2000年に聴きまくったアルバムBEST20(+16)

2000年に聴きまくったアルバム36枚を紹介します。
2000年は、ネット通販を始めた影響が大きく購入枚数がまたもや増えました!
枚数があまりにも多すぎて(300枚以上)未聴CDも山積みですが、 とりあえず1年を通して聴きまくったアルバムを順位付けしました。
ちなみに番外編として...
2000年に最もはまった日本の歌謡曲は、 クイーン+「話しかけたかった/南野陽子」な楽曲!が印象的な タンポポの「乙女 パスタに感動」だったりします!


No.1
・TODAY'S REPORT/A.C.T(99)
またもやスウェーデンから超大型新人が登場!!!
変拍子や劇的な展開を多用したプログレッシブ・メタルな面と、 BEATLES、QUEENの90年代発展型メロディアス・ポップな面を併せ持ち、 さらにAOR色まで取り入れるなど欲張りな音楽性を持つ新しいタイプのバンドであり、 PAIN OF SALVATION(スウェーデン!)とは違ったタイプながらミクスチャー感覚は同レベル、相当長けています。
簡潔に表現するとDREAM THEATER+VALENSIA+JELLYFISHというイメージ? (かえって分かりにくくなってたりして...)
私の愛する両ジャンルを基本していることや、優れたミクスチャー感覚などなどから、 私のために存在してくれているような錯覚に陥るバンドです。なので全面的に応援します!
展開がやたら多いのですが、人なつっこい(クサい)メロディーのせいか、 曲が耳に残って離れず、クセになります。 また「遊び心」が随所に感じられるため、聴いていて退屈することがありません。 曲の細部でツメが甘いなど若干の問題もありますが、 それらは魅力的なメロディー、美しいハーモニーの前では ほんの些細なことに感じられます。
2、3、8曲目がお気に入りなのですが、中でも3曲目 (国内盤ボーナス曲)のギターソロは、2000年で聴いた曲の中でも最も美しい出来だと思ってます。 こういう良質な新人バンドは正当に評価され、解散することなく 道をまっすぐ歩いてすくすくと成長していって欲しいです。
しかし才能の底無し沼のような国ですね。スウェーデンってところは...

No.2
・EL SACRIFICIO/ANACRUSA(78)
アルゼンチンというより南米を代表する叙情派プログレの名盤。
美しさと儚さが同居した素晴らしい音世界を作りあげています。
コンチェルト・グロッソの1からバロック色を取り除き、 代わりにフォルクローレ色を加えたようなイメージでしょうか?
美しいジャケットもそうですが、ドラマティックな映画を 彷彿とさせるような感動的な内容となっています。
詳しくはプログレ名盤紹介をどうぞ。

No.3
・HOPE/KLAATU(77)
BEATLESとQUEENとPILOTのおいしいところを寄せ集め、 さらにシンフォ化させたような音楽性を持つ なんともズルいカナダのバンドの2nd。
シンフォ・ポップ好きな私にとってあまりに好みの内容だったので ほぼ1年中聴いてました! PILOT風の1曲目、 プログレファンにアピールしそうな4曲目以降の大作をはじめ全曲名曲です。
SEやエフェクトを駆使した音やアレンジへの病的な拘りには頭が下がります。
オーケストラアレンジ、アナログ盤の針ノイズ、 ラジオスター風のボーカルエフェクト、 ブライアン・メイ風のギター・オーケストレイション、 ボヘミアン・ラブソディ風のオペラテイックなコーラス、 まるでポールが弾いているようなベースライン... 数え上げたらきりがありません。
あまりに素晴らしい出来だったので、勿体無くてまだ他の作品を聴けてません! 一通り聴いたら、必ずプログレ名盤紹介に載せる予定です。
しかし、このCDを入手したすぐ後に、1st&2ndの2in1CDが再発されたのは悲しかったなぁ...

No.4
・MENACE AND PRAYER/THRONE OF CHAOS(00)
CHILDREN OF BODOM,NIGHTWISH,SONATA ARCTICAらを輩出するなど、 メタルシーンで大躍進を続けているSPINEFARMの サイドレーベルSPIKEFARMからまたまたとんでもない新人メロデスバンドが現れました。
CHILDREN OF BODOMと同編成(キーボード、ギター2本を擁する5人組)で、 フィンランド出身のこのバンドのサウンドを例えるなら、 ズバリ、CHILDREN OF BODOM7割+IN FLAMES3割! (きっと、これ以上的を得た表現はないのでは?)
彼らに比べボーカルが若干迫力不足ですが、疾走感では彼らを上回っているともいえます。
悪趣味(私は好きです!)な絵のジャケットもセンスが良いです。
ただ中のメンバーの写真のセンスはどうかと思いますが...(^^;) (INSANIA並に勘違い!?してて格好悪い)
2000年度のNo.1メロデスアルバム間違い無しです。
CHILDREN OF BODOM,IN FLAMESファン(もちろんSINERGYファンも)は必聴です!

No.5
・1ST/DISCUS(99)
インドネシアのプログレバンドのデビュー盤!(随分とわかりやすいタイトルです)。 キワモノかと思いきや、プログレの名門レーベルMELLOWから発売ということもあり、 新人バンドとしては充分すぎるほど中身の詰まった本格派です。
さてその中身ですが、ミクスチャー感覚が抜群で、 インドネシアの民族色を押し出したガムラン風アレンジあり、 ハットフィールズ風カンタベリー系ポップスあり、 ZAO風フレンチジャズロックあり、 マルコ・アントニオ・アラウジョ風室内楽あり、 ジャン・リュック・ポンティ風ヴァイオリンソロ曲あり、 ホールズワース風ヨレヨレギターソロあり、...とやりたい放題で 「インドネシアのバンドの寄せ集めコンピモノじゃないの?」と言いたくなるほど、 曲、場面毎に全く印象が異なります。 この個性は「プログレ」という範疇ではおさまりません!
個人的には、表情豊かな女性ボーカルを前面に押し出した、 どこかヨーロッパ的な匂いがする、おしゃれでポップな曲が大変気に入りました。 (2曲目の3拍子ジャズロックではI SPIDER/WEBの楽曲を想起しました。)
バンド編成を見ると、8人という大所帯で、通常の楽器群の他、 クラリネット、サックス、フルート、バイオリン、特注の21弦ハープギターなどなど豪華絢爛! どおりでなんでもできるわけです。
やりたいことがたくさんあり過ぎて、 きっとこの1枚のアルバムだけじゃおさまりきらなかったと思うので 次作が楽しみです!

