2002年に聴きまくったアルバム

2002年に聴きまくったアルバム71枚を順位付けして紹介します。
2002年の購入枚数は257枚でした。 2001年に比べかなり減少しましたが、未聴CDタワーは 低くなるどころかますます高くなってます!(汗)


No.1
・WIDESCREEN/RUPERT HOLMES(74)
5年程前に社内の音楽仲間から初期のコンピものを紹介され、 当時相当気に入っていたルパート・ホームズですが、 昨年待望の再発が実現した名盤ORCESTRA LUNAに関わっていたことを知り、 ますます気になっていたところに、 デビュー盤がボーナス11曲付き(なんとアルバムの曲数よりボーナスの方が多い!)で 再発されたという情報を知り即刻入手しました!
まだまだ70年代にこんな名盤が眠っていたとは... メロディ、プロダクション、アイデア...全てが独創的で素晴らしく久々に衝撃を受けました。 きめの細かいアレンジは70年代の作品であることが信じられないほど洗練されています。
凝りまくったベースラインやコード進行、 タイトル通りの映画音楽風アレンジ、 またアメリカ国歌を取り入れるような遊び心... 聴くたびに新しい発見の連続で、何度聴いても全く飽きることがありません。
まるで音のおもちゃ箱!...そういう意味では AOR化したゴージャズ版トッド・ラングレンといった印象を受けました! (ただラストのサイコ・ドラマだけは良く分からなかったです(英語版スネークマンショウ?))
ボーナスもいい曲が揃っています。ひねくれポップ好きは必聴でしょう。 特にトッドファンには絶対に聴いてもらいたい一品です。
他の初期のアルバムも早く再発してくれないかなあ...

No.2
・NOTES FROM THE PAST/KAIPA(02)
事前の試聴会で感動して以来発売を心待ちにしていたスウェーデン・シンフォの巨人KAIPAの復活作! メンバーを強化し大幅にレベルアップしてシーンに戻ってきました。
70年代KAIPAの延長というよりは、 フラワー・キングスが最もシンフォニックだった頃(STARDUST WE ARE〜FLOWERPOWER期)に 非常に音楽性が近いです。しかし驚くことに作曲は全てロイネではなくハンスが手がけています。 (「離れていても心はひとつ。見えないKAIPAの糸でつながっている!」といった感じでしょうか?)
フラワー・キングスやトランスアトランティックの名曲群に全くひけをとらない 素晴らしい楽曲が揃っています...というより頻繁に作品を作り続けている前述のバンド達よりも 時間をかけてじっくり練り上げられた本作のほうが出来映えは明らかに上回っています。
円熟した内容ながら各メンバーの演奏が実に若々しく活気に満ちており、 誠実で音に一切手抜きがありません。 まさか復活作で過去のクオリティと同じかそれ以上のものを捻り出してくるとは思いませんでした。 (KAYAKの復活作でも同じ感想を抱きましたが...) 2002年度のシンフォを代表する作品であると断言します。
今後もバリバリと活動を継続し、 シンフォの素晴らしさを世に知らしめる名作を作り続けて欲しいものです。
#ロイネ(仕事し過ぎ!)の体力が心配ですが...

No.3
・BOWL OF SURREAL/CHEWY MARBLE(00)
元WONDERMINTSのメンバーを中心としたポップ職人バンドの2ndの国内盤。 (ジャケはオリジナル(劣悪!)と違います)
PhilterレコードのスペシャルCDの中で最も気に入った曲が収録されていたので 購入してきたのですが、信じられないくらい完成度が高い作品でした。
いやはやPhilterレコードはライナス・オブ・ハリウッドだけでは無かったんですね... 珠玉のメロディと細部まで配慮の行き届いた緻密なアレンジの美しさに 心が動かないポップスファンはいないと思います。
オルガンやピアノを多用したカラフルな音作りや やすらぎを感じさせるやわらかい歌とコーラスは 現代のポップ神ライナスと比べても全く遜色無く、 何度もマジ泣きしそうになりました! どことなくチューリップ!を感じさせるような人なつっこさも魅力です。
もちろんボーナス曲も含め捨て曲はありません。 ポップスファン...中でもライナスのファンなら愛聴盤となること間違い無しです。
結局スペシャルCDがあまりにも素晴らしすぎるおかげで PhilterレコードのCDを4枚購入しちゃいました。 すっかりレコード会社の思う壺ですがもちろん後悔はしていません!

No.4
・BATTLE MAGIC/BAL-SAGOTH(98)
ブラックメタル界のRHAPSODYことBAL-SAGOTHの3rd。
以前から買っておいたものの内容があまりにもすごそうなので、 浮気しないよう本家RHAPSODY来日公演が終わるまで封印しておきましたが大正解でした。
ブラック・メタルにおいて、シンフォニックなアレンジを取り入れる手法は さほど珍しいことでは無いですが、このバンドのそれは次元が違います。 ブラックメタルという自分達の本分を大きく逸脱してまでも 徹底的にシンフォにこだわっているのです。 (まるで理系コースに進んでるのに、漢文の勉強ばかりしてるような感じ?)
大体エンヤのような出だし(笑ってしまいました!)からして 明らかに間違っており、どこがメタルなのかさっぱり分からない曲も収録されています。
こんな超シンフォ作がデス系作品として分類され、 デスメタル専門店でしか入手できないなんてある意味詐欺です(笑)。 エメラルド・ソードの伝説が幕を閉じた今、 この手のシンフォニック・メタル系の頂点に君臨しているRHAPSODYを超えることができるのは 彼らかもしれません。
デス声OKなRHAPSODYファンは何が何でも聴くべきですが、 メタルが苦手なシンフォ・ファンにも是非聴いてもらいたい偉大な一品です!
他の作品も間違いまくってるのかな?(大期待!)

No.5
・DAY OF WARTH/NELKO KOLAROV(01)
2001年末、大晦日のCDセール中、新宿ガーデンシェッドで がんがん流れていた派手で誰にでもわかりやすいベタベタ・キーボード・シンフォ作。
恐らく私と同じように気になって購入した方が5人ぐらいいるのでは無いでしょうか?
RUMBLIN' ORCHESTRAと初期DREAM THEATERを足したような シンフォニックかつテクニカル・メタル風超絶インストと、 NEW TROLLSの歌ものあたりに通じるようなあたたかなおやじ声ボーカルによる 素朴な歌を併せ持った不思議な作品となっています。 メロディと言葉の響きから超大型のイタリア新人バンドかと思ったら、 意外にもブルガリアのキーボーディストのソロ作でした。 (東欧にしては随分と明るい雰囲気を持っています。)
現在、東欧の中でもチェコやハンガリーに大きく水をあけられている感のある ブルガリアのプログレ・シーンですが、 この作品はそんな不甲斐ない状況を一気に打開するかのような、 極めて質の高い内容となっており、 ジャケットのキーボーディストの「どんなもんだい」と言わんばかりの 自信満々な横顔も頷けます。 (一歩間違えたら、行列のできるレストランの頑固シェフみたいですが!...)
がんがん畳み込むものの、 時として最後の最後で突き抜けることの出来ない、 東欧らしいイモっぽさ(当然褒め言葉!)も マニアにはたまらないでしょう。
私が今まで聴いてきたブルガリアものの中では、 ダントツでNo.1の出来です。 (...といってもそんなに多くブルガリアもの聴いてないですけど!)

No.6
・VERSE/AKIN(02)
フランスの7人編成による新人ゴシック・メタル・バンドのデビュー盤。
かなり前に某店内で耳にしすぐに気に入ったのですが、 とりあえずその場は見送ったところしばらく品切れ状態となってしまい、 半年近く探し回った挙句ようやく入手できました。
ボーカルは美女と野獣!といった感じの2人体制で マギー・ライリーやアニー・ハスラムを髣髴とさせる美声の女性ボーカルと それに絡みつく邪悪な男性デス声の対比が見事です。 2人体制のギターはテクニカルな様式美フレーズを奏でていたかと思えば、 アコースティック・ギターを爪弾いたりと様々なドラマを形成していきます。
隠し味としてプログラミングによるデジタル的アプローチも取り入れ、 時折入るフルートが楽曲にさらなる深みを与えています。
基本的にシンフォニックかつメロディアスで聴きやすく、女性ボーカル重視の姿勢を貫いており、 デス声も比較的おさえ目なのでシンフォファンにもアピールするのではないでしょうか。
ゴシックという既存の枠にとらわれない柔軟な姿勢はいかにも新世代のバンドらしいです。 ゴシックものは久しく聴いていなかったのですが、 これだけの実力を持ったバンドが他にも存在するのであれば 今後視野に入れなければいけないですね。
とりあえずこの作品を入手することが出来て本当に良かったです。
教訓:輸入盤しか出ていない無名の新人バンドを気に入ったら 無理してでも即刻入手しましょう!

No.7
・CINTAILAH CINTA/DEWA(02)
現在のインドネシア音楽シーンの頂点に君臨しているDEWAの6枚目。
マドンナのマテリアル・ガールとポリスのロクサーヌを足してDEWA風に味付けしたような1曲目から デビュー時のようなベストヒットUSA路線!に回帰したのかと思いましたが、 もちろんそれだけでは終わりません。 デジタルビートを導入したり、RADIOHEAD風の浮遊感を持ったアレンジが見られたり...と 確かにポップ化してはいるものの懐の深さと風格が感じられます。
スタジオワークの比重が高まりバンドらしさが希薄になった反面、 ボーカルが前面に出るようになるなどスタイルに若干の変化はありますが甘美なメロディは不変です。
どことなく青い影な5曲目をはじめ今回もスローバラードは完璧! まるで長い時間をかけて熟成された高級ワインのような仕上がりに どっぷりと酔いしれることが出来ます。

No.8
・RAIN OF A THOUSAND FLAMES/RHAPSODY(01)
いまや何の説明もいらない、 究極のドラマティック・シンフォ・メタル・バンドの4作目の前編。 (デビュー盤以来続いていたエメラルド・ソード・サーガは 4作目でついにその幕を閉じるとのことですが、 ラスト作は壮大に前編・後編にわかれるとのことです。 本作はいちおうミニ・アルバムにあたるとのことですが、 全曲新曲でトータル40分以上もあるので特別に掲載することにしました!)
今回も壮大なドラマが延々と綴られていますが、 以前にも増して静と動の格差が広がり、ドラマティック度はさらにアップ... そのすごさには呆れ果ててしまいます。
本作の目玉はクラシック曲を大胆に取り入れたラスト曲に尽きるでしょう。 なんとあの「新世界」を導入しています。 (キース・エマーソンが聴いたら腰を抜かすこと間違いなし!)
音もどんどん分厚く壮大に豪華になっています。 後編は一体どんなことになってしまうんでしょう!

