2023年に聴きまくったアルバムBEST30(+35)

2023年に一番はまった楽曲がダントツで CURATOR OF BUTTERFLIES/BIG BIG TRAINだったので、 このような結果となりました。
年齢を重ねてちょっとやそっとでは心が動かなくなりましたが、 この曲にはまだ自分が感動できることがわかってとても元気づけられました!


No.1
・ENGLISH ELECTRIC PART TWO/BIG BIG TRAIN(13)
現イギリスを代表する最高のシンフォ・バンドによる、 ENGLISH ELECTRIC PART ONEの続編となる2013年作品。
ONEが素晴らしかっただけに、 クオリティを維持できてるか不安でしたが、 ONEの感動的な流れを引き継ぎつつ、 さらに感動を増幅させた内容でした。 (この2枚は絶対にセットで聴くべき!... だから後にFULL POWERで出し直ししたのかも)
素朴で親しみやすい楽曲と、 管弦楽を取り入れた荘厳な楽曲をうまく織り交ぜて 突入する神々しいラストには感動し過ぎて胸が張り裂けそうになりました。
今後も彼らの作品をたくさん聴けることが楽しみでなりません。

No.2
・NE SPIRAI!/DEYAN ANGELOFF & KONSTANTIN JAMBAZOV(19)
余りある才能で傑作を連発するブルガリアの天才ミュージシャン、 コンスタンティン・ジャンバゾフと 同国のスーパー・ヴォーカリスト、デヤン・アンゲロフによる連名作。
メロディアス・ハード〜AOR〜産業ロックに、 プログレ、メタル、フュージョンをまぶした 変幻自在のサウンドがてんこもり... キラキラしたメロディが耳に残る極上曲ばかりですが、 そんなあらゆる手段を使って作りこまれた 様々なタイプの楽曲をどれも気持ち良さそうに 歌いこなしていまうデヤン・アンゲロフの実力に驚かされます。
時折ジノ・ヴァネリを思わせ、 ロマンティックかつパワフルなのが良いですね。
母国語バージョンと英語バージョンの2枚組となっていますが、 英語バージョンは借りてきた猫みたいでほとんど聴いていません。 (まず母国語で曲作ってるだろうし、 感情移入もしやすいだろうから、当たり前か)
2曲目って絶対イージー・ラヴァー入ってますよね!

No.3
・CRYPTO/SAME(74)
オランダのマイナーなジャズ・ロック作。 オランダらしい人懐っこいメロディと、 軽快で緻密に刻み込んだ演奏で畳みかけていきます。
おまけにレアグルーヴ風の都会的な楽曲や、 ホームセンターで流れてそうな イージーリスニング風フュージョン曲も出てくるし、 シンセの音色はとにかく下品だし、 まるで自分のために存在、発掘されたのでは? と思いたくなるほどえらく気に入ってしまいました。
もちろんプログレ名盤紹介に 掲載します。
PAISLEY PRESSが再発した作品は、 どれもしっかりチェックしたほうが良さそうですね...

No.4
・VIDA/SUI GENERIS(72)
アルゼンチンのロック・シーンの最重要ミュージシャン、 チャーリー・ガルシアの出発点といえる、 名バンドによる初々しいデビュー盤。
アコースティック・ギター、ピアノ等、 演奏が素朴でシンプルなおかげで、 歌メロの良さ、2人のハーモニーの美しさが際立っています。
イタリアものに通じる歌心とパッションがありつつ、 あそこまで振り切らずに奥ゆかしい(陰のある) アルゼンチンらしさに幾度も心が動かされます。
この後のチャーリー・ガルシアの活躍を予見させる、 明るい未来しか感じられない名盤です。
個人的には、フルートでは無くリコーダーを多用しているところに おおいにやられました!
どうでもいいですが、SUI GENERISとSERU GIRANって なにげに綴りが似てて紛らわしいですよね〜。

No.5
・SUGAR/THE SZUTERS(20)
HR寄りのポップ・バンドとして一時代を築いた ズーターズの17年ぶりの復活作。
もう20年以上前、とあるプログレオフ会の自己紹介で ジェリーフィッシュが好きだと話した際に、 パワー・ポップに詳しい方から多くのバンドを教えてもらい、 最後に「ズーターズはすごく良い」と言われてたのに、 聴くのが今になってしまいました。
で、今回初めてズーターズを聴いたわけですが... 確かにすごく良い..というか、ありえないぐらい良いじゃないですか!... もっと早く聴いておくんだった〜!!
多くのジェリーフィッシュ・フォロワー的なパワー・ポップ勢とは違い、 ビートルズを起点に太くて強いベクトルが伸びてる感じですね。 最近聴いた中ではTHE PAUL & JOHNに近いものを感じました。
活動していない間に良いメロディをたくさんためこんでいたんでしょう。 他のバンドで1,2曲入ってるようなレベルのキラー・チューンしか入っていません。
これは数年に1枚レベルのパワー・ポップの名盤でしょう。恐れ入りました。

No.6
・TWELVE STOPS AND HOME(3CD/1DVD BOX SET)/THE FEELING(18)
2008年に最も聴きまくった超絶ポップ名盤(2006年作)の12周年ボックスセット!
名盤は色褪せないですね...本編DISK1は言葉では表現できないほどの名曲揃い... 中でも終盤のSAME OLD STUFFとBLUE PICCADILLYは いつ聴いても感動して涙腺が崩壊します。
個人的に2000年代において本作を超えるポップ・アルバムは いまだに出ていないと思っています。
DISK2、3には、B面曲、デモ、リミックス音源を27曲収録していますが、 どれも宝石のような輝きを放っています。
名曲のオーケストラ・バージョン、コーラル・バージョン、 SAME OLD STUFFのデモ(中間部のメロトロン音!)、ラジオスターの悲劇のカヴァー... とにかく素敵すぎます。
本編を愛聴した方にとってこのボックスは一生の宝物になるでしょう。
本当にありがとうチェリーレッド...よくぞ企画してリリースしてくれました!

