
アメリカのジェリーフィッシュ系パワー・ポップ・バンドによる2nd。
THE MERRYMAKERS、FUZZBUBBLE、SUGARBOMB、THE SUN SAWED IN 1/2、CHEWY MARBLE... これまで多くの素晴らしいジェリーフィッシュ・フォロワーに出会ってきましたが、 またもや凄いバンドに出会ってしまいました。 曲や演奏はもちろん、ボーカルの声質やハーモニーまで... 驚くほどジェリーフィッシュに酷似しています。
特筆すべきはソングライティング能力... ただの物真似バンドに過ぎなかったら、これだけポップで切なくて楽しい楽曲ばかりを 揃えることは出来ないでしょう。
それにしてもジェリーフィッシュ・フォロワーって 数多く存在しているのに、何故どのバンドも本家に肉薄するほどクオリティが高いのかなぁ... 私のようなジェリーフィッシュ系パワー・ポップのファンは本当に幸せだと思います。 (その分、金銭的に大変ですが!...)

No.28
・WELCOME TO THE SHOW/EVIL MASQUERADE(04)
ロイヤル・ハントで最も印象に残っていないボーカリスト(笑)、 ヘンリック・ブロックマンが超強力なバンドを結成してメタル・シーンに戻ってきました。
クサメロ満載で疾走しまくる極上のネオ・クラシカル曲に加え、 ワルキューレ、第九、運命、エリーゼ、アイネ・クライネ...などなど 様々なクラシック名曲フレーズを初期チルボド以上にがんがんねじ込んでいくのですから たまったものではありません!(エクセプションのファンに聴いてもらいたいな。)
さらに国内盤ボートラでは某知事もびっくり!の 君が代カヴァー(壊れっぷりが絶妙)まで収録されています。
これからもキャッチーな路線を貫いてもらいたいものです。

No.29
・A FLAME TO THE GROUND BENEATH/LOST HORIZON(03)
スウェーデンの正統派メタル・バンドによる2nd。
MANOWARの圧倒的なエネルギーとIRON MAIDENの頑強なメタル魂を合体させ、 北欧メタルの透明感を加えたような内容であり、 とてつもない純度を誇るピュア・メタル作品に仕上がっています。
楽曲、アレンジ、演奏、プロダクション... そして超人的な表現力を持ったボーカル... 何もかもが頂点に達したメタル界の名盤...いや神盤が生み出されたといって良いでしょう。
アルバムの最初と最後のSEが長いこと以外に欠点は見当たりません。 ただただ素晴らしすぎます。
これほど完璧な作品を聴いてしまうと、 しばらく他のメタルものは聴けなくなりそうです...

No.30
・無限/F.I.R.(飛兒樂團)(05)
2004年にデビューしアジアを席巻した台湾のポップ・バンド期待の2作目。
彼らは、昔のELT、ドリカム、マイラバらと同じ、 女性ボーカル1人+男性2人という3人編成 (...ってことはそのうち男のどっちかが抜ける?(笑))であり、 バンド名のF.I.R.は3人の頭文字を並べたものです。
台湾ポップスといっても○きばお〜のBGM!みたいな音を想像していたら大間違いです。 大量のアイデアを次から次へと贅沢に織り込みながら、コンパクトな歌謡ポップとして 成り立たたせる技量は圧巻!... 2005年のアジアン・ポップを代表する傑作といって良いでしょう。
個人的には、「愛のかたち」の頃のケイト・ブッシュが「タイム・アフター・タイム」を カヴァーしたような5曲目に代表されるスローバラードよりも、 7曲目(「秋のINDICATION」風ストリングスが光る中間部が最高!)に 代表される高揚感のあるアップテンポ曲の方が彼らの持ち味が出ている気がします。


その他

・CORRIDOR OF FACES/LAZY SMOKE(68)
アメリカのマイナーなサイケ・バンドの作品。
楽曲的にはギターメインの歌ものにサイケなアレンジが目立つ佳作といったところですが、 その中を歌い上げる声を良く聴くとジョン・レノンそっくりです!
しかもジョンに声が酷似していることを知り、 明らかにそのことを意識した曲作りやアレンジを行っています (追加収録されたデモ音源では、 アイム・ソー・タイアードって歌ったり、咳き込んだりしてるし!)。
それにしてもこのジョン・レノン声を主体にしたスタイルは、 コットン・メイザーに似過ぎています。 彼らを元祖コットン・メイザーと呼んでも良いでしょう。 (というかコットン・メイザーを現代のLAZY SMOKEとすべき?!)
ビートルズと全く同時代にこんなバンドが存在していたとは...なかなか大胆ですね。

・SESUATU YANG TERTUNDA/PADI(01)
インドネシアのロックバンドによる2001年の作品。
5th以降(ONCE加入後)のDEWAをシンプルにしたような内容となっており、 インドネシア独特の甘いメロディをたっぷりと味わうことができる傑作といえます。
退屈な曲もありますがDEWAとまったく区別がつかないくらい そっくりな曲もあったりするのがなんとも興味深いです。 (それだけDEWAのインドネシアでの影響が大きいってことかもしれません...)
しかしアルバムのラストに強烈な落とし穴?が待ち受けています。 それまでのアルバムの流れとは関係無いシンフォアレンジが突然飛び出して泣かせてくれます... もうお手上げです!
これだからインドネシアものはやめられないんですよね〜。

・LOOMADE FARM/IGOR GARSNEK - ANSAMBEL DATA(86)
グロかわいいジャケットが目をひくエストニアのキーボーディストの作品。
EL&P(パウエルの方!(笑))を低予算で再現したようなオープニングの後は、 打ち込みの上にチープなシンセが何重にも重なり、 時折荘厳な合唱が響き渡る独特なシンフォ・ワールドが展開されていきます。
いわゆる旧共産圏ものにありがちな重苦しさは皆無であり、 明快かつ軽快な雰囲気に包まれているのが特色です。 そういう意味ではブルガリアのキーボーディストNELKO KOLAROVによる傑作DAY OF WARTHと 音楽性が似ています。
またちょっとディスコチックなところは、 トミー・アイアーが関連した怪作CLASSICAL MECHANICSを連想させます。
この時代の辺境シンフォものとしてはトップクラスの内容だと断言できます。

・BREAKING THE SILENCE/HEATHEN(87)
80年代に一世を風靡したスラッシュ・メタル・シーンで ひっそりと活動していたマイナーバンドのデビュー盤。
ギター2本によるリフ主体の楽曲の組み立て、 疾走感を強調した録音、メロディアスなギターソロ... 様々な面がメタリカの1st〜2ndあたりに類似していてやたら格好良いです。
ただ残念なことにボーカルだけが弱いです... 他のあらゆる面が充実して素晴らしいだけにやたら目立ってしまうのかもしれませんが、 力量のあるボーカリストが加入していれば、 今頃メジャーな存在になっていたかもしれないと思うと勿体無く感じます。
久々にこの時代特有のザクザクなギター音を聴き、懐かしい気分に浸ることが出来ましたが、 もう18年も前の作品なんですね...時の経つのは早いなぁ。

・SHADOWS UNBOUND/NATHAN MAHL(03)
カナダのテクニカル・シンフォ・バンドの2003年新作。
最もジャズ・ロック色の強かった傑作2ndから抜粋した曲の再録+新曲で 構成されています。
再録曲に関しては今回改めて演奏・録音しなおすことで 音に広がりが出て洗練された印象が強くなりましたが、 その反面彼らの魅力である荒々しさや落ち着きの無さが失われてしまったのは残念です。
また新曲も再録曲に比べるとやや魅力に乏しいです。
しかしそれでも元曲の魅力と卓越した演奏能力を堪能できるので 聴き応えのある作品には仕上がっています。
今はバンドがやや煮詰まっている時期なのかもしれません... 彼らの実力はまだまだこんなものでは無いと思うので、 次回作に期待したいと思います。

・REBORN/PURPLE OVERDOSE(99)
ギリシャから出現した時代錯誤型サイケ・バンドの作品。
60年代後半〜70年代初期の空気を完璧なまでに再現しており、 デビュー時のキャラヴァン、シド・バレット在籍時のフロイド、 初期ドアーズをごちゃ混ぜたにしたような魅力的なサウンドになっています。
いやはやどこの国にもこの手のバンドが存在するんですね... それほど1970年前後にロックが最も輝いていたということかもしれません。
イスラエルのROCKFOURの強力なライバルといえるでしょう。 もちろんギリシャらしさは皆無です!