No.9
・TRINITY OVERTURE/MAJESTIC(00)
ネオクラシカルフレーズの大洪水でファンを唸らせた マジェスティックの大幅なメンバーチェンジ後の2ndですが、 名盤トリロジーのイングウェイとイェンスの力関係を逆転させ さらに超絶度を数十倍アップさせたような作風は全く変わっていません。 (言われなければ誰もメンバーチェンジに気付かないと思います!)
相変わらずイングウェイ丸出しの楽曲ばかりですが、 今回はあのSYMPHONY Xまでパクってます (2曲目はOF SINS AND SHADOWS+OUT OF THE ASHESでしょう) このパクりはあまりにも露骨です (河原の石川五右衛門レベル!...まあこの曲はパクリとは違いますが...) 私がマイケル・ロメオだったら絶対に訴えます!
スウェーデンの大先輩イングウェイならまだしも同世代バンドまでパクるなんて... ということで作曲面やオリジナリティという点で大きな問題を抱えているものの、 現ネオクラシカル系最高峰ともいえる超絶な演奏力に圧倒されっぱなしであり、 結局は愛聴盤となってしまいます!
この後、またもやメンバーチェンジが行われ別バンドに移行したようです。 アルバム出すごとにメンバー変えるなんて... そこまでイングウェイに傾倒しなくてもいいと思うのですが!

No.10
・YOUR FAVORITE RECORD/LINUS OF HOLLYWOOD(99)
新世代の天才ポップ・アーティスト、 1人ジェリーフィッシュ!?ことライナス・オブ・ハリウッドの記念すべき デビュー盤(国内盤です)
2ndも信じられない程素晴らしい名盤でしたが、 この1stも奇跡的なメロディとアレンジが散りばめられた名盤です。
おかげで通勤電車の中で何度も泣きそうになってしまい かなり恥ずかしい思いをしました! (周りの人は怪しい人がいると思ったはず(笑))
このとてつもなく美しい内容を聴いて 何も感じないポップスファンは絶対にいないはず... 私のようなメロディ至上主義のポップスファンなら この1stと2ndのどちらも一生ものの愛聴盤となること間違い無しです。
一体何故こんなすごい人がいるんでしょう... こういう素晴らしい音楽と出会えるなら 明日も頑張ろうという気になりました。本当にありがとうライナス!
ボーナス入りで、音世界を見事に表現したジャケットの国内盤がお薦めです。 (オリジナル盤はジャケットが違います(かなり地味))

No.11
・FUNDAMENTAL/PUYA(99)
プエルトリコのミクスチャー系ラテン・メタル・バンドのデビュー盤という前情報から、 トライブ・オブ・ジブシーズあたりの音を連想していましたが、 衝撃はそんな生易しいものじゃありませんでした。
「ラテン・メタル」なんて安易な言葉ではとても表現し尽くせません。 レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンとレッチリとパンテラとメタリカとメガデスと サンタナとマイアミ・サウンド・マシーン!をまぜこぜにしたような感じ?... ラテンでスラッシュでファンクでデスでオルタナでハードコアでラップで... う〜〜〜ん、もうわけわからなくて最高!
2、3回聴いただけではあまりにも雑然とし過ぎていて理解しづらかったのですが、 何度も聴いているうちに完全にクセになってしまいました。
斬新な音楽性でひたすら突き進んでおり、 様々な音楽を聴いている方でも相当刺激を受けること間違いなし。 珍盤ではありますが名盤ともいえます。
ミスマッチとも思える音楽性ですが、良く考えると ラテン系の燃え上がる血は怒り系サウンドと相性ばっちり! スペイン語による独特なラップ、デス声も新鮮です。
南米にPUYAというトゲの生えた植物があるそうですが、 バンド名の由来はここから来てるのかも知れませんね。 このトゲトゲ...どうやら深く刺さってしまったようで、 しばらく抜けそうにありません!

No.12
・CALIFORNIA SCREAMIN'/DIXIE DREGS(00)
ジャズ・ロックという括りでは語り尽くせないユニークな音楽性で 70年代後半から活躍してきたスーパーインストバンドの1999年8月の演奏を収録したライブ盤。
まるでマハビシュヌ・オーケストラがジャム・バンドに影響されたような すさまじい演奏が繰り広げられていてたたでさえ凄いのですが、 このライブ盤は反則技のオンパレードで数億倍凄いことになってます!
ヴァイオリンは2人体制 (しかも1人は元マハビシュヌのジェリー・グッドマン!... ただ2人同時に弾いているようには聴こえないので、曲によりスイッチしているのかも)だし、 ゲストとしてフランク・ザッパの息子であるドゥィージルが参加しているし、 ザッパのPEACHES EN REGALIAやオールマンのJESSICAなど 超有名曲をカバーしているし... もちろん彼ら自身の過去曲もちゃんと収録されているので、 ベスト盤以上にベストな内容といえます。(入門編として最適!)
ハイライトはTHE BASHの超絶ソロ回し+超高速ユニゾンでしょう。 技術的には人間業とは思えないのですが、 全体にノリノリのグルーヴ感があるのでやっぱり人間臭いです! (でもこの曲のようなカントリー臭のせいで、 日本で過小評価されているような気も...)
これだけ凄いことをやっているのに ガチガチな演奏にならず柔和でリラックスした雰囲気が伝わってくるのが いかにもアメリカらしいです。
爽快、痛快、文句無し...こんなライブを生で見てみたいな〜。

No.13
・IN GOD WE TRUST/STRYPER(88)
どれも似たように聴こえノーテンキなイメージのあるLAメタルは嫌いだったし、 工事中のようなイメージやコスチュームはダサダサだし、 ライブで聖書を配るというパフォーマンスが話題となった クリスチャン・メタルというキワモノ的イメージから、 バカにしてまともに聴いてこなかったストライパーですが、 ディスクユニオンのストライパー特集で たまたま耳にした曲が印象的だったので、 名盤といわれる3rdと4thを揃えてみました。
1度聴いただけですぐに頭に焼き付くメロディライン、 透き通るような透明度を誇る完璧なコーラス、 丁寧に心を込めて歌い上げる説得力のあるボーカル、 コンパクトにまとめながらもしっかりと主張する華やかなギター・ソロ... まさかこんなにも質の高いバンドだったとは...バカにしてきてゴメンナサイでした!
曲も演奏もアレンジも全てが誠実でまっすぐ(こっちが恥ずかしくなるくらい...)で、 個人的には北欧メタル界の雄であるTNTを思い出しました。 QUEENをさらに発展させたような美麗なコーラスは、 VALENTINEあたりにも通じる気がします。
近年のメタルはヘヴィー化が進んでいるので、 最近の感覚からするともはやこのアルバムはメタルというより、 ハードなポップ作品と言っても良いかもしれません。 美メロ好きなHM/HRファンはもちろん、ポップスファンにも是非聴いてもらいたいです。
メンバーは今どうしているんでしょう。 ノルウェイに渡って、ブラック/デス系に転向し教会に放火してたら笑うなあ... 「クリスチャン・デス」という新ジャンルを確立とか!(←矛盾しまくりだっての!)

No.14
・CONFLICT AND DREAMS/CAIRO(98)
力作だった1stはかなり気に入っていたものの、 3rdがおとなしくピント外れの印象だったので、 2ndはあまり期待せず長い間放っておいたままだったんですが、 想像をはるかに上回る素晴らしい内容だったので大いに驚きました。
ドリーム・シアターの亜流バンドを多く抱える プログレメタル界のビーイング(笑)ともいえるマグナカルタ・レーベル出身にあって、 ELPをはじめイエス、クリムゾン、UKといった70年代メジャープログレと ドリーム・シアターから確立されていった90年代プログレメタルを合体させた方向性は 斬新であり、レーベルの中でも数歩抜きん出た存在といえます。
本作ではこの方向性が非常に明快な形で音にあらわれており、 幾分ネオクラシカル寄りなPLPとは違った切り口で キーボード・シンフォとメタルを融合させています。 ところせましと暴れまわるエマーソン風味の キーボードを軸に繰り広げられる スペクタクルな展開にELPファンなら悶絶間違い無しでしょう。
間違いなく彼らの最高傑作であると同時に、 SHADOW GALLERYの2ndと並ぶマグナカルタ史上最高傑作といっても良い完成度です。
またこの路線に戻ってくれないかなあ...

No.15
・FAN CLUB/JELLYFISH(02)
未発表ものというと、とかく期待はずれで 世に出なかった理由を確認するだけで終わってしまうものが多いのですが、 さすがはポップス界の伝説になりつつあるJELLYFISHのボックス... 素晴らしい音源の連続に興奮しっぱなしです。
デモ音源では多彩なアイデアの中から最適のものを選んで丹念に磨き上げ、 あの2枚の名盤を産み出したのだということが良く分かります。 未完成なアレンジながらも素晴らしいことには変わりが無いのは メロディが極上な証拠でしょう。
ライブ音源ではタイトな演奏と同時にコーラスをバッチリ決めており、 彼らがメロディメーカーとしてだけでなく、 パフォーマーとしても極めて優れていたということが良く分かります。 (いくら払ってでもいいから生でライブを見たい〜!)
しかしこの作品のおかげで、心が満たされるどころか、 ますます再結成して欲しいという思いが強くなってしまいました。 (ものすごくお腹がすいているときにベビースターラーメンを食べると ますます空腹感が増してしまうのに似ているかも...)
「確かにミルクはこぼれたけれど泣かずにまた汲みなおそうよ!」 と声を大にして言いたいです!