No.7
・ABRAXIS/SAME(77)
ベルギーの短命ジャズ・ロック・バンドによる唯一作。
2015年になってようやくCD再発されたこともあり、 知名度は低めですが、 全ジャズ・ロック・ファン必聴必携の内容となっています。
近年ようやく再発されたオランダのSCOPEもそうですが、 このジャンルって思っているより需要が少なくて 再発が遅れてるのかもしれません。
プログレ名盤紹介にも掲載します。

No.8
・THE EARNEST TRILOGY/ALHAMBRA(16)
前作をリピートしまくった国産メタル・バンドの作品。
全員が攻撃的にバチバチぶつかり合う超絶演奏、 泣き泣きでクッサクサすぎるメロディ、 プログレッシブかつドラマティックな曲構成... 大好物ばかりが揃っていてやっぱり最高最強です。
普段は国産、日本語詞、女性ヴォーカルって苦手な部類なんですが、 不思議とこのバンドの場合、違和感無いんですよね... というかむしろ英語詞だと物足りなく感じてしまいます。 (嫌いな食べ物なのに、調理方法によって 逆に大好物になった...みたいな感じ?!)
マジェスティックやシンフォニーX的な ネオクラシカル系プログレ・メタル要素に レインボウ的な様式美要素を絡め合わせているのが絶品です。
新作はもちろんライブも見てみたいですね。

No.9
・HEADBANGERS SYMPHONY/WOLF HOFFMANN(16)
有名なクラシック曲のメタル・カヴァーのみを収録した アクセプトのギタリストのソロ作。
よくあるネオクラシカル超速ギタリストのインストものとは 一線を画す内容で、メタルといっても古き良き音色であり、 アーミング、チョーキングビブラート、ピッキング・ハーモニクス等々 一つ一つのプレイに魂がこもっています。
メタル・ハートを知っているメタラーはもちろん、 ハイトーンやデス声も出てこないので メタルに縁の無い方々も楽しめると思います。
この手のコテコテ過ぎる企画 (ラストなんかG線上〜だし...)でも安っぽくならないのは、 ウルフの積み重ねたキャリアの賜物でしょうね。

No.10
・WELCOME TO PARADISE/NORTHTALE(19)
スウェーデン+アメリカの混成メロスピ・バンドによるデビュー盤。
トワイライト・フォース、パワー・クエスト、セラドール、エタニティーズ・エンド... といったメンバーの経歴から想像しうるメロスピサウンドを はるかに上回るクサさとキャッチーさで爆走しまくる相当な傑作です。
ハロウィン、ジューダス、メイデン、ストラトヴァリウス、ソナタ・アークティカ、ノクターナル・ライツ、 シンフォニー・エックス、アーテンション、タイム・レクイエム、ロイヤル・ハントなどなど... 偉大な先人たちをひたすらリスペクト(して拝借)して構築した 王道中の王道サウンドは、全メロスピファンを虜にすることでしょう。
昔に比べて数は減りましたが、 いまだにこういう高品質で勢いのあるバンドが出てくるのは素直にうれしいです。
個人的ハイライトは8曲目...全曲クサいんですが、 この曲はクサさが頭3つ抜きんでています!
なにげに6曲目のバラードだけガンズなのが面白いです(ギターソロとかモロ!)

No.11
・BARREN DREAM/MR.SIRIUS(87)
宮武和広が率いた国産プログレ・バンドのデビュー盤。
ページェントのデビュー盤が予想以上に気に入ったので、 メンバーが被る本作もきっと気に入るはず... と思ってたんですがとんでもない...予想を大きく覆されました。 ページェントが霞んでしまうぐらいの 感動的な内容でした。
動パートも良いのですが、特筆すべきは静パート... 余計なものをそぎ落とし最低限の音と間(休符)の組み合わせで ここまで聴き手を引きこんでしまう作品は、 そう簡単に見つからないです。
日本語を使っているにも関わらず、 1ミリも恥ずかしさを感じさせない永井博子の歌唱も絶品です。
宮武和広は天才ですね... 神経を研ぎ澄まし、魂を込めて 一音一音に拘りぬいている感じが伝わってきて胸が熱くなります。
日本が世界に誇れる数少ない真の名盤だと思います。

No.12
・UNPUZZLE!/MAESTRICK(11)
数あるA.C.Tフォロワーの中でも、 最もポップで自分好みの部類に属する ブラジルのプログレ・メタル・バンドのデビュー盤。
2ndを愛聴しまくって、3rdが出るのを心待ちにしているのですが、 待ちきれなくなって1stを聴いてみました。
当然2ndに比べると見劣りしますが、 想像以上にレベルが高くてびっくりしました。 (M1で気になった漫才コンビの昔のネタを検索したら、 すごく面白かった的な感覚!)
2ndのようなA.C.Tっぽさはもちろん、 アングラ、ドリーム・シアター、キングスXあたりを 取り込んでいろいろ試行錯誤していて非常に楽しいです。
デビュー時からとても器用だったんですね... ラストの大作もしっかり構成されていて 最後まで一気に聴かせてくれます。
次作のリリースがさらに待ち遠しくなっちゃいました。

No.13
・"GOOD"/TOEHIDER(17)
オーストラリアの鬼才、マイク・ミルズによる プログレ・メタル・プロジェクトの2017年作。
クイーン史上最もプログレッシブなクイーンIIのブラック・サイドを 拡大解釈した刺激的な音楽性はさらに肥大化し続けています。
収録時間も曲数も少ないのですが、 作曲、演奏、歌唱、アイデア... いずれも超人離れしたど変態な内容であり、 情報量も多いので満足度が高いです。 ("GOOD"どころじゃない!)
ラストのラテンとプログレ・メタルを絡めて ピコピコもさせてみた試みとか大好物です!

No.14
・ROEKMANA'S REPERTOIRE/TIGAPAGI(13)
プログレッシブな感性が光るインドネシアの民族色入りフォーク・グループの作品。
なんと14の小曲を1つにつなげた60分越えの超大作となっています!
基本はアコースティック・ギターをバックにしたシンプルな歌もので、 ストリングス、フルート、ピアノらを加えながら、 やさしくゆるやかに曲が進んでいきます。
独特の世界観の中で反復と変化を続けていき最後までだれることはありません。
アルバムを聴き終えると、 まるで人間の一生を描いたような一本の映画を 見終えたような気分になり、何とも言えない余韻が残ります。
普段はさほど歌詞を気にせずいろんな音楽を聴いてますが、 本作に限っては歌詞がとても気になります(宗教的な側面もありそう)
いろんな人に耳にしてもらって感想を聴きたい独創的な力作です。
なんとなくマイク・オールドフィールドが好きな人には 刺さるんじゃないかな...

