今年良く聴いたアルバム

今年に入ってからはまったアルバムを順に紹介します。


・ELEGANT GYPSY/AL DI MEOLA(77)
超絶&速弾きの歴史を大きく変えた天才ギタリストの名作2nd。
RTFの流れを汲みつつも、RTFから独り立ちして 新たな路線を開拓しようとする意欲に満ち個性あふれる楽曲が 散りばめられています。
精密機械のような正確なプレイですが、 それぞれの音にちゃんと熱い魂が宿っているのが実に良いです。
参加ミュージシャンも豪華すぎ。
ヤン・ハマーはどことなくチック・コリアっぽさも感じさせながら、 やはり「らしさ」全開であの音色で弾き倒しています。
スティーヴ・ガッドもレニー・ホワイトも最高のドラミングですが、 そこに絡んでうねりまくるミンゴ・ルイスのパーカッションがまた 冴えています。
人間国宝パコ・デ・ルシアとのパッション対決も強烈ですね。

・DESTINY OF THE SACRED KINGDOM/DRAGON GUARDIAN(11)
国産RPGメタルの雄として一昔前にちょっとしたブームになったプロジェクトもの。
当時気になって入手したものの、苦手意識 (タイトルとバンド名の英単語の並びだけで さぶいぼ出る人もいそう!...)からかなり放置してました。
1stからナレーションを消し、歌詞を英語にし、 ヴォーカルを男性にし、ギターソロを強化... 「これならフツーのメロスピ・ファンもOKさ!」 (←某砂糖抜きガムかよ!)と言わんばかりにリメイクしまくった作品ということで、 違和感なく強烈な激臭&疾走&B級感を心底楽しむことができました。
予想通りメロディは既聴感たっぷりでしたが、ジャーマンや北欧ものより、昔の日本の歌謡曲的なベタさクドさが なんともツボに入りました!
ちなみにリメイク前の楽曲もちょろっと聴いてみましたが、 女性ヴォーカル&日本語詞はともかく、 日本語ナレーションが壊滅的にダメでした...

・TRIANGLE/LINUS OF HOLLYWOOD(06)
2000年頃にどはまりしていた愛すべきポップ神、ライナスの3rd。
実は、リリース直後に耳にしていたんですが、 1st、2ndのような感動を超えられず がっかりして聴くのをやめていました。
今回聴きなおしてようやく本作の素晴らしさに 気づくことができました。
優しく美しく楽しく切ないライナスらしい曲ばかりで、 誰にでも自信を持っておすすめできる名盤ですね。
ただ個人的にはやっぱり2ndが好きだなあ... 本作はちょっぴりメジャー過ぎるというか、立派過ぎるというか...
もしかしたら本人をライブで見た後に本作と出会ったのもデカかった?... 勝手に作った神秘的なイメージが崩れたからなあ(笑)

・THE ROYAL SCAM/STEELY DAN(76)
ロック史上で最も贅沢かつ芳醇な音楽集団による5作目。
彼らの作品は毎回圧倒的な完成度を誇りながら、 アルバムごとに何らかの特徴を纏っていますが、 本作はとにもかくにもギターがすんごいです!
印象に残るのは、やはりラリー・カールトンでしょう。 あの例の音色で流れるようにソロを弾きまくっている楽曲は、 「ラリー・カールトン WITH スティーリー・ダン」名義にしたほうが しっくりくるほど目立っています。
また忘れちゃならないのが、エリオット・ランドールで、 なかなか独創的なプレイを披露しています。
彼らの作品の中で本作をフェイヴァリットに挙げている人も 結構多いですが、きっとAJAにつながる 「14番目の月」的な状態がたまらないのかもしれないですね。

・TALES FROM TOPOGRAPHIC OCEANS/YES(73)
誰もが知ってるイエスの名盤の一つである「海洋地形学の物語」。
LPからの買いなおしになりますが、この買いなおし前の中古LPの盤質が劣悪! あまりにも針飛びが酷く(最初無茶苦茶な変拍子を連発してるのかと思った!(笑)) アルバムを通して聴けなかっただけでなく、 イエスのほかのアルバムを聴く気力を削いだ いわくつきの作品になります。 (同様の理由でタルカスも苦手だったりします... 責任取れ > 数寄屋橋〇ンター)
で、今回改めて聴きなおしてみたら、 CD取り込み時に失敗していたらしく、今度も一部音飛びが... もう呪われてるとしか思えない...
中身のレビューですが、73年にここまで手の込んだ作品を作り出した 技量、アイデア、情熱に感服しつつも、 過剰な複雑さ、壮大さが生んだバランスの悪さが気になりました。 (ドリーム・シアターの2nd以降の迷走ぶりと似てる)
あと、ウェイクマンが内容に対して文句マンに変身し、 バンドを脱退(おかげでリレイヤーが生まれたけど!)したことで 知られていますが、その割には、 好プレイを連発しているのが微笑ましく感じました。