No.16
・SURFACE TENSION/ALEPH(77)
ASGARDの名盤2ndを世に送り出した韓国のM2Uレーベルが、 このオーストラリアを代表する幻の名盤をついに再発してくれました!
シンフォ・ファン...中でもイエスファンなら泣いて喜ぶような内容です。
盤起こしによりブートと同程度の音質なのは残念ですが、 正規再発により多くのファンが入手しやすくなったのは大変意義のあることだと思います。
もちろんプログレ名盤紹介でも取り上げることにします。
M2Uレーベルには今後も大いに期待しましょう!

No.17
・CAN'T BUY A THRILL/STEELY DAN(72)
AORの帝王、スティーリー・ダンのデビュー盤。
彼らの作品は基本的に老後の楽しみにとっておくはずでしたが、 HMVのセールにて500円で落ちていたのでつい拾ってきました。
のっけからの名曲DO IT AGAINは当然として、 アルバム途中でどこか聴き覚えのある曲がありしばらく考えたところ CAPABILITY BROWNが2ndでカバーしていたMIDNITE CRUISERであることが判明! 偶然こういう発見があるのは楽しいですね。これだから音楽探索はやめられないです。
しかしこの作品、72年発表しかもデビュー盤であることが 全く信じられないほど洗練されています... というより若さが全く感じられません! デビューといいながらこの時点でメンバーはみな50代なんじゃないの? とでもいいたくなるほど王者の風格が漂っています。
本物は生まれ出たときから本物ということなのでしょうね。

No.18
・AMAROK/SAME(01)
ポーランドから突如登場した非常にクオリティの高いシンフォ作品。
バンド(ユニット?)名から想像できる通り、 マイク・オールドフィールドの影響を強く感じさせる、 スケールの大きな本格派シンフォとなっています。
スペインにも同名のバンドがありますが、 どちらもさほど売れてないので特に問題にならないのでしょう(笑)。
地球や自然に優しく語りかけるような広がりを感じさせる楽曲が揃っており、 美しいジャケット写真を音楽に置き換えたかのような印象を受けました。
SPECIAL THANKSには手本にしたと思われるピンク・フロイドとマイク・オールドフィールドの名前が 律儀に連ねてありますが、フロイドっぽいのは クレイジー・ダイヤモンド!な出だしだけで、 圧倒的にマイク色が強いです。トリビュートの後継者がようやく出現したと言った感じです!
聴いているだけでとても癒やされるので、疲れ気味の方は是非聴いてみて下さい。

No.19
・VERTU/SAME(99)
しばらくジャズロックから遠ざかっていたので、 温存していたVERTUをついに聴くことにしましたが期待をはるかに上回る大名盤でした!
シンフォやメタルの要素まで加味した、新世紀のクロスオーバーミュージックといった感じで、 多種多彩な超一級品のジャズロックを存分に味わえます。
ウーピー・ゴールドバーグみたいなルックス!のヴァイオリニストの表現力はすさまじく、 リッチー・コッツェンも大御所に負けじとスーパープレイを連発しています。 もちろんリズム隊に関しては何もいうことはありません。 とにかく凄すぎです...この2人は衰えというものを知らないのでしょうか?
発売当時話題になったので、まだ聴いていないジャズロックファンは ほとんどいないと思いますが、万が一未聴でしたら絶対に入手してください! 特にRTFとマハビシュヌが合体したような (エメラルド色に輝く第七銀河系で火の鳥と浪漫の騎士が対決しているかのような!)ラスト曲にはぶっ飛びますよ。
今後もこのメンバーでどんどんアルバムを出して欲しいです。 でもリッチーが加入したバンドっていつもイザコザが起きてるような...(大汗!)

No.20
・SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE/DREAM THEATER(02)
情報量が膨張したのかとうとう2枚組となった新作。
1枚目1曲目のヘヴィー極まりないサウンドに、 AWAKE同様メトロポリスの後はヘヴィー化するのかなぁ...などと思っていたら、 2枚目は正攻法なシンフォ大作! 1枚目(特に1曲目)と2枚目ではまるで別バンド... 本作でさらに音楽性の幅が広がったような感じです。
今回はなんといっても2枚目の完成度に尽きるでしょう。 その卓越したテクニックのせいもあり、今まではどうしても「演奏>曲」だった感のある 彼らですが、ここにきてようやく「演奏<曲」と表現したくなるほどの、 極めて質の高い楽曲を作りあげることに成功しています。
前スタジオ盤メトロポリス2の時に感じさせたPINK FLOYDだけでなく、 今回はYES、GENESISあたりのエッセンスが盛り込まれているように思います。 (出だしを聴いたときはKANSASの名曲THE WALLかと思いましたが!(笑))
その他大作の構築方法で思い浮かべたのがTRANSATLANTIC... 恐らくマイクがTRANSATLANTICでの活動を通じてニール・モーズやロイネ・ストルトに 影響を受けた結果が音に現れているのでしょう。
彼らにここまで素晴らしいシンフォ作が作れるなんて思っていませんでした。 この2枚目はプログレとしては文句無しに彼らの最高作です。
ジャケット・コンセプトも含め全てが素晴らしいのですが、 唯一苦言を呈するとすれば国内盤のボートラでしょう... 壮大な音世界が幕を閉じその余韻にひたっている時に唐突に出てくるのには興醒め。 余計なことしなくて良いっての!

No.21
・REBIRTH/ANGRA(01)
大幅なメンバーチェンジを経て発表された、新生アングラとしての初作品。
彼らのルーツと言っても良い、ハロウィンもジューダスもメイデンも 名ボーカリスト脱退により大きな打撃を受け、相当苦しみましたが、 今回のアングラの場合ボーカリストだけでなくリズム隊まで抜け、脱退組>残留組 という異常事態!...今後どのような展開をみせるのか大いに注目していました。
ところがフタを開けてみると意外にもあっさりと乗り切っています!
さてその方法論ですが、デビュー盤にして最高傑作であるANGELS CRYに ジャケット、曲、演奏、全体構成など様々な面で酷似しており、 名盤世襲型という意味では、クリムゾンのポセイドンや、 クイーンの華麗なるレースと似たようなパターンに感じました。
キコのギターソロは以前にも増して冴え渡っているのですが、 新ボーカリストであるエドゥ・ファラスキにはちょっとがっかりしました。 SYMBOLSの時に素晴らしい表現力でバンドを引っ張っていたにも関わらず、 前任アンドレ・マトスそっくりの歌い回しが多く彼の個性が死んでしまっています。 大ブレイク間近だったSYMBOLSというブラジル期待の星を抜けた分、 新天地でも遠慮せずしっかり頑張ってもらわないと困ります!
「生まれ変わり」というよりは「生まれなおし」といった印象で、 進化はあまり見られず無難にスタート地点に立ち戻っており、 守りに入り過ぎているように思えますが、 新メンバーによる最初の1枚目ということを考えればものすごくクオリティが高いです。 また私のようにデビュー時の音楽性が最も好きなファンなら必ず気に入るはずです。
今回は足場固めといった感じだと思うので、 次回作で新生アングラの真価が問われることになるでしょう。

No.22
・THE PROMISE/FORGOTTEN TALES(01)
カナダから突如登場した、パワーあふれる女性ボーカリストを擁する クサクサ系シンフォニック・メタル新人バンドのデビュー盤。
DARK MOOR7割+NIGHTWISH3割といった感じで、 ドラマティックな展開が絶え間なく訪れる、 シンフォメタルマニアの要求を存分に満たした見事な内容となっています。
メンバーのルックスだけを見るとパン屋のおやじみたいだったり、 ゲーム好きの貧乏学生みたいだったりとメタラーらしくない風貌 (ちなみに女性ボーカリストはなんとなくラナ・レーンっぽい)でかなり怪しいのですが、 楽曲も演奏も超本格派です。
この手のサウンドはヨーロッパの専売特許だと思っていたのですが、 こういうバンドがひょっこりと現れるところがいかにもカナダっぽいです。 個人的にはイェンス・ヨハンソン風のチェンバロ系キーボード音の多用がとても気に入っています。
さすがにRHAPSODYあたりに比べると、何かが足りないような感じはありますが、 デビューしたての彼らにこれ以上を望むのは贅沢というものでしょう。 また今後が楽しみなバンドが1つ増えました!!

No.23
・秋 そばにいるよ/AIKO(02)
発売前夜に偶然初回限定盤を発見し、即買、即聴、即泣したaiko2002年の新作。
桜の木の下、夏服...に続く四季シリーズ第3弾といった感じでしょうか、 今回はタイトルどおりそこはかとなく秋を感じさせるしっとりとした曲が多いです。
日本の古き良き文化や文字通り季節感を大事にした古風な部分と 現代の日常的な生活感が漂う部分とを併せ持った詞のクオリティはさらにアップし、 今まで以上に素晴らしい作品に仕上がっています。
「カブトムシ」を越える名曲は二度と作り出せないだろうと思っていたのですが、 今回収録されている「木星」ではそれを成し遂げたのでは?と思います。 ドリーミーな初期EELS風アレンジに切ないストリングスが加わった中を、 生活感や親近感の漂う詞の多い彼女しては珍しい壮大な世界観で描かれた詞が 心に直接語りかけるように優しく響き渡る...これには本当に涙が出ました。
一年中が旬かもしれませんが、秋のaikoが一番好きかも...

No.24
・THIRTY DAYS OUT/THE MONTROSE AVENUE(98)
BEATLESからJELLYFISHへと受け継がれてきた純粋なポップ魂は、 本家イギリスでもまだまだ生きていました。 この手の純ポップものでは近年アメリカや他のヨーロッパの国々に押されがちでしたが、 本家の底力を見せつけるような素晴らしい名作が98年に生み出されていました。
アレンジにはさほど凝らずあくまでメロディ&歌(コーラス)重視!... 同国イギリスのバンドにたとえるならXTCのようなひねりは一切無く、 PILOTのように甘酸っぱいメロディ&ハーモニーを武器にぐいぐい押し切ります。
そしてこのバンド最大の特色として、声質の異なる3人が交互にリードをとり、 次々とハモリコーラスを決めていくのですからたまったものではありません!
早速彼らの他の作品もすぐに購入しようとしたら、 本デビュー作だけで解散してしまったことがわかりました...とっても悲しいです。
どうしていいバンドって短命に終わっちゃうんだろう(泣) 3人のボーカルでメイン争いでも起きたのかな?