No.15
・UNYIELDING/ETERNITY'S END(18)
衝撃的なデビューで話題となった ドイツの超絶ギタリスト、クリスティアン・ミュンツナー率いる 超絶ネオクラシカル〜メロスピ・バンドの2nd。
デビュー盤の出来映えを考えると、 これまでの多くのバンドがそうであったように失速、 よくて現状維持かと思ったらとんでもない!
シーンの頂点レベルのスーパー・ヴォーカリスト、 元ヒブリアのユーリ・サンソンの獲得に成功し、 そのことでメンバーも一層気合が入ったのか デビュー盤が霞んでしまうようなすさまじく強烈なレベルに到達しています。
もはや出尽くしたスタイルではありますが、 演奏の超絶度、正確性、クオリティを ひたすら高めて勝負しているのが特徴といえます。
6曲目は途中が越中の入場曲っぽくて、なんか浮いて聴こえますね!
それにしても、クリスティアンって本当に指の障害を抱えているんでしょうか?... 障害を吹っ飛ばすど根性あふれる 超絶ソロの連発に酔いしれてしまいます。

No.16
・SUPPLY DEMAND & CURVE/SAME(76)
近年になって隠れた名盤を次々と再発してくれている、 ドイツのPAISLEY PRESSがCD化した、 ブリティッシュ・プログレ・バンドによる唯一作。
幅広い音楽性と卓越した演奏技術が味わえる名盤であり、 かなりのハイクオリティであるにも関わらず、 最近まで広く知られていなかったのが不思議でなりません。
PAISLEY PRESSの再発作品は当たりはずれがありますが、 本作は間違いなく最上位に位置する場外ホームラン的な内容だと思います。
詳細はプログレ名盤紹介に掲載します。

No.17
・ENERGIA NATURAL/SOLUNA(77)
アルゼンチンのメロディアス・シンフォ・バンドによる名盤。
CD再発当時にさらっと聴き、 普通のポップスに近い印象しか受けなかった記憶があるのですが、 今になってとてもとても感動的な作品であることに気付きました。 (当時は強烈な刺激を欲していたのかも... 未聴盤や新作漁りも大事ですが、名盤の聴きなおしも大事ですね...)
詳細はプログレ名盤紹介に掲載します。

No.18
・HEATWAVE/A.C.T(21)
プログレ、メタル、ポップ、シンフォ、メロディアス・ハード... 豊富な音楽性を独自の配合でブレンドする最高のロック。バンドによる2021年EP。
前作REBIRTHに続く、EPシリーズ第二弾となっています。
前作の延長上のA.C.T節全開な楽曲もありつつ、 これまでと異なる、暗くシリアスな一面も見せるなど、 まだまだバンドの新たな可能性が感じられる力作となっています。
日頃からA.C.Tに類似したバンドの作品を探してはむさぼり聴いていますが、 ヘルマン・サミングのヴォーカル(声質)が、 他のバンドとの決定的な差を生んでいることに 改めて気づかされました。
そうそう、ヘッドホンで音楽を聴いていることもあり、 オープニングのハエ?の羽音がリアルすぎて嫌なので。 評価は星1つマイナスです!(←普段採点してないだろ!)

No.19
・JUSTIN KLINE/SAME(11)
ずっと聴こうと思って10年経ってしまった 沖縄生まれアメリカ育ちのポップ・アーティストによるデビュー作。
これがもう、予想以上に「1人くらげ」していて マニアなら愛さずにはいられないでしょう。
ホームメイド感たっぷりに、ヒネリはなく、 ひらすらメロディの良さだけで勝負しているのですが、 そのメロディの良さは最上級レベル... LAMAR HOLLEY、MARK BACINO、CHRIS PRICE、 KAI DANZBERG、SOFA CITY SWEETHEART...あたりと比べても 全く遜色が無いです。初期ライナスにも近いですね。
このあとシンプルで内省的な2nd (本作には劣りますが悪くない内容) を出した後、目立った活動が無さそうで とても勿体ないです。

No.20
・BLOOD ALLIANCE/POWER QUEST(11)
昔からドラゴンフォースよりも断然大好きな イギリスのメロスピ・バンドによる5th。
リーダーでありキーボーディストのスティーヴ・ウイリアムス以外、全メンバーが脱退 (殺人バックドロップで壊れたわけではない!)し、 一から立て直しを図った作品になりますが、これが見事に功を奏しています。
疾走度もメロディも最高最強!... 彼らのクサメロって、他のバンドと少し違っていて、 80年代風シンセの音色も手伝って、すこぶる爽快で前向き... そしてどこか懐かしく泣けるんですよね〜。
ドラゴンフォースとパワー・クエストを生んだドラゴンハートって メロスピ界のワイルド・フラワーズみたいですよね(笑)
残念ながらバンドは解散してしまったようです。
スティーヴにはもう一花咲かせてほしいなあ。

No.21
・INNER SUNSET/THE PAUL & JOHN(14)
リアルにポールとジョンのデュオによるインディーズ・ポップ作品。
名前から誰もがビートルズを連想 (8%くらいはツェッペリンのベーシストを連想?) すると思いますが、まさしくビートルズ影響下の ギター・ポップをやっています。
星の数ほどいるビートルズ・チルドレンと比べると、 ビートルズ度はそれほど高くなく、 背伸びしていないのが良いですね。
耳馴染みの良いメロディをシンプルかつコンパクトに まとめていてさらりと楽しめます。

No.22
・TODD RUNDGREN'S UTOPIA/SAME(74)
天才トッド・ラングレンによる爆裂プログレ作。
その昔、トッド中毒に陥っていた頃 (といいながら、勿体なくていまだに聴いてない名盤が多数存在!) に、とりわけ気に入って狂ったようにリピートしていた作品になります。
久しぶりに聴いてみましたが中毒性が半端ない... プログレといえば難解さがつきものだったりしますがひたすらキャッチーしかも飽きることがない... 昔あれだけ聴いたのにいまだにリピートしてしまいます。
マニアックな作品を数多く紹介している中に、 本作のような神盤を並べるのもどうかと思ったんですが、 プログレ名盤紹介に 掲載したいと思います。

No.23
・KATY LIED/STEELY DAN(75)
「うそつきケイティ」の邦題で知られる ニューヨークの天才集団による4th。
当たり前なんですが、ここまで凄いバンドだと、 どのアルバムのどの曲を聴いても格好良すぎちゃって困りますね。
楽曲の至る所で、欲しいところに、 欲しい楽器の欲しい音色の欲しいフレーズが きちんと織り込まれていて随所で唸らされます。
初期のロック的な熱気も残しつつ、 後期のAOR的な洗練度も味わえるのが良いですね。
バンド体制からスタジオミュージジャン起用に 切り替えたこともあり演奏は超絶... 中でもジェフ・ポーカロのドラミングが目立ちます。
ラスト曲のさりげないギター・ソロとかたまりません!

No.24
・TOUCH THE SKY: VOLUME II/SUPERNAL ENDGAME(14)
アメリカの新鋭プログレ・バンドによる2作目。
ヴァイオリンが活躍し、 カンサスとフラキンとスポビの良いとこどりをしたような力作です。
クリスチャン・プログレということで、 キラキラして外連味の無い前向きなメロディが特徴で、 演奏も構成も本格的...長尺曲でもだれることの無い、 感動的な場面が多く用意されています。
これはかなりの掘り出し物でしょう。
内容には関係ないんですが、 5曲目のS.O.S.(SAVE ME)のラストで、 何故か毎回プレーヤが再起動&停止するのが、 怖いです(曲名も曲名だし...神の力?)