No.6
・THE GIST OF THE GEMINI/GINO VANNELLI(76)
単なるAOR系ボーカリストと思っていましたが、完全に騙されました!
このアルバムは、壮大なシンフォ組曲が収録されていることからもわかるとおり どう考えてもプログレの範疇に入ります。
例えると、スティービー・ワンダー+トッド・ラングレン+ELPといった感じで、 プログレ+ポップ+AORが融合した超メジャー級の圧倒的な内容です。
もちろんボーカルのうまさも完璧です。
あまりにすごい内容なので、プログレ名盤紹介にも 掲載することにしました。

No.7
・SMPTE/TRANSATLANTIC(00)
DREAM THEATER,MARILLION,THE FLOWER KINGS,SPOCK'S BEARDという 現在のプログレシーンを牽引するメジャーバンドの中心人物らによる、 スーパープロジェクトの1st。
プログレ界の4番打者を揃えただけに、 90年代後半のジャイアンツのようになってしまうのでは?! と心配していましたが、そんな思いを軽く吹き飛ばすほどの快作です。
メンバーはみな、YES,GENESIS,KING CRIMSON,PINK FLOYDらをはじめとする 過去の巨人達に多大な影響を受けながらも、 自分達のバンドで新たなものを常に模索し続けてきたわけですが、 今回のプロジェクトでは、今までやってきたこと全てを洗い出し、 再構築したかのような内容となっており、 進行形プログレシーンの総決算的な意味合いを持つ素晴らしい内容に仕上がっています。
サウンドは大雑把に言うと、スポビ(初期)が6割、フラキン4割といった感じです。 特に目立つのが、ニールの高度なコンポーズ能力と、ロイネの表情豊かな演奏能力で、 彼ら2人がバンドを引っ張っている印象を受けます。 もちろんリズムセクションが強力なのは言うまでもありません。
1曲目からいきなり30分を超える大作が収録されており、 プログレ魂!をみせつけています。 ラストのプロコル・ハルムのカバーは、原曲が良すぎるだけに ちょっとズルくも思えましたが、最後のロイネのすさまじいギターソロには 圧倒されまくりなので許したいと思います!
是非このプロジェクトは今後も継続させて欲しいです。 彼らなら今後、もっともっと良いものがたくさん生み出せるはずだから...
過去の作品ばかり聴いているプログレファンは 一度だまされたと思って聴いてみて下さい。きっと考えが改まるはずです。
2枚組初回限定盤(おまけディスクは、ボーカル違いのバージョン、 ビートルズやストーンズの曲を演奏したジャム・セッション、 パソコン用の動画などが収録されています。) があるので、なるべくこちらを買いましょう。
PS.1曲目の出だしが「危機」に、2曲目の出だしが「同志」に聴こえるのは気のせいでしょうか? (私には確信犯のように思えるのですが(^^;))

No.8
・ABSTRACT SYMPHONY/MAJESTIC(99)
スウェーデンの超絶ネオクラシカルバンド、MAJESTICのデビュー盤
発売後すぐに発売元のZEROコーポレーションがつぶれたため、しばらく入手困難でしたが、 めでたく東芝からボーナス付き!で再発されていたので買ってきました。
のっけからネオクラシカルフレーズの大洪水で、 イングウェイ大好きキーボーディストが率いるバンドであるせいか、 ARTENSIONを彷彿とさせる内容となっています。 ただ、こちらの方がスウェーデン出身のせいか よりイングウェイ度が高いです。(7曲目なんてもろデジャ・ヴでしょ!)
当然キーボードとギターが弾きまくるという典型的な図式ですが、 リチャード・アンダーソンのキーボードは冷静で機械のように正確なのに対し、 ピーター・エスピノーザのギターは猛烈で荒々しいイメージがあり、両者の対比が絶妙です。
2ndではメンバーがさらにパワーアップし、 ドラマーは私の大好きなDARKANEのピーター・ウィルドァー(元ARCH ENEMY、この人は本当に速くて上手いです!)に チェンジしているらしく、さらに弾きまくり状態らしいのだが、この作品でも悶絶モノの内容なだけに ちょっと想像がつきません。聴くのがもったいないのでしばらくとっておこうと思います!

No.9
・AJA/STEELY DAN(77)
皆さんご存じのAORの名盤です。
何故今更...という感じで載せるのは恥ずかしいですがあえて掲載します!
実はこのアルバムは私がハタチそこそこの頃、友人宅で一度聴いていました... が、当時HR/HM系に入れ込んでいた私には良さが十分に理解できず、 「ソロが短すぎ!これからってとこで終わる!」、 「金持ちロックだよ。ロック魂が感じられない。」、 「10CCと一緒で、老後の楽しみに取っておくよ。」 などの暴言を放っていたそうです(友人談(私はあまり覚えてません!))。 その後、いつでも入手可能なこともあり、 ずっと聴かないまま月日が過ぎていきました。
しかし最近、STEELY DANが新作を出しAJAがリマスターされたこと、 ジノ・ヴァネリのアルバムでとんでも無く格好良いギターソロを弾いていた ジェイ・グレイドンが参加していたことなどから、今回聴く運びとなりました。
やはり名盤中の名盤!(←当たり前だろ) スリリングながらも終始余裕のある計算され尽くした演奏は 全く古くささを感じさせません。超一流とはこういうことを指すのですね。 目からウロコが落ちまくりです。
今考えるとハタチの若造には早すぎです。 初めて歳取って良かったと思いました!