・INNER WORLDS/MAHAVISHNU ORCHESTRA - JOHN MCLAUGHLIN(76)
マハビシュヌ・オーケストラ名義としては異色であり見落としがちな作品。
従来の激しいジャズ・ロック的側面は影をひそめ、 ギター・シンセを扱ったインプロもの、ポップでファンキーな歌ものなど 幅広いスタイルに挑戦していますが、 4人編成であることを感じさせない充実した演奏となっているのはさすがです。
何より同じところにとどまらず、常に新しいものを取り入れ、 進化し続けていこうとするマクラフリンの姿勢が 音に現れているのが素晴らしいです。
ナラダのダイナミックなドラミングが聴けるのも嬉しいです。
ただ「ウホッ!」なジャケットは?ですが...

・KAD BI BIO BIJELO DUGME/BIJELO DUGME(74)
旧ユーゴを代表する偉大なロックバンドのデビュー盤。
基本的に初期パープルやツェッペリンに通じる ブルース色の強いハード・ロック (これはこれで相当格好良い!)なのですが、 バラード曲が凄いことになっています。
クラシカルなオルガン、むせび泣くギター、 魂のこもったボーカル... まさに初期ニュー・トロルスあたりに通じる イタリアン・ヘヴィ・プログレそのものです。
彼らの作品は既に何枚か購入済なのでダブってしまいますが、 素晴らしい内容に迷わず10枚組ボックスセットを注文しました。
余談ですがフラッシュのアルバムにも似たような セクシー・ジャケがありましたね。

・VOIMASTA JA KUNNIASTA/MOONSORROW(01)
フィンランドのシンフォニック・ヴァイキング・メタルを代表するバンドによる2作目。
次作となる孤高の名盤KIVENKANTAJAを先に聴いてしまったため、 全体的にやや物足りなさを感じるのは事実ですが、 本作のほうがアルバムの整合感では上回っているように思えます。 またこの時点で既にシンフォニック・ヴァイキング界を 牽引する存在となっていることがよくわかります。
哀愁漂うメロディとキーボーディストのセンスがずば抜けているので、 ほとんど疾走しなくても、ギターソロが少なくても、全く気にならないんでしょうね。

・DAY FOR NIGHT/DOUG POWELL(04)
トッド・ラングレンの後継者と呼ばれるアーティストの作品。
様々な仕掛けが次々と飛び出すマニアックな手法はいかにもトッドっぽいですが、 全体的な雰囲気はトッドよりもジェイソン・フォークナー、 ライナス・オブ・ハリウッドあたりに近いものを感じます。
とにかくメロディの美しさは特級品... この作品を聴いた誰もが、ダグがもの凄い才能を持った天才ポップ職人である、 と断言せざるを得ない力作といえます。
なにげに太陽と戦慄なジャケットも味があります。
まだこんな凄いアーティストがいたなんて驚きです。 もちろんこれから他の作品を集めることにします。

・MAYBE TOMORROW/IVEYS(69)
長らく入手困難だったBADFINGERの前身バンドIVEYS唯一の作品が、 ようやく再プレスされました。
想像以上にいろんなタイプの曲をやっていますが、 どの曲にも共通していえることは「メロディの覚えやすさ」...これに尽きます。
とっても内容が良いのに、当時本国イギリスで発表されなかったというのが 不思議でなりません(日本ではちゃんと発表されたというのに...)。
2曲目はチューリップかと思いました!(絶対パクってますよねぇ)
ボーナストラックの15曲目はコーデュロイみたいな格好良さがあり、 これまで彼らに持っていたイメージと違っていてちょっと意外でした。

・LIVE/1974-2000/ARTI & MESTIERI(03)
イタリア最高のジャズ・ロック・バンド、アルティ・エ・メスティエリの 廃盤状態だった全盛時のライブ盤が、 リマスターされ近年のライブ音源まで収録した2枚組となって帰ってきました。
もちろんどちらも眩暈がするほど素晴らし過ぎるパフォーマンスです。
フリオ・キリコの超人的なドラムは1974年の方がキレてますが、 他のメンバーの演奏は1999-2000年テイクの方が輝いています。
聴けば聴くほど初来日公演が楽しみでなりません。 こんなの目の前でやられたらどうなっちゃうんだろ!(笑)

・THE TEETHING FASHION/RELAYER(96)
アメリカのシンフォニック・ハード・バンドの2作目。
バンド名からすぐにイエス・フォロワーを連想しますが、 イエスだけでなくジェントル・ジャイアント、ジェネシス、ラッシュ、カンサス... 数々の大物プログレ・バンドの影響を感じることが出来ます。
なかなか練られていて楽しめるのですが、 同系等のスポビやエコリンに比べるとやや没個性的で弱い感じがします。
どちらかというとこのバンドの面白さはクイーン風シンフォに挑戦していることでしょう。 このクイーン路線を強化していればもっと魅力的なアルバムになったような気がします。

・ASCENCAO E QUEDA/PETRUS CASTRUS(78)
近年AKARMAと共にマニアックなプログレファンを 狂喜乱舞させている韓国M2Uが発掘、再発させたポルトガルのシンフォ作。
周辺国に比べてやや層は薄いもののポルトガルのロックシーンにも 実力のあるプログレバンドが存在していたことを証明するのに十分な内容といえます。
もちろんプログレ名盤紹介にも掲載します。

・THE HUMAN EQUATION/AYREON(04)
天才アルイエン・ルカッセンによるシンフォ・メタル・オペラ・プロジェクトの2004年新作。
ゲスト陣はこれまでに比べるとやや地味ですが(予算不足?)、 アルイエンが各人の個性を最大限引き出し、 壮大なスケールのもとに作成された楽曲の適所に、緻密なパズルのようにあてはめているので 全く問題ありません。完璧な仕上がりです。
このとてつもないスケールの大きさに対抗できるアーティストはしばらく出てこないでしょう。
ただし2枚組というボリュームは重過ぎ... 長い間集中力を持続しなければならないので相当疲れます。
フラキンにも同じことがいえますが、今後は情報量を間引くなどコンパクト化に 積極的に取り組んで欲しいと思います。