No.25
・FROZEN LAND/SAME(18)
フィンランドの新人メロスピ・バンドによるデビュー盤。
やってることもクオリティもNORTHTALEとほぼ同じ... 2バンドを連続再生してもどこで切り替わったのかわからないレベルで、 クサメロ心を最高に満たしてくれる傑作です。
特色としては、ストラトヴァリウスの黄金期を 忠実に再現しているところでしょう。 (○クリバンドの○クリなのである意味たちが悪い(笑)ですが、 今時そこに目くじら立てる人はいないでしょう!)
とりわけ1,5,8曲目の再現度は激高で、 炎を読みながらVISIONSをリピートしていた日々を思い出し、 胸が熱くなります。
そういやジャケットがグローリーハンマーみたいなんだけど、 これも○クリなんでしょうか?!

No.26
・...LIVE! GO FOR WHAT YOU KNOW/PAT TRAVERS BAND(79)
偉大なメジャーものも少しは押さえよう!.....ってことで カナダ生まれのスーパー・ギタリストが率いた 最強布陣による最強ライブ盤になります。
凄い凄い...誰もが認めざるを得ない問答無用の格好良さですね。
... 演奏におけるメンバー間の取り決めの塩梅が絶妙だし... しっかりした信頼関係があるからこんな演奏ができたんでしょう。 この時のこの4人のメンバーでしか作り出せないパフォーマンスと観客の熱狂を、 1枚のアルバムにうまく封じ込めた仕事ぶりも素晴らしいです。
こんなえげつないライブを生で見たら一生忘れないだろうなあ〜。
プレイはもちろんフランジャーやディレイなど エフェクターの使い方もセンスありすぎです。

No.27
・LAKE/SAME(76)
ドイツの知る人ぞ知る名バンドによるデビュー盤。
このサイトを立ち上げた頃、頻繁にオフ会に参加し、 様々な先輩方に隠れた名バンド・アーティストを数多く教えてもらいましたが、 その中でも特に記憶に残る自分好みのバンドになります。 (当時レビューしてたつもりですがしてなかった...)
母体バンドの結成はなんと1967年...その経歴からわかるとおり、 音楽性、作曲力、演奏技術のいずれも懐が深く プロフェッショナルで余裕があります。
ドイツらしさは皆無で、アメリカン・ハード・ロック、アメリカン・ロック、 アメリカン・プログレを詰め込んでいてとことんアメリカ!(笑)... さらにしっかりと整理され練り上げられ磨き上げられています。
同年代のスティクスやユートピアが好きな方には、 ぜひぜひ聴いてほしい名盤だと思います。
音だけ聴くと絶対にブレイクしてそうなんだけど... 結果的にそうならなかったのは音楽以外のセンスが無かった としか思えないですね(バンド名、ジャケット...)

No.28
・SONGS/SUGAR BABE(15)
1975年に発表された元祖渋谷系〜シティ・ポップ超名盤の40周年記念盤。
どれだけリピートしたかわかりませんが、 今聴いても素敵なメロディとお洒落な演奏のおかげで どんなに暗い気持ちであってもすぐに晴れてしまいます。
日本のバンドは普段あまり聴かないし、 山下達郎や大貫妙子の作品もちゃんと押さえていないんですが、 本作だけは別格中の別格なのです!
こんなにもワクワクする名盤を1枚だけ残して、 シャボン玉のように消えてしまったから、 なおさら特別な作品に思えるのかもしれません。 (ひょうきん族世代ってのも大きいかも)
リマスター音源もリミックス音源も貴重なライブ音源も 全てが宝石にようなきらめきを放っています。
もうそろそろ50周年記念盤も発表されるんでしょうね〜。 メンバーも聴き手もどんどんジャケットに近づいていきますね!(笑)

No.29
・RESURRECTION - MANDALABAND I & II/MANDALABAND(10)
全シンフォ・ファンの経典であるマンダラバンドが70年代に残した 偉大な名盤2枚をリマスター&リミックスし、 貴重音源を多数収録した必携盤。
マンダラバンドとの出会いはどれぐらい前なんだろう... 某有名店の店頭でRPMの2nd再発CDの購入をジャケットが異なる理由で 躊躇していた際、店員の「このCDは1stの曼荼羅組曲がボーナスでまるごと入ってるので 絶対買い!...1stのB面ははっきりいってあまり聴く価値は無いので、 マンダラバンドはこれだけ持っておけば十分!」との言葉を信じ 購入したのを思いだします。
今回恥ずかしながらようやく1stのB面曲を聴きましたが、 聴く価値あり過ぎじゃないですかっ!! 当時の店員(今もお店にいますが!(笑))と 1stのB面をずっとおろそかにした過去の自分に長時間説教したい気分です!
良い機会なので1stはプログレ名盤紹介に 掲載します。
なお、本作では大胆なリマスター&リミックスが施されているので、 結構好みが分かれると思います。
ざっくりいうと、シンフォニック・ロックの「シンフォ」の要素が強調された分、 「ロック」の要素が薄まっています。
1stよりも2ndの良さを強調するような仕事がなされているといっても 良いでしょう。

No.30
・LA MOSAIQUE DE LA REVERIE/PAGEANT(86)
プログレ氷河期に発表された国産プログレ・バンド、 ページェントのデビュー盤「螺鈿幻想」(←最初読めなかった!)
ALHAMBRAにどっぷりはまったので、 女性ヴォーカル入り国産プログレでも、 今なら聴けるものがあるのでは?...と、 ジャケットが印象深かった本作を選んでみたら、 思っていた以上に気に入ってしまいました。
この時代特有のペラペラした音作りとか、 直接耳に入る赤面日本語詞 (「やめてくれ」というフレーズでミッキー岡野が脳裏に浮かんだり 「調子はずれのトランペット」というフレーズで 脳内で「トランペット」が「ヴォーカル」に変換されたり...) とか、どうしても気になる部分はあるんですが、 アルバムの至る所から滲み出るプログレへの強い憧憬に 共感できるので、すべてひっくるめて愛おしく感じます。
永井博子のヴォーカルはプログレの世界に留めておくのは 勿体ないぐらい説得力があって驚きました。
ラストはなかなかの名曲ですね。 ギターソロもたまらないです。
リアルタイムでは絶対受け入れられなかったよなぁ... こればっかりは年を重ねて良かったです。


その他

・RAG I RYGGEN/SAME(75)
「スウェーデンのユーライア・ヒープ」と呼ばれる、 プログレ・ハード・バンドの唯一作。
70年代初期ブリティッシュのごちゃまぜ感があり 頭でっかちにならず、全員がでかい音を ぶつけあっているのが格好良いです。
EIKの1stに収録されていたような 北欧トラッド風味な3曲目〜 エネルギッシュに爆走しておき、 ラストが魔女っ子メグちゃん的(笑)な4曲目の流れなど最高です!
プログレ名盤紹介にも掲載します。