No.10
・SHADES OF UNCONSCIOUSNESS/TIMESTORM(00)
イタリア出身のドラマティック・ジャーマン系(クサクサ!)メタル。 タイプ的には同国イタリアのラビリンスが一番近いです。
楽曲はとことんドラマティックで、 ギター×2、キーボードを擁する6人編成で音が分厚く、 ブラインド・ガーディアン風のコーラスも見事です。 キーボード、ツインギターは特に技術的にすごいということは無いですが、 各自持ち味は発揮しています。平均点は超えているでしょう。
この手のバンドがたくさんはびこっている昨今、 このバンドに目新しいところはあまり見られないですが、 私がこのバンドを気に入った一番の理由はボーカルにあります。 マイケル・キスク風(あるいはストラトヴァリウスのティモ風)に、 ハイトーンで押し切るオペラティックな唱法で、 多少音程があやしくなる部分もありますが、強引に歌いきっています。 (結局「守護神伝」が好きなんだろ?と言われればそれまでですが...(^^;))
はまるかはまらないかは紙一重だと思いますが、 ハロウィンやストラトヴァリウスが好きな人にはお勧めの作品です。

No.11
・METROPOLIS PT.2:SCENES FROM A MEMORY/DREAM THEATER(99)
DREAM THEATER初のトータル・コンセプト・アルバム&セルフ・プロデュース作品。
最初は理解しづらくピンと来なかったが、 何度も聴いてるうちにとんでもない作品であることに気が付きました。
出だしがQUEENSRYCHEの代表作、OPERATION:MINDCRIMEに、 その後部分により、PINK FLOYDの原子心母、狂気、ファイナル・カットに 似ているなどニヤリとさせられる部分も多いのですが、 じっくり聴きこむと、これらの名作群を単に模倣したわけでは無く、 きちんと彼らなりの素晴らしい答えを出していることがわかります。
まさに「DREAM THEATER」というバンド名にもっともふさわしい、 まるで超大作の映画を見ているような間隔に陥るアルバム (集中して聴くと、映像が頭に浮かんでくるような感じ)であり、 アルバム5枚分ぐらいの情報量が詰め込まれているように感じます。 (その分ちょっと疲れるのだが...)
IMAGES AND WORDSとは方向性が異なるものの、 試行錯誤の末にたどり着いた彼らの一つの最高到達点といえるでしょう。
現在優れたDREAM THEATER系プログレメタルバンドが多く存在するが、 本家の凄み、格の違いを感じました。彼らはまだまだ進化していますね。 ライブで再現できるか当初心配でしたが、全く問題ありませんでした! (詳しくはライブ・レビューをご覧ください。)
1999〜2000年への年越しに選びましたが、年越しにふさわしい作品でした。 こんなに内容が良いなら国内盤買うんだったなぁ... (コンセプトものはやはり対訳が無いと厳しい!)
QUEENSRYCHE、PINK FLOYDファンに是非聴いてもらいたいし、 逆に本作を気に入った人には、前述のアルバムを聴いて彼らのルーツを探ってみて欲しいです。

No.12
・THE PERFECT ELEMENT, PART I/PAIN OF SALVATION(00)
いまやプログレメタルを代表する存在といえる、 天才ダニエル・ギルデンロウ率いるスウェーデンのペイン・オヴ・サルヴェイションの3rd。 またもやものすごい完成度のコンセプトアルバムです。参りました!
デビュー時と比較すると、メタル色が薄れ、スリリングな展開も減り、 地味になったようにも思えます(個人的にちょっと残念!)が、 その分、音に奥行きが増し、楽曲に「怒り、悲しみ、痛み」が十二分に凝縮されており、 説得力も格段に増しています。王者の風格も出てきました。
今回もボーカルは素晴らしく、様々な声が複雑に絡みあう独特のハーモニーを たっぷりと聴くことが出来ます。
もはや、プログレメタルを代表するだけでなく、 21世紀のプログレッシブ・ロックを担っていく存在となることは間違いないでしょう!
天才が一人いると違いますね。

No.13
・V/SYMPHONY X(00)
国内盤のサブタイトル(新・神話組曲)がラッシュっぽいシンフォニーXの5th。
ドリーム・シアターのメトロポリス2に触発されたのか、 今回はアトランティス文明を題材にしたコンセプトアルバムになっており、 従来の作品をはるかにしのぐ音の洪水でスケールも大幅アップ、 確かにこれだけ作りこめば時間がかかるでしょう。 しばらく音沙汰がなかったので、ZEROとともに消え去ってしまったのでは? と随分心配しましたが待った甲斐がありました。 つまらなかった前作(良かったのはジャケのみ?)が嘘のような出来映えです。
マイケル・ロメオはレガード奏法を駆使した流麗なソロばかりが注目されがちですが、 スピーディーでザクザク切り込んでいくリフも魅力的です。 (ただ最高作3rdのリフやメロディの使い回しが若干気になります。 ドリーム・シアターもメトロポリス2で懐かしいフレーズが出てきたけど、 これはメトロポリスの続編だから当たり前だっての!)
1st〜3rd時代のドラマー、ジェイソン・ルーロが戻ってきたのは大正解です。 来日公演の際、パフォーマンスが優れていたベーシスト、 トーマス・ミラーが抜けたのは痛いが、アルバム上は全く気になりません。 ラッセル・アレンも随分丁寧(荒削りな部分が少なくなり、ちょっと迫力不足な感はあるが) に歌うようになっています。
これもライブで完全再現するのでしょうか...彼らならそれも可能でしょう。 ということで是非再来日を希望します。 (今度は来日後発売元が無くなるなんてことは無いでしょ!)