・ARDEUR/ESKATON(80)
フランスのマグマ・フォロワー(というよりマグマ・クローン)の作品。
曲展開、ベース、女性ボーカル、キーボード、リズム...様々な点がマグマに酷似しています。
ただしマグマの邪悪な精神性は皆無です。 またゆっくりとエネルギーをためてから一気に爆発するマグマと比べて、 疾走ジャズ・ロック・パートだけを抽出してコンパクトにした感じです。 (例えるならライト・マグマ、簡易版マグマという表現がピッタリ?)
アルバムを通すとやや単調ですが、 マグマと違って気軽に楽しめるのでこれはこれでありでしょう。
ライトビールやノンアルコールビールが世の中に出回っているように、 マグマはだめでもこのバンドならOKという人も結構いると思います。
マグマファンもオリジナリティに目をつぶれば 格好良さに痺れまくること間違い無しです。

・LASKAR CINTA/DEWA(04)
インドネシアの最強ロック・バンドによる7作目。
一刻も早く聴きたかったのでインドネシア通販で入手しました。
彼らと同傾向のバンドが増えているせいか、シンフォ路線は飽きてきたのか、 新たな方向性を模索する姿が音にあらわれており、 特に電子的アプローチの大胆な導入が目立っています。
ただ様々な変化が見られるものの、 メロディの美しさは従来どおり保たれているのが頼もしいです。 3曲目では泣きそうになりました(特にギターソロ凄すぎ)。
またクイーン、ELO、ビートルズ(というか苺畑)、ツェッペリン(というか移民の歌) らのエッセンスが随所に感じられるのが楽しいです。
インナーのメンバー・ショットが怪しくなっていることだけが心配です (1人はブラックデビルみたいになってるし!...)

・MILLION WAYS TO LOVE - PART I/BOYD KOSIYABONG(03)
タイの才能豊かなソロ・アーティストの作品。
鶴瓶似のルックス(笑)からは全く想像もつかない、 おしゃれで洗練されたシティ・ポップスが楽しめます。 個人的には初期オリジナル・ラブを連想しました(=タイ色は皆無)。
タイものは1,2曲しか印象に残らないものがほとんどでしたが、 この作品はヒット率がずば抜けています。 彼一人で全曲の作詞、作曲にアレンジ、プロデュースまで手がけるなんて、 本当に凄い才能だと思います(天は二物を与えず?)
内ジャケが、「タイもええもんやで〜!」と言わんばかりに 彼の姿を大写しにしたポスター仕様となっているのには笑いました!

・SHEHRAZAD/ALMORA(04)
トルコの辺境メタル・バンドの3枚目。 徐々に盛り上がりつつある民謡メタルブームのおかげで随分入手が楽になりました。
根本のメタルパートに関しては、一昔前のB級メタルっぽい印象なのですが、 大々的にフィーチャーされたフルート、ヴァイオリン、情感豊かな女性ボーカル、 時折垣間見せるエキゾチックなトルコ民族色により、 なかなか個性的かつ魅力的な作品に仕上がっています。
ただ男性ボーカルはかなり弱いです。
なんだかいろんな意味でCRUACHANに似ているかも(笑)!。

・GET DOWN IN THE DIRT/UPP(04)
ずっと廃盤状態が続いていた、ジェフ・ベックの弟分的バンドUPPが残した2枚のアルバムが、 カップリング&貴重なデモ音源追加収録という形でようやく再発されました!
第二期ジェフ・ベック・グループ〜BBA〜ブロウ・バイ・ブロウ、ワイアードといった ベック黄金期の多岐にわたる音楽性がそのまま投影されたような ハードでファンキーでクロスオーヴァーなサウンドがたまりません!
キーボードもマックス・ミドルトン度が高いです。
もちろんベック自身も素晴らしいプレイを連発してくれます。 (特にトーキング・モジュレータ最高!)
ポップなデモ音源もかなり出来が良いです。
このバンドを語るときはベックのことばかりしか出てきませんが、 他のメンバーの力量も相当高度であることが良くわかります。
やや決め手や華やかさに欠けるところはありますが、 今回の再発を機にベック・ファンだけでなく 多くのロック・ファンに聴いて欲しいと思います。

・WINTERHEART'S GUILD/SONATA ARCTICA(03)
北欧メロディック・スピード・メタル・バンドの3rd。
ストラトヴァリウスのフォロワー的存在として 衝撃的なデビューを飾ったのがついこの間のように思われますが、 もはや彼らのフォロワーが次々と出現する存在にまで大きく成長しており、 本作はそのことを示す極上の仕上がりとなっています。
2ndと比べ楽曲面でやや少し弱い気がしますが、 演奏力がアップしているので全く問題無く楽しめます。
欲をいえばデビュー時のスタイルから変化が無いまま来ているので、 そろそろ新しい面を見せて欲しいと思います。

・THE RETURN OF N.EX.T PART III/N.EX.T(04)
タイトル通りシーンに帰ってきた韓国プログレ代表格の5作目。
2枚組のうち、1枚目に「現世地獄」、2枚目に「新婦」という曲を 収録していることが物語るように、 1枚目は重苦しくヘヴィな、2枚目はシンフォニック・バラードを含む バラエティ豊かで明快な内容となっています。
2枚組における1枚目と2枚目の音楽性の対比は、 まるでドリーム・シアターのSIX DEGREES OF INNER TURBULENCEのようです。
いろんな音楽性を詰め込みすぎて散漫な印象は拭えませんが(特に2枚目)、 どんなスタイルも貪欲に取り込もうとする姿勢に 王者の風格が漂っています。

・THE REVOLVER SUITE/BOZO ALLEGRO(98)
アメリカのポップなブラス・ジャズ・ロック・バンドによる ビートルズの大名盤REVOLVERをまるごとカバーした作品。 (まるでLAIBACHのLET IT BEのような大胆な試み!)
アフリカン、ゴスペル、ラグタイム、ディキシーランド、 ブルース、ファンク、フュージョン、ヒップホップ... 曲ごとにテーマを変えたカラフルな演奏がとても楽しいです。
元ネタのREVOLVERを改めて聴きなおしたくなりました。
BSTとビートルズの両方とも好きなら絶対に入手しましょう。

・ANCHOR DROPS/UMPHREY'S MCGEE(04)
1997年から活動を続けているアメリカのジャムバンドの2004年新作。
PHISHを筆頭にうじゃうじゃ存在するジャムバンドの中で、 BLIND MAN'S SUN同様プログレ臭をプンプン漂わせるスタイルが魅力的です。
BLIND MAN'S SUNほど壊れまくってはいませんが、 ジャズ、プログレ、ハードロック、ファンク、ポップ、フュージョン... 雑多なジャンルの枠を取り払って展開される超絶な演奏がとても格好良いです。
根っこがジャムバンドなので、プログレファンからすると、 マンネリ気味のシーンに登場した救世主に感じられるかもしれません!