No.25
・REFLECTIONS!/TWENTY SIXTY SIX AND THEN(00)
70年代初期ドイツのオルガンハード最高傑作である 72年発表のREFLECTIONS ON THE FUTUREの別テイク全曲と、 アルバム未収録曲を一枚に収録したアルバム。
テクニック、演奏力、センス、楽曲...全てが最高レベルの紛れもない名盤といえます。
激しく変化し続ける曲展開と、 オルガンを主軸としたツイン・キーボードの多彩なコンビネーションが見事です。
クオリティでは他のジャーマン・ハードものより数段抜きん出ているので、 この作品を聴いてピンとこなければ もうジャーマン・ハードは聴かないほうが良いでしょう!... ということで 当然プログレ名盤紹介行きです!
オリジナルアルバムも聴いてみたいなあ〜。
この作品のおかげでマイナーな70年代ものをもっともっと 探求したくなりました!

No.26
・CAN YOU STILL FEEL?/JASON FALKNER(99)
今までJELLYFISHの2ndを期待して、いろいろ関連作を聴いてきましたが、 なかなか満足いく作品には出会えませんでした。
もちろんジェイソンのデビュー盤も聴きましたが、 その時の印象も「良い曲もあるけれどちょっと地味... それにもっとメロディが凝縮されてないとアルバムを通して聴けないかな」 と言った感じで、「所詮JELLYFISHの1stにしか関わってないし無理もないか...」とまで考え、 この2ndもほとんど期待していませんでした。
しかし、この作品では見事に大化けしています。デビュー盤に比べて アイデア量が増しているにもかかわらず、 音がきちんと整理されカラフルでわかりやすくなっています。 RADIOHEADでお馴染みのNIGEL GODRICHを共同プロデュースに起用したのが 成功したのかもしれません。
JELLYFISH関連作の中では文句無しにトップクラスの出来といえます。
佳曲揃いですが特に2曲目は最高。 未聴アルバム山積み&激務で1枚のアルバムをゆっくりと聴く時間が無い中、 このように出だしに素晴らしい曲があるのはありがたいです。 (根気よく最後まで聴き通すパワーが不足気味なので、 後半に素晴らしい曲が隠れていても辿り着けないことが多い!)
結論:腐ってもクラゲ(JELLYFISH)!...やはりJELLYFISHの関連作品は外せないです。

No.27
・FOLK-LORE/CRUACHAN(02)
FLOGGING MOLLYのようなアイリッシュ・トラッド・パンクがあればメタルも... ということで、アイリッシュ・トラッド・メタルのバンドの3枚目となる作品です。
RHAPSODYやBLIND GUARDIANあたりのトラッド要素のみを増強させ、 それ以外の部分は全て大幅縮小させたような内容になっています。
さすがにクオリティは前述の超メジャーバンドと比べるまでもありませんが、 本場アイルランドだけあってトラッド面は非常に充実しており、 ケルト系の楽器群が常にあの独特の音階をなぞっていくのには心が温まります。(癒し系メタル?)
ただデモ音源を思わせるような平坦な音作りはとても残念です。 民族楽器パートを強調したいためにあえてそうしているのかもしれませんが...
基本的に女性ボーカルでトラッド色が強くメタル色はかなり薄いので、 あえて生粋のトラッドファンの評価を聞いてみたいです。
でもこの雑なプロダクションと演奏力はやっぱりマニア向けかなあ... 70年代辺境B級バンドを問題なく聴ける耳を持っていれば全然OKですけど!(笑)

No.28
・DRUNKEN LULLABIES/FLOGGING MOLLY(02)
アイリッシュ・トラッド・パンク!という風変わりな音楽性を持つ7人組の作品。
ノーマルなロック・バンドの楽器構成にマンドリン、フィドル、アコーディオンが加わり、 ケルティックなラインを織り交ぜながらがんがん突っ走ってくれます。 トラッドとパンクがあまりにも見事に融合しているので、 まるで昔からあったジャンルのように聴こえどこか懐かしい気分になってしまいます。
純粋なトラッドもパンクも比較的苦手な私でも、 ここまで混じり合ってくれると好きになってしまうから不思議。 まるで牛乳もコーヒーも飲めないのにコーヒー牛乳が大好きな私のようです(爆)
アイリッシュ・バーで強い酒をチビチビやりながら聴いてみたいですね〜 (←って大して飲めないくせに!)

No.29
・WARMTH OF EARTH/EDUARD ARTEMIEV(85)
旧ソ連の偉大な作曲家アルテミエフの最高傑作であり大名盤!
1999年に突如再発され、その年のシンフォ界最大の事件として大騒ぎ(もちろん一部で!) となり、すぐに聴くのが勿体無くてとっておきましたが その現象も頷けるほどのすさまじい作品でした。
深く重苦しい共産圏独特のシンセをはじめとした各楽器が ハイテンションで暴れ周り、 情感豊かな女性ボーカルが朗々と歌い上げ、 テクノ色まで取り込んだスリリングかつドラマティックなシンフォワールドが 延々と展開されていきます。
巨大国家旧ソ連を連想させるようなスケールの大きさには 圧倒されっ放しです。 もうここまで来ると辺境だとかそんなことは関係無いですね。
全シンフォファン必聴!(って既に聴いている方ばかりだと思いますが...)
ジャケは四人囃子のゴールデンピクニックをパクってると思うのですが、 気のせいでしょうか?

No.30
・TY...PLUS...WSZYSTKIM ZAKOCHANYM/SKALDOWIE(00)
ポーランドのロック黎明期に活躍したバンドの5th(70)+6th(72)のカップリング。
ビートポップからプログレへの移行期にあたる作品で、 ハートのジャケット(6th)が許されてしまうこの時代ならではの 純真無垢なポップ作品となっています。
メロウな歌とオルガンをベースとしたバンドサウンドに かぶさるトランペット、ストリングス、女性コーラスの導入が効果的です。
共産圏の70年代ものという点でPUHDYSと比較すると、 一聴しただけではかなり音楽性に違いがあるように思えますが、 よく聴くとハードロック(PUHDYS)とソフトロック(SKALDOWIE)のどちらに傾倒したかという違いだけで、 根底にあるポップでコンパクトな曲作りという点では共通しているように思います。
ここからプログレの名作と言われるKRYWAN KRYWAN(7th、実は未聴)に発展するわけですね。 前々作、前作でこれだけ内容が充実しているのですからかなり期待できそうです。
この時代の彼らはまさに「ポーランドのCLOUDS!」(CLOUDS好きの私にとってはど真ん中!) ソフトロック好きのオルガンファンなら押さえておいて損は無いでしょう。

その他

・NIGHT VISION/KAYAK(01)
KAYAK史上でも1、2位を争うであろう美しいジャケットが印象的ですが、 長い間を経て見事に復活した前スタジオ盤(CLOSE TO THE FIRE)に比べると、 パワーダウンの感は否めません。
CLOSE TO THE FIREで取り込まれていたマイク・オールドフィールド風アプローチもみられず、 残念ながらやや起伏に乏しい内容となってしまっています。
現KAYAKを支える2本柱のうちの1本である ピムが本腰を入れて参加できなかった影響が大きいのでしょう...
しかし、トンの紡ぐ水晶のようなメロディとピアノがあるので ハズレ作品ではありません。やはり質の高さは一級品です。
特に11曲目のコード進行とアコーディオンは大いに泣けました。
よく考えてみれば70年代の後期KAYAKもトンが1人で引っ張っていたので、 この質の高さは当然の結果といえるでしょう。 (CLOSE TO THE FIREが良すぎたという話もありますし...)
次回からは是非ピムに戻ってきてもらい、 最強布陣で多くの名作を残していってもらいたいです。

・TIMEQUAKE/RONNY HEIMDAL(99)
テクニカル・ジャズ・ロック界の大型新人MC HACEKに肉薄する内容を持つ ノルウェイ出身のギタリストのインストソロ。
ホールズワース風ギターがピロピロと弾きまくり、 キレのあるリズム隊とともに超絶変則アンサンブルを延々と繰り広げています。
MC HACEKに比べるとやや小粒でザッパ色を少な目にした感じですが、 随所にシンフォ色を取り入れるなど聴き応え十分です。
これだけの作品を作り上げるなんてただ者ではないだろうと思い調べたところ、 知る人ぞ知る激烈バカテクバンドDIM(DIABOLOS IN MUSIKA)のギタリストであることが判明! しかもリズム隊もDIMでした。(結局メンバー全員がDIM!)...
どおりですごいわけですね。納得!