No.14
・RISHAD SHAFI PRESENTS GUNESH/GUNESH(00)
1999年にARSENALを掘り起こしたロシアのジャズロック系レーベル? BOHEME MUSICから、またもやとんでも無い音源が出てきました。
今度は旧ソ連、トルクメニスタン(一体どこ?)出身のバンドです。
一応ジャズ・ロックということになっていますが、 曲毎に、様々な楽器(民族楽器だけでなくボコーダーまで使用!)が前面に出て、 聴き手の想像を裏切るさまざまな展開が繰り広げられます。
また、トルクメニスタンは旧ソ連といってもイランに隣接している(←結局地図で調べた!)ことも あってか中近東系のエキゾチックなフレーズが目立ちます。
ジャズ・ロックの枠をいとも簡単にぶち壊わすこの変態的なアクの強さは しばらくクセになります。是非MAGMAファンとかに聴いてもらいたいなぁ!
とにかくジャケットで笑ってる妙なおじさん(実はリーダー!)のドラミングはすごいのなんの... ルックスと音の差は2億キロぐらいです!
本作は1980〜84年の音源ですが、その他に84〜90年の音源もCD化されており、 こちらもへんたいでたいへんです!2枚セットでどうぞ!

No.15
・勝訴ストリップ/椎名林檎(00)
発売日をどれだけ待ち望んでいたことか... レコーディングはとっくに終わっていながら、 じらされ続けていた林檎嬢の2ndです。
1stよりもデジタル的アレンジを多用するなど、 様々な試みにチャレンジしていながら、 アルバム全体の統一感が増しているのはさすがです。
詞も相変わらずえげつなくて切なくて素晴らしいです。 新しいスタイル、アレンジが次々に出てきて驚きの連続ですが、 何をやってもりんごはりんご!核となる部分は何も変わっていません。
こんなにも密度の濃い、魂が込められたすさまじい内容を聴くにつけ 彼女が早死してしまいそうで心配にも思えますが、 CDレーベル面にプリントされた林檎嬢のあっけらかんとした表情(^^;)と 内容の落差に腰が砕けました。きっと大丈夫でしょう!
捨て曲無し、手抜き一切無しの名盤です。
この人は底が全く見えないですね...末恐ろしい...

No.16
・ONE OF A KIND/BRUFORD(79)
2000年後半から個人的に行いはじめた、 海外通販を利用したCD買い直しキャンペーン!で購入したうちの1枚。
こんなにすごかったっけ?! 久々に聴いてみたらすごいのなんの... とても20年以上も前の作品だなんて信じられません。
複雑なリズムを中心に組み立てられながら、 流れるようなソロ回しと程良くメロウでコンパクトな楽曲... 歌がないのに全く退屈しません。 まさにジャズロックの理想的な形が実現されています。
プログレ名盤紹介にも載せることにしました。
録音状態がかなり良いのでCDとの相性も抜群です!

No.17
・LIVE/GREENSLADE(99)
最強のツインキーボード/ギターレスバンド、グリーンスレイドのライブ盤。
グリーンスレイドは、メジャーなプログレバンドを一通り聴いた後に出会い、 素晴らしさにKOされ、おかげでマイナープログレの底無し沼にはまるきっかけとなった バンドなので感慨深いものがあります。
全員が程良い具合に即興を入れながら、美しい名曲の数々が次々に演奏されていきます。 スタジオ盤同様、いろいろな鍵盤楽器が使用されていますが、 ちゃんとメロトロンも弾いています。ライブの気合いの入り方が違います!
どの曲も名演ですが、特にスタジオ盤からヴァイオリンを抜いた、 5曲目、JOI DE VIVRE(この曲ってCARAVANの名曲VIRGIN ON THE RIDICULOUSに似てると思うのですが...) の後半部、2人のデイヴのキーボードソロが絡み合う部分(あくまでもソロバトルというような激しさは無く、 お互いがやさしく包み合うようなソロ)は感涙ものです。 (楽器こそ違いますが、WISHBONE ASHのTHROW DOWN THE SWORDの後半ソロを連想しました。)
またSUNDANCEは73,75年の2回分の演奏が収録されているのですが、 73年は原作に忠実な演奏(約8分)なのに対し、 75年のバージョンは大幅にアレンジが変わっていて(約13分)聴き比べると面白いです。
私の大好きなドラマー、アンドリュー・マッカロクの超絶ドラミングは ライブでより一層冴え渡っています。 強弱のつけかたが絶妙でありキメの格好良さはたまりません。
また最も意外だったのが、トニー・リーブスのベースで、 スタジオ盤に比べてかなり自己主張が強く大胆なラインを弾いています。
後半の75年の音源は、以前入手したブート(私はほとんどブートは買わない主義なのですが グリーンスレイドはどうしても聴きたかったので...)と同じものでしたが、 このブートは74年パリとなってました。ブートはやはりいい加減ですね (正規盤の表記が間違ってたりして...)
彼らだけでなく、フィンチ、マハビシュヌをはじめ、 2000年は大好きなバンドの貴重な音源が正規で発表され嬉しい限りです。
再結成して来日したら絶対見に行くんだけど...