・NAGYVAROSI IKONOK/TOWNSCREAM(97)
ハンガリーを代表するスーパー・プログレ・バンド、 アフター・クライングの初代キーボーディストが脱退後、新たに結成したバンドのデビュー盤。
EL&P、クリムゾンといった2大バンドの上っ面をなぞるのではなく、 そのプログレッシブな精神を根本から吸収した上で、 独自の感性によりクラシックとロックを融合させており、 結果として非常に高度な音楽性が凝縮された重厚なシンフォ作に仕上がっています。
キース・エマーソンがのりうつった様なピアノをはじめ、 凄腕メンバー達による演奏のテンションももの凄く高いです。
それにしてもアフター・クライングと方向性が同じなのに、 キーボーディストが何故脱退しこのバンドを結成したのか謎ではあります。 (個人的にはこちらのほうが好みです。)
しばらくバンドの音沙汰が無いので今後新作が出るのかちょっと心配です。

・TESTIMONY/NEAL MORSE(03)
突然のバンド脱退、音楽活動休止によりプログレシーンに激震が走ったのが記憶に新しい、 天才ニール・モーズの音楽活動復帰1作目。
神の声があろうがなかろうが、彼の生み出すサウンドは基本的に変わっていません。 それどころか演奏やボーカルがより表情豊かになっています。
壮大でありながらキャッチーなシンフォ・ワールドは今回も完璧。 キャッチーなおかげで長い楽曲でも聴き通す事が出来るのが嬉しいです。
スポビやトランスアトランティックと類似したスタイルであることを考えると、 いかに現プログレシーンにおいて彼の影響力や功績が凄いものかが良くわかります。
今後のシンフォ界の発展はやはりこの男にかかっているといっても良いでしょう。
本当に戻ってきてくれて良かった。神様ありがとう。

・MANTRA/THE ROSWELLS(00)
カナダのポップ・バンドの2作目。
電撃ネットワーク風メンバー(笑)のジャケットからは想像もつかないような、 ビートルズの影響を強く感じさせる、 美しいメロディとアレンジが際立つ楽曲が揃った佳作となっています。
これからもまだまだ伸びていくと思われるので、 偉大な先輩であるクラトゥを超える存在になれるどうか、 見守っていくことにしましょう。

・IMPROGRESSIVE/MINDFLOWERS(02)
ハンガリーの新人プログレバンドの作品。
近年のハンガリーといえばアフター・クライングやランブリン・オーケストラなど クラシカル・シンフォのイメージが強いのですが、 彼らはメタル、フュージョン、ジャズ・ロック、シンフォを融合した ユニークなスタイルで勝負しています。
多くの可能性と広がりを感じさせる自由度の高い演奏が のびのびと繰り広げられていくのでとても気持ち良いです。
ただ3曲目はあまりにもドリーム・シアターし過ぎ! 5曲目も太陽と戦慄パート2が出てきます!
電車の中で聴いていると7曲目では携帯が鳴ったのかと勘違いしてビビります。
センスは相当良いので今後の活躍がとても楽しみです。

・UNLEASHED IN JAPAN/TIME REQUIEM(03)
現在のネオ・クラシカル・メタル界で最も輝いている鍵盤奏者、 リチャード・アンダーソン率いる超絶バンドによる2003年2月の日本公演のライブ音源。
スピーディーでアグレッシブな楽曲がたくさん選ばれているため、 スタジオ盤よりもテクニックのすさまじさが際立っていてとにかく格好良いです。
またマジェスティック時代の名曲をちゃっかり収録しているので より楽しめるお得な内容となっています。
リズム隊がチェンジした現メンバーのライブ音源と聴き比べてみたいものです。

・PRVO SVETLO NEOBICNOG ZIVOTA/KORNI GRUPA(95)
1968年に結成され70年代に活躍した旧ユーゴのロック・バンドのベスト盤。
ロック黎明期の荒々しい演奏が 時代とともに洗練されていく様子を音を通じて感じとることが出来ます。
プログレッシブな要素がかなり強く、なんと全収録曲7曲のうち4曲が10分を超えています。
時折フォルムラ・トレ、ニュー・トロルス、ムゼオ・ローゼンバッハあたりの イタリアものを連想させるところが、いかにも旧ユーゴのバンドらしいです。
4曲目の激泣きバラードはストリングス・アレンジが絶品!... ルイス・エンリケス・バカロフが絡んでるとしか思えません。

・THE BRIDGE/707(04)
音楽性とバンド名が似ているので101 SOUTHと混同しやすい アメリカのメロディアス・ハード・バンドによる、1982年録音の未発表作品。
いかにもアメリカらしい開放的なサウンドが心地良いです。
楽曲のクオリティも極めて高く、 産業ロック〜メロディアス・ハード・ファン全員を 必ず満足させる内容となっています。
うれしいことにボーナスとして追加収録された3曲の出来も素晴らしいです。 (特に13曲目の哀愁漂うバラードはとにかく泣けます...本作のハイライトかも)
これだけ良質の作品が永遠にお蔵入りにならなくて本当に良かったー。

・SUPERIMPOSE/BRIAN LOVELY(02)
アメリカのポップ・アーティストの作品。
基本はジェイソン・フォークナーやダグ・パウエルあたりに通じる 高品質のポップ・アルバムなのですが、 いかにも癖のありそうな風貌どおり、 突き抜けそうで突き抜けない屈折した感覚がスパイスとなっています。
ひねくれたコード進行やアレンジはXTCの影響(もちろんXTCほどひねくれてはいませんが) を強く感じさせます。 1人XTCはマーティン・ニューエルだけじゃ無かったってことですね。 (でもブライアンとマーティンの音楽は似てないのがミソ!)
全然関係ないですが「スーパーインポーズ」という言葉を 始めて知ったのはシャープのX1だったなあ...

・DARK MOOR/SAME(03)
まるでアングラのような衝撃的なバンド分裂により、 大幅なメンバー変更を余儀なくされた スペイン最強のシンフォ・メタル・バンドの新体制第一作目。
今回はこれまでのラプソディ系スタイルに加えアングラ風要素も取り入れています。 またプログレッシブな展開が増えバロック色も相当強化されています。
ただし肝心の歌メロが弱くなっているので、 格好良いキメの部分とのバランスが悪く、 楽曲全体の印象が弱まっているのが大変残念です。
クオリティは過去2作に比べると落ちてしまいましたが、 悪いアルバムではないので楽しめることは事実です。
ただこのまま停滞してるとスペインNo.1の座をWARCRYあたりに奪われちゃうぞ!

・HOMEWORK/DAFT PUNK(96)
2作目のディスカバリーで大ブレイクした、 フランスのテクノ・ポップ・ユニットのデビュー盤。
最近3作目が出たのを知り、昔買ったもののずっと聴いていなかった 本作を慌てて探してようやく聴いてみました。
名盤ディスカバリーに比べると、かなり硬派で聴き手を選ぶ内容に やや面食らいましたが、新旧の多彩な音楽要素を取り込んで新しいものを 作り出そうとする精神はしっかりと伝わってきます。
新作を聴くのがますます楽しみになりました。

・RE-DESIGN/ARMCHAIR(03)
タイのおしゃれなポップ・バンドの作品。
THE PEACHBAND、BOYD KOSIYABONGなどタイには渋谷系を連想させる バンドやアーティストがいくつか存在しますが、 彼らも渋谷系ど真ん中のサウンドを披露しています。
渋谷系と言ってもスタイルは様々ですが、あえて例えるならば、 BOYDがオリジナル・ラブとすると、彼らはコーネリアスといったところでしょう。 (かなり乱暴?)
ソフト・ロックの影響を感じさせるやさしいアレンジとコーラスが心地良いです。

・THE WORLD THAT WE DRIVE THROUGH/THE TANGENT(04)
まるで全盛時のフラワー・キングスがカンタベリーに傾倒したようなデビュー盤が 素晴らしかったスーパー・シンフォ・プロジェクトの第二弾。
今回は残念ながらデヴィッド・ジャクソンが参加していませんが、 代わりに加わったゴングのセオ・トラヴィスが奮闘しています。
前作と比較するとカンタベリー色が減りスタイルの特色としてはやや弱くなりましたが、 メンバー間の結束度がさらに高まっているのでやはり傑作に仕上がっています。 (私は本作のほうが好きです。)
70年代シンフォに対する愛情に満ちあふれたサウンドは、フラキン、新生カイパ、 トランスアトランティック(←全部ロイネが絡んでる!)に近いですが、 このタンジェントはどこか陰鬱としたブリティッシュの影を引きずっているところが 持ち味といえるでしょう。
相変わらずジャケットも美しいです。