・KIMONO MY HOUSE/SPARKS(74)
その昔2ndを聴いて良さが全く理解できず、 それ以来ずっと聴かないままほったらかしにしてきたSPARKSですが、 多くの方の薦めもあり、名盤3rdで再挑戦してみることにしました。
こりゃ確かに面白い!...2ndとは雲泥の差ですね。 2ndから3rdの間、彼らに一体何があったのでしょう。
戦車のプラモデルの部品をむちゃくちゃに組み合わせて、 怪獣を作ってしまったかのような感じでしょうか?(←なんだそりゃ) 既成概念にとらわれない自由奔放な曲作りながら、 何故かポップにまとめられています。 他のバンドが同じように真似をしようとしても、 大失敗することでしょう。まさにこれこそが「個性」そのものです。
ジャケットのインパクトも含め、 このアルバムは「個性」という言葉をわかりやすく具現化した 最良のサンプルといえるでしょう。

・...IN INCONSTANCIA CONSTANS/CYRIL ACHARD'S MORBID FEELING(01)
フランスのプログレバンドARRAKEEN在籍の天才ギタリストCYRIL ACHARDによるバンド作品。
様々なアイデアとテクニックを駆使した見せ場だらけ(アルバムの7割はギターソロ?)の作品に 仕上げています。
しかしテクニカル・メタル寄りな作風にしたためか、 ドリーム・シアター症候群!に陥っている部分もみられちょっと残念です。 RONNY HEIMDALのブラフォード症候群にも言えることですが、 才能があるんだからもっとのびのびと自分の個性を前面に押し出して欲しいです。 (押し出せるだけの強い個性を持っている逸材だからこそあえて言いたい!)
メロディアスかつテクニカル... コンポーザーとしても演奏者としてもCYRIL ACHARDというアーティストが 超一流であることはこの内容から明らかです。 超高速ながら流麗なフィンガリング&ピッキングにはとにかくうならされます。 これだけギターを自在に操れたら楽しいだろうなぁ...
次回作はもっともっと期待できるでしょう。 次は自分の才能を信じて好きなように暴れてくれ〜。

・FOR SALE/FOOL'S GARDEN(00)
ドイツのビートルズ遺伝子系ポップバンドの4枚目。
アビーロードを彷彿とさせるような素晴らしい内容だった前作からの流れと まんまのアルバムタイトル(最初はアルバムまるごとカバーかと思った!)から さらにビートルズ病が進行したのかと思いきや、 1曲目はRADIOHEADを連想させる引きこもり系!で意表を突かれました。 この手の内省的アプローチは他にも数曲で行われているのですが、 やさしいメロディによる従来路線の曲もちゃんと収録されています。
従来路線ではお約束のビートルズの他、 ツェッペリンの「天国への階段」を引用するなど相変わらずアイデアも豊富で楽しいです。
同じポップでもJELLYFISHやSUGARBOMBのようなアメリカらしい力強くカラッとした感じはなく、 湿ったしっとりとした感じの音にドイツのお国柄が現れています。
従来路線と新路線との間に開きがあり、少々違和感を感じましたが、 じっくり聴ける作品であることにかわりはありません。
今はビートルズ以外の色も出そうと試行錯誤している段階なんでしょう。 バンドの将来をじっくり見守っていきたいと思います。

・PARIS 80/FUSION(01)
「仏国の騎士」という邦題をつけたくなる(音楽性は違いますがメンツ的に仏版UKってこと!)ような、 クリスチャン・ヴァンデ、ヤニック・トップ、ディディエ・ロックウッド、ブノワ・ヴィデマン というフランス最強の4人による夢の共演ライブ。
次々と発表されるヤニック・トップのライブ秘蔵音源の中でも お宝度、クオリティともにトップ!(^^;)の内容といって良いでしょう。
なんといっても興味深いのは、マグマ関連人脈ながら、 マグマが封印されていることです。(マグマアレルギーの方でも安心!)
スーパーセッションものというと、とかくお互いに遠慮しあって良さを殺し合うなど、 メンバーのネームバリューに反しおとなしめの内容になってしまうことが 多いのですが、このライブは期待を全く裏切りません。 恐らくマグマで同じ釜の飯を食べた経験がそうさせているのでしょう。
1980年にパリで行われた4人の男の壮絶な果たし合いといった感じで、 みな自己主張がやたら激しいのですが、 マグマを封印されたせいか クリスチャンが一番おとなしいのが意外でした。 (といってももちろん超人的なドラミングです!)
他のジャズ・ロックものと異なりギタリストがいないので、 ロックウッドの天を駆けめぐるような伸びやかなヴァイオリンが目立っていますが、 やはりトップの地鳴りベースの一人勝ちかも。だから音源出したのかな?!

・LEGACY/SHADOW GALLERY(01)
アメリカのマグナカルタ・レーベルの中で、 最もプログレメタル色が強く安定した実力を持つバンドの4枚目。
ドリーム・シアターに酷似した音楽性から、 二番煎じ的な印象をどのように払拭するのか?という課題を常に背負っている彼らですが、 前作で見せた掟破り的展開 (ドリーム・シアターのボーカリスト、ジェイムス・ラブリエがゲスト参加... まるでヒステリック・ブルーにYUKIが参加するようなもの!) とはうって変わって今回はゲスト参加はありません。 そのためかバンド・アンサンブルが強化され、 アルバム全体が引き締まった感があります。
以前に比べ歌メロがわかりやすくなっている一方、 スリリングなインスト・パートの応酬は相変わらず聴き応えがあります。
オリジナリティという面はさておき、 楽曲でとことん勝負するという姿勢もありではないでしょうか。 (プログレメタル界の倉木麻衣と言っても良いかも!)

・ANTHOLOGY VOL.1/美狂乱(02)
日本が誇るプログレバンド美狂乱が、 最強メンバーで過去の代表曲を再演、再録したアルバム。
70年代クリムゾンに魅せられ、影響を受けたバンドは数多く存在しますが、 初期〜後期クリムゾンの全てを吸収、独自解釈し、ここまで昇華させたバンドは 他に類を見ないでしょう。
「美」と「乱」という異なる2世界が1つのバンド/アルバム内に混在し、 さらに日本的なエッセンスが加えられているのが美狂乱の魅力だと思います。
素晴らしい演奏ばかりですが、 特にヴァイオリンとギターのコンビネーションは絶妙です。(さすがは親子!)
代表曲ばかりなので入門編としても最適な1枚といえるでしょう。
今回は須磨さんのサイン入りCDを入手することが出来たので感激です。(ちょっとじまん!)
全然関係ないですが、私はラストの「海の情景」の中間部を聴くと、 ガンバの冒険のラスト曲を思い出してしまいます!(←ファンに怒られそう!)

・FLIGHT OF THE MIGRATOR/AYREON(00)
オランダの音の魔術師アルイエン・アンソニー・ルカッセンによるプロジェクトの、 2枚同時発売となった4作目のうちのパート2にあたる作品。
毎回豪華なゲストを起用し、多彩な音楽性を取り込んでいますが、 今回はシンフォ寄りなパート1、メタル寄りなパート2と 音楽性がくっきりと二分化されています。
パート1はちょっと地味過ぎる印象でしたが、 その分このパート2は今までで最も派手でわかりやすい内容となっています。
それもそのはずゲストがすごいことになっています。 特にボーカル陣は豪華で、 SYMPHONY X、RHAPSODY、STRATOVARIUS、HELLOWEEN、IRON MAIDEN...などの スーパー現役ボーカリストを集結、 さらに楽曲にあった最適なメンバーを起用しているところがさすがです。 ただこれだけ豪華なメンバーを連ねたのだから、名盤であるデビュー盤同様、 フィナーレは全員で歌って欲しかったなあ〜(贅沢すぎ?)
全編テクニカルでスリリングな演奏も見事です。 ルカッセンがこれだけギターが弾けるとは思っていませんでした。
当初はオランダ人脈が多かったエイリオンも、 ここに来てオランダ、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、フィンランド、日本... と、「音楽は世界の共通語だ!」と言わんばかりの広がりをみせています。
今後このネットワークはどこまで広がるんでしょう。 韓国やインドネシアも取り込んだら面白いなあ... でもその頃には作品が10枚組とかになってたりして!(笑)

・I GET WET/ANDREW W.K.(01)
鼻血ドバーーッという痛々しいジャケのインパクトのせいで、 久々にジャケ買いをしてしまった一品。
殴られたような顔面のイメージと、PARENTAL GUIDANCEの注意書きから、 パンテラのような暴虐&豪腕サウンドを連想したところ見事にスカされました!(笑)
ギターやボーカルはハードですが、ひねりの全く無い直球勝負のピコピコ・ポップ... しかも歌詞が軟弱極まりない!... ニューヨーク大好き〜、パーティーしようぜ〜...などなど、 とても頭悪そうで最高です。(ジャケと内容のギャップはGUNESH並みかも。)
しかし何故かこのアルバム、バカ売れしてるみたいです。 きっと閉塞感のある世の中なので、みんなバカにあやかりたいってことなんでしょう。
でも数年後ブックオフにこの顔が山積みされてるような気もします!(爆)

・TIARA/ADA(01)
最後の辺境プログレ国家!インドネシアのロック・バンドの作品。
DEWAをやや軽く、ポップ寄りにしたようなサウンドで、 インドネシアらしい甘くせつない歌メロをふんだんに楽しめます。
...がこのアルバムはなんといっても9曲目!まさに究極(笑)の仕上がりです。 あのYOCKIEの名曲JURANG PEMISAHにインスパイアされたかのような、 やわらかいシンセと美しいピアノを軸にはじまる めくるめく9分半もの夢のひととき... シンフォ・ファンなら誰でも心を奪われてしまうでしょう。 この1曲を聴くためだけに入手しても損はしないと思います。
特に私のようなDEWAとYOCKIEファンは絶対に聴きましょう!(...って何人いるんだろ?) こんな超シンフォ曲がポップなロックアルバムの中にひょっこり収録されてしまうなんて インドネシアってのは恐ろしい国だなあ〜

・EMBRACE THE MYSTERY/ARMAGEDDON(00)
メロデス界から飛び出した史上最強ギタリスト兄弟の弟であり、 テクニックやセンスでは兄をもしのぐスーパーギタリスト、 クリストファー・アモットによるメタル・バンドの2nd。
デビュー盤の北欧ドラマティック+スラッシュ路線も素晴らしいものでしたが、 本作はまた違う方向性で勝負しています。 速弾きブーム全盛時の一昔前のメタルを軸に、 意表を付くメジャーとマイナーの使い分けなど様々なプログレッシヴ風アクセントを 随所に盛り込みながら、現代的アレンジで仕上げたといった感じです。 (RACER X、DREAM THEATER、SYMPHONY X、VAI、METALLICA...あたりを連想しました。)
まだ曲自体のクオリティにばらつきはあるものの、 様々なテクニックを駆使して弾きまくるギターソロは完璧! 恐らくギターソロが凄すぎるので楽曲の出来が弱いと感じるのでしょう。 そんな中1曲目は複雑な曲展開とキャッチーな泣き要素が見事に絡み合った名曲だと思います。 (そういや70年代ブリティッシュ・ハードの名バンド、 ARMAGEDDONの1stも1曲目が名曲だったような...)
ベースを始めかなりの実力者が揃っているので、今後は作曲能力をさらにブラッシュアップして もっともっとすばらしいバンドに成長していってもらいたいものです。

・THE MAN WHO SAW IT ALL/ROCKFOUR(95)
2001年に出会ったSUPERMARKETという作品から多大な衝撃を受け、 1人で大騒ぎしていた イスラエルの60年代末期回帰型サイケデリック・ポップ・ロック・バンドROCKFOURの SUPERMARKET以前の作品を遂に発見、入手しました!
ヘブライ語標記(もちろんCD逆開け!)で何も情報がわからなかったので、 うさん臭い健康食品広告のようなジャケット写真!を頼りにネット検索し、 やっと英題がわかりました。どうやら2ndのようです。
SUPERMARKETのような神がかり的な作品ではないものの、 ポップなメロディととことんサイケなアレンジをたっぷりと楽しめます。
SUPERMARKETではビートルズやビーチボーイズを始め、様々なバンドの影響を感じさせていたのに対し、 本作はビートルズ(REVOLVER〜WHITE ALBUM期)7割+ピンク・フロイド(狂人シド・バレット在籍時)3割 といった感じです。 いずれにせよどう聴いても60年代末期としか思えません! この頃からバンドの方向性はきちんと確立されていたんですね。
やっぱりこのバンドは只者じゃないです!