・WIND-UP CITY/LA-ONG-FONG(11)
タイの渋谷系ポップ・バンドによる3rd。
ウルトラキャッチーな1曲目からもう最高!... 前作COZY COLLECTIONから6年のブランクがあったとは思えないほど、 フレッシュさを残しつつ、音楽性の幅を増やし、 深みを増した傑作となっています。
聴いていて幸せな気分に満たされ、 自然と笑顔になってしまうのは、 微笑みの国×渋谷系の相性が抜群だからでしょうね。
素人っぽさが残るタイ語の女性ヴォーカルが華やかでキュートですが、 ムーディーな男性ヴォーカルも良い味を出しています。
それにしてもお洒落でキャッチーでセンスが良い... 中心メンバーがBNK48に関わっているのも頷けます。
アジア渋谷系四天王(勝手に命名!、 他は、旺福、MOCCA、PEPPERTONES)には、 これからも大いなる活躍を期待したいです。

・NO TENGAS MIEDO/KANT FREUD KAFKA(14)
スペインのアーティスト、JAVI HERRERAによる シンフォ・プロジェクトによるデビュー盤。
プロジェクト名は中二病くさいし、。 オープニングは〇イオ・ハザードみたいだし、 最後まで聴き続けられるか不安が過りましたが、 緻密かつ大胆に作りこまれた官能的な音世界に ずるずる引きずり込まれ、最後は感動の余韻で動けなくなりました!
それもそのはず、なんと30年近い歳月を経て制作された 執念の力作であり、 膨大な音楽要素、アイデアが凝縮されています。
一人でスタジオに籠りプログラミングを多用して仕上げるのではなく、 管弦楽器のミュージシャンが多数録音に参加しているので 頭でっかちにならず重厚で情感豊かな演奏が楽しめます。
トータル的に近いのは、マイク・オールドフィールドになるのかなぁ (音自体は結構違うんだけど...)、 断片的には、バンクス風キーボードやアナクルーサ風オーボエが 耳に残ります。
とにかく内容の凄さを言葉で伝えるのが難しいので、 多くの方に実際に耳にしていただきたい傑作です。
全然関係ないけど、TENGAの社名(商品名)に 異を唱えたスペイン人っていなかったのかな?

・STA BI DAO DA SI NA MOM MJESTU/BIJELO DUGME(75)
辺境マニアから多大な支持を集める 旧ユーゴスラヴィアの偉大なロック・バンドの2nd。
当時の欧米ロック・シーンの影響を一気に受け止め、 ハード・ロック、プログレ、フォーク、ポップス、ブルースらを織り交ぜ 旧ユーゴの彼らにしかできない解釈で表現しています。
不器用かつ不格好に突き進み泣き叫ぶロック魂が心に刺さりまくる傑作です。 (どこかインドネシアのGOD BLESSあたりに似たものを感じます)
ちなみにラスト曲はアージェントのI AM THE DANCE OF AGESの盗作疑惑があるそうで、 聴き比べると確かに似てる...ってその前に 曲の出だしがラウンドアバウトなほうが気になりました!
そういや1stと2ndのジャケットのアイデアはフラッシュな気が...(笑)

・THE FIFTH ELEMENT/DEATON LEMAY PROJECT(22)
アメリカの新鋭プログレ・プロジェクトの2nd。
DLPの略称を名乗っていることからわかるように、 基本はELPの影響を強く感じさせるキーボード弾き倒し系シンフォですが、 ドラムはパーマー、パウエルよりも(ニール)パート風だったり(やはりPなのが◎) ヴォーカルはからっとしたアメリカン・ハード系だったり、 ギターがこれまたテクニカルだったりします。
カンサスの影響を感じさせる場面も多く、 ヴィンテージ系キーボードとモダンな曲作りの混じり具合は プレスト・バレーにも近いように感じました。
今後まだまだ進化が期待できそうです。

・VAISTYY MIELEN YO/VIIMA(24)
フィンランドのキャメル系シンフォ・バンドによる15年ぶりの3rd。
とっくに解散したと思い込んでいましたが、まだバンドが続いていたことに 驚きましたが、音を聴いてさらに驚きました!
長い時間を経ているのに、内容もクオリティも名盤級の前作と何ら変わっていません。 (なんならちょっぴり若返ったかも!)
フルート、オルガン、エレピ、メロトロン、シンセ、ギター、 そしてゴツゴツしたフィンランド語ヴォーカルが、 切々と感動的な叙情を描いていきます。
遅れてやってきた春を連想させる清らかでのどかなオープニングから、 極寒の真冬を思わせる荘厳なラストまで北欧らしさが満載です。
特にラストは、彼らが吹雪の中にひっそりと姿を消していくように 感じられて無性に淋しい気分にさせられます。
今度は絶対に早くシーンに戻ってきてね。 15年先どうなっているかなんてわからないから...


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