・AMAZINGOUS/CHEETO'S MAGAZINE(19)
スペインの愉快痛快シンフォ・バンドによる3rd。
今回もらしさ全開!... 底抜けに明るいハッピー・シンフォでマンモスウレピーです(笑)。
同国LA CASA AZULのようなピコピコかつヘナチャコなエレクトロ・ポップ要素、 同国DRY RIVERのような演劇的な毒入りクイーン要素を 盛り込んで肥大化するシンフォ・ワールドの勢いが止まりません。
マンネリ気味のシンフォ・ファンに特におすすめしたい刺激的な一品です。

・ROCKESTRA/ERWIN GUTAWA(06)
ミュージシャン、プロデューサー、アレンジャー、 コンポーザー、コンダクター...様々な立場で インドネシアの音楽シーンに貢献してきた 天才音楽家による豪華絢爛シンフォ・プロジェクトの作品。
ロンドン・シンフォニー・オーケストラ、混声合唱団、 インドネシアのポップ・ロックとの融合という試みで、 BADAI PASTI BERLALU(新録)、シティ・ヌルハリザや愛娘との仕事ぶりを 鑑みるに、がっちり受け止める自信が無くて 聴くのが随分遅くなってしまいましたが、 凄いものは凄いです!
超絶激烈ドラマティックでメロメロでヘロヘロ... 聴いているだけで体がぶっ壊れそうです!
曲によっては、ロックとオーケストラの融合ものの金字塔である。 スコーピオンズとベルリンフィルの競演盤を思い浮かべました。 (4曲目とかなにげにHE'S A WOMAN, SHE'S A MANっぽい!)
検索すると、最近の活動動画もいろいろ出てきて頼もしいです... そろそろ新作出さないのかな。

・CURRENTS/TAME IMPALA(15)
オーストラリアの特異なサイケ・プロジェクトによる3rd。
2ndよりポップ度は落ちたかな... でも浮遊感が増していてさらにぐにゃぐにゃになっていて、 イマジネーションが膨らみまくりです。
古さと新しさの同居、調和のさせ方は流石,,, 世間的に評価されているのも理解できます。
たまには何も考えず夢の世界にどっぷり身を委ねるのも 悪くないですね。

・THE METAL OPERA/TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA(01)
ジャーマン・メタル・バンド、エドガイのトビアス・サメットが立ち上げた 壮大なプロジェクトのデビュー盤。
間違って2ndと1stを取り違えて、順番を入れ替えて聴いてしまいましたが、 続けざまに発表されたこともあってか、どちらも印象は変わらず、 ひたすら純度の高いジャーマン・メタル作となっています。
この手の企画は、最初は豪華でインパクトがあっても 徐々に新鮮味が失われていくことが多いですが、 クオリティが変わらない傑作が2枚続いたことを考えると 3rd以降の作品も問題無く楽しめるでしょうね。
同じことを繰り返しても、新機軸を取り入れすぎても、 ファンに批判されやすいジャンルですが、 トビアスならうまく乗り越えてくれるように思います。

・WORLD OF DREAMS/OLE GUNNAR NILSSEN(76)
このところ突如再発され出したノルウェーのロック名作群の中で、 大穴中の大穴として特に注目していたプログレ作。
出だしはジャックスのからっぽの世界みたいですが、 その後はカラフルに展開していきます。
影響を受けたのか、たまたまなのかはわかりませんが、 サウンドは初期キャラヴァンを思わせます。
そう思ってジャケットを見つめるとピンク色!... このジャケットで「グレイとピンクの地」って 帯がついてても結構しっくりくる気がします(笑)
プログレ名盤紹介にも掲載します。

・PABLO HONEY/RADIOHEAD(93)
偉大過ぎるロック・バンド、レディオヘッドのデビュー盤。
当時は、ブリット・ポップ全盛で、 シーンからまた面白いバンドが1つ出てきたな... くらいの印象しか持たなかったのを覚えています。 (その後のモンスター化なんて想像できなかった....)
今になってアルバムを通して聴いてみましたが、 意外なほどちゃんとブリット・ポップ〜ギター・ロックしてますね。 (なんかピストルズみたいな曲までやってるし...)
後に大化けする要素を探してみたり、 当時のブリット・ポップの尖った空気を懐かしんだり、 いろんな楽しみ方ができる傑作です。
それにしてもCREEPは名曲ですね。 ボーナスのPOP IS DEADもすこぶるポップだし... でも本人たちは小学校時代の卒業文集を 見られてる気分なんでしょうね...

・RECORD COLLECTION/CLOUD ELEVEN(15)
アメリカのベテラン・ポップ・バンドによる2015年作。
デモ、アウトトラック集がなかなかの出来だったので 通常のアルバムに期待していましたが、 予想通りポップ・マニアのツボを的確に押さえた充実作でした。
ビートルズ、ビーチ・ボーイズを基本としつつ、 ソフト・ロック、サイケ、パワー・ポップまで バランスよく散りばめています。
中心人物であるリック・ギャレゴの自宅の「レコード・コレクション」が 目に浮かぶようです。
時間に余裕の無い方は、エヴァーグリーンな1曲目だけでも 聴いてみてください!
8曲目は最初スカボロー・フェアのカヴァーかと思いました。

・CAROL OF HARVEST/SAME(78)
ウルトラ・レア過ぎていまや逆に有名な ドイツのプログレッシブ・フォーク・バンドの作品。
フォークのイメージが強くて、 ちゃんと聴いたことがなかったんですが、 先日ジュディ・シルに感動したので、 じっくり聴いてみました。
あれれ、思ってたのと違う... 単調でおとなしいだけかと思っていたら、 しっかりと起伏があり、独特な世界にぐいぐい引き込まれました。
ボーナスのライブ音源なんか完全にロックしていて、 イメージが覆りました(個人的にはライブ音源をもっと聴きたい!)
プログレ名盤紹介にも掲載します。

・ENGLISH ELECTRIC PART ONE/BIG BIG TRAIN(12)
バンド名を見るといつも○道のチープ菓子(BIG KATSU BIG KATSU)が 脳裏に浮かんでしまうイギリスのプログレバンドの2012年作品。
ジェネシスを基本に、イエス、クリムゾン等も取り込み、 重厚でジェントルに仕上げたサウンドは一層深みを増しています。
本作はコンセプトのせいかいつもよりイギリス色が色濃く出ていて、 イタリア、ドイツ、北欧らのジェネシス・フォロワーと 一線を画しているように思います。
佳曲揃いですが、ハイライトはビートルズを取り込んだ感動的なラスト曲でしょう。
(今回から正式加入した元XTCのデイヴ・グレゴリーの影響だと思われます)
ビートルズ遺伝子系バンドの愛好家の方々には、 プログレ好きならもちろん、そうでない方にも是非チェックしてほしい名曲です。