・MARCOLAPSOS/MARCO(02)
「メキシコのギタリスト兼キーボードディスト、マルコ・ゴメスが あのCODICEのメンバーと合体して作り上げたスーパー・シンフォ!」 というフレコミで一時かなり話題になっていた作品。(もちろんごく一部で!)
CODICEの時のようにちょっと期待外れかもしれないな... と思いながら店頭でジャケットを見ると、 裏に藤田まこと風のおっさん(笑)がギターを抱えた写真が載っておりますます不安に!... 一瞬購入をためらいましたが限定ナンバリング仕様であることを知り、 結局即買いしてしまいました。(←限定ものに激弱!)
肝心な内容ですが、第一印象としては結局メキシコらしくどこか垢抜けないシンフォで、 押しも弱くさほど大騒ぎするほどのものではないように感じました。
しかし繰り返し聴くと誠実さが感じられるなかなか憎めない内容(さすが純情派!)であり、 決して悪い作品では無いことがわかりました。
恐らくプロダクションの甘さでかなり損をしているのでしょう。 インストものであり、アレンジなどでいろいろと工夫しているのはわかるのですが、 迫力不足で単調な印象はどうしても払拭できません。 録音にもうちょっとお金をかければ印象はかなり違ったと思います。
次回作でプロダクションが向上するよう、 シンフォ好きは支援の意味も込めて買ってあげましょう!

・REMEDY LANE/PAIN OF SALVATION(02)
デビュー以来常に揺るぎない姿勢で前進し続ける プログレ・メタル界最高のバンド、待望の4枚目。
発売後すぐに入手したもののDREAM THEATERのライブを見終わるまで寝かせておいて大正解。 素晴らしかったDREAM THEATERの2枚組、SIX DEGREES〜のインパクトを簡単に吹き飛ばすほどの すさまじい内容となっています。
彼らと他のプログレ・メタル・バンドとの大きな違いは、 音の背景にある重厚なテーマ性とそれを描写しきる圧倒的な能力に尽きると思います。
今までもシリアスで重いテーマを扱ってきた彼らですが、 今回のテーマはさらに重苦しく深遠なものとなっています。 人の何十倍も感受性が強く、傷つきやすいダニエルが 自らの体験を元にしたテーマだからこそ、 その痛みも最大のものとなっているのでしょう。 突き刺さるような音と叫びが痛くてたまりません。
いまやコンセプトものを作らせたら、彼らの右に出るバンドは存在しないでしょう。
ところで前作のパート2を作るって話はどうなったのかな?

・DRAGONFLY/SAME(82)
1980年代前半というプログレ氷河期に、 スイスでひっそりと産み落とされていたテクニカル・シンフォの名盤。
スイスといえばISLANDやSFFに代表されるような ポリリズムを多用した複雑でメカニカルな構成を得意とするバンドが多く、 彼らも変拍子へのこだわりを見せていますが、 リリカルなピアノをバックにした歌ものもあったりと、 80年代のバンドらしくなかなか器用で聴かせどころの多い明快な作品となっています。
恐らくプログレ好きが集まり、 自分たちのヒーローに憧れて結成したバンドなのでしょう。 PFMのセレブレイションを彷彿とさせる2曲目をはじめ、 GENTLE GIANT、YES、GENESISあたりの影響を随所に感じ取ることが出来ます。
きっと多くのシンフォを聴いている人ほど楽しめる作品なのではないでしょうか?
個人的にはクリアーな質感にスウェーデンのDICEを連想しました。

・唄ひ手冥利〜其ノ壱〜/椎名林檎(02)
長いブランクを経て発表された林檎嬢の復帰作。
そもそも痛々しいイメージが付きまとっていた彼女が、 結婚〜出産〜離婚というさまざまな人生経験をどのように音楽に反映するのか? と思って聴いたところ、今回はカバー集=本人の詞ではないこともありとても聴きやすくちょっと拍子抜けしました。 今までとは違い気楽に肩の力を抜いて楽しめます。
こういう林檎嬢も魅力的ですね。(痛さから今まで林檎嫌いだった方もこの機会に是非。)
また亀田&森という2大鉄人シェフによる林檎料理対決!みたいな楽しみ方も出来ます。
宇多田ヒカルと競演したカーペンターズのI WON'T LAST A DAY WITHOUT YOUは鳥肌が立ったし、 松崎ナオとパートを歌い分けることにより歌のイメージを明確にした木綿のハンカチーフの解釈は面白いし、 ビートルズの中からYER BLUESを持ってくる渋いセンスがたまらないし... と、とにかく書き出せばきりがありません。
全く関係ないですがジャニス・イアンのLOVE IS BLINDで 中島みゆきの世情(シュプレヒコ〜ル〜のところ)を思い出しちゃいました!(笑)

・KARTHAGO/SAME(71)
ドイツのユニークなハードロックバンドのデビュー盤。
オルガンが切れまくる2作目程のスリルはないですが、 このデビュー盤でも安定したテクニックを持ったメンバーによる メリハリのある演奏が全編に展開されており実に気持ち良いです。
粘っこいギターと鋭いオルガンを軸とした比較的オーソドックスなハードロックに ラテンフレーバーあふれるパーカッションとソウルフルな歌が加わったファンキーなスタイルは、 早くもデビュー時から確立されていたことがわかります。
PALADIN、JODY GRIND(2nd)、BRIAN AUGAR(70年代中期)あたりが好きな人ならきっと気に入ることでしょう。 同国のGIFTあたりと比べても断然勢いがあって格好良いです!

・I MOVE/IZZ(02)
蔵王(ZAO)、富良野(FULANO)、出羽(DEWA)、佐賀(SAGA)に続けと言わんばかりの 妙な名前?!を持つアメリカの新進シンフォ・バンドの2nd。
ヒップホップ風の意表をつくオープニングに 面食らうシンフォファンも多いかもしれませんが、 その後も手を変え品を変え様々な表現を用いて、 既成概念をぶち壊す斬新なシンフォワールドが展開していきます。 自由な発想、さわやかなコーラス、ポップな歌メロ... 方向性としては現役アメリカン・シンフォの頂点スポビに非常に近いものを感じます。
アメリカのバンドらしく演奏がしっかりしており、 ノリが良くからっとした明るさがすこぶる気持ち良いです。 特にコロコロ転がるピアノは絶品です。
こういう力作が評価されないと、 21世紀のシンフォ界に明るい未来は無いでしょう!
新しいバンドも聴けるシンフォファンは 騙されたと思って是非聴いてみてください。

・DISTANCE BETWEEN DREAMS/DAVID ROSE(77)
ヴァイオリン入りのジャズ・ロック名盤として古くから知られていた作品ですが、 やはり名盤と呼ぶにふさわしい内容でした。
待望のCD再発予告から延々と待たされ続け一時はオクラ入りも噂されましたが、 なんとか再発にこぎつけ本当に良かったと思います。
詳細はプログレ名盤紹介をどうぞ。
今回この作品を聴くことで、フランスのジャズ・ロック文化の奥深さを改めて感じることが出来ました。 フレンチ・ジャズ・ロックものは再発化が遅れているので、これを機会にどんどん再発してもらいたいです。

・THE BATTLE OF THE IVORY PLAINS/DRAGONLAND(01)
名は音を表すといわんばかりのいかにもなバンド名 (しかもABBAよろしくバンドロゴの最後の"d"を逆側にして"dragonlanb"と格好つけてるのが微笑ましい!)を 持つ、北欧ドラマティック・スピード・メタル界期待の新人のデビュー盤。
SONATA ARCTICA、AT VANCEクラスに今一歩足りない、 ありきたりのB級バンドといえばそれまでかもしれませんが、 疾走曲でのスピードはかなりのもの!... 単にB級と切って捨てるには惜しい内容となっています。
その売りである疾走ぶりは、時折、自分達の演奏能力を超えているのでは?と思えるほど無謀!で、 速すぎて何を弾いているのか良くわからない箇所もあります! (デビュー時のインペリテリの超高速ソロを連想してしまいました。) が、クサクサなメロディをこれだけのフルスピードで叩きつけられると、 どうしても頬が緩んでしまいます。(笑)
早くも2ndを発表したそうですが、 プロデュースはあのフレデリック・ノルドストロームらしく、 どれだけプロダクションが向上しているかが楽しみです。 ただこの爆走精神が失われていなければよいのですが...(ちよっと心配)。

・DANGER IN THIS GAME/GLORY(89)
北欧メタルの名盤として名高い、スウェーデンのバンドGLORYのデビュー盤。
コンパクトな曲作り、哀愁を帯びたメロディ、 宝石を散りばめたようなキンキラしたアレンジ、オーロラを連想させるような深いリバーブ、 テクニカルかつネオクラシカルなギター... 北欧メタルの様々な要素がここまで凝縮されている作品も珍しいのではないでしょうか?
ルーツは80年代初頭から活躍していたトリプル・ギター (←レイナード・スキナードだけじゃなかったんですね!)を擁する GLORY BELLS BANDにさかのぼるということで、 慌ててCENTURY RENDEZVOUSを未聴CDタワーから引っ張り出して比較してみたところ、 さすがに音楽性は異なる(初期のジューダスみたいでした。)ものの、 当時からテクニックや曲作りが安定しており、 かなりの実力を持っていたことが確認できました。
こういう純粋な北欧メタルバンドって、 メロデス勢に駆逐されてしまいすっかり無くなっちゃいましたね。 冷凍庫の中でレコーディングしたかのようなひんやりしたサウンドは 夏にピッタリです。

・THE POWER COSMIC/BAL-SAGOTH(99)
完全無欠のドラマティック・ブラック・メタル・バンドの4th
3rdに比べると随分とメタル寄りになっており、 メタルファンにはやや聴きやすくシンフォファンにはやや聴きにくくなってはいるものの、 他のバンドに比べると十二分に常軌を逸していることにかわりありません!
格闘技大会のセレモニーみたいなオープニングから始まり、 あとはクサクサフレーズ2億連発!といった感じで 大袈裟にドタバタと暴れまわってくれます。 コンセプトも地球の枠に収まりきらなくなってしまったのか とうとう宇宙に飛び出してしまいました!
一体何が彼らをこのようにさせてしまうのでしょうか? あまりの徹底振りに眩暈がします。 ということで本作も最高です!バンザイ!