・ILLUMINATION/LESIEM(03)
ドイツのニューエイジ〜アンビエント系プロジェクトの作品。
「ENIGMA MEETS PINK FLOYD」というキャッチコピーにそそられて入手しました。
確かにやたらエニグマしていますが、フロイドらしさはあまり感じられませんでした。 フロイドというよりはポーランドのアマロックに近いです。 (もちろんマイク・オールドフィールドでも可)
荘厳な聖歌隊のコーラスをはじめとする スケールの大きいシンフォニックなアレンジは、 プログレファンにも十分アピールする内容といえます。
たまには耳...というか心身を癒してくれるこの手の音楽も良いですね。

・ENSIFERUM/SAME(01)
フィンランドのヴァイキング・メタル・バンドのデビュー盤。
垢抜けないチープなB級バンドがうじゃうじゃ存在するジャンル(笑)ですが、 彼らはシーンの中でもMOONSORROWと並んで抜きん出た存在といえます。
とことんシンフォニックなMOONSORROWと比べるとシンフォ度は少なく、 代わりにアグレッシブ度が高いです。 メロスピやメロデスに近い面も持っており、 まるで「ブラガがメロデス化」、または、 「チルボドがヴァイキング化」したようなサウンドとなっています!
一般的なメタルファンにとってヴァイキング入門に最適なアルバムと言えるでしょう。
ENSIFERUM、MOONSORROW、FINNTROLLといった名バンドを支える TROLLHORNは大天才ですね。

・RUIN JONNY'S BAR MITZVAH/ME FIRST AND THE GIMME GIMMES(04)
メロコア界のスーパー・カヴァー・バンドのライブ盤。
アホアホ度がライブでさらにアップしていて最高に楽しいです。 (ちょっとふざけ過ぎな箇所もありますが!...)
天国への階段、ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー、オー・ソレ・ミオ、 ロンゲスト・タイム、蛍の光(これはラビットも取り上げてましたね。)、スーパースター... ハチャメチャですが相変わらず選曲センスが冴えまくっています。
特にブロンディのハート・オブ・グラスには意表を突かれました。

・ANOTHER MIND/HIROMI(03)
新進気鋭の日本人ジャズ・ピアニスト上原ひろみのデビュー作。 (輸入盤ではHIROMI名義(←ドラマ「エースをねらえ!」の 主題歌を歌っていた人ではありません!(笑))となっています)
単なるジャズ・ピアノ作品にとどまらず、 クラシック、ロック、ファンク、フュージョン、ラテン...様々な要素が次々と飛び出し、 聴き手を大いに驚かせてくれます。 この辺りが耳の肥えたプログレ〜ジャズ・ロックのファンに絶賛される所以でしょう。
安易な凄腕ミュージシャン寄せ集めものと違い、ただ超絶なだけでなく、 彼女のみずみずしい感性や情熱が前面に出ているのがなんとも新鮮です。
いろんなことにチャレンジしながら、ジャズを普段聴かないような一般リスナーをも 魅了してしまうような「分かりやすさ」を持ち合わせているのも素晴らしいです。
今後も小さくまとまることなく傑作をどんどん発表してもらいたいものです。

・THE SECOND WAVE/FINAL FRONTIER(03)
カナダのメロディアス・ハード・プロジェクトの作品。
プロジェクト名やジャケット・アートなどから激しくジャーニーを連想させますが、 内容も負けず劣らず全盛時のジャーニーにかなり似ています!
近年のメロディアス・ハード系を代表するグランド・イリュージョンと比べると、 北欧らしい哀愁とドラマティックさが持ち味のグランド・イリュージョンに対し 彼らはアメリカらしくシンプルで明るく爽やかなサウンドとなっています。
ちょっと型にはまりすぎて、面白みに欠けるきらいはありますが、 ボーカリストのパワフルで情熱的な歌唱できちんとカバーしているといえます。
メロディアス・ハード・ファンはもちろん 80年代にジャーニーを追っかけていた人は要チェックです。

・FLYING OF EAGLE/JEREMY(00)
韓国のシンフォニック・クリスチャン・メタル・バンドの作品。 守護神伝まるだしなタイトルから、ハロウィン風のメロスピ系かと思いきや、 ドリーム・シアター風のプログレ・メタルをやっています。 本家に比べるとプロダクションはチープだし、 技術面もかなり不足していて演奏が追いついていないところが結構ありますが、 そこをあふれんばかりのコリアン魂で補っています。
本家よりも人間臭さが音に表れているのが魅力のひとつといえるでしょう。
今後は、韓国民族色またはクリスチャン・メタルらしさを もっと強く押し出すなど個性を磨いて欲しいと思います。

・HEAVEN OF LOVE/ADA BAND(04)
旧作TIARAの爆裂シンフォ曲のおかげで、 一部の辺境シンフォ・マニアに知られているインドネシアの メロディアス・ロック・バンドの2004年新作。
以前のように突拍子も無くいきなりシンフォ化するようなことは無くなり、 バンドが大人になった感じです...が、その分地味になったともいえます。
ただ何度も繰り返し聴くと、甘美なメロディラインに磨きがかかり、 シンフォ・アレンジも大っぴらでは無く隠し味的に使われていることがわかります。 アルバム全体の整合性もかなりアップしています。
ちょっと小粒で保守的なDEWAといった感じに聴こえなくも無いですが、 インドネシアもの好き、もちろんDEWAファンならかなり満足できる作品だと思います。
インドネシアものにしては珍しくMETAMORFOSIに続き 今回もジャケットが美しいです。(でもCCCDは止めようね!)

・VISION IN THE DARK/DEYSS(87)
スイスのバンドによる80年代シンフォ影の名作。
80年代というプログレ氷河期に 人知れずこんな音を作り出していた人達がいたんですね... ジェネシス影響下のシンフォ・サウンドに 80年代のエッセンスが加えられたスタイルは今聴くとなにげに新鮮です。
売れる可能性がほとんど無い時代背景を考えると、 シンフォが好きで好きでたまらなかったんでしょう。 痛々しさすら感じてしまう自主制作まるだしのチープなプロダクションながら、 シンフォを心から愛する誠実な気持ちが楽曲、演奏ににじみ出ているのが 本作品の最大の魅力なのかもしれません。
その昔スウェーデンのダイスと混同していたことがありましたが、 サウンドも結構共通するものがあったんですね...ちょっとびっくりです。

・BURIED IN OBLIVION/INTO ETERNITY(03)
カナダの実力派プログレ・メタル・バンドによる作品。
突進力、攻撃性、楽曲の複雑度、演奏力...あらゆる要素が極めて高い水準にあり、 プログレメタル、メロデス、テクニカルデス、スラッシュ、王道メタル... といった多種多様なスタイルを贅沢に取り込んだサウンドがすこぶる格好良いです!
個人的には一時は盛り上がったもののすっかり廃れてしまったプログレデスが、 突如急激な進化を遂げ21世紀に蘇ったようにも感じました。
内容の充実ぶりはすさまじいので、 多くのメタル・バンドを聴きまくっているマニアでも新鮮に感じると思います。
カナダってこういう面白いバンドが突然出現するんでんすよね。

・DESERT DREAMS/SHIVA(03)
女性ボーカリストとギタリストによるスウェーデンのメロディアス・メタル・ユニットの2nd。
クオリティが安定したキャッチーな楽曲を、パワフルに歌い上げるボーカルと メタル色が強くなかなかテクニカルなギターが彩っていくスタイルは魅力十分... まるでメタル界の男女混合版B'zといった感じでもあります!(←ほんとか?)
ただ捨て曲は無いもののアルバムを通じて印象に残る箇所が少ないのはちょっと残念です。
ボーカリストは女性らしさを感じさせない力強さばかりが目立ちますが、 5曲目のタイタニック風バラード!(笑)では一転して女性にしか出せない美しさを 見事に表現しています。
今後引き出しが多くなればメジャーな存在になってもおかしくないでしょう。 でもそのときはジャケットのデザインをもっと考えてね!