・FAR BEYOND THE STARS/ASCENSION(12)
イギリスはスコットランドの新鋭メロスピ・バンドのデビュー盤。
先日2ndが発表されたのを知り、 本作を買ってあったのを思い出しました。
タイトルからネオクラシカル系?と思いきや、 超速爆走&ピロピロ・ギター...ってことで、 思いっきりドラゴンフォース系統ですね。
ただ、本家と違って、ハロウィン、ガンマ・レイ、メイデンあたりを 愛しているのがバレバレで微笑ましくて応援したくなります。
楽曲の出来にばらつきがあったり、 構成のおかげで平坦に感じられるところはありますが、 デビュー盤でこれだけ派手にやってくれれば 2ndも聴くしかないです。
ラストに収録されているロクセットのカヴァー (結構雑)は、レインエクシードと同じ発想ですね。

・POSITIVE+POSITIVE/POTRET(03)
インドネシアの天才アーティストMELLYを擁する ポップ・ロック・バンドによる2003年作品。
リリース当時、インドネシア旅行で大量のCDを買い込んだ帰りに、 余ったルピアを使おうと立ち寄った空港の土産物屋で発見して即購入したものの、 同行した友人の「知人への土産を買い忘れたのでお願いだから譲ってほしい」 との依頼から一度は手放した思い出深い一品だったりします。
90年代のポップな作品と比べると、アプローチが電子的になっていて面喰いましたが、 メロディのMELLY節は健在だし、アレンジも結構攻めているので もちろん楽しめます。
すさまじいペースで楽曲を量産していた頃なのに、 このクオリティ...やっぱりMELLYは天才中の天才ですね。
それにしても、インドネシア土産としてこのCDを受け取った 友人の知人は、当時これ聴いてどう感じたのかな...

・ONE SIZE FITS ALL/FRANK ZAPPA AND THE MOTHERS OF INVENTION(75)
名盤揃いのザッパ作品の中でもとりわけ人気の高い大名盤。
超絶&変拍子好きならこれを聴け!と友人宅で インカ・ローズを無理やり聴かされてから数十年経ってしまいました。
当時は、耳がクリムゾンとかマハビシュヌとかマグマとかを欲してたので、 ひょうひょうとしたザッパ・ワールドを受け止められなかったんだよなあ...
でも、ようやく今になってえげつなさが理解できるようになりました。 常人の発想とは思えない(さすが大魔神)ハチャメチャさと 意外なほどのノーマルさがうまく同居しています。
とはいえ、アルバムの芯の部分までは、 まだまだ自分の未成熟な耳では理解し尽せていないと思います。
さて、前にザッパを聴いたのが何時かを調べてみたら ちょうど10年前(アポストロフィ)でした.. こりゃ一気にペース上げないとやばい... このままだと多くの名盤を聴かないままくたばっちゃうぞ!

・WHITE ON BLUE/CROSSFADE(04)
スウェーデンの熟練ミュージシャンが集結した AORプロジェクトのデビュー盤。
ABBA、A-HA等、世界で堂々と戦える才能が遺憾なく発揮されたAORサウンドに、 ヨラン・エドマンの味わい深い大人なヴォーカル (でらぜっぴん!...彼のベスト・パフォーマンスでは?)が溶け合った プロフェッショナルな名盤です。
TOTOやSTEELY DANが存在しなかったら生まれなかった音ではありますが、 AORが好きなら絶対に気に入る超ハイクオリティな作品となっています。
LAVAにしろ、SMOOTH REUNIONにしろ、... 北欧ってこの手の作風は結構得意なんですよね。

・DOGMAN/KING'S X(94)
孤高のハード・ロック・トリオによる5th。
デビュー時から確立されていた唯一無二のスタイルは 基本的に変わっていません。
楽曲、歌唱、コーラス、演奏の素晴らしさは相変わらずですが、 よりヘヴィに、より筋肉質になった印象を受けます。
また、彼らには珍しく パンキッシュな疾走曲やライブ音源(ジミヘンのカヴァー... 耳がヒリヒリするほど格好よい!)を収録しているのが面白いです。
アルバムタイトルって「じんめんけん」のことじゃないですよね?

・NO ALTERNATIVE/JONESY(72)
非常に思い出深い70年代中堅ブリティッシュ・プログレ・バンドのデビュー盤。
大昔、メジャーなプログレ作品をひととおり押さえた後、 さらにマイナーな作品を漁り始めたころ、 クリムゾン影響下の音楽性という評判に、胸が躍ったのを覚えています。
初めて耳にしたとき、本家のような神々しさは無いけど 「下町のクリムゾン(笑)」的な面白さを感じ、すぐにのめりこんで LPを購入し名盤2nd以上に聴きまくったっけ...
でも当時一緒に耳にした友人は、こんな内容でクリムゾン語るな!...って 苦笑してました。
ある意味プログレマニアになるかどうかのリトマス試験紙的な 作品といえるかもです。
今回、数十年ぶりに良い音で聴き直しましたが、 思ったよりもベースが頑張っていて 格好良かったことに気づけました。

・KEEPING UP.../JONESY(73)
愛すべき70年代中堅ブリティッシュ・プログレ・バンドの2nd。
まだ彼らの作品をプログレ名盤紹介に 載せていなかったので、今回改めて聴き直して掲載することにしました。
1stに比べて音楽性が豊かになり、名曲も多くて感動できるけど、 中間部のフリーな展開がどうにも好きになれなかったんだよなあ... (実は今聴いてもあまり好きでは無い!(笑))
詳細は プログレ名盤紹介 に掲載したいと思います。
本作とは全く関係ないけど、昔「ジョージィ!」って少女漫画を 友人に勧められて読んでたっけ...こっちも読み直してみたいなぁ。

・IN IT FOR THE MONEY(2021 REMASTER DELUXE EXPANDED EDITION)/SUPERGRASS(21)
プログレを離れリアルタイムの音楽を追いかけていた時期に オアシスよりもどはまりしたブリット・ポップの大名盤。
サイトを始める1年前(1997年)の作品だったのでレビューしていませんでしたが、 1997年に最も聴いた思い出深い作品です。
このところ、MANSUNやRADIOHEADの○周年記念デラックス盤が出ていたので、 探してみたら本作も出ていたので即購入しました。
本編(DISK1)は、若さにまかせた破裂寸前の風船のようなエネルギッシュさと ベテランバンドのような斜に構えたひねくれ感が同居した 名曲ばかりが揃っていて改めて聴き惚れました。
DISK2と3には、B面、デモ、アウトテイク、ライヴ音源などを 41曲も収録していてお腹いっぱい...大満足です!
特にライブ演奏はギターもオルガンもヴォーカルもアグレッシブ!... でも、DISK2の15曲目が一番印象に残りました。 (この音源は反則!...笑うしかない)