No.18
・SECOND STEP/KARTHAGO(73)
ドイツの70年代オルガンハードロックバンドの2nd
1曲目のLOOK AT YOURSELF風インストナンバーでのスピード感とキレに痺れました!。
後にKRAANに加入するキーボーディストが素晴らしいオルガンプレイでバンドを引っ張っています。 この人のセンスはドイツだけでなく、世界的に見ても相当レベルが高いでしょう。 その他のメンバーの演奏も個性豊かで、リズムにかなり切れ味があります。
イギリスのVertigo,Neon系のマイナーなオルガンロックバンドと比べると 演奏レベルは明らかに上(特にリズム面)で、余裕のある安定した演奏を聴くことが出来ます。
またパーカッションが入っているので一層リズムが強調され、 楽曲に躍動感とメリハリがあります。
いわゆるジャーマン系の音とは全く違う方向性であり、 ポップで分かり易く、ドイツらしさのかけらもありません。 (比較的ジャーマン系が苦手な私でも全然OKです。) イギリスのバンドと思って聴いた方が良いでしょう(^^;)
特にAFFINITYやBRIAN AUGERあたりの薄めのブルース色の入った オルガンロック好きに聴いてもらいたいです。
ボーナスの「ジョニー・B・グーデ」(独語!)も軽快でカッコイイです。

No.19
・PRIDE/WHITE LION(87)
彼らが愛用していた歯磨き粉がバンド名の由来!(←大うそ!)という ホワイトライオンの最高作。
私が学生時代に在籍していた音楽系サークルで、 一時期彼らのコピーが流行った(WAIT、ALL YOU NEED IS ROCK N ROLLなど)のですが プログレバンドをやっていた当時の私には、 彼らは商業ロック的で軟弱にうつり、まともに聴いていませんでした。
最近ふと当時が懐かしくなっていたところに、 たまたまこのアルバムを見つけたので買ってみたらビックリ! 現在HR/HM界ではとかくマイナーでヘビーな曲がもてはやされていますが、 そんな耳にはメジャーでライトな感覚を持つこのバンドのサウンドは非常に新鮮に聴こえました。
ボーカルは一本調子で音域狭いし、 残響系のエフェクトかけすぎで音の輪郭がぼやけているなど、 いろいろと難点はあるのですが、 シンプルで親しみやすい曲と独特のセンスを持つギタープレイがあまりにも素晴らしいので、 そんなことは大して気になりません。
特にヴィトの良く歌うギターソロは華があります。 こんなに才能が豊かな人だとは思いませんでした。 (EXTREMEのヌーノ・ベッテンコートやTNTのロニー・ル・テクロらと並ぶのでは?、 もっと評価されるべき!)
中でもWAITは何度聴いても心を打たれます。 名曲は色褪せないということでしょうね。

No.20
・EPIC III/MARIO MILLO(79)
セバスチャン・ハーディのスーパー・ギタリスト、 マリオ・ミーロのソロデビュー作。
1曲目に収録されたシンフォニックな大作の完成度はものすごく、 特にフラキンファンは悶絶間違い無しです。
詳しくは、プログレ名盤紹介をどうぞ。
ギタリストのソロ作ということで甘く見ていてすんませんでした... と本人と作品に謝りたい気分です!

その他

・THE MAKING OF...GALLEONS OF PASSION/STAGE '76/FINCH(99)
70年代インストプログレバンドの頂点、FINCHの 未発表音源を含むスタジオデモ+76年のライブ音源の2枚組! よくもこんな貴重な音源が発掘され正規リリースされたものです。
ボーカルのいないインストバンドはとかく単調に感じられることが多いのですが、 このFINCHは目の覚めるような劇的な展開、静と動、押しと引きの絶妙なバランス感覚、 そしてメンバー各人の楽器の豊かな表現力 (そんじょそこらのボーカリストよりよっぽど説得力に長けている)により、 現在も聴き手を惹きつけて放さない独自の魅力を放っています。
1枚目のスタジオデモ(3rdデモ+未発表曲集)は 3rdの正規盤並みの音響処理を施していないせいか、 演奏が生々しく、等身大の彼らの姿が浮き彫りとなっており、 1st時代の粗野で荒々しい格好良さが感じられます。
また未発表曲は4曲も収録されています。さすがに既発の曲と比較すると クオリティで劣りますが、それはあくまでも既発曲が素晴らしすぎるせいでしょう。 (他の凡百インストバンドと比べるなどもってのほか!)
2枚目のライブ...これがまたすごいことになってます。 全5曲、70分以上もの間、スタジオ盤の2割増しの情熱がほとばしる、 入魂の演奏が繰り広げられています。(「熱演」という言葉がまさにピッタリ当てはまる) こんな気合い入れまくりの演奏を続けていたら、 そりゃ、長続きしないだろうなぁ...(特にヨープ)
従来の全アルバムのジャケットデザインをモチーフとした、 凝ったジャケットもマニアにはたまらないものがあります。 (発掘音源というと、とかくブートまがいの安易なジャケットが多い中、 こういう心構えは非常に大事だと思います。)
贅沢を言えば、キーボードが初代クレーム・データマイヤーだったらなぁ... クレームはエイリオンに参加するなど、 現役としてまだ活躍してるのにヨープは何やってるんでしょう? FINCH再結成でも(無理か?)、そうでなくても とにかくシーンに復活してあの独特のギターを聴かせて欲しいです。

・INCA/SYNDONE(93)
イタリアのギターレス、ツイン・キーボード編成のテクニカルシンフォバンドの2nd
彼らはVINYL MAGICのNEW PROG'90シリーズ出身で、 シリーズを代表するバンドの1つでもあります。 VINYL MAGIC社倒産?との噂を聞き、あわてて買ってきました。
ゲストでCALLIOPE(VINYL MAGICつながり)のキーボード参加しており、 GREENSLADEやRAREBIRDもびっくりのトリプル・キーボード(前代未聞!)となっています。
さぞかし鍵盤の洪水かと思いきや、耳につくのは強烈ドラミング!... 3人キーボードが束になっても勝てないほどの輝きを放っています。 その過剰なまでに手数が多いスタイルは全盛時のフリオ・キリコに最も近いといえます。 きっと、元アルティ・エ・メスティエリのキーボーディストがプロデュース しているせいもあるんでしょう。
この強烈ドラミング+メイン楽器がキーボード+イタリア出身という要素から、 ちょうどTIME OF CHANGE時代のTRIPが90年代に突如復活したような感じにも思えます。 (ちょっと褒めすぎか!?)
もちろんそれぞれのキーボードも頑張っています。 ギターで弾くようなフレーズもわざわざ音を真似て、 キーボードで全てカバーしているのは微笑ましいです。
曲の良さではCALLIOPEに少し負けますが、テクニックやスリルを求める人には、 こちらの方がお薦めでしょう。