・SPORTS/HUEY LEWIS AND THE NEWS(83)
ベストヒットUSAの毎週のランキングに一喜一憂していた中学時代、 飛ぶ鳥を落とす勢いで売れに売れまくった80年代アメリカン・ロックの名作。
文字通り真夏に青空の下でスポーツをしたような、 爽快でカラッとしたアメリカでしか出せない音が詰まっています。
サックスやハーモニカが小気味いいTHE HEART OF ROCK & ROLL、 後にレイ・パーカー・Jrにパクられゴースト・バスターズのテーマとして 生まれ変わる!(笑)I WANT A NEW DRUGをはじめ ヒット曲が満載のベスト盤のようなアルバムですが、 個人的には心の名曲IF THIS IS IT(邦題「いつも夢みて」)が 入っているので忘れられない作品となっています。
中学時代、レンタルレコード店でこのアルバムを借り、 ソニーのBHFにテープ録音し、 テープがヘロヘロになるまでこの曲を再生しまくった思い出がよみがえります。
久々に聴きましたが今聴いてもやっぱり名曲ですね。 当時と変わらず気が付いたらこの曲だけ何度もリピート再生していました。 当時と違うのは何度再生しても音質が落ちなくなったことぐらいかな...

・BY THE WAY/RED HOT CHILI PEPPERS(02)
レッチリ渾身の力作!
若さにまかせていつもトンガってはじけていたイメージは後退し、 ストイックに自分達の音を追及しており、なんと枯れた味わいまで出てきています。
いつまでも「母乳」を飲んでるわけじゃない!といったところでしょうか? あの頃と比べると曲によってはまるで別バンドです。 時の流れはここまでバンドを変えてしまうものなんですね。
大抵のバンドは時代とともに音楽性が変化すると 変化前後のどちらかがつまらなかったりするものなんですが、 彼らの場合はバカやっても真面目にやってもどちらに転んでも最高です。
ただこうなると全裸でステージに上がったり、 アーサー・ブラウンみたいに頭に炎をともしたりといった キワモノ的パフォーマンスはもう見れないかもしれないですね。 そう考えるとちょっぴり淋しい気もします。

・COULEURS NATURELLES/TRANSIT EXPRESS(77)
フレンチ・ジャズ・ロックの金字塔であり、 トランジット・エクスプレスのラスト作である「天然色」。
正式加入したデヴィッド・ローズの華麗なヴァイオリンの活躍で、 ますますマハビシュヌ・オーケストラに近づいたような感があります。
短いバンド活動の総決算的な作風となっており、 音楽性の幅や深さではこの3rdが突出しています。 (そのかわりデビュー盤程のすさまじい勢いはありません!... アルバム全3枚の音楽性の推移具合はFINCHと似ているように思います。)
息のピッタリ合ったバンドアンサンブルは円熟の域に達しているだけに、 この後の作品が残っていないことが残念でなりません。

・GET OUT TO THE COUNTRY/EMERGENCY(73)
影のクリムゾンメンバーともいえる、 リチャード・パーマー・ジェイムスが在籍していたドイツのバンドの3rd。
基本はブルースを下地にしたブラス・ロック+ジャズ・ロックといった感じで、 コロシアムやBSTを連想させますが、 時折、B級ブリティッシュ・ハード・ロック風の泣き泣きスロー・バラード(メロトロン入り!)が あったりと、多くの引き出しを持っています。(さすがはドイツ)
相当高度なテクニックを持ったメンバーによる卓越した演奏も良いのですが、 なんといってもその上をパワフルかつソウルフルに歌い上げる元オレンジ・ピールの ボーカルがたまりません。 (まるでクレイトン・トーマスとボブ・テンチとクリス・ファーロウを足したよう!)
全然関係ないですが、タイトル曲のクライマックスでは 中森明菜を連想しちゃいました!(ゲラッ、ゲラッ、ゲラッ〜ってところ!)

・GENERATION 13/SAGA(95)
カナダの大ベテランによるトータル・コンセプト作品。
叩き売られていたのでダメもとで拾ってきたところ珍しく当たりました。
イメージ的には近年DREAM THEATERが取り組んでいる 大作(METROPOLIS PT.2やSIX DEGREES〜)と この手の元祖にあたるQUEENSRYCHEのOPERATION:MINDCRIMEとの間を結ぶような作品です。
壮大なキーボードを軸とした25もの小曲が切れ目無くびっしりと詰め込まれており、 めまぐるしく展開が変わっていきますが、トータル的に非常に良く練られており、 キーとなる数種のフレーズがパターンを変えて何度も登場するので印象に残りやすいです。
途中やや中だるみする感は否めませんが、 少なくともこれだけの力作が新品500円で叩き売られてしまうなんて可笑しい話です。 同国のRUSHも実力の割に日本での評価は低いですが、 SAGAはその比じゃないですね...
本作のクオリティは最高作と言われているWORLD APARTを超えているようにも思えます。 もし安くで叩き売られているのを見かけたら是非拾ってあげてください!

・DREAMS OF ENDLESS WAR/NORTHER(02)
フィンランドから登場したチルボドの弟分的バンドのデビュー盤。
チルボドと出身国もメンバー構成も同じであり、 音楽性(キーボードとギターの高速様式美デス)からデス声まで全てがそっくりです。
ただチルボドに比べると若干ひねりが少ないので アルバムを通して聴くと印象が弱い気がしますが、 若さにまかせ直球のみで勝負している分だけ このノーサーのほうがよりアグレッシブともいえます。 実際にチルボドとも関係が深く、アルバムにチルボドのメンバーもゲスト参加しているようで まるで守護神伝の頃のハロウィンとブラガの関係を彷彿とさせます。
オリジナリティという点では完全に欠如していますが、 デビュー盤にして何度もリピートさせてしまうほど質の高い作品を作り出しているという事実が ポテンシャルの高さを証明しています。
ハロウィンの弟分的な出発点から発展し その後ファンタジー路線で個性を見事に開花させたブラガのように、 彼らも自分の道を早く見つけてもっと素晴らしいバンドに成長して欲しいものです。
カバー曲の選曲(FINAL COUNTDOWNとYOUTH GONE WILDという超メジャー曲を 臆面も無くそのまんまなアレンジで演奏!)は若さに免じて許してあげましょう(笑)

・IN A METAL MOOD - NO MORE MR. NICE GUY/PAT BOONE(97)
あのポップス界の大御所が、 「砂にラブレターを書いてばかりいるのはもうたくさんだー!」と言わんばかりに、 HR/HMの名曲をビック・バンド・ジャズのアレンジでカバーするという SASUKE並みの難題に挑戦した作品。
「メタルバカ一代!!!」というイカれた邦題や企画内容から単なるイロものと思いきや、 中身は超本格派で笑うどころか大人のゴージャスな雰囲気に酔いしれてしまいました。 (興味本位で購入した純粋なメタルファンの方々はご愁傷様!?)
数々の名曲の中からカバーに適したものを抽出し、 それらをを一度完全にぶっ壊し、見事に新たな魅力で蘇生させています。 (これぞ究極のSBB!?=SEARCH, BREAK & BUILD)
ちまたでは安易なカバーものが乱発されていますが、 この作品こそがカバーの本来の姿を表しているといえるでしょう。
ブルーノートあたりで来日公演があったら見に行きたいなあ〜。 ただジャケはちょっと不気味です。(笑)

・1+2/PUHDYS(96)
70年代ドイツものにどっぷりはまるのなら、ちゃんと旧東ドイツも押さえないと... ということで旧東ドイツを代表するロックバンド(なんといまだに現役らしい!)の 1st(74)+2nd(75)のカップリングCDです。
1969年の初コンサートからデビュー盤発表までに、 パープル、ツェッペリン、ELPあたりをコピーしていたそうですが、 それ以外にも後期ハード・ロック・ビートルズやジミヘンなど、 多くのバンド/アーティストに影響を受けていたと思われる音です。
極めつけはなんといっても16曲目でしょう... サバスのアイアン・マンとパープルのスピード・キングと T−REX風かけ声とフォーカス風ヨーデルとをごちゃ混ぜにしたような滅茶苦茶な曲で笑えます。
イギリスでいえば70〜71年ぐらいの雰囲気を持っています。 ベルリンの壁の影響?で音楽シーンが4年ぐらい遅れていたのかな?
個人的には初期フォルムラ・トレを思わせるしゃがれたダミ声(特に1st)と、 ゴツゴツとしたドイツ語の響きがなんともツボにはまりました!