・MAN OF MIRACLES/STYX(74)
アメリカン・プログレの代表格バンドによる4th。
短期間でアルバムを連続リリースしたせいか、 薄味でラストのハレルヤしか印象に残らない3rdに比べ、 2ndのクオリティが戻っている感じがします。
Wヤング(←漫才コンビじゃないんだから)の才能はますます本格化し、 ジェイムズ・ヤングの乾いたアメリカン・ハード・ロック路線と デニス・デ・ヤングの湿ったプログレ路線との振れ幅が さらに広がり、アルバムとしてメリハリがついています。
まだ先の話ですが、このWヤングがさらに成長し、 トミー・ショウまで加わったら売れないわけ無いですよね。

・ELEPHANTS INTO SWANS/SUN SAWED IN 1/2(13)
90〜00年代のパワー・ポップ隆盛時、 ジェリーフィッシュ・フォロワーの中でも 特に内容の良かったバンドによる久々の作品。
前作から10年以上のブランクがあいたとは到底思えません (前作の10か月後にリリースされたといっても信じてしまいそう)
のびやかなヴォーカルも変わりなく、 感情移入しやすくて実に気持ちが良いです。
似たようなバンドやアーティストの多くが単発で終わる中、 質を落とさずに長く活動を続ける安定感も頼もしいです。

・MURDER BY PRIDE/STRYPER(09)
クリスチャン・メタル界の「神」といえる名バンドの 再結成後第二弾となる作品。
さすがに、3rdや4thのような眩いばかりのきらめきは 感じられませんが、 マイケル・スウィートの美声は全く衰えていない (加齢を感じさせずに華麗!!)し、 曲も悪くないので問題なく何度もリピートして楽しめます。 (4曲目のバラードは流石の仕上がり)
もっとマイケルのソロっぽい感じを想像していましたが、 バンドとしての一体感が感じられるのが良いですね。
マイケルっていつの間にかボストンに加入して 辞めてたんですね...全然知りませんでした。
しかし、なんでこんな内容とマッチしていない、 ダークなジャケット&タイトルにしたんだろ...

・CONFESIONES DE INVIERNO/SUI GENERIS(73)
アルゼンチンの重要アーティスト、 チャーリー・ガルシアのフレッシュな才能が あふれんばかりに詰め込まれた名バンドの2nd。
素朴なフォーク・デュオとしての1st、 本格的なプログレ・バンドとしての3rdに挟まれていますが、 作風は中間ではなくかなり1st寄りです。
とはいえ、歌メロとハーモニーの美しさに酔いしれ、 繰り返し聴き続けていると、1stよりもアレンジがふくよかになっていることに 徐々に気づかされます。
ひたすらまっすぐで力強いメロディは、 インドネシアの歌ものに通じるように思います。
リコーダーが使われなくなったことだけが残念です。

・RINGS AROUND THE WORLD/SUPER FURRY ANIMALS(01)
以前からちゃんと聴こうと思っていた、 イギリスはウェールズのスーパー・バンドによる最高傑作。
いやはや、ここまでスケールが大きい 奇想天外プログレ・ポップ(←ざっくり過ぎ?!)だったなんて...
真の意味でプログレが好きなら... マンサン、レディオヘッドの名盤だけでなく 本作も必聴必携です。
こんなものがナチュラルに生まれてしまうイギリスって やっぱり面白い国だなぁ...
ビートルズ、ビーチ・ボーイズ、フロイド、トッド、デビッド・ボウイ、ザッパ... 王道ロックの超名盤のにおいを放ちつつ、 6曲目がWHITE NOISEっぽかったり、 10曲目がLA CASA AZULっぽかったりと 妙にマニアックな面も持ち合わせているのがたまらないです。 (10曲目はエレファント⇒アニマルつながり?!)
ボーナスディスクも良い出来なんですが、 とにかく本編が強力すぎます。これは長く聴けるなぁ。

・ODYSSEAS/SYNDONE(14)
いつの間にかベテラン・バンド的な存在となった、 イタリアのシンフォ・バンドによる2014年作。
え、これがあのシンドーネ?!... VINYL MAGIC時代のプログレ愛好会的な微笑ましさが消えていて、 寸分の隙も無いシリアスさに圧倒され息が詰まりそうになりました。
年輪を重ねて音楽性が緩くなるバンドが大半だと思いますが、 ここまでストイックに進化を遂げているとは思いませんでした。
クラシック、ジャズの要素を深く取り入れつつ、 イタリアならではのパッションもたっぷり...間違いなく傑作です。
緊張が続いてちょっと疲れてしまうのが難点かな...

・NOVEL AND PROFANE/WYATT FUNDERBURK(13)
アメリカのポップ・アーティストによるソロ作。
「甘く切ない恋の処方箋」、「恋を歌ったロックアルバム」、 「ある夏の記憶」...といった赤面ものの紹介フレーズに絶句し、 ずっと聴くのを躊躇していたんですが、 甘酸っぱい極上メロディがぎゅうぎゅうに押し込まれた ピュア・ポップの名盤だったんですね(早く聴いておけばよかった)
最初に思いついたのはライナスですが、 他にもMARK BACINO、LAMAR HOLLEY、SOFA CITY SWEETHEART、 KAI DANZBERG...いろんな天才メロディメーカーが頭を過りました (本作をチェックしている方なら共感してもらえるハズ)... 甘く切ないキラキラなメロディが好きなら必携の名盤です。
カート・ベイカーの活動に関わるのもいいですが、 そろそろまた自身のソロ作を発表してほしいものです。

・LAKE II/SAME(78)
世界で勝負できるポテンシャルを持っていた ドイツのマイナーな実力派バンド、レイクの2nd。
デビュー盤の流れを汲みつつ、 時代の流れを受けてさらに都会度、洗練度がアップしています。 (デビュー盤にスティーリー・ダンを取り込んだ感じ)
鉄壁の演奏力やコーラスは相変わらずで、 派手さはありませんが円熟した通好みのプレイを連発しています。
AORやフュージョン風味もプラスされていますが、 無理やり感が無く余裕たっぷり... 自然に新たな要素をバンドに取り込んでいるのが素敵です。
これぞ職人中の職人による大人のハード・ロックですね。
運とタイミングがあれば状況は変わっていたんだろうなあ... アメリカものも聴けるニッチ・ポップ好きの方も 是非お試しください。

・GUSLIAR/PESNIARY(80)
ベラルーシのNo.1シンフォ作。
このところ数冊購入した不思議音楽館(ORANGE POWER) (目が悪くて文字が読めない...記事書いた人たちは読めてるのかな?) をパラパラめくっていて本作の存在を思い出し、聴きなおしてみました。
あれれれ?こんなにインパクト凄かったっけ... 20年以上前、BOHEMEの旧ソ連ものを 夢中になってチェックしまくってた頃に、 聴いていたはずですが、 なぜかほとんど記憶に残っていません。 (GUNESHがあまりにもツボだったからかな?)
もちろんプログレ名盤紹介に掲載します。
で、このバンドなんですがベラルーシの名門バンドだけあって息が長く、 なんとあのヴィクター・スモールスキも在籍していたそうです(当時14歳!)
もしこのアルバムに参加していたらどんなギターを弾いていたんだろ...