・MUNDUS INCOMPERTUS/PAR LINDH PROJECT(98)
90年代のELPことPLPの傑作。
プログレ系アーティストには、NICEやELPを始め、 クラシックとロックの融合をはかるスタイルが数多く見られますが、 メタル界においてもクラシックへのアプローチが多々行われており、 中でもイングウェイを始めとしたネオクラシカル系は有名です。
パル・リンダーは基本的に前者のプログレ畑のアーティストですが、 本作では後者のメタル的要素を取り入れることにより、 他のクラシカル系スタイルのプログレバンド (ハンガリーのAFTER CRYING、RUMBLIN' ORCHESTRA、メキシコのCODICE等)との差別化をはかっています。
もともと以前からバロック、クラシックにこだわったサウンドには注目していたのですが、 前作はアタックが弱く貧弱に聴こえ期待はずれの感がありました。 なので本作は評判が良かったにも関わらず、 あまり信用&期待していなかったんですが見事に良い方に裏切られました!
メタルあがり?のギター、リズム隊の活躍でずっしりとした重厚さが出てきました。 この手のバンドはキーボードに頼りすぎて音が軽く薄っぺらに聴こえがち (前作がまさにそれ!)なので、今回の方法論は大正解でしょう。
メタルファンのプログレ入門用またはプログレファンのメタルの入門用として最適です。
パイプオルガンののしかかるような音圧には終始圧倒されます。 中世的なイメージで細部まで統一された気品高いジャケットも良いです。 ここまで良いのならライブも聴かなきゃ...

・CITY BOY/SAME(77)
2000年に最もはまったバンド「A.C.T」のライナーに、 彼らが影響を受けたとしてYES,GENESIS,MANFRED MANN,10CCらとともにCITY BOYが列記されており、 あわてて1st〜4th(1st&2nd,3rd&4thがそれぞれカップリングで出ています)を買ってきました。
ギターに偏りがちなハードな曲にうまくキーボードをのせる方法、 ハードロックとポップの融合、大作指向などなど確かに似た部分が感じられます。
屈折系ブリティッシュ・ポップとハード・ロックの中間を行くようなサウンドで、 10CCをハードにしたような感じとも言えるでしょう。 6人編成なので、様々な楽器の音が重ねられており、 コーラスもやたら分厚く、全体的にゴージャスな雰囲気が漂っています。
丁寧に時間をかけて練り上げたという印象が強いですが、 それにしては印象的なメロディやリフがちょっと少ないのが残念なところ、 きっとこのためにB級的な扱いを受けているんでしょう。 まあ、それ以前に、バンド名(メンバーにきたろうがいるわけではありません!)や、 垢抜けないジャケットでかなり損をしてる感がありますが...(^^;)
2nd以降の作品も同路線で聴きごたえのある質の良い作品でした。
今回、70年代ブリティッシュ・シーンはロックだけでなく ポップも充実しているということをあらためて思い知らされました。
一緒に購入したSAD CAFE(元マンダラバンドのメンバーらによる大編成ポップバンド)も 同路線の良いバンドだったのでこちらもおすすめします。

・THE LOST TRIDENT SESSIONS/THE MAHAVISHNU ORCHESTRA(99)
第一期マハビシュヌの発掘音源。
普通、発掘音源というと、録音状態が悪かったり、楽曲のクオリティが劣っていたりと なんらかの問題を抱えており、マニア向けのものがほとんどですが、 この音源は別格! ここまで素晴らしい発掘音源は珍しいのではないでしょうか?
楽曲も録音状態も彼らの名作群と比べて全く遜色なく、 究極のジャズロックサウンドが満載で、あまりの格好良さに倒れそうになります。
ソロバトルの応酬はスピーディーだしスリリングだし、 当時彼らがいかにすごいテクニックと可能性を持ったバンドであったかが良く判ります。 当時のバンドの中では間違いなく最高峰のテクニック集団でしょう。 ホンモノは格が違います。
ライブと曲が重なっているので、聴き比べるという楽しみもありますね。
しかし、何故これだけのものが当時発表されなかったのか? 何故今頃になってひょっこり出てきたのか? 謎は尽きません。...(~ヘ~;)うーむむ...

・ALIVE ON PLANET EARTH/THE FLOWER KINGS(00)
1999年3月の来日公演の感動が一瞬にして甦ってきました。 目を閉じて耳を傾けると、あの平和と喜びで満ちあふれた 夢のような幸せな一時を思い出すことが出来ます。
IN THE EYES OF THE WORLDのドラマティックな展開、 SOUND OF VIOLENCEのスリリングな攻撃性、 CHURCH OF YOUR HEARTの夢見るような美しさをはじめ どの曲もスタジオ盤よりエモーショナルで一音一音に魂が込められています。
ジェネシスのカバーは今回初めて聴きましたが見事にはまっており、 彼らが、70年代のプログレシーンを築きあげた偉大なバンド達を いかに愛しているかが良くわかります。
ただ毎回CD収録時間ぎりぎりまで楽曲を詰め込んで来た彼らにしては、 今回収録時間が余っているのが大変悔やまれます。 WORLD OF ADVENTURES+GO WEST JUDASやRETROPOLIS入れてくれても良かったのに... あれだけ出来の良かった演奏を眠らせておくのは非常にもったいないです。
あとはもう何も言うことはありません! 一人でも多くの人にこの幸せな気分に浸ってほしいです。

・SUN SUPREME/IBIS(74)
CDを整理した際CORTE DEI MIRACOLIと一緒に出てきました。
かなり前に買ったまま、ほとんど聴かずに放っておき存在を忘れていましたが、 どちらも素晴らしい完成度!さすがはイタリアです。
CORTE DEI MIRACOLIのイタリアンシンフォ集大成的な出来の良さにも驚きましたが、 このIBISはもっとすごかった...衝撃は半端なもんじゃなかったです。 NEW TROLLSがいかに偉大なバンドだったかが良くわかりました。
詳しくはプログレ名盤紹介をどうぞ。 まだ70年代イタリアにこんなにも 質の高い音源が残っていたとは...(←自分が聴いてなかっただけでしょ!)