・CROWDED HOUSE/SAME(87)
ビルボードのチャートを毎週チェックしていた時代に DON'T DREAM IT'S OVERを聴きまくったものの、 結局一発屋としての印象しか無かった (しかも、DREAM ACADEMYのLIFE IN A NORTHERN TOWNといつも混同!)バンドなのですが、 元SPLIT ENZのメンバーが絡んでいるとつい最近知り(^^;)、 慌ててデビュー盤を購入してきました。
一発屋だなんてとんでも無い!... 心温まるメロディとちょっぴりひねくれたアレンジが合体した中身の濃い楽曲ばかりです。 3曲目なんてまるでJELLYFISHのBYE BYE BYEじゃないですか...
でもこのアルバムの魅力はやっぱりDON'T DREAM IT'S OVERでしょう。 神がかり的なコード進行とアレンジ... あの独特のギターで曲が始まると時が止まったように感じます。 不滅の名曲とはまさにこのことですね。
他のアルバムももちろんチェックしたいと思います。楽しみが一つ増えました!

・BURIAL/EXTOL(98)
スウェーデンのプログレ・デス・バンドのデビュー盤。
この手のバンドは複雑さや技術を追求するあまり聴き手を突き放しがちなんですが、 彼らはテクニック至上主義では無く、 あくまで楽曲を重視しメロディにもかなり力を注いでいるため聴きやすいです。
まるでメロデスとテクニカルデスの融合とでもいうべき音楽性で、 「キャッチーな複雑さ」という一見矛盾しているようなテーマを 実現化させてしまう優れたミクスチャー感覚は PAIN OF SALVATIONやA.C.Tを産出したスウェーデンの真骨頂といえるでしょう。
初期デスメタルを髣髴とさせるスカスカな録音(特にドラム)が ちょっと残念ではありますが、今となっては逆に新鮮に聴こえるともいえます。
この手のバンドは最近ほとんど活躍が見られなくなったので、 ぜひとも頑張ってもらいたいものです。

・THE HOUND OF BASKERVILLES/CLIVE NOLAN & OLIVER WAKEMAN(02)
プログレ界のスーパー・キーボーディストの息子と ネオプログレ界の重要人物がタッグを組み、 多くのゲストミュージシャンを迎えて作り上げた強力なキーボード・シンフォ作。
様々なスタイルを持つ数多くのゲストミュージシャンが交互に入れ替わり、 きっちりと練り上げられた楽曲を構築し盛り上がっていくというスタイルは、 まさに「シンフォニック・エイリオン」といった感じです。 (と思ったらアルイエン・ルカッセン本人がちゃっかり参加してました!)
オリバー君のシンセプレイもたっぷりフィーチャーされていますが、 音色もフレーズも親父そっくりなのが微笑ましいです。 (って実はリックが弾いていたりして!)
フィナーレがインスト曲のためやや盛り上がりに欠けるのだけが残念です。 欲を言えばエイリオンの1stみたいにボーカリスト全員で壮大に歌い上げて欲しかったなあ〜。

・CRYSTAL EMPIRE/FREEDOM CALL(01)
デビュー盤が素晴らしかった 正統派クサクサ系ジャーマン・メタルを継承するバンドの2nd。
ハロウィンとブラインド・ガーディアンとガンマ・レイの良いところだけを寄せ集め、 さらにドラマティックに仕上げたようなジャーマン度300%の音楽性は今回も健在です。 いまや彼らはドイツで最もドラマティックなバンドといえるでしょう。
スケールの大きさはラプソディに対するドイツからの回答のように思います。 楽曲の出来が安定しているのも頼もしい限りです。
エドガイもこれぐらい頑張って欲しいなあ!(笑)

・1-2-3-4/THE JEEVAS(02)
たった2枚のアルバムを残しただけで惜しくも解散してしまったクーラ・シェイカー の中心人物クリスピアン・ミルズが結成した新バンドのデビュー盤。
クーラ・シェイカーが「インド色」というヨロイを脱ぎ捨てたら、 中身は意外と骨太だった...といった感じの内容です。
力強いギターを中心としたシンプルなサウンドに変化したものの、 浮遊感のあるエフェクトやチープなオルガン音(ハモンドでは無くVOXの音色!)などから クリスピアンの時間は相変わらず60年代後半で止まっていることがわかります。
「インド色」がなくなった分、クーラ・シェイカーと比べると個性は弱くなっていますが、 クリスピアンのメロディメーカーとしてのずば抜けた才能は 本作でも十分発揮されており、なかなかの力作といえるでしょう。

・AGUIA NAO COME MOSCA/AZYMUTH(77)
ブラジルのラテン・フュージョン・トリオ、アジムスの名盤。
数年前、衛星放送でパスコアールのモントルーでのライブ映像が放映された後、 続けて流れた彼らの素晴らしいパフォーマンスにすっかり心を奪われ (パスコアールの印象が吹き飛んだ!) 特に気に入ったTAMBORIM, CUICA, GANZA, BERIMBAUという曲が収録された このアルバムを入手しようとしたところCD再発されておらず、 やむなくLIGHT AS A FEATHERを購入した経緯があったのですが、 先日夢にまで見たこの鳥ジャケをついに発見し即購入しました! (いつの間に再発していたんでしょうか?)
アグレッシブだったライブ映像に比べると スタジオ盤ということもありおとなしめでちょっとさみしくもありますが、 ラテン特有のリズムの上に、 やさしい音色のシンセやふわふわしたエレピが重なり合う 独特のフュージョンワールドは存分に楽しめます。
またこのアルバムの出だしには、NHK-FMの名番組 クロスオーバー・イレブンのテーマ曲が収録されています! (LIGHT AS A FEATHERとはバージョンが違っていたんですね。) この番組は高校時代にエアチェックで大変世話になった (当時FM STATION、FM fan、週間FMなどを毎週チェックしてた) のでとても感慨深いものがあります。 FMをエアチェックする文化なんて今ではすっかり廃れているんでしょうね。

・GROUP 87/SAME(80)
数年前にめでたく再発されたザッパ周辺作品の隠れた名盤。
あのテリー・ボジオをはじめとする凄腕メンバーから、 変態超絶弾きまくり大会を連想していたのですが、 いざ聴いてみると、そこには全く想像していなかった 形容する言葉の見当たらない斬新な世界が待ち構えていました。 (あえて表現するならばテクノに傾倒したBRUFORD?)
当初はプログレ名盤紹介に70年代の作品までしか載せるつもりはありませんでしたが、 たった1年のズレだけでここまで音楽性の高い作品を掲載しないなんて バチがあたりそうなので、ちゃんと名盤紹介に 掲載することにします!

・SOFT AS A ROCK/MELLO CADS(02)
謎のボーカリスト、デヴィッド・ポナックと 新世代のポップ神、ライナス・オブ・ハリウッドが力をあわせて作り上げたポップ作品。
古き良きソフト・ロックを見事に料理したその内容は、 いまや死語とも思える「渋谷系」が 21世紀にアメリカで究極に進化した形で蘇ったかのようです。 (しかし、いくら渋谷系とはいうものの、 ○ープランドという曲はどうかと思いますが!...)
世界中を旅する伊達男が主役という設定は、 どことなくセイラーを連想させますが、 セイラーにも○ープランドという曲があることを考えると、 何かしらセイラーからヒントを頂戴したのかもしれません。
ライナスが絡んでいるのでメロディやアレンジの美しさは折り紙付きです。 とにかく渋谷系にはまったことのある方は是非聴いてみてください。 絶対に幸せな気分になれるはずです。
ただ国内盤ボーナストラックとして収録されている CAD FOR ALL SEASONS日本語バージョンの中間部の語りは何度聴いても赤面モノです! (マッチや加山雄三を超えてるかも?)

・THE BEST OF SPLIT ENZ/SPLIT ENZ(93)
ニュージーランドの変態才能集団による1976〜82年の代表曲16曲が 収録されたベスト盤。
後続バンドCROWDED HOUSEの内容が良かったので、 部屋の中に眠っていたこのベストを探し出しとうとう聴いてみたところ、 あまりの強烈な個性に思い切りのけぞりムチ打ちになるかと思いました!
特に初期の楽曲はなんと表現すればよいのやら... 発狂したSTACKRIDGE?、豪華編成のSPARKS?... ひとくせもふたくせもあるねじれまくった展開ながら 何故かポップにおさまっているのですからたまりません! メロトロンの使用法もやたら凝っています。
とにかくこのベストでポップとしてもプログレとしても 最高水準のバンドであることが良くわかりました。
それにしてもここまで凄いとは... これはもうベストだけで終えるわけにはいきません!
ということでチェックしなければならないバンドが またもや1つ増えてしまいました。(笑)

・POPCORN/HOT BUTTER(00)
シンセサイザー初期の超名曲であり、テクノポップの元祖ともいえる ポップコーン(誰でも一度は耳にしたことがあるはず... 私と同世代の方にはペンゴというセガのゲームに使われていたと言ったほうが 分かりやすいかもしれません)を収録した72,73年発表の1stと2ndのカップリング盤。
ポップコーンの音源は昔から捜していて、 5、6年位前のモンドブームの時にも かなり探し回って見つからず諦めていましたが、 めでたく2000年に再発されていました。
ムーグシンセ独特のサウンドを存分に味わうことが出来ますが、 中でもポップコーンに代表されるポコポコした音がなんともかわいいです。 またポップコーンだけでなく、テルスター、マナマナ、 シンコペイテッド・クロック、テキーラなどなど 他にも佳曲が揃っています。
ポップコーンを聴いていたら、 小中学生のときTBSの朝番組の天気予報(マエタケ!)の バックでかかっていたクスコの曲を思い出しそっちも欲しくなりました。 この1枚のおかげで、シンセ、テクノ、コンピュータ、YMOという近未来的なキーワードに 大きな夢を抱いていた少年時代に戻ったようななんともいえない気分になりました。
ただメンバー写真を見たら、 いかにも高コレステロール丸出しで海外のダイエット広告に出てきそうな 肥満体が2人もいてちょっと萎えました!(ホットバター取り過ぎ?!)
全然関係ないんですが(このレビューを書いていて思い出した)、 その昔ポップコーン(双子!)、ギャグ・シンセサイザーと言ったお笑いコンビがいましたが 今彼らはどうしてるんでしょうね(笑)


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