・IMMACULATE COLLECTION/TITI DJ(04)
インドネシアにバラードの女王が一体何人存在するのかわかりませんが、 確実にその一角を担っている実力派女性ボーカリストのベスト盤。
1985〜1999年の楽曲が収録されていますが、アレンジの違いこそあれ、 どの時代もメロウでスローなバラードが多いです。
TEREやAUDYと比べるとロック色が薄く、歌謡曲〜ポップス寄りなので、 ややメリハリが無いように感じますが、 長い間活動を続けている重みを歌声から感じることが出来ます。
初期音源の音質が悪いのが残念ですが、メロディ重視の女性ボーカルものが好きなら、 聴いて損は無いでしょう。
ジャケの本人の写真(化粧バリバリ!)が KRISDAYANTI(CAHAYAのジャケ)に似てるのが 興味深いです!...この手の顔(化粧)が今のインドネシアのハヤリなんでしょうか?

・MACHINES OF MENTAL DESIGN/GUARDIANS OF TIME(04)
ノルウェーの成長著しいメタルバンドの2nd。
いかにもジャーマンまるだしなバンド名から B級のジャーマン遺伝子系メロスピバンドかと思いきや、 最近のノクターナル・ライツやロスト・ホライズンに通じる ごり押し系正統派パワー・メタルとメロスピ王道路線を合体させたような 本格的なサウンドを作り出しています。
まだ前述したような強力バンドの域には達していませんが、 この勢いのままぐんぐん登っていければ、 彼らと肩を並べる日も近いでしょう。

・BEWILDERBEEST/THE SUN SAWED IN 1/2(00)
アメリカのジェリーフィッシュ直系パワー・ポップ・バンドの作品。
楽曲、演奏、歌声...ジェリーフィッシュに酷似した部分が確かに多いですが、 通常のバンド編成に加え、サックス、フルート、ヴァイオリン、アコーディオン... といった様々な楽器を効果的に取り入れるなど、 数多く存在するジェリーフィッシュ・フォロワーとは一線を画す ユニークなスタイルが魅力的です。
アルバム自体のクオリティも相当高いので、 ジェリーフィッシュのファンはもちろん ポップ好きなら押さえておきましょう。

・MYTHOLOGY/DEREK SHERNIAN(98)
ドリーム・シアター2代目キーボーディストの2004年ソロ作。
70年代のクロス・オーヴァー〜フュージョン〜ジャズ・ロックと 90年代のテクニカル・プログレ・メタルが合体したような魅力あふれる作風です。 (ブロウ・バイ・ブロウ〜ワイアード+90年代ドリーム・シアターという表現でもOK!)
デレクの超人的な指さばきが光っていますが、 それ以上に、アラン・ホールズワース(久々にバリバリ弾きまくってます!)、 ジェリー・グッドマン(マハビシュヌ時代より上手くなってる?)、 スティーヴ・ルカサー(完璧過ぎて困っちゃう!)... といった豪華ゲスト陣の個性を最大限に生かした起用法 およびバッキングに才能の深さを感じます。
今のドリーム・シアターより気に入る人も結構いるかもしれませんね。

・HORDES OF THE BRAVE/IRON MASK(05)
ベルギーのネオクラシ・・・というより 手っ取り早くイングウェイ・クローンと表現すべきギタリスト、 ダッシャン・ペトロッシ率いるメタル・バンドの2nd。
「まずは形から」という言葉が見事に当てはまるように、 裏ジャケでギターを構えるダッシャンはまさに全盛時のイングウェイそのものです! (それにしてもネオクラシカル系ギタリストって何故みなイングウェイのルックス まで真似しようとするんでしょうね... ただダッシャンは「最も格好良かった痩せている時代のイングウェイ」なのが ポイント高いです!)
敬愛するイングウェイ様がやらないのなら自分でやってしまえ!...と言わんばかりに、 イングウェイ全盛時のサウンド・スタイルを見事に継承した内容となっています。
この手のイングウェイ・サウンドを作り上げる上で 現在最も適任と思われるリチャード・アンダーソン、オリヴァー・ハートマンの起用も ズバリはまっています。
それにしても、2005年になってもまだ新たなフォロワーが出てくるなんて、 イングウェイの影響力って凄いなぁ。

・WASTELAND FOR BROKEN HEARTS/HIRSH GARDNER(02)
70年代末にアメリカから登場し、日本人好みのドラマティックなサウンドで 多くのファンを魅了したNEW ENGLANDのドラマーであるハーシュ・ガードナーの復活ソロ作品。
B&B黄金期の洋八もびっくりのもじゃもじゃ頭は昔のまま(も、もしかしてヅラ?!...)ですが、 サウンドもほとんど変わっていません。 NEW ENGLANDが築いたドラマティックでメロディアスなスタイルを忠実に受け継いだ上、 NEW ENGLANDのメンバーが集結した曲(重くのしかかるようなメロトロンが ムゼオ・ローゼンバッハしていておかしいです!)まで収録... ファンには涙ものの傑作と言えます。
今でもこれだけの作品が作れるのならNEW ENGLAND再結成にも 大いに期待が持てるというものです。 再結成の噂が話題になってからかなり時間が経っていますが、 なんとかアルバム発表、さらには来日公演を実現させて欲しいです。
しっかしどうしてこんなに悪趣味なジャケットにしちゃったんだろ...orz

・BATTLE METAL/TURISAS(04)
フィンランドから出現した有望なメタル・バンドのデビュー盤。
バトル・メタル!(^^;)...というアルバムタイトルどおりのジャンルを確立させるべく、 RHAPSODY、BAL-SAGOTH、MOONSORROWから「戦闘」要素のみを抽出し、 合体させたようなスタイルはこの手のファンの心を直撃するに違いありません。
ただ先駆者である前述した3バンドと比べると、今ひとつ 彼らの個性がみえず意外性に欠けるのが残念ではあります。
デビュー盤としては合格点を余裕でクリアしていますが、 今後、何か他のバンドとは異なる「武器」や「必殺技」を持たないと、 厳しいメタル戦国時代を生き抜いていけないぞー!

・JAZZED FOR THE BEATLES/STEVE HULSE(01)
ビートルズの名曲を巧みなジャズアレンジで仕上げたピアニストの作品。
この手の作品は他にもありそうですが、本作は原曲の崩し方が絶妙です。 名曲ジャズアレンジものは、とかく原曲をいじり過ぎて壊してしまうことが多いです (かといって原曲をそのままコピーしても面白くない!)が、 本作は程よい崩し加減のおかげで耳に自然になじむ感じがします。
ビートルズの楽曲自身が放つ神がかり的なオーラに包まれたメロディに敬意を表し、 最大限に活かそうとした結果が本作品の美しさにつながったのでしょう。
メロディが脳裏にしっかり焼き付いてるのは強いですね。 ふんわりした優しいピアノの音色がとてもマッチしています。 (もしビートルズの曲じゃなかったらすぐ眠くなると思われ...)