・THE CONSTRUKCTION OF LIGHT/KING CRIMSON(00)
またもやメンバー編成が変更となり、シンプルな4人編成(第6期?!)となったクリムゾンの新作。
前作の流れを押し進めた、とてつもなくヘヴィーな内容となっており、 年代を重ねてもなお、ヘヴィーにアグレッシブに突き抜けていく姿勢には頭が下がります。
フリップのサービス精神のあらわれなのか、 それとも、もはや大幅な前進は望めないのかはわからないが、 70,80,90年代クリムゾンの様々な楽曲の断片が見え隠れしており、 中でもやはり、フラクチャード、太陽と戦慄パート4の素晴らしさに耳がいってしまいます。 (きっと同じようなクリムゾンファンがたくさんいると思うが...)
特にパート4からCODA:I HAVE A DREAMへすさまじい勢いで突入していく 刹那的かつ破滅的な美しさはたまりません!
今から30年以上も前に超名曲「21世紀の精神異常者」を作り上げた彼らが その「21世紀」にどのような展開を見せてくれるのか今後も非常に楽しみです。

・NOSTRADAMUS-BOOK OF PROPHECIES/SOLARIS(99)
東欧にも素晴らしい作品が存在することを 多くのシンフォ・ファンに知らしめるきっかけとなった名作「火星年代記」を残した、 ハンガリーの偉大なるシンフォバンド、 ソラリスの新作(といっても1999年の作品)
ハンガリーでは近年、AFTER CRYINGやRUMBLIN' ORCHESTRA等素晴らしいバンドが出てきているが、 彼らとは歴史が違う!と言わんばかりの重みを見せつけています。
ノストラダムスをテーマ(もっと早く聴くべき?)としたその内容は、 オリジナルメンバーだったギタリストが98年末に死去したこともあってか、 相当気合いが入っており、 深く沈み込むようなシンセ、 冷たい感触のフルートを中心としたバンドメンバーが一丸となった演奏に加え、 力強い声楽隊を大胆に導入し、恐ろしいほどの荘厳な雰囲気が漂っています。
20年近く前の「火星年代記」と全く変わらぬ、 このダークな雰囲気は彼らならではの持ち味でしょう。体感温度が下がりますよ!

・CLAYMAN/IN FLAMES(00)
北欧メロデスの重鎮バンドによる5th。
バンド名ロゴを一新し、メジャーを意識したと思われる傑作3rdで 完成したと思われるスタイルはなんら変わっていません。 予想以上でも以下でも無く、今回も貫禄をみせつける仕上がりとなっています。
いまやメロデスとしては最も安定した信頼できるバンドといえるでしょう。
ARCH ENEMY,CHILDREN OF BODOMのような派手なギターソロは無いものの、 特に3拍子系の曲で発揮される哀愁漂うメロディー、 ツイン・ギターによるドラマティックなアレンジには唸らされます。
メタルというジャンルはテクニカル指向のバンドが多いですが、 ど派手なテクニックは無くても、曲が良ければ十分通用するという お手本のような作品にも感じます。

・THE MOMMYHEADS/SAME(97)
アメリカのBEATLES直系ポップバンドのメジャーデビュー盤。
この手の代表格であるJELLYFISHと比べると、 パワーを前面に押し出すタイプではなく、変化球が多いためやや地味な印象ですが、 どことなくXTCあたりに通じるシンプルな音像とひねくれた展開は 聴けば聴くほど味が出てきます。
しかし実はメジャーデビューにより彼ら本来の「個性」は 失われてしまった(良くある話だが...)とのことで、 残念ながら全て廃盤&入手困難となっている 過去のインディーズ時代の作品を聴いてみたところ (数曲をネット上で聴くことが出来ます) 確かにとても自由な発想の全く新しいポップスという感じでした。
過去の作品をなんとかして入手したいものです! 本作だけでもこんなに内容が濃いのだから、 以前のアルバムを入手できたら倒れるんじゃないかな(^^;)。

・V/SPOCK'S BEARD(00)
奇しくもシンフォニーXと同タイトルとなった、 天才ニール・モーズ率いるスポビことスポックス・ビアードの5thアルバム。
現役アメリカン・シンフォの頂点に君臨するに相応しい充実ぶりで、 あふれんばかりのアイデアが凝縮されています。
うれしいことに、トランスアトランティック効果なのか、 ひさびさに大作指向のアルバムとなっており、 次から次へと目まぐるしく変化する楽曲が完璧なテクニックで演奏されています。
特にニール・モーズが今までの作品中でフェイヴァリットに挙げたほどの自信作である 16分を超える1曲目、AT THE END OF THE DAYは、 力強いコーラスワークやリョウ・オクモトのオルガンが印象的な素晴らしい内容で、 彼らの代表作とも言えるTHE LIGHTに匹敵するほどの名曲といえます。
この1曲目の途中で 突然マクソフォーネ(本人達が意図しているかどうかはわかりませんが)になったり、 3曲目は90年代ジェントル・ジャイアント(早い話がエコリン!、そういえば彼らの新作は 逆にどことなくスポビ化していました!)だったりと、 様々な箇所でプログレ心をくすぐってくれるところは相変わらずです。
ブックレット付き+マルチメディアトラック入りの限定盤があるので、 なるべくこちらを買いましょう。 レコーディング風景などが折り込まれたマルチメディア映像では 明るいアメリカンぶりを存分に発揮していて微笑ましいです。
そろそろ来日公演してくれないかなあ...