・TAKE A PICTURE/MARGO GURYAN(68)
ライナスのカヴァーのおかげでで出会うことができた名盤。
フレンチ・ポップス×ソフト・ロック的な楽曲と キュートなロリータ&ウィスパー・ヴォイスが素敵すぎる... まるで裏方のポップス職人が集まって戦略を練り、 キュートなアイドルを売り出そうとしている感じではありますが、 彼女は操り人形では無く、自身で作詞作曲をしています。
また楽曲やアレンジも行儀が良いように思わせて、 実はかなりストレンジ (サイケ〜アート・ロック入り)で、結構攻めているのが格好良いです。
タイプは違うものの、自然体でありながら神々しさがあり、 真似できそうで誰にも真似できない独特なセンスをもっていて、 リアルタイムでは評価されず寡作に終わったところから、 ジュディ・シルを思い浮かべました。
ジャケはエミット・ローズを思い浮かべますね。

・WIRED WAYS/SAME(22)
ドイツの新鋭シンフォ・ポップ・プロジェクトによるデビュー盤。
西新宿某店のバーゲン箱から大量購入した作品(今回ほとんど当たりが無かった(泣)...) の中でダントツに気に入った超掘り出し物になります。
内容はざっくりいうと現代版クラトゥです。
ビートルズの遺伝子をかなり多く含んでいて、 生粋のプログレファンよりもその手のファンの方に ぜひ耳にしてもらいたい傑作です。
ビートルズの他には、ドアーズやフロイドの要素も 散りばめられていますが、 とにかく聴きやすくわかりやすいです。 ポップスファンの方ならプログレが苦手でも受け入れられると思います。
個人的には、ドイツということで、70年代に隠れ名盤のFIT ME INを残して 消えてしまったTHE KEYを思い出し、聴きなおしたくなりました。

・AMAZING/REZA(00)
インドネシアの女性ヴォーカリストによる2000年の作品。
もともとDEWA19と関りがあり、 AHMAD DHANIの多大なサポートを受けて 表現力豊かな歌唱をのびのびと披露しています。
なんと日本盤ということで日本語詞の曲を収録するなど 国外を意識しているせいか、 この時代のインドネシアの女性歌ものと比べると、 泣きメロが薄めなのがちょっと物足りなく感じます。
ただ1曲目の上田正樹(最初日本語がやたら流暢なインドネシア人かと 思いました...大変失礼しました!)とのデュエットは超名曲... デヴィッド・フォスター風のアレンジもぴったりはまっていて、 2人のプロフェッショナルな歌唱にメロメロになっちゃいます。

・LEGEND/PARZIVAL(71)
ドイツのクラシカルなプログレ・バンドのデビュー盤。
ドイツらしさは無く、70年代初期のブリティッシュ・フォークを連想させる 良い意味で古めかしく重厚な内容で、 弦楽器、フルートを大胆に押し出しつつ ロックやポップスの要素もバランスよく盛り込んでいます。
唯一ドイツらしいといえば、16分の長尺セッションぐらいですね。 (ただ、おクスリのにおいはしません!)
それにしても、デビュー盤なのに、このタイトル(レジェンド)にして このジャケット...あまりに地味すぎると思うんですが(笑)

・BAROCK/PARZIVAL(73)
ドイツのクラシカルなプログレ・バンドの2nd。
1stに比べて、ジャケットが示すように彩りが豊かになり、 音楽性の幅も広がって聴きやすくなっています。
フルートや弦楽器の活躍ぶりから、 時折ジェスロ・タルや初期ELOを連想し (やっぱりブリティッシュ風なんだよなあ,,,) プログレ度もぐんと向上しているので、 プログレ名盤紹介に掲載します。
近年に復活作を出しているようです(なんと48年ぶり!?)

・MISUNDERSTOOD/STRIDER(74)
70年代ブリティッシュ・ハード・ロックの シーンの層の厚さ、充実度を知らしめる中堅バンドによる名盤。
メンバーの経歴を見ると、スポンティニアス・コンバッション、 セカンド・ハンド、セヴンス・ウェイヴ、ベイビーズ、 ロッド・スチュワート...これだけの強者が揃っているわけですから 素晴らしい内容にならないわけがありません。 (おまけにベーブ・ルースのジェニー・ハーンまでゲスト参加!)
派手さは無いんですが、聴けば聴くほどはまってしまう 「いぶし銀」を具現化したような内容で、昔から、 先日逝去してしまった木戸修のようなバンドだと思っていましたが、 今回改めて、リリカルなピアノ、ソウルフルなヴォーカル、 粘っこくむせび泣くギター等が、鍛錬を積み重ねて磨きあげた わき固めやキドクラッチのように感じられました。
名曲WING TIPSは何度聴いても心に響きます。

・THE SUFFERING JOY/MAGIC PIE(11)
現在も活動を続けるノルウェーのシンフォ・バンドによる3rd。
相変わらずフラキン〜トランスアトランティックのライバルといえるような、 メロディアス・シンフォの教科書的な傑作となっています。
全体的なクオリティの高さはもちろん素晴らしいんですが、 個人的にはギタリストが時々メタル化し 超絶高速フレーズを強引にぶち込んでくるところが とても気に入っています。
本作はA.C.Tっぽいところもあるので、 シンフォ好きはもちろん、 気になるプログレ・メタル・ファンは 是非チェックしてみてください。

・CITY LIFE/UNFINISHED BUSINESS/THE BLACKBYRDS(99)
ドナルド・バードの教え子が結成したジャズ・ファンク・バンドによる、 3rd(75年作)+5th(76年作)のカップリングCD。
1st、2ndを改めて聴きなおしてからこのCDを聴くことで、 時代の流れとともに、ジャズやファンクの粒度が細かくなり、 手探り状態から洗練度、安定度が増していく流れを追うことができました。
ただ名店のカレーが作りたてでもじっくり煮込んでも美味しいように、 どの時代もすこぶる格好良いです。
クラビネット、シンセ、オルガンらの音色と音使い、 鋭いギターのカッティング、ブリブリのベースライン、 うねるグルーヴ感...この時代の黒人特有の演奏は ホット&クールで痺れます。


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