・OVER THE RAINBOW/復活(BOO HWAL)(04)
1980年代から活動を続けている韓国の大ベテラン・バンドの9作目(限定リパッケージ盤)。
男らしさがびしびし伝わってくるメンバーのルックスから、 硬派なハード・ロックをイメージしていましたが、 いきなり韓国ドラマ用(笑)としか思えない、 壮大で感動的なバラードが耳に飛び込んできたので驚きました。
このバンドは過去にスーパー・ヴォーカリスト、パク・ワンギュが在籍していたことでも知られていますが、 そのパク・ワンギュに劣ることのない繊細かつ力強い歌唱を披露する新人ボーカリストの存在感に圧倒されます。
ただ出だしのバラード曲の出来があまりに抜きん出ているため他の曲はさほど印象に残りません。 メンバーもそのことを分かっているのか、アコースティック、カラオケ... CD2枚合わせて同じ曲が5バージョンも収録されています。(プッシュし過ぎだっての!)
とはいいながら、この名バラード1曲のためだけに本作を買ったとしても損は無いと思います。

・TWO/ANDREA PERRY(02)
独特の感性が魅力的なアメリカの女性アーティストによる2nd。
デビュー盤の時点で既に非凡なポップセンスを感じ取ることが出来ましたが、 本作では音楽性に広がりと深みが増し、さらに個性的かつカラフルな内容に仕上がっています。
ライナス・オブ・ハリウッド風の手作りポップに、 女性特有のヒネリ&気まぐれさがふんだんに混じっているのがポイントです。 もしかしたらケイト・ブッシュが肩の力を抜いて、 キャロル・キングに捧げるアルバムを宅録で作ったらこんな風になるのかも!
はじめは多少とっつきにくさがあるものの、 何度も聴いてるうちにずぶずぶとはまってしまいます。
こんな不思議な作品を作り上げるなんて一体どんな変人なんだろう?

・NEVERWORLD/POWER QUEST(03)
新しいRPGの販促ポスターみたいなジャケットが微笑ましい イギリスのシンフォニック・スピード・メタル・バンドの作品。
イギリスといえばメロスピ界に大きな衝撃を与えた ドラゴンフォースが真っ先に思い浮かびますが、 このパワー・クエストはドラゴンフォースと卵が一緒 (←ソフト・マシンとキャラヴァンみたいな関係!?)なだけあって... 明るく健康的な(笑)クサフレーズを連発し続けていきます。
違いはドラゴンフォースがスピードとギターを重視しているのに対し、 このパワー・クエストはメロディとキーボードに力を入れている点でしょう。
特にキーボーディストのセンスは相当ユニークです。 音色、アレンジ、センス...何もかもが80年代のままストップしていて、 ジャンプ(ヴァン・ヘイレン)、ファー・フロム・オーヴァー(フランク・スタローン)、 ネヴァー・エンディング・ストーリー(リマール)、ファイナル・カウントダウン(ヨーロッパ)... 数々のナツメロが脳裏に浮かんでしまいました。
しかしこのイモっぽさが近年のメロスピと混ざり合うと新鮮(しかもクサさ倍増!)に感じられるのが面白いです。
メタルでは脇役になりやすいキーボーディストですが、このバンドでは明らかに主役です。 ヴィターリ・クープリ、リチャード・アンダーソン...メタル界の多くのキーボーディストが 様式美、ネオクラシカル、イェンス・ヨハンソン系であることを考えると、 このキーボーディスト(名前はスティーヴ・ウィリアムス!)は貴重な存在だと思います。
追伸:ドラゴンフォースとパワー・クエストを足すとドラゴン・クエ・・(略

・ARE YOU DEAD YET?/CHILDREN OF BODOM(05)
メロデス界の最重要バンドによる久々の2005年新作が、一瞬予想を裏切った?...と思いきや、 やっぱり予想通りのうっすら緑色ジャケットで登場!
ソロパートでのギター2本+キーボードの激しいバトルは、 相変わらず他を寄せ付けないオーラを放っていて格好良いです。
ただ、かつてイン・フレイムスが歩んだのと同様、 アメリカ市場を意識したブルータル路線に大幅シフトし、 メタル色が抑えられているのがなんとも残念です。
アルバムを何度聴いても一番印象に残るのが、 ボーナス収録のブリトニーのカヴァー曲(新鮮で面白い!)ってのはいかがなものかと...
ただ常に変化し続けようとする姿勢は大いに評価したいと思います。

・ELECTRIC CARTOON MUSIC FROM HELL/ELECTROCUTION 250(03)
裏プログレメタルの祖であるWATCHTOWER(表はDREAM THEATER)の 強力なフォロワーが出現しました。
この手の音楽は、最高水準のテクニックだけでなく アホアホな変態精神を持ち合わせないといけないので非常に難易度が高いのですが、 彼らは見事にその両方を本作に封じこめることに成功しています。
WATCHTOWER〜SPASTIC INKがマニアックで偏執的な変態だとすると、 ELECTROCUTION 250はみんなに親しまれる大バカといった感じです。
バンド内で誰がどれだけ多くの音数を弾けるか、どれだけ速く弾くことができるか... を賭けているような超絶ぶりと疾走感が心地良いです。 凄い演奏をやっているのに題材はかわいいフレーズというギャップも 魅力のひとつと言えます。
ドラマーはARCH ENEMYやTIME REQUIEMといった超一流メタル・バンドに 在籍していたこともあるピーター・ウィルドアーです。 一見接点が無さそうですが、以前どこかのインタビューで、 同郷のモルガン先生の名前を出していたのを思い出しました。 前からこの手の音楽に興味持ってたのね〜。

・CRACK ATTIC(THE BEST OF CRACK THE SKY)/CRACK THE SKY(97)
アメリカのマイナーなポップ・ロック・バンドのベスト盤。
1975〜81年に発表した5作品から選曲されているせいも あるとは思いますが、過剰なまでにいろんなことに挑戦しており、 ポップ、プログレ、シンフォ、ハード・ロック、産業ロック... 雑多な音楽性が複雑に絡み合ったニッチなサウンドを十二分に楽しめます。
イギリスのCITY BOY、SAD CAFE、SUPERTRAMPあたりに近い感性を感じました。 アメリカだとAVIARY、AMBROSIA、あとORCHESTRA LUNAあたりにも通じるかも...
この辺のマニアックなサウンドが好きだったら絶対に買って損は無いです。
このベスト盤で彼らが相当な実力派であることを確認できたので、 個々のアルバムをじっくり聴いてみたくなりました。(頑張れルネサンス・レーベル!)

・HAPPY BIRTHDAY/THE PILLBUGS(04)
アメリカのマイナーな現役ポップ・バンドの3作目。
これまでとなんら変わることなく、今回も自分達がやりたいことを自由にやっている感じで ビートルズとそのフォロワー達の影がちらつくポップな曲がたくさん収録されています。
彼らにとっては変化とかトレンドとかセールスなんて関係無いんでしょうね。 本人達の楽しさにつられて聴き手もいつのまにかちょっぴりハッピーな気分になれる作品です。
彼らには失礼かもしれませんが、ルックスから見るに年齢が高そうなので、 老後の楽しみ的な部分もあるのかもしれませんね!