・SPACE REVOLVER/THE FLOWER KINGS(00)
北欧シンフォ界の最高峰であるフラワー・キングス待望の新作。
全体を通じ今までのような「フラキン節」 (いわゆるシンフォっぽい泣きの部分)が後退しており、 当初想像していた通りの音ではなかったため、 あまり第一印象は良くありませんでしたが、 その分、EXTREMEやMR.BIG風のアンプラグドな歌ものあり、 ハードなリズム隊の上をギターとシンセがアグレッシブに暴れ回るインストあり...と、 様々なことにチャレンジし、音楽性が格段に広がっていることに気付きました。
そして聴けば聴くほど面白く、内容の良さがじわじわと伝わってきました。
音楽性が広がった一因として、トランスアトランティックでの ニール・モーズの影響もあるのかもしれません。(新作が出たのもほぼ同時期ですし!)
少なくなったとはいえ、ギター・ソロ・パートでのロイネの情感豊かなプレイは 今までの名演と比較しても全く遜色が無く、幸せな気分に浸れます。
また、今回からベーシストがロイネの弟からヨナス・レインゴールドに交代しており、 そのお披露目を兼ねてか派手なベースプレイが続出しています。 ハーモニクスを多用したそのスタイルはジャコパス (あるいはSERU GIRAN時代のペドロ・アズナール?)を彷彿とさせるもので、 新スタイルの拡張に大いに貢献しています。
...ということでやっぱり今回も結局買いです! ボーナスCD付きの国内盤を買いましょう。 (結局1枚にはおさまらない人たちなのでした...(^^;))

・TRANSCENDENTAL SKY GUITAR/ULI JON ROTH(00)
ギター仙人!ことウリ・ロート大先生の、ギターという楽器の表現の限界に挑戦した2枚組大作。
世代的にも、ギタースタイルとしても、 ちょうどジミヘンとイングウェイとの中間に位置するスーパーギタリストであるウリが、 自ら創造した、通常仕様のギターでは不可能な高音域を奏でることが出来るスカイ・ギターを駆使し、 自分の曲だけでなく、クラシックの曲やジミヘンの曲をカバーしています。
スカイ・ギターの透き通った超高音は例えようが無いほど美しく、 この超高音で、独特のためのあるチョーキングやゆったりしたビブラートをかけられると、 そのまま天国へ連れて行かれそうな気分になります。(危ない?!)
特にディスク1枚目は、トルコ行進曲に展覧会に四季に第九にアルハンブラ... クラシックの名曲がずらりと並んでおり、まるでEKSEPTIONのギターバージョンみたいです。
EL&P、RAINBOW、CANARIOS、EKSEPTION、YNGWIE...様々なアーティストが取り組んできた クラシックとロックの融合の20世紀総まとめのようにも感じます。
相変わらずギターの一音ごとの気合いの入り方は鬼気迫るものがあります。
全ギタリスト必聴&必携の作品でしょう。

・LANDING ON A RAT COLUMN/64 SPOONS(93)
カンタベリーの重要人物であり、末期LEVEL 42にも参加していたギタリスト、 ジャッコが在籍していたバンド64 SPOONSの幻の作品(1978〜80年の音源)。
#64やら42やらジャッコは数字フェチ?!
なんといってもこのアルバムの売りは、テクニカル・ジャズ・ロック好きが卒倒しそうな超絶曲が 2曲おさめられていることです(2、5曲目)。 この2曲を一言で表すとすれば「疾走ジェントル・ジャイアント!」 リズムを細かくきざみまくりながら、超絶アンサンブルでどんどん突き進んでいきます。 他にハットフィールズ、ブラフォード、ホールズワースあたりの影響も感じられるので、 カナダのNATHAN MAHLあたりとも似たような印象を受けました。 この2曲だけでもこのCDを購入する価値が十分あるでしょう。 (全曲この路線だとうれしいんだけど...贅沢は言うまい!)
その他の曲はポップなものが多いですがそこはカンタベリー、一筋縄ではいきません。 ひねくれたコード進行、風変わりなアレンジ... バンド名通り「さじ加減」が絶妙です!(^^;)(←結局これが言いたかったのか?!)
PS.ジャケットのスプーンの数を数えたところちゃんと64本ありました!

・CALL TO THE END/SYMBOLS(00)
デビュー盤が一部で話題となっていた、 ブラジルの新進ドラマティック・メタル・バンドの2nd
ANGRA崩壊後?のブラジル・メタル界は俺らにまかせろ!とでもいわんばかりの 魅力あふれる内容となっています。
サウンドは基本的にANGRA(1st時代!)8割、DREAM THEATER2割といった感じなんですが 何故かラスト曲のみEXTREME化します!
メンバーの技術はマイナーなバンドとは思えないほど高度であり、 特にキコ・ルーレイロを彷彿とさせるような自由奔放なソロを奏でる、 ギタリストのセンスが際立っています。
お約束の思わせぶりな1曲目イントロに続く、1曲まるまる爆走状態の2曲目、 歌メロ、ギターソロ...全てが完璧で疾走、疾走また疾走!といった感じの5曲目、 などなど聴いていて胸が躍ります。 特に1stのボーナス曲でもあった5曲目は、 ボーナスながらもアルバムの全曲をしのぐほどの超名曲 (=IN FLAMESのSTAND ABLAZE状態!?)と言われており、ANGRAファンなら卒倒必死でしょう。
ただ、意味不明なジャケットはまだしも、 10曲中4曲がデモ・バージョンってのはハテナマークです。
あとタイトルが直球勝負過ぎなのも気になります。 SAVE AFRICAとかSTOP THE WARSとか...社会派メタル?なんでしょうか...(^^;)
今後どのように伸びていくのかが非常に楽しみです。


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