・SIGN OF TRUTH/DIONYSUS(02)
日本受けするドラマティックな音楽性で一時代を築いた伝説的な北欧メタルバンド ネイションの主要人物をはじめ、輝かしい経歴を誇るメンバーが集結した新バンドのデビュー盤。
イングウェイを日本人向けにカスタマイズしたようなジョニー・ウーリンのなめらかな指さばきは ブランクを全く感じさせず相変わらず煌いていて聴き手の心を激しく揺さぶります。
また力強さと器用さを兼ね備えたスーパー・ボーカリスト、 オラフ・ヘイヤー (時々ラルフ・シーパーズが憑依します!...HEADING FOR TOMORROW〜〜って歌ってるし!) の存在感も際立っています。
ハロウィン(守護神伝の頃)、ガンマ・レイ(デビュー時)にイングウェイ(トリロジーの頃)が 参加したような作風は、90年当時、ジャーマン・メタルと北欧メタルを聴きまくっていた 日本人メタラーのハートを直撃することでしょう。
ジョニー・ウーリンの復活がとにかくうれしいです!

・SONGS FOR SILVERMAN/BEN FOLDS(05)
前作に比べさらに渋さが増したベン・フォールズの2005年新作。
ジャケットやタイトルが物語るようにいぶし銀の味わい深い傑作となっています。 (ちょっと急激に老けすぎ?!(笑))
若くて弾けていた過去も、落ち着いて物静かな今も、等身大のベン・フォールズそのもの... 彼が年齢を重ねることにより変化してきたことがそのまま音に投影されているといえます。
ただスタイルは変わったとしても、 心のこもった歌とピアノが素晴らしいことになんら変わりはありません。
やはりメジャーなミュージシャンは一味違います。

・FIN DE SIECLE/ETCETERA(98)
才能豊かなマルチプレーヤーを中心とした デンマークのシンフォバンドのデビュー作。
トニー・バンクス、キース・エマーソン、デイヴ・スチュアート... といったプログレ界のスーパー・キーボーディスト達が、 夢の競演を果たしたような1曲目の完成度の高さは異常!... この曲を聴いて感動しないシンフォ・ファンはいないでしょう。
ただ2曲目以降は、GG、ジェネシス、クリムゾン、イエス...などの影響を感じさせる展開があるものの テンション・クオリティともに落ちてしまうのでちょっと残念です。
それにしてもメインとなっているマルチプレーヤーのプログレおたく度は強烈!... ロイネ・ストルトに紹介してタンジェントあたりに加入させてあげたいなあ〜!

・THE BOOK OF DREAMS/MANGALA VALLIS(01)
LA TORRE DELL'ALCHIMISTAとともに、 イタリアン・シンフォ新世代を代表する実力派バンドのデビュー盤。
LA TORRE〜のようなイタリアらしさは皆無で、 まるでトランスアトランティックが ジェネシス・トリビュート作品を作ったかのような 胸のすくようなシンフォ・ワールドが繰り広げられます。
ちょっとジェネシスの名曲・名フレーズをあまりにも パクリまくり(すてぃ)な点が気にならないでもないですが、 それはジェネシスへの愛情がとてつもなく深いということにしておきましょう! ピーガブ在籍時のジェネシスが、突如復活し このような作品を発表したら「神」扱い間違いなしでしょうね。 (そんなことは絶対にありえないんですけど!)
デビュー作とは思えないほどあまりにも完成度が高いので、 2ndでコケてしまうのでは?...とちょっと心配です。

・MOMENTS OF CLARITY/CRYPTIC VISION(03)
いかにもアメリカらしい爽快なサウンドが耳に心地良い 新人シンフォ・バンドの作品。
空に突き抜けるようなデヴィッド・ラグスデールのヴァイオリンを 前面に押し出し、全盛期のカンサスを現代風にアレンジしたような1〜2曲目の流れは完璧... これを聴いて心の動かないシンフォ・ファンはまずいないでしょう。 (特にカンサス・ファンなら絶対に感動するはずです。最近のドリーム・シアターの楽曲でも感じましたが、 アメリカン・プログレ界においてカンサスは特別な存在なんでしょうね。)
ただこの出だしがあまりに素晴らしすぎるために、 その後を失速気味に感じてしまうのがちょっと勿体無いです。 (といいつつ、カヤックのPATRICIA ANGLAIA(←個人的にカヤックの中で一番好きな曲!)を ドラマティックにしたような7曲目なんか最高です!)
もちろん今後も動向をチェックしたいと思います。

・BE/PAIN OF SALVATION(04)
スウェーデンのプログレ〜メタル・バンドの2004年新作。
ケルティックなアプローチ(ケイト・ブッシュ の「愛のかたち」での導入手法を連想しました。) を取り入れるなどさらにスケールアップかつ 深みを増したサウンドはもちろん、 天才ダニエル・ギルデンロウの繊細かつエネルギッシュな「声」に 圧倒されっぱなしです。
ダニエルはスタイルは違えど、トム・ヨーク、ケイト・ブッシュ、 ピーター・ハミルらと同じニオイを感じます。
多くのプログレ・メタル・ファンの度肝を抜いた デビュー作にして名盤ENTROPIA (当時ドリーム・シアターの後継者的扱いを受けていたのが懐かしいです!) から様々な変化を遂げ進歩してきた彼らですが、 今回の進歩の歩幅はかなり大きいものとなっています。
この後も着実にプログレスしていくことでしょう。

・FRANCES THE MUTE/THE MARS VOLTA(05)
アメリカの異端児が発表した話題作であり問題作。 メンバー全員の脳に電極を刺したクリムゾンが、 興奮状態(まさに21世紀の精神異常者状態!)でエレファント・トークを 演奏しているような1曲目でいきなりボコボコにされました!。 刺激凄すぎです〜!。
若き日のクリムゾンとツェッペリンの圧倒的なオーラと爆発的な攻撃精神を 現代に蘇らせたような...といいたいところですが、 それだけでは表現できない得体の知れない何かを持っています。
ロックが危険なものでもあるということを、 今日のリスナーに知らしめる傑作でしょう。

・BRING 'EM IN/MANDO DIAO(03)
スウェーデン期待の本格ロック・バンドのデビュー作。
見事なまでに60年代ロックのシンプルな熱気を現代に蘇らせています。
ひたすら全力で走り続けることしか知らない若者たちによる 青春ばくはつサウンド!(笑)がたまらなく格好良いです。 臨場感あふれるミキシングのおかげもありヘッドホンで大音量で聴いていると 熱さで耳がヤケドしそうになります。
この手のバンドではオーストラリアのJETも相当良かったですが、 スリリングなオルガンがキレまくるこちらの方が断然好きだなあ〜。
ただこの手のバンドって熱しやい分 冷めやすいのがちょっと難点かも...

・HELMET OF GNATS/SAME(04)
アメリカのメロディアスなジャズ・ロック・バンドの作品。
自主制作なのになにげにSACDなので随分生意気だなぁ... といいたいところですが、音を聴いてみて考えが改まりました。 内容が充実しているので全く違和感を感じません。
ブラフォードをメインにRTFやフォーカスあたりの要素を取り入れたような (NATHAN MAHLからGG色を消してフュージョン色を強化したような)贅沢な音楽性は、 プログレ系ジャズ・ロック・ファンが最も喜ぶスタイルだと思います。 演奏も楽曲も完璧で非の打ち所がありません。
ちょっと出来過ぎな感じがするので、今後が楽しみでもあり怖くもあります!


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